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xxii 個々の著述家など-日本 Ⅱ(20世紀後半等)
xxiii 日本の漫画、アニメーションその他

xxii. 個々の著述家など-日本 Ⅱ(20世紀後半等)

藤枝静男(1907-1993)       
安部公房(1924-1993)  光瀬龍(1928-1999)     
多田智満子(1930-2003) 小松左京(1931-2011)  入沢康夫(1931- )   半村良(1933-2002)  
荒巻義雄(1933- )   石原藤夫(1933- )   筒井康隆(1934- )   
堀晃(1944- ) 明石散人(1945- )  金井美恵子(1947- )  鏡明(1948- ) 
川又千秋(1948- ) 菊地秀行(1949- )     
山田正紀(1950- )  谷甲州(1951- )  夢枕獏(1951- )  栗本薫(1953-2009) 
神林長平(1953-)  野阿梓(1954- )  友成純一(1954- )  井辻朱美(1955- ) 
山尾悠子(1955- ) 山口泉(1955- )   奥泉光(1956- )  金子邦彦(1956- ) 
機本伸司(1956- ) 山本弘(1956- )  水見稜(1957- )  ひかわ玲子(1958- ) 
牧野修(1958- )  大原まり子(1959- )     
平谷美樹(1960- )  小林泰三(1962- )  京極夏彦(1963- )  菅浩江(1963- ) 
早瀬乱(1963- )  太田健一(1964- )  神坂一(1964- )  法月綸太郎(1964- ) 
瀬名秀明(1968- )       
谷川流(1970- )  東浩紀(1971- )  円城塔(1972- )  舞城王太郎(1973- ) 
うえお久光(1974- )  海猫沢めろん(1975- )  高島雄哉(1977- )  森見登美彦(1979- ) 
新城カズマ   
森田季節(1984- )  黒石迩守(1988- )     
草野原々(1990- )       
  その他(アンソロジー) 

 「近代など Ⅳ」の「xix. ラヴクラフトとクトゥルー神話など」の内「日本の作家による作品など」の項も参照

藤枝静男(1907-1993)

 「仏教 Ⅱ」のページの「iv. 弥勒、過去仏、多仏説など」の冒頭で挙げた、

藤枝静男、『田紳有楽』、1975
…………………

安部公房(1924-1993);

安部公房、「バベルの塔の狸」、『壁』(新潮文庫 草 121B)、新潮社、1969
 1951刊本の文庫化

安部公房、「ノアの方舟」(1952)、『水中都市 デンドロカカリヤ』(新潮文庫 草 121G)、新潮社、1973
…………………

光瀬龍(1928-1999)については、

光瀬龍、『百億の昼と千億の夜』(ハヤカワ文庫JA 6)、早川書房、1973
 1967年刊本の文庫化

 とその漫画化版


原作・光瀬龍、絵・萩尾望都、『百億の昼と千億の夜』(1~2)(少年チャンピオン・コミックス)、秋田書店、1977/1978

 に→こちら(須弥山・三千世界)や、そちら(弥勒)あちら(プラトーン)や、またこなた(ユダ)で登場していただきました。
 萩尾望都については→こちらも参照


 先立つのが

光瀬龍、『たそがれに還る』(ハヤカワ文庫JA 3)、早川書房、1973
 1964年刊本の文庫化

 続いて

光瀬龍、「アンドロメダ・シティ」(1970)、『アンドロメダ・シティ』(ハヤカワ文庫JA 128)、早川書房、1980

光瀬龍、『喪われた都市の記録』(ハヤカワ文庫JA 74)、早川書房、1976
 1972年刊本の文庫化

 この他、いわゆる〈宇宙年代記〉ものなど多くの短篇もありますが、とりあえず;

光瀬龍、『宇宙のツァラトゥストラ』(角川文庫 緑 395-4)、角川書店、1978
 1975年刊本の文庫化

光瀬龍、『猫柳ヨウレの冒険《激闘篇》』(TOKUMA NOVELS)、徳間書店、1986

 「中国 Ⅱ」のおまけで挙げたのが→こちら

光瀬龍、『異本 西遊記』(ハルキ・ノベルス み 1-1)、角川春樹事務所、1999

 最後の長篇作品となったもので、宇宙論には関わりませんが、弥勒だのアシュラだの、『百億の昼と千億の夜』等でお馴染みの名前の人物が登場します。ただし雰囲気は打って変わっておとぼけ調なのでした。本作については、

立川ゆかり、『夢をのみ 日本SFの金字塔・光瀬龍』、ツーワンライフ出版、2017、pp.542-557

も参照


 また、いわゆる科学啓蒙書の類として;

光瀬龍、『新しい宇宙論 失われた時空間の謎 われわれはどこへ行くのかを知る』(プレイブックス)、青春出版社、1998
宇宙最後の謎〝時空間〟の存在を解く鍵-われわれがはじめて触れた聖域の深層-/〝時間〟が逆転する現在・過去・未来の世界-「ビッグバン」に隠されていた〝無〟の歴史-/無限の〝空間〟が消滅する最後の瞬間-闇の世界「ブラックホール」に入り込んだ宇宙船のその後-/人類の未来を支配する〝宇宙空間〟の運命-宇宙の果てに安住の地はあるのか-など、
202ページ。


 光瀬龍作品の書誌情報については、サイト『SF辺境探査船』を参照

 光瀬龍が亡くなったとの報を見た時、次のような文章を認めたことがあったりしました;

△月△日
光瀬龍が没した。思えば、須弥山宇宙や弥勒について、さらに、グノーシス的な反神論という以上に、まったきものとしての世界、その外から到来するもの-だから善だの悪、救いとも報いとも何らかかわりないーとしての神との神学、そしてそれに対峙するアシュラ/リュシフェルといったイメージを頭に刻みつけたのは、『百億の昼と千億の夜』だった。
こうした主題系は、一方で永井豪の『デビルマン』をふりかえりつつ、小松左京の『結晶星団』や山田正紀の諸作に、他方仏教における無神論というよりは神々の相対化と、仏陀の神格化から蓮華載世界のヴィジョンにいたる論理の軌跡との相克の認識へとつながることになる。壮大だ。
また、何かをすっとばしてしまっているような文体というか筋運びと、そこから生じる苛立ちめいた感覚。それはたとえば、ジュヴナイルの「立ちどまれば・死」において、右往左往する主人公のかたわらで、やはり事件に巻きこまれた少女が浮かべる凄槍といってよい表情に結晶していたものだ。かっこよかった。合掌。

                          『蟋蟀蟋蟀』、no.5、1999.11.23、「小躍り堂日乗」より、p.5。
…………………

 「仏教 Ⅱ」のページの「iii. 華厳経、蓮華蔵世界、華厳教学など」の冒頭でふれたのが、

多田智満子、『鏡のテオーリア』、1977
鏡のテオーリア;序/歩む鏡/向きあった鏡/見ることは見られること/まなざし/見ることは驚くこと/鏡の威光/鏡の迷宮/水鏡/大円鏡/因陀羅網//
鏡をめぐる断章;眼の月/アルキメデスの凹面鏡/バックミラー考/影を失った男たち/鏡と唐の詩人たち/仏の鏡像/世界の鏡//
跋など、
162ページ。

 でした。

 →こちらでも触れています

多田智満子(1930-2003)にはまた、


詩集『薔薇宇宙』(1964)の表題作とそれにまつわるエッセイ「薔薇宇宙の発生」

 があります(→こちらでも触れています);

『多田智満子詩集』(現代詩文庫 50)、思潮社、1972、pp.57-59 および pp.110-121、

 また


「エクピローシス以後」(pp.79-81)、

 同じく同書所収の

鷲巣繁男、「クロノスと戯れ」、pp.124-145

 (鷲巣繁男について→こちらを参照
なども参照。

 同書からはまた;

「ヴェラスケスの鏡 ミシェル・フーコーの《ことばともの》から」(1970.1)、pp.102-109

 を→こちらと、そちらに挙げました

 さらに

多田智満子、『魂の形について』、白水社、1981
たま あるいは たましひ/何を以て羽翼有るや/白鳥 黒鳥/漂えるプシュケー/オシリスの国/ラーの舟/蜂蜜あるいはネクタル/魂の梯子と計算/心臓から蓮華へ、など、
192ページ。


多田智満子、『花の神話学』、1984

多田智満子、『夢の神話学』、1989

多田智満子、「死後という謎-エジプトの死者の書から」、『ユリイカ』、臨時増刊号vol.26-13、1994.12、「総特集 死者の書」、pp.238-245

 →こちらにも挙げました

多田智満子、『動物の宇宙誌』、2000
…………………

小松左京(1931-2011)については、まずは次の3作;

小松左京、『果しなき流れの果てに』(ハヤカワ文庫 JA 1)、早川書房、1973
 1966年刊本の文庫化

小松左京、『神への長い道』(ハヤカワ文庫 JA 60)、早川書房、1975

 の表題作(1967)

 他に;
宇宙鉱山/飢えた
宇宙(そら)宇宙(そら)に嫁ぐ/星殺し/再会//
あとがき/解説(小原秀雄)など、
236ページ。


 →こちらでも触れています

小松左京、『結晶星団』(ハヤカワ文庫 JA 56)、早川書房、1975

 の表題作(1972)

 他に;
HAPPY BIRTHDAY TO ……-孤独について-/失われた結末/タイム・ジャックなど、
282ページ。


 →こちらや、そちらや、あちら、またこなたそなたあなたでも触れています

 また

小松左京、『青い宇宙の冒険』(角川文庫 緑 308-12)、角川書店、1976
 1972年刊本の文庫化

 本書についてこちら(→三重県立美術館ニュース、no.119、2010.12.10、『ひろがるアート~現代美術入門篇~』関連記事[ <まぐまぐ!のサイト ])でふれたりもしました。


追補 上記メルマガの記事が「2019年4月15日より無料バックナンバーの公開を停止しております」とのことでリンク切れなので、
 → こちらに転載しておきました;「世界の複数性など」の頁中


小松左京、『エスパイ』(ハヤカワ文庫 SF 34)、早川書房、1971

 クライマックスの対話相手に注目。

小松左京、『ゴルディアスの結び目』、角川書店、1977
岬にて/ゴルディアスの結び目/すぺるむ・さぴえんすの冒険-SPERM SAPIENS DUNAMAI の航海とその死-/あなろぐ・らう゛-または、〝こすもごにあⅡ〟-など、
252ページ。


 この他気がついた範囲で;

小松左京、「彼方へ」、『ウインク』(角川文庫 緑 308-2)、早川書房、1972

小松左京、「BS6005に何が起こったか」、『牙の時代』(角川文庫 緑 308-7)、角川書店、1975

小松左京、「こういう宇宙」、『骨』(集英社文庫 32-A)、集英社、1977

小松左京、「偉大なる存在」、『偉大なる存在』(ハヤカワ文庫 JA 104)、早川書房、1978

小松左京、「雨と、風と、夕映えの彼方へ」、「氷の下の暗い顔」、『氷の下の暗い顔』(角川文庫 緑 308-33)、角川書店、1982

小松左京、『虚無回廊Ⅰ』、徳間書店、1987

  同、   『虚無回廊Ⅱ』、徳間書店、1987

  同、   『虚無回廊Ⅲ』、角川春樹事務所、2000

 小松左京作品の書誌情報については、サイト『小松左京ホームページ』を参照
…………………

入沢康夫(1931- );

『入沢康夫詩集 現代詩文庫 31』、思潮社、1970

 同じ著者による→こちらを参照

星野徹、「密儀としての詩 たとえば入沢康夫の場合」、『ユリイカ』、vol.6-9、1974.7.20:「総特集 オカルティズム」、pp.245-254

入沢康夫、「迷宮の構造に関する妄想」、『ユリイカ』、vol.15 no.3、1983.3:「特集 幻想の建築 〈空間〉と文学」、pp.50-52
…………………

半村良(1933-2002)については、「日本 Ⅱ」のページで

産霊山秘録』(1973)

 に登場願いましたが、まずは;


半村良、『妖星伝』(全7巻)、講談社、1975-1993

 この他、手に取った範囲内では;

半村良、『獣人伝説』(角川文庫 緑 375-11)、角川書店、1978

半村良、『邪神世界』(講談社文庫 33-10)、講談社、1980

半村良、『魔境殺神事件』(新潮文庫 231-2)、新潮社、1984

 →こちら(『鮮血の処女狩り』(1971)の頁の「おまけ」)で『石の血脈』(1974)について、同じくそちら(「グノーシス諸派など Ⅰ」の頁の「余談 イスカリオテのユダなど」の項)で、またあちら(「近代など(20世紀~)Ⅴ」の「エドモンド・ハミルトン」の項)で『妖星伝』について触れました
…………………

荒巻義雄(1933- )については、

 「ロマン主義、近代など(18世紀末~19世紀)」のページでニーチェに関連して


大いなる正午」(1970)

 を挙げた他、

 「グノーシス諸派など Ⅲ」のページで


神鳴る永遠の回帰 ビッグ・ウォーズ Part 1』(1978)

 の「あとがきに代えて」に触れたり、また同じページで

聖シュテファン寺院の鐘の音は』(1988)

 を挙げたりもしました。


 『ビッグ・ウォーズ』シリーズ(Part 1~4、枝篇3作、外篇1作、関連作品1作)、『空白』シリーズ(4作)、『黄金』シリーズ(5作)等々と、いろいろあるのでしょうが、ここは次の2作を;

荒巻義雄、『時の葦船』(講談社文庫 46-1)、講談社、1979
 1975年刊本の文庫化

 →こちらや、あちらでも少し触れています


荒巻義雄、『神聖代』、徳間書店、1978

 また「大いなる正午」を収めた初期作品集として、

荒巻義雄、『柔らかい時計』、徳間書店、1978
白壁の文字は夕陽に映える/緑の太陽/柔らかい時計/トロピカル/大いなる失墜//
たった一人でも-あとがきに代えて、など、
238ページ。


 同じく初期作品集の2;

荒巻義雄、『宇宙25時』、徳間書店、1978
レムリアの日/ああ荒野/無限への崩壊/宇宙25時//
私の助走時代-あとがきに代えて、など、
220ページ。


 この他;

荒巻義雄、『エッシャー宇宙の殺人』(中公文庫 A 199)、中央公論社、1986
 『カストロバルバ-エッシャー宇宙の探偵局』(1983)の文庫化

 ちなみに上掲『聖シュテファン寺院の鐘の音は』(1988)の前篇にあたるのが

荒巻義雄、『白き日旅立てば不死』(ハヤカワ文庫 JA 80)、早川書房、1976

 で、タイトルをそのままエピグラフにしたことがあります
 →「花嫁装束再び ─ダニ・カラヴァン『斜線』の上を歩きながら─」、『ひる・ういんど』、no.70、2001.2.28 [ < 三重県立美術館のサイト ]。

…………………

石原藤夫(1933- );

石原藤夫、『ハイウェイ惑星』(ハヤカワ文庫 JA 55)、早川書房、1975
 1967年刊本の文庫化
ハイウェイ惑星/安定惑星/空洞惑星/バイナリー惑星/イリュージョン惑星//
解説(石川喬司)など、
268ページ。


