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怪奇城の外壕

 Ⅰ i 映画と建築など
  ii 映画のセット、映画美術など
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  iii 怪奇映画とその歴史など
  欧米の怪奇映画の歴史その他、
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  洋書類
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  v ゴシック・ロマンス、その他
  ゴシック・ロマンスなど、
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  その後の〈ゴス〉など
  文学と建築、その他
  vi 廃墟など
  vii 建築画、街景図、紙上建築など
  viii もろもろ(1)
  廊下、塔、庭園、グロッタ、劇場、
  地下、橋、建築と写真、背景用資料集その他
   ix もろもろ(2)
  路地、住宅、客家民居、九龍城、
  産業建造物、大谷採石場、軍艦島、
  ベルント&ヒラ・ベッヒャー、学校
  ボマルツォの〈聖なる森〉、パラゴニア荘、綺想建築、
  郵便夫シュヴァルの理想宮、その他
 
  おまけ

i. 映画と建築など

 映画についても建築についても詳しいとはとても言いかねるので、例によって穴だらけになってしまいますが、とりあえず関係のありそうなものを挙げていきましょう。「」や「」のあたりになると、あまり関係のなさそうな項となったりもしますが、そこはおいておいて、 また、宇宙論に関わるもの、とりわけ迷宮などについては「宇宙論の歴史、孫引きガイド」>「図像、図形、色彩、音楽など」のページの「v. 建築など」の項の→こちら:「迷宮など」の項もご参照ください。
 さて、そのものずばりの資料もどこかにあることとは思うのですが、いかんせん視野が狭く、今のところ目にとまったのは;


Bob Fear, "Evil Residence. The House and the Horror Film", Architectural Design, vol.70 no.1, January 2000 : "Architecture + Film II", guest-edited by Bob Fear, pp.36-41

 くらいでしょうか。取りあげられているのは『ポルターガイスト』(1982)、『悪魔の棲む家』(1979)、『ヘル・レイザー』(1987)、『キャンディマン』(1992)など。

 2ページの見開きだけですが;

Claire Smith, "The Architecture of Gothic Cinema", Edited by James Bell, Gothic. The Dark Heart of Films, 2013, pp.104-105

 取りあげられているのは『ノスフェラトゥ』(1922)、『オペラの怪人』(1925)、『魔人ドラキュラ』(1931)、『月光石』(1933)
 同書からは、また;

Martin Myrone, "Gothic Art's Cinematic Legacies", pp.78-81
Kim Newman, "The Old Dark House", pp.96-102

James Bell, "Haunted Landscape", pp.116-120

 戻って

Architectural Design, vol.70 no.1, January 2000 : "Architecture + Film II"特集(pp.4-96).
 の他の記事は;
液体建築-エイゼンシュテインとフィルム・ノワール
(Peter Lyssiotis & Scott McQuire)/フセヴォロド・プドフキンとモンタージュの理論(Heather Puttock)/ドイツ表現主義映画における魂の空間(Hans Dieter Schaal)霊的都市を実現する - ハンス・ペルツィヒと『ゴーレム(Claudia Dilimann)/敵としてのモダニズム-映画と近代建築の肖像(Edwin Heathcote)/物質的な音-ジャック・タチと近代建築(Iain Borden)/壁には感覚がある-1960年代ロンドンのセックスについてのカルト映画(Katherine Shonfield)/モール映画-救出策と「悪い」建築(Stephanie Ellis)/見せかけの都市における映画的都会経験を分節する(Martin Price)/LAと災害の建築(Jonathan Bell)/サイボーグ建築とテリー・ギリアムの『未来世紀ブラジル』(Rachel Armstrong)/映画における幻想的な空間的組み合わせ(Karin Damrau)/デジタルな虚構-映画建築における新たなリアリズム(Eric Hanson)/芸術劇場への余興-モダニズム映画の展開(Edwin Heathcote)/映画的なスカルパ(Murray Grigor)/建設する映画(Karl Sabbagh)/生活を変えるためには、まず空間を変えなければならない(Patric Keiller interviewed by Joe Kerr)/治癒的なヴィジョン-ジェイムズ・ボンド、スタンリー・キューブリック、キャプテン・カークとジョージ・ルーカス(Bob Fear)

 ついでにⅡに対するⅠ;

Architectural Design, vo. 64, 11-12/1994, Architectural Design Profile, no.112 : "Architecture + Film"
論説(Maggie Toy)/建築と映画の間で(Michael Dear)/時間の中の空間 - 建築を撮影する(Murray Grigor)/レプリカントと家で - 『ブレードランナー』の建築(Andrew Benjamin)/映画に撮られたもの(撮られなかったもの)の言説としての建築的経験(Nikos Georgiadis)/エコーとナルキッソス(Kester Rattenbury)/映画と建築 - オーヴァーラップと対位法:映画産業におけるスタジオ製の特徴と建築教育におけるスタジオに基づく実験(Françoise Penz)/展覧会とセット・デザイン(Daniel Libeskind)/UFA映画センタ ー -光の破片と皮膚の層 ドレスデン(Coop Himmelb(l)au)/ジョーンズ+ゴーマン・フィルム、ロスアンジェルス(Schweitzer BIM)/プロパガンダ・フィルムズ - 監督の建物、ロスアンジェルス(Schweitzer BIM)/映画としての建築としての映画 タイムズ・スクエア、ニューヨーク(Hani Rashid & Lise Anne Couture)/ソフト・セル、42番街(Elizabeth Diller + Ricardo Scofidio)/シネマ・コンヴァージョン、ファイフ(John C. Hope)/映画・テレビ国際センター、ブカレスト(Westfourth Architecture PC)/野外映画 - 夜の想像的なもの アテネ(Nikos Georgiadis)/IMAXシネマ、サウス・バンク、ロンドン(Brian Avery)/フェイド・イン・フェイド・アウト、カールスルーエ(Dominic Papa and Jonathan Woodroffe)/リアリティ=フィルム=リアリティ・トランスファーランス(Disney)/建築と映画(Lorcan O'Herlihy)など、
96ページ。


 と、いろいろありそうなのですが、どれも読んでおらず、むしろ手本とすべきなのは-やんぬるかな真似するだけの能力がないのですが-;

鈴木了二、『マテリアル・サスペンス 建築映画』、LIXIL出版、2013
ジョン・カサヴェテス論 幸せの絶頂で住宅は静かに発光する/建築映画とはなにか/青山真治論 マテリアル・サスペンス/ペドロ・コスタ論 廃墟の呼吸、現代のユリシーズ、対談/牢獄を知り尽くした建築家/ブライアン・デ・パルマ論 デ・パルマ=コルビュジェ/二人のジャック論 ターナーとロジエ 恋と銃撃のエネルギー/黒沢清論 幽霊と開口部、対談/踊り場目線で東京を掴まえる/終わったあとなど、
338ページ。


 残念ながら「ホラーは苦手」とのことですが(p.284、また p.256)、黒沢清は気になるようで、また対談では「僕は踊り場フェチなのです」という黒沢の素敵な発言があったりします(p.313)。

 以下、ここで見ていきたい作品が扱われているわけではない場合がほとんどではありますが、参考まで;

チェス&コル、「家のトポグラフィー ヴィスコンティをめぐって(ダイアローグエッセイ 2)」、『現代思想』、11巻9号、1983.9:「増頁特集=密教 現実を超越する身体技法」(特集外)、pp.46-62
家 - 最初の宇宙/〈家〉による世界創造と自己確立/〈家〉の崩壊と自己の解体/屋根裏 - 無意識の場所/地下室 - リビドーの場所/地下道と迷路/家族としての〈家〉/擬似家族と闖入者/無意識空間の消失

 →こちらで少し触れました:「怪奇城の外濠 Ⅱ」の頁の「廊下など」内
 同じ著者による→そちらを参照:本頁の「v. ゴシック・ロマンス、その他」内


荒井晴彦+渡辺武信、「第1夜 映画と建築」、日本建築学会編、校長:伊藤哲夫、『建築空間と想像力 PART 2 建築夜学校'91』、TOTO出版、1992、pp.14-57
空間シークエンスをたちあげる/製作現場の人間関係/映画の中の建築/監督の役割/日本の組体質/コストの重要性/時空操作/脚本から演出へ/シンクロする抽象と現実/映画・建築の迷路/ものつくりの宿命/オーソドクシーの崩れた現代/ビュー・スタンド・ポイント/建築家の映画

 同書は他に;
第2夜 ファッションと建築(コシノ・ジュンコ+富永譲)/第3夜 演劇と建築(宮本亜門+松葉一清)など、
160ページ。


D.アルブレヒト、萩正勝訳、『映画に見る近代建築 デザイニング・ドリームス』(SD選書 249)、鹿島出版会、2008
原著は Donald Albrecht, Designing Dream : Modern Architecture in the Movies, 1986
訳は1995年刊本の改装版
序章/新しい建築の誕生/第7の芸術を建てる/先頭に立つヨーロッパ/ハリウッド無限会社/現代の神秘/エピローグなど、
270ページ。


 書名通り近代建築の話なのですが、pp.73-75 に『カリガリ博士』(1920)が出てきたり、pp.105-107 では『メトロポリス』(1926/27)、pp.156-158で『黒猫』(1934)、pp.239-245で『来るべき世界』(1936)などが取りあげられたりしています。

飯島洋一、『映画のなかの現代建築』、彰国社、1996
序論 虚構と現実の境界線をめぐって/光と影のイメージ/拠点的風景の表現/出会いと別れの構図/投影された境界線/アメリカ社会の肖像/隠喩としての空間など、
268ページ。


 イタリア・ファシズム期の建築に関連して→「怪奇城の肖像(幕間)」の頁で挙げました

渡辺武信、『銀幕のインテリア』、読売新聞社、1997
はじめに・なぜ映画で住宅を見るのか?/玄関/鍵と扉/居間と席/椅子/ソファー/食卓/台所/寝室/書斎 本棚/子供部屋/浴室 トイレ/階段 地下 屋根裏/縁側 テラス/灯火/暖房 暖炉/インテリア 室内の色彩/インテリア 個性との関わり/増改築/豪邸/住まいの祝祭など、
350ページ。


五十嵐太郎、『映画的建築/建築的映画』、春秋社、2009
序-いかに建築と映画をつなぐか//
舞台と美術;建築家としての小津安二郎/どこにも存在しない、「懐かしい」空間 - 種田陽平論1/『ザ・マジックアワー』と映画的リアル - 種田陽平論2/黄金時代の美術監督 - 中古智、中村公彦、村木与四郎/『さくらん』と時代劇 ー 蜷川実花と西岡善信//
空間と風景;他者のランドスケープ - リドリー・スコット論/不在の中心としてのローラ・パーマー - 『ツイン・ピークス』/壮絶に変化する中国 - 『長江哀歌』『いまここにある風景』/男女、家族をつなぐ塔と家 - 『東京タワー』『みんなのいえ』『海辺の家』/窓・扉・壁、距離感の測定 - 『裏窓』『不完全なふたり』『壁男』/向こう岸にわたることがない最期の橋 - 『ブリッジ』/ライブ感とフェティシズムと - 『ラブ&ポップ』//
架空の都市;カステロフィリアとしての宮崎駿/『イノセンス』が創造した極限都市 - 押井守論1/澄みわたる東京の空によぎる影 - 『東京スキャナー』 - 押井守論2/人のいない世界-『めざめの方舟』 - 押井守論3/ポストカタストロフィのコラージュ・シティ - 『新世紀エヴァンゲリオン』/瞳に映るもうひとつの近代 - 『スチームボーイ』/さかしまの世界 - 『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』/過去と未来の東京景観 - 『ベクシル』/壊されるための模型 - 円谷プロがつくる都市/初めて見た「未来都市」 - 手塚漫画建築考//
建築家と映像;建築界が嫌悪した映画 - 『摩天楼』/ジャック・タチのウルトラ・モダン建築/ル・コルビュジェと映像/モンタージュと建築/なんだこれは?の魅力 - 『スケッチ・オブ・フランク・ゲーリー』など、
304ページ。

 同じ著者による→こちらを参照:「日本 Ⅱ」の頁の「ix. いわゆる民衆宗教・新宗教など


 また

吉田眸、『ドアの映画史 細部からの見方、技法のリテラシー』、春風社、2011
扉と映画、映画への扉/追いかけ映画を追いかける/表情の奥、映画の顔/眼の力(あるいは無力)、視線で繋ぐ映画/新たに「語る」ための長回し/パノラマ空間と映画時間/パンの衝撃、衝撃的な覗き/映像と音の不自然な関係/階段の映画、映画への階段/映画の内/外/映画と媒介/「映画化」の失敗、外部の視線/補説 消えるドア 文学的に消えるドアVS.映画的に消えるドア/鏡を破砕する/補説 他者の欲望が作動する/見せることは隠すことである/探す映画は探される、など、
276ページ。


W.ペーント、長谷川章訳、『表現主義の建築(下)』、1988、pp.333-343:「Ⅲ-3 建築家と映画」
映画革命/ゴーレムの街/心の鏡像/映画館建築

若山滋・今枝菜穂・夏目欣昇、「ドイツ表現主義映画にみられる建築空間」、『日本建築学会計画系論文集』、vol.73、no.626、2008.4.30、pp.875-881 [ < J-STAGE

 分析の対象となっているのは『カリガリ博士』(1919)、『巨人ゴーレム』(1920)、『吸血鬼ノスフェラトゥ』(1922)、『ドクトル・マブゼ』(1922)、『ヴァリエテ』(1925)、『喜びなき街』(1925)、『メトロポリス』(1926)の7作

D.I.アグレスト、大島哲蔵訳、『圏外からの建築 - 映画・写真・鏡・身体』(SDライブラリー 19)、鹿島出版会、1995
原著は Diana I. Agrest, Architecture from Without. Theoretical Framings for a Critical Practice, 1991
序言/場所の観念について/デザイン対ノン・デザイン/理論の不幸/建築のアナグラム スカイスクレーパーの象徴的展開/表現の場としての都市/映像と建築に対するノート/鏡の建築/建築の鏡/表現に関する言説のための枠組み/建築-その外部から 身体、理論、そして性など、
238ページ。


長島明夫+結城秀勇編、『映画空間400選 映画史115年×空間のタイポロジー』、INAX出版、2011
248ページ。

 コラムだけ拾うと;
鍵/内と外(→こちらに「二人のジャック論 ターナーとロジエ 恋と銃撃のエネルギー」として)/日本家屋/港/壁/都市/電話/空港/リアル/身振り/崩壊/キッチン/集合住宅/川/森/3D

 作品の選択や、執筆者によって〈空間〉のとらえ方が違うのはいいとして、何せ400点なので、1点1点に与えられたスペースがあまりに短いのが惜しいところです。
 それでも『白い肌に狂う鞭』(1963)などが入っている点を良しとしましょう。
 その他、→『カリガリ博士』(1919)、『メトロポリス』(1926)、『吸血鬼』(1931)、『オズの魔法使』(1939)、『レベッカ』(1940)、『市民ケーン』(1941)、『キャット・ピープル』(1942)、『蜘蛛巣城』(1957)、『冒険者たち』(1967)、『赤い影』(1973)、『ラ・パロマ』(1974)、『セリーヌとジュリーは舟でゆく』(1974)


忠田友幸、『下水道映画を探検する』(星海社新書 80)、星海社、2016
はじめに/上映前に 下水道の基礎知識//
ネズミ編;雨水排水口から下水道へ侵入 『ベン』/ネズミが運ぶ伝染病 『ファングス』/下水道の歴史と伝染病 『ザ・ペスト』/体長7.5cmのネズミから見た下水管 『スチュアート・リトル』/美しき下水管をネズミがひた走る 『パリ・ディストラクション』/どこにでもつながる下水管 『ラッツ』/パリはU字溝も石造り 『レミーのおいしいレストラン』/下水道への認識不足が残念 『川の光』//
災害編;災害と下水管の関係 『ボルケーノ』/道路陥没と下水管の関係 『ホスタイル・グラウンド』/下水管で爆発 ふたが吹っ飛ぶ 『コンパッション』/下水管で火災発生 『シティ・オン・ファイア』//
モンスター編;下水道施設満載の一本 『アリゲーター』/アメリカでも下水管の認知度は低いのだ 『アリゲーター2』/点検用通路の続く下水本管 『スピーシーズ 種の起源』/下水道には何でもいる 「宿主」(『X-ファイル』シーズン2第2話)/下水処理場? 登場 『ミミック』/円形管をバイクで走り抜ける 『ブロブ 宇宙からの不明物体』/にせもの下水管の見分け方 『ジェラティノス』/邦画にも昔から映っていた下水道 『美女と液体人間』/ジープで乗入れ、でかい雨水管 『放射能X』/世界遺産? 古都の古い下水道 『グリード』/韓国の近代的な雨水管が舞台 『グエムル 漢江(ハンガン)の怪物』/下水道も迷路のひとつ 『ゴースト・ハンターズ』//
逃走路編;誇るべき光と影の下水管 『ゴールデンスランバー』/生き延びるための逃走路、下水道 『シンドラーのリスト』/うそか、まことか、下水管の滑り台 『ジャッジメント・ナイト』/雨水の流れない接続室? 『S.W.A.T.』/ハッチのついた下水管 『セイント』/ちょっと変わった石積みアーチ管きょ 『小さな目撃者』/四作品に描かれた、それぞれの下水道 『レ・ミゼラブル』/下水道映画の最高峰 『第三の男』/地下水道で逃げのびる 『地下水道』/下水管で動物園に侵入だ 『わんわん忠臣蔵』/排水管からダイビング 『逃亡者』/ミニ化して下水管へ突入 『ブラボー火星人 2000』 /認識不足、邦画の下水道 『ぼくらの七日間戦争』/円形管をクルマが疾走 『ミニミニ大作戦』(1969年版)/新作でも管きょ疾走 『ミニミニ大作戦』(2003年版)/極めつけ、フランスパンを通すマンホールふた 『女囚さそり けものの部屋』//
強奪編;合流式下水道がもたらした危機 『大強奪』/犯行現場の下水道で撮影 『掘った奪った逃げた』/銀行入口は、マンホール 『史上空前の大金庫破り!』/ラストシーンは下水道 『BANKER BREAK バンカー・ブレイク』/下水管のようで下水管でない 『黄金の七人』/強奪は穴掘りばかりじゃない 『サボタージュ』//
隠れ家編;本物ではないけれど、美しい下水管 『デリカテッセン』/ピザの配達先は、下水道 『ミュータント・タートルズ』/命を救った下水道 『ソハの地下水道』/ティム・バートンの下水管 『バットマン・リターンズ』//
脱獄編;希望へつながる下水管 『ショーシャンクの空に』/見てみたいアルカトラズ刑務所の下水管 『ザ・ロック』/下水管をぶち抜け 『穴』/初めて見た巨大ディスポーザー 『新・黄金の七人 7X7』/オープニングは下水管 『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』/実話ではなかった下水管からの脱獄 『ミッドナイト・エクスプレス』//
歴史編;城の中の排泄物処理法は 『スノーホワイト』/実物の下水管には味がある 『ヤング・ブラッド』/下水道映画の嚆矢 『第七天国』など、
288ページ。


 全59作品が取りあげられています。
 著者は下水道の建設業務に携わっていたとのことで、その正確な知識が強みになっています。大いに見習いたいものですが、いかんせん当方には建築にせよ映画にせよ正確な知識というものが欠けているのでした。

 「怪奇城の外濠 Ⅱ」、「viii. もろもろ(1)」中の「地下など」も参照

安藤直見、「映画に描かれた古代エジプト建築 - 建築の量塊的イメージ - 教育資料」、『図学研究』、50巻3号(通巻150号)、2016.9、pp.11-19 [ < J-STAGE ]
DOI : https://doi.org/10.5989/jsgs.50.3_11

深泰勉、「幻想の都市を歩き、地下都市の幻想を巡る」、『ナイトランド・クォータリー』、vol.19、2019.11:「架空幻想都市」、pp.14-18

 主に映画の領域から作例が選ばれています。とりわけ『カリガリ博士』、『メトロポリス』、『オペラの怪人』その他。

 映画と建築を主題にしたものではありませんが、章題に挙げられたテーマや空間の問題にからんで取りあげられている作品を観たくなるのが;

岡田温志、『映画は絵画のように 静止・運動・時間』、岩波書店、2015
ウト・ピクトゥーラ・キネーシス-絵画論と映画論/独り歩きする影/メランコリーの鏡/不気味な肖像画/エニグマとしての彫刻/静と動のあわいの活人画/さながら抽象画など、
328ページ。


 →こちら(『吸血鬼』、1931)やそちら(『キャット・ピープル』、1942)、あちら(『私はゾンビと歩いた!』、1943)、こなた(『レベッカ』、1940)、そなた(『アッシャー家の末裔』、1928)でも挙げています。また→あなた(『大反撃』、1969:活人画について)やここ(『去年マリエンバートで』、1961:彫刻について)、→そこ(「ギュスターヴ・モロー研究序説」[14]の頁の「おまけ」の「追補」)でも触れました。
 →あそこ(「『Meiga を探せ!』、他」)や、また→こっち(「怪奇城の画廊(中篇)」)の頁中でも挙げました

 同じ著者による→そっちを参照:「天使、悪魔など」の頁の「I. 天使など


WOWOW「映画の間取り」編集部、『映画の間取り』、扶桑社、2016
一般住宅;ジョー・ブラッドレイの部屋 『ローマの休日』/ビッグ・ダディのセーフ・ハウス 『キック・アス』/アメリのアパルトマン 『アメリ』/有限会社 鈴木オート 『ALWAYS 三丁目の夕日』/ダン邸 『ゴーン・ガール』/ピーター・パーカーの部屋 『スパイダーマン』/伝説の殺し屋コンドウの部屋 『鍵泥棒のメソッド』/刑事663号の部屋 『恋する惑星』/エリオットの家 『E.T.』/徳永家 『呪怨』/ホリー・ゴライトリーの部屋 『ティファニーで朝食を』/平井家 『小さいおうち』/レオンの部屋 『レオン 完全版』/キャリーのアパートメント 『セックス・アンド・ザ・シティ』/ジョゼとおばあの家 『ジョゼと虎と魚たち』/スティーブ・ジョブズ邸 『スティーブ・ジョブズ』/キキの部屋 『魔女の宅急便』//
邸宅・お城;トニー・スターク邸 『アイアンマン3』/アマンダ邸 『ホリデイ』/清須城 『清須会議』/道明寺 司の部屋 『花より男子 ファイナル』/テネンバウム邸 『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』/スカイフォール 『007 スカイフォール』/ジェイ・ギャツビーの寝室 『華麗なるギャツビー』/ガンプ・ハウス 『フォレスト・ガンプ/一期一会』/カレン邸 『トワイライト~初恋~』//
オフィス・店舗・ホテル;ミランダ編集長のオフィス 『プラダを着た悪魔』/オーバールック・ホテル 『シャイニング』/ハドリアヌス帝別荘の個人風呂 『テルマエ・ロマエ』/ラチェットの個室 『オリエント急行殺人事件』/リックの店 『カサブランカ』/ホテルアバンティのロビー 『THE 有頂天ホテル』/カール・キャスパーのフードトラック 『シェフ 三つ星フードトラック始めました』/ハマダの食堂 『めがね』//
特殊物件・アジト;高級テーラー「キングスマン」 『キングスマン』/ホバークラフト”ネブカドネザル”号 『マトリックス』/武田観柳邸の書斎 『るろうに剣心』/バットバンカー 『ダークナイト ライジング』/閉鎖環境ボックスM-8 『宇宙兄弟』/レクター博士の独居房 『羊たちの沈黙』 など、
200ページ。


 全40件の映画中に登場した間取りを平面図に起こすという趣旨の本です。
 すぐ次の『空想映画地図』とともに、また、下掲「v. ゴシック・ロマンス、その他」で挙げた(→こちら

   小幡陽次郎(文)、横島誠司(図)、『名作文学に見る「家」 愛と家族編』、1997

    同、 『名作文学に見る「家」 謎とロマン編』、1997

  有栖川有栖(文)、磯田和一(絵)、『有栖川有栖の密室大図鑑』、2019

  安井俊夫、『犯行現場の作り方』、メディアファクトリー、2006

  有栖川有栖・安井俊夫、『密室入門』(メディアファクトリー新書 036)、メディアファクトリー、2011

なども参照

 やはり映画と建築を主題にしたものではありませんが;

アンドリュー・デグラフ=絵、A.D.ジェイムソン=文、吉田俊太郎訳、『空想映画地図 [シネマップ] 名作の世界をめぐる冒険』、フィルムアート社、2018
原著は Andrew DeGraff, A.D.Jameson, Cinemaps. An Atlas of 35 Great Movies, 2017
前書き(アンドリュー・デグラフ)//
メトロポリス/キング・コング/オズの魔法使/北北西に進路を取れ/続・夕陽のガンマン/モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル/ジョーズ/スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望/エイリアン/シャイニング/スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲/レイダース/失われたアーク《聖櫃》/スター・トレックⅡ/カーンの逆襲/スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還/ゴーストバスターズ/インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説/ブレックファスト・クラブ/バック・トゥ・ザ・フューチャー/ラビリンス/魔宮の伝説/プレデター/プリンセス・ブライド・ストーリー/インディ・ジョーンズ/最後の聖戦/シザーハンズ/ターミネーター2/羊たちの沈黙/ジュラシック・パーク/パルプ・フィクション/クルーレス/ファ^ゴ/天才マックスの世界/ロード・オブ・ザ・リング三部作/ショーン・オブ・ザ・デッド/スター・トレック/ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー/マッドマックス/怒りのデス・ロードなど、
234ページ。


 本書の主役は、とりあげた映画内の空間を斜め上空から見下ろした地図で、デグラフが、多く一辺が20cm台から50cm台程度の縦長の紙にグアッシュで描いたもの。たとえば『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』については、「アメリカ西部で始まり、大学、イタリア、オーストリア、ベルリン、砂漠でのチェイス、そしてアレクサンドレッタまで」(p.151)が一枚に描きこまれるという風に、必ずしも現実的な距離関係に対応するものではありません。

本田晃子、『都市を上映せよ ソ連映画が築いたスターリニズムの建築空間』、東京大学出版会、2022
序章//
建築と映画の出会い - 『全線』に見るソフホーズの形象;ファクトゥーラとファクトの美学/『全線』制作の背景/越境する映画/生命の工場/ソフホーズの曖昧な場所/おわりに//
幕間-Ⅰ//
都市は運動する - 『新しいモスクワ』に見るスターリンのモスクワ再開発計画;メドヴェトキンと社会主義リアリズム/動く家/二つのモスクワ/『明日のモスクワ』とソヴィエト宮殿/現在と未来、周辺と中央/おわりに//
幕間-Ⅱ//
映画は建築する - 『輝ける道』と全連邦農業博覧会;社会主義リアリズムとミュージカル映画/総合芸術空間としての農業博覧会/空間軸としての指導者像/三人のターニャ/おわりに・・
幕間-Ⅲ//
地下の宮殿 - 『僕はモスクワを歩く』と『ナースチャ』における地下鉄空間;地下鉄言説とソ連映画/スターリン期のモスクワ地下鉄駅/スターリン期の映画と地下鉄言説/『僕はモスクワを歩く』と公共交通空間としての地下鉄/『ナースチャ』と地下の宮殿/おわりに//
幕間-Ⅳ//
宮殿から地獄へ - ポスト・ソ連時代の映画における地下鉄空間;地下鉄言説の推移/ポスト・ソ連期の地下鉄表象/『パイロットたちの科学的セクション』と汚される空間/地下への下降、過去への遡行/『メトロ42』とポスト・ソ連期のパニック映画/特性のない空間/おわりに//
終章など、
298ページ。


 第4章・第5章のテーマにちなんで→こちらにも挙げておきます;「怪奇城の外濠 Ⅱ」の頁の「地下など
 同じ著者による→そちらを参照:「近代など(20世紀~) Ⅲ」の頁の「xii. ロシアから」/『天体建築論』(2014)
 また


本田晃子、「07 ソ連映画のなかの建築、あるいは白昼の亡霊」、『革命と住宅』(ゲンロン叢書 015)、ゲンロン、2023、pp.189-210
構成主義の宮殿は火星に出現する?/前衛都市ハルキウとゴスプロム・ビル/白昼夢の建築/社会主義リアリズムの夢幻空間

 この章以外にも随所で映画作品に言及されます。
 全体の目次は;

はじめに ソ連建築の二つの相//
革命と住宅;ドム・コムーナ 社会主義的住まいの実験/コムナルカ 社会主義住宅のリアル/スターリン住宅 新しい階級の出現とエリートのための家/フルシチョーフカ ソ連型団地の登場/ブレジネフカ ソ連型団地の成熟と、社会主義住宅最後の実験//
亡霊建築論;ロシア構成主義建築とアンビルトのプログラム/ソ連映画のなかの建築、あるいは白昼の亡霊/スターリンのソヴィエト宮殿、あるいは増殖する亡霊/フルシチョフのソヴィエト宮殿、あるいは透明なガラスの不透明性について/ブロツキーとウトキンの建築博物館、あるいは建築の墓所/ガラスのユートピアとその亡霊//
おわりに、など、
348ページ。


Katherine Shonfield, Walls Have Feelings. Architecture, Film and the City Routledge, London and New York, 2000
『壁たちには感情がある 建築、映画と都市』
本書の使い方//
細部;ブルータリズムはいかにして絵のようなポピュリズムを打ち負かしたか:映画と建築における並行/なぜあなたのフラットは水漏れするのか?//
室内;これらの壁には感情がある:『反撥』(1965)と『ローズマリーの赤ちゃん』(1968)の室内/妻たちと恋人たち:1960年代の事務所の屋内:『アルフィー』(1966)、『アパートの鍵貸します』(1960)と『ダーリング』(1965)//
都市;自由流通=自由な交合:女たちと道路:(ゾラの)『ナナ』(1879)と『彼女について私が知っている二、三の事柄』(1967)/事物の都市に抗して:(ディケンズの)『我らが共通の友』(1864-65)、『メアリー・ポピンズ』(1964)と『L.A.ストーリー/恋が降る街』(1991)//
末端部など、
216ページ。


追補:とこうする内に、次の論文に出くわすことができました;

Roger Luckhurst, "Corridor Gothic", Gothic Studies, vol.20 nos.1-2, November 2018, pp.295-310 [ < Edinburgh University Press|Journals
DOI : https://doi.org/10.7227/GS.0050
「廊下ゴシック」

 廊下が主題なので、→こちら(「怪奇城の外濠 Ⅱ」の頁の「廊下など」の項)にも挙げてあります。
 言及された小説や映画は、そこでリスト・アップしておきました。

 p.308 註4 で参照されていたのが次の本です。新書版くらいのサイズ(16.9 x 11.9 cm)の小著ではありますが;


Barry Curtis, Dark Places. The Haunted House in Film ( Locations ), Reaktion Books LTD, London, 2008 / 2016
『暗い場所 映画における幽霊屋敷』
序;場所の霊/暗い家とチラチラするスクリーン/19世紀の霊/映画の幽霊//
幽霊屋敷;屋内/時代遅れのものの中に現われるエネルギー/町の端で/相続と憑依/かたみ、埃と家財/表現主義的な黒//
ゴシックと薄気味悪いもの
the uncanny 城の怪物/投影されたゴシック/ゴシックを建てる/視覚的な憑依と幽霊劇/祈願、祓魔と発掘/取り憑かれた共同体/心霊的な地誌//
映画:「こわれやすい見かけ
semblance 」;写真と幽霊たち/デジタルな幽霊たち/投影の建築的な場所/取り憑かれたスクリーン/初期の映画における幽霊たち/憑依と映画的なもの//
非現実の地所;取り憑かれた道路//
結論//
文献撰など、
240ページ。

ii. 映画のセット、映画美術など

欧米の映画美術など
洋書類 
日本映画、アニメーションの美術など

レオン・バルサック、山崎剛太郎訳、『映画セットの歴史と技術』、晶文社、1982
原著は Léon Barsacq, Le décor de film, 1970
 著者は 1906-1969 とのことで(p.353)、訳の原本は歿後の出版なのかどうかは不詳
序文(ルネ・クレール)/まえがき//
歴史篇;映画効果と映画セットの発達/描かれたセット/建造セット/美学的研究/自然のセット/リアリズムの勝利/ネオ・レアリズモ/映画の新しい躍進//
技術篇 映画におけるセットの役割とその概念//
  セットの研究;資料の収集/いわゆる〈時代物〉(1815-1915)映画/歴史映画/ミュージック・ホール映画、ミュージカル映画、バレー映画/幻想映画//
  カラーと新しい技術//セットの製作//トリック撮影//結論//
映画セット論集など、
400ページ。


 とりわけ「技術篇 1 セットの研究」中の「幻想映画」の項を参照(pp.230-240)
 →こちら(『カリガリ博士』、1919)や、そちら(『巨人ゴーレム』、1920)、あちら(『死滅の谷』、1921)、こなた(『吸血鬼ノスフェラトゥ』、1922)、そなた(『メトロポリス』、1926)、あなた(『アッシャー家の末裔』、1928)、こっち(『美女と野獣』、1946)、そっち(『ハムレット』、1948)、あっち(『去年マリエンバートで』、1961)、ここ(『魂のジュリエッタ』、1965)も参照。またそこ(『幽霊西へ行く』、1935)でも触れています。

 なお余談になりますが、『原子怪獣現わる』(1953)でこれが長篇デビューとなったレイ・ハリーハウゼンと組み、『大海獣ビヒモス』(1959)で一応という形とはいえウィリス・オブライエンと関わり、『怪獣ゴルゴ』(1959/61)では着ぐるみ怪獣を扱うと、特撮ファンには信じがたい経歴を送った監督ユージン・ローリーが、それ以前に評価の高い美術監督でもあったことを、この本で知ったのでした(p.127、p.130。本書ではフランス語読みでウゼーヌ・ルーリエと表記)。p.121 では

「ウゼーヌ・ルーリエの名はいつもジャン・ルノワールの名前と一緒に残り、ルーリエの作品は比類のないことで、1930-1940年の時代でもっとも大いなる成功をおさめたもののひとつとして残る」

と記されています(→こちら(『大いなる幻影』、1937))も参照)。

杉原賢彦+編集部[編]、『映画のデザインスケープ 都市/フォルム/アートの読み方』(Cine Lesson 12)、フィルムアート社、2001
イントロ デザインスケープとは何か?(杉原賢彦)//
デザインスケープを革新した問題作14;太陽はひとりぼっち/ナック/中国女/暗殺の森/惑星ソラリス/殺しのドレス/ワン・フロム・ザ・ハート/デューン 砂の惑星/未来世紀ブラジル/シド・アンド・ナンシー/エピデミック/欲望の翼/ガタカ/アメリカン・サイコ//
都市ライフデザインの代表的作家20(1);フィリップ・ガレル/エリック・ロメール/ウディ・アレン/ジャン・ユスターシュ/ウィリアム・クライン/ヴィム・ヴェンダース/エドワード・ヤン/ジョエル&イーサン・コーエン//
最前線インタヴュー 都市と映画のデザインワーク 種田陽平//
デザインフォルムの読み方(1);サイケデリック・ポップ(森直人)/デジタル・デザイン(暮沢剛巳)/幾何学/流線的デザイン(越後谷卓司)/クリエイティブ・サルベージ(北小路隆志)/レトロフューチャー(杉原賢彦)//
都市ライフデザインの代表的作家20(2);グレッグ・アラキ/リドリー・スコット/デイヴィッド・クローネンバーグ/セドリック・クラピッシュ/テリー・ギリアム/ブライアン・デ・パルマ/ウォン・カーウァイ/ポール・マザースキー/ペドロ・アルモドヴァル/オリヴィエ・アサイヤス/クシシュトフ・キェシロフスキ/ニン・イン//
デザインフォルムの読み方(2);ディープ・エコロジー(杉山匡一郞)/悪趣味/キッチュ/キャンプ(暮沢剛巳)/エスノ・アート(村尾静二)/ロボット・デザイン(鷲巣義明)/未来派/シュルレアリスム/表現主義(暮沢剛巳)//
世界の10大美術監督(越後谷卓司);オット・フンテヴァン・ネスト・ポルグレイズ/ラザール・メールソン/水谷浩/アレクサンドル・トローネル/木村威夫/ジャック・ソールニエ戸田重昌/フェルディナンド・スカルフィオッティ/メル・ボーンなど、
208ページ。


