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北欧、ケルト、スラヴなど
 i いわゆる北欧神話など
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* このページに登場する諸文化の言語の日本語表記は、勉強不足のため残念ながらわかりません。
 例によって、多々誤りもあろうかと思いますが、ご寛恕ください。

i. いわゆる北欧神話など

 まずは;


H.R.エリス・ダヴィドソン、「スカンジナヴィアの宇宙論」、『古代の宇宙論』、1976、pp.173-202および口絵27-32とその説明pp.xv-xvi。
〈木〉/神々の国、死者の国、巨人の国/世界の始まり/世界の終わりなど。

 同じ著者による→こちらも参照:本項下掲の『北欧神話』、1992

 北欧神話についてはじめて接したのは、たぶん、

トマス・ブルフィンチ、大久保博訳、『ギリシア・ローマ神話 伝説の時代』、1970、pp.566-602;第38~40章

 だと思うのですが、ひさしぶりに開いてみると、右のメモがはさまっていました。次の『エッダ』を読んでから書いたのかどうか、覚えていませんが、はさんであったのがブルフィンチということは、原典を読む前だったかと思われます。いずれにせよ北欧神話というのは、こうした図を作りたくなるようなものなのでしょう。
 
北欧神話の宇宙・模式図(手書き)
画像上でクリックすると拡大画像が表示されます。
谷口幸男訳、『エッダ-古代北欧歌謡集』、新潮社、1973
エッダ;巫女の予言/オーディンの箴言/ヴァフズルーズニルの歌/グリームニルの歌/スキールニルの歌/ハールバルズの歌/ヒュミルの歌/ロキの口論/スリュムの歌/ヴェルンドの歌/アルヴィースの歌/フンディング殺しのヘルギの歌Ⅰ/ヒョルヴァルズの子ヘルギの歌/フンディング殺しのヘルギの歌Ⅱ/シンフィエトリの死について/グリービルの予言/レギンの歌/ファーヴニルの歌/シグルドリーヴァの歌/シグルズの歌 断片/グズルーンの歌Ⅰ/シグルズの短い歌/ブリュンヒルドの冥府への旅/ニヴルング族の殺戮/グズルーンの歌Ⅱ/グズルーンの歌Ⅲ/オッドルーンの歎き/グリーンランドのアトリの歌/グリーンランドのアトリの(うた)/グズルーンの扇動/ハムジルの歌/バルドルの夢/リーグの歌/ヒュンドラの歌/グロッティの歌/フン戦争の歌 またはフレズの歌/ヒルデブランドの挽歌//
スノリのエッダ;ギュルヴィたぶらかし//
解説など、
334ページ。


 →こちら(「原初の巨人、原初の獣、龍とドラゴンその他」の頁)や、そちら(同頁別の箇所)、またあちら(「有閑神(デウス・オーティオースス)、デーミウールゴス、プレーローマなど」の頁)でも少し触れています


ステブリン=カーメンスキイ、菅原邦城・坂内徳明訳、『神話学入門』(東海選書)、東海大学出版会、1980
原著についてはキリル文字なので、誤りを避けるべく、「訳者まえがき」p.iを参照されたい。1976年刊行。
神話の理論/エッダ神話における空間と時間/エッダ神話における個性/神話と個性の形成/付録 スノッリ『エッダ』-「詩語法(スカールドスカパルマール)」抜粋など、
196ページ。


フォルケ・ストレム、菅原邦城訳、『古代北欧の宗教と神話』、人文書院、1982
原著は Folke Ström, Nordisk hedendom. Tro och sed i förkristen tid, 1961/1967
序説//
先史時代;石器時代の狩猟民宗教と農耕民宗教/青銅時代の宗教/鉄器時代//
ヴァイキング時代;社会 法秩序 宗教/祭祀とその諸形態/世界の創造と秩序/
  神々と神物語 上位と下位の諸力;神集団、「支配する者たち」、アース族とヴァン族 オージン ソール テュール ウッル ヘイムダァル バルドル ロキ ヴァン族-ニョルズ、フレイ、フレイヤ ニョルズ フレイ フレイヤ ヴィリーとヴェー フリッグ ヘーニル ブラギ イズン ゲヴュン ルーズコナ、ルーズグザ フォルセティ ヴィーザルとヴァーリ 低位のアース女神たち ディース、ヴァルキュリャ、フュルギャ 地霊 アールヴ/
運命信仰/霊魂信仰と人格認識/死の信仰と死の習慣/呪法/世界の滅亡と再生/分解 異教の滅亡など、
340ページ。