石原藤夫、『生きている海』(ハヤカワ文庫 JA 93)、早川書房、1977
 1970年刊本の文庫化
宇宙時代;生きている海/時間と空間の涯/地球の子ら//
科学時代;書物の未来/読書の習慣/なべてどの世も不安定/先駆者の述懐/助かった3人/宇宙の歴史/未来の大発明/トイレット惑星/人類の進化/タンポポ・ハウス/時間の輪//
情報化時代;情報エリート/セックス電話時代/テレビ教育時代など、
338ページ。


石原藤夫、『ストラルドブラグ惑星』(ハヤカワ文庫 JA 71)、早川書房、1975
コンピューター惑星/システム化惑星/エラスティック惑星/ストラルドブラグ惑星/パラサイト惑星/愛情惑星など、
276ページ。


石原藤夫、『ブラックホール惑星』(ハヤカワ文庫 JA 110)、早川書房、1979
ブラックホール惑星/ホワイトホール惑星/情報惑星など、
278ページ。


石原藤夫、『タイムマシン惑星 惑星シリーズ』(ハヤカワ文庫 JA 143)、早川書房、1981

石原藤夫、『光世紀パトロール』(徳間文庫 216-5)、徳間書店、1986
 『ランダウの幻視星』(1981)の文庫化

石原藤夫、『アンテナ惑星 惑星シリーズ』(ハヤカワ文庫 JA 151)、早川書房、1982
海神惑星/ホイール惑星/アンテナ惑星//
解説(松崎真治)など、
328ページ。


石原藤夫、『宇宙船オロモルフ号の冒険』(ハヤカワ文庫 JA 191)、早川書房、1984
 1982年刊本の文庫化
…………………

筒井康隆(1934- ) については、「アフリカ」のページで

アフリカの爆弾」(1968)

 に登場いただきましたが、宇宙論に関わるものとしては;

筒井康隆、「幻想の未来」、『幻想の未来』(角川文庫 緑 305-1)、角川書店、1971
 1968年刊本に基づく文庫

筒井康隆、『脱走と追跡のサンバ』(角川文庫 緑 305-8)、角川書店、1974
 1971年刊本の文庫化

 神学に関わるものとして『エディプスの恋人』(1977)がありますが、現在行方不明。
 別の意味で神性顕現の何たるかを綴ったのが;


筒井康隆、「弁天さま」、『ウィークエンド・シャッフル』(講談社文庫 108-3)、講談社、1978
 1974年刊本の文庫化

筒井康隆、「バブリング創世記」、『バブリング創世記』(徳間文庫 202-5)、徳間書店、1982
 1978年刊本の文庫化

 筒井康隆作品の書誌情報については、サイト『筒井康隆』を参照
…………………

堀晃(1944- );

堀晃、『エネルギー救出作戦』(新潮文庫 ほ 6-1)、新潮社、1985
 1975年刊本の再編集版
遺された文化/電子猫/月へ逃げた男/ハロー! ハロー!/マイナス・ギャンブル/森からの声//
エネルギー黄金時代/エネルギー自給都市/エネルギー略奪装置/エネルギー不要機関/エネルギー救出作戦/エネルギー逆流計画/エネルギー増殖組合/エネルギー盗難事件/エネルギー蓄積日記/エネルギー二重影像/エネルギー終末時代/省エネねずみ算/ネゲントピア//
宇宙くじらの声/呪われた航路/接触の儀式/巨石のメッセージ/遺言/太陽系ルーレット/金魚鉢シンドローム/みどりの星へ/冥王星通信/安楽死星//
解説(中村誠一)など、
282ページ。


堀晃、『太陽風交点』(徳間文庫 214-1)、徳間書店、1981
 1979年刊本の文庫化
イカルスの翼/時間礁/暗黒星団/迷宮の風/最後の接触/電送都市/骨折星雲/太陽風交点/遺跡の声/悪魔のホットライン//
解説(小松左京)など、
320ページ。


堀晃、『梅田地下オデッセイ』(ハヤカワ文庫 JA 126)、早川書房、1981
アンドロメダ占星術/塩の指/無重力の環/宇宙猿の手/猫の空洞/地球環/熱の檻/逆立方程式/梅田地下オデッセイ//
宇宙SFのイメージ・デザイナー-解説的「堀 晃」論-(石原藤夫)など、
376ページ。


堀晃、『恐怖省』(集英社文庫 146-A)、集英社、1982
蜜の底/沈黙の波動/ペルセウスの指/コスモス・クロック/恐怖省/過去への声/蒼ざめた星の馬/宇宙葬の夜//
解説(かんべむさし)など、
256ページ。


堀晃、『漂着物体X』(双葉文庫 ほ 01-1)、双葉社、1989
 1987年刊本の文庫化

堀晃、『バビロニア・ウェーブ』、徳間書店、1988

 ノンフィクションとして;

堀晃、『マッド・サイエンス入門』(新潮文庫 ほ 6-2)、新潮社、1986
序章 マッド・サイエンスとじゃなにか?/社長室のブラックホール/地震喪失/はたちの屍臭/キバ民族説/顔面宇宙/鏡よ鏡……/無から有を/時間よとまれ/おれはスーパーマン/第10番惑星/誰がロボットを殺したか/月は地獄か極楽か/日替わり定食宇宙//
ボイジャー・カレンダー-あとがき・補註・その他-//解説(大野万紀)など、
238ページ。

…………………

明石散人(1945- );

明石散人、『鳥玄坊先生と根源の謎』(講談社ノベルズ アX-01)、講談社、1997

 同、    『鳥玄坊 時間の裏側』(講談社ノベルズ アX-02)、講談社、1998

 同、    『鳥玄坊 ゼロから零へ』(講談社ノベルズ アX-03)、講談社、1999
…………………

金井美恵子(1947- );

金井美恵子、『夢の時間』(新潮文庫 草 165B)、新潮社、1975
 1970年刊本の文庫化
夢の時間/奇妙な花嫁/燃える指//
解説(野口武彦)など、
226ページ。


金井美恵子、『春の画の館』(講談社文庫 124-2)、講談社、1979
 1973年刊本の文庫化

 解説として収録された「夢のジャムの氾濫」(巖谷國士)は、『宇宙模型としての書物』(青土社、1979)より転載。後者には金井美恵子論としてさらに、「かがみ・かがみ」と「書くことの苦痛と快楽」を収め、3篇合わせて「岸辺のない海 金井美恵子」としています(pp.46-61)。
…………………

鏡明(1948- );

鏡明、『不確定世界の探偵物語』(創元SF文庫 727-01)、東京創元社、2007
 1984年刊本の文庫化
…………………

川又千秋(1948- )については、

 「グノーシス諸派など Ⅲ」のページで


幻視界』(全4冊)(1988-1991)

 「近代など(20世紀~) Ⅲ」のページで

幻詩狩り』(1984)

 に登場してもらっていますが、また;

川又千秋、『反在士の指環』(徳間デュアル文庫 D か 4-2)、徳間書店、2001
 『反在士の鏡』(1981)収録の第1部~第3部に、第4部~第6部を加えて完結させたもの

川又千秋、『創星記』(上下)(ハヤカワ文庫 JA 290/261)、早川書房、1989
 1985年刊本に加筆訂正したもの。

川又千秋、『宇宙船(メビウス)号の冒険』(新潮文庫 か 14-2)、新潮社、1985

川又千秋、『惑星オネイロスの伝説』(新潮文庫 か 14-3)、新潮社、1987

川又千秋、『夢魔城』、中央公論社、1989
…………………

菊地秀行(1949- )については、

 「メソポタミア」のページで


魔宮バビロン(魔界都市〈新宿〉)』(1988)


 を、

 クトゥルー神話に関連して,

この地に朱の楽園を-ラヴクラフト《クトゥルー神話》
 (その下の『別冊幻想文学 10 ラヴクラフト・シンドローム』にも「夕ばえの街-ラヴクラフト旅行記」あり)

 および

マリオネットの譚詩(バラード)』(1994)

 を挙げましたが、他に;


菊地秀行、『夢幻舞踏会』(祥伝社ノン・ポシェット NPN97)、祥伝社、1988
 1985年刊本の文庫化

 →こちらにも挙げておきます


 また、漫画の原作者として→こちらを参照
 映画論について→こちらを参照
…………………

山田正紀(1950- )については、「仏教 Ⅱ」のページで弥勒に関連して

弥勒戦争』(1976)

 同じく空海に関連して

延暦十三年のフランケンシュタイン』(1988)

 「インド」のページで

神々の埋葬』(1977)、『火神(アグニ)を盗め』(1977)

 「中国 Ⅱ」のページで

崑崙遊撃隊』(1978)

 「アメリカ大陸など」のページでマヤに関連して

チョウたちの時間』(1979)

 「北欧、ケルト、スラヴなど」のページで北欧神話に関連して

デッド・エンド』(1980)

 「近代など(20世紀~) Ⅲ」のページでグルジェフに関連して

ツングース特命隊』(1980)

 「イスラーム Ⅲ」のページでヤズィード派に関連して

孔雀王』(1981)

 「日本 Ⅱ」のページで

顔のない神々』(1987)

 「ロマン主義、近代など(18世紀末~19世紀)」のページで

エイダ』(1994)

 と、さんざん登場いただきましたが、まだまだあります;


山田正紀、『神狩り』(ハヤカワ文庫 JA 88)、早川書房、1976
 1975年刊本の文庫化

 触発されたというラッセルの『超生命ヴァイトン』(1943)は→こちら(「近代など(20世紀~) Ⅴ」の頁のラッセルの項)を参照(山田正紀インタビュー by 笠井潔、「世界の変容、『神』の変貌」、『SF Japan』、vol.04、2002.4、pp.15-101:「特集:山田正紀 神狩り2」、pp.94-95)
 また本作への「オマージュ」とされるのが→こちら:本頁の牧野修の項の『月世界小説』(2015)


  同、  『神狩り2 リッパー』、徳間書店、2005

山田正紀、『地球・精神分析記録-エルド・アナリュシス-』(徳間文庫 210-1)、徳間書店、1981
 1977年刊本の文庫化

山田正紀、『超・博物誌』、徳間書店、1980

山田正紀、『宝石泥棒』、早川書房、1980

  同、   『宝石泥棒Ⅱ』(上下)、早川書房、1989

 →こちらでも触れています:「図像、図形、色彩、音楽、建築など」の頁の「おまけ」

山田正紀、『最後の敵 《モンスターのM・ミュータントのM》』(徳間文庫 210-4)、徳間書店、1985
 1982年刊本の文庫化

 →こちらで触れました(草野原々、『大絶滅恐竜タイムウォーズ』、2019)

山田正紀、『夢と闇の果て』(集英社文庫 や 6-3)、集英社、1988
 1984年刊本の文庫化

山田正紀、『神獣聖戦 Ⅰ 幻想の誕生』(TOKUMA NOVELS)、徳間書店、1984

  同、   『神獣聖戦 Ⅱ 時間牢に繋がれて』(TOKUMA NOVELS)、徳間書店、1984

  同、   『神獣聖戦 Ⅲ 鯨夢(GAME)鯨夢(GAME)!』(TOKUMA NOVELS)、徳間書店、1986

  同、   『魔術師』、徳間書店、1986

 シリーズⅠ~Ⅲは後に改訂・再編集して


  同、   『神獣聖戦』(上下)、徳間書店、2008

山田正紀、『機械獣ヴァイブ 1 獣黙示篇』(ソノラマ文庫 61-A)、朝日ソノラマ、1985

  同、   『機械獣ヴァイブ 2 獣地底篇(ソノラマ文庫 61-B)、朝日ソノラマ、1986

  同、   『機械獣ヴァイブ 3 獣誕生篇(ソノラマ文庫 61-C)、朝日ソノラマ、1987

  同、   『機械獣ヴァイブ 4 獣転生篇(ソノラマ文庫 61-D)、朝日ソノラマ、1988

 未完だったのを後に完結させて1冊にしたのが;

山田正紀、『未来獣ヴァイブ』(SONORAMA NOVELS)、朝日ソノラマ、2005

 →こちらにも挙げておきます:「原初の巨人、原初の獣、龍とドラゴンその他」の頁の「おまけ」

山田正紀、『幻象機械』(中公文庫 や 24-1)、中央公論社、1990
 1986年刊本の文庫化

山田正紀、『エンジェル・エコー』(新潮文庫 や 30-1)、新潮社、1987

山田正紀、『機神兵団』(全10巻)(ハルキ文庫 や 2-15/17~25)、角川春樹事務所、1999~2000
 1990~1994年刊本の文庫化

山田正紀、『ジャグラー』(徳間デュアル文庫 Dや 3-3)、徳間書店、2002
 1991年刊本の文庫化
 この作品には


山田正紀、『ジュークボックス』、徳間書店、1990

 から〈生命言語(ランガー)〉というモティーフを引き継いでいます。
 なので合わせて→こちらにも挙げておきます:「言葉、文字、記憶術・結合術、書物(天の書)など」の頁の「おまけ」


山田正紀、『妖虫戦線 1 バビロン・プロジェクト』(C NOVELS 24-13)、中央公論社、1995

  同、   『妖虫戦線 2 妖虫、めざめる』(C NOVELS 24-14)、中央公論社、1995

  同、   『妖虫戦線 3 ヘル・パラダイス』(C NOVELS 24-15)、中央公論社、1995

  同、   『妖虫戦線 4 分岐点』(C NOVELS 24-16)、中央公論社、1995

 未完のシリーズ

山田正紀、『神曲法廷』(講談社ノベルス ヤE-05)、講談社、1998

山田正紀、『ミステリ・オペラ 宿命城殺人事件』(ハヤカワ・ミステリワールド)、早川書房、2001

  同、   『マヂック・オペラ 二・二六殺人事件』(ハヤカワ・ミステリワールド)、早川書房、2005

  同、   『ファイナル・オペラ』(ハヤカワ・ミステリワールド)、早川書房、2012

山田正紀、『イリュミナシオン 君よ、非情の河を下れ』、早川書房、2009

山田正紀、『戦争獣戦争』(創元日本SF叢書 14)、東京創元社、2019

 台湾の高山族(高砂族)にあたる華麗島の漂泊叛族が棲まう結晶林(マガタマカガミノモリ)において、シャーマンである女媧(じょか)に刺青獣を施されることで人から変成した異人(ホカヒビト)たちが主人公です。
 
現世(ウツシヨ)=三次元空域に対する狭間(マレヨ)=四次元高時空域座標、そこでは「全ての事象はいわば微分されて、ミクロな『粒子の運動』として一元化される」(p.26)。
 
狭間(マレヨ)はまた「渓(谷)」、「江(川)」(p.177)と伝えられ、無数の黄蓮華(おうれんげ)を浮かべている。黄蓮華は
「たくさんの可能性を内包していて、われわれ
異人(ホカヒビト)がそれを選ぶことで、世界にたったひとつの可能性を開花させる」(p.318。またp.345、p.389)。
 
狭間(マレヨ)では生命(イノチ)に対する死命(シノチ)、その最優勢種、戦争獣(ウォー・ビースト)(p.21)が跳梁します。1945年8月6日午前8時15分に誕生した蚩尤(しゆう)と1945年8月9日午前11時2分に誕生した黄帝(こうてい)が闘争を繰りひろげています。
 なおその鳴き声は「キュールクルルゥ、クルルゥ」(pp.167-168、p.215)というものですが、これはクトゥルーを連想させたりもする。
 