『伝説の映画美術監督たち×種田陽平』(SPACE SHOWER BOOKS)、スペースシャワーネットワーク、2014
プロローグ-映画美術が光を放つ(種田陽平)/木村威夫/LEGACY:伊藤熹朔/横尾嘉良/LEGACY:中村公彦/間野重雄/COLUMN:撮影所小史 - 天幕ステージからオープンセットまで(大谷隆之)/水谷浩/COLUMN:戦後日本映画 美術監督の系譜/西岡善信/LEGACY:内藤昭/朝倉摂/LEGACY:戸田重昌/池谷仙克/LEGACY:井上泰幸/竹中和雄/LEGACY:中古智/井川徳道/LEGACY:鈴木孝俊/森田郷平/LEGACY:浜田辰雄/村木与四郎/LEGACY:松山崇/ワダエミ/LEGACY:村木忍/ダンテ・フェレッティ/LEGACY:アレクサンドル・トローネル/高畑勲「アニメーション美術を語る」/映画美術 過去と未来をつなぐ夢(種田陽平×金原由佳)/エピローグ 20世紀映画美術の遺産(種田陽平)
256ページ。

 14名を取りあげた主要部分は種田陽平によるインタヴューと跋文。「水谷浩」のみ間野重雄、岡田定、水谷佐紀×種田陽平。「LEGACY」の筆者は轟夕起夫。
 ダンテ・フェレッティに関して、次のハリガンの本ともども、→「怪奇城の図書室」の頁で挙げました。


フィヌオラ・ハリガン、石渡均訳、『映画美術から学ぶ「世界」のつくり方 プロダクションデザインという仕事』、フィルムアート社、2015
原著は Finnauala Halligan, Filmcraft : Production Design, 2013
はじめに/ケン・アダム/ジム・ビゼル/リック・カーター/LEGACY 偉大な先人たち ジョン・ボックス/ウィリアム・チャン/スチュアート・クレイグ/ネイサン・クロウリー/LEGACY 偉大な先人たち セドリック・ギボンズ/ダンテ・フェレッティ/ジャック・フィスク/アンチョン・ゴメス/LEGACY 偉大な先人たち ウィリアム・キャメロン・メンジース/サラ・グリーンウッド/グラント・メイジャー/アレックス・マクダウェル/LEGACY 偉大な先人たち フェルディナンド・スカルフィオッティ/ジョン・マイヤー/イヴ・スチュワート/種田陽平/ディーン・タブラリス/LEGACY 偉大な先人たち リチャード・シルバートなど、
256ページ。


 「LEGACY 偉大な先人たち」の5名以外の16人については、各人の1人称の形で綴られています。
 →こちらでも触れました:『プラークの大学生』(1913)の頁のデータ部分の *


Juan Antonio Ramírez, translated and with a foreword by John F. Moffitt, Architecture for the Screen. A Critical Study of Set Design in Hollywood's Golden Age, McFarland & Company, Inc. Publishers, Jefferson, North Carolina and London, 2004
原著は Juan Antonio Ramírez, La arquitectura en el cine : Hollywood, la Edad de Oro, 1986
『スクリーンのための建築 ハリウッドの黄金時代におけるセット・デザインの批判的研究』
序言 - 映画における建築と歴史におけるどこか他の場所(
John F. Moffit)/英語版への序文 - 映画における建築についてのレッスン/初版序文(1986)//
概説的序論;映画建築とモダニズムの危機/ロケ撮影からスタジオ撮影へ/映画館の建築と映画の中の建築/映画建築対通常の建築//
セット・デザイン;美術演出における最初の進歩/建築家対監督 - ジョゼフ・アーバン/〈挿絵家たち〉 - アントン・グロートウィリアム・キャメロン・メンジース/舞台デザイナーたちと画家たち - ウィルフレッド・バックランドとベン・カレ/監修する建築家たち - ハンス・ドライアー、ヴァン・ネスト・ポルグラーゼ、セドリック・ギボンズ/他の美術監督たち/デザインの過程/背景調査/デザインの付加的な局面/想像上の施主と見る顧客-尺度のモデル/労働条件とスタジオの様式//
セット構築;技法、素材と建築的機械類/専門的知識/音の衝撃//
家具から人工的景観へ;セットの仕上げとアクセサリー部門/衣装部対セット/風景の構築/人工的な海と創造的造船/天空の効果//
建築と欲望 - 映画構築の性格;6つの特有な特質/色と照明/駆り立てる機能主義//
セットの死と再生;破壊の方法-火、埋葬、放棄/ハリウッドの廃墟/建築的転生 - 恒久的なセット/いくつかの統計値//
古代からの建築様式;メソポタミアとパレスティナ/エジプト/ギリシア=ローマ建築//
中世からルネサンスまでの建築様式;城と宮殿/恐怖のゴシック/教会、修道院、街路……/ルネサンスからの例//
異国趣味の地域;伝説的なアラビアから同時代の伝説へ - モーロ人のスペイン/元型的スペイン/インド/汎スラヴ的建築と/あるいはジャングル/極東/コロンブス以前のアメリカ//
植民地バロックから同時代の折衷主義へ;〈スペイン様式〉とブルジョワ・バロック/映画的新古典主義は存在したか?/〈アメリカ的〉建築、フロンティアから都会へ/他の(旧世界)諸国//
近代建築がハリウッドを征服する;最初の近代人たち - アーバン、ランボーヴァなど/アール・デコとジグザグ幾何学化/遠洋定期船と〈流線型モダン〉/国際様式/ミュージカルにおける合理的=シュルレアリスム的建築//
エピローグ;いくつかの遍在する要素 - 階段、浴室、寝室/部分的結論など、
256ページ。


 とりわけ第8章の中の"The Gothic of Terror"の節(pp.135-141)を参照。『フランケンシュタイン復活』(1939)も挿図つきで言及されています(pp.139-140)。→こちらにも挙げておきます:同作品の頁の「Cf.
 また→こちら(『オペラの怪人』、1925)、そちら(『魔人ドラキュラ』、1931)、あちら(『フランケンシュタイン』、1931)、こなた(『魔の家』、1932)、そなた(『黒猫』、1934)、あなた(『フランケンシュタインの花嫁』、1935)、ここ(『オズの魔法使』、1939)、そこ(『透明光線』、1936)、あそこ(『バグダッドの盗賊』、1940)、こっち(『市民ケーン』、1941)などを参照。
 →「怪奇城の図書室」の頁の『薔薇の名前』映画版(1986)からの寄り道:ピラネージ《牢獄》風吹抜空間でも触れました。


Beverly Heisner, Hollywood Art. Art Direction in the Days of the Great Studios, St James Press, Chicago and London, 1990
『ハリウッド美術 大スタジオの時代における美術監督』
序:フィルム・デザイン/初期の美術監督/スタジオ・システムのもとでの美術部門/提携した美術家たちと独立の美術監督たち//
ミュージカルと叙事詩;MGMとセルズニック・インターナショナル//
犯罪と情熱;ワーナー・ブラザーズ/パラマウント//
歴史、踊りと喜劇;20世紀フォックス/RKOスタジオ/コロンビア//
怪物たちとお涙頂戴もの;ユニヴァーサル//
美術監督たちのフィルモグラフィーなど、
412ページ。


 第1章およびユニヴァーサルを扱う第10章の中で → ベン・カレ(『オペラの怪人』(1925)の頁)について(→「怪奇城の図書室」の頁の『薔薇の名前』映画版(1986)からの寄り道:ピラネージ《牢獄》風吹抜空間でも触れました)、
 第3章他で → ウィリアム・キャメロン・メンジース(『来るべき世界』(1936)の頁)について、
 第4章中のMGMに関する部分で → セドリック・ギボンズ(『狂恋:魔人ゴーゴル博士』(1935)の頁)について、その中で → こちら(『オズの魔法使』、1939)、そちら(『禁断の惑星』、1955)も、また『ベン・ハー』(1959)のセットに関連して→そちらの2で触れました:「四角錐と四つの球」の頁の「追補」。
 第4章中のセルズニック・インターナショナルに関する部分および20世紀フォックスを扱う第7章の中で → ライル・ウィーラー(『レベッカ』(1941)の頁)について、
 ワーナー・ブラザーズを扱う第5章の中で → アントン・グロート(『ドクターX』(1932)の頁)、
 パラマウントを扱う第6章の中で → ハンス・ドライアー(『呪いの家』(1944)の頁)について、
 また第5章での『ロビンフッドの冒険』(1938)および第6章での『ロビン・フッド』(1922)に関連して→「怪奇城の肖像(後篇)」の頁で、
 RKOを扱う第8章の中で → ヴァン・ネスト・ポルグレイズ(『市民ケーン』(1941)の頁)について(および『偉大なるアンバーソン家の人々』(1942)の頁)、
 同じく → アルバート・S・ダゴスティーノ(『キャット・ピープル』(1942)の頁)について、またあちら(『キャットピープルの呪い』、1944)も参照
 ユニヴァーサルを扱う第10章の中で → チャールズ・D・ホール(『オペラの怪人』』(1925)の頁)、その中で → ここ(『猫とカナリヤ』、1927)、そこ(『魔人ドラキュラ』、1931)、あそこ(『フランケンシュタイン』、1931)、こなた(『フランケンシュタインの花嫁』、1935)も、
 同じく → ジャック・オタースン(『フランケンシュタイン復活』(1939)の頁)、
などなどなど参照。

 用語について少しだけメモしておくと;

「セットができあがると、セット装飾家
set decorator がその仕上げを引き継ぐ - 小道具や家具、衣類などの配置だ。セット装飾家は、スケッチや模型作成の間も相談に乗っていて、美術監督がセットの中に欲していたものを見つけだすべく探してまわるという仕事を受けもっている」(p.31)。

「セット・デザイナー
set designer (美術監督の考えから、細部にわたるセットのデザインを準備する者)」(p.100)。

Edited by Dietrich Neumann, Film Architecture : Set Designs from Metropolis to Blade Runner, Prestel, Munich & New York, 1996,
catalogue of the exhibition held at the David Winton Bell Gallery, Brown University, Providence, Rhode Island, Dec. 8, 1995 - Jan. 21, 1996, The Academy of Motion Picture Arts and Sciences Academy Gallery, Beverly Hills, California, April 4 - June 6, 1996, Deutsches Architektur-Museum und Deutsches Filmmuseum, Frankfurt am Main, June 26 - Sept. 8, 1996

『映画建築 「メトロポリス」から「ブレードランナー」までのセット・デザイン』
序論
(Dietrich Neumann)/空間の爆発 - 建築と映画的想像界(Anthony Vidler)/欲望の場所 - ヴァイマール・シュトラッセンフィルム(Anton Kaes)/『メトロポリス』以前以後 - 近代都市を求める映画と建築(Dietrich Neumann)/ニュー・ヨーク、オールド・ヨーク - セルロイド都市の勃興と崩壊(Donald Albrecht)/「今日のように、ただもう少しそんな風に」 - 『ブレードランナー』のありうべきディストピア(Michael Webb)//
カリガリ博士(1920)/ゲヌイーネ(1920)/アルゴル(1920)/ゴーレム(1920)/朝から夜中まで(1920)/蠱惑の町(1923)/ニーベルンゲン(1924)/人でなしの女(1924)/裏町の怪老窟(1924)/最後の人(1924)/アエリータ(1924)/メトロポリス(1927)/サンライズ(1927)/アスファルト(1929)/五十年後の世界(1930)/黒猫(1934)/来るべき世界(1936)/失はれた地平線(1937)/摩天楼(1949)/ぼくの伯父さん(1958)/プレイタイム(1967)/ブレードランナー(1982)/バットマン(1989)/ディック・トレーシー(1990)//
映画と建築-ヴァイマール共和国時代のテクスト撰など、
208ページ。


Ben Brewster and Lea Jacobs, Theatre to Cinema. Stage Pictorialism and the Early Feature Film, Oxford University Press, 1997/2003
『劇場から映画へ 舞台の絵画主義と初期の長篇映画』
前置きの;諸々の絵/諸状況//
タブロー;『アンクル・トムの小屋』における舞台タブロー/映画におけるタブローの宿命//
演技;演劇における絵画的演技/絵画的諸様式と映画の演技/ヨーロッパ映画における絵画的様式//
舞台化;劇場における絵画的舞台化/映画的舞台/舞台化と編集//
結論/附録 『アンクル・トムの小屋』の粗筋など、
256ページ。


 →こちらにも挙げておきます:「怪奇城の外濠 Ⅱ」の頁の「劇場と舞台セットなど」の項


 なお、1920~30年代のユニヴァーサル怪奇映画の美術監督をつとめたチャールズ・D・ホールの担当作品→こちら:『オペラの怪人』(1925)の頁の「Cf.」、

 同じく1940年代のユニヴァーサルでの美術監督ジャック・オタースン→そちら:『フランケンシュタイン復活』(1939)の頁の「Cf.」、

 同じくユニヴァーサルで20~40年代にセット装飾を手がけたラッセル・A・ガウスマン→あちら:『オペラの怪人』(1925)の頁の「Cf.」、

 ユニヴァーサルを経て40年代RKOのヴァル・リュートン製作作品に携わったアルバート・S・ダゴスティーノ→こなた:『キャット・ピープル』(1942)の頁の「Cf.」、

 1950年代から60年代のハマーフィルムで活躍したバーナード・ロビンソン→そなた:『フランケンシュタインの逆襲』(1957)の頁の「Cf.」、

 同じくドン・ミンゲイ→あなた:『吸血鬼の接吻』(1963)の頁の「Cf.」、

 1960年代前半にロジャー・コーマンのポーもので美術を担当したダニエル・ハラー(ホラー)→こっち:『アッシャー家の惨劇』(1960)の頁中
………………………

 大映から;

内藤昭、聞き手:東陽一、『映画美術の情念』、リトル・モア、1992
はじめに(内藤昭)//
大映京都撮影所の美術助手として;入社した頃/水谷浩の助手として/溝口組の仕事/『山椒大夫』をめぐって/『近松物語』について//
映画美術とはどんな仕事か;映画美術の仕事とスタッフ・ワーク/映画量産時代の美術/時代劇のノウハウ/シネマスコープの問題//
内藤昭の美術[時代劇];時代劇の世界/『大菩薩峠』と様式化/シリーズ化される作品/『眠狂四郎勝負』と『眠狂四郎炎情剣』/パターン破った『座頭市物語』/『忍びの者』と『続・忍びの者』/モダンな意欲作『斬る』/特殊撮影の大作『大魔神』//
大映時代の監督たち;(三隅研次/溝口健二/山本薩夫/安田公義/田中徳三/森一生/吉村公三郎/衣笠貞之助/池広一夫)絵コンテ描く人、描かぬ人/編集=アクションが飛ぶかダブるか/〈デザイン打合せ〉のさまざまな形/撮影所の外で//
内藤昭の美術[現代劇];『夜の河』とカラーへの挑戦/傑作娯楽シリーズ『悪名』/そして続編、続々編……//
大映倒産の前後;日本映画の黄金時代/衰退に向かって/大映倒産後の動き/『戒厳令』・スキーをはいた『子連れ狼』・『竜馬暗殺』/『桜の森の満開の下』・『天保水滸伝』・『妖婆』/脚本が読めない/三隅研次監督の死/小栗康平監督と会う//
映画美術の現在;『泥の河』と日本映画の現在/『華の乱』とアール・ヌーボー/『浪人街』で世紀末を/『橋のない川』をめぐって//
内藤昭の自己形成史=美術監督になるまで;建築科学生の日々/幼年時代から美術監督まで//
インタビューを終えて(東陽一)/あとがき(内藤昭)/内藤昭フィルモグラフィなど、
320ページ。


 →こちらで少し引きました:「怪奇城の画廊(中篇)」の頁

 同じく大映から;

山口猛編、『映画美術とは何か 美術監督・西岡善信と巨匠たちとの仕事』、平凡社、2000
はじめに(山口猛)//
序章 美術監督とは何か;映画美術とは何か/おいたち//
最新三大時代劇の美術;三本の時代劇を作る/『梟の城』/『どら平太』/『御法度』//
大映時代の仕事;『地獄門』と衣笠貞之助/『炎上』と市川崑/『弁天小僧』と伊藤大輔/『新源氏物語』と森一生/『雁の寺』と川島雄三/『越前竹人形』と吉村公三郎/『刺青』『華岡青洲の妻』と増村保造/『座頭市』と勝新太郎//
『映像京都』時代の仕事;五社英雄と映像京都/勅使河原宏/深作欣二/その他の作品//
西岡善信フィルモグラフィーなど、
272ページ。


画・西岡善信、文・井上理砂子、『シネマの画帖 映画美術監督 西岡善信の仕事と人々』、淡交社、2007
序章/シネマの画帖/美術監督の仕事/映画の時間をともに生きた仲間からのメッセージ/映画美術に捧げた人生など、
144ページ。


 東宝から;

丹野達弥編、『村木与四郎の映画美術 【聞き書き】黒澤映画のデザイン』、フィルムアート社、1998
美術助手駆け出し時代/「酔いどれ天使」/「野良犬」/「生きる」/「七人の侍」/「生きものの記録」/「蜘蛛巣城」/「どん底」/「隠し砦の三悪人」/「悪い奴ほどよく眠る」/「用心棒」/「椿三十郎」/「天国と地獄」/「赤ひげ」/「どですかでん」/「影武者」/「乱」/「夢」/「八月の狂詩曲(ラプソディー)」/「まあだだよ」/よき同伴者・村木忍の仕事//
村木与四郎・映画美術フィルモグラフィーなど、
292ページ。


 松竹と日活から;

中村公彦、岩本憲児・佐伯知紀編、『映画美術に賭けた男』、草思社、2001
舞台美術の世界へ//
美術監督の仕事;映画製作の流れ/美術監督はどんなことをやっているか/美術部の仕事/撮影現場での美術監督の仕事/美術監督の仕事とは何か//
松竹・大船撮影所へ 小林正樹、木下惠介とともに;松竹へ転身/小津安二郎とチーフ・アシスタント時代/小林正樹と汚しのテクニック/木下惠介に学んだ映画美術の原点//
日活・調布撮影所へ 川島雄三とともに;松竹から日活へ/川島雄三とともに//
今村昌平とともに//
井上梅次・松尾昭典とともに;井上梅次と日活アクション/松尾昭典とユニークなタッチ/浦山桐郎とともに/監督としての田中絹代/阿部豊監督と組んで/巨匠、マキノ雅弘と組んで/斉藤武市と堀池清//
おわりに 映画美術からインテリア・デザインへ//
著者あとがき/編者あとがき/中村公彦の祖父、野田豁通について(井上智重)/中村公彦・美術監督作品目録など、
280ページ。


 大映と日活から;

『夢幻巡礼 映画美術監督木村威夫の世界』展図録、川崎市市民ミュージアム、2002
木村威夫 美術思考の軌跡(川村健一郎)/反転の美学/映画美術の諸相と木村威夫(西村安弘)/リアリズムからの逸脱(荒川邦彦)//
幻想 跳躍するイメージ/「木村威夫のイメージ画」管見(今泉省彦)//
文学精神 - 小説とシナリオ/木村威夫さんの小説世界(加藤宗哉)/眩暈のころ(星谷章)/シンポジウム「具流八郎 集団創作の秘密」(鈴木清順、木村威夫、岡田裕、上野昂志)//
ロケハン 
都市(まち)の相貌/歩くことから始まる(川本三郎)//
リアリズムを越えて//
映画美術パノラマ//
木村威夫インタヴュー「映画美術の未来に寄せて」//
名のみの美術といったものの…。(鈴木清順)/半世紀を、木村さんと共に(熊井啓)/先師の雑糅(黒木和雄)/木村マジック(柳町光男)/恩師 木村威夫(林海象)/神秘的なるもの(山田勇男)//
座談会「木村美術を語る - 美術スタッフからの視点」(間野重雄、横尾嘉良、川原資三、土屋伊豆夫、小池晴二、中林啓治、林隆、丸山裕司)//
木村威夫フィルモグラフィー/木村威夫関係文献目録//
未発表小説 宿夕記(木村威夫)/エッセイ 私の血脈(木村威夫)など、
208ページ。


木村威夫、荒川邦彦編、『映画美術 擬景・借景・嘘百景』、ワイズ出版、2004
映画美術60年の記憶 はじめに//
大映時代;海の呼ぶ聲/歌う野球小僧/雁/或る女/春琴物語//
日活時代;黒い潮/女中ッ子/乳母車/陽のあたる坂道/鉄火場の風/霧笛が俺を呼んでいる/硝子のジョニー 野獣のように見えて/悪太郎/肉体の門/悪太郎伝 悪い星の下でも/刺青一代/東京流れ者/けんかえれじい//
フリー時代;忍ぶ川/お吟さま/ツィゴイネルワイゼン/ひかりごけ/愛について、東京/夢の女/深い河//
幻の企画『佐川君への手紙』/枡田利雄監督との事/しめくくりのことば//
木村威夫フィルモグラフィーなど、
528ページ。


 アニメーションから;

スタジオジブリ責任編集、『小林七郎画集 空気を描く美術』、徳間書店、2002
新たな様式の世界を切り開く/自由に発想を飛躍させ、空想の世界を映像の中に描く/ゲームの仕事/時の流れの中で豊かに表情を変えていく自然の姿を描く/その他の作品/自分のイメージを求めて//
「美術・小林七郎を語る」;インタビュー 出崎統、押井守、望月智充/美術設定集/コメント 男鹿和雄//
小林七郎インタビュー//
オリジナルの世界を求めて//
小林七郎フィルモグラフィー/あとがきにかえて(小林七郎)など、
106ページ。


 →こちらも参照:『ルパン三世 カリオストロの城』(1979)の頁中

『ジブリの立体建造物展』図録、江戸東京たてもの園、発行:スタジオジブリ、2014
部分を見れば、全体が見える。(スタジオジブリ)/空想的で現実的な建物(藤森照信)//
ジブリの建造物(鈴木敏夫)/建築史家・建築家から見たジブリの建造物(藤森照信)//
ジブリの建造物の世界へ//
スタジオジブリと藤森照信、そして江戸東京たてもの園(早川典子)/映画と建築をつなぐ記憶と無意識の世界(対談 藤森照信×宮崎駿)など、
192ページ。


高畠聡、『アニメーション 精密背景原図集』、玄光社、2020
INTRODUCTION/用語解説/背景原図と完成画稿//
『メトロポリス』/『スチームボーイ』/『
FREEDOM』/『鴉 -KARAS-』/『true tears』/『鬼神伝』/『青の祓魔師』/『劇場版 BLOOD-C The Last Dark』/『攻殻機動隊 新劇場版』/『十二大戦』/『チェインクロニクル~ヘクセイタスの閃~』/『HELLOW WORLD』/『ドロヘドロ』/『Nyanster』(企業CM)//
Author History 高畠聡 人生を変えた大友克洋との出会い(鈴木淳也)/高畠聡インタビュー/本書に添えて、など、
256ページ。


Stefan Riekeles, Anime Architecture. Imagined Worlds and Endless Megacities, Thames and Hudson, London and New York, 2020
『アニメ建築 想像された諸世界と終わりなき諸巨大都市』
序/『AKIRA』(1988)/『機動警察パトレイバー the Movie』(1989)/『機動警察パトレイバー 2 the Movie』(1993)/『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』(1995)/『メトロポリス』(2001)/『イノセンス』(2004)/『鉄コン筋クリート』(2006)/『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』(2007)および『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』(2009)など、
256ページ。


 この本は邦訳が刊行されました;

シュテファン・リーケルス、和田侑子訳、『アニメ建築 傑作背景美術の制作プロセス』、グラフィック社、2021

 256ページ、判型(A4変型、27.9 x 21.5cm)・レイアウトは原著のまま。

iii. 怪奇映画とその歴史など

欧米の怪奇映画の歴史その他
日本の怪奇映画の歴史など 
洋書類

 怪奇映画総体についての序論とも見なせるのが;

四方田犬彦、『怪奇映画天国アジア』、白水社、2009、pp.19-54+註:「第1章 怪奇映画はいかに語られてきたか」
恐怖への情熱/なぜ人は怪奇に魅せられるのか/なぜ怪奇映画は貶められてきたか/怪奇映画小史 アメリカ/怪奇映画小史 日本/怪奇映画のある国とない国

 同書本体で取りあげられる作品は不見識のため今のところまるっきり未見なのですが、ともあれ他の目次は;

インドネシアの怪奇映画/タイの怪奇映画/2000年代のインドネシアの怪奇映画/2000年代のタイの怪奇映画/マレーシア、シンガポール、カンボジアの怪奇映画/結論など、348ページ。

 →こちらで触れました(ポンティアナックについて
 同じ著者による→そちらも参照(『署名はカリガリ 大正時代の映画と前衛主義』、2016)


 ガイドブックの類はけっこうありますが、とりあえずいっとうお世話になったのが;

北島明弘責任編集、『ホラー・ムービー史 シネアルバム119 恐怖・怪奇・幻想の全映画』、芳賀書店、1986
はじめに/初期から20年代まで/30年代のホラー映画/40年代のホラー映画/50年代のホラー映画/60年代のホラー映画/日本のホラー(怪談)/ブラウン管のなかのホラー/70年代から現在まで 米英のホラー映画/70年代から現在まで ホラーの諸ジャンル/70年代から現在まで さまざまな国のホラーなど、
240ページ。
 

 →そちら(『キャットピープルの呪い』(1944)の頁)やあちら(『ワルプルギスの夜』(1971)の頁の「Cf.」)でも挙げています

 なお編者には

北島明弘、『世界SF映画前史』、愛育社、2006

 (→こちら(『メトロポリス』、1926)、そちら(『透明光線』、1936)、あちら(『来るべき世界』、1936)、ここ(『禁断の惑星』、1956)やそこ(『宇宙からの侵略生物』、1957)、あそこ(『バンパイアの惑星』、1965)、こなた(『バーバレラ』、1968)、またそなた(『原子怪獣現る』、1953/「怪奇城の高い所(後篇) - 塔など」の頁)や、あなた((『人類SOS!』、1962/同上)にも挙げています)

北島明弘、『映画で読むエドガー・アラン・ポー』(SCREEN新書 018)、近代映画社、2009

 (→こちら(『アッシャー家の末裔』、1925)や
 そちら(『黒猫』、1934)、またあちら(『大鴉』、1935)、
 こなた(『アッシャー家の惨劇』、1960)、そなた(『恐怖の振子』、1961)、あなた(『姦婦の生き埋葬』、1962)、こっち(『怪異ミイラの恐怖/黒猫の怨霊/人妻を眠らす妖術』、1962)、そっち(『忍者と悪女』、1963)、あっち(『怪談呪いの霊魂』、1963)、ここ(『赤死病の仮面』、1964)、そこ(『黒猫の棲む館』、1964)、
 またこちら(『吸血魔のいけにえ』、1967)、そちら(『世にも怪奇な物語』、1968)、あちら(『バンシーの叫び』、1970)、こなた(『ター博士の拷問地下牢』、1973)、そなた(「怪奇城の高い所(完結篇 - 屋上と城壁上歩廊など)」の頁)にも挙げています。
 なおポーについては→「viii. エドガー・アラン・ポー(1809-1849)など」(<「ロマン主義、近代など(18世紀末~19世紀)」<「宇宙論の歴史、孫引きガイド」)も参照。
 また下掲の
Bruce G. Hallenbeck, Poe Pictures, 2020 も参照

 などもあります。

The Horror Movies, 1~4, (スクリーンネオブックス)、近代映画社、1986.3~5

 いずれもB6版、160ページで定価700円。3月に1と2,5月に3と4が刊行。当時次々にヴィデオ・ソフト化された映画の情報を提供するという趣旨なのでしょうが、下記のように各巻で小特集が組まれており、憧憬をあおってくれたものでした。続刊されたかどうかは不詳。

第1巻;ハーシェル・ゴードン・ルイス、アンディー・ミリガン、ジョージ・A・ロメロ、ブライアン・デ・パルマの他、「ロジャー・コーマン&AIPの全て」(北島明弘)など

 →こちら(『ハンガー』、1983)やそちら(『肉の蝋人形』1953年版)でも挙げています


第2巻;ダリオ・アルジェント、マリオ・バーバ、ルチオ・フルチの他、「残酷と流血に賭けた男たち マカロニ恐怖映画の系譜」(浦安二郎)、『13日の金曜日』シリーズ、ウェス・クレーブン、ジョン・カーペンター、ジョー・ダンテ、ジョン・ランディス、トビー・フーパーなど

 →こちら(『インフェルノ』、1980)やそちら(『ザ・ショック』、1977)、あちら(『ブラック・サバス 恐怖!三つの顔』、1963)、ここ(『白い肌に狂う鞭』、1963)、そこ(『顔のない殺人鬼』、1963)、あそこ(『モデル連続殺人!』、1964)、こなた(『呪いの館』、1966)、そなた(『世にも怪奇な物語』、1968)、あなた(『顔のない眼』、1960)、こっち(『血とバラ』、1960)、そっち(『処女の生血』、1974)、あっち(『レモーラ』、1973)でも挙げています


第3巻;ジョージ・A・ロメロ、ダン・オバノン、「50年代~ SF映画はホラーの香り」(増淵健)、『ジョーズ』シリーズ、「70年代オカルト・ブームを総括してみれば…」(筈見有弘)など

 →こちら(『たたり』、1963)やそちら(『ヘルハウス』、1973)、あちら(『血の唇』、1970)でも挙げています


第4巻;デービッド・クローネンバーグ、トビー・フーパー、ジョン・カーペンター、ジョー・ダンテ、ジョン・ランディス、「ハマー&アミカスの全て 全解剖!! ブリティッシュ・ホラーの源流」(北島明弘)、「ユニヴァーサル怪奇映画を背負った4人のスター」(増淵健)など

 →こちら(『吸血鬼ドラキュラ』、1958)やそちら(『吸血鬼ドラキュラの花嫁』、1960)、あちら(『吸血鬼の接吻』、1963)、ここ(『凶人ドラキュラ』、1966)、そこ(『帰って来たドラキュラ』、1968)、あそこ(『ドラキュラ血の味』、1970)、こなた(『ドラキュラ復活!血のエクソシズム』、1970)、そなた(『ドラキュラ血のしたたり』、1971)、あなた(『ドラキュラ'72』、1972)、こっち(『フランケンシュタインの逆襲』、1957)、そっち(『吸血ゾンビ』、1966)、あっち(『妖女ゴーゴン』、1964)、またこちら(『蛇女の脅怖』、1966)、そちら(『原子人間』、1957)、あちら(『キャプテン・クロノス 吸血鬼ハンター』、1974)、ここ(『フランケンシュタイン』、1931)、そこ(『フランケンシュタインの花嫁』、1935)、あそこ(『カリガリ博士』、1919)、こなた(『巨人ゴーレム』、1920)、そなた(『吸血鬼ノスフェラトゥ』、1922)、あなた(『吸血鬼』、1967)、こっち(『ヨーガ伯爵の復活』、1971)でも挙げています


 論考としてまとまったもので初めて読んだのが;

石川三登志、『吸血鬼だらけの宇宙船 怪奇・SF映画論』、奇想天外社、1977
SF映画の知的な冒険;SF映画小史〈メリエスとSF映画の系譜〉/宇宙船にのった超人たち〈スペース・オペラ映画考〉/ロストワールドの夢〈怪獣映画と恐龍たち)/ゴジラ〈未熟怪獣の白昼夢〉/田中友幸と東宝特撮スペクタクル史/ミクロの決死圏〈プロテウスの可能性〉/2001年宇宙の旅〈仰角的人類論〉/宇宙からの脱出/ウエストワールド/惑星ソラリス/地球爆発作戦〈コンピューターにも愛はあるのだ〉/猿の惑星〈逆転シリーズの特異性〉/未来惑星ザルドス〈生と死のためのSF的な寓話〉/ジョルジュ・メリエス直系の子孫たち〈特殊効果の系譜〉//
怪奇城の伝説;〈怪奇と幻想〉映画小史/三人の恐怖映画作家〈フィッシャー、キャッスル、フランシス〉/ビックリ箱の中の悪夢〈ロジャー・コーマン論)/怪奇城の伝説/吸血鬼ドラキュラ/怪物団/ヘルハウス血とバラ〈現代吸血鬼考)/ドラキュラ血の味〈吸血鬼はやっぱりヒーローだった)/エクソシスト〈神と悪魔の対決映画〉/怪談牡丹灯籠/怪談皿屋敷など、
320ページ。


 SFを扱った第1部に対して、第2部、とりわけ「怪奇城の伝説」(pp.194-271)は;

ロバート・ネヴィルの暗闇世界/ザロッフ伯の狂乱世界/ノーマン・ベイツの逃避世界/フランケンシュタインの創造世界/イム・ホ・テップの禁断世界/ローレンス・タルボットの変身世界/ドラキュラ伯の白昼世界

 の7部からなり、精神分析的な概念装置を用いた意味づけに違和感はいなめませんでしたが、それでも当時見つけることのできた貴重な論述でした。

 →こちらで少し触れています:「エジプト」の頁の「おまけ」」、またそちら(『禁断の惑星』(1956)の頁)にも挙げています。

 少し間をおいて;

S.S.プロウアー、福間健二・藤井寛訳、『カリガリ博士の子どもたち 恐怖映画の世界』、晶文社、1983
原著は S. S. Prawer, Caligari's Children, 1980
はじめに/ジャンルの形成/恐怖の魅惑/本から映画へ(Ⅰ) マムーリアンの『ジーキル博士とハイド』/無気味なもの/本から映画へ(Ⅱ) ドライヤーの『吸血鬼』/恐怖映画のイコノグラフィー ヴィーネの『カリガリ博士』/『カリガリ博士』をこえて/あるイメージの背景/結論など、
366ページ。


 →こちら(『フランケンシュタイン』(1931)の頁)でも挙げています

 これらが教科書的な役割をはたしてくれたわけですが、それに先だっては;

『新評 臨時増刊 ALEDA 妖怪の本』、1974.7

 に掲載された;佐藤重臣「吸血鬼映画のエロチシズム」(pp.192-201)、児玉数夫「怪奇映画の歴史」(pp.284-296)などで渇を癒していました。

 この本は小特集のような形で吸血鬼に関する文章をいくつか載せていたのですが、少し後には『ドラキュラ都へ行く』(1979)、『吸血鬼ノスフェラトゥ』(1978)、『ドラキュラ』(1979)の公開に合わせて

『季刊 映画宝庫』、no.11、1980.1、pp.1-212:「特集 ドラキュラ雑学写真事典」

 なんてのも出て、その中に

平和孝、「吸血鬼映画全作品フィルモグラフィ」(pp.145-176)

 が含まれていました
 (→こちら(『催淫吸血鬼』、1971)やそちら(『レクイエム』、1971)、またあちら(『オカルトポルノ 吸血女地獄』、1973)でも挙げています)。

 後に

ジョン・L・フリン、濱口幸一・村尾静二・濱田尚孝訳、『シネマティック・ヴァンパイア 吸血鬼映画B級大全』、フィルムアート社、1995
原著は John L. Flynn, Cinematic Vampires. The Living Dead on Film and Television, 1992
326ページ

 という、より完備したフィルモグラフィが邦訳されましたが、やはり最初の時のワクワク感は忘れがたいものがあります。
 とまれフリンの本は→こちら(『ノスフェラトゥ』、1922)、そちら(『魔人ドラキュラ』、1931)、あちら(『魔人ドラキュラ・スペイン語版』、1931)、ここ(『吸血鬼』、1931)、そこ(『古城の妖鬼』、1935)、あそこ(『女ドラキュラ』、1936)、こちら(『夜の悪魔』、1943)、そちら(『フランケンシュタインの館』、1944)、あちら(『ドラキュラとせむし女』、1945)、こっち(『凸凹フランケンシュタインの巻』、1948)、そっち(『吸血鬼ドラキュラ』、1958)、こなた(『吸血鬼ドラキュラの花嫁』、1960)、そなた(『凶人ドラキュラ』、1966)、あなた(『帰って来たドラキュラ』、1968)、またこちら(『ドラキュラ血の味』、1970)、そちら(『ドラキュラ復活! 血のエクソシズム』、1970)、あちら(『ドラキュラ'72』、1972)、ここ(『バンパイア・ラヴァーズ』、1970)、そこ(『恐怖の吸血美女』、1971)、こっち(『ドラキュラ血のしたたり』、1971)、そっち(『吸血鬼の接吻』、1963)、あっち(『キャプテン・クロノス 吸血鬼ハンター』、1974)、こなた(『鮮血の処女狩り』、1971)、そなた(『バンパイアの惑星』、1965)、あなた(『血ぬられた墓標』、1960)、またまたこちら(『ブラック・サバス 恐怖!三つの顔』、1963)、そちら(『モデル連続殺人!』、1964)、あちら(『女ヴァンパイア カーミラ』、1964)、ここ(『幽霊屋敷の蛇淫』、1964)、そこ(『血とバラ』、1960)、そこの2(『催淫吸血鬼』、1971)、そこの3(『レクイエム』、1971)、あそこ(『吸血鬼』、1967)、こっち(『黒猫の棲む館』、1964)、そっち(『女吸血鬼』、1959)、あっち(『薮の中の黒猫』、1968)、あっちの1.5(『処女の生血』、1974)、あっちの2(『ヨーガ伯爵の復活』、1971)、あっちの3(『血の唇』、1970)、あっちの4(『ワルプルギスの夜 - ウルフVSヴァンパイア -』、1971)、あっちの5(『Mr.バンピラ 眠れる棺の美女』、1974)、あっちの6(『レモーラ』、1973)、こなた(『ハンガー』、1983)、そなた(『幽霊屋敷の恐怖 血を吸う人形』、1970)、あなた(『呪いの館 血を吸う眼』、1971)、またこちら(『血を吸う薔薇』、1974)でも挙げています