H.R.エリス・デイヴィッドソン、米村まり子・一井知子訳、『北欧神話』、青土社、1992
原著は H.R. Ellis Davidoson, Scandinavian Mythology, 1969/1982
はじめに;北欧の宗教/原典/サクソとスノリ/詩/散文/考古学と美術/スカンジナヴィア以外//
神々の到来;巨石墓/青銅器時代の信仰/天空の神と太陽の円盤/聖なる船/聖なる動物/双生の神/女神/神聖な結婚//
オーディンの崇拝;ヴァルハラにおける饗宴/王族の崇拝/戦いの供儀/絞首刑の儀式/オーディンの槍/オーディンの腕輪/オーディンの戦士たち/ベルセルク/狼、鷲、ワタリガラス/ヴァルキューリ/墓のなかのヴァルハラ/オーディンへの女性の供儀/火葬とオーディン/スレイブニル、オーディンの馬/鷲の姿のオーディン/密酒の獲得/樹にかかったオーディン/独眼の神/バルドルの死/リンドへの求愛/オーディン崇拝の伝説//
天空の神;天空の象徴/チュール神/狼の捕縛/天空の神としてのオーディン/ゲルマンの雷神/トール神/トールと世界蛇/トールの決闘/トールのゲイルロド訪問/トールのハンマー奪還/トールのウトガルド・ロキ訪問/トールの戦車と山羊/ハンマーの象徴/ハンマーの製造/トールの斧/トールの崇拝/家の柱/トールと豊饒//
大地の神々;ゲルドへの求愛/死せる王/海から来た王/箱車と船/女神ネルトゥス/フレイの巡行/フレイのイノシシ/聖なる馬/フレイへの供儀/塚の上の王/生まれ変わった王/ニヨルド神/ニヨルドとスカジ/主人と夫人/女神フレイヤ/母なる女神/イドゥンと若さの林檎/豊饒の女神たち/フレイヤの象徴/予言の儀式/船墓//
神々の家族;アース神族とヴァン神族との戦い/神々の崇拝/集団の神格/ロキの性格/カワウソの賠償金/龍の心臓をあぶること/ロキの捕縛/地下界の巨人/トリックスター/ヘイムダル神/リーグの訪問/エーギルとラーン/海の巨人族/ヘーニルとウル/フォルセティ神/マイナーな神々//
神々の世界;世界樹/地下の泉/世界樹の上のオーディン/中心にある樹/他界への道/天地創造/妖精と美麗な巨人族/グドムンドの領域/妖精と地霊/山中の巨人族/神々の故郷/小人と怪物/火龍/世界の破滅/生命の再生/最後の戦いの彫刻/オーディンの衰亡//
キリスト教の到来;二つの文化/オーディンの来訪/トールとの出会い/ヴァン神族の拒否/トロールの女/地獄の恐怖/改宗後のトール/霊場の破壊/トール対キリスト/守護霊の排斥/女神たちの復讐/異教の殉教者/布教の王/アイスランドの改宗/ノーサンブリアの改宗/キリスト教の強さなど、
320ページ。

 同じ著者による→こちらも参照:本項上掲の『古代の宇宙論』(1976)収録論考


シーグルズル・ノルダル、菅原邦城訳、『巫女の予言 エッダ詩校訂本』、東海大学出版会、1993
原著は Sigurđur Nordal, Völuspá, 1923/1952
「巫女の予言」-復元テキスト/「巫女の予言」小史/「巫女の予言」詩人/「巫女の予言」の枠組みと構成/「巫女の予言」写本/「巫女の予言」-〈王の写本〉本文、〈ハウク本〉、及び『スノッリのエッダ』の異文、注釈など、
276ページ。