戦争獣(ウォー・ビースト)に関連して物理的エントロピーと情報的エントロピー(pp.125-126)との区別が語られ、それが「魂の構築体」(p.342)につながる一方、ある幅の時間、たとえば「30年もの時空域を長期の『現在』と感じ」(p.132)る「滞時空域能力」についても記され、クライマックスでも重要な役割を果たします。
 他方、四次元高時空域である
狭間(マレヨ)の、「それ以上の次元数に構築された」(p.76)死界(ツクシヨ)死域(ピンイン)、その入口には大門「隘勇門(あいゆうもん)」がそびえている。その先には生態系に対する死態系があるという。
「死はその全体として膨大な『死態系』を構成する」(p.357)、
狭間(マレヨ)のさらにその先、死界(ツクシヨ)での『時間・空間・消滅』時空域 - それこそがつまり死域(ピンイン)であり、そこに構築される死命(シノチ)動物環境がすなわち死態系であるわけなのだろう」(pp.362-363)。
 「最終・究極戦争」と「絶対戦争獣」(pp.248-249、p.407)について予言されるかたわら、
死命(シノチ)生命(イノチ)に先だってこの地球上に存在した」、
「最初、『死』だけがあった」と開闢神話(p.361)が綴られたりもするのでした。
 ところで朝鮮戦争が主な舞台のひとつで、核が重要な役割を果たす点、異能の亜人間たちが主要な登場人物である点、加えて『~戦争』というタイトルなどからして、本作は『弥勒戦争』(1976)とテーマを重ねあわされているように見えます。ただ『神狩り2 リッパー』(2005)がそうであったように、希望が暗示されて閉じるのは何かと感慨深いものがあるのでした。


山田正紀、『デス・レター』(創元日本SF叢書 16)、東京創元社、2020

 死は死神が司る、にもかかわらず大切な何かの死を告げる「デス・レター」が届けられるという事態が発生、それを受けてデス・レターを受けとった者に死神がインタヴューするという形で、エピソードが積み重ねられます。
 第3話で〈
時空域(クロノス・トポス)〉という言葉が登場(p.106)、6番目の最終話ではワープロならぬ「ワールド・プロセッサー? 世界を創造する(ワールド・プロセッサー)?」(p.228)と記されて設定が一転します。「夢機質(むきしつ)」(p.235)、〈集合的無意識〉ならぬ〈集合的夢意識〉(p.238)といったお得意の駄洒落用語も用いられ、
「夢機質の巨大エネルギーをビームで集束し、強力に照射すれば、宇宙に偏在するダーク・マターのベクトル流動を喚起し、渦動を引き起こすことができる…(中略)…
 それら無数の夢機質運動が宇宙的な規模のもとに巨大な『夢』を構成しているのではないか、…(中略)…
 無数の - それこそ天文学的な数の - 『夢』が、リゾーム状をなし、銀河にひろがり、はるかに錯綜する……そして悠然と、倦まずたゆまずに、
宇宙そのものの物語(ヽヽヽヽヽヽヽヽヽ)をものがたっているのだ…(後略)」(pp.238-239)
と大風呂敷がひろげられるのでした。そこからさらに二転、話者を入れ替え「夢と物語」(p.246)が未来へとつながれる末尾は、上に触れた『神狩り2 リッパー』(2005)や『戦争獣戦争』(2019)ともあわせ、何かと感慨深いところではありますまいか。


 長篇ばかりになってしまいましたが、短篇からはとりあえず;

山田正紀、「銀の弾丸」(1977)、『終末曲面』(講談社文庫 51-1)、講談社、1979
 1977年刊本の文庫化

 日本におけるクトゥルー神話創作の比較的早い例ということで、『クトゥルー怪異録』(1994/文庫版:2000)にも収録されています
追補:また

『銀の弾丸 クトゥルー短編集』(クトゥルー・ミュトス・ファイルズ)、創土社、2017

 他の収録作は;
おどり喰い(2002)/松井清衛門、推参ゆかまつる(2013)/悪魔の辞典(2005)/贖罪の惑星(1976)/石に(すす)ぎて滅びなば(2015)/戦場の又三郎(書き下ろし)

 余談になりますが、『アビス』(1989、監督:ジェイムズ・キャメロン)のクライマックスを見た時は、「銀の弾丸」流に解釈されたクトゥルー神話・ルルイエ浮上の段じゃんと思ったことでした(→こちら(南極)でも触れました)。
 ちなみに『バトル・オブ・バミューダトライアングル』(2014、監督:ニック・ライオン)もルルイエ浮上のお話を連想させましたが、こちらでは「銀の弾丸」流の反転は起こらず、その意味ではオーソドックスなクトゥルー神話に近いと見なせるかもしれません。とはいえアメリカ合衆国の軍人と大統領しか登場しないのには大いに鼻白むところではありましたが)。
 山田正紀によるクトゥルー神話としては、もう一つ;


山田正紀、「宇宙からの色の研究」、『ホームズ鬼譚~異次元の色彩』、2013

 さらに;

山田正紀、『クトゥルフ少女戦隊 第1部』(クトゥルー・ミュトス・ファイルズ)、創土社、2014

山田正紀、『クトゥルフ少女戦隊 第2部』(クトゥルー・ミュトス・ファイルズ)、創土社、2014

 『第2部』の解説(菖蒲剛智)にも記されているように(p.260)、『第1部』の第2章11で言及され、その後も何度か参照される「このSF作家の別の作品」(p.158)は小松左京の「結晶星団」です。
 またその直前に登場する「遺作であり、未完の大作」(p.155)は同じく小松左京『虚無回廊』(あわせて→こちらを参照:本頁の小松左京の項)。
 ラヴクラフトについては『第1部』第2章15で述べられています(pp.179-180)。、また『第1部』第2章10で脚本家である登場人物の一人が、
「じつはクトゥルフは『愛』の体現者であり、人類こそが凶暴で邪悪な生命体ではないか、という仮説を第7話のエピソードにコッソリ忍びこませておいた」(p.149)
というのは、自作の上掲「銀の弾丸」(1977)を想起しているのでしょう。

 →こちらでも挙げています:「近代など(20世紀~) Ⅳ」の頁の「xix. ラヴクラフトとクトゥルー神話など」中の日本作家の項

山田正紀、『バットランド』、河出書房新社、2018
コンセスター/バットランド/別の世界は可能かもしれない。/お悔やみなされますな晴姫様、と竹拓衆は云った/雲のなかの悪魔など、
352ページ。


 「コンセスター」のタイトルは
「コモン・アンセスター……直訳すれば『共通の祖先』と云う意味になるだろうか。…(中略)…リチャード・ドーキンスという学者がその著書で、生物進化の系統樹をさかのぼれば必ずどこかの枝分かれ地点に存在するはずの共通祖先として、『コンセスター』という造語を当てた、という話を聞いたことがある」
とのこと(p.30)。ただしここでは『神狩り2 リッパー』(2005)、さらにその前篇『神狩り』(1975)の触発源になったというラッセルの『超生命ヴァイトン』(1943)を連想させる設定になっていました。
 「別の世界は可能かもしれない。」にも相通じる設定が見られ、しかもそれが、『神々の埋葬』(1977)を思わせなくもない神々の闘争へと展開します。
 「バットランド」はジャコ・パストリアスが加入したウェザー・リポートの「バードランド」(『ヘヴィ・ウェザー』(1977)収録)のもじりで、ブラックホールの蒸発と情報の問題に〈量子のもつれ〉を強引にかけあわせた中篇です。認知症も重要なモティーフになっている。ブラックホールの名が「ゴルディオン」なのは、ウェブのどこかで指摘されていたように小松左京の「ゴルディアスの結び目」(1977)に由来するのでしょうか。さらにオチは『最後の敵 《モンスターのM・ミュータントのM》』(1982)のそれに通じています。
 このオチは「雲のなかの悪魔」でも採用されます。加えて
泡宇宙(バブル)〉の集合としての〈汎・泡宇宙(オール・バブルズ)〉、〈万物理論知性体(TOEI)〉→〈重力知性体(GI)〉→人間のような〈電磁力知性体(EI)
という支配→被支配のヒエラルキア、舞台となる八つの〈
(セル)泡宇宙(バブル)〉が四次元的に時空交叉する流刑星〈深遠(ディープ)〉、〈マックスウェルの悪魔〉、〈パノプティコン〉、〈擬似ブラックホール〉などぞろぞろ登場、挙げ句の果てに主人公が「宇宙をはらんだ」(p.334)りします。グレッグ・イーガンを意識しているような気もしないではありません。
 「お悔やみなされますな晴姫様、と竹拓衆は云った」は秀吉の備中高松城攻めを背景に、『チョウたちの時間』(1979)を思いださせる時間SF。かぐや姫にもからみます。「竹拓衆」のチクタクというのは時計の音の駄洒落なのでしょうか。
 ことほどさように、奇想満載の短篇集でした。


 山田正紀作品の書誌情報については、

『SF Japan』、vol.04、2002.4、pp.15-101:「特集:山田正紀 神狩り2」中の日下三蔵編、「山田正紀著作リスト[完全版](2002年2月末日現在)」(pp.91-93)

 参照
 同特集には他に;
『神狩り』再読(上野俊哉)/対談 天使の質量は、誰がはかるのか?(山田正紀・押井守)/やまだ道 耶麻霊サキの青春(田中啓文)/山田正紀ファンクラブ(プロ限定)結成式(我孫子武丸、菅浩江、田中啓文、西澤保彦、牧野修、他)/世界の変容、「神」の変貌(山田正紀・笠井潔)など

 また、サイト「山田正紀ガイド」 [ < 『黄金の羊毛亭』] も参照


 日本のアコースティック・チェンバー・ロック・グループ

Lacrymosa, Bugbear, 1994(こちらも参照:「仏教 Ⅱ」の頁の「おまけ」)

 に収められたファースト・アルバム('84)の6曲目は「時間牢に繋がれて
~ Cofined in the Time Prisoni」と題されていました。3分45秒。
 『神獣聖戦 Ⅱ 時間牢に繋がれて』(1984)と関係があるのでしょう。歌詞はよく聴きとれなかったのですが、「砂時計~」と歌っていました - と思ったらいやいやいや、CD自体の裏面に歌詞が印刷されていました。
 続く
"Vision II. The Chuckle Laughter in the Question"は器楽曲ですが、時計が秒針を刻む音と時鐘が組みこまれています。3分10秒。
…………………

谷甲州(1951- )については、

 「中央アジア、東アジア、東南アジア、オセアニアなど」のページで


天を越える旅人』(1994) 

 に触れましたが、他に;

谷甲州、『終わりなき索敵 航空宇宙軍史』(上下)(ハヤカワ文庫 JA 569/570)、早川書房、1996
 1993年刊本の文庫化
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夢枕獏(1951- )については、

 「仏教 Ⅱ」のページで


上弦の月を喰べる獅子』(1989)

『幻獣変化』(1981)

『涅槃の王』(全6巻)(1991-1996)

 を挙げました。それ以外に;

夢枕獏、『ねこひきのオルオラネ』(集英社文庫 コバルト・シリーズ 花 58-A)、1979
ねこひきのオルオラネ/山奥の奇妙なやつ/自分ぼっこ/山を生んだ男//
あとがきなど、
192ページ。


夢枕獏、『遙かなる巨神』(双葉ノベルズ 004)、双葉社、1980
木犀のひと/どむ伝/魔性/わらし/蒼い旅籠で/消えた男/千日手/遙かなる巨神//
タイポグラフィック・ストーリー;カエルの死/ローズマリーの……/走る人/泣きじゃくる子供/みっつの死/終電の事故/崩壊のプロセス//
後書き 後乱駄文-あとらんだむなど、
214ページ。


夢枕獏、『歓喜月の孔雀舞(パヴァーヌ)』、新潮社、1987
ころぼっくりの鬼/微笑/優しい針/蛇淫/髑髏盃(カパーラ)/檜垣-闇法師/歓喜月の孔雀舞(パヴァーヌ)//
あとがきなど、
262ページ。


夢枕獏、『混沌(カオス)の城』(上下)、光文社、1991

夢枕獏、『月に呼ばれて海より如来(きた)る』(徳間文庫 ゆ 2-14)、徳間書房、2001
 1999年刊本の文庫化

 →こちら(「図像、図形、色彩、音楽、建築など」の頁の「おまけ」)、また『黒塚 KUROZUKA』(2000)についてそちら(「グノーシス諸派など Ⅰ」の頁の「余談 イスカリオテのユダなど」の項)で触れました
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栗本薫(1953-2009)には

 「近代など(20世紀~) Ⅳ」のページで、


中島梓名義の『道化師と神 SF論序説』(1984)

 また同じページのクトゥルー神話関連で

栗本薫、『魔境遊撃隊』(第1部・第2部)(1984)

栗本薫、『夢魔の4つの扉 グイン・サーガ外伝 14』(1998)

 を挙げましたが、他に;

栗本薫、『時の石』(角川文庫 緑 500-3)、角川書店、1983
時の石/黴/BURN(紫の炎)//
解説(鏡明)など、
282ページ。

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神林長平(1953-)には

 「エジプト」のページで


ラーゼフォン 時間調律師』(2002)

 に登場してもらいましたが、数多くの作品から、まずは次の2作;

神林長平、『プリズム』(ハヤカワ文庫 JA 227)、早川書房、1986

神林長平、『猶予の月』、早川書房、1992

 また

神林長平、『完璧な涙』(ハヤカワ文庫 JA 322)、早川書房、1990

神林長平、『死して咲く花、実のある夢』(ハヤカワ文庫 JA 566)、早川書房、1996
 1992年刊本の文庫化

神林長平、『言壺』、中央公論社、1994

 →こちらにも挙げておきます

神林長平、『小指の先の天使』、早川書房、2003

 神林長平の作品については、サイト『神林地帯』 [ < 石堂藍のサイト] を参照
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野阿梓(1954- );

野阿梓、『兇天使』(上下)(ハヤカワ文庫 JA 221/222)、早川書房、1986

 →こちらや、あちらにも挙げておきます
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友成純一(1954- );

 2号で廃刊になったらしい『ホラーウェイヴ』誌のその2号(1999.3)は「友成純一&鬼畜スペシャル!」特集で、そこに再録された

友成純一、「幻想の速度-国枝・夢野・久生」(pp.87-101)

 の後書き的な文章として

友成純一、「我が妄執〈正四面体の宇宙論〉」(pp.102-103)

 が掲載されていました。見開きの分量で、宇宙論の内容については
「『宇宙は球に内接した正四面体である』という妄想に駆られていて、これをポーの『ユリイカ』や稲垣足穂のエッセイのような形で、論証したかった」
云々と触れられているばかりですが、「これこそ、私のライフワークである。必ずや完成させたいが」……と記されて、その後どうなったのか、いかんせん著書の数が半端でなく、しかも何冊か読んでみればなかなかにきつい内容なので、とりあえず目に止まったのは;


友成純一、『人獣裁判』(奇想天外ノベルス)、大陸書房、1987

 の「第9章 破戒同盟・教理篇」(pp.155-171)が「いずれ宇宙論をまとめたいなあという、ささやかな意志表示」(「あとがき」、p.211)とのことです。カタリ派が用いた『ヨハネ問答録-秘密の晩餐』が引きあいに出されたりするものの(p.159)、ここで宇宙論議をするのは〈正四面体の宇宙論〉にとり憑かれているという語り手(p.164、pp.170-171とは別の人物でした。なおその人物についての挿話が綴られる「第6章 眼力狂人」(pp.100-121)もなかなか興味深い。

 この他、

友成純一、『樹夢-グリーン・ドリーム-』(幻狼ファンタジアノベルス)、幻冬舎、2009

 p.42、p.104、p.183 などでも〈正四面体の宇宙論〉に言及されますが、詳しく展開はされていません。
 他にもあるのでしょうか?