 なお吸血鬼映画に関しては、

芦屋小雁、『シネマで夢を見てたいねん』、晶文社、1994、「第6章 銀幕の吸血鬼たち」
伯爵教授/かくしてこの邪悪は……

 他の章は;
映写室を覗く - 小学校に上るまで/手回し映写機の時代/絵看板と漫才と/ぼくが怪奇SFを好きなわけ/上方コメディ風雲録/薄膜蒐集家-集めるから観せるへ/滂沱の幻想物語/エピローグ-醒めて見る夢など、
318ページ。

 随所で怪奇映画・SF映画について言及されています。とりわけ「第4章 2 名なしの怪物」はフランケンシュタインものについて。
 また同じ著者に『ドラキュラ百科(豆たぬきの本)』(1980)があるとのことですが未見。


『yaso 夜想/特集#「ヴァンパイア」』、2007.11
なにものかへのレクイエム(レーニン)(森村泰昌)/恋月姫 遙かなる眠り(撮影:野波浩)//
せつない吸血鬼;永遠という苦しみ(佐藤嗣麻子)/吸血鬼ファンタジア(小島文美)/天野可淡 吸血鬼人形に込められた思い(吉田良)/アン・ライスのヴァンパイア像(柿沼瑛子)/ここにも孤独なひとがいる Studio Life(倉田淳)//
サイモン・マースデンの世界(川合健一)/私たちは皆吸血鬼なのかもしれない - アベル・フェラーラ『アディクション』について(梅本洋一)//
ヴァンパイア映画クラシックス(編集部);ノスフェラトゥ ネズミと屍体と蝙蝠のキメラベラ・ルゴシの吸血鬼-魂を売り渡してまでも受難する女たち カール・ドライヤー「ヴァンパイア」//
吸血鬼文学名作百選(東雅夫)/目醒めの刻(山本タカト)//
ヴァンパイア映画クラシックス Part 2;二人のドラキュラ ベラ・ルゴシとクリストファー・リー(石田一)/米・英の吸血鬼 ユニヴァーサルとハマー・プロの吸血鬼映画(同)/マーク・ロブソン『吸血鬼ボボラカ』(編集部)/血を吸う銀幕 日本の吸血鬼映画(山田誠二)/女吸血鬼が観た吸血鬼映画(明日香七穂)//
吸血鬼王国(丸尾末広)/ヴァンパイア映画参考リスト(編集部)//
ヴィクトリア朝を背景に誕生した『ドラキュラ』(丹治愛)/ドラキュラのモデル-ヴラド・ツェペシュ(清水正晴)/「ドラキュラ」ブラム・ストーカー前史(編集部)//
闇と光のイコン ヴァーニャ・ズーラヴィロフ(天野昌直)/暗鬱なる美青年 美形吸血鬼ベスト・テン(須永朝彦)/龍の黙示録-吸血鬼のイメージはこうして作る(篠田真由美)など、
200ページ。


 下掲の

石田一、「ドラキュラ100年史《前編》」、1997

 なども参照

 話を戻すと、

菊地秀行、『怪奇映画の手帖 ホラー・シネマ・パラダイス』、幻想文学出版局、1993
はじめに奇術師ありき - G.メリエスへ/ドワイト・フライの憂愁「フランケンシュタイン」の遺産/フランケンシュタイン創造者の悲劇-ああ、ジェームズ・ホエール女ドラキュラの淫靡さ/ホラーを甦らせた男/我が「血塗られた墓標」/「恐怖の足跡」の足跡/血しぶきの魔術師/H.G.ルイス/ジョージ・A・ロメロと「生ける死者の夜」/もうひとりの狂人/アンディ・ミリガンの世界/内に潜む狂気の演出者/クローネンバーグ//
モンスター覚え書き/HOW TO MAKE MONSTERS/ああ、怪奇スター/BIG IS GOOD/アメリカから来た玉手箱/アメリカから来た玉手箱2/アメリカから来た玉手箱3/ある原形/我が家のアンソロジー//
夜の末裔たち - 吸血鬼映画ぎゃらりい/ラヴクラフト・オン・スクリーン/怪奇映画五番勝負/
怪奇映画ベスト100など、
238ページ。


 とりわけ「Ⅳ 怪奇映画ベスト100」(pp.189-229)は地図作りに役立ちます。
 →こちら(『アッシャー家の末裔』、1928)やこちらの2(『不死の怪物』、1942)、そちら(『幽霊屋敷の蛇淫』、1964)、あちら(『去年マリエンバートで』、1961)、こっち(『たたり』、1963)、そっち(『インフェルノ』、1980)でも少し触れています

菊地秀行、『魔界シネマ館』、朝日ソノラマ、1987
恐怖城の虜;HORROR ミーティング/もうひとつの世界 - 怪奇SF私観 -/夕映えの街//
空想科学映画の逆襲;殺戮者のみた夢 - 「ターミネーター」 -/有り得ざるもの - 「エクソシスト」 -/ホラーならぬホラ話 - 「ゴーストバスターズ」 -/まぶせ弦一郎のSF再入門講座//
映画をめぐるパラレルワールド;NEOホラー入門/ふりかえり座談会 '81年のSF・ホラー映画/ふりかえり座談会 '82年のSF・ホラー映画/文字世界から視覚世界へ - 原作と映像独断偏見記 -/座談会 - 劇場で観たい小説がこんなにあるぞ!/ブロック、マシスン&ラヴクラフト//
X君の名作鑑賞館;フランケンシュタイン/吸血鬼ドラキュラ/遊星よりの物体X/原子人間/ゾンビ//
怪奇小説の血;恐怖自叙伝/恐怖探求記-ホラーテイルズ-など、
272ページ。


 →こちら(『禁断の惑星』、1956)でも挙げています


菊地秀行、『夢みる怪奇男爵』、角川書店、1991、pp.137-242:「3 絶叫する銀幕」
怪奇男爵の憂鬱/怪奇男爵巡航記/モンスター・パレード/ミスターZOMBI対血まみれKING/コルト・ガヴァメントの伝説/猫とナメクジ/寝室でSF・怪奇映画を/殺しのテクニック/殺しの免許証(ライセンス)/ロング・ライダース/白い肌に狂う鞭血塗られた墓標フランケンシュタインの逆襲/地球防衛軍/ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド ゾンビの誕生/原子人間/メインテーマ

 また

菊地秀行監修、『妖魔の宴 スーパー・ホラー・シアター』(竹書房文庫)、竹書房、1992~1993;『ドラキュラ編』1,2/『狼男編』1,2/『フランケンシュタイン編』1.2

 全6巻の巻末に収められた

菊地秀行、「我がドラキュラ映画の時代」(前後)、「我が狼人間(ウィアウルフ)映画の時代」(前後)、「我がフランケンシュタイン映画史」(前後)

 などもあわせてご覧ください。

 →こちら(『倫敦の人狼』、1936)や、
 そちら(『女ドラキュラ』、1936)に、あちら(『フランケンシュタイン復活』、1939)、またこなた(『狼男』、1941)、そなた(『フランケンシュタインと狼男』、1943)、あなた(『夜の悪魔』、1943)、こっち(『フランケンシュタインの館』、1944)、そっち(『ドラキュラとせむし女』、1945)、あっち(『凸凹フランケンシュタインの巻』、1948)、
 またこちら(『フランケンシュタインの逆襲』、1957)、そちら(『吸血鬼ドラキュラ』、1958)、
 あちら(『女吸血鬼』、1959)、
 こなた(『吸血鬼ドラキュラの花嫁』、1960)、そなた(『凶人ドラキュラ』、1966)、あなた(『帰って来たドラキュラ』、1968)、こっち(『ドラキュラ血の味』、1970)、そっち(『ドラキュラ復活! 血のエクソシズム』、1970)、あっち(『ドラキュラ'72』、1972)、
 あっち(『ヤング・フランケンシュタイン』、1974)でも挙げています


 同じ著者による→こちらも参照:「近代など(20世紀~) Ⅵ」の頁の「菊地秀行」の項

 また各編の第2巻巻末には、レオナード・ウルフによる「セレクティッド・フィルモグラフィー」も収録されています。

MONSTERS編著、『ムービー・モンスターズ 映像世界の怪物たち』、プレイガイドジャーナル社、1980
はじめに(石田一)//
怪物は呪いが生み出す;吸血鬼の世界/ミイラ怪人の世界/狼男の世界/その他の呪われた怪物たち//
怪物は科学が生み出す;フランケンシュタインの怪物/透明人間/ジキル博士とハイド氏/ロボット/その他の科学モンスター//
ムービー・モンスターズ!(フォーレスト・J・アッカーマン)/不滅のモンスターズ(芦屋小雁)など、
184ページ。


石田一、『ムービー・モンスターズ 2 映像世界の怪物たち』、プレイガイドジャーナル社、1985
怪物は宇宙から来る;宇宙人/ベム(宇宙怪物)//
怪物は宇宙に棲む;宇宙人/ベム(宇宙怪物)//
怪物は人の心が生み出す;マッド・ドクター/科学犯罪者/凶悪犯罪者//
怪物は大自然が生み出す;怪人類/怪獣類など、
176ページ。


 →こちら(『成吉斯汗の仮面』(1932)の頁の「Cf.」)でも挙げています

石田一、『モンスター・ムービー』、フィルムアート社、1998
はじめに/スペース・モンスター/サイエンス・モンスター/オカルト・モンスターなど、
230ページ。


 →こちら(『吸血鬼ドラキュラ』(1958)の頁中)やそちら(『帰って来たドラキュラ』(1968)の頁中)でも挙げています


石田一、『図説 モンスター 映画の空想生物たち』(ふくろうの本)、河出書房新社、2001
A Pictorial History of Monsters/黎明期のモンスター サイレント時代から1939年/繁殖期のモンスター 1940年-1959年/成長期のモンスター 1960年-1979年/成熟期のモンスター 1980年以降/モンスターのクリエイターたちなど、
128ページ。


石田一、『図説 ホラー・シネマ 銀幕の怪奇と幻想』(ふくろうの本)、河出書房新社、2002
A Pictorial History of Horror Movies/草創期 (サイレント時代~1930年代)/繁栄と低迷(1940~1950年代)/復興と世代交代(1960年代以降)/ホラー映画の仕掛け人 Who's Who on Horror Films など、
128ページ。


石田一編著、『ハマー・ホラー伝説 英国ホラー・ファンタジーの世界』、キャッスル・カンパニー、1995
序文(フォーレスト・J・アッカーマン)/序文(ヴェロニカ・カールソン)//
ハマー・ホラー概歴/最上の声(ハリー・ナドラー)/偉大なる男優たち/華麗なる女優たち/優秀なスタッフたち/フランケンシュタインとドラキュラ/フィルモグラフィ-など、
208ページ。


 →こちら(『フランケンシュタインの逆襲』、1957)、そちら(『吸血鬼ドラキュラ』、1958)、あちら(『吸血鬼ドラキュラの花嫁』、1960)、こなた(『フランケンシュタインの怒り』、1964)、そなた(『凶人ドラキュラ』、1966)、あなた(『帰って来たドラキュラ』、1968)、こっち(『ドラキュラ血の味』、1970)、そっち(ドラキュラ復活! 血のエクソシズム』、1970)、あっち(『ドラキュラ'72』、1972)でも挙げています。
 また→こちら(『宇宙からの侵略生物』、1957)やそちら(『蛇女の脅怖』、1966)、あちら(『姦婦の生き埋葬』、1962)、ここ(『Mr.バンピラ 眠れる棺の美女』、1974)も参照


石田一、「ドラキュラ100年史《前編》」、『アメージングムービー』、no.2、1997.12、pp.82-121

 「特集 ドラキュラ映画史」のメイン記事で、前には「ドラキュラ・ミュージアム」(pp.68-71、ポスター等を掲載)、「ハマー・ドラキュラ名場面集」(pp.72-81)、後ろに「ドラキュラ映画年表 1921~1996」(pp.122-123)、「競艶 イタリアン・ヴァンパイア 1960年代のマカロニ・ヴァンパイア・ムービー」(那智史郎、pp.124-129)を収録

 ただし《後篇》は雑誌自体が刊行されなかったもよう。


 →こちら(『吸血鬼ノスフェラトゥ』、1922)や、そちら(『魔人ドラキュラ』、1931)、あちら(『魔人ドラキュラ・スペイン語版』、1931)、こなた(『女ドラキュラ』、1936)に、そなた(『フランケンシュタインと狼男』、1943)、あなた(『夜の悪魔』、1943)、こっち(『フランケンシュタインの館』、1944)、そっち(『ドラキュラとせむし女』、1945)、あっち(『凸凹フランケンシュタインの巻』、1948)でも挙げています

石田一、『ハマー・ホラー写真集 VOL.1 ドラキュラ編』、キャッスル・カンパニー、2013
96ページ。

 タイトルどおり写真集(モノクロ)ですが、セットの細部のわかるものがけっこう入っています。

 →こちら(『吸血鬼ドラキュラ』、1958)、そちら(『吸血鬼ドラキュラの花嫁』、1960)、あちら(『凶人ドラキュラ』、1966)、こなた(『帰って来たドラキュラ』、1968)、そなた(『ドラキュラ血の味』、1970)、そっち(『ドラキュラ復活! 血のエクソシズム』、1970)、あっち(『ドラキュラ'72』、1972)、
 また→ここ(「怪奇城の広間」の頁)や、そこ(「怪奇城の肖像(完結篇)」の頁)でも挙げています


追補: 『ムービー・モンスターズ』以下の編著者石田一氏の訃報をウェブ上で目にしました。1956年8月26日生まれで、2014年12月18日に逝去、享年59歳とのことです。上掲諸書に加え、『モンスタージン』の続刊、またキャッスル・カンパニーから刊行が企画されていた『恐怖の遺産/ハマー・ホラー完全読本』と『ドラキュラ・シネマ』を楽しみにしていただけに、残念でなりません。記して追悼に代えたいと思います。
 この他に石田一が編集者等として関わったもので手もとにあるものだけ挙げておくと;

『ホラー・ワールド』、no.1、1980.3~no.2、1980.7
 1号;特集「これがハマーだ!」(→こちらも参照:『アッシャー家の惨劇』(1960)の頁中)
 2号;特集「禁断の惑星」(→そちらにも挙げておきます:『禁断の惑星』(1956)の頁の「Cf.」、また→あちらも参照:『フランケンシュタイン』(1931)の頁の「Cf.」)


『日本版ファンゴリア』、no.1、1994.9~no.8、1995.11

 no.3、4 は手もとになし
 →こちら(『狼男』(1941)の頁の「Cf.」)や、そちら(『アッシャー家の惨劇』(1960)の頁の「Cf.」)、またあちら(『フランケンシュタインの逆襲』(1957)の頁の「おまけ」)、ここ(『回転』(1961)の頁の「Cf.」)、そこ(『ワルプルギスの夜 - ウルフVSヴァンパイア』(1971)の頁の「Cf.」)も参照。
 また以後の号ですが→あそこ(『禁断の惑星』(1956)の頁の「Cf.」)や、こなた(『シンバッド七回目の航海』』(1958)の頁中)、そなた(同頁の「Cf.」)も参照。
 →あなた(1号より、「〈怪奇〉と〈ホラー〉など、若干の用語について」の頁でも触れました)


『アメージングムービー』、no.1、1997.8、および no.2、1997.12
 1号;宇宙SF/恐竜映画史
 2号;ロボット&コンピュータSF映画史/ドラキュラ映画史(→上掲こちらで挙げました:「ドラキュラ100年史《前篇》」、1997)


石田一、『フォーレスト・J・アッカーマン ホラーSFコレクション博物館』、キャッスル・カンパニー、2009
アッカーマンション探訪//
はじめに/序文(フォーレスト・J・アッカーマン)/推薦文(聖咲奇)//
アッカーマンと私/アッカーマンの仕事/アッカーマンのお気に入り/3Dギャラリー/2Dギャラリー/イベントにて/アッカーマンの宝箱//
コラム(川合康雄);主なSF画家/アッカーマンのコレクションが意味するものなど、
208ページ。


『モンスタージン』、no.1、2013.6、および no.2、2013.10
 1号;特集『吸血鬼ドラキュラ』
    →こちら(『吸血鬼ドラキュラ』(1958)の頁の「Cf.」)にも挙げています
 2号;特集 ピーター・カッシング生誕100周年
    →そちら(『フランケンシュタインの逆襲』(1957)の頁の「おまけ」)や、あちら(『吸血鬼の接吻』(1963)の頁の「Cf.」)、ここ(『ドラキュラ'72』(1972)の頁の「Cf.」)にも挙げています


 またDVDボックス『モンスター・レガシー・コレクターズ・ボックス』(ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン、2004)に封入されたブックレット The Monster Legacy File (執筆:石田一)にも大いにお世話になりました;

Introductuion/『魔人ドラキュラ』、1931/『魔人ドラキュラ・スペイン語版』、1931/『フランケンシュタイン』、1931/『ミイラ再生』、1932/『透明人間』、1933/『フランケンシュタインの花嫁』、1935/『倫敦の人狼』、1935/『女ドラキュラ』、1936/『フランケンシュタイン復活』、1939/『狼男』、1941/『フランケンシュタインの幽霊』、1942/『フランケンシュタインと狼男』、1943/『オペラの怪人』、1943/『夜の悪魔』、1943/『フランケンシュタインの館』、1944/『ドラキュラの屋敷』、1945/『謎の狼女』、1946/『大アマゾンの半魚人』、1954
など、22ページ。


 追ってこんなのが出てきました;

 1983年7月30日(土)に伊丹グリーン劇場で、夜9時からのオールナイト上映された『世界怪奇映画傑作集 H・R・I シネマサロン』の際に配布されたパンフレット、B4版二つ折りを2枚ホッチキス止め、計4ページ。手書きです。上映された『魔人ドラキュラ』(1931)、『吸血鬼ドラキュラ』(1958)、『フランケンシュタイン復活』(1939)、『フランケンシュタインの怒り』(1964)、『納骨堂の物語(魔界からの招待状)』(1971、監督:フレディー・フランシス)の解説が掲載されています。なお上映は字幕なし。いっしょにはさんであったのが『コレクターズ・ニュース』、1983.7、vol.2 no.7 で、16mmフィルム販売リストが主ですが、H・R・I 企画発行、連絡先として石田(方)が記されていました。

 さらに、ロジャー・コーマンのポー連作8篇に、"The Oblong Box"を原作にしたという『呪われた棺』(1969、監督:ゴードン・ヘスラー)を加えた『エドガー・アラン・ポォ 怪奇コレクション』(エスピーオー)でも、各ソフトに封入されたパンフレットの解説は石田一によるものでした;

vol.1、2003/4/4:アッシャー家の惨劇、1960/恐怖の振子、1961/姦婦の生き埋葬、1962
vol.2、2003/5/2:黒猫の怨霊、1962/忍者と悪女、1963怪談・呪いの霊魂、1963
vol.3、2003/6/6:赤死病の仮面、1964/黒猫の棲む館、1964/呪われた棺、1969


 戻って、ハマー・フィルムについては、また;

梶原和男編著、『ハマーフィルム ホラー&ファンタスティック映画大全』、洋泉社、2002
ポスターギャラリー/ハマーフィルム社史(北島明弘)//
ハマーフィルム作品群;1930年代/1940年代/1950年代/1960年代/1970年代//
俳優&スタッフ;女優/男優/監督・スタッフなど、
288ページ。


ハマー・フィルムを始めとして1950年後半以降の英国怪奇映画の看板となった
 ピーター・クッシング(カッシング)について→こちらを参照:『フランケンシュタインの逆襲』(1957)の頁の「おまけ
 クリストファー・リーについて→そちらを参照:『吸血鬼ドラキュラ』(1958)の頁の「追記

この二人と平行して米国恐怖映画の看板となったのが;
 ヴィンセント・プライスについて→あちらを参照:『アッシャー家の惨劇』(1960)の頁の「Cf.


リーが尊敬してやまない彼らの大先輩
 ボリス・カーロフ→ここを参照:『フランケンシュタイン』(1931)の頁の「Cf.

 また少し戻って;

『シネアスト 映画の手帖』、no.7、1986.7、pp.31-228:「特集 ホラー大好き!」
ホラー映画ブームが来てしまったが-(小松和彦)/ざわめく無秩序 ホラーとファンタジー(渡辺えり子)/アンチヒューマン・ユートピア(植島啓司)/すっかりゾンビで夜が明けた(筏丸けいこ)/物体X状況と目線の高さの円盤をめぐって(小野耕世)/刺激と反応(笠井潔)/マイナー・ホラーがメジャーへと転化する瞬間(塩田時敏)/恐怖は死んだ(天野哲夫)/トビー・フーパーへと至る長く困難な道(黒沢清)/映像一元論者デイヴィッド・クローネンバーグ(加藤幹郎)/ゾンビのように ホラーと「内面」なき世界(室井尚)/ホラーからホラーへ 生理学と技術論(松枝到)/モダン・ホラーを超えて 20年代から80年代へ(今泉文子)/ホラー映画の未来(秋山さと子)/トラッシュ・ア・ゴー・ゴー 60年代ストレンジ・ホラーの発掘に向けて(武邑光裕)/性器のないエロス(松浦理英子)/攻撃の構造(ノエル・バーチ)/新しいホラー映画に何が起きているか(四方田犬彦)/アメリカン・モダンホラーの夜明け(大場正明)/恐怖映画と嫌悪映画(きたやまおさむ)/〈怖いもの見たさ〉の怖さ 予告篇という提喩(島弘之)/恐怖映画の現在(福間健二)/恐怖そして不気味な女 想像界のアブジェクシオン(バーバラ・クリード)など

『VIVA! FANTASTICA! こんなビデオが面白い ファンタスティック映画編』、世界文化社、1988
'70~'80年代のファンタスティック映画黄金時代をつくった才人たち~ぼくらはどんな場所を歩いてきたか(久保田明)/'90年代に夢を紡ぐ期待のファンタスティック・ディレクターたち/'90年代のファンタスティック映画を支える名職人たち~新進SFXアーティストの現在と未来(富谷洋)/空想的、狂想的きまぐれな?明日へのサバイバル~日本のファンタスティック映画を考える(野村正昭)/好きな映画を作りたい~対談:林海象・雨宮慶太/香港ファンタスティック映画の現在と未来~『聊斎志異』の世界を再現する3本の新作をめぐって(宇田川幸洋)/ヨーロッパ外縁部崩壊のファンタジー~廃墟と創造の螺旋階段(滝本誠)/怖~いお話を聞かせてあげよう~オムニバスSFビデオの素晴らしき世界(吉岡一夫)/東京国際ファンタスティック映画祭'88/'88年版ファンタスティック・ビデオ完璧インデックス全1320本など、
288ページ。


友成純一、「幽霊屋敷は玩具箱」、『内臓幻想』、1993、pp.79-86

 他の内容は;
まえがき わが名はスプラッタ//
血の考古学;逆グルメの映画史/ホラー・ベスト10/永井豪と平井正和//
血の現象学;スプラッタの行方/隣の殺人鬼/エクソシスト映画はゲテモノの宝庫/香港ホラー試論/エイリアン・テーマの作品群/スティーヴン・キング//
血の錬金術師たち;スプラッタは愛しの徒花-ジョージ・A・ロメロ/呪縛と解放 - トビー・フーパー/二本の『死霊のはらわた』の間に - サム・ライミ/人格の崩壊=解放劇 - デビッド・クローネンバーグ/『デューン』讃 - デビッド・リンチ/歪んだ官能表現 - アルジェントとデ・パルマ/女神礼賛 - ジェイムズ・キャメロン//
血の結晶細胞;『新・13日の金曜日』/『13日の金曜日 PART6』/『ガバリン』/『バスケット・ケース』/『フライトナイト』/『チャイルド・プレイ』/『ビデオドローム』/『ザ・フライ』/『XYZマーダーズ』/『ヘルレイザー』/『ポルターガイスト2』など、
256ページ。


 →こちら(『HOUSE ハウス』(1977)の頁の「Cf.」」)でも挙げています


『幻想文学』、no.49、1997.3、pp.29-158:「特集 シネマと文學!~怪奇幻想映画館~」
吸血鬼ドラキュラ - 予告篇(スペシャル・プロローグ) -(菊地秀行)/ハラァ博士の恐怖(井上雅彦)//
幻想芸術としての映画(インタビュー:巖谷國士)/魔術的芸術 抄(アンドレ・ブルトン)/映画ノートⅠ 1919年(フィリップ・スーポー)/シュルレアリスムと映画 抄(巖谷國士)//
映画芸術よりもフィルムの切れっ端 - マクルーハンの先鞭者としての稲垣足穂(高橋康雄)/90年代、映画の幻想風景(新藤純子)//
私が選ぶ誌上オールナイト・ベスト;もう、キリないもんね!(田中文雄)/人間なんて糞食らえ(友成純一)/妖しさは影、影はまぼろし(須永朝彦)/あの頃の怪物たち(小中千昭)/不思議なセルロイド(稲生平太郎)//
ブックガイド 映画と幻想文学(石堂藍)//
ファンタスティック映画案内(渡電&石堂藍);幻想作家の横顔/ホラー・クラシックス/怪獣・妖怪/怪談/ポオとラヴクラフト/乱歩と久作/日本的幻想空間/奇談/幽霊/悪魔と悪霊/神秘/生と死/分身と変身/異界/ファルス/ヨーロッパ幻想空間/不条理/時間/飛翔/ラヴ・ロマンス/超能力/幻想の未来/ファンタジー/西洋的伝承世界/映像詩とナンセンス/日本の民話的世界


マーク・ジャンコヴィック、遠藤徹訳、『恐怖の臨界 ホラーの政治学』、青弓社、1997
原著は Mark Jancovich, Horror, 1992
ホラー・ジャンルとその批評家たち/ゴシック小説/アメリカの悪夢 - モダニティとアメリカン・ルネッサンス/後期ヴィクトリア朝的想像力の野獣/ホラー映画の出現/フォーディストの恐怖 - エイリアン的存在と合理的支配/ポストフォーディズム、ポストモダニズムとパラノイア - 現代文化におけるホラー・ジャンルの支配/結論など、
218ページ。


 →こちら(『魔人ドラキュラ』(1931)の頁の「Cf.」)やそちら(『フランケンシュタインの花嫁』(1935)の頁の「Cf.」)、またあちら(『キャット・ピープル』(1942)の頁の「Cf.」)、こなた(「アメリカ大陸など」の頁の「おまけ」)、そなた(『フランケンシュタインの逆襲』(1957)の頁の「Cf.」)、あなた(『アッシャー家の惨劇』(1960)の頁の「Cf.」)でも挙げています

デイヴィッド・J・スカル、仁賀克雄訳、『ハリウッド・ゴシック ドラキュラの世紀』、国書刊行会、1997
原著は David J. Skal, Hollywood Gothic. The Tangled Web of Dracula from Novel to Stage to Screen, 1990
序章 城と蜘蛛の巣と枝付き燭台/ストーカー氏の血の書物/イギリスの未亡人対ドイツの伯爵/「全公演に看護婦 一 名を常駐……」/悪魔との取引あるいは、ハリウッドは噛み付く/幽霊は西へスペイン語版『魔人ドラキュラ』/ハリウッド・ゴシックなど、
386ページ。


 →こちらでも触れました:「怪奇城の肖像(後篇)」の頁

デイヴィッド・J・スカル、栩木玲子訳、『モンスター・ショー 怪奇映画の文化史』、国書刊行会、1998
原著は David J. Skal, The Monster Show. A Cultural History of Horror, 1993
序章 幸福な時代(キャメロット)のサイドショー/トッド・ブラウニングのアメリカ/「あなたはカリガリ博士となる」 - モンスター、いかさま師、そしてモダニズム/恐怖とサーカス/怪物たちとリブライト/1931年 - アメリカの混迷/怒れる村人たち/「おとうさんのことも良く知ってるわよ」 - 戦争の恐怖、パートⅡ/ドライヴ・インは死霊と仲良し - 50年代の恐怖映画/墓場でパーティ/これ生きてる、私、怖い!/スター・ウォーズ/腐った血/欠乏のダンス/モンスター・ミレニアムなど、
492ページ。


 →こちら(『魔人ドラキュラ』、1931)やそちら(『フランケンシュタイン』、1931)、またあちら(『黒猫』、1934)、あちらの2(『狂恋:魔人ゴーゴル博士』、1935)、こなた(『フランケンシュタインの花嫁』、1935)、こなたの2(『古城の妖鬼』、1935)、こなたの3(『大鴉』、1935)、そなた(『女ドラキュラ』、1936)、あなた(『フランケンシュタイン復活』、1939)、こっち(『狼男』、1941)、そっち(『キャット・ピープル』、1942)にも挙げておきます

 同じ著者による→こちら(『魔人ドラキュラ』(1931)の頁の「Cf.」)や、またあちら(『ブラック・サバス 恐怖!三つの顔』(1963)の頁の「Cf.」)を参照

ジェフ・ロヴィン、鶴田文訳、『怪物の事典』、青土社、1999
原著は Jeff Rovin, The Encyclopedia of Monsters, 1989
あいうえお順、
488ページ。

 古い時代の神話等に見られるものも扱っていますが、20世紀の大衆文化、とりわけ映画やテレヴィに登場する怪物に関する項目が豊富です。
 ただし「ドラキュラやオペラ座の怪人のようなろくでなしについては、すでに姉妹篇の『超悪者百科』で詳しく扱っている」(p.8)とのことで、本書には項目立てされていません。

 同じ著者による→こちらを参照:『凸凹フランケンシュタインの巻』(1948)の頁の「おまけ


黒沢清+篠崎誠、『黒沢清の恐怖の映画史』、青土社、2003
序章 それは恐怖のミイラから始まった/『生血を吸う女』と運命の機械 死の機械が発動する映画 - 黒沢清セレクション/吸血鬼ドラキュラと60年代ハマー・フィルムの盛衰 ハマーの怪物たち/マリオ・バーヴァとヨーロッパ怪奇の神髄 新たなジャンルを求めて/トビー・フーパーと生から死への緩やかな移行 黒沢清、フーパーに会う/アメリカン・ホラーの知恵と勇気 『CURE キュア』とアメリカ映画を比較する/終章 恐怖の星の下に生まれて、など、
334ページ。


 →こちら(『吸血鬼』、1931)やそちら(『妖女ゴーゴン』、1964)、あちら(『吸血ゾンビ』、1966)、またこなた(『蛇女の脅怖』、1966)、そなた(『顔のない殺人鬼』、1963)、あなた(『顔のない眼』、1960)でも挙げています。
 また→こちら:「怪奇城の隠し通路」の頁や、そちら:「〈怪奇〉と〈ホラー〉など、若干の用語について」の頁で少し触れました


一柳廣孝・吉田司雄編、『映画の恐怖 ナイトメア叢書 4』、青弓社、2007
「闇」への想像力をかきたてるために - 「ナイトメア叢書」刊行にあたって(一柳廣孝)/はじめに(吉田司雄)//
ホラー・ファンダメンタリストの原点-小中千昭インタビュー//
映画の恐怖をたずねて;剥き出しの恐怖と接する(梅本洋一)/「紀子」の首 - 『晩春』の無気味さについて(中村秀之)/フリークス、モンスター、マッドサイエンティストの狂演(井上貴子)//
恐怖は伝播する;『カメラマンの復讐』 - ヴワディスワフ・スタレーヴィチの初期アニメーション映画におけるグロテスク性について(中野泰)/人間と幽霊/妖怪の間 - 中華映画圏の怪奇映画小論(晏妮)/ヒッチコック映画 - 「日常」の恐怖(碓井みちこ)/『妖婆 死棺の呪い』論 - ゴーゴリのロシアからプトゥシコのソ連へ(梅津紀雄)//
真夜中のセクシュアリティ(第4回) 「文化的な」主体の病 - 黒沢清と山本文緒のドッペルゲンガー、そして『叫』(久米依子)/書棚の隅に何かいる(第1回) 「天命学院講習録」 - 最後の気合術師・濱口熊嶽の教え(一柳廣孝)//
死者は偏在する;愛と幽霊は流れ続ける - ジョン・カサヴェテス『オープニング・ナイト』における演技とシャーマニズム(助川幸逸郎)/原点としてのシャワールーム - 『サイコ』によるホラー映画史(進藤洋介)/人間ならざる人間 - 「ジャパニーズ・ホラー」と恐怖マンガの可能性(川崎公平)/死者たちの陽気な祝祭 - 時代劇映画における〝立回り〟(紅野謙介)//
恐怖を読む視点;ブックガイドなど、
222ページ。


山崎圭司編、『イタリアン・ホラーの密かな愉しみ 血ぬられたハッタリの美学』、フィルムアート社、2008
ポスター・ギャラリー/序文(山崎圭司)//
まずはコレ! イタリアン・ホラー10選;吸血鬼(同)/生血を吸う女(同)/白い肌に狂う鞭(同)/顔のない殺人鬼(殿井君人)/炎のいけにえ(同)/サスペリア PART 2(矢澤利弘)/サスペリア(同)/サンゲリア(伊藤美和)/デモンズ(矢澤利弘)/デモンズ'95(伊藤美和)//
[SPECIAL INTERVIEW]ダリオ・アルジェント(矢澤利弘)//
テーマで覗く、イタリアン・ホラーの恐ろしい秘密。;イタリアン・スプラッター小史 - 芸術に昇華させた残酷描写の「技」(山崎圭司)/家庭内の権力闘争が怖い! - マリオ・バーヴァ作品における家父長制(西村安弘)/少数派(マイノリティ)が恐怖の源となる理由 - 外国人、障害者、同性愛者……それぞれの闘い(同)/女が一番、恐ろしい。 - 妖しげな月光を放つイタホラ女優たち(山崎圭司)/人肉食映画と植民地主義の関係 - 〈アンソロパファジー〉から〈カニバリズム〉へ(西村安弘)/イタホラは漫画から生まれる - 『ディアボリク』『クリミナル』『サタニック』(同→こちらでも挙げています:『呪いの館』(1966)の頁中)/ゴシックホラーにみる性的抑圧 - マッシモ・プピッロ『惨殺の古城』をめぐって(同)//
[COLUMN]イタホラは最後の秘境だ! - 現代社会から遠くはなれて(中原昌也)//
怪奇!猟奇! 無敵のサブジャンル×6;ジャッロ ”いかに殺すか”を重視した伊製ミステリー・ジャンル(山崎圭司)/ゾンビ 人間の死にざまに固執したハードコア・スプラッター(伊藤美和)/吸血鬼 諷刺、お色気、パロディ……不遇な時代は今なお続く(西村安弘)/魔女 イタリアにおける魔女とはこのうえなく怖い存在(矢澤利弘)/オカルト 世界的ブームに便乗後、ゴアに走った超自然映画(殿井君人→そちらでも挙げています:『リサと悪魔』(1973)の頁の「Cf.」)/生物パニック 『JAWS』の便乗に端を発した〝安全な〟娯楽作の数々(同)//
[COLUMN]怒濤のサウンドトラック対談!(中原昌也×馬場敏裕)//
Who's Who? ハッタリのマエストロ×10;リッカルド・フレーダ イタホラの礎を築いたキーパーソン(西村安弘)/マリオ・バーヴァ 息子ランベルトが語る〝色彩の魔術師〟(山崎圭司)/レナート・ポルセリ 人間の本質を見つめた孤高の探求者(同)/ルチオ・フルチ 皮肉屋で毒舌家、権力に抗いつづけたスプラッターの帝王(同)/アントニオ・マルゲリーティ SF、アクション、動物……ブームに乗った作品を量産(殿井君人)/ジョー・ダマト 商品としてホラーに寄り添った多作職人(山崎圭司)/セルジオ・マルティーノ エロ、グロ、兇悪さがウリの、最後の娯楽職人(殿井君人)/ルッジェロ・デオダート 妙にリアルな食人映画で観客を圧倒(山崎圭司)/ダリオ・アルジェント 現役バリバリ!人気No.1ディレクター(矢澤利弘)/ミケーレ・ソアヴィ 低予算で完璧な作品をめざす、幻想ホラーの達人(同)//
イタリアン・ホラー A to Z(西村安弘)など、
208ページ。