尾崎和彦、『北欧神話・宇宙論の基礎構造 「巫女の予言」の秘文を解く』(明治大学人文科学研究所叢書)、白凰社、1994
はじめに-課題と方法//
『巫女の予言』の問題 『巫女の予言』の周辺;北欧神話における『巫女の予言』の位置/『巫女の予言』成立の時代と場所およびその著者/『巫女の予言』の題名・内容・構成//
  『巫女の予言』の原詩・翻訳・注解;導入部/過去/現在/未来//
『巫女の予言』の宇宙形態論 『巫女の予言』と宇宙形態論;『巫女の予言』の宇宙形態論の特質/宇宙形態論・宇宙創成論・終末論//
  「九つの世界」;
「heimr」(ヘイム)の原義と「九つの世界」/「九つの世界」の理念の原流とその具体像/「九つの世界」の成立要件/「九つの世界」の宇宙空間における位置づけについて//
  「九つの根」;
「níu ivið」(ニーウ・イーヴィジ)をめぐる諸解釈/「九つの根」としての定義//
  「計りの樹」;
「mjötviðr」(ミョートヴィズ)の概念をめぐる問題/ディ・ボーァの指摘/ノルダルの「mjötviðr」解釈/オールセンの「mjötviðr」解釈/グリムの「mjötviðr」解釈/ペターセンとジムロックの「mjötviðr」解釈/ブッゲとミュレンホフの「mjötviðr」解釈/ピッピングの「mjötviðr」解釈/マイヤーの「mjötviðr」解釈/「mjötviðr」概念の最終的吟味と定義//
  論争問題としての『巫女の予言』第2節;『巫女の予言』第2節をめぐる論争/マイスナーにおける第2節問題/ランケにおける第2節問題/エーツマンにおける第2節問題/ヤコブセンにおける第2節問題//
  『巫女の予言』のコスモグラフィー再構築の試み;「世界樹」と価値論的「方位」規定-トポローフの所論を中心に-/「9」の数の神秘主義/二つの世界の位置策定の試み-「ミズガルズ」「アーサヘイム」/「九つの根」再考/「方位」の神話的規定/「方位」の質的規定と「世界」の位置//
『巫女の予言』の宇宙創成論 二つの宇宙創成神話;北欧宇宙創成神話の特異性/スノリの宇宙創成神話/『巫女の予言』の宇宙創成神話の特性//
  「ギンヌンガガプ」-北欧的「無」の概念;北欧コスモゴニーの原点/「カオス」か「空無」か?//
  「ユミル」と「大地」創成の問題;「ユミル」と『巫女の予言』の宇宙創成論/『巫女の予言』にとっての「大地」創成//
  創成の神々と人類の始祖;創成の神々/人間の創成//
付論 初期ラグナロク神話論の基本的視座-「異教的唯一神」の問題-;ハムメリックのラグナロク神話論以前/ハムメリックのラグナロク神話論/ハムメリックのラグナロク神話論以後など、
582ページ。

 pp.354-355 に著者によって再構成された『巫女の予言』における宇宙の模式図と概念相関図があります。
 同じ著者による→こちらも参照:本項下掲の『北欧学』(2018)


ヘルマン・パウルソン、大塚光子・西田郁子・水野知昭・菅原邦城訳、『オージンのいる風景 オージン教とエッダ』、東海大学出版会、1995
原著は Hermann Pálsson, Odinism and Eddas, 1995 (日本での講演原稿に基づく書き下ろし)
「巫女の予言」(パウルソン校訂、菅原邦城訳)/アイスランドの二つの『エッダ』/世界神話/巫女/古詩のすがた/神話の風景/「巫女の予言」の英雄詩的要素/北方から来た女たち/オージン信仰の名残りなど、
280ページ。