 なお

友成純一、『覚醒者』(光文社文庫 と 15-1)、光文社、2005

 はクトゥルー神話でした(→こちらも参照)。

 余談になりますが、友成純一の文章に始めて触れたのはおそらく、

『機動警察パトレイバー2』、1993、監督:押井守

 のVHSソフトに封入されていたパンフレット掲載の

友成純一、「押井守を巡って言いたい放題!!」

 でしょうか。
 友成純一は映画論も著しており、別の箇所で触れた


友成純一、『内臓幻想』、ペヨトル工房、1993

友成純一、『暴力/猟奇/名画座』、洋泉社、2000

友成純一、『人間・廃業・宣言 世紀末映画メッタ斬り』、洋泉社、2005

 などがありました。

 さらにやはり別の箇所で触れた翻訳が;

ジェフ・ロヴィン、友成純一訳、『狼男の逆襲』(扶桑社ミステリー ロ10-1)、扶桑社、2006

 →こちらも参照
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井辻朱美(1955- );

井辻朱美、『風街物語』、哲学書房、1988
風街物語;風街物語-マーチ氏による旅行者のためのガイド/眠り男の森/チェスの平原/噴水綺譚/オルゲンビュヒライン/少女と傘/ロビン・グッドフェロウの災難//
エルガーノの歌;序曲 青い真珠/第2曲 古譚/第3曲 死神/第4曲 イニスフレイ姫/第5曲 侏儒/間奏曲/第6曲 海の王国/終曲 たてごと//
ファラオの娘;ファラオの娘//
進化の物語;イクチオステガ/海牛の島//
帰郷;帰郷//
あとがきなど、
262ページ。

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山尾悠子(1955- );

『山尾悠子作品集成』、国書刊行会、2000
夢の棲む街;夢の棲む街/月蝕/ムーンゲイト/堕天使/遠近法/シメールの領地/ファンタジア領//
耶路庭国異聞;耶路庭国異聞/街の人名簿/巨人/蝕/スターストーン/黒金/童話・支那風小夜曲集/透明族に関するエスキス/私はその男にハンザ街で出会った/遠近法・補遺//
破壊王;パラス・アテネ/火焔圖/夜半楽/繭(「饗宴」抄)//
掌篇集・綴れ織;支那の禽/秋宵/菊/眠れる美女/傳説/月齢/蝉丸/赤い糸/塔/天使論//
ゴーレム//
解題(石堂藍)など、
766ページ。


 『夢の棲む街』(ハヤカワ文庫 JA 107、早川書房、1978)と『夢の棲む街 遠近法』(三一書房、1982)所収の作品はすべて上記『作品集成』に収められたことになります。「遠近法」は→こちらにも挙げておきます。また→こちらでも少し触れています

 これ以外に - 以下、宇宙論とはあまり交わらなかったかと思いますが - たしか、たぶん;


山尾悠子、『仮面物語 或は鏡の王国の記』、徳間書店、1980

山尾悠子、『オットーと魔術師』(集英社文庫コバルト・シリーズ 77-A)、集英社、1980
オットーと魔術師/チョコレート人形/堕天使/初夏ものがたりなど、230ページ。

 また歌集として;

山尾悠子、『角砂糖の日 山尾悠子歌集』、深夜叢書社、1982

 ラヴクラフトにまつわるエッセイ(→こちらも参照);

山尾悠子、「ラヴクラフトとその偽作集団 偽書渉猟 20」、『ユリイカ』、vol.19 no.9、1987.8(「特集 旅行のフォークロア 異次元へのトリップ」)、pp.8-11

 「ラヴクラフト風の悪夢」と「アウトサイダー」のパロディ「She」ではさまれた随想。
 もっともラヴクラフトやそのクトゥルー物は苦手だとのこと。その割りには「悪夢」「She」双方に触手が登場するのですが。
 『夢の遠近法 山尾悠子初期作品選』(国書刊行会、2010)に再録とのこと(未見)。
 なお連載「偽書渉猟」は回ごとに執筆者が変わるものだったようです。


 執筆活動再開後のものとして;

山尾悠子、『ラピスラズリ』、国書刊行会、2003

山尾悠子、『歪み真珠 山尾悠子掌篇小説集』、国書刊行会、2010
ゴルゴンゾーラ大王あるいは草の冠/美神の通過/娼婦たち、人魚でいっぱいの海/美しい背中のアタランテ/マスクとベルガマスク/聖アントワーヌの憂鬱/水源地まで/向日性について/ドロテアの首と銀の皿/影盗みの話/火の発見/アンヌンツィアツィオーネ/夜の宮殿の観光、女王との謁見つき/夜の宮殿と輝く、まひるの塔/紫禁城の後宮で、ひとりの女が//
後記など、
240ページ。


山尾悠子、『飛ぶ孔雀』、文藝春秋、2018

山尾悠子、中川多理(人形・写真・装画)、『小鳥たち』、ステュディオ・パラボリカ、2019
小鳥たち/小鳥たち、その春の廃園の/小鳥の葬送//
中川多理さんと小鳥たちのこと - あとがきに代えて(山尾悠子)/あとがき(中川多理)など、
104ページ。


 合わせて;

山尾悠子、『翼と宝冠 KOTORITACHI-extra』、ステュディオ・パラボリカ、2020
32ページ。

 豆本です。


山尾悠子、『山の人魚と虚ろの王』、国書刊行会、2021

 『ラピスラズリ』(2003)、『歪み真珠』(2010)、『飛ぶ孔雀』(2018)ともう一つ波長を合わせきれなかったのですが、『小鳥たち』(2019)に続いて本作で、多少ともすりあわせることができた気がしなくもなかったことでした。本作の場合、過去と現在を行ったり来たりするものの、一応始まりと終わりが枠づけられている点、また心理描写に重きを置くわけではいっかなないにせよ、一人称の語り手とその新妻になにがしかの魅力が感じられ、こういった小説でもキャラクターの牽引力が小さくないことを感じさせてくれた点によるところが大きいのでしょう。
 なお箱の表に使われているルドンの版画集《夢の中で》(1879)中の第8番《ヴィジョン
Vision 》に描かれた状況が垣間見られたり(p.5、p.123)、ロセッティの《彼らは如何にしてじぶんじしんと出会ったか》に触れられたりしていました(p.87。ちなみにロセッティの How they met themselves にはペン素描(1851-60)や水彩(1860-64)のヴァージョンがあるようで、各一点をフィッツウィリアム美術館が所蔵しています。と思ったら『夜想#山尾悠子』(ステュディオ・パラボリカ、2021)の表裏双方の見返しにペン素描版の細部が使われていました.。同書には金沢百枝、「山尾作品と美術 滅亡と解放の物語」も掲載:pp.144-153)。
 「天井から長く鎖で吊り下げられた白い小型シャンデリアの底から女の脚が、それも舞踏靴を履いた足がいっぽんだけ垂れ下がっており」(p.81)というのは、マネの《オペラ座の仮面舞踏会》(1873)や《フォリー・ベルジェールのバー》(1881-82)の細部が連想されたりもしますが(→こちらや、またそちら)、これは無関係でしょうか?
 また「断崖に張りついて強風に耐える都市…(中略)…それは地の果てにあって、自動的に上下の方向へ生成する驚異的な都市だった」(pp.104-105)に続いて、「別のよく栄えた都市で、世界を同じ広がりを持つ地下図書館」(p.105)とその「盲目の図書館長」(同上)が言及されますが、後者はその館長からして、自作の「遠近法」以上にボルヘスの「バベルの図書館」が念頭に置かれているのでしょうか。また前者は荒巻義雄の『時の葦船』を連想させたりもする。
 とまれ本書では、「駅舎ホテル」(p.11前後以降など)、「夜の宮殿」(p.44前後以降など)、そして「山の屋敷」(p.95以降など)と、全容のつかみがたい建物が舞台になります。

…………………

山口泉(1955- );

山口泉、『宇宙のみなもとの滝』、新潮社、1989
…………………

奥泉光(1956- );

奥泉光、『鳥類学者のファンタジア』(集英社文庫 お 25-5)、集英社、2004
 2001年刊本の文庫化

奥泉光、『新・地底旅行』、朝日新聞社、2004
…………………

金子邦彦(1956- );

金子邦彦、『カオスの紡ぐ夢の中で 〈数理を愉しむ〉シリーズ』(ハヤカワ文庫 ノンフィクション NF 364)、早川書房、2010
1998年刊本への加筆版
複雑系へのカオス的遍歴/カオス出門/小説 進物史観-進化する物語群の歴史を見て//
バーチャル・インタビュー-あとがきにかえて/解説(円城塔)など、
254ページ。

…………………

機本伸司(1956- );

機本伸司、『神様のパズル』、角川春樹事務所、2002
…………………

山本弘(1956- )には

 「近代など(20世紀~) Ⅳ」のページでSFへのブックガイドとして


トンデモ本? 違う、SFだ!』(2004)

 および

『トンデモ本? 違う、SFだ! RETURNS』(2006)、

 また同じページでクトゥルー神話のひとつとして

ラプラスの魔 ゴーストハンター』(2002)

 を挙げましたが、さらに;

山本弘、『ギャラクシー・トリッパー美葉 1 10万光年のエスケープ』(角川スニーカー文庫 S601-6)、角川書店、1992

山本弘、『ギャラクシー・トリッパー美葉 2 空の彼方のユートピア』(角川スニーカー文庫 S601-7)、角川書店、1994

山本弘、『ギャラクシー・トリッパー美葉 3 寄り道だらけのオデッセイ』(角川スニーカー文庫 S601-9)、角川書店、1995

 スペース・オペラを繰りひろげるための最大の障害、光速度の壁をすり抜けるためのさまざまな方法、
「量子生成=消滅型位相波不連続超光速ドライブ」(1巻pp.95-97)だの
「ステルス航法」(1巻pp.144-147)、
「ビッグバン往復航法」(2巻pp.94-100)、
「幽体化航法」(2巻p.161)、
「アリバイ隠滅航法」(2巻pp.199-202)
 などが登場します。これらの方法が実現するのは、舞台となる世界がある意味で言霊宇宙だからなのでしょうか。


山本弘、『時の果てのフェブラリー-赤方偏移世界-』(徳間デュアル文庫)、徳間書店、2001
 1990年刊本を大幅に加筆修正したもの

 〈メタ・チョムスキー文法〉(p.28)、
 〈虚数次元〉(pp.146-150)、
 モノポール(pp.220-222)、
 「巨大な生物のかけら」(p.228)、
 〈門〉(pp.242-243)、
 〈彼〉(pp.246-247)、
 「〈彼〉が地球に〈スポット〉を作った目的」(pp.274-275)
などなどのイメージが登場します。
 〈門〉のくだりはラヴクラフト+E.ホフマン・プライスの「銀の鍵の門を越えて」を連想させなくもなく、〈彼〉のあり方にクトゥルー神話的なものを読みとれなくもないかもしれません。地球の生物との類比を絶したその様相は、それでも、あくまで生物と位置づけられていました。
 最後の「理由」の話は、『妖星ゴラス』(1962)を発展させたという後の『地球移動作戦』(2009)につながっていくのでしょう。
 〈メタ・チョムスキー文法〉や後出の「無理数の言葉」、「三値論理学」に関し→こちらにも挙げておきます


山本弘、『神は沈黙せず』、角川書店、2003

山本弘、『審判の日』、角川書店、2004
闇が落ちる前に、もう一度/屋上にいるもの/時分割の地獄/夜の顔/審判の日など、
268ページ。


 「闇が落ちる前に、もう一度」に登場する
「極大エントロピー宇宙モデル」(pp.12-16)
は、この宇宙が偶然生じたあぶくのように不安定なものだという発想の点で、後述する〈亜夢界〉連作につながっているように思われます。
 「夜の顔」はこの宇宙を有限な「ミニチュア」(p.155)と見なす発想の点で『神は沈黙せず』につながっているように思われます。またミニチュアの創造者である神的なものの振舞はその不条理さにおいて、クトゥルー神話や筒井康隆の「弁天さま」に通じていると見なせるかもしれません。
 「審判の日」にも「地球意志」なる超越者が登場します(pp.255-256)。


山本弘、『シュレディンガーのチョコパフェ』(ハヤカワ文庫 JA 914)、早川書房、2008
 『まだ見ぬ冬の悲しみも』(2006)に一編加えた増補文庫版
シュレディンガーのチョコパフェ/奥歯のスイッチを入れろ/バイオシップ・ハンター/メデューサの呪文/まだ見ぬ冬の悲しみも/七パーセントのテンムー/闇からの衝動//
あとがき/SFとオタクに必要なものの半分くらいは、山本弘に教わった(前島賢)など、
428ページ。


 「バイオシップ・ハンター」には宇宙船の航行法法として
「20世紀の物理学者ファインマンが唱えた
再解釈原理(リインタープリテーション・プリンシプル)」(p.167)
が登場します。
 「メデューサの呪文」には「無理数の言葉」(p.241)というイメージが登場します。
 「まだ見ぬ冬の悲しみも」には時間旅行の原理として、「時間的同一性交換」(p.282)という原理が持ちだされます。また
「宇宙の最初、世界はたったひとつしかなかったと考えられます。宇宙が膨張するにつれ、可能性がどんどん広がり、パラレルワールドは増えていったわけです」(p.290)。
「パラレルワールドは未来に向かって増えるだけではない。過去に向かう際にも増えるのだ」(p.310)。
 「闇からの衝動」は「シャンブロウ」(1933)などで知られる小説家C.L.ムーアを主人公に、後にその夫となるヘンリー・カットナーを脇役にしたお話。やはりクトゥルー神話を思わせる「永遠の闇に棲息する生物」(p.396)が登場します。 あわせて山本弘、『トンデモ本? 違う、SFだ!』、2004、pp.30-37:「闇と死に愛された女戦士ジレル その魂の攻防に震えろ! C・L・ムーア『暗黒神のくちづけ』」も参照。