ジョン・ランディス、アンフィニジャパン・プロジェクト訳、『モンスター大図鑑~SF、ファンタジー、ホラー映画の愛すべき怪物たち~』、ネコ・パブリッシング、2013
原著は John Landis, Monsters in the Movies, 2011
まえがき/ヴァンパイア/オオカミ人間/マッド・サイエンティスト/ゾンビ/幽霊/ミイラ/神話とおとぎ話のモンスター/ドラゴンと恐竜/サル型モンスター/自然の逆襲/核による突然変異/悪魔の所業/宇宙モンスター/モンスター・マシーン/人間の皮をかぶったモンスター/モンスターの生みの親たちなど、
320ページ。

 随所にはさまされた対談の相手は;クリストファー・リー(『吸血鬼ドラキュラ』(1958)の頁の「追記」)、ジョー・ダンテ、デヴィッド・クローネンバーグ、サム・ライミ、ギレルモ・デル・トロ、レイ・ハリーハウゼン(『シンバッド七回目の航海』(1958)の頁の「Cf.」)、リック・ベイカー、ジョン・カーペンター(→こちらで触れています:『たたり』(1963)の頁中)

 →そちら(「エジプト」の頁の「おまけ」)や、またあちら(シャセリオー《バンクォーの亡霊》(1854)の頁の「Cf.」)でも少し触れています。
 また、ジョン・ランディスが編集した小説のアンソロジー→ここ:「ロマン主義、近代など(18世紀末~19世紀)」の頁の「ブルワー=リットン


西山智則、『恐怖の君臨 疫病・テロ・畸形のアメリカ映画』、森話社、2013
序章 恐怖の二一世紀 ポー・映像の詩学・テロリズム//
疫病;S/Mars Attacks 疫病感染の政治学Ⅰ/エイズ感染の物語に感染しないために 疫病感染の政治学Ⅱ/フィルムの帝国と物語の暴力 ゾンビ・家・他者恐怖//
テロ;エドガー・アラン・ポーのエイプたち 「モルグ街の殺人」・『キング・コング』・視線の帝国主義/
殺人鬼(ころし)の帝国 ハリウッド的想像力の罪と罰/トラウマの政治学 いかに体験をもの「語/騙る」のか//
畸形;Mのゆくえ マイケル・ジャクソンと身体のユートピア/奴隷とご主人様の詩学 サド・マゾ的想像力のゆくえ/
異星人/異性人(エイリアン)たちの戦場 SF・身体・フェミニズム//
あとがき - 災害の内なる風景をめぐって、など、
424ページ。


 →こちらで少し触れました:『不死の怪物』(1942)の頁中
 同じ著者による→そちら(『吸血鬼ノスフェラトゥ』(1922)の頁の「おまけ」)や、あちら(『アッシャー家の末裔』(1928)の頁の「おまけ」)を参照


稲生平太郎・高橋洋、『映画の生体解剖 恐怖と恍惚のシネマガイド』、洋泉社、2014
プロローグ 映像体験/手術台は映画の根源を呼び覚ます/放電は映画のテクノロジーの象徴である/水が関わると映画は面白くなる/ただならぬ画面にこそ価値がある/現実が変容する感覚/裂け目が見える/定型的な通俗娯楽は神話に化ける/悪のインパクトが映画を輝かせる/エポックとなった映画、なれなかった映画/パラノイア感覚が画面にあふれだす/姉妹は不思議な魅力に満ちている/フィルムの中のフィルム/映画がリアルを支配する/映画の中に時間は流れていない/映画におけるオカルトとは何か?~〈わけのわからないもの〉に魅了されて~など、
416ページ。

 →こちら(『私はゾンビと歩いた!』、1943)やそちら(『狂恋』、1935)、またあちら(『大アマゾンの半魚人』、1954)、こなた(『顔のない眼』、1960)、そなた(『恐怖の足跡』、1962)でも触れています。あなた(『フランケンシュタインの逆襲』(1957)の頁中)やここ(『吸血鬼ドラキュラ』(1958)の頁中)、またそこ(『ドクターX』(1932)の頁の「おまけ」)も参照

 同じコンビによる→あそこも参照:「近代など(20世紀~) Ⅳ」の頁の「xix. ラヴクラフトとクトゥルー神話など
 稲生平太郎による→こっち(横山茂雄名義:「近代など(20世紀~) Ⅲ」の頁の「xvi. 20世紀神秘学の歴史など」)や、そっち(同:本頁下掲の「v. ゴシック・ロマンス、その他」)を参照

………………………

 日本映画についてはとりあえず;

『日本特撮・幻想映画全集』、勁文社、1997
1940年代/1950年代/1960年代/1970年代/1980年代/1990年代など、
400ページ。


 →こちら(『女吸血鬼』、1959)、そちら(『大盗賊』、1963)、あちら(『奇巌城の冒険』、1966)、ここ(『怪談』、1964)、そこ(『薮の中の黒猫』、1968)、あそこ(『幽霊屋敷の恐怖 血を吸う人形』、1970)、こっち(『呪いの館 血を吸う眼』、1971)、そっち(『血を吸う薔薇』、1974)、あっち(『怪談佐賀屋敷』、1953)、こなた(『怪猫有馬御殿』、1953)、そなた(『怪猫岡崎騒動』、1954)、あなた(『亡霊怪猫屋敷』、1958)でも挙げています。また「『Meiga を探せ!』より・他」欄で→こちら(『虹男』、1949)も参照。


原口智生・村田英樹監修、『日本恐怖(ホラー)映画への招待』(別冊太陽)、平凡社、2000
はじめに(原口智生)/怪談・恐怖映画ポスター傑作選//
日本恐怖(ホラー)映画前史;戦前の怪談映画(北島明弘)//
日本恐怖(ホラー)映画の軌跡;1945年~1976年の恐怖映画(北島明弘)/名作怪談映画大全集/日本怪談・恐怖映画傑作選 1945年~1976年//
現代の恐怖(ホラー)映画;1977年~2000年の恐怖映画(北島明弘)/日本恐怖映画傑作選 1977年~2000年//
日本
恐怖(ホラー)映画人名事典/日本恐怖(ホラー)映画年表/日本の怪優など、
144ページ。


 →こちら(『呪いの館 血を吸う眼』、1971)、そちら(『怪談佐賀屋敷』、1953)でも挙げています。

泉速之、『銀幕の百怪 本朝怪奇映画大概』、青土社、2000
序/彼岸の確信 映画が描いた超自然/魔も細部に蠢く 装飾(デコール)小類典/歌舞伎から銀幕へ 明治大正期展望/巡り巡る物語 怪談の定型/綾なす朽縄 「四谷怪談」細見/紋章は頽唐(デカダン) 13人への頌辞(オマージュ)/影を召還する 資料篇Ⅰ/また、森へ 資料篇Ⅱ/写真(スチール)への惑い 後書に代えて/明治時代に上演された怪談芝居一覧など、
382ページ。


 →こちら(『女吸血鬼』、1959)やそちら(『呪いの館 血を吸う眼』、1971)、あちら(『血を吸う薔薇』、1974)、ここ(『怪談佐賀屋敷』、1953)、そこ(『怪猫有馬御殿』、1953)、あそこ(『亡霊怪猫屋敷』、1958)、
 また→こっち(「怪奇城の肖像(幕間)」の頁)や、そっち(「〈怪奇〉と〈ホラー〉など、若干の用語について」の頁)でも挙げています


『最恐ホラー大全【邦画編】』(MEDIAX MOOK 258)、メディアックス、2004
2004年劇場公開作品/日本ホラー映画の系譜(浦山珠夫)/最恐ホラーレビュー 1930-1960/情念が呼ぶ魔性の恐怖(下村健)/日本映画の仇花作家たち(浦山珠夫)/1960-1970/石川義寬インタビュー/横断!四谷怪談映画史(樫原辰郎)/恐怖と笑い(浦山珠夫)/石井輝男インタビュー/恐怖とエロスとテレビ(白石雅彦)/山本((ママ))夫インタビュー/1970-1990/スプラッターインジャパン(樫原辰郎)/〝ジャパニーズ・ホラー〟の時代へ(小宮山敏生)/1990-2003/鶴田法男インタビューなど、
114ページ。


 →こちら(『女吸血鬼』、1959)やそちら(『幽霊屋敷の恐怖 血を吸う人形』、1970)、あちら(『呪いの館 血を吸う眼』、1971)、ここ(『血を吸う薔薇』、1974)、そこ(『HOUSE ハウス』、1977)、あそこ(『怪猫有馬御殿』、1953)、こなた(『亡霊怪猫屋敷』、1958)でも挙げています

内山一樹編、『怪奇と幻想への回路 怪談からJホラーへ 日本映画史叢書⑧』、森話社、2008
総論;日本映画の怪奇と幻想(内山一樹)//
怪奇映画の系譜;初期日本映画の怪奇とトリック - 牧野省三と尾上松之助の忍術映画を中心に(紙屋牧子)/新東宝のお化け映画と『東海道四谷怪談』 - ジャンルの復活と革新(大澤浄)/変身人間の特異性 - 東宝〝変身人間シリーズ〟をめぐって(大久保智康)/大映の妖怪映画 - 「妖怪三部作」を中心に(志村三代子)//
怪談の女たち;四谷怪談映画のお岩たち - 歌舞伎と別れ、別の女へ(横山泰子)/怪物化する女優たち - 猫と蛇をめぐる表象(志村三代子)/『リング』三部作と女たちのメディア空間 - 怪物化する「女」、無垢の「父」(鷲谷花)//
怪奇と幻想の造形;矢と甕、門と室、魂と魄、あるいは白い黒澤 - 『蜘蛛巣城』論(上島春彦)/ゴケミドロ、お前は誰だ(遠山純生)/怪奇と幻想の廃墟 - 鈴木清順『悲愁物語』論(坂尻昌平)/ホラー対ヤクザ - Vシネアストの極私的考察(谷岡雅樹)など、
334ページ。


「附録2 怪奇幻想映像小史」、『日本幻想作家事典』、2009、pp.981-1048
幻想映画(堀部利之)/怪奇・伝奇映画、ドラマ(中島昌也)/特撮映画、ドラマ(同)/アニメーション(石堂藍)

 次項の洋書類への予告篇がてら;

Michael Crandol, Ghost in the Well. The Hidden History of Horror Films in Japan, Bloomsbury Academic, London, New York, Oxford, New Delhi and Sydney, 2021
『井戸の中の幽霊 日本におけるホラー映画の隠された歴史』
序;日本のホラー映画とは何か?/本書の概要//
〈怪奇映画〉:古典的な日本恐怖映画を定義する;映画のジャンルとしての〈怪奇〉/
  闇の芯:〈怪奇〉映画の理論へ;他者化した空間と場所:〈怪奇〉の形式的諸相と恐怖の問題/日本の〈怪奇〉映画の場合におけるホラー映画理論の諸限界/驚異的に怖がらせる:ファンタジーの舞台設定において宇宙的恐怖を喚起する/
  結論//
化猫対侍:戦前の〈怪奇〉映画;トリックを操る:草創期の〈怪奇〉映画/美女は獣だ:ヴァンプ女優と怪物的な変身/ハリウッド・ホラーとトーキー期の〈怪奇〉映画/三つの事例研究:『有馬猫』、『怪談鴛鴦帳』、『怪猫謎の三味線』/結論//
芳しからぬ死の眠り:戦時下と占領下での検閲と〈怪奇〉の戦後における回帰;死者を沈黙させる:戦時下と占領下での検閲/
  大映と化猫の帰還;入江たか子/毛利郁子と〈怪奇〉のエロス/
  境界をぼやかし引き直す:東映の「中国風ロマンス」、原子力時代のSFとハマー・ホラー/結論//
無気味な侵略:新東宝と中川信夫;
  大蔵貢、中川信夫、新東宝の〈怪奇〉革命;『怪談かさねが渕』(1957)/帰ってきた化猫:『亡霊怪猫屋敷』(1958)/同時代の〈怪談〉:吸血鬼たち、人狼たち、そして海女たち/「最大の戦慄がある」:中川の『東海道四谷怪談』(1959)/
  結論//
墓からの帰還:ジャンルの死とJ=ホラーにおける〈怪奇〉の遺産;黄昏:1960年代、1970年代、そして〈怪奇〉映画の死/
  復活:J=ホラーと〈怪奇〉;恐怖に対面する/規則を破る/
  結論//
跋:終…?など、
264ページ。


 原題は士郎正宗の『攻殻機動隊』(1989~ )の英題である Ghost in the Shell に引っかけてあるのでしょうが、直接には〈番長皿屋敷〉や『リング』(鈴木光司の原作は 1991、中田秀夫が監督した映画版は 1998)における井戸のイメージを指しています。
 上の目次で〈怪奇〉としたのは、原書では kaiki と表記されていました。kaiki eiga は英語で〈ホラー映画〉と呼ばれるものを指す日本語として、1970年代まで用いられましたが、その後消えていくことになるとされます(p.5 など)。1980年代半ばあたりから horror をカタカナ表記した〈ホラー〉がジャンルの呼称となる(p.11 など)。〈怪奇〉はより正確には〈ゴシック・ホラー〉にあたるとされ(p.39、p.61、p.223)、本書では日本以外の作品にも適用してあります。
 その性格づけのために、第1章 p.50 以下ではノエル・キャロルの『ホラーの哲学』やツヴェタン・トドロフの『幻想文学論序説』(1970)とともに、ラヴクラフトの「文学における超自然の恐怖」(1926/1936)が参照されます(p.57)。それに応じてあちこちで〈宇宙的 cosmic〉という形容詞が(p.128、p.140、p.153 他)、時に〈宇宙論 cosmology〉の語も見られました(p.175、p.190、pp.214-216)。後者はキャロルの本でも見かけましたが(pp.45-46 など)、それはさておき、その具体的な現われは〈
(カルマ)の応報 karmic retribution〉(p.111、p.119 他)などと呼ばれます。これは〈因果応報〉の英訳なのでしょうか?
 ちなみに"goblin"は〈妖怪〉の英訳とのことですが(p.78、p.194)、p.65 で"ghouls and goblins"と並べられた"ghoul"は何なのか、〈鬼〉でしょうか?
 また『雨月物語』(1953、監督:溝口健二)や『怪談』(1964、監督:小林正樹)などはタイトルこそ言及されるものの、〈芸術映画 art film〉ということで(p.175)、議論の対象にはなっていません。

 →こちら(『怪談佐賀屋敷』(1953)の頁の「Cf.」)やそちら(『怪猫岡崎騒動』(1954)の頁中)およびそちらの2(『フランケンシュタイン』(1931)の頁中)、またあちら(『亡霊怪猫屋敷』(1958)の頁の「Cf.」)、あちらの2(『狼男』(1941)の頁中)およびあちらの2(『バンパイア・ラヴァーズ』(1970)の頁中)、ここ(『女吸血鬼』(1959)の頁の「Cf.」)、
 またそこ(「〈怪奇〉と〈ホラー〉など、若干の用語について」の頁)でも挙げました。
 
………………………

 以下、ろくに読んでおらず、集めていた時期も限られているのですが;

 スペインの本屋で出くわした本。夜、宿でぱらぱら繰ってはにへらにへらしていたものです;

José María Latorre, El cine fantástico, Dirigido Por, S. A. Barcelona, 1987
『幻想映画』
序言/表現主義からロン・チェイニーまで/メアリー・シェリー略伝/ジェイムズ・ホエイルの肖像/近代のプロメーテウスブラム・ストーカー略伝/トッド・ブラウニングの肖像/吸血鬼たちと他の孤独デイヴィッド・グレイの奇妙な冒険/〈黄金時代〉の他の人物たち/40年代とジャック・ターナーの肖像/豹とゾンビの間で/地球に訪問者たちがいる/サイエンス・フィクションの古典/溝口との幕間テレンス・フィッシャーの肖像/フィッシャー版における数多くの恐怖映画/英国の他の製作/分類しがたい作品と珍品/驚異/恐怖映画のイタリア派ジャンルじゃなくて、ファンタスティックなんだポー、コーマンとフェリーニの間で/1968年に生まれた2001年/〈ファンタスティック〉が新たな道に取りかかる/熱狂の日々など、
494ページ。


 →こちら(『禁断の惑星』、1956)でも挙げています。

Michael Sevastakis, Songs of Love and Death. The Classical American Horror Film of the 1930s, (Contribution to the Study of Popular Culture, Number 37), Greenwood Press, Westport, Connecticut and London, 1993
『愛と死の歌 1930年代の古典的アメリカ恐怖映画』
屍体愛好者としてのロマン主義者;ドラキュラ』 - 恋多き死/『ミイラ再生』 - 数世紀の愛を通して/『恐怖城』 - 「死と愛はともに連れ添った」//
近代のプロメーテウスとしてのロマン主義者;フランケンシュタイン』 - 人々は神々ではないのか?/『獣人島』 - グラン・ギニョールのエデン/『フランケンシュタインの花嫁』 - 神の敵のための友人//
運命の象徴としてのロマン主義者;『透明人間』 - 「恐怖の統治」/『悪魔の人形』 - 「3つの命が支払わなければならない」//
苛まれたヒーローとしてのロマン主義者;『ジキル博士とハイド氏』 - 人の内の獣/『狂恋』 - 妄執による拷問/『女ドラキュラ』 - 精神病としての吸血//
結論など、
228ページ。


Peter Hutchings, Hammer and Beyond. The British Horror Film, Manchester Uiversity Press, Manchester and New York, 1993
『ハマーとその向こう 英国恐怖映画』
序論/サディスト専用? 英国恐怖映画の問題/1945-55:『夢の中の恐怖』から『原子人間』まで/1956-64:ハマーと他の恐怖映画/フランケンシュタインとドラキュラ/1964-69:恐怖映画製作会社/恐怖映画と家族/結論など、
198ページ。


 →こちら(『宇宙からの侵略生物』、1957)やそちら(『バスカヴィル家の犬』、1959)、またあちら(『妖女ゴーゴン』、1964)、こなた(『バンパイア・ラヴァーズ』、1970)、そなた(『恐怖の吸血美女』、1971)、あなた(『鮮血の処女狩り』、1971)、こっち(『ハンズ・オブ・ザ・リッパー』、1971)、そっち(『ドラキュラ血のしたたり』、1971)でも挙げています

James Craig Holte, Dracula in the Dark. The Dracula Film Adaptations, (Contribution to the Study of Science Fictionand Fantasy, Number 73), Greenwood Press, Westport, Connecticut and London, 1993
『闇の中のドラキュラ ドラキュラの映画への翻案』
前書き/序論 - 姿を変えるもの/典拠/初期の翻案英国における復活/天ならざる主/すべての牙が男根的であるわけではない - 映画の女吸血鬼たち/結論 - ドラキュラたちの一世紀など、
182ページ。


Linda Badley, Film, Horror and the Body Fantastic, (Contribution to the Study of Popular Culture, Number 48), Greenwood Press, Westport, Connecticut and London, 1995
『映画、恐怖と身体幻想』
序論/身体幻想/特殊効果 - ポストモダンの幽霊/『フランケンシュタイン』の末裔/眼差しの脱構築/デイヴィッド・クローネンバーグの解剖学講義/『羊たちの沈黙』で母親を捜す/後書きなど、
208ページ。


Roy Kinnard, Horror in Silent Films. A Filmography, 1896-1929, McFarland & Company, Inc., Publishers, Jefferson, North Carolina and London, 1995
『サイレント映画におけるホラー フィルモグラフィー、1896-1929』
序/フィルモグラフィー/エピローグなど、
284ページ。


Jeremy Dyson, Bright Darkness. The Lost Art of the Supernatural Horror Film, Cassel, London and Washington, 1997
『明るい闇 超自然的恐怖映画の失なわれた技芸』
前書き
(Peter Crowther)//
プロローグ/序論 - 幻の地より/カール・レムリからの警告(1~7)/心の迷路に迷って(8~14)/理性の冷たい光(15~18)/エピローグ-「おしっこが絨毯を濡らす」/附録 - 『彼らは夜に忍び寄る』(
Mark Gatiss and Jeremy Dyson)、など、
300ページ。


 本文中で〈SHF〉と略される〈超自然的恐怖映画 Supernatural Horror Film 〉、その作品をほぼ年代順にたどった本。
 プロローグでは〈超自然性〉を肝とする理由(p.xiv)、モノクロームを評価する理由(pp.xv-xvi)が述べられ、
 序論で前史としてドイツ語圏の無声映画に触れた後は、もっぱら英米圏の作品が取りあげられます。
 第1部は1930年代、第2部は1940年代、第3部は1950年代から60年代にかけて、
 また第2部13章まではUSA、第2部の最後の14章からは英国映画に移る。
 エピローグではその後のめぼしい作品がざっと見渡されます。
 附録は未完成に終わったヴァル・リュートン製作の〈怪物結集〉作品をめぐるフィクション=ジョーク。

とりわけ第1部1章で『フランケンシュタイン』(1931)、
3章で『キング・コング』(1933)、
5章で『フランケンシュタインの花嫁』(1935)、
7章で『フランケンシュタイン復活』(1939)、
第2部9章で『狼男』(1941)、
10章でヴァル・リュートンと『キャット・ピープル』(1942)、
12章で『私はゾンビと歩いた!』(1943)、
14章でオムニバス形式の『夢の中の恐怖』(1945、監督:チャールズ・クライトン他)、
第3部15章でナイジェル・ニール脚本の主にTVでのクエイターマス・シリーズ(→こちらを参照)、
16章で『キャット・ピープル』と『私はゾンビと歩いた!』に続いてジャック・トゥルヌール監督の
Night of the Demon (1958)、
17章でフリッツ・ライバーの『妻という名の魔女たち』(1943)を原作とする
Night of the Eagle (1962、監督:シドニー・ヘイヤーズ)、そして18章で『たたり』(1963)
について具体的かつ詳細に取り扱われます。

 その他、『女ドラキュラ』(1936)、『ミイラの復活』(1940)、『ゴースト・ブレーカーズ』(1940)、『フランケンシュタインと狼男』(1943)、『夜の悪魔』(1943)、『呪いの家』(1944)、『ドラキュラとせむし女』(1945)、『回転』(1961)などなどに触れています。
 →そちら(「〈怪奇〉と〈ホラー〉など、若干の用語について」の頁)でも挙げました

Harry M. Benshoff, Monster in the Closet. Homosexuality and the Horror Film, (Inside Popular Film), Manchester Uiversity Press, Manchester and New York, 1997
『クローゼットの中の怪物 同性愛と恐怖映画』
序論 - 怪物と同性愛/ハリウッドの古典的恐怖映画における怪物・クウィアを定義する/ショック療法 - 第二次世界大戦中に怪物・クウィアを治療する/マリファナ、少年愛者、変質者 - 冷戦文化における怪物・クウィアを(再)有罪とする/怪物・クウィアを日光にさらす、1969年頃、ストーンウォールの叛乱/サタンの卵、公然として誇り高く - ポストモダン期の怪物・クウィア/エピローグなど、
336ページ。


Isabel Cristiana Pinedo, Recreational Terror. Women and the Pleasures of Horror Film Viewing, State Uiversity of New York Press, Albany, 1997
『娯楽的な脅威 女性たちと恐怖映画鑑賞の快楽』
序論/娯楽的な脅威と現在の恐怖映画のポストモダン的要素/湿った死のスペクタクルを見ること/見ないことの快楽/……それから彼女は彼を殺した:殺人鬼映画における女性たちと暴力/ポストモダン恐怖映画における文化的政治/人種ホラー/後書きなど、
192ページ。


Tom Johnson, Censored Screams. The British Ban on Hollywood Horror in the Thirties, McFarland & Company, Inc., Publishers, Jefferson, North Carolina and London, 1997
『検閲された叫び 30年代のハリウッド製恐怖映画へのイギリスでの禁令』
(Richard Gordon)/序(Tom Weaver)//
序論/イギリスの映画検閲小史/UKにおける児童と恐怖映画/イギリス映画は30年代、どのように公開されたか/アメリカの映画検閲小史/『ドラキュラ』 - 「世界がこれまでに知ったもっとも奇妙な情熱」/『フランケンシュタイン』 - 怪物を作った映画/フランケンシュタインの息子たち - 「恐怖が何を意味するかあなたに示そう」/1933-34 - 呼吸する呪文/1935 - 階段は取り除かれねばならない/1936 - 階段は取り除かれた/1937 - ブリテンで検閲された/1938 - 命の印/1939 - 死者からの帰還//
後書き
(Greg Mank)/エピローグなど、
222ページ。


Randy Loren Rasmussen, Children of the Night. The Six Archetypal Characters of Classic Horror Films, McFarland & Company, Inc., Publishers, Jefferson, North Carolina and London, 1998
『夜の子供たち 古典的恐怖映画の6つの元型的キャラクター』
前書き/序論/ヒロインたち:無垢への襲撃/ヒーローたち:善人、勇敢で表面的/老賢人:保守的対立/マッド・サイエンティストたち:力のための探求/召使いたち:カリバンの息子たちと娘たち/怪物:逃れがたい呪いなど、
276ページ。


Cynthia A. Freeland, The Naked and the Undead. Evil and the Appeal of Horror, (Thinking through Cinema), Westview Press, 2000
『裸女と不死者 悪とホラーの訴求力』
序論:ホラーにおける悪 - フェミニズム的枠組み//
マッド・サイエンティストたちと怪物のような母たち;フランケンシュタイン博士の末裔/女たちとバグ/怪物のような肉体//
吸血鬼たちから殺人鬼たちへ;魅惑的な吸血鬼たち/殺人鬼の血への渇望/フェミニストの殺人鬼?//
災厄の崇高なスペクタクル;気味の悪いホラー/グラフィックなホラー//
エピローグ:ホラーの訴求力など、
336ページ。


Edited by Ken Gelder, The Horror Reader, Routledge, London and New York, 2000
『ホラー読本』
序論-ホラーの領野
(Ken Gelder)//
幻想的なるもの;
(Ken Gelder)/幻想的なるものの定義(Tzvetan Todorov)/1848-理性への襲撃(抜粋)(José B. Monleon)/ファンタスマゴリアと近代的夢想の隠喩(抜粋)(Terry Castle)//
ホラーと精神分析;序(
Ken Gelder)/吸血鬼たち、授乳と不安(抜粋)(Joan Copjec)/クリステヴァ、フェミニティ、アブジェクション(Barbara Creed)/「彼の大胆な眼差しの内に私の破滅は大きく書きこまれていた」(抜粋)(Slavoj Žižek)//
怪物性;
(Ken Gelder)/『怪物的想像力』への序(Marie-Hélène Huet)/フリークス(Mary Russo)/人格の一類型としての連続殺人者(Mark Seltzer)//
たくさんのフランケンシュタイン
(Ken Gelder)/制作と再制作 - 『フランケンシュタイン』の場合(抜粋)(Paul O'Flinn)花嫁がやって来る - 『フランケンシュタインの花嫁』における結婚するジェンダーと人種(抜粋(Elizabeth Young)//
吸血鬼王を読む
(Ken Gelder)/怖れの弁証法(抜粋)(Franco Moretti)/西欧の旅行者 - 『ドラキュラ』と逆植民地化の不安(抜粋)(Stephen D. Arata)/吸血鬼的タイプライター書法 - 『ドラキュラ』とその媒体(抜粋)(Jennifer Wicke)//
クウィア・ホラー;
(Ken Gelder)/ジキル博士のクローゼット(抜粋)(Elaine Showalter)/吸血鬼を追跡する(抜粋)(Sue-Ellen Case)女性の観者、レスビアンの幽霊 - 『たたり』(抜粋(Patricia White)//
エスニックな怪物たち;
(Ken Gelder)/ギリシアの吸血鬼(抜粋)(Ken Gelder)/『キングコング』と民族誌的映画における怪物(抜粋)(Fatimah Tobing Rony)//
アメリカン・ゴシック;
(Ken Gelder)/『アメリカン・ホラー』への序(抜粋)(Gregory A. Waller)/『アメリカン・ゴシック』への序(抜粋)(Teresa A. Goddu)//
スプラッター/殺人鬼映画を読む;
(Ken Gelder)/ホラー性 - 現在のホラー映画のテクスト性(Philip Brophy)/快楽の脅威 - 現在のホラー映画とポストモダン理論(Tania Modleski)/彼女のからだ、彼自身(Carol J. Clover)//
ロウブロウ/低予算ホラー;
(Ken Gelder)/ファンの「覚書」 - ホラー映画のファン雑誌(David Sanjek)/『オペラ座/血の喝采』の(サディスティックな)一夜 - イタリアのホラー映画についての覚書(Leon Hunt)/『蛭女』の逆襲 - 低予算ホラー映画の内で年老いていく夢について(Vivian Sobchack)//
新たな地域的ホラー;
(Ken Gelder)/幽霊物語、骨の笛、食人的対抗記憶(Graham Huggan)/途方もない香港ホラー - 『ルージュ』の後知恵(背後見)と(男色的な)『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』(Audrey Yue)など、
428ページ。


 ピーター・クッシング(カッシング)の自伝合本(→こちらを参照:『フランケンシュタインの逆襲』(1957)の頁の「おまけ」)の序論を書いていて、他に何かあるかと Amazon で検索してみて知ったのが;

Jonathan Rigby, English Gothic. A Century of Horror Cinema, Reynolds & Hearn Ltd., London, 2000/2002
『英国のゴシック 恐怖映画の一世紀』
序文(リチャード・ゴードン)/序文(バーバラ・シェリー)//
胎動期の英国ホラー/最初の大波(1954-1959)/立ち泳ぎする(1960-1964)/新たな波(1965-1969)/市場の飽和(1970-1975)/退却する英国ホラー/附録:テレヴィにおけるゴシック//
後書き(デイヴィッド・マクギリヴレイ)など、
272ページ。


 年代を追って具体的な作品に評釈を加えた本。600点近くの作品が取りあげられ、その内約100点が比較的詳しく扱われているとのことです。個々の評に対する賛否はあることでしょうが、それも含めて一家に一冊的な労作といってよいでしょう;
 →こちら(『魔の家』、1932)やこちらの2(『月光石』、1933)、
 そちら(『宇宙からの侵略生物』、1957)、あちら(『フランケンシュタインの逆襲』、1957)、またここ(『吸血鬼ドラキュラ』、1958)、そこ(『バスカヴィル家の犬』、1959)、
 そこの2(『死霊の町』、1960)、あそこ(『吸血鬼ドラキュラの花嫁』、1960)、あそこの2(『回転』、1961)、こなた(『吸血鬼の接吻』、1963)、こなたの2(『たたり』)、そなた(『フランケンシュタインの怒り』、1964)、あなた(『赤死病の仮面』、1964)、こちら(『妖女ゴーゴン』、1964)、そちら(『黒猫の棲む館』、1964)、あちら(『襲い狂う呪い』、1965)、こっち(『凶人ドラキュラ』、1966)、そっち(『吸血ゾンビ』、1966)、あっち(『蛇女の脅怖』、1966)、あっちの2(『吸血鬼』、1967)、またこちら(『帰って来たドラキュラ』、1968)、
 そちら(『バンシーの叫び』、1970)、あちら(『ドラキュラ血の味』、1970)、ここ(『バンパイア・ラヴァーズ』、1970)、そこ(『ドラキュラ復活! 血のエクソシズム』、1970)、あそこ(『恐怖の吸血美女』、1971)、こなた(『鮮血の処女狩り』、1971)、そなた(『ハンズ・オブ・ザ・リッパー』、1971)、あなた(『ドラキュラ血のしたたり』、1971)、あなたの2(『マクベス』、1971)、こちら(『ドラキュラ'72』、1972)、そちら(『ヘルハウス』、1973)、あちら(『キャプテン・クロノス 吸血鬼ハンター』、1974)、またこちら(『Mr.バンピラ 眠れる棺の美女』、1974)でも挙げています。


 著者には
Jonathan Rigby, American Gothic: Sixty Years of Horror Cinema, 2007
 があるとのことですが、2015年7月15日現在、Amazon でやたら高くなっているので断念。
 またやはり Amazon によると

Jonathan Rigby, Euro Gothic: Classics of Continental Horror Cinema, 2016/6/14
 と、1年近く先ではありますが刊行予定とのこと。楽しみにしつつ、その際『アメリカのゴシック 恐怖映画の60年』も再刊されるのを期待したいところではあります。

追補:『アメリカのゴシック』を見る機会があったので、次にあらためて挙げておきます。ただし Amaazon によると、2017年10月3日に増補改訂版が出るようです。旧版344ページに対し400ページとのことで、形式に変更がなければけっこう嵩が増すことになるので、関心のある向きはそちらを待った方がいいかもしれません。『ヨーロッパのゴシック』と同じ Signum の出版で、同年6月2日現在、4,184円の予定とのこと。
 また『ヨーロッパのゴシック』の方は何度か刊行延期になった挙げ句 Amazon でキャンセルされたかと思ったら、いつの間にやら出ていました。奥付けには2016年刊となっていますが、手にとったのは2017年5月8日でした。ともあれ続けて挙げましょう;


Jonathan Rigby, American Gothic: Sixty Years of Horror Cinema, Reynolds & Hear Ltd., London, 2007
『アメリカのゴシック 恐怖映画の60年』
胎動期のアメリカ恐怖映画 1897-1923/墓としてのサイレント 1924-1930/夜の子供たち 1930-1936/過去から甦る 1937-1942/収穫遁減 1943-1945/退却するアメリカ恐怖映画 1946-1956、など、
344ページ。


 →こちら(『オペラの怪人』、1925)やそちら(『猫とカナリヤ』、1927)、
 またあちら(『魔人ドラキュラ』、1931)にここ(『魔人ドラキュラ・スペイン語版』、1931)やそこ(『フランケンシュタイン』、1931)、あそこ(『恐怖城』、1932)、またこなた(『ドクターX』、1932)、そなた(『魔の家』、1932)、あなた(『成吉斯汗の仮面』、1932)、こっち(『肉の蝋人形』、1933)、そっち(『黒猫』、1934)、あっち(『フランケンシュタインの花嫁』、1935)、またこちら(『古城の妖鬼』、1935)、そちら(『倫敦の人狼』、1935)、あちら(『大鴉』、1935)、こなた(『古城の扉』、1935)、そなた(『狂恋:魔人ゴーゴル博士』、1935)、あなた(『透明光線』、1936)、こっち(『女ドラキュラ』、1936)、そっち(『フランケンシュタイン復活』、1939)、あっち(『恐怖のロンドン塔』、1939)、
 あっちの2(『ゴースト・ブレーカーズ』、1940)、ここ(『ミイラの復活』、1940)、そこ(『悪魔の命令』、1941)、あそこ(狼男』、1941)、こちら(『フランケンシュタインの幽霊』、1942)、そちら(『キャット・ピープル』、1942)、あちら(『不死の怪物』、1942)、こなた(『フランケンシュタインと狼男』、1943)、そなた(『私はゾンビと歩いた!』、1943)、あなた(『猿の怪人』、1943)、こっち(『オペラの怪人』、1943)、そっち(『夜の悪魔』、1943)、あっち(『執念のミイラ』、1944)、こちら(『呪いの家』、1944)、そちら(『キャットピープルの呪い』、1944)、あちら(『フランケンシュタインの館』、1944)、ここ(『ミイラの呪い』、1944)、そこ(『呪われた城』、1946)、あそこ(『死体を売る男』、1945)、こなた(『吸血鬼ボボラカ』、1945)、そなた(『恐怖の精神病院』、1946)、あなた(『らせん階段』、1945)、こっち(『ドラキュラとせむし女』、1946)、そっち(『謎の狼女』、1946)、あっち(『五本指の野獣』、1946)、こちら(『扉の蔭の秘密、1947』)、そちら(『マクベス』、1948)、あちら(『凸凹フランケンシュタインの巻』、1948)、
 ここ(『奇妙な扉』、1951)、そこ(『黒い城』、1952)にも挙げておきます


Jonathan Rigby, Euro Gothic: Classics of Continental Horror Cinema, Signum Books, Cambridge, 2016
『ヨーロッパのゴシック 大陸の恐怖映画の諸古典』
序/警告する影たち 1896-1954/悪の諸実験 1954-1963/サタンのための天使たち 1963-1966/悪魔の夜々 1967-1971/血の諸儀式 1971-1975/怖れの新たな諸世界 1975-1983、など、
416ページ。