ライナー・テッツナー、手嶋竹司訳、『ゲルマン神話』(上下)、青土社、1998
原著は Reiner Tetzner, Germanische Götter- und Heldensagen, 1992/1996/1997
上 神々の時代;アースの神々の出生と創世/アースの神々が巨人のロキを迎える/世界樹/ヴァーネンの神フレユが美しい女巨人ゲルドに結婚を申し込む/どのようにして従僕、農夫と王がこの世に成立するようになるのか/小人たちは競って鍛造する/オーディンと賢い巨人のヴァフトルードニルが自らの首を賭ける/二つの神々の種族間の争い/オーディンが詩人の蜜酒を奪う/神々が棟梁を裏切った/トールと巨人フルングニルとの果たし合い/ロキが三人の敵を生み出す/オーディンが倒れた戦士をヴァルハラに呼び集める/トールの格別の友/永遠の若さをもつ女神が奪われる/女巨人のスカルディが男の神ニョオルドを選ぶ/オーディンの男の里子/トールが自分の金槌を手離さず持っている/ゲフィヨンがゼーランド島を手に入れる/トールがオーディンの英雄シュタルカドを傷つける/巨人ゲイルレォードがトールの殺害を試みる/オーディンがトールに船で渡すことを拒む/金の宝物に呪いがかかっている/巨人のウートガルド・ロキが雷の神をからかう/トールは真ん中の世界の蛇をあさって探し回る/バルドルが災厄を夢見る/ロキが神々を罵倒する/オーディンの王ハラルド・カンプフツァーン/どうしてヘイムダルとロキが干戈を交えることに相成ったのか/トールが策略を使って賢い小人アルヴィスを陥れる/バルドルの死/ヘルモードが死者の国に馬で乗り込む/ロキの処罰/オーディンがリンドを誘惑する/神々の没落/新しい世界//著者あとがきなど、
354ページ。

下 英雄伝説;ニーベルンゲンの宝/鍛冶ヴィーラント/ベルンのディートリッヒなど、
460ページ。


水野知昭、『生と死の北欧神話』、松柏社、2002
序 北欧神話ことはじめ//
『詩のエッダ』と『散文のエッダ』;口承詩について/北欧の国引き神話と国譲り神話/「ギュルヴィの幻惑」の枠組み構造//
宇宙創成論における水と火;無から有へ/生と死の発生源としてのニヴルヘイム/炎熱の国ムスペッル/巨人ユミルの誕生/ユミル殺害と宇宙の創成/太古の虚無ギヌンガガプ/洪水説話と「流され王」伝説//
よみがえる女神;この世で最初の戦闘/グッルヴェイグの虐殺と再生/黄金で飾られた乙女/ヴァン神族との和平/運命の女神/「槍の神」オージンの自己犠牲/性的な恍惚と陶酔//
略奪された若返りの女神;牡牛料理の神話/棒振りの所作/ロキによるイズン奪回の旅/迫害と解放の図式/蜜酒の女神と若返りの女神をむすぶもの//
ロキの笑劇;怒れる山の女神の来訪/山の女神と海神の聖婚と離婚/性器露呈の神話/綱引きの習俗/冬至の山羊祭//
殺されたバルドル;序/バルドル殺害神話の粗筋/理想的なバルドル/不死になったバルドル/ロキ女装の旅/ロキとホズの協同/チェスゲームとバルドル虐待のゲーム/神々の虚脱感とオージンの「喪失感」/バルドルの運命/イズン略奪神話とバルドル殺害神話の類似/万物の嘆き//
王の犠牲と豊饒;王殺しの伝説/王の事故死/『風土記』にみる供犠/「はふり」の古代思想-「謀反」を起こした王の討伐-/アガメムノン王と犠牲獣//
終章 ラグナロク-神々の滅びゆく定め;バルドルの葬送/ロキの業罰/神々の犠牲者/円の呪縛/魔の軍勢の襲来/バルドルの再来と世界の新生など、
344ページ。


アクセル・オルリック、尾崎和彦訳、『北欧神話の世界 神々の死と復活』、青土社、2003
原著は Axel Olrik, Om Ragnarok, 1902 および “Eddamytologien”, 1917, “Nordboernes Ragnarok”, 1902
課題と基礎資料;研究の目標/さまざまな基礎資料//
「ラグナロク」の自然モティーフ;「フィンブルヴェト」/大地が海に沈む/太陽が呑み込まれる/世界炎上/他の自然モティーフ//
神々の戦い;「ラグナロク」の概念/北欧の神々の戦い/ケルト人の神々の戦い/神々の敵対者/縛られた怪物/蛇//
復活;種族の復活/再生//
『巫女の予言』の「ラグナロク」描写;『巫女の予言』の特性/「ラグナロク」の描写/『巫女の予言』の基礎資料//
結論;北欧人の「ラグナロク」内部のさまざまな年代層//
補論 北欧神話について;エッダ神話とは?/ラグナロク神話とは?//訳者解説など、
312ページ。