 「シュレディンガーのチョコパフェ」は次の『アリスへの決別』に収められた「オルダーセンの世界」および「夢幻潜航艇」とともに;
「夢というのは、シュレディンガーの猫のような状態…(中略)…1か0か、有か無か、現実か虚構か…(中略)…実際にはその中間に、無限に多くの状態が存在する…(中略)…観測範囲の外では、物質は霧のような不確定状態になっている。それが夢」(「オルダーセンの世界」、pp.250-251)。
 「イディオス・コスモス」=「自分専用の小さな世界」(同上、p.251。「夢幻潜航艇」では「
観念宇宙(イディオス・コスモス)」と記されます(p.299))
「コイノス・コスモス」(同じく「共有
宇宙(コイノス・コスモス)」、同上)=「たくさんの人のイディオス・コスモスが重なり、共通する部分を共有することで、、世界は安定して存在できる」(「オルダーセンの世界」、P.251)=「亜夢界」=「夢と現実の中間の、準安定な定常状態」(同上、p.252)
等と設定される宇宙を舞台にしています。
 「夢幻潜航艇」ではこうした世界像は「ウィンクラーの夢事象理論」によって見出されたとされます(pp.294-301);
「夢時空 - ウィンクラーの想定する原初の宇宙 - の中では、遅延波と先進波が均等に混ざり合っている。時間はどちらの方向へも流れているので、常にタイム・パラドックスが生じている。確固たる因果の鎖は存在せず、すべての物質は形のない確立の雲の状態にあり、あらゆる可能性が渾然となって溶け合っている。…(中略)…あなたの見ている〝現実〟とは、広大な夢の海の一画の、対称性が破れた小領域にすぎない。何かのきっかけで、先進波をまったく含まない異常な時空が生じたため、ぼんやりとした確立の雲の中から、形あるものが生まれてきたのだ。…(中略)…だが、それは見かけほど安定した状態ではない…(中略)…破局は唐突にやって来た」(pp.2987-298)。
 それに対応して「二値論理」ならぬ「三値論理学」が用いられる(p.296)。
 この短篇で探索される「魚」は押井守の『天使のたまご』(1985)を連想させるとともに、地上のことを気に留めようにもその手段すらもたなかった、隔絶した存在という点で、『時の果てのフェブラリー-赤方偏移世界-』での〈彼〉に通じていると見なせるかもしれません。
 また〈SEAFROTH〉(p.344)と綴られる主人公シーフロスの名は、カバラーにおけるセフィロートを思わせなくもありません。
 「シュレディンガーのチョコパフェ」にも「ウィンクラーの夢事象理論」が登場(pp.24-27、30-32、43-45)、〈破局〉の起こりが物語られます。なおこの作品はハーネス「現実創造」へのオマージュであり、「話の構造が同じである」とのこと(「あとがき」、p.410)。


山本弘、『アリスへの決別』(ハヤカワ文庫 JA 1005)、早川書房、2010
アリスへの決別/リトルガールふたたび/七歩跳んだ男/地獄はここに/地球から来た男/オルダーセンの世界/夢幻潜航艇//
あとがきなど、
380ページ。


山本弘、『MM9』(創元SF文庫 737-01)、東京創元社、2010

 同、  『MM9-インベージョン-』、東京創元社、2011

 同、  『MM9-デストラクション-』、東京創元社、2013

 →こちらにも挙げておきます
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水見稜(1957- )には

 「バロックなど(17世紀)」のページで


夢魔のふる夜』(1983)

 を挙げましたが、他に;

水見稜、『マインド・イーター』(ハヤカワ文庫 JA 194)、早川書房、1984
野生の夢/おまえのしるし/緑の記憶/憎悪の谷/リトル・ジニー/迷宮//
解説(大野万紀)など、
388ページ。

 後に完全版(創元SF文庫、2011)が刊行。上掲書所収のもの以外に;
サック・フル・オブ・ドリームス/夢の浅瀬//
創元SF文庫版あとがき/人と宇宙とフィクションをめぐる[実験](飛浩隆)/『マインド・イーター[完全版]』解題(日下三蔵)
 を加えて全512ページ。


 →こちらでも少し触れています

水見稜、『不在の惑星』(新潮文庫 み 16-1)、早川書房、1985

 同、  『星の導師』(新潮文庫 み 16-2)、早川書房、1986

水見稜、『二重戦士のさだめ 回廊世界シリーズ 1』(ハヤカワ文庫 JA 217)、早川書房、1986

 同、  『エッダ回廊 回廊世界シリーズ 2』(ハヤカワ文庫 JA 254)、早川書房、1987

水見稜、『食卓に愛を』(ハヤカワ文庫 JA 285)、早川書房、1989
パティの出てくる日/シネマハウスの夜/バルカローレ/オーガニック・スープ/プロンプター/食卓に愛を/アレルギーの彼方に/神の糧//
あとがきなど、
302ページ。


 水見稜作品の書誌情報については、「水見稜 作品リスト[ < Sturgeon's Trashcan Online Editionを参照
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ひかわ玲子(1958- );

ひかわ玲子、『千の夜の還る処』(ファンタジー・エッセンシャル)、富士見書房、1998

 →こちらにも挙げておきます
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牧野修(1958- );

牧野修、『月世界小説』(ハヤカワ文庫 JA マ 5-7)、早川書房、2015

 帯には山田正紀「『神狩り』へのオマージュ」とあり、解説を山田正紀が書いている他、エピグラフには『神狩り』でも用いられていたヴィトゲンシュタインの一文が挙げられています。
 本文中では旧字で「神」と記されるそれは、「非言語的存在」とも言い換えられる。


 引っ張りだしてみると

牧野修、『リアルヘヴンへようこそ(異形招待席)』(廣済堂文庫 775 ま 4-1)、廣済堂出版、1999

 でも異界は「語り得ぬ世界」と呼ばれ、上書きによる現実の改変がモティーフになっていました。
 とりわけ後者は著者によって繰り返しとりあげられる主題となっているようで、


牧野修、『MOUSE マウス』(ハヤカワ文庫 JA マ 5-1)、早川書房、1996

 を始めとして、いくつもの作品で見ることができました。
 また前者も


牧野修、『忌まわしい匣』(集英社文庫 ま 12-1)、集英社、2003(1999年刊本の文庫化)

 所収の「〈非-知〉工場」などで変奏されていました。
 他に;
忌まわしい匣 1/おもひで女/瞼の母/B1侯爵夫人/グノーシス心中(→下記参照)/シカバネ日記/甘い血/ワルツ/忌まわしい匣 2/罪と罰の機械/蜜月の法(→下記参照)/翁戦記/電波大戦/我ハ一塊ノ肉塊ナリ/忌まわしい匣 3//
解説(東雅夫)など、
470ページ。

牧野修、『アロマパラノイド 偏執の芳香』(角川ホラー文庫 H 66-2)、角川書店、2001(1999年刊本の改題・文庫化)

 でも「語り得ぬもの」、「〈非-知〉」が重要なモティーフとなり、ソシュール、黄金の胎児(ヒラニア・ガルバ)、プルシャ、ライプニッツ、普遍記号、ガルダなどが言及されたかと思えば、また妄想による現実の書き換えが扱われていました。

 後者に戻ると、『月世界小説』での
「夢が妄想を孕み、無限に増殖する夢見られた世界が、葡萄の房のように、あるいは柘榴の実のように連なって存在する世界」
だという「柘榴界」(p.201)は、


牧野修、『楽園の知恵 あるいはヒステリーの歴史』(ハヤカワ文庫 JA マ 5-5)、早川書房、2007

 所収の

中華風の屍体(チャイニーズ・デッド)(1986)

 に登場していました(p.241)。
 〈柘榴界〉のイメージについては〈蓮華蔵世界〉(→こちらを参照:「仏教 Ⅱ」の頁の「iii. 華厳経、蓮華蔵世界、華厳教学など」の項の始め)や多田満智子の〈薔薇宇宙〉(→そちらを参照:本頁の多田満智子の項」)と比較することもできるでしょうか(→あちらも参照:「世界の複数性など」の頁中)。
 この短篇にはやはり『月世界小説』に組みこまれた〈月〉のモティーフも見られます。
 同じモティーフは『忌まわしい匣』の

「蜜月の法」

 でも変奏されていました。なお『月世界小説』が山田正紀『神狩り』へのオマージュであるとすれば、この短篇を小松左京「結晶星団」へのオマージュと見なすこともできるかもしれません。

 『楽園の知恵 あるいはヒステリーの歴史』には他にもいろいろとおいしい作品がつまっていますが、その中で


「インキュバス言語」(2000)

 は言語による世界の終末と再創造をお下劣に描いたものでした(→ここにも挙げておきます:「言葉、文字、記憶術・結合術、書物(天の書)など」の頁の「おまけ」)。


「バロック あるいはシアワセの国」(2000)

 にはニコラ・フラメル『象形寓意図の書』が言及されたりもする(p.185)〈時の王国〉年代記。


演歌の黙示録(エンカ・アポカリプシス)(1999)

 は演歌×魔術合戦×クトゥルー神話(→そこを参照:「近代など(20世紀~) Ⅳ」の頁の「xix. ラヴクラフトとクトゥルー神話など」の項)でした。

 他に;
病室にて//
診断;いかにして夢を見るか/夜明け、彼は妄想より(きた)る/召されし街/いつか、僕は//
症状;ドギィダディ//
諸例;踊るバビロン//
療法;或る芸人の記録/憑依奇譚/逃げゆく物語の話//
付記・ロマンス法について//
解説(平山夢明)など、
474ページ。


牧野修、『乙女軍曹ピュセル・アン・フラジャーイル』(ソノラマ文庫 ま 3-2)、朝日ソノラマ、2003

 に登場する〈記述式無限選択航法〉(pp.63-64、194-195 など)は、

牧野修、『月光とアムネジア』(ハヤカワ文庫 JA マ 5-4)、早川書房、2006

 での〈永劫の記憶に生きるもの〉(pp.246-248)と共振していました。
 また『乙女軍曹ピュセル・アン・フラジャーイル』には
「『葡萄の房のように、あるいは柘榴の実のように』あらゆる可能性がそれぞれの物語として世界を形成している宇宙」(p.194)
という先に触れた〈柘榴界〉のイメージ、また「世界創造者(デミウルゴス)工業用魔術師(インダストリアル・マジシャン)、あるいは単に著者(ライター)」(p.195)といったやはり『月世界小説』で変奏されるモティーフが現われています。→あそこでも挙げています:「世界の複数性など」の頁中


 この他、

牧野修、『王の眠る丘』(ハヤカワ文庫 JA マ 5-2)、早川書房、2000(1993年刊本の文庫化)

 と

牧野修、『傀儡后』(ハヤカワ文庫 JA マ 5-3)、早川書房(2002年刊本の文庫化)

 には共通して宇宙から飛来して地底に埋もれた何かが影響するというモティーフ、また両作と『MOUSE マウス』3作でいずれも、ウロボロス状の時間環のモティーフが採用されていました。

牧野修、『だからドロシー帰っておいで』(角川ホラー文庫 H 66-3)、角川書店、2002

 は『オズの魔法使い』をモティーフにした長篇ですが(→こっちにも挙げておきます:『オズの魔法使』(1939)の頁の「おまけ」)、異世界は風輪、金輪、水輪の名で呼ばれます。須弥山宇宙論とは異なり、上下に重なるものではなく、並列しているようです。それ以外にも仏教関連の言葉が用いられ、また短くはあれ開闢神話も綴られます(p.56)。

 『忌まわしい匣』所収の

「グノーシス心中」

 ではその題の通りグノーシス主義が言及され(→そっちにも挙げました:「グノーシス諸派など Ⅲ」の頁の「おまけ」)、
 また


牧野修、『アシャワンの乙女たち』(ソノラマ文庫 ま 3-3)、朝日ソノラマ、2004

 はゾロアスター教の二元論を設定に組みこんでいます(→あっちにも挙げました:「イラン」の頁の「おまけ」)。

 クトゥルー神話として上記以外に;

牧野修、「幻影錠」、『ファントム・ケーブル』(角川ホラー文庫 H 66-5)、角川書店、2003、pp.228-242

 同書には他に;
ファントム・ケーブル/ドキュメント・ロード/怪物癖/スキンダンスの階梯/ヨブ式/死せるヨセフを糧として、
336ページ。

 この内「怪物癖」にも類した主題を認めることができるでしょうか。
 また「死せるヨセフを糧として」は『月世界小説』同様、山田正紀『神狩り』への応答と見なせるかもしれません。


牧野修、「灰頭(はいがしら)年代記」、菊地秀行・牧野修・くしまちみなと、『ダンウィッチの末裔』(クトゥルー・ミュトス・ファイルズ)、創土社、2013、pp.109-229

牧野修、『呪禁官 百怪ト夜行ス』(クトゥルー・ミュトス・ファイルズ)、創土社、2014

 なおこの長篇は

牧野修、『呪禁官』(NON・NOVEL 723)、祥伝社、2001

牧野修、『ルーキー 呪禁局特別捜査官』(NON・NOVEL 766)、祥伝社、2003

 の前日譚に当たるものです。『ルーキー』では「クトゥルー」の名が出てきますが、邪神ではない。また『呪禁官』には興味深い天使のイメージが登場し、『月世界小説』での黙示録の天使につながっています。
 〈2つの世界の間の皮膜〉という設定もありました(pp.280-281)。この設定は


牧野修、『プリンセス奪還 トウキョウ・バトル・フリークス』(ソノラマ文庫 ま 3-1)、朝日ソノラマ、1995

 から引き継がれたものです(pp.176-180)。

牧野修、『呪禁官 地獄に堕ちた勇者たち』(クトゥルー・ミュトス・ファイルズ)、創土社、2016

 先の『呪禁官 百怪ト夜行ス』(2014)の続篇にあたる本作では、観測によって生じる異界〈準世界〉という設定が登場します(とりわけ pp.64-67、また p.98-101 など)。ユゴス星にミ=ゴウその他に加えて、ダンテ『神曲』の地獄がなぞられたりもする。

 他に→こなた:『リサと悪魔』(1973)の頁の「おまけ」で次の本に触れました;

牧野修、『蠅の女』(光文社文庫 ま 13-1)、光文社、2004

 →そなた:『たたり』(1963)の頁の「おまけ」で挙げたのが;

牧野修、『破滅の箱 トクソウ事件ファイル①』(講談社ノベルズ マH-02)、講談社、2010

牧野修、『再生の箱 トクソウ事件ファイル②』(講談社ノベルズ マH-03)、講談社、2010

牧野修、『万博聖戦』(ハヤカワ文庫 JA マ 5-8)、早川書房、2020

 〈大人〉に憑依・寄生する〈オトナ人間〉対〈コドモ〉という大枠は(pp.108-109)、1970年および2037年の大阪万博を舞台にするという点で、
 『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ! オトナ帝国の逆襲』、2001、監督:原恵一
を連想させたりもしますが、主人公の一人に訪れる啓示(pp.69-70)の結果得られた、
「世界がどれほどに不自由なものとして設計されていたか」(p.72)
という認識からは、多分にグノーシス主義的な香りを嗅ぎとることもできはしないでしょうか。〈オトナ人間〉はグノーシス諸派における〈アルコーン〉に相当すると見なすこともできそうです。
 他方ここでの
「世界の実像は一
涅槃寂静(ニルヴァーナ・ヴーパセナ) - 10の-24乗秒ごとに切り取られデタラメにばら撒かれた断面の集積だ。…(中略)…しかしそれを脳が捉えたとき、断面と断面の間に因と果が生まれ繋がっていく。この断面と断面の繋がりが時間と空間を生む」(p.188)、
「すべての断片と断片は相互に等しい距離だけ離れている」(p.445)
というものでした(また p.335、pp.445-447)。そんな
「液状の夜」(p.186、また p.188)、
あるいは
「ビニール製の夜の海 -
幼児領域(インファント・ドメイン)」(p.190)、オトナ人間たち呼ぶところの『インチキの海』(同上)、
を、巡洋艦〈テレビジョン〉が航行しています。
 「無時間に生きている」(p.444。なお「死者は無時間の中にいるし秩序の外にいるから、ある意味コドモと同様……」(p.451)、
虚構(フィクション)事実(ファクト)の区別さえない」(pp.186-187)、
巡洋艦の乗組員であるコドモたちがクライマックスでもたらした事態は、見ようによっては、クラークの『地球幼年期の終わり』(1953)のそれと、またエピローグはグレッグ・ベア『ブラッド・ミュージック』(1985)のそれと比較することができるかもしれません。
 なお先出の〈液状の夜〉は
「泥のような夜の海」(p.445)
とも呼ばれますが、これは如来教、天理教などにおける〈泥の海〉を連想させなくもない→あなたを参照:「日本 Ⅱ」の頁中
 また後半に登場する「躾画廊」の玄関扉には、
「異端の画家ピエール・モリニエの遺書を模した物」(p.350)
が印字されているそうです。
 さらに、「鼠瞰図…(中略)…地下世界のロードマップ」(p.400)なるアイテムが出てきますが、
「アレは一連の動きを譜として残してあるわけだよ。でな、アレの元型というかネタ元は舞踏譜というやつで、これは踊りの動きを記録したもんなんだ…(後略)」(p.405)
とのことでした。