 →こちら(『プラーグの大学生』、1913)、そちら(『カリガリ博士』、1919)、
 あちら(『巨人ゴーレム』、1920)、ここ(『死滅の谷』、1921)、そこ(『吸血鬼ノスフェラトゥ 恐怖の交響楽』、1922)、あそこ(『メトロポリス』、1926)、こちら(『アッシャー家の末裔』、1928)、
 そちら(『吸血鬼』、1931)、
 あちら(『美女と野獣』、1946)、
 こなた(『顔のない眼』、1960)、そなた(『血とバラ』、1960)、あなた(『生血を吸う女』、1960)、こっち(『血ぬられた墓標』、1960)、そっち(『知りすぎた少女』、1963)、あっち(『ブラック・サバス 恐怖!三つの顔』、1963)、こちら(『幽霊屋敷の蛇淫』、1964)、そちら(『白い肌に狂う鞭』、1963)、あちら(『顔のない殺人鬼』、1963)、ここ(『女ヴァンパイア カーミラ』、1964)、そこ(『モデル連続殺人!』、1964)、あそこ(『生きた屍の城』、1964)、こなた(『亡霊の復讐』、1965)、そなた(『バンパイアの惑星』、1965)、あなた(『惨殺の古城』、1965)、こっち(『呪いの館』、1966)、そっち(『ターヘル・アナトミア - 悪魔の解体新書 -』、1968)、あっち(『吸血魔のいけにえ』、1967)、こちら(『世にも怪奇な物語』、1968)、
 そちら(『催淫吸血鬼』、1971)、あちら(『ワルプルギスの夜 - ウルフVSヴァンパイア -』、1971)、ここ(『レクイエム』、1971)、そこ(『淫虐地獄』、1971)、あそこ(『影なき淫獣』、1973)、こちら(『血みどろの入江』、1971)、そちら(『処刑男爵』、1972)、あちら(『エル・ゾンビ 落武者のえじき』、1972)、こなた(『ジェーン・バーキン in ヴェルヴェットの森』、1973)、そなた(『リサと悪魔』、1973)、あなた(『処女の生血』、1974)、こっち(『イザベルの呪い』、1973)、そっち(『悪魔の凌辱』、1974)、あっち(『セリーヌとジュリーは舟でゆく』、1974)、こちら(『赤い影』、1973)、そちら(『ザ・ショック』、1977)、
 あちら(『インフェルノ』、1980)にも挙げておきます。
 また→ここ(「怪奇城の広間」の頁)でも触れました。


 また

Jonathan Rigby, Studies in Terror. Landmarks of Horror Cinema, Signum Books, Cambridge, 2011
『恐怖の諸研究 ホラー映画の里程標』
序文(マーク・ガティス)//
序論/影の舞台/著名な怪物たち/部分蝕/再生する/ブーム/身体の諸部分/ホラー=コミックス/袋小路/21世紀におけるホラーなど、
304ページ。


 こちらは原則として見開き2ページに作品1点を配し、計130点を紹介する映画ガイド。作品の選定に関しては読者ごとに賛否はあることでしょうが(日本映画からは『鬼婆』(1964、監督:新藤兼人、pp.130-131)、『リング』(1997、監督:中田秀夫、pp.254-255)、『仄暗い水の底から』(2001、監督:中田秀夫、pp.268-269)の3点が選ばれています)、それはそれとして;
 →こちら(『カリガリ博士』、1919)、
 そちら(『吸血鬼ノスフェラトゥ』、1922)、あちら(『猫とカナリヤ』、1927)、
 こっち(『吸血鬼』、1931)、そっち(『フランケンシュタイン』、1931)、あっち(『恐怖城』、1932)、こなた(『魔の家』、1932)、こなたの2(『肉の蝋人形』、1933)、こなたの3(『月光石』、1933)、そなた(『黒猫』、1934)、あなた(『倫敦の人狼』、1935)、ここ(『狂恋:魔人ゴーゴル博士』、1935)、
 そこ(『狼男』、1941)、あそこ(『キャット・ピープル』、1942)、またこちら(『死体を売る男』、1945)、
 そちら(『宇宙からの侵略生物』(1957)のページで『原子人間』(1955)および『火星人地球大襲撃』、1967)、あちら(『フランケンシュタインの逆襲』、1957)、こなた(『吸血鬼ドラキュラ』、1958)、
 こなたの2(『顔のない眼』、1960)、こなたの3(『生血を吸う女』、1960)、そなた(『吸血鬼ドラキュラの花嫁』、1960)、あなた(『怪異ミイラの恐怖/黒猫の怨霊/人妻を眠らす妖術』、1962、あなたの2(『幽霊屋敷の蛇淫』、1964)、ここ(『白い肌に狂う鞭』、1963)、そこ(『赤死病の仮面』、1964)、またまたこちら(『モデル連続殺人!』、1964)、こちらの2(『生きた屍の城』、1964)、こちらの3(『亡霊の復讐』、1965)、そちら(『吸血ゾンビ』、1965)、あちら(『呪いの館』、1966)、
 こっち(『ダンウィッチの怪』、1970)、そっち(『処刑男爵』、1972)、そっちの2(『エル・ゾンビ 落武者のえじき』、1972)、あっち(『キャプテン・クロノス 吸血鬼ハンター』、1974)でも挙げています。


David Pirie, A New Heritage of Horror. The English Gothic Cinema, I.B.Tauris, London, New York, 2008
『恐怖の新たな遺産 英国ゴシック映画』
新版への註釈/序(2007)/初版への序//
英国ゴシック文学の諸特徴;「戦慄の嵐のような愛らしさ」/シュルレアリスムとゴシック的伝統/ホラーと「レアリスム」の専制//
ハマーの同定 ハマーの始まり/報道の反応/ハマーと検閲/ハマーとフランケンシュタイン以後の英国ホラー/ハマーの人物たち/ジェイムズ・カレラスとアメリカ的次元/ブレイ・スタジオ//
テレンス・フィッシャーの世界 2007年の後書き//
フランケンシュタインへのアプローチ フィッシャー、フランシス、サングスター フランケンシュタインのTVシリーズ/最後のハマーによるフランケンシュタイン映画//
ドラキュラへのアプローチ//
ホラーへの他のアプローチ;サディズム的映画/英国のサディズム的映画と検閲官/余波/アミカスの因子//
3人の衛星的な監督たち;ドン・シャープ/ジョン・ギリング/ヴァーノン・ソーウェル//
サイエンス・フィクション、異郷趣味と精神病;サイエンス・フィクション/異郷趣味/精神病/コメディー=ホラーについての覚書//
主題と理念の再生?;マイケル・リーヴス/『魔女狩り将軍』以後/ハマーの最後の時期/ハマー対ワーナー・ブラザーズ/ハマーの終いの日々//
新たなホラーの神話学に向けて;近年の英国ホラー/スティーヴン・ヴォーク/スティーヴン・ウーリー/クライヴ・バーカー/1990年代/ポール・アンダースン/新たな国、新たなブーム/テレヴィの因子/未来?//
附録;ハマーの都市伝説/2つの照合表/アリス・ピリーによるフィルモグラフィーなど、
272ページ。


 ハマー・フィルムの作品を焦点にした最初の研究書とされる A Heritage of Horror, The English Gothic Cinema 1946-1972, 1973 の改訂増補版。

 →こちら(『宇宙からの侵略生物』、1957)、そちら(『フランケンシュタインの逆襲』、1957)、あちら(『吸血鬼ドラキュラ』、1958)、ここ(『凶人ドラキュラ』、1966)、そこ(『吸血ゾンビ』、1966)、あそこ(『蛇女の脅怖』、1966)、こなた(『生きた屍の城』、1964)、そなた(『バンパイア・ラヴァーズ』、1970)、あなた(『恐怖の吸血美女』、1971)、こっち(『赤い影』、1973)でも挙げています。

Derek Pykett, British Horror Film Locations, McFarland & Company, Inc., Publishers, Jefferson, North Carolina and London, 2008
『英国恐怖映画の撮影地』
序文(フレディー・フランシス/ピート・ウォーカー)//
序論/ロケ地について:恐怖の主たち//
映画(とロケ地)/スタジオ/ロケ地-詳細に/どこで何が撮影されたか?/ハマーの恐怖の家//
後書:ロケ地狩り(サイモン・フリン)など、
216ページ。


 "The Films ( with Locations )"(pp.11-133) はタイトルどおり各作品ごとのロケ先を特定したもの。"Locations - In Detail"(pp.147-186)は主なロケ地についての解説。いずれもアルファベット順です。というわけで;
 →こちらの0(『月光石』、1933)、こちら(『吸血鬼ドラキュラの花嫁』、1960)やそちら(『バンシーの叫び』、1970)、あちら(『フランケンシュタインの逆襲』、1957)、こなた(『襲い狂う呪い』、1965)、そなた(『吸血鬼ドラキュラ』、1958)、あなた(『ドラキュラ'72』、1972)、ここ(『帰って来たドラキュラ』、1968)、そこ(『ハンズ・オブ・ザ・リッパー』、1971)、あそこ(『たたり』、1963)、こっち(『バスカヴィル家の犬』、1959)、そっち(『ハンガー』、1983)、あっち(『回転』、1961)、またこちら(『ヘルハウス』、1973)、そちら(『恐怖の吸血美女』、1971)、あちら(『吸血ゾンビ』、1966)、こなた(『宇宙からの侵略生物』、1957)、そなた(『ドラキュラ血の味』、1970)、あなた(『黒猫の棲む館』、1964)、ここ(『ドラキュラ血のしたたり』、1971)、そこ(『バンパイア・ラヴァーズ』、1970)、
 またあそこ(「怪奇城の画廊(前篇) - 〈ギャラリー〉の空間」の頁/『月下の恋』、1995)や、あそこの2(「怪奇城の肖像(幕間)」の頁/『フランケンシュタインの逆襲』、1957)」の頁)、また「『Meigaを探せ!』より、他」中の「『ヘル・レイザー』 1987 『ヘルレイザー2』 1988 『ヘルレイザー3』 1992 『ヘルレイザー4』 1996」の頁の→あそこの3で挙げています


Kim Newman, Nightmare Movies. Horror on Screen since the 1960s, Bloomsbury, London, Berlin, New York, Sydney, 1988/2011
『悪夢の映画 1960年代以来の銀幕上の恐怖』
悪夢の映画;新版への序(2010)/前書き(
Dennis Etchison)頭の中でそれらを叫べ!:憎悪世代の誕生/英国恐怖映画の小春日和/古典的ゴシックの変わりゆく顔/悪魔の映画あるいは:「ムースがチョークの味なら食べるな」/テクサスの深奥深くあるいは:田舎風、奥地、多道具虐殺映画/偏執狂の楽園あるいは:気にかけるべき五つの事柄 自然の叛乱、機械の叛乱、災害映画、陰謀社会、黙示録/ありふれた狂気のお話あるいは:クローズアップの変わり者たち/作家たち ダリオ・アルジェント、ラリー・コーエン、デヴィッド・クローネンバーグ、ブライアン・デ=パルマ/奇人の恐怖映画あるいは:カルト、キッチュ、キャンプ、病的、パンク、そしてポルノグラフィー/サイコ映画あるいは:「切られた首にするために彼女を起こしたりしなかった」/幽霊物語/過去への回帰/人喰いゾンビはらわた噛み砕き - イタリア様式!/生ける死者と楽しむ/後書き ポスト=モダン恐怖映画//
新たな悪夢;レクターの諸変奏/吸血鬼たち、および他の紋切り型/叫びに叫び:主題関連作(フランチャイズ)、ポスト=モダニズム、再制作/ひとまず幽霊の/ヴァーチュアル・リアリティーと想像上のお友だち/なぜあなたは私にこんなことをしているの?/さらなる作家たち ティム・バートン、ギジェルモ・デル・トロ、ラリー・フェセンデン、デヴィッド・リンチ/ゾンビ黙示録が今!/後書き まだ血が流れることだろう、など、
640ページ。


 1988年刊本を第1部(p.8~p.293、ただし各章末に付された註は追補)とする増補版
 第1部第1章で核となるのは『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』(1968、監督:ジョージ・A・ロメロ)、
 第2章はハマー・フィルムやアミカスの作品、
 第3章は吸血鬼ものなど、
 第4章は『エクソシスト』(1973、ウィリアム・フリードキン)前後、
 第5章は『悪魔のいけにえ』(1974、トビー・フーパー)周辺、
 第6章は各節の題にある5つのサブ=ジャンル、
 第7章は『サイコ』(1960、アルフレッド・ヒチコック)の後裔たち、
 第8章は4人の監督の各作品、
 第9章はジャンルの境界線上に位置する作品、
 第10章は『ハロウィン』(1978、ジョン・カーペンター)と『13日の金曜日』(1980、ショーン・S・カニンガム)から、
 第11章は幽霊屋敷ものを中心に、
 第12章は『エイリアン』(1979、リドリー・スコット)をはじめとした怪物もの、含む人狼もの、
 第13章はルチオ・フルチ、バーヴァ親子など、
 第14章は『ゾンビ』(1978、ロメロ)とその余波などを、
 第2部第1章は『羊たちの沈黙』(1991、ジョナサン・デミ)とその後、
 第2章は吸血鬼ものとして『ドラキュラ』(1992、フランシス・フォード・コッポラ)他+フランケンシュタイン、人狼、ジキルとハイド、オペラ座の怪人、ミイラものの各変奏、
 第3章は連作や再制作をめぐって、『エルム街の悪夢/ザ・リアルナイトメア』(1994、ウェス・クレイヴン)、『スクリーム』(1996、クレイヴン)などを軸に、
 第4章は幽霊ものですが、USAの作品に続いて第2節(pp.415-427)では日本、韓国など東アジアの作品が『リング』(1998、中田秀夫)を焦点にして、その後『シックス・センス』(1999、M・ナイト・シャマラン)、『Xファイル』(1993-2002)などTV作品、『アザーズ』(2001、アレハンドロ・アメナーバル)、『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』(1999、ダイエル・マイリック+エドゥアルド・サンチェス)、
 第5章では『マトリックス』(1999、アンディ&ラリー・ウォシャウスキー)、『ファイト・クラブ』(1999、デヴィッド・フィンチャー)その他、
 第6章で『ホステル』(2006、イーライ・ロス)、『オーディション』(1999、三池崇史)、『ソウ』(2004、ジェイムズ・ワン)その他、
 第7章は4人の監督の各作品、
 第8章はゾンビ終末もの、間にそうでない終末もの、含む怪獣もの(pp.556-558)、などが扱われています。

 なお第2部第3章の章題
"Scream and Scream Again"はヴィンセント・プライス、クリストファー・リー、ピーター・クッシングが出演した『バンパイアキラーの謎(吸血鬼・恐怖のメス)』(1970、ゴードン・ヘスラー)、
第8章の
"Zombie Apocalypse Now !"の内"Apocalypse Now"は『地獄の黙示録』(1979、コッポラ)、
後書きの"There Will Still Be Blood"の内
"There Will Be Blood"は『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』(2007、ポール・トーマス・アンダーソン、p.582参照)
のそれぞれ原題でした。他にもあるのかもしれません。

 →こちら(『エル・ゾンビ 落武者のえじき』、1972)、そちら(『『ドラキュラ血の味』、1970)、あちら(『バンパイア・ラヴァーズ』、1970)、ここ(『ハンズ・オブ・ザ・リッパー』、1971)、そこ(『ドラキュラ復活! 血のエクソシズム』、1970)、あそこ(『ヨーガ伯爵の復活』、1971)、こなた(『レモーラ』、1973)、そなた(『ハンガー』、1983)、あなた(『リサと悪魔』、1973)、こっち(『インフェルノ』、1980)、そっち(『処女の生血』、1974)、あっち(『赤い影』、1973)、こちら(『ヘルハウス』、1973)、そちら(『セリーヌとジュリーは舟でゆく』、1974)、あちら(『処刑男爵』、1972)、ここ(『ザ・ショック』、1977)、そこ(『HOUSE ハウス』、1977)でも挙げています
 次の本にも寄稿している他、同じ著者による→こちら(『キャット・ピープル』(1942)の頁の「Cf.」や、またそちら(『宇宙からの侵略生物』(1957)の頁の「Cf.」)を参照

Edited by James Bell, Gothic. The Dark Heart of Films, A BFI Compendium, London, 2013
『ゴシック 映画の暗い心臓』
緒言(
Sir Christopher Frayling)//
怪物的な;吸血鬼たち*(
Anne Billson)/女性の吸血鬼たち(Kim Newman)/TVの吸血鬼たち(Stacey Abbott)/衣裳つき吸血鬼たち(Catherine Spooner)/英国の影響(Barry Forshaw)//
  苛まれたもの*(
Jonathan Rigby)/人狼(Glen Duncan)/ゴシック・アンソロジー映画(Mark Gatiss)/ゴシックと喜劇(Reece Shearsmith)//
  生ける死者*(
Roger Luchhurst)/血糊とゴシック(James Blackford)/戦の劇場(Matthew Sweet)//
暗い技芸;黒魔術*(
Richard T. Kelly)/マリオ・バーヴァとイタリアのゴシック(Tim Lucas)//
  狂える科学*(
Mark Kermode & Sir Christopher Frayling)/ディオダティ荘(Stephen Volk)/前衛ゴシック(William Fowler)/中・東欧のゴシック(Michael Brooke)//
  目覚める悪夢*(
Ramsey Campbell)/無声映画ではあなたの悲鳴は誰にも聞こえない…(Bryony Dixon)/ゴシック的美術の映画的遺産(Martin Myrone)//
憑かれて;過去の幽霊たち*(
Roger Clarke)/お話の語り手たち(Lisa Kerrigan)/他の側からの伝言(Simon McCallum)/日本のゴシック(Jasper Sharp)//
  古く暗い家*(
Kim Newman)/元々のゴシック(David Punter)/ゴシック映画の建築(Claire Smith)//
  夜の子供たち*(
Guillermo del Toro)/子供たちのゴシックTV(Helen Wheatley)/子供たちとゴシック(Charlie Higson)//
  憑かれた風景*(
James Bell)/南部のゴシック(Michael Atkinsonl)/英国の民俗的ゴシック(Rob Young)//
愛は悪魔である;闇の王子たち*(
David Pirie)/ゴシックのスラッシャー(Nick Pinkerton)/ホラーの王たち(Vic Pratt)//
  闇の娘たち*(
Victoria Nelson)/クィア・ゴシック(Brian Robinson)/叫ぶ女王たちと吸血鬼の恋人たち(Josephine Botting)//
  汚された愛*(
Helen Oyeyemi)/美女と野獣Marina Warner)/家庭のゴシック(Geoffrey O'Brien)など、
160ページ。


 *をつけたやや長めの節と、多く1~2ページのコラムからなります。
 『ドラキュラ紀元』(1992)等の著者キム・ニューマン(一つ上の
Nightmare Movies, 1988/2011 も参照)、この時点ではまだ『クリムゾン・ピーク』(2015)を撮っていなかった映画監督のギジェルモ・デル・トロ、本ページなどで挙げた名前が筆者の中に一つならず見つかります。
 本ページ頭の→こちらでも一部挙げました:「i. 映画と建築など」。


Jim Harper, Italian Horror, Luminary Press, Baltimore, Maryland, 2005
『イタリアのホラー』
著者による序/イタリアのホラーへの序論/
イタリアのホラー A-Z ガイドなど、
252ページ。

 1979年から1994年までの作品が扱われています。前者はルチオ・フルチの『サンゲリア』、後者はミケーレ・ソアヴィの『デモンズ'95』が公開された年。英題のアルファベット順で配列。その内;
 →こちら(『インフェルノ』 1980)や、そちら(『デモンズ3』 1989)でも挙げました。


Roberto Curti, Italian Gothic Horror Films, 1957-1969, McFarland & Company, Inc., Publishers, Jefferson, North Carolina, 2015
『イタリアのゴシック・ホラー映画、1957-1969』
序言(エルネスト・ガスタルディ)/
前書き/序論:ゴシック、イタリア様式//
作品など、
218ページ。


 全42点が挙げられています。その内;
→こちら(『血ぬられた墓標』、1960)、そちら(『生血を吸う女』、1960)、あちら(『ブラック・サバス 恐怖!三つの顔』、1963)、ここ(『顔のない殺人鬼』、1963)、そこ(『白い肌に狂う鞭』、1963)、あそこ(『幽霊屋敷の蛇淫』、1964)、こなた(『生きた屍の城』、1964)、そなた(『女ヴァンパイア カーミラ』、1964)、あなた(『惨殺の古城』、1965)、こっち(『亡霊の復讐』、1965)、そっち(『呪いの館』、1966)、あっち(『世にも怪奇な物語』、1968)でも挙げています。

 また→こちら(ルチアーノ・ピゴッツィに関して:『ヴェルヴェットの森』(1973)の頁中)や、そちら(「怪奇城の広間」の頁)およびあちら(同じ頁の別の箇所)でも触れました。

 続きが出ていました;

Roberto Curti, Italian Gothic Horror Films, 1970-1979, McFarland & Company, Inc., Publishers, Jefferson, North Carolina, 2017
『イタリアのゴシック・ホラー映画、1970-1979』
序論/
イタリアのゴシック・ホラー映画、1970-1979/
附録:小さなスクリーンでのイタリアのゴシックなど、
254ページ。

 前著と同じく、年代順に配列、全63点が挙げられています。それ以外に附録では、TV用に製作された作品が概観されています(マリオ・バーヴァの遺作となった『イールのウェヌス』(1981)が取りあげられています;pp.227-230)。
 〈ゾンビ〉もの、〈人喰い〉もの等(p.3)、それに『エクソシスト』(1973、監督:ウィリアム・フリードキン)の柳の下系作品は含まない一方(p.5)、〈ジャッロ〉との境界線上にある作品は入れてあります(同上)。その内;

 →こちら(『処刑男爵』 1972)、そちら(『リサと悪魔』 1973)、あちら(『ヴェルヴェットの森』 1973)、こなた(『イザベルの呪い』 1973)、そなた(『処女の生血』 1974)、あなた(『悪魔の凌辱』 1974)、ここ(『ザ・ショック』 1977)で挙げました。
 また→そこ(『生きた屍の城』の頁中)やあそこ(『呪いの館』の頁の「Cf.」)でも触れました。

 なお、1970年代イタリアのゴシック・ホラー映画では、〈性〉が重要な因子になったとのことです;
「先立つ10年間においてゴシックは、暗示的なエロティシズムと大人しいヌードによって特徴づけられていた。…(中略)…1968年以後、検閲がゆるんだため、大スクリーン上での女性のヌードや、セックスのふりをすることへの道が開かれることになった…(後略)…」(p.1)。

Roberto Curti, Italian Gothic Horror Films, 1980-1989, McFarland & Company, Inc., Publishers, Jefferson, North Carolina, 2019
『イタリアのゴシック・ホラー映画、1980-1989』
序論/
イタリアのゴシック・ホラー映画、1980-1989/
附録:直接ヴィデオでのリリース/TVのために製作された映画など、
232ページ。

 劇場公開作は全43点。その内;
 →こちら(『インフェルノ』 1980)や、そちら(『デモンズ3』 1989)でも挙げました。
 また→そこ(『生きた屍の城』(1964)の頁中)やあそこ(『亡霊の復讐』(1965)の頁中」)でも触れました。

 他に、見る機会のあったものだけ並べておけば;『ビヨンド』(1981、監督:ルチオ・フルチ、pp.64-73)、『ゼダー/死霊の復活祭』(1983、監督:プピ・アヴァティ、pp.114-121。→「怪奇城の肖像(幕間)」の頁でも触れました)、『呪いの迷宮/ラビリンス・イン・ザ・ダーク』(1988、監督:ジャンフランコ・ジャーニ、pp.162-166)、『バンパイア・イン・ベニス』(1988、監督:アウグスト・カミニート、pp.166-171)、『エトワール』(1989、監督:ペーテル・デル・モンテ、pp.175-178)、『悪魔の教団レッド・モンクス』(1989、監督:ジャンニ・マルツッチ、pp.178-181)、『ウィッチ・ストーリー』(1989、監督:アレッサンドロ・カポーネ、pp.185-187)、また附録2で『バンパイア 最後の晩餐』(1989、監督:ランベルト・バーヴァ、pp.199-202。→「怪奇城の肖像(幕間)」の頁でも触れました)

 なお、1970年代のイタリア・ゴシック映画が性的なイメージの氾濫をその特徴としていたのに対し、80年代のイタリアでは、TVの普及とそこでの過去の映画の放映、ヴィデオの流通などと相まって、製作状況がますます厳しくなったようです。序論で概説されますが、個々の作品の項でも、予算の問題が何度となく言及されていました。他方ソアヴィの『デモンズ3』をその典型とする、〈ポストモダン〉的な要素も指摘されています(p.10)。

Edited by Stefano Baschiera and Russ Hunter, Italian Horror Cinema,Edinburgh university Press, 2016
『イタリアのホラー映画』
序論(
Stefano Baschiera and Russ Hunter)//
『私は地獄の方が好きだ Preferisco l'inferno 』:初期のイタリア・ホラー映画(Russ Hunter)/輸出のために製作された国内製映画:1960年代のイタリア・ホラー映画の製作流儀(Francesco di Chiara)/模倣の1980年代のイタリア・ホラー映画:いいもの、醜いもの、そして続きもの(Stefano Baschiera)/知られざる彼方を知ること:21世紀における〈イタリア風の Italianate 〉および〈イタリアの Italian 〉ホラー映画(Johnny Walker)/バーヴァ流 Bavaesque :イタリアのホラー作家としてのマリオ・バーヴァ作成Peter Hutchings)/アルジェント症候群:恐怖(ホラー)の美学Marcia Landy)/屑鉄、染み、詰まった下水:アルジェントの廃棄物 refuse とその拒絶 refusalsKarl Schoonover)/ジャッロ/スラッシャーの風景:『血みどろの入江』、『13日の日曜日』と引き算的な観者性Adam Lowenstein)/恐怖(テラー)の諸王、犯罪の天才たち:ジャッロ映画と〈黒いコミックス fumetti neri 〉(Leon Hunt)/イタリアの奥地における政治的記憶:〈田舎のジャッロ〉を位置づける(Austin Fisher)/プログレッシヴ・ロックのホラー:ゴブリンとホラーのサウンドトラック(Craig Hatch)/「ここでの唯一の怪物は映画製作者たちだ」:イタリア食人映画における動物的残酷さと死(Mark Bernard)/イタリアのホラー映画と1970年代のイタリアの映画雑誌(Paolo Noto)など、
240ページ。


Bruce G. Hallenbeck, Poe Pictures. The Film Legacy of Edgar Allan Poe, Tomahawk Press, 2020
『ポー映画 エドガー・アラン・ポーの映画遺産』
緒言(ロジャー・コーマン)//
序/無声のポー/ユニヴァーサルのポー/戦後のポー/
A.I.P.(アメリカン・インターナショナル・ポー)/世界的なポー/テレヴィ化されたポー/食い物にされるポー/21世紀のポーなど、
240ページ。


 →こちら(『アッシャー家の末裔』、1928)やそちら(『黒猫』、1934)、またあちら(『大鴉』、1935)、こなた(『アッシャー家の惨劇』、1960)、そなた(『恐怖の振子』、1961)、あなた(『姦婦の生き埋葬』、1962)、こっち(『怪異ミイラの恐怖/黒猫の怨霊/人妻を眠らす妖術』、1962)、そっち(『忍者と悪女』、1963)、そっちの2(『古城の亡霊』、1963)、あっち(『怪談呪いの霊魂』、1963)、ここ(『赤死病の仮面』、1964)、そこ(『黒猫の棲む館』、1964)、あそこ(『バンシーの叫び』、1970)、こちら(『幽霊屋敷の蛇淫』、1964)、またそちら(『吸血魔のいけにえ』、1967)、あちら(『世にも怪奇な物語』、1968)、こなた(『ター博士の拷問地下牢』、1973)にも挙げています。
 なおポーについては→「viii. エドガー・アラン・ポー(1809-1849)など」(<「ロマン主義、近代など(18世紀末~19世紀)」<「宇宙論の歴史、孫引きガイド」)も参照。
 また上掲の北島明弘、『映画で読むエドガー・アラン・ポー』、2009 も参照。


 次の2冊は怪奇映画のみをもっぱら扱うものではありませんが、少なからぬ比重で取りあげています;

Cathal Tohill & Pete Tombs, Immoral Tales. European Sex and Horror Movies 1956-1984, St. Martin's Griffin, New York, 1995
『不道徳なお話 欧州のセックス・恐怖映画 1956-1984』
序論/夢見る者たち&頽廃した者たち/性、映画と手術/
欧州の経験 イタリア様式、上に立つドイツ人たち、服を脱ぐフランス人、スペインの慣習/
性の迷宮 ジェス・フランコの諸作/浜辺に戻る ジャン・ロランの諸作/諸症状 ホセ・ララツの諸作/肉の叫び ホセ・ベナセラフの諸作/個人蒐集 ヴァレリアン・ボロウィッチの諸作/火と戯れる アラン・ロブ=グリエの諸作/
附録(人物解説)/漫画本のヒーローたちなど、
272ページ。


 →こちら(『レクイエム』、1971)やそちら(『顔のない眼』、1960)、あちら(『生血を吸う女』、1960)、ここ(『惨殺の古城』、1965)、そこ(『吸血魔のいけにえ』、1967)、あそこ(『ワルプルギスの夜 - ウルフVSヴァンパイア -』、1971)でも挙げています。

Danny Shipka, Perverse Titillation. The Exploitation Cinema of Italy, Spain and France, 1960-1980, McFarland & Company, Inc., Publishers, Jefferson, North Carolina, and London, 2011
『倒錯したくすぐり イタリア、スペイン、フランスの搾取(エクスプロイテイション)映画、1960-1980』
緒言/序論:ユーロカルト現象//
イタリア;『吸血鬼』:イタリアでのジャンルの始まり/国外配給についての一言/60年代:ゴシックへの回帰/モンドの世界です/恐怖の色彩:イタリアのジャッロ/70年代のイタリア:性とサディスム/私たちはあなたを食べるだろう:食人・ゾンビ映画/悪魔が彼女にそうさせた:悪魔憑きと尼僧もの/セクスプロイテイション-イタリア様式/聖と俗:非ジャンルのイタリア式エクスプロイテイション/結論//
スペイン;『美女の皮をはぐ男』:スペインでのジャンルの始まり/ジェス・フランコ:巨匠/怪物の心:ポール・ナッシー/スペインの悪夢:エクスプロイテイション1970年代様式/結論//
フランス;グラン・ギニョールと目:フランスでのジャンルの始まり/血の思考:ジャン・ロランのサイケデリック映画/恐るべき性:悪魔とエマニュエル/結論
ユーロ=結論など、
346ページ。


 →こちら(『血ぬられた墓標』、1960)やそちら(『生血を吸う女』、1960)、あちら(『幽霊屋敷の蛇淫』、1964)、またここ(『顔のない殺人鬼』、1963)、そこ(『ブラック・サバス 恐怖!三つの顔』、1963)、あそこ(『白い肌に狂う鞭』、1963)、こっち(『呪いの館』、1966)、そっち(『処刑男爵』、1972)、あっち(『リサと悪魔』、1973)、こなた(『亡霊の復讐』、1965)、こなたの2(『ヴェルヴェットの森』、1973)、そなた(『知りすぎた少女』、1963)、あなた(『モデル連続殺人!』、1964)、またこちら(『血みどろの入江』、1971)、そちら(『悪魔の凌辱』、1974)、そちらの2(『イザベルの呪い』、1973)、あちら(『処女の生血』、1974)、あちらの2(『影なき淫獣』、1973)、ここ(『エル・ゾンビ 落武者のえじき』、1972)、そこ(『顔のない眼』、1960)、あそこ(『血とバラ』、1960)、こっち(『レクイエム』、1971)でも挙げています。

 British Film Institut が刊行する叢書 BFI Film Classics は、A5変型(190 x 135mm)、下掲のものでは70ページ前後から120ページ前後で、取りあげる作品の場面を主にした挿図を数10点掲載するというものです。大部のものとも、委曲を尽くすとも言えますまいが、各一冊ごとに一本の映画が取り扱われます。2023年4月末現在、200点以上出ているようです。その内当サイトで見てきた作品についての本で、見る機会のあったものを、次に並べておきましょう;

『カリガリ博士』(1920); David Robinson, Das Cabinet des Dr. Caligari, 1997 / 2013

『吸血鬼ノスフェラトゥ 恐怖の交響楽』(1922); Kevin Jackson, Nosferatu. Eine Symphonie des Grauens, 2013

『吸血鬼』(1932); David Rudkin, Vampyr, 2005 / 2013

『フランケンシュタインの花嫁』(1935); Alberto Manguel, Bride of Frankenstein, 1997

『レベッカ』(1940);Patricia White, Rebecca, 2021

『キャット・ピープル』(1942、および『キャットピープルの呪い』、1944);Kim Newman, Cat People, 1999 / 2013

『回転』(1961);Christopher Frayling, The Inncents, 2013

『去年マリエンバートで』(1961);Jean-Louis Leutrat, translated by Paul Hammond, L'année dernière à Marienbad (Last Year in Marienbad), 2000

『火星人地球大襲撃』(1967) ~『宇宙からの侵略生物』(1957)の頁;Kim Newman, Quatermass and the Pit, 2014

『赤い影』(1973);Mark Sanderson, Don't Look Now, 1996

 この他、頁は作っていないのですが、見る機会のあったもの;

『シャイニング』(1980、監督:スタンリー・キューブリック);
Roger Luckhurst, The Shining, 2013
 序/急降下/トラッキング/オーヴァールック/霊能がある子供/不在の医師/家族空想(ファミリー・ロマンス)/コロラド・ラウンジ/「どうしたんだ、ドック?」/ダディーはふさぎこんでいる/237号室/グレイディー氏/「どんな風にそれが好きなんだ?」:ジャックはいかれる/『ポリモルフィア』(ペンデレツキ作曲、1961):『シャイニング』の音/「魔法の黒人」:ハロラン/迷路とミーノータウロス/写真など、
98ページ。

『ニア・ダーク/月夜の出来事』(1987、監督:キャスリン・ビグロー);
Stacey Abbott, Near Dark, 2020
 「あなたの時間をもうほんの2~3分、あなたの人生の残りと同じくらいの長さ」:カルト吸血鬼映画を制作する;製作/受容/批評での受容//
「陽が昇りつつある」:ゴシック的美学;明暗法//
「指はうまくなめる」:ジャンルの雑種性とアクション吸血鬼;ホラーとしてのアクション/喜劇的なスペクタクル//
「いいえ、あなたは私みたいな女の子には他に会ったことがない」:共感を呼ぶ、さほどいやでもない吸血鬼;期待をごっちゃにする/共感を呼ぶ吸血鬼/さほどいやでもない吸血鬼//
「楽しい時間」:物語上の解決を妨げ、現状に抗う;諸家族/治癒/諸ジャンルの衝突/メイなど、
94ページ。
 

iv. 城など

ヨーロッパの古城など
イギリスのカントリー・ハウスなど 
日本の城など
写真集的なものなど
絵本類など
幽霊城など

 城自体についての資料はあまり集まっていないのですが、とりあえず;

澁澤龍彦、『城 夢想と現実のモニュメント』、白水社、1981
Ⅰ~Ⅲなど、
180ページ。

 後に高山宏の著書名(→「怪奇城の外濠 Ⅱ」の頁の「vii. 建築画、街景図、紙上建築など」)となる〈カステロフィリア(城砦愛好)〉という言葉が登場します(p.73、pp.176-177)。
 
 また

澁澤龍彦、「城と牢獄」、『サド侯爵あるいは城と牢獄』(河出文庫 し 1-42)、河出書房新社、2004、pp.13-26
 1980年刊『城と牢獄』の文庫化
 文庫版のタイトルどおり、サドについての文章の一つ
 併せて

澁澤龍彦、『幻想の画廊から』、美術出版社、1967
 所収の幻想の城 ルトヴィヒ二世と郵便屋シュヴァル
 (同書からは→こちらも挙げています:「怪奇城の外濠 Ⅲ」の頁の「ボマルツォの〈聖なる森〉」の項)、


澁澤龍彦、『ヨーロッパの乳房』、1973
 所収の「狂王の城」、

川田喜久治、『ルードヴィヒⅡ世の城』(ソノラマ写真選書 24)、朝日ソノラマ、1979
 所収の澁澤龍彦、「太陽王と月の王」
 (澁澤龍彦、『太陽王と月の王』(河出文庫 し 1-48)、河出書房新社、2006(1980年刊本の文庫化)、pp.23-35 に収録)

 澁澤龍彦については→こちらも参照:「通史、事典など」の頁の「おまけ

 ところでルートヴィヒⅡ世といえば

撮影・篠山紀信、文・多木浩二、『王の夢・ルートヴィヒⅡ世』、小学館、1983

 所収の多木浩二のテキストは、ルートヴィヒⅡ世の建築を位置づけるにあたってH=R.ヒッチコックの『19、20世紀の建築』からの引用として、「まがいものの城(フェイク・キャッスル)」の語を挙げていました(pp.22-23)。
 当該箇所の見出しにも用いられた〈フェイク・キャッスル〉なる概念は、怪奇映画に登場する古城のイメージにも少なからず当てはまりそうですが(→「怪奇城の肖像(後篇)」の頁でも触れました)、ちなみに、〈シャム・キャッスル〉という用語もあるそうです;

「だからポープはこのシャーボーン庭園内部の廃墟を含んだ風景を『想像力も作り出せないロマンチックな景色』と称え、理想的な庭園は、このような要素を積極的に活用すべきであると説いた。このポープの教訓は、一八世紀をつうじて英国庭園の内部で次第に積極的に生かされ、ついには『にせの城(シャム・キャッスル)』と呼ぶ、まがいものの廃墟まで各地に出現したのである」(川崎寿彦、『楽園と庭 イギリス市民社会の成立』(中公新書 723)、中央公論社、1984、pp.191-192)。