ヴァルター・ハンゼン、写真:エーバーハルト・グラーメス、小林俊明・金井英一訳、『アスガルドの秘密 北欧神話冒険紀行』、東海大学出版会、2004
原著は Walter Hansen, Asgard, 1985
序章/神々の城アスガルド/巨人族の国/侏儒の国/太陽神バルドルの殺害/黄泉の国/トネリコの宇宙樹ユグドラジル/神々の黄昏など、
368ページ。

 北欧神話に登場する地誌をアイスランドの地誌と一対一対応させようとすることの是非はともかく、掲載されている写真は、たしかにとても印象的です。


池上良太、『図解 北欧神話』(F-Files No.010)、新紀元社、2007
北欧神話の世界観/北欧神話の登場人物/不思議な道具と動物たち/北欧雑学など、
240ページ。

 pp.24-37 で模式図をふくむ北欧神話の宇宙とその中の諸世界が解説されています。


『ユリイカ』、vol.39 no.12、2007.10、pp.57-220;「特集 北欧神話の世界」
散種される北欧神話 音楽・言葉・イメージを渉猟する(井辻朱美・伊藤盡)/北欧神話によせて オーディンと予言の力(米原まり子)/ロキと、オセット人の「ナルト叙事詩」の中のシュルドン(吉田敦彦)/黄金のミトロギア 北欧神話の「金属/豊饒」観念の由来(鶴岡真弓)/原典資料(ジョン・マッキネル、伊藤盡訳)/エッダ詩(テリー・グンネル、伊藤盡訳)/北欧神話から北欧学へ(尾崎和彦)/異教神話と宗教(ピーター・オートン、伊藤盡訳)/北欧神話と北欧の間 歴史学から見た北欧神話の再考(古谷大輔)/北欧神話の魅力とは何か?(冲方丁)/神話の蘇生から砕片化へ そして世界神話への再結晶化(井辻朱美)/北欧神話の世界とそのイメージの受容(伊藤盡)/RWによる北欧神話リミックス あるいは、ヒトの「先」を描くものへ(小沼純一)/韓国文化における北欧神話 『ラグナロクオンライン』から『ああっ女神さまっ』まで(宣政佑)/北欧神話の神々事典(伊藤盡)など

尾崎和彦、『北欧学 構想と主題 - 北欧神話研究の視点から -』、北樹出版、2018
序章 「北欧学」の構想 - 「北欧神話」から「北欧学」へ;はじめに 「北欧学」への私的動機/「北欧学」の基礎概念としての「北欧的なもの」/北欧神話における「北欧的なもの」/19世紀北欧精神史における「北欧的なもの」/現代北欧文化史における「北欧的なもの」/北欧の神話・精神史・文化史における「北欧的なもの」の再吟味と「北欧学」成立基盤の確認//
北欧神話の世界観 - G.V.リュングの所論に負いつつ;はじめに 本章における北欧神話解読の方法/北欧神話の輪郭構造/北欧神話・世界観の基本的前提と構成原理/北欧神話・世界観の展開 北欧神話・世界創成論の秘儀 - 「ラグナロク」への前奏、北欧神話・世界形態論の様相 - 「ラグナロク」の前現象、北欧神話・異教的終末論・ラグナロク神話 - 破滅と再生//
北欧神話の中心問題 - 黄金時代・ラグナロク神話・改宗;はじめに/「黄金時代」のイメージ/「ラグナロク神話」の図像表現/北欧人における「改宗」の真相//
ゲルマン初期王権の問題 - 北欧神話との接点;はじめに/ゲルマン初期王権論の諸相/ゲルマン初期王権の神話的基礎//
19世紀北欧思想と北欧神話;はじめに/北欧ロマン主義と北欧神話/北欧民族精神をめぐるキェルケゴールとグルントヴィ//
北欧神話・グルントヴィ・キェルケゴール;グルントヴィと北欧神話/キェルケゴールの神話理解/キェルケゴールと北欧神話」//
終章 わたしの「北欧学」の構成 - 「北欧的ヒューマニズム」の探求;北欧思想史の試み - デンマーク・スウェーデン・ノルウェー・フィンランド 「スカンディナヴィア哲学思想の諸傾向」ヨハエス・スレーク『実存主義』への訳者付論/福祉論・信仰論 - デンマーク 『北欧思想の水脈 単独者・福祉・信-知論争』/北ゲルマン異教宗教のコスモロジー - アイスランド・ノルウェー 『北欧神話・宇宙論の基礎構造 - 〈巫女の予言〉の秘分を解く』/宗教の徹底批判としての宗教哲学 - スウェーデン 『スウェーデン・ウプサラ学派の宗教哲学 - 絶対観念論から価値ニヒリズムへ』/医療現場の窮境 - スウェーデン他 『生と死 極限の医療倫理学 - スウェーデンにおける安楽死問題をめぐって』/環境思想の北欧的特性 - ノルウェー 『ディープ・エコロジーの原郷 - ノルウェーの環境思想』//
付論 カッシーラー「神話の哲学」試論;カッシーラー「神話の哲学」への神話論的問いと反論の可能性/シェリング「神話の哲学」の受容と批判/経験的神話研究の受容と批判/カッシーラー『神話の哲学』序論の哲学的背景の吟味 - 「結び」として、など、
672ページ。