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大原まり子(1959- );

大原まり子、『機械神アスラ』(新鋭書下ろしSFノヴェルズ)、早川書房、1984

大原まり子、『タイム・リーパー』、早川書房、1993

大原まり子、『戦争を演じた神々たち』、アスペクト、1994

大原まり子、『戦争を演じた神々たちⅡ』、アスペクト、1997

大原まり子、『アルカイック・ステイツ』、早川書房、1997
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平谷美樹(1960- );

平谷美樹、『ノルンの永い夢』(ハヤカワSFシリーズ Jセレクション)、早川書房、2002
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小林泰三(1962- );

小林泰三、『玩具修理者』(角川ホラー文庫 H 59-1)、角川書店、1999
 1996年刊本の文庫化
玩具修理者/酔歩する男//
解説(井上雅彦)など、
224ページ。

小林泰三、『海を見る人』(ハヤカワSFシリーズ Jセレクション)、早川書房、2002
時計の中のレンズ/独裁者の掟/天獄と地国/キャッシュ/母と子と渦を(めぐ)る冒険/海を見る人/門//
あとがきなど、
350ページ。


小林泰三、『天体の回転について』(ハヤカワSFシリーズ Jセレクション)、早川書房、2008
天体の回転について/灰色の車輪/あの日/性交体験者/銀の舟/300万/盗まれた昨日/時空争奪//
あとがきなど、
348ページ。


小林泰三、『天獄と地国』(ハヤカワ文庫 JA 1030)、早川書房、2011

小林泰三、『C市からの呼び声』、2018
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京極夏彦(1963- )

京極夏彦、『豆腐小僧双六道中 ふりだし 本朝妖怪盛衰録』、講談社、2003

 クライマックスは感動的でした。

京極夏彦、『豆腐小僧双六道中 おやすみ 本朝妖怪盛衰録』、講談社、2011
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菅浩江(1963- );

菅浩江、『オルディコスの三使徒』(全3巻)(角川スニーカー文庫 20-3, 4, 5)、角川書店、1992-1995

菅浩江、『氷結の魂』(上下)(TOKUMA NOVELS)、徳間書店、1994

菅浩江、『不屈の女神 ゲッツェンディーナー』(角川スニーカー文庫 20-6)、角川書店、1995

 以上3作は、「神様三連荘(れんちゃん)」とのこと(『オルディコスの三使徒 3 巨神の春』、「あとがき」、p.328)。
「我もまた 混沌のうちにて 全き神ならず」
 というキー・フレーズが印象的な『オルディコスの三使徒』は「二神対立のアニミズム解体のようなもの」(同、p.328)、
 『氷結の魂』は「西洋的な二神対立を盗用しそうで解体していく物語」(同、p.327)、
 『不屈の女神』は「魔とも神ともいえる存在が人のもとへ下っていくというお話になりまして、やっぱり神的存在の一種の解体再編成を試みざるを得ませんでした」(pp.327-328)。
 また石堂藍『ファンタジー・ブックガイド』(2003)は『氷結の魂』について「驚くべき結末」と記していますが(p.18)、たしかにこの〈解決策〉はきわめて印象的でした。


 上の作品はいずれもいわゆるファンタジーですが、次はSFです;

菅浩江、『プレシャス・ライアー』(光文社文庫 す 9-2)、光文社、2006
 2003年刊本の文庫化

 また→こちらも参照
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早瀬乱(1963- );

早瀬乱、『レテの支流』(角川ホラー文庫 H 110-1)、角川書店、2004
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太田健一(1964- );

太田健一、『脳細胞日記』、福武書店、1989
脳細胞日記/人生は擬似体験ゲームなど、
216ページ。

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神坂一(1964- );

神坂一、『スレイヤーズ!』(富士見ファンタジア文庫 20-1)、富士見書房、1990
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法月綸太郎(1964- );

法月綸太郎、『ノックス・マシン』(角川文庫 の 6-3)、角川書店、2015
 2013年刊本の文庫化
ノックス・マシン/引き立て役倶楽部の陰謀/バベルの牢獄/論理蒸発 - ノックス・マシン2//
あとがき/解説(杉江松恋)など、
240ページ。


 著者はいわゆる〈新本格〉の流れに棹さす推理作家なのですが、本書では
「『本格』SF(本格ミステリを主題にしたSFの意)の中短編を四編集めました」(「あとがき」、p.228)
とのこと。
 表題作の「ノックス」はロナルド・A・ノックス(1888-1957)のことで、本格推理小説が作者と読者の間でフェア・プレイとして成りたつためののルールを定めた〈ノックスの十戒〉(1929)、とりわけ
第5項 「探偵小説には、中国人を登場させてはならない」(pp.13-14、19-20)
が問題となります。とはいえ第5項の中身がどうこうというより、10項の中に配された時の位置だか役割に焦点があてられるのでした。これは続篇「論理蒸発 - ノックス・マシン2」での、エラリー・クイーンの〈国名シリーズ〉における〈読者への挑戦〉も同様でしょう。
 著者は論考「初期クイーン論」(『現代思想』、第23巻第2号、1995.2、特集「メタ・ミステリー」)の中で、柄谷行人の「言語・数・貨幣」を引きつつ、レヴィ=ストロースのいう「ゼロ記号=浮遊するシニフィアン」と《読者への挑戦》を結びつけます(p.160)。また別のところでは、〈読者への挑戦〉を〈消失点〉にした、「『問題篇-解決篇』という遠近法的枠組み」(p.167)について述べていました。思わずラカンの〈対象a〉を引きあいに出したくなったりもしますが、その類比が正しいかどうかは詳らかにしません。論文中の議論と小説中の設定を重ねあわせることが許されるかどうか、用心すべきところではありますが、ともあれ、表題作およびその続篇における〈ノックスの十戒〉第5項や〈読者への挑戦〉も、相通じる役割を果たしていると見なすこともできなくはないかもしれません。


 その上で、表題作ではカー・ブラックホールにおける裸の特異点の生成によって
「リング状の超空間が出現する。この超空間に飛び込んで、回転方向に進めば未来へ、逆方向に進めば過去へのタイムトラベルが可能になるという」(p.31)。
ただし
「過去へのタイムトラベルに成功しても、パラドックスは生じない。なぜなら時間旅行者が赴く過去とは、出発前の彼が属していた世界とは別の、パラレルワールドにほかならないからです」(p.32)。
そしてこのパラレルワールドの分岐が、量子力学における〈観測問題〉に対する「二つの立場 - コペンハーゲン解釈と多世界解釈」(p.37)に結びつけられるのでした。登場人物の一人は
「コペンハーゲン解釈と多世界解釈の対立は、あくまでも視点のちがいから生じたもので、どちらが正しいとも言いきれるものではないからだ」(p.39)
と語ります。


 「引き立て役倶楽部の陰謀」は空想科学を扱うという意味でのSFとはいえないかもしれません。「引き立て役」とは探偵小説におけるワトスン役のことで、その点、引き続いて〈ノックスの十戒〉第9項が主題になっていると見なすこともでき、本文中でも言及されていました(pp.85-86)。
 ただし二重のひねりが加えられています。まず、本篇の語り手はヘイスティングズ大尉で、アガサ・クリスティのポワロものにおけるワトスン役です。しかし彼はポワロの事件すべてで証人をつとめるわけではありませんでした。『アクロイド殺し』(1926)がその典型で、この非皆勤自体が本作の要の一つとなっています。
 次に、本篇終了後に「編者による解題」が置かれ、小説の登場人物である名探偵やワトスン役と小説家が共存する世界が、メタ・レヴェルから俯瞰されるのでした。


 「バベルの牢獄」では、設定は異なるものの、紙でできた本がなくなり、データ化された世界が舞台という点で、表題作やその続篇と共通しています。それでいて、本、この場合巻子本等ではなく冊子ないし綴じ本の形態が重要な役割を果たします。なので→「言葉、文字、記憶術・結合術、書物(天の書)など」の頁の「おまけ」にも挙げておきましょう。
 また分子の〈旋光性〉(p.128)、〈対掌体(キラリティ〉(p.129)、〈EPR相関〉と〈量子もつれ〉(p.138)といった概念とともに、〈虫食い穴〉、〈ワームホール〉(pp.133-134、など)とセットで〈超空間〉(p.140、p.147、など)の語が、表題作に続いて用いられます。曰く;

「ただでさえ不安定なワームホール内の超空間をしっかりと維持するには、一定の物理的な長さが必要である。短すぎるワームホールは、空間の荷重に耐えきれず、一瞬のうちに蒸発してしまう」(p.140)、

「安定したワームホールを生成するためには、頂点や歪みを持たない閉曲線、すなわち円形の虫食い穴を穿つことが望ましい。とはいえ、アルファベットのOや、数字の0を使用すると、直径が大きくなりすぎて、空間の荷重に耐えられない。
 ナカグロ『・』の使用にも難があった。サイズに問題はないけれど、『・』をつなげたワームホールは、超空間内が暗黒物質(ヽヽヽヽ〉で満たされているので、通過する際の障害になる。『ぱ/ピ』等の半濁点も、超空間に濁りが生じて、安全性が低い」(p.147)。

 もう一つ引いておくと;

「特殊相対性理論を定式化したミンコフスキー時空は、通常の三次元に時間軸を加えた四次元多様体だが、これは一般的な四次元空間の構成とは性格が異なっている。四番目の次元を時間と決めつけてしまうのは、われわれの陥りがちな錯覚にほかならない」(p.141)。

 表題作続篇では、〈ブラックホールの蒸発〉(pp.174-176)、〈ブラックホールの情報問題〉(pp.216-218)および〈重力のホログラフィック原理〉(p.218)といった概念とともに、別の意味で〈虫食い穴〉(p.155)の語が見られ、また表題作に続いて〈ノックスの十戒〉第5項の
"No Chinaman"は〈虚構の人格(イマジナリー・パーソン)〉(p.22、p.167、など)と呼ばれつつ、〈読者への挑戦〉は「物語のある地点に生じた『穴』」(p.171、など)と呼び替えられるのでした。

「もっと正確に言うと、『読者のへ挑戦』の文言は特異点そのものではなく、物語生成空間に生じた『穴』の内と外を分ける境界に相当する。ちょうどブラックホールの特異点を取りまく、事象の地平面のようなものだ」(p.173)。

 〈仮想バイパス〉(p.216)なんて語も見かけられますが、それはさておき、もう一つ引いておくと、

「洞窟の壁に映った『影』は、囚人の目を欺くまやかしではない。プラトンのイデア論は誤りで、『影』こそが本質なのだ」(p.220)。

 ちなみに、〈量子もつれ〉の語も再登場しつつ(p.161)、「初期クイーン論」同様、本作でもクイーンの『シャム双子の謎』が文字通り火種となります(同上)。

 ところで、なぜか目に留まったのが、たとえば表題作で;

「たしかに、マトリクスの構成に改良の余地があることは認めざるをえませんが…(後略)」(p.27)

「厳密さに欠ける、不正確な比喩だということは認めます」(p.40)

その続篇で;

「厳密には、やや不正確な比喩だと思うけど」(p.180)

「ノックス場における量子効果と疑似ホーキング放射の熱量計算に関して、やや詰めの甘いところも見られますが…(後略)」(p.206)

などの言い回しでした。「バベルの牢獄」には〈ソーカライズ〉(p.136)の語が登場、すぐ後で、

「ソーカライズとは、科学技術系の専門用語を文学的なレトリックでねじ曲げ、ある種の隠語として使用することをいう。二〇世紀の故事にちなんだ言葉だ」(p.137)

と解説されます。数学者・物理学者アラン・ソーカル
Sokal が引き起こした〈ソーカル事件〉については日本語版ウィキペディアの該当頁(→こちら)などを見ていただくとして、上に並べた言い回しも、〈ソーカライズ〉の件とつながっているのでしょうか? 表題作続篇では、「似たもの探し」の語に「ソーカライズ」とルビが振られていました(p.174)。

 →そちらでも触れました:「怪奇城の隠し通路」の頁、また同じ頁の→あちら、その他→ここ(「怪奇城の外濠 Ⅲ」の頁)も参照
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瀬名秀明(1968- );

瀬名秀明、『ブレイン・ヴァレー』(上下)、角川書店、1997
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谷川流(1970- );

谷川流、『学校を出よう!』(電撃文庫 た-17-1)、アスキー・メディアワークス、2003

 谷川流原作の『涼宮ハルヒ』シリーズ(2003- )のアニメ化、『涼宮ハルヒの憂鬱』(2006,2009)第2期中の第12話-19話「エンドレスエイト」を主題とするのが;

三浦俊彦、『エンドレスエイトの驚愕 ハルヒ@人間原理を考える』、2018
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東浩紀(1971- );

東浩紀、『クォンタム・ファミリーズ』、新潮社、2009
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円城塔(1972- );

円城塔、Self-Reference Engine (ハヤカワ文庫 JA 985)、早川書房、2010
 2007年刊本の文庫化

円城塔、Boy's Surface (ハヤカワ文庫 JA 1020)、早川書房、2011
 2008年刊本の文庫化
Boy's Surface / Goldberg Invariant / Your Heads Only / Gernsback Intersection //
What is the Name of This Rose
など、
292ページ。


円城塔、『オブ・ザ・ベースボール』(文春文庫 え 12-1)、文藝春秋、2012
 2008年刊本の文庫化
オブ・ザ・ベースボール/つぎの著者につづく//
解説(沼野充義)など、
208ページ。


円城塔、『烏有此譚』、講談社、2009

円城塔、『後藤さんのこと』(ハヤカワ文庫 JA 1062)、早川書房、2012
 2010年刊本の文庫化
後藤さんのこと/さかしま/考速/
The History of the Decline and Fall of the Galactic Empire /ガベージコレクション/墓標天球//
解説(巽孝之)//[付録]
INDEX など、
272ページ。


円城塔、『これはペンです』、新潮社、2011
これはペンです/良い夜を持っている、など、
176ページ。


円城塔、『道化師の蝶』、講談社、2012
道化師の蝶/松ノ枝の記など、
176ページ。


円城塔、『バナナ剥きには最適の日々』、早川書房、2012
パラダイス行/バナナ剥きには最適の日々/祖母の記憶/AUTOMATICAequal/捧ぐ緑/Jail Over/墓石に、と彼女は言う/エデン逆行など、
200ページ。