原語は"sham castle"でしょうか。"sham"は手もとの英和辞書によると、名詞として「にせもの、ごまかし」、形容詞として「にせの、まがいの」等の意味とのこと。

 それはともかく、とりあえず歴史上のお城について;


ハインリヒ・プレティヒャ、平尾浩三訳、『中世への旅 騎士と城』、白水社、1982
原著は Heinrich Pleticha, Ritter Burgen und Turniere, 1977
歴史を恐れるな/騎馬兵、騎士、盗賊-騎士道と騎士/一万の城砦-城とその構造/快適なのは夏だけ-住居と設備/ぶどう酒にも胡椒を入れて-食物と飲物/地獄窓と嘴靴-中世のファッション狂い/時計の針に追いたてられることもなく-労働と娯楽/厳格な作法教師-遊びと教育/勇士とミンネ-騎士文学について/50キロ近くも引きずって-装備と武器/危険な娯楽-トゥルネイと決闘/「雄羊」と「猫」-攻城戦/牛に引かせた旗車-戦争の有様/おおいなる目的のために-十字軍遠征/騎士にして修道士-三大騎士団について、など、
254ページ。


野崎直治、『ヨーロッパ中世の城』(中公新書 951)、中央公論社、1989
序章 中世のヨーロッパ/城塞の歴史/築城権と城塞を築いた人々/城塞の所有と保有/裁判組織/城塞と支配・領邦国家/城塞と教会・都市/開城権/城塞知行法/城塞の守備と生活、そして城塞時代の閉幕など、
248ページ。


紅山雪夫、『ヨーロッパの旅 城と城壁都市』、創元社、1998
城の歴史をさかのぼれば 先史時代の素朴な砦からローマ時代の城壁都市まで;人間はいつから城を造りはじめたのか/古代オリエントの城壁都市/ギリシア・ローマ時代の城と城壁都市//
中世の城を訪ねる 城造りに注がれた情熱と知恵を今もなお残っている城で探求;モット・ベイリーから石造の城に/何のために、どんな場所に築城したのか/ヨーロッパの城の特徴/中世の城はどのように発展していったか/中世の城での生活//
中世の城壁都市を訪ねる 都市の自由と独立のシンボルだった城壁のなかでの市民の生活をたどりながら;中世都市はどのようにして生まれたか/生きている中世都市ローテンブルクを歩く/ヨーロッパ随一の城壁都市カルカソンヌ/地図と地名から読み取る中世都市の姿//
優雅な城館や擬古城が生まれるまで 大砲の発達に適応した近世城塞と巨獣のための美しい城館とに分化;中世風の都市城壁や城塞は時代遅れに/ロワール地方に見る優雅な城館の数々/19世紀のロマン主義が生んだ擬古城/城館ホテルに泊まる、など、
268ページ。


池上正太とORG、画:有田満弘・原田みどり、『城』(Truth In Fantasy 60)、新紀元社、2003
城の形式と防衛施設//
城砦;古代城壁都市/アクロポリス/城塞都市/モット・アンド・ベリー形式/シェル・キープ形式/レクタンギュラー・キープ形式/エドワード式城砦(コンセントリック型城砦)/フランス式城砦/ドイツ式城砦/ムデハール形式/中東式城砦/東欧式城砦/ムガル式城砦/インダス文明の古代城砦/都城/長城/山城/平山城/平城/ルネサンス式宮殿/バロック式宮殿/ロシア・ビザンチン様式宮殿/イスラム式宮殿/中国式宮殿(明清時代)/要塞/軍事要塞/日本の洋式城砦/南米の城砦/新世界の城砦(アフリカ)/アフリカ植民地の城//
世界の城砦史など、
268ページ。


ジョゼフ・ギース、フランシス・ギース、栗原泉訳、『中世ヨーロッパの城の生活』(講談社学術文庫 1712)、講談社、2005
原著は Joseph and Frances Gies, Life in a Medeival Castle, 1974/1977
まえがき-チェプストー城/城、海を渡る/城のあるじ/住まいとしての城/城の奥方/城の切り盛り/城の1日/狩猟/村人たち/騎士/戦時の城/城の1年/城の衰退など、
300ページ。


ジャン・メスキ、遠藤ゆかり訳、堀越孝一監修、『ヨーロッパ古城物語』(知の再発見双書 135)、創元社、2007
原著は Jean Mesqui, Les château forts. De la gierre à la paix, 1995
日本語監修者序文(堀越孝一)//
中世ヨーロッパの城と塔/城の形としくみ/城の暮らしの日常/城の伝説//
資料編-古城をめぐる考察-;象徴と地位:モットと城/13世紀に標準化された「フランス式」の城/中東の純粋な要塞/領主の住まい/14世紀における防衛と居住/建築主の役割/専門家の役割/ロマン主義の城 歴史建造物の城など、
168ページ。

 「第4章 城の伝説」には「地下道、あるいは『城の謎』」「地下の城」という節があったりします(pp.113-116)。
 関連して→こちら(「怪奇城の隠し通路」の頁)や、またそちら(「怪奇城の廊下」)、そちらの2(「怪奇城の地下」)で少し引きました。

 また→あちら(「怪奇城の外濠 Ⅱ」の頁の「廊下など」の項)、ここ(「怪奇城の外濠 Ⅲ」の頁の「おまけ」)、そこ(「怪奇城の画廊(前篇)」、また同じ頁のそこの2、さらにあそこ(「怪奇城の肖像(前篇)」の頁)でも触れています。

J.E.カウフマン、H.W.カウフマン、作図:ロバート・M.ジャーガ、中島智章訳、『中世ヨーロッパの城塞 攻防戦の舞台となった中世の城塞、要塞、および城壁都市』、マール社、2012
原著は J. E. Kaufmann, H.W. Kaufmann, Robert M. Jurga, The Midieval Fortress, 2001
中世築城の諸要素/中世前期の築城/城塞の時代/高くそびえる城壁の退場/中世の城塞と築城/付録など、
320ページ。


 →こちら(ハルレフ城塞、各種歩廊等/『マクベス』1971)や、そちら(ボディアム城/『ノーサンガー・アベイ』1987)でも触れています。

 そこも含めて、本サイトでしばしば〈鋸歯(型)胸壁〉という言葉を用いていますが、どこかで聞き覚えたものか、さもなくば勝手にでっちあげた代物かもしれず、正確には
  〈クレノー
créneau 付き胸壁〉
と呼ぶそうです(本書 pp.33-37)。
 「クレノー付き胸壁はアンブラジュールと呼ばれる開口部とメルロンと呼ばれる小壁体の連続からなっている」(p.33)。
 メルロン
merlon については用語一覧にも項目があり、そこでは「クレノー(開口部)」とされています(p.305)。仏語版ウィキペディアの該当頁→こちらも参照。その冒頭に、
 「クレノーの名はメルロンの間に残された開口部もメルロン自体も区別なく指し示す」
 とありました。ちなみにそこから日本語版ウィキペディアにもリンクが張られ(→そちら)、「胸壁(きょうへき 英語:
Battlementフランス語: Créneau)」となっています。
 また下掲のトレヴァー・ヨーク、村上リコ訳、『図説 イングランドのお屋敷~カントリー・ハウス~』(2015)では「狭間胸壁」と訳され、
「上部に凸凹をつけてある壁」
との註が付いていました(p.9)。
 次に挙げるヒスロップ、桑平幸子訳、『歴史的古城を読み解く』(2014)中の「胸壁」の項(pp.140-143)でも、「狭間付き胸壁」となっています。
 ちなみに「胸壁」は
Battlements、「狭間」は Crenellations。続く「狭間の鎧戸」(pp.144-145)は Crenel Shutters
 また、やはりたまたま、
  「
鋸歯状城壁(ツィンネ)
という和訳を見かけました(B.レック、A.テンネスマン、藤川芳朗訳、『イタリアの鼻 ルネサンスを拓いた、傭兵隊長フェデリーコ・ダ・モンテフェルトロ』、中央公論新社、2017、p.138)。手もとの独和辞書をめくってみると、

  Zinne :「小尖塔;狭間胸壁」
とのことです。「鋸歯状城壁(ツィンネンクランツ)(p.191)というのもありましたが、「クランツ」は
"Kranz"(輪)でいいのでしょうか、手もとの辞書にこの形では出てこず、今のところ不詳。
 また下掲のチャールズ・フィリップス、『[ヴィジュアル版] 中世ヨーロッパ 城郭・築城歴史百科』(2022)でも、「用語集」に「
Battlements バトルメント(狭間胸壁)」(p.325)、「Parapet パラペット(胸壁)」(p.328)、「Crenels クレノー(狭間)」(p.326)、「Merlon メルロン(小壁体)」(p.327)の項がありました。さらに、「Alure アリュール(歩廊)」(p.325、またp.119、p.189)および「Wall walk 城壁上歩廊」(p.329)などもあわせて参照。

 →「怪奇城の高い所(完結篇) - 屋上と城壁上歩廊など」の頁でも触れました

マルコム・ヒスロップ、桑平幸子訳、『歴史的古城を読み解く 世界の城郭建築と要塞の謎を理解するビジュアル実用ガイド』、ガイアブックス、2014
原著は Malcolm Hislop, How to Read Castles, 2011
城の基礎知識;機能/要塞/住居/設計と建築/城の種類/破壊と再生//
特徴のある特徴;大塔/城郭/塔と小塔/城壁上での防衛/城門/外堡/居住施設/礼拝堂/牢獄/戸口とポーチ/窓と射眼/水と衛生設備/暖房設備/階段室//
用語解説など、
256ページ。


 →こちら(「怪奇城の広間」の頁)や、そちら(「怪奇城の隠し通路」の頁)、またあちら(「怪奇城の高い所(完結篇) - 屋上と城壁上歩廊など」の頁でも挙げました
………………………

片木篤、『イギリスのカントリーハウス 建築巡礼 11』、丸善株式会社、1988
中世の伝統-ノルマン朝・テューダー朝の住宅/古典様式の到来-エリザベス朝・ジェイムズ朝の住宅/ルネサンスとバロック-スチュアート朝の住宅/古典様式の変容-ジョージ朝の住宅/中世への回帰-ヴィクトリア朝・エドワード朝の住宅など、
112ページ。


 →こちら(「怪奇城の外濠 Ⅱ」の頁の「廊下など」の項や、そちら(『ヘルハウス』(1973)の頁)、、またあちら(モンタキュート・ハウス/「拳葉飾りとアーチ - 怪奇城の意匠より」の頁)、ここ(「怪奇城の広間」の頁)、そこ(「怪奇城の画廊(前篇)」)、あそこ(「怪奇城の高い所(前篇) - 屋根裏など」の頁)、こっち(「怪奇城の高い所(中篇) - 三階以上など」の頁)でも挙げました

田中亮三、写真:増田彰久、『図説 英国貴族の城館 カントリー・ハウスのすべて』(ふくろうの本)、河出書房新社、1999/2008
プロローグ//
華麗なる貴族の館;館内探訪/魅惑のイングリッシュ・ガーデン//
スコットランドの城館;ブレアファン城を訪ねて/コーダー城・グラームズ城・ブレア城//
英国貴族とカントリー・ハウス;カントリー・ハウスとは?/英国の貴族文化など、
114ページ。


 こちら(「怪奇城の広間」の頁)や、また→そちら(「怪奇城の隠し通路」)、→あちら(「怪奇城の画廊(前篇)」)でも少し触れました

髙橋守、『英国家具の愉しみ その歴史とマナハウスの家具を訪ねて』、東京書籍、2006
はじめに//
英国家具入門;家具前史/オークの時代(1500~1660)/ウォルナットの時代(1660~1720)/マホガニーの時代(1720~1770)/サテンウッドの時代(1770~1830)/家具金具にみる時代様式/イラストでみる英国家具様式の変遷//
英国家具を飾るマナハウス15選;サイアン・パーク/ウーバン・アビー/ケデルストン・ホール/カースル・ハワード/バーリー・ハウス/ソルトラム/オードリー・エンド/チャッツワース/ランハイドロック/モンタキュー・ハウス/スペーク・ホール/ビーバー・カースル/ハドン・ホール/ウィンポール・ホール/ブリティッシュ・ヒルズ//
英国家具用語小辞典など、
136ページ。


 →こちら(「捻れ柱 - 怪奇城の意匠より」の頁)や、またそちら(モンタキュー・ハウス/「拳葉飾りとアーチ - 怪奇城の意匠より」の頁)でも触れました
 同じ著者による→あちらを参照:「怪奇城の外濠 Ⅱ」の頁の「庭園など」の項に『行ってみたい英国庭園 その歴史と名園を旅する』(2004)


チャールズ・フィリップス、大橋竜太日本語版監修、井上廣美訳、『イギリスの城郭・宮殿・邸宅 歴史図鑑』、原書房、2014
原著は Charles Phillips, The Illustrated Encyclopedia of the Castles, Palaces & Stately Houses of Britain & Ireland, 2007/2011
ジェントルマン住宅の見方・楽しみ方(大橋竜太)/はじめに//
古城 ~1485年;ローマ人のヴィラからノルマン人の城へ ~1154年/プランタジネット朝の力 1154~1307年/要塞化した邸宅の登場 1307~1400年/城とマナー・ハウス 1400~1485年//
チューダー朝とスチュアート朝 1485~1714年;チューダー朝初期の宮殿とカントリー・ハウス 1485~1550年頃/「偉観の館」 栄光の時代 1550頃~1600年/ジャコビアン様式のカントリー・ハウス 1600頃~1650年頃/王政復古様式 1660頃~1714年頃//
近現代 1714~現在;バロック様式とパラーディオ様式 1714頃~1760年頃/ジョージ王朝後期と摂政時代の邸宅 1760頃~1830年/ヴィクトリア朝様式と諸様式のリヴァイヴァル 1830頃~1901年/カントリー・ハウス・リヴァイヴァル 1901~現在など、
478ページ。


 大まかな年代順に、見開きないし×2を1単位として、コラムも含みつつ、1ないし数件の建物が写真付きで解説されます。
 →こちら(ボディアム城/『ノーサンガー・アベイ』、1987)やそちら(ブレナム宮殿/『ヘルハウス』、1973)、またあちら(ハーレフ城/『マクベス』、1971)、ここ(モンタキュート・ハウス/「拳葉飾りとアーチ - 怪奇城の意匠より」の頁)でも触れています


チャールズ・フィリップス、大橋竜太日本語版監修、井上廣美訳、『[ヴィジュアル版] 中世ヨーロッパ 城郭・築城歴史百科』、原書房、2022
原著は Charles Phillips, The Medieval Castle. Design Construction Daily Life, 2018
中世の城と生活 - 日本語版監修者まえがき(大橋竜太)/序文(ピーター・ギン)/はじめに//
バービカンと堀;外側の防御施設/堀 - 空堀と水堀//
ゲートハウス、城塔、跳ね橋;ゲートハウス/側防城塔/防御設備//
カーテン・ウォールとバトルメント;カーテン・ウォールの建造/カーテン・ウォールを築く/城壁の防御設備/コンセントリック型の城塞//
ベイリー;城の生活の中心/チェプストー城とベイリーの設計/ゲドロンの中庭//
キープ;シェル・キープ/タワー・キープ/資材の運搬/円筒形と多角形のタワー・キープ//
私室と居住空間;私室と来客用居室/暮らしを快適にする設備/ゲドロンの北棟の屋根//
大ホール;城の生活の中心地/娯楽/煙突と暖炉/大ホールの存続と進化/中世の城の床張り//
礼拝堂とその他の建物;礼拝堂とヴォールト天井/城と村/城に付随する建物とそこで働く人々//
厨房と菜園;食料の供給/厨房と調理/城の食事//
あとがき/用語集/築城の名手たちなど、
336ページ。


 「城を建設する段取りにしたがって項目ごとにまとめると同時に、学術的な解釈にもとづいて行われているフランスのブルゴーニュ地方のゲドロン城(Château de Guédelon)の建設プロジェクトの詳細を描写している」(「日本語版監修者まえがき」、p.5)
点が本書の特色になっています。その〈ゲドロン・プロジェクト〉において、
 「ゲドロン城は13世紀の様式で建てられている城で、当時使われていたであろう道具と資材と方法をできる限り用いている」(本文、p.24)、
 「ゲドロン城は1997年5月に着工した。25年かけて完成させる予定だ」(p.27)
とのことです。
 なお、カーテン・ウォール、バトルメント、メルロン、クレノー、そして、アリュール、ウォール・ウォークなどに関連して、→上掲カウフマン&カウフマン、『中世ヨーロッパの城塞』(2012)のところでも挙げました。→「怪奇城の高い所(完結篇) - 屋上と城壁上歩廊など」の頁でも触れています。
 第1章中の「トンネル」の節に関し、→「怪奇城の隠し通路」の頁で触れました。その際言及されたラ・ロシュ・ギュイヨン城をめぐって、→『レクイエム』(1971)の頁でも引きました。

トレヴァー・ヨーク、村上リコ訳、『図説 イングランドのお屋敷~カントリー・ハウス~』、マール社、2015
原著は Trevor Yorke, The English Country House Explained, 2012
はじめに//
歴史のなかのカントリー・ハウス;騎士道と暴食 中世後期とチューダー朝の館 1300-1560/富と人文科学 エリザベス一世とジェームズ一世時代の館 1560-1660/商業と科学 王政復古時代とウィリアム三世とメアリー二世時代の館 1660-1720/自由と感性 ジョージ王朝時代の館 1720-1800/帝国と産業 摂政時代、ヴィクトリア時代、エドワード時代の館 1800-1914//
カントリー・ハウスの細部;インテリアの成り立ち 鏡板、天井、そして暖炉/階上の部屋 ホール、応接間、正餐室/階下の部屋 キッチン、洗い場、そして酪農室/庭園と領地 テラス、大庭園、そして門楼//
便利な参考資料ガイドなど、
128ページ。


 著者は画家でもあるとのことで、写真以外に本人の手になる挿絵・図解が多数掲載されています。
 →こちら(本頁上掲、鋸歯型胸壁に関連して)や、そちら(「怪奇城の外濠 Ⅱ」の頁の「廊下など」などの項)、あちら(「階段で怪談を」の「文献等追補」)、ここ(『ノーサンガー・アベイ』(1987)の頁)、またそこ(「怪奇城の広間」の頁)や、あそこ(「怪奇城の廊下」)、こなた(「怪奇城の画廊(前篇)」)、こっち(「怪奇城の高い所(中篇) - 三階以上など」の頁でも触れました)でも少し触れました。
 あわせて;


トレヴァー・ヨーク、村上リコ訳、『図説 英国のインテリア史』、マール社、2016
原著は Trevor Yorke, British Interior House Styles, 2012
はじめに/チューダー様式とジャコビアン様式 1500-1660/王政復古様式とアン女王様式 1660-1720/初期ジョージ王様式 1720-1760/中期ジョージ王様式 1760-1800/摂政様式 1800-1840/初期ヴィクトリア様式 1840-1880/後期ヴィクトリア様式およびエドワード七世様式 1880-1920/戦間期および戦後の様式 1920-1960 など、
80ページ。


 →こちら(「捻れ柱 - 怪奇城の意匠より」の頁)や、そちら(「四角錐と四つの球 - 怪奇城の意匠より」の頁)、またあちら(「暖炉の中へ、暖炉の中から - 怪奇城の調度より」の頁)で少し引きました。
 同じ著者による→ここを参照:「怪奇城の外濠 Ⅱ」の頁の「塔など」の節


 城、館、屋敷、あるいは宮殿などとは違うのでしょうが;

W.ブラウンフェルス、渡辺鴻訳、『[図説]西欧の修道院建築』、八坂書房、2009
原著は Wolfgang Braunfels, Abendländische Klosterbaukunst, 1969
序/修道会戒律と建築計画/出発点/ザンクト・ガレンのユートピア/クリュニー/シトー会修道院/カルトゥジオ会修道院/修道院国家、修道院都市、修道院城砦/バロックの貴族修道院/修道院の世俗化と新しい動向//
文書資料など、
402ページ。


 「さきに『西ヨーロッパの修道院建築 - 戒律の共同体空間』(鹿島出版会、1974年)の書名で刊行した訳書の新版」(「訳者あとがき」、p.365)。
 →こちら(「拳葉飾りとアーチ - 怪奇城の意匠より」の頁)や、そちら(「怪奇城の図面」の頁)でも触れました

………………………

 日本の城についてはさらにいろいろとあることでしょうが、例によってとりあえず;

日名子元雄編、『城 日本の美術 no.54』、至文堂、1970.11
城の沿革/近世以前の城/近世の城 - その成立と終末 -/築城技術/城の建築/安土城と姫路城/現存する主要な城/城見学の手引きなど、
102ページ。


藤岡通夫、『城と書院 ブック・オブ・ブックス 日本の美術 16』、小学館、1971
図版//解説//
城郭の建築;安土築城/近世の城の特質/天守の変遷/門と櫓//
書院の建築;書院造りの大成/近世住宅にみられる公武の相違/誤られていた聚楽第・伏見城の遺構/寺院のなかの書院/書院造りと寝殿造り・数寄屋との交流など、
212ページ。


井上宗和、『城 ものと人間の文化史 9』、法政大学出版局、1973
城の発生と発達//
ヨーロッパの城の推移//
日本の城の推移;古代(原始時代~8世紀頃)/中世(9世紀~15世紀頃)/近世(16世紀~18世紀半頃)/近代(18世紀半~20世紀)//
城の種類と分類;系列による分類/年代による分類/地形による分類/平面形態による分類/土木形態による分類/建築形態による分類/構築者による分類/戦術目的による分類/軍学的分類//
城の機能と構造;城の抽象的機能/城の具体的機能と構造(住居防禦系の城、戦闘防禦系の城)//
築城の思想//
築城の技術;城地の選定/構築計画/土木工事/建築工事/築城の人的構成/復興天守閣/ヨーロッパの城の建築技術/現存する12の天守閣の構造と様式//
築城の経済;築城の経済/近世大名の築城の財源//
城と都市;集落と城/城と城下町/城下町と産業/城下町の現況//
城と文化;城の文化的貢献/城と美術(建築・構築美術としての城、庭園美術、関連美術と文化、城と宗教)//
城と戦争;日本の主な攻城戦/日本の攻城法と攻城兵器/ヨーロッパ、オリエントの攻城と兵器//
付章;日本の城年表/主要城址所在一覧//
城の定義(あとがきにかえて)など、
312ページ。


 同じ著者による→こちらを参照(本項下掲の『世界の城』、1969)

寺島良安、島田勇雄・竹島淳夫・樋口元巳訳注、『和漢三才図絵 14』、1989、「巻第八十一 家宅類」の巻の pp..261-262:「城」

西ヶ谷恭弘、『戦国の城 目で見る築城と戦略の全貌 総説編』、学習研究社、1993
築城;築城の歴史/地形の選定と構造/築城と農民・職人//
城と生活;普請と作事による構築/城と城下の年中行事//
城と武士・武将、合戦;城と武器・武具/城攻め/籠城戦/築城記の世界//
城郭事典;主殿建築ができるまで/城郭用語事典/城郭調査の手引など、
156ページ。


亀井伸雄、『城と城下町 日本の美術 No.402』、至文堂、1999
はじめに - 城郭及び城下形成に関する中世から近世への転換/戦国末期 - 群雄割拠を生きのびるための城下設計/都市図の歴史と城下絵図の作成/織豊前期 - 天下布武を視野に入れた城下設計/織豊後期 - 統一をかためるための城下設計/徳川幕府成立期 - 統一を維持するための城下設計//
特別寄稿 発掘調査からみた豊臣時代の大坂城と城下町(森毅)など、
98ページ。


田中哲雄、『城の石垣と堀 日本の美術 No.403』、至文堂、1999
城と石垣;石積みの歴史/採石・石質/運搬/石材加工/石垣基礎(縄)/石垣勾配/石垣の構造/石垣改修//
城の堀;堀の歴史//
付載 石垣符号//
用語の解説/石垣技術者など、
98ページ。


中村雅治、『城と天守 日本の美術 No.404』、至文堂、2000
天守の建築//
天守以外の城郭建築;城門/櫓/塀/その他の城郭建築//
現存する天守//
城郭と鯱(松下浩)など、
98ページ。


大和智、『城と御殿 日本の美術 No.405』、至文堂、2000
はじめに/近世城郭の御殿への系譜/近世の御殿へ/御殿の完成/御殿の変容//
徳川幕府造営の御殿における彫物欄間(伊東龍一)など、
98ページ。


 →こちら(「怪奇城の広間」の頁)でも挙げました

福永素久、「近世城郭における『廊下橋』考~城郭史研究の視点から見る、本丸・天守へ続く不思議な橋~」、『史学論叢』、no.41、2011.3、pp.67-92

萩原さちこ、『城の科学 個性豊かな天守の「超」技術』(ブルーバックス B-2038)、講談社、2017
城と天守の歴史/天守のつくり方~木造建築としての特徴~/天守の発展~形式と構造の変化~/天守の美と工夫/姫路城の漆喰~よみがえった純白の輝き~/松本城天守の漆の秘密~日本で唯一の漆黒の天守~/丸岡城の最新調査・研究事例~科学的調査で国宝をめざす~/松江城の新知見~明らかになった独自のメカニズム~/松本城・犬山城・彦根城天守の謎~天守に隠された変遷~//
現存12天守ガイドなど、
284ページ。


安藤優一郎、『図解 江戸の間取り 百万都市を俯瞰する』、彩図社、2020
総説 百万都市江戸の基本//
江戸城の間取り;江戸城の基本/江戸城天守/本丸御殿・表/本丸御殿・中奥/本丸御殿・大奥/番外編 本丸御殿・表【松の廊下】//
武家地の間取り;武家地の基本/大名屋敷・上屋敷/大名屋敷・中屋敷/大名屋敷・下屋敷/庭園/旗本屋敷/御家人屋敷/町奉行所/小伝馬町牢屋敷/養生所・医学館//
町人地の間取り;町人地の基本/江戸の町割り/表店/裏長屋/町の公共施設/湯屋/芝居小屋/吉原//
寺社地の間取り;寺社地の基本/増上寺・寛永寺/浅草寺/日枝だ神社・神田明神/寺社境内の開帳小屋//
江戸郊外地の間取り;江戸郊外地の基本/宿場町/八王子千人同心組頭の家/豪農・吉野家の屋敷など、
96ページ。


日本史の謎検証委員会編、『図解 城の間取り』、彩図社、2023
天下人たちの城の間取り;安土城/岐阜城/大坂城/伏見城/江戸城/駿府城//
間取りから見る防御の工夫;彦根城/松本城/名古屋城/和歌山城/水戸城/金沢城/高松城/岸和田城/伊予松山城/犬山城//
間取りから見る合戦;高天神城/熊本城/会津若松城/五稜郭/長岡城/山口城/勝山御殿/松前城//
間取りから見る経済・生活;小田原城/姫路城/川越城/赤穂城/桑名城/弘前城/首里城など、
144ページ。

………………………

 写真集的なものはたくさんあると思うのですが、とりあえず;

『別冊みずゑ スペインの城』、no.23、1959.4
イベリアに城を訪ねて(井上宗和)/スペインのお城の印象(吉田穂高)/スペインの城紹介など、
60ページ。

 撮影:井上宗和


 →こちら(マンサナーレス・エル・レアル(新)城/『シンドバッド黄金の航海』、1973)でも触れています

井上宗和、『世界の城』、朝日新聞社、1969
280ページ。

 同じ著者による→こちら(本項上掲の『城 ものと人間の文化史 9』、1973)や、またそちら(本項下掲の『幽霊城』、1977)を参照

川田喜久治、『ルードヴィヒⅡ世の城』(ソノラマ写真選書 24)、朝日ソノラマ、1979
118ページ。

 澁澤龍彦「太陽王と月の王」収録

 同じ著者による→こちらを参照:「怪奇城の外濠 Ⅲ」の頁の「ボマルツォの〈聖なる森〉」の項

太田静六、『イギリスの古城 世界の城郭(新装版)』、吉川弘文館、1986/2010
280ページ。

 →こちら(バンブラ城、ハーレック城/『マクベス』、1971)でも触れています

太田静六、『ヨーロッパの古城 城郭の発達とフランスの城 世界の城郭(新装版)』、吉川弘文館、1989/2011
326ページ。

太田静六、『スペイン・ポルトガルの古城 世界の城郭(新装版)』、吉川弘文館、1991/2010
290ページ。

 →こちら(マンサナーレス・エル・レアル(新)城/『シンドバッド黄金の航海』、1973)でも触れています

太田静六、『ドイツ・北欧・東欧の古城 世界の城郭(新装版)』、吉川弘文館、1992/2010
352ページ。

勝井規和、『ヨーロッパの古城』、クレオ、1997
144ページ。

橘川芯、監修:木村俊幸、写真協力:芳賀ライブラリー、『ヨーロッパの屋敷・庭園・貴族の館 背景資料ブックス 1』、グラフィック社、2011
176ページ。

 マルメゾン城に関し→こちら「四角錐と四つの球 - 怪奇城の意匠より」の頁、またヴィッラ・クレスピに関し→そちらで挙げました:「怪奇城の肖像(幕間)」の頁

橘川芯、監修:木村俊幸、写真協力:芳賀ライブラリー、『ヨーロッパの王宮・王と王妃の城 背景資料ブックス 2』、グラフィック社、2012
176ページ。

 こうした類の本のことはまるっきり知らなかったのですが、後者のカヴァー表紙には「写真点数650点以上収録!!!」との謳い文句が記されています。
 →こちらも参照:「怪奇城の外濠 Ⅱ」の頁の「背景用資料集その他」の項


Merveilles des châteaux de Bourgogne et Franche-Comté, (Collection Réalités), Hachette, 1969
『ブルゴーニュとフランシュ=コンテの城館の驚異』
308ページ。

 たまたま難波の古本屋で出くわしたもので、細部の写真が豊富に掲載されています。向こうにはこうした本が地方ごとにいろいろ出ているのでしょう。
 バゾシュの城に関し→こちらで引きました:『乙女の星』(1946)の頁


Heinz Götze, Castel del Monte. Geometric Marvel of the Middle Ages. Prestel, Munich and New York, 1998,
expanded English edition of the third German edition published in 1991, translated by Mary Schäfer

『カステル・デル・モンテ 中世の幾何学的驚異』
序論/ホーエンシュタウフェン建築の展開の諸経路/ホーエンシュタウフェン建築における形式言語/カステル・デル・モンテ-デザインと構築/幾何学的システムとその実現/平面図の由来/解釈など、
238ページ。

………………………

 絵本の類;

デビッド・マコーレイ、桐敷真次郎訳、『キャッスル - 古城の秘められた歴史をさぐる -』、岩波書店、1980
原著は David Macaulay, Castle, 1977
96ページ。

 あわせて;

デビッド・マコーレイ、飯田喜四郎訳、『カテドラル - 最も美しい大聖堂のできあがるまで -』、岩波書店、1979
原著は David Macaulay, Cathedral : the Story of its Construction, 1973
92ページ。

 こちらで(「怪奇城の高い所(後篇) - 塔など」の頁の「x. エピローグ」)、また→そちらこ(「怪奇城の隠し通路」の頁の「隠し扉とからくり」)で少し触れました

スティーヴン・ビースティー画、リチャード・プラット文、桐敷真次郎訳、『輪切り図鑑 ヨーロッパの城 中世の人々はどのように暮らし、どのように敵と戦ったか』、岩波書店、1994
原著は Text by Richard Platt, illustration by Stephen Biesty, Stephen Biesty's Cross-Sections - Castle, 1994
32ページ。

リチャード・プラット文、クリス・リデル絵、長友恵子訳、『中世の城日誌 少年トビアス、小姓になる』、岩波書店、2003
原著は Text by Richard Platt, illustration by Chris Riddell, Castle Diary. The Journal of Tobias Burgess, Page, 1999
64ページ。

クリストファー・グラヴェット、日本語版監修:森岡敬一郎、『古城事典 「知」のビジュアル百科』、あすなろ書房、2006
原著は Christopher Gravett, Eyewitness - Castle, 1994
64ページ。
………………………

 いささか過ぎるほどにいかにもいかにもなのが;

サイモン・マースデン解説・写真、平石律子訳、『幽霊城』、トレヴィル、1996
原著は Simon Marsden, The Journal of a Ghost Hunter. In Search of the Undead from Irland to Transylvania, 1994
128ページ。

サイモン・マースデン解説・写真、平石律子訳、『悪霊館』、トレヴィル、1996
原著は Simon Marsden, The Haunted Raelm. Spuk und Gespenster, 1986
コリン・ウィルスンの序文つき。
128ページ。


 →こちらでも挙げました:ダントルーン城(ブルー・オイスター・カルト Imaginos の内ジャケット/「近代など(20世紀~) Ⅳ」の頁の「おまけ」)

「永遠の痕跡 サイモン・マースデン」、『yaso 夜想/特集#「ヴァンパイア」』、2007.11、pp.68-73
川合健一、「サイモン・マースデンの世界」、 同上、pp.74-75

Simon Marsden, Phantoms of the Isles. Further tales from the Haunted Raelm, Webb & Bower, Exeter, 1990
『島々の幻影たち 憑かれた王国からのさらなるお話』
128ページ。


 →こちらでも挙げました:ボディアム城(『ノーサンガー・アベイ』、1987)


 ついでに、これも類書はたくさんありそうですが;

井上宗和、『幽霊城 追跡! 世界のミステリーゾーン』(ベストブックシリーズ)、ベストブック社、1977
224ページ。

 同じ著者による→こちらを参照(本項上掲の『世界の城』、1969)

シャーン・エヴァンズ、村上リコ日本版監修、田口未和訳、『フォト・ストーリー 英国の幽霊伝説 ナショナル・トラストの建物と怪奇現象』、原書房、2015
原著は Siân Evans, Ghosts : Tales from the National Trust, 2006
はじめに//
1~72//
解説(村上リコ)など、
288ページ。


ロバート・グレンビル、片山美佳子訳、『絶対に出る 世界の幽霊屋敷』、日経ナショナル・ジオグラフィック社、2018
原著は Robert Grenville, Haunted Places, 2017
城と要塞/墓地/ホテルと公共施設/家、屋敷、宮殿/工場/病院、刑務所/宗教施設/町、都市、島など、
228ページ。


 "Picture Credits"(p.227)にあるように、サイモン・マースデンのものを始めとして、写真は既存のものを集めたようです。それにごく短い、エピソードを紹介した文章がつくというものでした。ただ建物の外観だけでなく、時たま内部を映したものも混じっているのは、嬉しいところでしょうか。

文:織守きょうや、イラスト:山田佳世子、『英国の幽霊城ミステリー』、エクスナレッジ、2023
はじめに/英国王朝の家系図/英国幽霊城MAP//
ウィンザー城と25人の幽霊/キンボルトン城とキャサリン・オブ・アラゴン/ロンドン塔に囚われたものたち/SPECIAL CASE 1 ラドロー城/愛憎劇の舞台ハンプトン・コート宮殿/女王の少女時代とハットフィールド・ハウス/SPECIAL CASE 2 バルモラル城/スコットランド女王メアリーの足跡をたどる/惨劇の舞台ホリールードハウス宮殿/伝説と秘宝の宝庫グラームス城/幽霊の町エディンバラとエディンバラ城/列聖された王と英国一悪名高い王の伝説/人気観光スポットの
血塗(ちまみ)れの歴史/昼夜問わずゴーストに会える廃城ベリー・ポメロイ城/現役の宮殿に住むゴーストたち//
おわりに(山田佳世子)など、
216ページ。

v. ゴシック・ロマンス、その他

ゴシック・ロマンスなど
ゴシック・リヴァイヴァル 
その後の〈ゴス〉など
文学と建築、その他

 ここで取りあげる作品の少なからずは昨今では〈ゴシック・ホラー〉と呼び慣わされています。この呼称がいつ頃から使われるようになったのかは詳らかにしないのですが、その際〈ゴシック〉の語は、おおよそ12世紀後半から15世紀初頭にかけて展開した本家ではなく、『オトラント城綺譚』(1764)を嚆矢とする〈ゴシック・ロマンス〉に由来するものと見なしてよいでしょう。そこでまずは;