 同じ著者による→こちらも参照:本項上掲の『北欧神話・宇宙論の基礎構造』(1994)

トム・バーケット、井上廣美訳、『図説 北欧神話大全』、原書房、2019
原著は Tom Birkett, Yhe Norse Myths. Stories of the Norse Gods and Heros Vividly Retold, 2018
序章/世界の創造/9つの世界/北欧神話の神々/巨人族/怪物と超自然的存在/シグルズとヴォルスングの一族/民間伝承の英雄とトリックスター/北大西洋の探検/東方と南方への遠征/北方の王たち/終末の戦い/伝承と解釈など、
478ページ。


クロード・ルクトゥ、篠田知和基監訳、広野和美・木村高子訳、『北欧とゲルマンの神話事典 伝承・民話・魔術』、原書房、2019
原著は Claude Lecouteux, Dictionnaire de mythologie germanique, 2005/2007/2014
序章;原典/ゲルマン民族の神々 神統記と世界の起源、アース神族、ヴァン神族/世界の終末と再生/生き延びた神々/民間伝承/神話・芸術・文学/第3版への追記//
事典 [ア]~[ワ]//
監訳者あとがき/参考文献/索引など、
384ページ。


 「本書の特色は人名・神名だけではなく、『樹木』『石』『泉』『馬』『犬』『ルーン文字』『運命』などの項目があることだろう。もちろんそのほかに『小人』『エルフ』『巨人』などもある」(「監訳者あとがき」、pp.365-366)。