伊藤計劃×円城塔、『屍者の帝国』、河出書房新社、2012

 プロローグ部分を執筆して伊藤計劃が逝去してしまったため、第1部以降を円城塔が完成させたという作品。
 ホームズと出会う前のワトソンを主人公に、ヴァン・ヘルシング、フランケンシュタインの怪物(→こちらや、あちらの関係です)、ハダリー、レット・バトラー、アリョーシャ・カラマーゾフ、フライデーなどなどの人物が登場。星の智慧派とプロヴィデンスの教会(→こちらの関係です)、『ジャーンの書』(→こちらの関係です)なんてのも出てきます。
 他の美術品の題に混じってモローの《オルフェウスの首を運ぶトラキアの娘》も挙げられていたりする(p.302→こちらを参照)。

こちらにも挙げておきます

円城塔、『シャッフル航法』(河出文庫 え7-2)、河出書房新社、2018
 2015年刊本の文庫化
内在天文学/イグノラムス・イグノラビムス/シャッフル航法/
Ø(ファイ)/つじつま/犀が通る/Beaver Weaver(ビーバー・ウィーバー)(Atlas)3(キュービック・アトラス)/リスを実装する/Printable(プリンタブル)//
巻末エッセイ(最果タヒ)など、
356ページ。


円城塔、『文字渦』、新潮社、2018
文字渦/緑字/闘字/梅枝/新字/微字/種字/誤字/天書/金字/幻字/かな//
引用・参考文献など、
304ページ。


 →こちらでも挙げました

 円城塔が脚本を担当したアニメ;

『ゴジラS.P.〈シンギュラ・ポイント〉』(全13話)、2021.4~6、監督:髙橋敦史

 →下のアニメのところにも挙げておきます
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舞城王太郎(1973- );

舞城王太郎、『ディスコ探偵水曜日』(上下)、新潮社、2008
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うえお久光(1974- );

うえお久光、『紫色のクオリア』(電撃文庫 う-1-24)、アスキー・メディアワークス、2009
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海猫沢めろん(1975- );

海猫沢めろん、「アリスの心臓」、SFマガジン編集部編、『ゼロ年代SF傑作選』(ハヤカワ文庫 JA え 2-1)、早川書房、2010、pp.189-248
 初出は『SFマガジン』、2008年2月号

 ちなみにこの短篇のことを知ったのは;

浅見克彦、『響きあう異界 始源の混沌 神の深淵 声の秘義』、せりか書房、2012、pp.56-59

 同じ著者による→こちらを参照

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高島雄哉(1977- );

高島雄哉、『ランドスケープと夏の定理』(創元日本SF叢書 09)、東京創元社、2018
ランドスケープと夏の定理/ベアとリスの傷つかない戦場/楽園の速度

 〈知性定理〉とメタ知性(pp.13-15)、
 ドメインウォールとドメインボール(pp.31-32)、
 ボール内宇宙ないしボール宇宙(p.49)、
 量子ゼノン停止と情報=演算対(pp.33-34)、
 存在の位置や速度ではなく存在の〈濃度〉(p.77)、
 情報空間内での〈理論図形〉、〈理論地図〉(p.112)、
 〈時間発展演算〉(p.134)、
 〈理論の籠〉(p.140)、
 2兆年後の理論の翻訳による〈ランドスケープ拡張〉(p.269)
などなどのイメージないし概念装置が登場します。

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森見登美彦(1979- );

森見登美彦、『四畳半神話体系』(角川文庫 も 19-1)、角川書店、2008
 2005年刊本の文庫化

 テレビアニメ版(2010、監督:湯浅政明)も必見
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新城カズマ;

新城カズマ、『サマー/タイム/トラベラー』(1-2)(ハヤカワ文庫 JA 745/803)、早川書房、2005

 →こちらでも少し触れています
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森田季節(1984- );

森田季節、『不動カリンは一切動ぜず』(ハヤカワ文庫 JA 1010)、早川書房、2010
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黒石迩守(にかみ)(1988- )

黒石迩守、『ヒュレーの海』(ハヤカワ文庫 JA 1253)、早川書房、2016

 どこかのブログかサイトで本作中に出てくる『RL(ルル)』(p.77 など)がルルイエ R'lyeh のことだというのを見た気がするのですが、いつものごとく勘違いでなければ、〈妄想〉の”概念(コンセプト)”であり、「正確な発音はできない」ながら、作中でその名を「クルーフ」(p.123)と呼ばれる存在は Cthulhu のことでしょうか。
 クルーフが発生したのは1928年の2月とのことで(p.124)、これはラヴクラフト「クトゥルーの呼び声」の初出時と一致します。
 そう思ってみると、「不定人格者」(p.199)とされる仇役は〈無貌の神〉を連想させなくもありません。
 この他、タイトルにある〈ヒュレー〉に加え、〈
形相因(エイドス)〉(p.130)だの〈世界の場(コーラー)〉(pp.229-230)、〈生命の樹(セフィロト)〉の樹が引きあいに出されたりもします(pp.227-229)。
 とはいえ〈混沌(ケイオス)〉を軸とした独自設定こそが興味深いのでした。

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草野原々(げんげん)(1990- )

草野原々、『最後にして最初のアイドル』(ハヤカワ文庫 JA 1314)、早川書房、2018
最後にして最初のアイド/エヴォリューションがーるず/暗黒声優

 2番目の中篇を最初は『けものフレンズ』(2015-17)のパロディーかと読んでいたら、『魔法少女まどかマギカ』(2011-13)のそれへとねじりこんだのにはけっこう驚かされました。解説「げんげん● SF道」(●はハート・マーク)(前島賢)、p.332 参照。同じ解説によると表題作も出自は『ラブライブ!』の二次創作とのことで(pp.327-328)、他にもいろいろあるのかもしれません。
 ともあれ三篇とも宇宙論的思弁をモティーフにしていました。


草野原々、『大進化どうぶつデスゲーム』(ハヤカワ文庫 JA 1371)、早川書房、2019

 いわゆる〈歴史改変〉ものということになるのでしょうか。第3章の中に
「時間の起源というのは、未来の果てなんだ」(p.90)
 前後から p.100 にかけて、
〈万物根源〉だの
〈多宇宙量子重力コンピュータ〉、
〈情報血管〉
 など興味深い宇宙論的な設定が述べられています。
 本書の続篇が;


草野原々、『大絶滅恐竜タイムウォーズ』(ハヤカワ文庫 JA 1409)、早川書房、2019

 前作では上に挙げた箇所くらいだった飛び道具的設定が、続く本書ではインフレーションを起こします。曰く
〈時間疎外〉(p.105)、
暗黒脳(ダークブレーン)〉(p.125)、
「時間がほどける」(p.148)、
〈時間ターミナル〉(p.160)、
マッハの原理による宇宙飛行(p.175)、
〈時間礁〉(p.186)、
〈時間津波〉に〈時間サーフィン〉(p.196)、
〈時空ワーム〉(p.197、p.217:セオドア・サイダー『四次元主義の哲学』、「用語解説」 p.427 にやはり〈時空ワーム
(spacetime worm)〉の語が登場しますが、使い方は別のようです。同書索引「ワーム説(worm view)」で指示された箇所も参照)、
〈時間誘導コイル〉(p.198)、
〈時間のなか/そと〉(p.200)、
「時間の彼方、進化の果ての果てにある、ヘヴンズドア」(p.205)、
時間寄生虫(クロノパラシトス〉(pp.259-260)、
巨人と神々の神話(p.284)、
「水平的因果と、垂直的因果」にまつわる〈スピノザ器官〉(p.292)、
〈超次元進化マクスウェルエンジン〉(p.303)、
最小エントロピー=無=〈絶対深淵〉対「時間の果ての果ての彼方から、時間を生みだすもの」=〈超越時平〉(同)、
〈理由空間〉(p.304)、
〈タイムループ・ブラックホール〉(p.305)、
〈理由子〉(p.312)、
〈理由子エンジン〉(p.316)
 などなどといった次第です。
 また本作はエピグラフに山田正紀『最後の敵』を引いており、超越者に対する叛逆といったモティーフと、そのためにすっ飛んだところまで行ってしまうという展開、〈理由子〉といったネーミングにはなるほど、山田正紀を連想させるものがありました。

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 この他、アンソロジーで;

井上雅彦監修、『GOD 異形コレクションXII』(廣済堂文庫 い 6-12)、廣済堂出版、1999

井上雅彦監修、『進化論 異形コレクションXXXVI』(光文社文庫 い 31-22)、光文社、2006

xxiii. 日本の漫画、アニメーションその他 

 (順不同なので一覧は五十音順で)
五十嵐大介 石川賢 石ノ森章太郎 伊藤潤二 岩原裕二
楳図かずお 大友克弘 岡野玲子 荻野真    
KAKERU 倉多江美 後藤寿庵
坂田靖子 佐藤史生 志水アキ 士郎正宗 諏訪緑
高遠るい 武内直子 つばな 手塚治虫
永井豪 長岡良子 弐瓶勉
萩尾望都 星野之宣 細馬信一
水樹和佳子 宮崎駿 諸星大二郎
矢野健太郎 山岸凉子 山本鈴美香
アニメ     

 これまでのおまけコーナー等に挙げてきた漫画で、宇宙論的なイメージに交わるものとして

 「エジプト」のページから

長岡良子、『ナイルのほとりの物語』(1993-1998)

 「イラン」のページから

諏訪緑、『西の国の物語 ~ペルシア神話より~』(2010)

 同、  『砂漠の花の物語 ~ペルシア神話より 2~』(2012)

 「インド」のページから

佐藤史生、『ワン・ゼロ』(1985-1986)

 「仏教 Ⅱ」のページで

荻野真、『孔雀王』(1986-1990)

日本 Ⅱ」のページで
水樹和佳子、『イティハーサ』(2000)

岡野玲子、原作:夢枕獏、『陰陽師』(1993~2005)

星野之宣、『ヤマタイカ』(1987~1991)

 「近代など(20世紀~) Ⅳ」のページでクトゥルー神話に関連して

矢野健太郎、『ラミア 邪神伝説シリーズ 1』(1989)、
  『ダーク・マーメイド 邪神伝説シリーズ 2』(1990)、
  『ラスト・クリエイター 邪神伝説シリーズ 3』(1991)、
  『コンフュージョン 邪神伝説シリーズ 4』(1993)、
  『リ・バース 邪神伝説シリーズ 5』(1993)

 および

後藤寿庵、『アリシア・Y』(1994)

 などなど、また
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石ノ森章太郎については、「メソポタミア」のページで

ギルガメッシュ』(1976-1977)

 また『サイボーグ009』シリーズから
北欧、ケルト、スラヴなど」のページで

エッダ(北欧神話)編」(1976)

 「アメリカ大陸など」のページで

アステカ編」(1979)

 「アフリカ」のページで

水霊(デイイデ)の泉編」(1979)


 「メソポタミア」のページで

イシュタルの(シルシュ)」(1980)

 「エジプト」のページで

石ノ森章太郎、「ファラオ・ウイルス編」(1980)


 「グノーシス諸派など Ⅲ」のページで

石ノ森章太郎・小野寺丈、『サイボーグ009 完結編 2012 009 conclusion GOD'S WAR』(2012)

 などを挙げてきましたが、やはり『サイボーグ009』シリーズから

石ノ森章太郎、「天使編」、『サイボーグ009 23 天使編』(秋田文庫 5-32)、秋田書店、2004
 初出は1969

石ノ森章太郎、「神々との闘い編」、『サイボーグ009 21 神々との闘い編』(秋田文庫 5-19)、秋田書店、1995
 初出は1969-1970

石ノ森章太郎、「ザ・ディープ・スペース編」、『サイボーグ009 17 ザ・ディープ・スペース編』(秋田文庫 5-17)、秋田書店、1995
 初出は1980-1981

石ノ森章太郎、「時空間漂流民編」、『サイボーグ009 19 時空間漂流民編』(秋田文庫 5-21)、秋田書店、1998
 初出は1985-1986
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永井豪については、

 「グノーシス諸派など」のページで

魔王ダンテ』(1973)

 「グノーシス諸派など Ⅲ」のページで


デビルマンレディー 7』(1999)

 に触れましたが、やはり

永井豪、『デビルマン』(全5巻)(講談社コミックス KC 176/177/189/198/207)、1972-1973

 →こちらにも挙げておきます

 上掲の

『デビルマンレディー』は全17巻、1997-2000

 で、続篇ということになりますが、『デビルマン』にはこれ以外にもいろいろとヴァージョンがあるようで、とりあえず;

原作:永井豪、漫画:衣谷遊、『AMON デビルマン黙示録』(全6巻)(マガジンZKC KCZ0008/0040/0066/0104/0136/0169)、講談社、2000-2004

 ちなみに『魔王ダンテ』にもニュー・ヴァージョンがあって、こちらは

永井豪、『魔王ダンテ』(全4巻)(マガジンZKC KCZ0095/0112/0134/0156)、講談社、2002-2004
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石川賢については、

 「仏教 Ⅱ」のページで


虚無戦記』(2002)

 を挙げましたが、他に;

石川賢、『魔獣戦線』(全4巻)(パワァ コミックス PC051/064/074/078)、双葉社、1976-1977

 正規の続篇が;

 同、  『真説 魔獣戦線』(全4巻)(チャンピオンREDコミックス)、秋田書店、2003-2004

原作:辻真先、作画:石川賢、『聖魔伝』(SUN SPECIAL COMICS)、朝日ソノラマ、1992
 初出は1976-1979

 以下3篇はいずれも、原作にない魔界論を設定に組みこんでいます;

原作:山田風太郎、作画:石川賢、『魔界転生』(講談社漫画文庫 い 2-6)、講談社、1998
 初出は1987

石川賢、『魔空八犬伝』(全3巻)(講談社漫画文庫 い 2-7~9)、講談社、1999
 初出は1988

石川賢、『マンガ 神州纐纈城 国枝史郎「神州纐纈城」より』(上下)(講談社漫画文庫 い 2-12/13)、講談社、2006
 初出は2004
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萩尾望都については、

原作・光瀬龍、『百億の昼と千億の夜』(1977/1978)

 に原作といっしょにあちこちで登場してもらいましたが、オリジナルとして;

萩尾望都、『銀の三角』、早川書房、1984

萩尾望都、『スター・レッド』(全3巻)(フラワーコミックス FC-581-583)、小学館、1980

萩尾望都、『マージナル』(全5巻)(プチコミックス FC-581-583)、小学館、1986-1987

萩尾望都、『バルバラ異界』(全4巻)(fsコミックス fsc-041-044)、小学館、2003-2005
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山岸凉子については、

 「エジプト」のページで


ツタンカーメン』(2002)

「イシス」および「ハトシェプストⅠ/Ⅱ」、『イシス』(2003)

 「日本 Ⅱ」のページで

青青(あお)の時代』(2004-2005)

『日出処の天子』(1980~1984)

 「北欧、ケルト、スラヴなど」のページで

妖精王』(1977-1978)

 などに登場願いました。
…………………

諸星大二郎については、

 「メソポタミア」のページで


ギルガメシュの物語」、『巨人譚』(2008)