紀田順一郎編、『出口なき迷宮 反近代のロマン〈ゴシック〉』、牧神社、1975
オトラントまたは夢の城 ホーレス・ウォルポール(紀田順一郎)/狂王ヴァテック - 異端の成立 ウィリアム・ベックフォード(荒俣宏)/ロマンスの再生 - 月光と鮮血に浸されたページ アン・ラドクリフ(同)/造物主または闇の力 メアリー・シェリー(紀田順一郎)/『放浪者メルモス』または人間悪の創世記 C.R.マチューリン(荒俣宏)/ホフマン - その生の大伽藍 E.T.A.ホフマン(深田甫)/『悪魔の恋』と断頭台 ジャック・カゾット(秋山和夫)/『吸血鬼ヴァーニ』ヴィクトリア期の夢に寄せて T.P.プレスト(荒俣宏)/神話の創造と崩壊 エドガー・アラン・ポオ(紀田順一郎)/戦慄の創造者 J.S.レ・ファニュ(荒俣宏)/暗い函のなかを覗く ヴィルヘルム・ブッシュ(深田甫)/出口なき迷宮 - 薄明の文化を求めて(紀田順一郎)/伽藍その仕掛けられた罠(麻原雄)など、
304ページ。


 →こちら(「近代など(20世紀~) Ⅳ」の頁の「xvii. ブックガイド、通史など」)の怪奇小説史の類も参照、また→そちらでも少し触れました:「怪奇城の隠し通路」の頁
 荒俣宏による→あちらも参照:「魔術、神秘学、隠秘学など」の頁

小池滋・志村正雄・富山太佳夫編、『城と眩暈(めまい) ゴシックを読む』(ゴシック叢書 20)、国書刊行会、1982
はしがき(小池滋)//
Ⅰ;英国ロマン派とゴシック小説 - 開いた自然と閉じた自然(野島秀勝)/目の中の劇場 - ゴシック的視覚の観念史(高山宏)/ゴシック文学と建築の復興(鈴木博之)/現代イギリス幻想小説と〈ゴシック〉(井出弘之)/
 アメリカン・ゴシックの誕生(八木敏雄)/現代アメリカ小説におけるゴシックの
(すえ)(志村正雄)//
Ⅱ;ドイツ恐怖小説とゴシック小説(石川實)/暗黒の美学とフランス、あるいはフランスにおけるゴシック小説の影響と発展(私市保彦)/彷徨と喪神 - ロシア文学におけるゴシック・ロマンスの系譜(沼野充義)/タルケッティとゴシック小説(竹山博英)/現代イスパノ・アメリカ文学とゴシック(木村榮一)/
 江戸期小説・幻想と怪奇の構造(高田衛)//
Ⅲ;アイデンティティーの事件簿 - ゴシック小説と推理小説(小池滋)/『修道士』の対比構造(富山太佳夫)/廃墟としてのテキスト - ゴシック意識の考古学(ジャン・B・ゴードン 志村正雄訳)/吸血の花 - 呪いの目、分身たちの不毛な性 - ゴシック小説のテマチック(篠田知和基)/サイエンスフィクションとネオゴシック(山野浩一)/聖堂譚 - エルンスト・フックスによる建築幻想(池内紀)など、
476ページ。


 こちら(「〈怪奇〉と〈ホラー〉など、若干の用語について」の頁)で少し触れました。

横山茂雄、『異形のテクスト 英国ロマンティック・ノヴェルの系譜』、国書刊行会、1998
拡張と逸脱 - ロマンティック・ノヴェルとは何か/崇高なる迷妄 - 『ケイレブ・ウィリアムズ』から『サン・レオン』へ/知識の両義性 - 『サン・レオン』から『フランケンシュタイン』へ/鏡の中の悪魔 - 『義とされた罪人の手記と告白』/閉ざされた楽園 - 『嵐が丘』/空想の不思議な魔術的歓び - 『ヴィレット』//
附論 恐怖の分類学など、
214ページ。

 →こちらで少し触れました:『ノーサンガー・アベイ』(1987)の頁
 同じ著者による→そちら(「近代など(20世紀~) Ⅲ」の頁の「xvi. 20世紀神秘学の歴史など」)や、あちら(稲生平太郎名義:本頁上掲「iii. 怪奇映画とその歴史など」)を参照


八木敏雄、『アメリカン・ゴシックの水脈』、研究社出版、1992
アメリカン・ゴシックの水脈/新大陸のゴシック風景/アメリカン・ゴシックの誕生/アメリカの「神話」 - 「リップ・ヴァン・ウィンクル」/フェニモア・クーパーのインディアンのいる風景/エドガー・アラン・ポーのゴシック世界/ナサニエル・ホーソンのゴシシズム/メルヴィルの『ピエール』など、
280ページ。


マーク・ジャンコヴィック、『恐怖の臨界 ホラーの政治学』、1997、第2章~第4章
第2章 ゴシック小説;ゴシック小説におけるジェンダーと権力/3人のゴシック作家たち-ホラス・ウォルポール、アン・ラドクリフ、マシュー・グレゴリー・ルイス/フランケンシュタインにおける科学、ジェンダー、反乱//
第3章 アメリカの悪夢-モダニティとアメリカン・ルネッサンス;ロマンスの理論-アメリカン・ルネッサンスの規範化(キャノン)におけるホラーと歴史の否定/エドガー・アラン・ポーと近代化における反動/ナサニエル・ホーソーンと歴史の矛盾//
第4章 後期ヴィクトリア朝的想像力の野獣;ホラー・ジャンルの復活/ジキル博士、ハイド氏と19世紀後半のブルジョワ倫理のジレンマ/ブルジョワの血を干上がらせろ-『ドラキュラ』と独占資本主義の恐怖


 また

クリストファー・フレイリング、荒木正純・田中孝夫訳、『悪夢の世界 ホラー小説誕生』、東洋書林、1998
原著は Christopher Frayling, Nightmare : The Birth of Horror, 1996
プロローグ-悪夢/序 恐怖の誕生/フランケンシュタインドラキュラ/ジーキル博士とハイド氏/バスカヴィル家の犬/エピローグ 恐怖……など、
414ページ。

 「本書はイギリスのBBC放送局によって取り上げられ、テレビの教養番組として製作された。これは日本においても、昨年夏、NHK教育テレビの『知への旅』という番組の中で放映されている。『イギリス文学に見る怪奇小説の誕生』というタイトルで、各章ごとに一回ずつ、全体で四回のシリーズであった」
とのこと(「訳者あとがき」、p.387)。
 同じ著者による→こちらも参照:『回転』(1961)の頁の「Cf.


神尾美津雄、「幽霊城の内と外 - ラドクリフ『ユードルフォの神秘』 -」、『英文学研究』、63巻1号、1986、pp.61-74 [ < J-STAGE
DOI https://doi.org/10.20759/elsjp.63.1_61

 景観描写をいささか心理的に解釈しすぎるような気がしなくもありませんが、次のような美しいくだりを見出すことができました;
「ユードルフォには螺旋の階段、塔、迂回路の廊下、ドア、そして通路がありすぎる」(p.71)


 →こちらにも挙げておきます:『ノーサンガー・アベイ』(1987)の頁の「Cf.
 この論文は次の単行本に第7章として収められました(上の一文は p.223。また論文では原語のままだった英文引用が、和訳されています);

神尾美津雄、『闇、飛翔、そして精神の奈落 - イギリス古典主義からロマン主義へ -』、英宝社、1989
はじめに/言葉と狂気 - ロレンス・スターン『トリストラム・シャンディ』 -/分類と統語 - 普遍言語のエピステメー -/無限空間と想像力 - 崇高の変容 -/闇、飛翔、そして精神の奈落 - エドワード・ヤング『夜想』 - /地球物語 - トマス・バーネット『聖なる地球論』 -/S字曲線と自然風庭園/幽霊城の内と外 - アン・ラドクリフ『ユードルフォの神秘』 -/牧歌の彼方の「時の磁場」 - ワーズワス『序曲』(1) -/アルプス越えとスノードン登攀 - ワーズワス『序曲』(2) -/シニフィアンの錯乱 - シェリー「モンブラン」 -/阿片と闇のラビリンス - キーツ、コールリッジ、そしてデ・クインシイ -など、
446ページ。


 同じ著者による;

神尾美津雄、『他者の登場 - イギリス・ゴシック小説の周辺 -』、近代文藝社、1994
はじめに/準拠枠と他者 物語りのある風景 - ミメーシスとしての美意識 -/運命愛と他者 プロットの運命・運命のプロット - アン・ラドクリフ『森のロマンス』 -、反復と相互参照 - マシュー・ルイス『修道士』 -/自意識と他者 閉所愛の生態学 - 断片的他者 -/制度と他者 パンドラの箱に封印を - メアリ・シェリー『フランケンシュタイン』 -遍在する他者 - ブラム・ストーカー『ドラキュラ』 -/無意識と他者 反乱する想像力 - コールリッジとワーズワス -など、
258ページ。


亀井伸治、「予感に満ちた城 - E.T.A.ホフマンの『世襲領』における城と幽霊の描写について -」、『早稲田大学大学院文学研究科紀要. 第2分冊, 英文学フランス文学ドイツ文学ロシヤ文学中国文学』、46号、2000、pp.101-111 [ < 早稲田大学リポジトリ WUR

 ゴシック小説流行時にすでに、

 「超自然現象が最終的には人工的なトリックとして合理的に解明される(いわゆる『説明された超自然』)小説がアン・ラドクリフによって創出される(『ユードルフォの秘密』
The Mysteries of Udolpho. 1794、『イタリア人』 The Italian. 1797)一方で、この要素は他方、心理学的色彩を濃厚にする方向へと傾く」(p.103)

とされるかたわら、本論文の主題であるホフマンの「世襲領」
Das Majorat. 1817

 「幽霊が…(中略)…完全に客観的な存在として語られること」(p.102)

 「を巡って先行研究が表明するテクストへの違和感」(p.104)

が挙げられ、そうした問題を解決するのが、ここでは

 「環境それ自体が隠れた真の主体」(同上)

にほかならないことが指摘されます。すなわち

 「環境の総体としての『城』」

だというのです。
 また註12には、

 「E.A.ポオの『アッシャー家の崩壊』
The Fall of the House of Usher. 1839 は、その創作過程における『世襲領』の影響が検証されている…(中略)…。ただ『世襲領』全体の印象は、総てが美学的に象徴化されたポオ作品よりは、シャーリー・ジャクスンの『山荘綺譚』 The Haunting of Hill House. 1959、リチャード・マシスンの『地獄の家』 Hell House. 1971、あるいはスティーヴン・キングの『シャイニング』 The Shining. 1977 といったモダン・ホラーの幽霊屋敷譚にむしろ近い」

とありました(pp.110-111)。
 なお当の中篇は何度か邦訳されているようですが、ここではとりあえず;

E.T.A.ホフマン、深田甫訳、『ホフマン全集 3 夜景作品集』、創土社、1971、pp.319-464:「世襲権」

 目次を掲げておくと;
第一部(1816);砂男/イグナーツ・デナー/G・町のジェスィット教会/サンクトゥス(聖なるかな)//
第二部(1817);荒びれた家/世襲権/誓願/石の心臓//
ホフマン論紹介 ヴォルフガング・カイザー《グロテスクなもの》//
作品解題など、
618ページ。

 戻って上の論文の著者による;

亀井伸治、『ドイツのゴシック小説』、彩流社、2009
序章 ドイツのゴシック小説というジャンル;成立と発展/先行研究と問題点/反古典主義小説・ロマン主義小説との類比//
騎士小説を含む歴史小説;形成とその背景/作家と作品/ドイツのゴシック小説と「歴史」//
盗賊小説と狭義の恐怖小説;作家と作品 1/作家と作品 2/ドイツのゴシック小説と啓蒙主義//
翻訳に見る英国とドイツの関係;翻訳作品概観/『オトラントの城』の場合/『降霊術師』の場合//
秘密結社小説;作品の種類/構造と特質/秘密結社小説の世界像//
ドイツのゴシック小説の語り;「新しい小説」/語りの技法/不安の文学//
附論 ドイツのゴシック小説としてのE・T・A・ホフマン作品;ドイツのゴシック小説における想像力/『世襲領』/『磁気催眠術師』/ドイツのゴシック小説と宗教/『悪魔の霊液』//
図版出典・解説など、
420ページ。


荻野昌利、『視線の歴史 〈窓〉と西洋文明』、世界思想社、2004、第7章~第9章
第7章 18世紀末イギリス - ロマン主義の時代(1) -;〈崇高〉への希求/ゴシックの館にて/ゴシック的繚乱/夢魔と〈窓〉/眺望の〈窓〉-『ユドルフォ城の謎』/覗きの〈窓〉-『フランケンシュタイン』//
第8章 19世紀前半 - ロマン主義の時代(2) -;ロマン主義の苦悩/無限への憧憬-ファウスト的理想/ロマンティック・アイロニー(1) - 山頂に立つ/ロマンティック・アイロニー(2) - 窓辺に立つ/〈窓〉の内と外 - ジョン・キーツ/自己解放の〈窓〉(1) - シャーロット・ブロンテ/自己解放の〈窓〉(2) - エミリー・ブロンテ//
第9章 ヴィクトリア朝イギリス;光の呼ぶ声(1) - テニソンと〈窓〉/光の呼ぶ声(2) - ブラウニングと〈窓〉/呪われた館(1) - ポーの場合/呪われた館(2) - ホーソンの場合/呪われた館(3) - ディケンズの場合/光明の伝道者 - カーライル/「良心の目覚め」 - ホルマン・ハントの道徳画/〈鏡〉から〈窓〉へ - ジョージ・エリオットの世界


武井博美、『ゴシックロマンスとその行方 建築と空間の表象』、彩流社、2010
序章 ゴシックロマンスにおける建築;中世と〈ゴシックなるもの〉/ゴシックロマンスとロマン主義/ゴシック的美意識とアルプス越え/ゴシック批評の流れ/本書の構成について//
息づく城 - ホレス・ウォルポール『オトラントの城』;閉ざされた扉/建築と結びつく人物たち/舞台の特異性//
〈無限〉という名の恐怖 - ウィリアム・ベックフォード『ヴァセック』;ベックフォードとウォルポール/『ヴァセック』の建造物/〈実体〉から〈空間〉へ//
反転する住居と牢獄 - アン・ラドクリフ『イタリア人』とM・G・ルイス『マンク』;〈住居〉としての建築/〈監禁場所〉としての建築/『マンク』の地獄絵図//
廃墟と大自然 - メアリ・シェリー『フランケンシュタイン』;建築としての氷河/テラーとホラー - ラドクリフとルイスとの比較考察/高低差のある舞台 - ベックフォードとの比較考察//
虚構と現実の館 - ジェイン・オースティン『ノーサンガー・アビー』;日常の閉塞感/監禁と追放/屋敷の外側・内側//
窓を通して見る世界 - シャーロット・ブロンテ『ジェイン・エア』;境界としての窓/監禁されるヒロインと分身/枠組みの崩壊//
自己対峙の場所 - ヘンリー・ジェイムズ『ねじの回転』;ゴシシズムと心の闇/影法師としての登場人物/窓を挟んで//
結論 文学における建築の表象など、
326ページ。


 →こちらで少し引きました:「怪奇城の地下」の頁、またそちら(「怪奇城の画廊(前篇)」の頁や、「〈怪奇〉と〈ホラー〉など、若干の用語について」の頁でも触れています。

マリー・マルヴィ-ロバーツ編、金﨑茂樹・神崎ゆかり・菅田浩一・杉山洋子・長尾知子・比名和子訳、『ゴシック入門 増補改訂版』、英宝社、2012
 『ゴシック入門:123の視点』(2006)の増補改訂版
原著は
Edited by Marie Mulvey-Roberts, The Handbook of the Gothic, 2009
(初版は The Handbook to Gothic Literature, 1998
増補改訂版・序文/初版・はじめに//
ゴシックの作家(01~43)/ゴシックの用語、テーマ、概念、コンテクスト(44~129)/ゴシックの地域(130~146)//
関連文献/映画作品目録(双方英文のみ)など、
464ページ。

 事典形式、初版は邦題にあるように123項目、増補改訂版で23項目追加(ただしいくつか他項に送られる項あり)。
 →こちら(「〈怪奇〉と〈ホラー〉など、若干の用語について」の頁)で少し触れました。


デイヴィッド・パンター、石月正伸・古宮照雄・鈴木孝・髙島真理子・谷岡朗・安田比呂志訳、『恐怖の文学 その社会的・心理的考察 1765年から1872年までの英米ゴシック文学の歴史』、松柏社、2016
原著は David Punter, The Literature of Terror : A History of Gothic Fictions from 1765 to the Present Day volume 1 The Gothic Tradition, 1980/1996
日本語版への序文/初版序文/第二版序文//
序論 ゴシックの諸相//
ゴシック小説の起源 感傷主義、墓畔派詩歌、崇高、スモレット、ホレス・ウォルポール、クララ・リーヴ、ソフィア・リー//
古典ゴシック小説 アン・ラドクリフとマシュー・ルイス//
ゴシックとロマン主義 ブレイク、コールリッジ、シェリー、バイロン、キーツ、ジョン・ポリドリ、メアリー・シェリー//
迫害の弁証法 ウィリアム・ゴドウィン、C・R・マチューリン、ジェイムズ・ホッグ//
ゴシックと歴史と中産階級 スコット、ブルワー=リットン、G・P・R・ジェイムズ、ウィリアム・ハリソン・エインズワース、G・W・M・レノルズ//
初期のアメリカ・ゴシック小説 チャールズ・ブロックデン・ブラウン、ナサニエル・ホーソーン、エドガー・アラン・ポー//
ゴシックと煽情小説 ディケンズ、ウィルキー・コリンズ、シェリダン・レ・ファニュ//
批評に関する付録など、
454ページ。


デヴェンドラ・P・ヴァーマ、大場厚志・古宮照雄・鈴木孝・谷岡朗・中村栄造訳、『ゴシックの炎 イギリスにおけるゴシック小説の歴史 その起源、開花、崩壊と影響の残滓』、松柏社、2018
原著は Devendra P. Varma, The Gothic Flame : Being a History of the GOTHIC NOVEL in England : Ist Origins, Efflorescence, Disintegration, and Residuary Influences, 1957
謝辞/緒言(ハーバート・リード)/序文/
足跡と影 - ゴシックの精神/背景 - 源流と逆流/最初のゴシック小説 - その可能性/歴史ゴシック派小説 - オトラントの後継者たち/ラドクリフ夫人 -
恐怖(テラー)の技法/怪奇ロマンス派 - または戦慄(ホラー)の部屋/ゴシックの分流 - 影響の残滓/神秘なるもの(ヌミノーゼ)の探求 - ゴシックの炎/
補遺Ⅰ/補遺Ⅱ/補遺Ⅲなど、
506ページ。


 「補遺Ⅰ」(pp.381-383)では画家たちの名が並びます;ピカソ、シャガール、キリコ、クレー、エルンスト、ミロ、ダリ、マッソン、そしてボス、ゴヤ、ブレイク
 「補遺Ⅲ」(pp.385-393)では探偵小説とスリラーが一瞥されます。
 →そちら(「〈怪奇〉と〈ホラー〉など、若干の用語について」の頁)で少し触れています。


 ゴシック・ロマンス的なるものの視覚的側面について;

高山宏、「目の中の劇場 ゴシック的視覚の観念史」、『目の中の劇場』、青土社、1985、pp.71-153
逆立する魔邸/「絵画的」な文学/ピクチャレスクとサブライム、廃墟と階段(→こちらにも挙げておきます:「階段で怪談を」の頁の「文献等補遺」)/光学装置/額縁の中の牢獄

 初出は上掲『城と眩暈』(1982)
 →そちらにも挙げています:《オペラ座断面図》(1875)の頁

 同書の他の内容は;

星のない劇場/王権神授のドラマトゥルギー 遠近法の政治学//
庭の畸形学 凸面鏡の中の〈近代〉の自画像//
迷宮の言語都市 アンチ・ピクチャレスクの一形式/光学の都の反光学 ディケンズとザ・ピクチャレスク/〈視〉に淫す ヘンリー・ジェイムズの〈窓〉//
死の資本主義 マガザン・ド・デーユ周辺/悪魔のルナパークなど、
414ページ。

 同じ著者による→こちら(「近代など(20世紀~) Ⅳ」の頁の「小栗虫太郎」の項)や、またそちらを参照:「怪奇城の外濠 Ⅱ」の頁の「vii. 建築画、街景図、紙上建築など


Joseph Andriano, Our Ladies of Darkness. Feminine Daemonology in Male Gothic Fiction, The Pennsylvania State University Press, Berkely, University Park, Pennsylvania, 1993
『我らが闇の貴婦人たち 男性によるゴシック・フィクションにおける女性的ダイモーン論』
序論//
ビオンデッタ/ビオンデット:元型としての『恋する悪魔』;恋する悪魔/女性的なダイモーンとしての女性悪霊//
『モンク』における女性的なるもの:崇高な聖母から血を流す尼僧へ;マティルダと聖母/血を流す尼僧//
「気味の悪い衝動」:E.T.A.ホフマンの深層心理学;「砂男」:幻視の過ち/「ファールンの鉱山」:魂の「力強い諸要素」/対//
「魂を吹きこまれた屍」:三篇のゴシック物語における元型的読みかえ;ワシントン・アーヴィングの首のない花嫁:「ドイツ人学生の冒険」/テオフィル・ゴーティエの主への反抗者:「死女の恋」/「リジイア」における元型的投影//
ヴィクトリア朝の妖婦たち:性と死の諸元型;深みからの溜息としてのアニマ:トマス・ド・クインシーの『深き淵よりの嘆息』/「私たちの二重の実存」:レ・ファニュの「カーミラ」における愛することと死ぬこと/ドラキュラのラミアたち:不浄な輪//
ヘンリー・ジェイムズの二篇の初期の物語における女性的妄執;メドゥーサとしてのムーサ:「未来のマドンナ」/呪物対妻:「ヴァレリー家最後の者」におけるユーノー元型//
鬼から友へ:近代ゴシックにおけるダイモーン的女性性//
結論 元型的弁証法//
附録;A アニマを認識する/B ユング以後の論争など、
192ページ。


Sarah Burns, Painting the Dark Side. Art and the Gothic Imagination in Nineteenth-Century America, University of California Press, Berkely, Los Angeles, London, 2004
『暗い側を描く 19世紀アメリカにおける美術とゴシック的想像力』
序論/暗がりと運命/地下の男/覆い隠された過去/もっとも深い闇/影の呪い/心的怪物たち/腐蝕する眺め/汚い絵/エピローグなど、
328ページ。


Gothic Nightmares. Fuseli, Blake and the Romantic Imagination, Tate Britain, 2006, Tate Publishing
『ゴシック的な夢魔 フューズリ、ブレイクとロマン主義的想像力』展図録
フューズリの《夢魔》:崇高と滑稽の間のどこか(クリストファー・フレイリング)/発明された構想:ヘンリー・フューズリの魅入られた人形と妖精の分身(マリナ・ワーナー)/フューズリからフランケンシュタインへ:ゴシックの文脈における視覚芸術(マーティン・マイロン)//
カタログ(マーティン・マイロン)夢魔:フュースリと恐怖の芸術/倒錯した古典主義/超英雄たち/ゴシック的な陰鬱さ/魔女たちと亡霊たち/ファンタスマゴリア(マーティン・マイロン、マーヴィン・ハード)/妖精たちと宿命の女たち/革命、啓示と黙示録/近代文化における夢魔など、
224ページ。


 副題にあるようにフューズリを軸に18世紀後半が主な対象ですが、カタログの最終章で『ノスフェラトゥ』(1922)、『フランケンシュタイン』(1931)、『ゴシック』(1986)が挙げられる他(cat.nos.155-157)、時たま恐怖映画からの挿図が参考として小さく載せられたりしています(p.18:『カリガリ博士』(1919)、p.164:『サスペリア』(1977)、p.179:『悪魔のいけにえ』(1974)、p.180:『ゾンビ』(1978))。
 →こちら(「ロココ、啓蒙思想など(18世紀)」の頁の「v. ブレイクなど」)や、そちら(ブレイク《エニサーモンの喜びの夜》、旧称《ヘカテー》(1795年頃/1805年頃)の頁の Cf.)、またあちら(『フランケンシュタイン』(1931)の頁の「おまけ」)でも挙げました


Dark Romanticism. From Goya to Max Enst, Städel Museum, Frankfurt am Main, 2012-2013, Hatje Cantz
『暗いロマン主義』展図録
暗いロマン主義 一アプローチ(フェリックス・クレーマー)/気味の悪いイメージ 1800年前後の視覚芸術の「夜の側面」(ヨハンネス・グラーフェ)/悪夢-苦悶-黙示録 近代主義の芸術における気味の悪いものと破局的なもの(フーベルトゥス・コーレ)//
カタログ;ゴヤと暗い美(マヌエラ・B・メナ・マルケス)/崇高の諸契機 フューズリとイギリス美術における暗いロマン主義の諸相(フランツィスカ・レンチュ)/サタンの後継者たち フランス・ロマン主義における非合理性の遺産(ネリーナ・サントリウス)/あなたが闇の中に見たのは…… 1850年以前のドイツ絵画における暗いロマン主義(マライケ・ヘニヒ)/デカダンスと自己の悪魔主義 フランスとベルギーの象徴主義(ドロテー・ゲルケンス)/「
あえて知恵を持て(サペレ・アウデー)」 啓蒙された時代におけるロマン的象徴主義(クラウディア・ヴァグナー)/夢の全能 ロマン主義とシュルレアリスム(インゴ・ボルゲス)//
エッセイ;「光は取り除かれた」 ロマン主義文学について(ロラン・ボルガール)/絵画の音 オペラにおける暗いロマン主義(アレクサンダー・マイアー=デルツェンバッハ)/生けるイメージ 映画における暗いロマン主義(クラウディア・ディルマン)など、
305ページ。


 最後のディルマンによるエッセイ(→こちらでも挙げています:ヴィールツ《早すぎた埋葬》(1854)の頁の Cf.)の他、p.217/cat.no.150に『吸血鬼ノスフェラトゥ』、
p.223/cat.no.157に『ファウスト』(1926、監督:ムルナウ)、
p.231/cat.no.158に『アンダルシアの犬』(1939、監督:ブニュエル)、
p.236/cat.no.163に『白い恐怖』(1945、監督:ヒチコック)、
p.240/cat.no.169に『吸血鬼』、p.243/cat.no.172に『魔人ドラキュラ』、
p.247/cat.no.176に『霊魂の不滅』(1921、監督:ヴィクトル・シェストレム)、
p.248/cat.no.177に『死滅の谷』、
p.251/cat.no.182に『アッシャー家の末裔』、
p.257/cat.no.188に『フランケンシュタイン
 のスティールが掲載されています。


 ロマン主義と来れば、とりあえず;

マリオ・プラーツ、『肉体と死と悪魔 ロマンティック・アゴニー』、1986

 ロマン主義については「宇宙論の歴史、孫引きガイド」中の「ロマン主義、近代など(18世紀末~19世紀)」、とりわけ「xii. ロマン主義、象徴主義の周辺など」等も参照ください。
………………………

 主として英文学史の領域に属するゴシック・ロマンスと関わりの深いのが、主としてイギリス建築史の領域で語られる〈ゴシック・リヴァイヴァル〉となります;

ケネス・クラーク、近藤存志訳、『ゴシック・リヴァイヴァル』、白水社、2005
原著は Kenneth Clark, The Gothic Revival. An Essay in the History of Taste, 1928/1950
序文/ゴシックの残存/文学的影響/廃墟とロココ-ストロウベリ・ヒル/ロマン主義と考古学/教会/国会議事堂/ピュージン/教会論/ギルバート・スコット/ラスキン/エピローグなど、
340ページ。


 →こちらで少し触れました:「階段で怪談を」の頁の「文献等追補」中の「その他、フィクションから

クリス・ブルックス、鈴木博之・豊口真衣子訳、『ゴシック・リヴァイヴァル 岩波 世界の美術』、岩波書店、2003
原著は Chris Brooks, The Gothic Revival, 1999
序/洋式の誕生 中世ゴシック/権力のレトリック ゴシックの遺産 1600-1700年/邸宅と庭園 18世紀前半/ピクチャレスクから崇高へ 18世紀後半/怪物と乙女 ゴシック小説/ロマン派の想像力 ゴシックの登場/邸宅と城館 住宅ゴシック 1775-1850年/監獄から教会へ 世俗の施設 1800-1840年/正しい原理の再発見 教会建築ゴシック 1810-1850年/伝統を継ぐもの イギリスを越えたゴシック/石に刻まれた説教 盛期ヴィクトリア朝ゴシック文選/新しい時代 ヨーロッパとアメリカ 1850-1900年/大聖堂と商業 後期ゴシック・リヴァイヴァル/結び 20世紀のゴシックなど、
448ページ。


マイケル・ルーイス、粟野修司訳、『ゴシック・リヴァイヴァル』、英宝社、2004
原著は Michael Lewis, The Gothic Revival, (World of Art), 2002
序/文学/ロマン主義/ナショナリズム/真実/発展/鉄/美/絶頂など、
272ページ。

………………………

 その後の拡がりも含めて;

『ゴシック・テイスト 〝暗黒世界〟への扉』(TH叢書 No.17)、アトリエサード、2002
疾走する科学と甦るゴシック(中野善夫)/よくわかる〝ゴシック精神〟入門/不在にして遍在の館~『黒死館殺人事件』(虚青裕)/こうして現代エンタテインメント小説は生まれた! ゴシック・ロマンスの誕生と発展に関する非常に簡単なおさらい(沖沢あきら)/ハリー・ポッターの魔法空間(三村美衣)/ロマンス小説としての正統派ゴシック ゴシック・ロマンスの女王ビクトリア・ホルトを例に……(いわためぐみ)/Goth-ic に浸る音楽(徳岡正肇)/闇夜への誘い Goth-ic selection 47/ゴシックきせかえ劇場(井手亞紀子)/《やみくろ》と市場経済(本橋牛乳)/死をまとう暗黒舞踏-butoh (いわためぐみ)/闇へ誘う人形たち~天野可淡とクエイ兄弟(沙月樹京)/GUIDE TO WORLD OF DARKNESStalkingheads free marketT-NRG教団シリーズ(2) 失肢病(永田弘太郎)など、
256ページ


『yaso 夜想/特集#ゴス』、2003.9
フローリア・シジスモンディ/トレヴァー・ブラウン nurse maniac/池田宏彦/ゴットフリート・ヘルンヴァイン ゴシックアートの帝王/宮西計三 眼から何処へ?……抜ける/マリリン・マンソン なぜ、第三帝国なのか/三原ミツカズ 死を受け入れる儀式/谷敦志/アリス・アウアア金子國義のロマン文庫/ピエール・モリニエ/ルーカス・スピラ/身体改造の進化 モダン・プリミティヴからBMEへ(ケロッピー前田)/スワヴォミル・ルミャック/交霊会のテーブル(飯沢耕太郎)/ゴシック&ロリータは関西から生まれた(鈴木真理子)/高柳カヨ子/真説・ゴス・ポップ史概論(LUV石川)/あるいは棺の皇女のために(小谷真理)/吸血鬼小説・吸血鬼映画ベスト10(須永朝彦)/罪の町(シン・シティ)(服部正)/『人体バラバラ、6畳間の悪魔祓い儀式!』-藤沢・悪魔祓い殺人事件(蜂巣敦)など、
160ページ。


高原英理、『ゴシックハート』、講談社、2004
ゴシックの精神/人外(にんがい)/ 怪奇と恐怖/様式美/残酷/身体/猟奇/異形/両性具有/人形/廃墟と終末/幻想/エピローグ ゴシックな記憶など、
246ページ。


高原英理、『ゴシックスピリット』、朝日新聞社、2007
古城への招待/ゴシックスピリット/メランコリー/天使と悪魔のいる処/死者たち/地下水脈/江戸時代のゴシックスピリット/東京猟奇交通図/リテラリーゴシック/アートゴシックなど、
264ページ。


小谷真理、『テクノゴシック』、ホーム社、2005
プロローグ あるいは棺の皇女のために/序章 テクノゴシックとは何か?//
現代のゴシックとは?;大文字のゴシック/ゴス降臨 - ゴシック・ロック/小文字のゴスへ、あるいはサブ・カルチュアとしてのゴス/映画におけるゴス・キャラクター/ゴスのジェンダー、そのステレオタイプ/脇役から主役へ/トランスローカルとしてのゴス//
妄執と感染 - 欧州から始まる物語;吸血鬼/日本の吸血鬼/吸血鬼を狩る吸血鬼たち - ヴァン・ヘルシングの末裔たち//
ルーナティック・アメリカ;闇のなかのラビリンス/母装のセクシュアリティ/異教のクィーン//
電気仕掛けのサイボーグ-フィーメール・ゴシック・ジャパン;つれなき美女/メイド・イン・ネットワーク/美少女人形/コスプレイ//
テクノゴシック;バグとスパムとマトリックス-『マトリックス』/無垢の将校-『イノセンス』//
テクノゴシック101など、
304ページ。


 同じ著者による→こちらを参照:「近代など(20世紀~) Ⅳ」の頁の「xvii. ブックガイド、通史など

樋口ヒロユキ、『死想の血統 ゴシック・ロリータの系譜学』、冬弓舎、2007
はじめに-怪物の世界地図/ゴシック、文化の銃弾/人形、ひとがたの呪具/SM、肉体の神学/寺山修司、百年の牢獄/秘密結社★少女椿団始末記/グロテスク、犯される聖処女/おわりに、廃墟からの手紙など、
332ページ。


 同じ著者による→こちらを参照:「近代など(20世紀~) Ⅵ」の頁の「光瀬龍」の項

『ゴス』展図録、横浜美術館、2007~2008
序(雪山行二)/死を想う美術:21世紀の死の舞踏(木村絵理子)//
図版、アーティスト・インタビュー;リッキー・スワロー/Dr.ラクラ/束芋/イングリッド・ムワンギ・ロバート・ヒュッター/ピュ~ぴる/吉永マサユキなど、
254ページ。


『ネオ・ゴシック・ヴィジョン』(トーキングヘッズ叢書(TH series) No.33)、アトリエサード、2008
TH special RECOMMENDATIONPREFACE ゴシックで生き延びよ(沙月樹京)/絢爛で頽廃的なヴィクトリアン・アンダーグラウンド - Rose de Reficut et Guiggles(同)/ファンタスティックな人間関係から生まれたファンタスティックな服装 - ゴシック・ロリータという美学(西川祥子)/絵金と残酷絵- 日本のゴシック(志賀信夫)/ダーク・ヴィジョンの饗宴-悪夢と狂気に彩られたアンダーグラウンド・アートの現在(相馬俊樹)/『ゴシック』は、孤独な変人のように、冗談めかした悪夢に戯れる。 - ケン・ラッセル映画におけるゴシックな人々・画々についての一考察(加納星也)/座談会 ゴシック・ロリータ・ニッポン(樋口ヒロユキ、小谷真理、高原英理)/ゴシックを識るための本(柳喜悦)/ラヴクラフトに寄せるノスタルジア - 「旧支配者」への憧憬(鷲沢弘志)/ドラキュラの灰 - ジョージ・A・ロメロとゴシック映画(朝宮運河)/イタリア映画におけるゴシック的アプローチ(柳喜悦)/BONZIN interview 日本発の新しいゴシックの定義で世界を絶対ひっくり返す!(樋口ヒロユキ)/宇月原晴朗とゴシック世界帝国(虚青裕)/ゴシック絵本の世界(本多由佳)/六ケ所村の思考 - 宮内勝典と坂本龍一の間で(本橋牛乳)など、
208ページ。


サイモン・レイノルズ、野中モモ監修・訳、・新井崇嗣訳、『ポストパンク・ジェネレーション 1978-1984』、シンコーミュージック・エンタテイメント、2010、pp.281-295:「22 暗闇にうごめく者たち:ゴスの誕生とロックへの揺り戻し」
原著は Simon Reynolds, Rip It Up and Start Again : Postpunk 1978-1984, 2005, chapter 22 "Dark Things : Goth and the Return of Rock"

 章の扉に挙げられたミュージシャンは;
バウハウス(→こちらでも挙げました:『魔人ドラキュラ』(1931)の頁の「おまけ」)、バットケイヴ、スージー&バンシーズ(→そちらで挙げました:「中国 Ⅱ」の頁の「おまけ」)、ザ・キュアー、ザ・バースデイ・パーティ、キリング・ジョーク、ザ・ヴァージン・プルーンズ、シアター・オブ・ヘイト、ザ・シスター・オブ・マーシー、サザン・デス・カルト
 各章末のディスコグラフィは編集部が追加
 同書の別の章から→あちら(Brian Eno & David Byrne, My Life in the Bush of Ghosts, 1981/「アフリカ」の頁の「おまけ」)や、ここ(Tuxedomoon/「アメリカ大陸など」の頁の「おまけ」)、またそこ(Ultravox/「日本 Ⅱ」の頁の「おまけ」)で挙げました