パトリック・ゲルパ、村松恭平訳、『北欧神話100の伝説』(文庫クセジュ 1053)、白水社、2022
原著は Patrick Guelpa, Le 100 légendes de la mythologie nordique (Collection QUE SAIS-JE? , No 4095), 2018
九 ― 非常に象徴的な数字/アルベリヒ ― 愛か力か/アルフ ― 奇妙な守護神/アルヴィースとソール神 ― うんちく勝負/愛と憎しみ ― 復讐を叫ぶ女性/アンガンテュールとフロズル ― 東西対決?/腕輪 ― シンボルのなかのシンボル/ワーグナーの作品における指輪 ― 権力への意志/『ニーベルンゲンの歌』における指輪 ― 女性たちの戦争/『エッダ』における指輪 ― ラインの黄金/アース神族 ― 神、王、魔法使い、闘士/アスクルとエムブラ ― 最初の男と女/アトリ ― 「残酷な王」/アウズムラ ― 原始の雌牛/アウルヴァンディル ― ソールとその頭痛/オージンの自己犠牲 ― ルーンの知識をどのように獲得するか/バルドル ― 心優しい神/「バルドルの夢」 ― バルドルが夢を見るとき、オージンは目覚める/『ベーオウルフ』 ― 死後の栄光/ベルセルクルたち ― 恐るべき猛獣戦士/ビッリングル ― 無駄骨を折った誘惑者/ブラギ ― 詩の神/ブリュンヒルドル ― かの女性/ロキの捕獲 ― スモークサーモン/猛々しい狩り(ワイルド・ハント) ― 古くからの恐怖/ロキの懲罰 ― 当然の罰?/ナラ ― 雷がよく落ちる木/ヘルの領域でのブリュンヒルドルの騎行 ― 死後の後悔/ヘルの領域を目指すヘルモーズルの騎行 ― 失敗の理由/『コーデックス・レギウス』 ― 「王室写本」/ブリーシングルたちの首飾り ― 悲劇の窃盗/カラス ― 神々と人間の忠実なしもべ/世界の創生 ― 初めにギンヌンガガプがあった/世界の秩序 ― 世界の構造/ディーシルあるいはディースたち ― 北欧の妖精たち?/竜 ― 鳥たちの言葉を理解するシグルズル/ドラカール ― 作り出された言葉/ファーヴニル ― 黄金には頑丈な金庫が必要/フロージ王の粉 ― 海はなぜ塩辛いのか/白鳥の乙女 ― 北欧の白鳥の湖/フェンリル ― 鎖につながれた狼/フレイヤ ― 魅惑的なヴィーナス/フレイル ― 非常に美しい女巨人に恋をした神/バルドルの葬儀 ― 灰となった神の息子/ゲヴィオン ― デンマークはいかにスウェーデンから切り離されたか/グリームニル ― オージンを攻撃した者に災いあれ/グズルーン、クリームヒルト ― そして神々は女性を創った/神々の戦い ― アース神族とヴァン神族との最初の紛争/ヤドリギ ― 神秘的な植物/グルヴェイグ ― 黄金による陶酔/ヘイムダルル ― 謎に満ちた神/ヒョルヴァルズルの息子ヘルギ ― 死よりも強い愛/フルドゥフォールク ― 隠された人びと/詩の蜜酒 ― まるで麦酒の雨/インゴールヴル・アルナルソン ― 最初のアイスランド開拓者/イルミンスール ― サクソン人の世界樹/巨人の棟梁 ― 世界は忘恩で報いる/ゲイルロズル ― 巨人の国での神の苦難/ゲストゥムブリンディ ― ハヤブサの羽/ヘルギ ― 永遠の愛!/フルングニル ― 記憶すべき決闘/ランドヴェッティル ― 守護神/ロキが起こした一騒動 ― 叱責を受ける神々/トラブルメーカーでありながら、神々の恩人でもあるロキ ― 仕事にかかる小人たち/リカントロピー(狼への変身) ― 狼男に気をつけろ!/ミーミル ― 頭だけの神と向かい合う/ミョルニル ― ソールが女装するとき/ノーット ― 夜の女王/オッドルーン ― 失恋の苦しみ/追放されたオージン ― 預言者故郷に入れられず/ソールをからかうオージン ― 父と息子/アンドヴァリの黄金 ― 呪われた金属/神明裁判 ― 何事にも耐えうる愛?/ラグナル・ロズブローク ― 伝説の英雄/ラグナロク ― 世界の終焉はいつか?/リーグルまたはヘイムダルル? ― 三つの階層に分割される社会/魔王 ― 彼は皆が思っている人物ではない/ルーン文字 ― 魔法の印?/『ヴォルスンガ・サガ』 ― ブリュンヒルドルとシグルズルのかなわぬ恋/ジークフリート ― ドラゴン殺しのドイツの伝説/シグルズル ― なんという履歴書!/『エッダ』におけるシグルズル ― 怖いもの知らずで非の打ちどころのない英雄/スカジ ― 精力的な女性/スノッリ・ストゥルルソン ― 偉大なるアイスランド人/ソールとマーニ ― 女性名詞の太陽と男性名詞の月!/ナナカマド ― ソール救済/ソルリとハムジル ― グズルーンの数々の不幸の最終回/スルトル ― 足跡を残す炎の巨人/スィアツィとイズン ― 若返りの林檎を求めて/ソールと巨人ヒュミル ― 波乱に富んだ釣り/ソルビョルグとグズリーズル ― 女性の連帯/ウッルル ― 堂々とした風貌/ヴァフスルーズニル ― 騙すつもりがしてやられる/ヴァルキュリア ― 有名な曲に登場する乙女/ヴァン神族 ― 農地の粗野な神/ヴィーザルとヴァーリ ― 戦士たち/ヴォルシ ― 異教の奇妙な慣行/鍛冶師ヴォルンドル ― 復讐に焦りは禁物/ヴォルスパー ― 巫女の予言/ユグドラシルなど、
166ページ。

………………………

「北欧の神話・宗教」、『世界神話大事典』、2001、pp.670-699
ゲルマン民族と北欧民族 神聖の要素(レジス・ボワイエ)/ゲルマン・スカジナビアの多神教 犠牲(ブロート)の様態(同)/アース神族とヴァン神族(同)/ゲルマン・スカジナビアの呪術(セイズ)(同)/ヘイムダル(同)/ロキ(同)/バルト諸族 神話と宗教のタイプ(同/フィン・ウゴル諸族 神話と祭式(ジャン=リュック・モロー)など