 「仏教 Ⅱ」のページで

暗黒神話』(1977)

 「中央アジア、東アジア、東南アジア、オセアニアなど」のページで

マッドメン 完全版』(1985/1991)

 「中国 Ⅱ」のページで

孔子暗黒伝』(1978)

「桃源記」(1980)

『無面目・太公望伝』(初出は1987~1988)

阿嫦(あこう)」(1998)、「星山記」(1990)

『異怪録 諸怪志異(一)』(1989)、
『壺中天 諸怪志異(二)』(1991)、
『鬼市 諸怪志異(三)』(1999)、
『燕見鬼 諸怪志異(四)』(2005)

『碁娘伝』(2001)

『西遊妖猿伝 大唐篇』(1998~2000)、『西遊妖猿伝 西域篇』(2009~)

『私家版鳥類図譜』(2003)中の「第3羽 鵬の墜落」

 「日本 Ⅱ」のページで

妖怪ハンター』シリーズ(1978~)、
『稗田のモノ語り 魔障ヶ岳』(2005)

『徐福伝説』(1979)

『海神記』(2007)

 「アフリカ」のページで

砂の巨人」、『巨人譚』(2008)

 後に「言葉、文字、記憶術・結合術、書物(天の書)など」のページで

栞と紙魚子』シリーズ(1996~2008)

 「階段で怪談を」のページで

BOX ~箱の中に何かいる~』(2016~2017)
 (「寄木細工、透視画法、マッツォッキオ、留守模様 - 幻想絵画の周辺(仮)より」のページにも登場)


「ヨシコちゃんと首たち」(1979)

「Gの日記」(2002)、「トゥルーデおばさん」(2004)

 「モロー《一角獣たち》」のページで

「ユニコーン狩り」(1980)

 『ドラキュラとせむし女』他のページで

「ドロシーの靴 または虹の彼方のぼく」(2019)

 などなど、さんざん登場いただきましたが、宇宙論がらみという点では、まずは『暗黒神話』と 『孔子暗黒伝』となるでしょうか。
 また『私家版鳥類図譜』(2003)中の「第4羽 塔に飛ぶ鳥」は、ボルヘス「バベルの図書館」(1941)、山尾悠子「遠近法」(1977)、あるいは荒巻義雄『時の葦船』(1975)中の「白い環」あたりと比較できそうです。「塔に飛ぶ鳥」はまた、


「夢の木の下で」(1997)、『壁男』(双葉文庫名作シリーズ も 09-04)、双葉社、2007、pp.139-172

 での世界像に並行しています(「荒れ地にて (遠い国から)[第四信]」、同書、247-270 中の pp.260 以下で「夢の木の下で」の世界のその後が語られます)。
 ちなみに「夢の木の下で」の世界が思いださせたのは、

白土三平、『忍法秘話 2 スガルの巻』(ゴールデン・コミックス)、小学館、1968、pp.5-88:「第1-2章 はごろも(1-2)」

 でした。ついでにやはり「はごろも」を思い起こさせたのが

『スピリッツ・オブ・ジ・エア』、1989、監督:アレックス・プロヤス

…………………

 以上の他にもいろいろあることと思いますが、とりあえず思い浮かんだものから;

山本鈴美香、『H2O! 前代未聞!!』(集英社漫画文庫 100)、集英社、1979
 初出は1976~1977

手塚治虫、『火の鳥 2 未来編』(月刊マンガ少年別冊)、朝日ソノラマ、1978

倉多江美、『宇宙を作るオトコ』(サンコミックス)、朝日ソノラマ、1980

 同じ著者による→こちらも参照

大友克弘、『AKIRA』(全6巻)(KC DELUX 11-14, 166, 339)、講談社、1984-1993

宮崎駿、『風の谷のナウシカ』(全7巻)(ANIMAGE COMICS ワイド版)、徳間書店、1984-1995

原作:菊地秀行、漫画:細馬信一、『魔界都市ハンター』(全17巻)(少年チャンピオン・コミックス)、秋田書店、1986-1989

 →こちらでも少し触れています

原作:菊地秀行、漫画:細馬信一、『魔界学園』(全21巻)(少年チャンピオン・コミックス)、秋田書店、1990-1993

 菊地秀行について→こちらも参照

楳図かずお、『14歳』(全13巻)(小学館文庫 う A-51-63)、小学館、2001-2002
 初出は1990~1995

 →こちらで少し触れています

士郎正宗、『仙術超攻殻オリオン』、青心社、1991

坂田靖子、『星食い』(サンコミックス・ストロベリー・シリーズ)、朝日ソノラマ、1983

坂田靖子、『闇夜の本』(全3巻)(サンコミックス・ストロベリー・シリーズ)、朝日ソノラマ、1983-1985

 第2巻所収の「浸透圧Ⅱ」から一文をエピグラフにしたことがあります(p.116)
 →「〈移動〉展の会場を移動しおわっても迷子でありつづけるためのガイド」、『ひる・ういんど』、no.62、1998.3.20 [ < 三重県立美術館のサイト ]。


武内直子、『美少女戦士セーラームーン』(全18巻)(講談社コミックスなかよし)、講談社、1992-1997

五十嵐大介、『はなしっぱなし』(上下)(九龍コミックス)、河出書房新社、1995-96/2004

五十嵐大介、『魔女』(第1-2集)(IKKI COMIX IKKI 461-462)、小学館、2004-05

五十嵐大介、『海獣の子供』(全5巻)(IKKI COMIX IKKI 368-369, 422,470,590)、小学館、2007-12

 →こちらにも挙げています

五十嵐大介、『SARU』(上下)(IKKI COMIX IKKI 497,518)、小学館、2010

 →こちらや、またあちらにも挙げています

五十嵐大介、『ディザインズ』(全5巻)(アフタヌーンKC)、講談社、2016-2019

 テーマは〈環世界(ウムヴェルト)〉と進化ですが(第1巻第4話、pp.176-180 他)、第4巻第19話、pp.164-172 で神と宇宙の話が出てきたりもします。
 「源流となる」(帯より)短篇は;

五十嵐大介、『ウムヴェルト 五十嵐大介作品集』(アフタヌーンKC 1547)、講談社、2017

 の表題作(2014、pp.129-194)。そこでも「神の似姿(にすがた)」の話に触れられていました(p.191)。
 〈
環世界(ウムヴェルト)〉については;

ユクスキュル/クリサート、日高敏隆・羽田節子訳、『生物から見た世界』(岩波文庫 青943-1)、岩波書店、2005
(原著は
Jacob von Uexküll / Georg Kriszat, Streifzüge durch die Umwelten von Tieren und Menschen, 1934/1970

 など参照


弐瓶勉、『BLAME(ブラム)!』(全10巻)(アフタヌーンKC KC182, 194, 218, 235, 251, 263, 277, 289, 310, 328)、講談社、1998-2003

 →こちらでも触れています

伊藤潤二、『うずまき』(BIG COMICS WIDE)、小学館、2000

 →こちらにも挙げておきます。また→そちらでも触れています

画:志水アキ、作:奥瀬サキ、『夜刀の神つかい』(全12巻)(BIRZ COMICS)、幻冬舎コミックス、2002-2007
 初出は1999-2007

 宇宙論的なヴィジョンが出てくるのは後半、第8巻以降です。


高遠るい、『SCAPE-GOD』(DENGEKI COMICS C161-1)、メディアワークス、2007

高遠るい、『ミカるんX』(全8巻)(チャンピオンREDコミックス)、秋田書店、2008-2011

 →こちらや、そちら、またあちらにもにも挙げておきます

KAKERU、『魔法少女プリティ☆ベル』(全28巻)(BLADE COMICS)、マッグガーデン、2010-2019

 クトゥルー神話由来の名前を散りばめつつ、
 「思念の大渦」から生まれた天使・天界と魔族・魔界(第1巻第2話、pp.64-65)、
 また魔族や天使が「もともと魔界や天界から偶然に『沸いて出る』」ことと、魔族が死ぬと「魔界に堕ち」、「永遠の黒い渦に飲み込まれ溶けて混ざって消えてしまう」こと(第6巻第23話、pp,163-164)、
 魔族やや天使の存在によって周囲の空間が「ズレる」ことで生じる異空間(第3巻第10話、pp.58-59)、
 「天界は魔界の逆の存在として異空間に存在してい」て、「天界の渦の中に浮く巨大な浮遊島が天使達の本拠地」であること(第12巻第45話、pp.76-77)、
 「亜空間は固体の『裏』にしか無いはず」とのこと(第13巻第48話、pp.34-35)、
 宇宙には最初存在しなかった「主体」の成立(第20巻第78話、pp.109-112)、
 「天使や魔族の体の本体は別の次元に重なって存在し肉体は水面に映った影のようなもので」あること(第23巻第91話、p.146)、
 〈魔法少女〉を誕生させる「リィン・ロッド」の正体(第24巻第95話、pp.140-155、また第27巻第106話、pp.115-119)、
 「宗教に救われた人間の思念と魂から生まれた天使の一種」としての「神」(第26巻第第102話、pp.111-114)、
 神が「降臨したその反動のようなもので魔界から這い上がって来た」「サタンにして竜」「
光を齎す者(ルシフェル)」「神の敵」、その姿がさながら「ゴ○ラ」であること(第26巻第103話、pp.122-140)、
 〈亜空間〉の景色(第27巻第106話、pp.89-92、pp.106-107、pp.113-115)
など興味深い設定が見られました。
 →こちらでも触れました


岩原裕二、『Dimension W』(第1巻~第10巻:未完)(ヤングガンガンコミックスSUPER)、スクウェア・エニックス、2012-2016

追補:2019年8月、全16巻で完結しました

 宇宙論的設定はとりわけ第4巻(2013)、第9巻(2015)などに出てきます。また第10巻(2016)の「巻末ミニコーナー」(pp.226-227)、第16巻(2019) pp.137-139 および「あとがき」も参照。
 →こちらにも挙げておきます

 TVアニメ版は;


『Dimension W』(全12話)、2016.1~3、監督:亀井幹太

つばな、『第7女子会彷徨 7』(RYU COMICS)、徳間書店、2014

 の大部分を占める「第51話 幾重不明回廊」

 同じ著者による→こちらを参照


 バンド・デシネから→こちらや、そちらを参照
…………………

 アニメからもいろいろあることでしょうが、こちらも思い浮かぶ範囲で;

『伝説巨神イデオン』、TV版(全39話):1980.5~1981.1、劇場版:1982、監督:富野喜幸

 押井守については、

 「インド」のページで

うる星やつら 2 ビューティフル・ドリーマー』、1984

 を挙げましたが、他に

『天使のたまご』、1985

 →こちらにも挙げています

『迷宮物件 File 538(トワイライトQ 2)』、1987

『トップをねらえ!』(全6話)、1988-89、監督:庵野秀明

 同じ監督による

新世紀エヴァンゲリオン』(全26話)、TV版:1995.10~1996.3

劇場版:『Air/まごころを、君に』、1997

 は「ユダヤ Ⅲ」のページで触れました。そこでも挙げた

大瀧啓裕、『エヴァンゲリオンの夢 使徒進化論の幻影』、東京創元社、2000

 や、「グノーシス諸派など Ⅲ」のページで挙げた

永瀬唯、「喪失の荒野 そして(アイ)だけが残った」、1997

 も参照

 ちなみに、

『仮面ライダー(ブレイド)』(全49話)、2004.1~2005.1、監督:石田秀範、他

 といえばラストのボーイズ・ラヴ風の場面が印象的でしたが、
 進化の権利を獲得するための闘争という設定は『エヴァンゲリオン』に通じるところがありました。

 相通じる設定が

『ぼくらの』(TVアニメ版、全24話)、2007.4~9、監督:森田宏幸

 では、多世界規模に拡大されていました。
 鬼頭莫宏による原作の漫画(2004-2009)は未見なのですが、
 アニメ版第13話「地球」で、
 分岐した平行世界間でそれぞれの可能性を競って闘争が行なわれるという設定が物語られます。


 いわゆる平成仮面ライダーに戻ると、そういえば

『仮面ライダーアギト』(全51話)、2001.1~2002.1、監督:田﨑竜太、他

 の設定はいわゆるグノーシス主義を思わせるものでした。

切通理作、『特撮黙示録 1995-2001』(オタク学叢書 VOL.9)、太田出版、2002、pp.404-410。

藤田直哉、「違和感の勝利 『仮面ライダーアギト』はなぜ傑作か」、『ユリイカ』、no.615、2012年9月臨時増刊号:「総特集 平成仮面ライダー」、pp.167-169。


 また、

『ウルトラマンティガ』(全52話)、1996.9~1997.8、監督:松原信悟、他

 のクライマックスがクトゥルー神話に由来することはよく知られていますが(切通理作、『地球はウルトラマンの星』、ソニー・マガジンズ、2000、p.44)、

『ウルトラマンガイア』(全51話)、1998.9~1999.8、監督:村石宏實、他

 の「根源的破滅招来体」というのも、面白いイメージでした(切通理作、同上、pp.44-45)。第47話では「人間が宇宙を蝕んでいるウイルスだというのか」なんて台詞もありました。

『A-ko The ヴァーサス BATTLE 1 GRAY SIDE』、1990、監督:西島克彦

『A-ko The ヴァーサス BATTLE 2 BLUE SIDE』、1990、監督:西島克彦

『カウボーイビバップ』(全26話)、1998.4~6+1988.10~99.4、監督:渡辺信一郎

 〈超空間〉〈亜空間〉航行に当たるものとして、〈位相差空間〉およびそれを用いたゲイトという設定が出てきます。では〈位相差空間〉とは何ぞといえば、ウィキペディアの該当頁中(→こちら)の「9.用語」の項に「位相差空間ゲート」の解説があって、

「2007年に解明された『明滅宇宙論』によれば、この世界は1/48秒周期で明滅しており、その際に現れる『位相差空間』と呼ばれる別次元の空間が存在する。その空間サイズは1/240であり、この位相差空間内を移動することで、通常空間を移動する場合に比べて240倍早く目的地に到達することができる。これを実現したのが位相差空間ゲートであり、入り口となるゲートから出口となるゲートまでの間を高速移動することが可能となった。言うなれば、宇宙空間の高速道路のようなものである」

とのことでした。
 →そちらでも触れました:「怪奇城の隠し通路」の頁


 「中国 Ⅱ」のページで挙げた

R.O.D THE TV』(全26話)、2003.9~04.3、監督:舛成孝二、原作・脚本:倉田英之

 およびその前篇にあたる

『R.O.D Read or Die』(OVA、全3巻)、2001~2002、監督:舛成孝二、原作・脚本:倉田英之

 →こちらにも挙げておきます

『魔法少女まどかマギカ』(全12話)、2011.1~4、監督:新房昭之

『劇場版 魔法少女まどかマギカ [新編]叛逆の物語』、2013、総監督:新房昭之、監督:宮本幸裕

『009 RE:CYBORG』、2012、監督:神山健治

『京騒戯画』(全13話)、2013.10~12、監督:松本理恵

『ゴジラS.P.〈シンギュラ・ポイント〉』(全13話)、2021.4~6、監督:髙橋敦史

 →上の円城塔のところにも挙げておきます
2014/06/16 以後、随時修正・追補
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