キャサリン・スプーナー、風間賢二訳、『コンテンポラリー・ゴシック』、水声社、2018
原著は Catherine Spooner, Contemporary Gothic, 2006
序文 甦る(リバイビング)ゴシック;Goths, Gothick, Gothic/ゴシックを定義する/千年紀の終わり、無垢の終わり/ゴシック変容/コンテンポラリー・ゴシック//
擬似(モック)ゴシック;偽造する/偽史、偽書/「これはあなた向きではない」/非在の空間/
吸血鬼地勢図(リヴァンパイア・トポグラフィーズ)//
グロテスクな身体;プラスチック製の擬似死体/ゴシックとグロテスク/モンスターはわれわれだ/AIDSとウィルス/肉体と精神//
十代の悪魔たち;ゴシック・ティーンズ/サブカルチャー・スタイル/
雌叫び(ガールルウ)パワー/ニュー・ティーン・ゴシック/十代の脅威/『吸血キラー 聖少女バフィー』とゴス/「私は血を吸う悪鬼よ、服を見て!」吸血鬼信仰と実践/「もっと風変わりな服はないの?」服装とサブカルチャーの現状/「なんだ、そのひどいイメチェンは?」ゴス・スタイルの回復//
ゴシック・ショッピング;ゴシックを消費する/ひどい説得者/
不滅の貨幣(アンデッド・ダラー)不死者人形(アンデッド・ドール)の探求//
結論 ゴシックの終焉?//
訳者あとがき - 二十一世紀ゴシック・カルチャー/ゴス・サブカルチャー研究書誌風に、など、
284ページ。


唐戸信嘉、『ゴシックの解剖 暗黒の美学』、青土社、2020
はじめに//
「ゴシック」の起源;「ゴシック」は「ゴート人」にさかのぼる/ゴシック様式の誕生/宗教改革と「死」の変容/「崇高」という新しい美学/最初のゴシック・ロマンス『オトラント城』/ゴシック・ロマンスは本当に反カトリックか?//
吸血鬼;生と死の世界をつなぐ怪物/血のもつ意味/吸血鬼ブームのきっかけ - ポリドリ『吸血鬼』/レ・ファニュ『カーミラ』と女吸血鬼/もっとも有名な吸血鬼小説 - ストーカー『ドラキュラ』/内面化され、共感される怪物/映画産業と吸血鬼の増殖/変貌する吸血鬼像//
人工生命 - 人造人間・アンドロイド・AI;メアリー・シェリーと『フランケンシュタイン』/人間機械論と生命倫理/怪物とフランス革命の精神/『フランケンシュタイン』と保守思想/心の有無と「不気味」/人工生命と死の象徴//
分身 - ドッペルゲンガー・悪魔憑き・二重人格;死を回避する方法としての分身/宗教改革と悪魔憑き/社会進化論が抑圧を強化する/二重人格の物語の古典『ジーキル博士とハイド氏』/心の二重性の発見/分身と解離性障害/監禁のモチーフとの関連//
廃墟;廃墟美の確立/大いなる秩序を背後に感じる/ピラネージ以降の廃墟と新しい時間意識/十九世紀の不気味な家/H・P・ラブクラフトと時の廃墟/現代日本の廃墟ブーム//
地下;死の空間としての地下/ダムゼル・イン・ディストレス/地下世界と崇高/科学の発達と地下空間の探求/畏怖の対象は神からエイリアンへ/RPGの地下迷宮//
おわりに、など、
230ページ。


 第5章「廃墟」は→こちら(「怪奇城の外濠 Ⅱ」の頁の「vi. 廃墟など」)、
 第6章「地下」は→そちら(同上頁の「viii. もろもろ(1)」中の「地下など」)、
 ドッペルゲンガーのあるエピソードにまつわって→あちら(『血ぬられた墓標』(1960)の頁の「追補 2」)、
 「地下」の章で言及されたので→ここ(『ルパン三世 カリオストロの城』(1979)の頁の Cf.
 にも挙げました。


ロジャー・ラックハースト、巽孝之日本語版監修、大槻敦子訳、『【ヴィジュアル版】ゴシック全書』、原書房、2022
原著は Roger Luckhurst., Gothic. All Illustrated History, Thames and Hudson, London, 2021
日本語版監修者序文(巽孝之)//
ゴシックの形//
建築と様式;尖頭アーチ/廃墟/断片/迷宮/館//
地勢;地方と都市/村/森/荒野/境界地帯//
ゴシックの方位;北/南/東/西/惑星ホラー、宇宙ホラー//
怪物;大きさ/結合/触手/形なきもの/人間自身//
参考文献/図版リスト/索引など、
288ページ。


 こちらで触れました:ユージーン・タッカー(サッカー)に関連して/「近代など(20世紀~) Ⅳ」の頁の「xix. ラヴクラフトとクトゥルー神話など

Christoph Grunenberg ed., Gothic. Transmutation of Horror in Late Twentieth Century, The Institute of Contemporary Art, Boston, The MIT Press, Cambridge, Massachusetts, London, 1997
『ゴシック 20世紀末期における恐怖の変容』展図録
解かれざる諸神秘 フランケンシュタインからヘア・イーティング・ドルまでのゴシック譚(
Christoph Grunenberg)/侵犯と腐朽(Patrick McGrath)/教化する物語 ゴシック小説、1764-1997(Anne Williams)/ベラ・ルゴシズ・デッドそして私もあまり気持ちよくない ゴスとロック音楽における苦の讃仰(James Hannaham)/「システム内の癌のように」 インダストリアル・ゴシック、ナイン・インチ・ネイルズとヴィデオテープ(Csaba Toth)/帷(Dennis Cooper)/震え(Shawn Rosenheim)/慰めようもない闇 今日の映画におけるゴシックの再登場と再定義(John Gianvito)/グロテスクについての省察(Joyce Carol Oates)など、
224ページ。

………………………

 古城の近辺から少し離れてしまったので、戻ると;

加藤耕一、『「幽霊屋敷」の文化史』(講談社現代新書 1991)、講談社、2009
はじめに 東京ディズニーランドに往きしことある人は……//
ホーンテッド・マンション再訪;八角形の部屋/ドゥームバギーに乗って/幽霊たちの饗宴//
それはゴシック・ストーリーから始まった;墓地派詩人たち/ウォルポールの『オトラントの城』/ストロベリー・ヒル//
そこに不思議な館は建つ;恐怖そしてロマン/ポーと
雰囲気(アトモスフェア)/秘密の場所//
ファンタスマゴリーの魅惑;恐怖が娯楽になったとき/ロベールソンという男/謎の興行師、ロンドンにあらわる//
蠟人形とペッパーズ・ゴースト;マダム・タッソーの数奇な人生/
王立科学技術会館(ロイヤル・ポリテクニック・インスティチューションア)/幽霊出現装置//
幽霊屋敷のアメリカ化;ノイシュヴァンシュタイン城の幻影/ディズニーランド誕生前後/カリフォルニアとフロリダの差//
むすび ふたたび東京へ、など、
288ページ。


 また

橋爪紳也、『化物屋敷 遊戯化される恐怖』(中公新書 1195)、中央公論社、1994
消えゆく「お化け」たちへ/日本における「化物屋敷」観/化物屋敷の誕生/化物屋敷と都市の近代 百貨店・遊園地・博覧会/化物屋敷の完成 国技館の納涼博覧会/化物屋敷の現在/化物屋敷の空間構成/遊戯化される恐怖をめぐって、など、
196ページ。


 同じ著者による→こちら(「怪奇城の外濠 Ⅱ」の頁の「塔など」)や、またあちら(同頁「vii. 建築画、街景図、紙上建築など」)を参照

橋爪紳也、「化物屋敷再考」、小松和彦編、『日本妖怪学大全』、小学館、2003、pp.619-633
恐怖と楽しみの空間論/お化け屋敷の建築学/遊園地のお化け屋敷/メディアが増殖させる恐怖とタブー/カップル向けの恐怖体験/ウォークスルー型のお化け屋敷/「史上最強のお化け屋敷」/お化け屋敷の現在形

『ユリイカ』、vol.15 no.3、1983.3、pp.49-206:「特集 幻想の建築 〈空間〉と文学」
迷宮の構造に関する妄想(入沢康夫)/建築・彫刻・幻想からの抜き書き(飯田善國)/見えない迷宮(高橋英夫)/虚構の王国 - バイエルンの城(多木浩二)/ヴァレリーと建築(粟津則雄)/廃墟の思想・廃墟の美(篠田浩一郎)/文学における建築的空間(原広司)/幻想・パノプチコンとその周辺 - フーコーの射程(田村俶)/対話 隠喩としての建築(柄谷行人・多木浩二)/子宮なき生理痛としての建築 - M.C.エッシャーと都市の迷宮(岡田隆彦)/差異のない都市(宇波彰)/宇宙劇場 - あるシンボリズムの死(高山宏)/巨大な夢 - 英国におけるピラネージの影響(ヨルゲン・アンデルセン)/楽園の引越し魔 - ジャン・パウル(池田信雄)/俯瞰・断片・メランコリー - バロックの空間(寺島悦恩)

『現代思想』、vol.11 no.7、1983.7、pp.75-240:「特集 隠喩としての都市 都市論の新しい地平」
世界と聖域の模像 迷宮の都市/都市の迷宮(ヘルマン・ケルン)/マンダラあるいはスピノザ的都市(中沢新一)/電子都市の〝スクウォッター〟たち(粉川哲夫)/モデルとしての都市-建築家の場合(八束はじめ)/宇宙軸としてのクスコ(山崎カヲル)/増殖する都市 多元的宇宙・東京(中野収)/都市の中の方言体(田中克彦)/ランボーによる都市への一瞥(宇野邦一)/都市と記憶術(フランセス・A・イエイツ)/反都市〝ゾーン〟 タルコフスキーの世界(チェス&コル;同じ著者による→こちらも参照:「家のトポグラフィー」 / 本頁上掲「i. 映画と建築など」)/カルヴィーノと見えない都市 都市の神々(C.マラビーニ&I.カルヴィーノ)/追放と監禁(イーフー・チャン)/シンポジウム 都市の記号学へ(前田愛、中村雄二郎、篠田浩一郎、長谷川堯)/生の記号と死の危険 18世紀における血と都市(アルフレット・ファルジュ)

『幻想文学』、no.48、1996.10、pp.16-156:「特集 建築幻想文学館」
ゴーメンガーストの大いなる影(浅羽莢子)/家-魔象-(霜島ケイ)/手記(同)/さらに、彼方へ~南伊太利亜幻想建築紀行~(篠田真由美)/黒死館、またはまぼろしたてもの(山口雄也)/『黒死館』詣で(東雅夫)/言語芸術と建築 - 『カステロフィリア』を語る(高山宏)/造物主(デミウルゴス)を欲望する現代(飯島洋一)/さざえ堂と岩窟ホテル - 或いは、幾何学とグロテスクの極致(藪下明博)/紙の上の建築(高山直之)/
関連書ブックガイド;澁澤龍彦/基本図書/ゴシック/迷宮/高山宏/世界劇場・記憶術・遠近法/庭と見世物/飯島洋一/私的な幻想建築/ユートピア建築//
建築幻想文学必携(石堂藍);バベルの塔/塔/城と宮殿/大聖堂/無限建築/呪われた屋敷/SF的想像力の建築/非在の空間/迷宮と地下/ミステリーの館/屋敷と家/庭//
ウット・アルキテクトゥーラ・ポエーシス-建築幻想の文学ガイド(高山宏)


『黒死館逍遙 別巻 まぼろしたてもの考 Ⅰ』(素天堂文庫)、素天堂、2011
序説 「まぼろし」の時を遡る/歴史の中に「まぼろしたてもの」をみる/建築家は金字塔の夢を見る//
付録資料;「
Visionary Architecture1960 MoMA」序文(アーサー・ドレクスラー)/狂える意匠 「二笑亭」 (谷口吉郎、『滑らかな意匠』、1948)/建築空間についてのヘルマン・フィンステルリンの考え(1921~1922)/幻想の建築展 Visionary Architecture など、
106ページ。


 発行者について→上記『幻想文学』、no.48、1996.10:「特集 建築幻想文学館」掲載の山口雄也「黒死館、またはまぼろしたてもの」(pp.52-71)とともに、こちらを参照:「近代など(20世紀~) Ⅳ」の頁の「小栗虫太郎」の項

『黒死館逍遙 別巻 まぼろしたてもの考 Ⅱ 「ノートルダム・ド・パリ」を読む』(素天堂文庫)、素天堂、2012
序説 「コロン寺縁起」再訪/老いたる女王讃歌『ノートルダム・ド・パリ』を読む 1/淵源としての聖書/歪んだ鏡像 中世宗教芸術/カジモド 伽藍の生霊 『ノートルダム・ド・パリ』を読む 2//
付録資料 「これ、かれを滅ぼさん」『ノートルダム・ド・パリ』第5篇第2章など、
130ページ。


 →こちらにも挙げておきます:「ロマン主義、近代など(18世紀末~19世紀)」の頁の「v. ユゴーなど

日高佳紀・西川貴子編、『建築の近代文学誌 外地と内地の西洋表象 アジア遊学 226』、勉誠出版、2018
はじめに(日高佳紀・西川貴子)//
モダン都市の建築表象;美しい「光」が差し込む場所 - 佐藤春夫「美しき町」をめぐって(疋田雅昭)/堀辰雄『美しい村』の建築 - 軽井沢の記憶と変容(笹尾佳代)/伊藤整「幽鬼の街」における植民地主義の構造(スティーブン・ドッド)/幻影の都市 - 谷崎潤一郎「肉塊」における建築表象と横浜(日高佳紀)//
日本近代建築小史(髙木彬)//
外地における建築表象;〈中国的支那〉と〈西洋的支那〉のはざまで - 武田泰淳「月光都市」にみる上海と建築(木田隆文)/『亜』と大連 - 安西冬衛の紙上建築(髙木彬)/殖民地の喫茶店で何を〈語れる〉か - 日本統治期台湾の都市と若者(和泉司)/虚構都市〈哈爾賓〉の〈混沌〉 - 夢野久作「氷の涯」における建築表象(西川貴子)//
文学の建築空間;オフィスビル(西川貴子)/百貨店(日高佳紀)/銀行(笹尾佳代)/アパートメント(髙木彬)/劇場(笹尾佳代)/美術館(髙木彬)/ホテル(西川貴子)/病院(西川貴子)/工場(髙木彬)/駅(西川貴子)/(日高佳紀)/監獄(笹尾佳代)など、
218ページ。

………………………

 また;

小幡陽次郎(文)、横島誠司(図)、『名作文学に見る「家」 愛と家族編』(朝日文庫 め 1-1)、朝日新聞社、1997
 1992年刊本を加筆・修正した分冊・文庫化
まえがき//
近代文学を生み出した「家」;出逢いと葛藤の家々 夏目漱石「三四郎」 広田先生の家/隅田川の叙情を残す家 永井荷風「すみだ川」 今戸・お豊の家/作家への道を開く家 森鴎外「青年」 小泉鈍-の家/逃避へと向かう階段 二葉亭四迷「浮雲」 内海文三の家/忘れえぬ人の部屋 国木田独歩「巡査」 山田銑太郎の部屋/純愛を見つめる旧家 伊藤左千夫「野菊の基」 矢切の旧家/平凡の幸せを知る家 田山花袋「田舎教師」 林清三の家/愛憎の彼方に建つ小屋 長塚節「土」 小作人・勘次の農家/家族の肖像を映す家 芥川龍之介「玄鶴山房」 堀越玄鶴の家/春を待つ囲炉裏の間 有島武郎「生れ出づる悩み」 ある漁師の家/歴史を見つめる本陣 島崎藤村「夜明け前」 馬龍本陣/大人への夢育む部屋 佐多稲子「素足の娘」 桃代と父の部屋/哀しい風習を残す宿 井伏鱒二「へんろう宿」 遍路宿「波濤館」//
女たちの「家」;女絵巻をつづる家 谷崎潤一郎「細雪」 蒔岡家・芦屋の分家/華やぎの裏側が見える家 幸田文「流れる」 芸者置屋「蔦の家」/時代を映す鏡の館 三島由紀夫「鏡子の家」 信濃町の洋館/悲しみ舞う能楽堂 立原正秋「舞いの家」 小田原・室町家能楽堂/混迷と混沌の家々 有吉佐和子「三婆」 目黒長者丸/犠牲と忍従を強いる家 円地文子「女坂」 福島の官邸/母娘三代を語る家 林真理子「胡桃の家」 三輪田屋菓子店/執念を沸き立たせる画室 宮尾登美子「序の舞」 島村松翠邸//
さまざまな家族を包む「家」;創造と模倣を誇る病舎 北杜夫「楡家の人びと」 青山・楡病院/愛情と友情の同居する家 向田邦子「あ・うん」 水田仙吉の家/黄昏の海が見える山荘 太宰治「斜陽」 伊豆の山荘/記憶の果てに建つ家々 吉行淳之介「家屋について」 祖父の家/青春の光と影を映す塀 石坂洋次郎「陽のあたる坂道」 田代家の邸宅/「汝の敵」と暮らす家 三浦綾子「氷点」 旭川・辻口病院長邸/不透明なガラス張りの家 小島信夫「抱擁家族」 ガラス張りの家/二人の主婦が同居する家 橋田壽賀子「新 となりの芝生」 嫁姑同居の家/袋小路に建つ四軒の家 黒井千次「群棲」 織田家・安永家・滝川家・木内家//
あとがきにかえて/解鋭(綱島理友)など、
248ページ。


小幡陽次郎(文)、横島誠司(図)、『名作文学に見る「家」 謎とロマン編』(朝日文庫 め 1-2)、朝日新聞社、1997
 1992年刊本を加筆・修正した分冊・文庫化
まえがき//
謎の「家」;謎を食べさせる店 宮沢賢治「注文の多い料理店」 山猫軒/二つの人格をつくる家 ステイーヴンソン「ジーキル博士とハイド氏」 ジーキル博士の実験室/秘密の眠る大地下室 江戸川乱歩「怪人二十面相」 怪人二十面相の隠れ家/密室の秘密を開く窓 E・A・ポー「モルグ街の殺人事件」 レスパネエ夫人邸・四階/謎を閉じ込めた密室 コナン・ドイル「まだらの紐」 ロイロット家の屋敷/超現実へと続くドア カフカ「変身」 グレーゴル・ザムザの家/忘れられた孤島の家 石原慎太郎「秘祭」 孤島の家/かわいい妖怪たちの家 三浦哲郎「ユタとふしぎな仲間たち」 銀林荘の離れ/砂穴の中に築く楼閣 安部公房「砂の女」 砂穴の中の家/失われた時を取り戻す家 村上春樹「羊をめぐる冒険」 「鼠」の別荘/権力を這わせる躙り口 野上弥生子「秀吉と利休」 聚楽第内の利休屋敷/「夢見心地」にさせる家 佐藤春夫「西班牙犬の家」 スペイン犬の家/襖絵に情念を描く寺 水上勉「雁の寺」 弧峯庵//
海外文学に見る世界の「家」;家族の絆で支える家 オールコット「若草物語」 マーチ家の家/白百合の淑徳香る家 バルザック「谷間の百合」 モルソフ夫人の城館/大地の土から生まれた家 パール・バック「大地」 土の家/荒野の丘に立つ屋敷 E・ブロンテ「嵐が丘」 ヒースクリフの屋敷/希望を見上げる天窓 O・ヘンリ「天窓のある部屋」 ミス・リースンの部屋/女の幸福を問う屋敷 モーパッサン「女の一生」 ジャンヌの家/生命よみがえる山小屋 ヨハンナ・スピリ「ハイジ」 アルムじいさんの山小屋/無人島に建てる我が家 デフォー「ロビンソン漂流記」 ロビンソン・クルーソーの家//
名作文学を彩る「店」「集合住宅」など;友情と忍耐で築く経師屋 山本周五郎「さぶ」 さぶと栄二の店/宿命の煙に煤ける店 岡本かの子「家霊」 どじょう店「いのち」/古都にたたずむ哀愁の店 川端康成「古都」 佐田千重子の家/暖簾の伝統を守る老舗 山崎豊子「暖簾」 昆布問屋「浪花屋」本家/男心さまよう二軒の店 宇野千代「おはん」 「古手屋」と「芸者屋」/女湯に刀掛けのある湯屋 平岩弓枝「御宿かわせみ『八丁堀の湯屋』」 大黒湯/男と女の間に建つホテル 森瑶子「渚のホテルにて」 鮫鰭亭/バラ色の乙女心咲く別荘 田辺聖子「夜あけのさよなら」 須磨のバラ屋敷/アパートという名の長屋 武田麟太郎「日本三文オペラ」 あずまアパート/住めば天国 優雅な社宅 山口瞳「江分利満氏の優雅な生活」 東西電機・川崎社宅//
あとがきにかえて/解鋭(山崎浩一)など、
256ページ。


 →こちらで少し触れました:「怪奇城の隠し通路」の頁

有栖川有栖(文)、磯田和一(絵)、『有栖川有栖の密室大図鑑』(創元推理文庫 M あ 2-8)、東京創元社、2019
 1999年刊本の2002年新潮文庫版に続く再文庫化
はじめに/新潮文庫版まえがき//
海外ミステリ;ビッグ・ボウの殺人(1892) 〈密室トリック〉を発案したのは誰か? イズレイル・ザングウィル/十三号独房の問題(1905) 「思考機械」の監獄からの脱出 ジャック・フットレル/黄色い部屋の謎(1908) 世界で最も有名な殺人現場 ガストン・ルルー/急行列車内の謎(1920) 走行中の列車から犯人はどのように消えたのか? F・W・クロフツ/八点鐘(1923) 名探偵として活躍する「怪盗」ルパン モーリス・ルブラン/犬のお告げ(1926) 鮮烈なまでの視覚イメージと見事な聴覚イメージ G・K・チェスタトン/密室の行者(1931) 断食の果ての飢餓殺人 ロナルド・A・ノックス/エンジェル家の殺人(1932) 優れたプロットが生む異様な舞台装置と密室トリック ロジャー・スカーレット/三つの棺(1935) )あまりにも有名な〈密室の講義〉 ジョン・ディクスン・カー/帽子から飛び出した死(1938) ミスディレクションとしての密室トリック クレイトン・ロースン/チベットから来た男(1938) 横溢する東洋趣味のペダンチズム クライド・B・クレイスン/妖魔の森の家(1947) 〈密室の巨匠〉の短編最高傑作 カーター・ディクスン/北イタリア物語(1948) 残酷な異世界のおとぎ話 トマス・フラナガン/51番目の密室(1951) 〈豪快系ベスト5〉の大掛りなトリック ロバート・アーサー/帝王死す(1952) パズル派クイーンの密室殺人 エラリー・クイーン/はだかの太陽(1957) SFと本格ミステリの面白さを合体 アイザック・アシモフ/ジェミニー・クリケット事件(1968) スリルあふれる謎解きのやりとり クリスチアナ・ブランド/そして死の鐘が鳴る(1973) 伝説となった破天荒で豪快な密室トリック キャサリン・エアード/投票ブースの謎(1977) 異常な状況下で起きた事件の意外な結末 エドワード・D・ホック/見えないグリーン(1977) 冴えたトリックと様々な謎が楽しい本格ミステリの宝石 ジョン・スラデック//
国内ミステリ;D坂の殺人事件(1925) 〈お茶漬け風密室〉の名作 江戸川乱歩/蜘昧(1930) 〈本格〉命名者の建物殺人 甲賀三郎/完全犯罪((1933) エキゾチズムあふれる異界の犯罪 小栗虫太郎/燈台鬼(1935) とびきり魅力的な舞台で起きた惨劇 大阪圭吉/本陣殺人事件(1946) 国産の純粋本格ミステリへの転向第一作 横溝正史/刺青殺人事件(1948) 最も日本的な本格ミステリ作家の第一作 高木彬光/高天原の犯罪(1948) ストイックに過剰なまでに短い傑作 天城一/赤罠(1952) 明治維新期を舞台にした酒落た構成 坂口安吾/赤い密室(1954) 冴え渡った頭脳が創案する究極の奇想 鮎川哲也/名探偵が多すぎる(1972) 細部にまで遊戯精神に満ちたマニアへの贈り物 西村京太郎/花の棺(1975) 紙と木でできた〝堅牢″な密室 山村美紗/ホロボの神(1977) トロピカルムードに隠された逆転の発想 泡坂妻夫/求婚の密室(1978) 騎士物語をミステリにアレンジ 笹沢左保/天外消失事件(1988) リフトが列車プラス飛行機の不可能興味を演出 折原一/人形はテントで推理する(1990) 〈柔らかい密室〉の柔らかさ 我孫子武丸/緑の扉は危険(1992) 説得力と奇天烈さが同居する結末 法月綸太郎/哲学者の密室(1992) 二つの三重密室が時を超えて結びつく 笠井潔/ローウェル城の密室(1995) 実行不能性において他を圧倒する破天荒なトリック 小森健太朗/すべてがFになる(1996) トリックの破壊力はシリーズ・ナンバーワン 森博嗣/人狼城の恐怖(1998) 四千枚を超える世界最長の本格ミステリ巨編 二階堂黎人//
文庫版特別編;スウェーデン館の謎((1995) オープンエアの白い密室 有栖川有栖//
あとがきに代えて(磯田和一)/参考文献/創元推理文庫のためのはしがき/創元推理文庫版解説(松浦正人)など、
378ページ。


 クレイスン『チベットから来た男』の項からあるくだりを→こちらに引きました;「ホワイト・キューブ以前の展示風景:孫引きガイド 、あるいは吸血鬼の舞踏会のために」の頁の「追記の3」。クレイスンの『チベットから来た男』自体は→そちらで挙げました:「中央アジア、東アジア、東南アジア、オセアニアなど」の頁の「おまけ
 有栖川有栖による→あちらを参照:「近代など(20世紀~) Ⅲ」の頁の「おまけ」


安井俊夫、『犯行現場の作り方』、メディアファクトリー、2006
正十角形の危険な館 - 『十角館の殺人』綾辻行人/日当たりの悪い「8」の字の家 - 『8の殺人』我孫子武丸/51mの廊下があるロッジ - 『長い家の殺人』歌野昌午/明治の建物を改修したホテル - 『玄い女神』篠田真由美/建物も廊下も十字の屋敷 - 『十字屋敷のピエロ』東野圭吾/元・天文台の大豪邸 - 『笑わない数学者』森博嗣/教団の中庭に立つ82mの塔 - 『誰彼』法月綸太郎/本陣の格式を伝える離れ家 - 『本陣殺人事件』横溝正史/正方形を2等分した三角屋敷 - 『三角館の恐怖』江戸川乱歩/斜めに5度傾けられた館 - 『斜め屋敷の犯罪』島田荘司など、
232ページ。


 →こちらでも挙げました:「怪奇城の図面」の頁

有栖川有栖・安井俊夫、『密室入門』(メディアファクトリー新書 036)、メディアファクトリー、2011
ミステリ作家は、なぜ密室を書くのか?(有栖川有栖)//
密室とはいかなるものか/密室の分類/密室を建築から考える/作家が知りたい建築事情/ミステリと建築の密接な関係/密室の未来//
『密室入門』的ブックガイド//
素晴らしきミステリへの誘い(安井俊夫)など、
192ページ。


 『有栖川有栖の密室大図鑑』の「はじめに」によると、この本の企画者の
「頭にあったのは、『名作文学に見る「家」』(朝日文庫)という本だった」(p.13)。
 安井俊夫は『犯行現場の作り方』の「はじめに」で、『有栖川有栖の密室大図鑑』を「良書」とし、
「ですから私は密室にかぎらず、ミステリーに出てくる建物全般を対象にし、私の専門である建築的な視点で捉えてみたいと思いました。ミステリーを読みながら、その記述をもとに建物を解析し、建物の全体像を実際の建築図面に落とし込むのです」(p.3)
と述べています。
 有栖川が自作『女王国の城』(2007)で、『犯行現場の作り方』の
「著者に舞台となる施設の図面を描いてもらえたら」
と依頼、
「機会があれば、また一緒にお仕事を」
という機会が実現したのが『密室入門』とのことです(pp.9-10)。

「i. 映画と建築など」で挙げた(→こちら

  WOWOW「映画の間取り」編集部、『映画の間取り』、2016

  アンドリュー・デグラフ=絵、A.D.ジェイムソン=文、吉田俊太郎訳、『空想映画地図 [シネマップ] 名作の世界をめぐる冒険』、2018

なども参照

柏木博、『探偵小説の室内』、白水社、2011
プロスペロ公とは誰か ポオ『赤死病の仮面』/骨董趣味とタイプライター クロフツ『樽』/精神分析学的な室内の観相者 コナン・ドイル『緋色の研究』/姿勢を制御する狭い室内 カフカ『ブルームフェルト、ある中年の独身者』/自我消失の恐怖とドッペルゲンガー ポオ『ウィリアム・ウィルソン』//
迷宮室内 江戸川乱歩『悪魔の紋章』/何もない室内 つげ義春『退屈な部屋』/保守化する生命体 安部公房『鉛の卵』/ものを堆積させた室内 橋本治『巡礼』/喪失する室内 水村美苗『私小説
from left to right』//
室内を失った男 ポール・オースター『シティ・オヴ・グラス』/収容所の室内 シュリンク『朗読者』/19世紀の室内と電脳空間 ウィリアム・ギブスン『ニューロマンサー』/その日暮らしの老人の室内 マラマッド『悼む人たち』/テロリストは室内を持たない ジャン=パトリック・マンシェット『眠りなき狙撃者』など、
248ページ。


 →こちらで少し触れました:「戸棚、三角棚、鳥籠、他」の頁
 同じ著者による→そちらを参照:「怪奇城の外濠 Ⅱ」の頁、『「しきり」の文化論』(2004)


森山高至、『マンガ建築考 もしマンガ・アニメの建物を本当に建てたら』(ThinkMap 007)、技術評論社、2011
巨大建造物;カイジの渡る鉄骨はなぜたわまない? 『賭博黙示録カイジ』/本当にあった「バビロンプロジェクト」 『機動警察パトレイバー』/深海の大監獄は半人工島として建設可能 『ワンピース』/高さ50メートルの壁は日本では難しい 『進撃の巨人』//
コラム かつて全国にあった〝漂流教室〟とは?//
競技場・闘技場;ホワイトベースを隠せる巨大ドームとは? 『機動戦士ガンダム』/東京ドームの地下四階に闘技場をつくれる? 『グラップラー刃牙』//
コラム 島オフィス vs ハマちゃんオフィス//
日本建築;吸血鬼たちが柾目の板で家づくり 『彼岸島』/「鷹宮神社」は鷲宮神社そのまんま 『らき☆すた』/コンクリート打ち放しは現代の茶室である 『へうげもの』//
コラム 未来建築のモデルは実在した!?//
豪邸・洋館;道明寺邸はヴィッラスタイル&新古典主義 『花より男子』/安藤忠雄+ルイス・バラガンの唯ちゃん宅 『けいおん!』/腐女子が愛する下宿のファサード 『夜月姫』//
コラム 防犯住宅にドラエもんもおてあげ!?//
集合住宅;綾波レイの部屋の内装を実現するには 『新世紀エヴァンゲリオン』/一刻館を建てるための最難関 『めぞん一刻』/高層棟が建ち並ぶ舞台はやっぱりあの団地 『童夢』//
コラム 笹口組も驚く建設業界の今など、
224ページ。


松原タニシ、『恐い間取り 事故物件怪談』、二見書房、2018
はじめに/僕と事故物件 事故物件間取りギャラリー/誰かの事故物件/土地の事故物件など、
256ページ。


 各エピソードごとに簡略な間取りの平面図や地図が付されています。

北原尚彦:文、村山隆司:絵・図、『シャーロック・ホームズの建築』、エクスナレッジ、2022
はじめに//
ホームズ&ワトソンの住む「ベイカー街221B」/ブライオニー・ロッジ(「ボヘミアの
醜聞(スキャンダル)」より)/ストーク・モーラン屋敷(「まだらの紐」より)/ポンディシェリ荘(『四つの署名』より)/ぶな屋敷(「ぶな屋敷」より)/トレヴェリアン医院(「入院患者」より)/
スコットランド・ヤード/
アビィ屋敷(「アビィ屋敷」より)/ライサンダー・スターク大佐邸(「技師の親指」より)/ディオゲネス・クラブ&マートルズ荘(「ギリシャ語通訳」より)/ウィステリア荘(「ウィステリア荘」より)/バスカヴィル館(『バスカヴィル家の犬』より)/ヨックスリー・オールド・プレイス(「金縁の鼻眼鏡」より)/
セント・バーソロミュー病院/
バールストン館(『恐怖の谷』より)/ハールストン屋敷(「マスグレイヴ家の儀式書」より)/ディープ・ディーン・ハウス(「ノーウッドの建築業者」より)/
三破風館(スリー・ゲイブルズ)(「三破風(はふ)館」より)/ローリストン・ガーデンズ三番地(『緋色の研究』より)//
付録・謎解きの過程 クライアントはコナン・ドイル(村山隆司)/おわりに、など、
224ページ。


 CASE 8 で取りあげられた「技師の親指」から、
 「まるで迷宮のような古い家で、廊下あり、細い通路あり、せまいらせん階段や、低くて小さな扉あり」(p.94)
という素敵な文が引用されていました。手もとの原作邦訳を見ると、
 「迷宮のような古い家で、大きな廊下があり、狭い通路があり、狭い廻り階段があり、低くて小さなドアがあり」
   (コナン・ドイル、延原謙訳、「技師の拇指」、『シャーロック・ホームズの叡智』(新潮文庫 赤 134J)、新潮社、1955、p.23」)
で、原作の英文をウェブ上で探せば;
 "It was a labyrinth of an old house, with corridors, passages, narrow winding staircases, and little low doors"
  ( < The Adventures of Sherlock Holmes (1892, US)/The Adventure of the Engineer's Thumb, p.218 [ < Wikisource ] )

 同様に CASE 14 で「マスグレイヴ家の儀式書」から、
 「地下室もあれば屋根裏部屋もあるが、迷路のようになっており、古い部分などは人も住めない状態だという」(p.169)。
原作邦訳では
 「屋敷は迷宮のような古い建物で、ことに今はまったく使ってはいませんが、旧館のほうがひどく入りくんでいるのですけれど」
   (コナン・ドイル、延原謙訳、「マスグレーヴ家の儀式」、『シャーロック・ホームズの思い出』(新潮文庫 赤 134C)、新潮社、1953、p.146」)
で、原作英文は;
 "It is, as I have said, a labyrinth of an old house, especially the original wing, which is now practically uninhabited"
  ( < Memoirs of Sherlock Holmes 1894 Burt/The Musgrave Ritual, p.101 [ < 同上 ] )

 また p.145、p.162、p.183 で「隠れ場所」、「隠し扉」、「隠し部屋」、「隠れ部屋」に触れられています。

中川千帆、「第10章 館という幻想 - 綾辻行人『暗黒館の殺人』における自己の揺らぎ」、怪異怪談研究会[監修]、乾英治郎・小松史生子・鈴木優作・谷口基[編著]、『〈怪異〉とミステリ 近代日本文学は何を『謎』としてきたか』、青弓社、2022、pp.234-254
はじめに/「館」が意味するもの/「館」に隠された幻想と語り手/おわりに

 全体の目次は;
はじめに(乾英治郎)//
怪異とミステリ - その面白さの類似と相違について(光原百合)//
「怪異」と「ミステリ」の遭遇;歌舞伎と探偵小説 - 『東海道四谷怪談』とその変容(横山泰子)/怪異と謎解き、そして郷愁 - 岡本綺堂の探偵小説作法(松田祥平)/イギリス怪奇幻想ミステリと近代日本文学 - A・ブラックウッドと芥川龍之介を中心に(鈴木暁世)/江戸川乱歩と交霊術 - 神秘か、はたまたトリックか(大道晴香)//
「怪異」と「ミステリ」の交差;「怪談」以上「探偵小説」未満の世界 - 江戸川乱歩の「幻想怪奇の小説」について(谷口基)/脳内に現象する怪異 - 海野十三・夢野久作・蘭郁二郎(鈴木優作)/〈侵食〉する〈死者〉たち - 久生十蘭「死亡通知」における空襲と〈怪異〉(脇坂健介)/「浪漫」としての怪異 - 横溝正史作品の人面瘡をめぐって(原辰吉)//
「怪異」と「ミステリ」の融合;家霊を脱構築する女 - 小野不由美『残穢』の〈転居〉と戸川昌子『大いなる幻影』の〈賃貸〉(小松史生子)/館という幻想 - 綾辻行人『暗黒館の殺人』における自己の揺らぎ(中川千帆)/妖怪の「
(ことわり)」/ミステリの「檻」 - 京極夏彦「百鬼夜行」シリーズは何を「祓った」のか(乾英治郎)/オンライン空間と怪異の変容 -最東対地『夜葬』、城平京『虚構推理』、綾辻行人『Another』を対象に(伊藤慈晃)/調整される怪異 ー 『逆転裁判6』論(諸岡卓真)//
おわりに(乾英治郎)など、
330ページ。

 2014/07/28 以後、随時修正・追補
怪奇城の外濠 Ⅱ
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