谷口幸男、「北方ゲルマン人の死の世界-『エッダ』と『サガ』にみるヘル、ワルハラ、ラーン」、『ユリイカ』、臨時増刊号vol.26-13、1994.12、「総特集 死者の書」、pp.286-293

K.ハストロプ、菅原邦城訳、「古北欧の世界」、K.ハストロプ、菅原邦城・新谷俊裕訳、『北欧の世界観 北欧社会の基層と構造 1』、東海大学出版会、1996、pp.13-34
世界観/運命の時間/年と収穫/一日の循環/キリスト教への改宗/二重のコスモロジー/世界の総合など

 本書の他の内容は;
序 北欧的ということ(北欧性)(K.ハストロプ)//
TIDEN = 時間;(古北欧の世界)/北欧の時間(K.ハストロプ)/資源としての時間と空間(B.レンクヴィスト)//
LANDSKABET = 風景;旅の道(O.レーヴグレーン)/庭園散歩(O.レーヴグレーン)/サマーランド(O.レーヴグレーン)/鋼の馬(O.レーヴグレーン)/空間と移動(O.レーヴグレーン)/など、
326ページ。
 原著は
Kirsten Hastrup, Den Nordiske Verden Ⅰ-Ⅱ, 1992

小林俊明、「宇宙樹ユグドラジルについて-シンボルとしての樹木-」、『東海大学紀要. 外国語教育センター 』、no.21、2000.11.10、pp.219-227[ < CiNii Articles

水野知昭、「古北欧の太陽舟と太陽馬車の信仰」、松村一男・渡辺和子編、『太陽神の研究 宗教史学論叢8』(下巻)、リトン、2003、pp.247-282
太陽と月の崇拝/太陽と月の性/夜の月と昼の太陽の神話/太陽舟と太陽馬車/鳴動する太陽/車行の文化など 

水野知昭、「『巫女の予言』にみる運命と月の思想」、松村一男編、『生と死の神話 宗教史学論叢9』、リトン、2004、pp.271-304
「命ある者の住み処」としてのワールド/「人が生き、また老いてゆく時代」としてのワールド/世界樹と運命の泉/運命の女神と季節(とき)の女神/月の古代思想-生と死と運命を司るもの-など 

月岡祥岳、「北欧における二柱の戦神を結ぶ狼」、『神話・象徴・文化 Ⅱ』、楽瑯書院、2006、横書きpp.199-214
序 北欧神話における戦神/戦神を喰らう魔物/日月と狼/戦神の身体欠損神話など

 「インド」のページの「iv. 叙事詩、プラーナなど」の項でも挙げていますが;

沖田瑞穂、「乳海攪拌神話とラグナロク」、『明星大学研究紀要. 日本文化学部・言語文化学科』、no.16、2008、pp.99-108 [ < CiNii Articles

 〈乳海攪拌神話〉にからんで→こちらにも挙げておきます:「インド」の頁の「iv. 叙事詩、プラーナなど

大野寿子、「死者への祈りとしてのグリム童話-ヤーコプ・グリム『ドイツ神話学』をてがかりに」、『アジア遊学 128 古代世界の霊魂観』、勉誠出版、2009.12、pp.148-159
はじめに-運命を司る者と死者の化身/古代研究者としてのグリム兄弟/異界訪問譚と死神/鳥に変身する魂/墓標としての植物と鳥/植物に変身する魂/安息の魂と不穏の魂/おわりに-化身あるいは祈りとしてのメルヒェンなど

深澤英隆、「創出される聖典 - O.S.ロイターの『エッダの謎』の解釈学 -」、市川裕・鎌田繁編、『聖典と人間』、1998、pp.123-145
「ゲルマン的伝統」の創出とエッダ//
エッダ解釈の地平;エッダ解釈の諸動機と宗教史的エッダ解釈/ゲルマン主義宗教運動とエッダ//
ロイターのエッダ解釈;「エッダの謎」と「エッダの真理」/「アーリア」的共同性の過去と現在/天空信仰とエッダの「世界像/エッダの「象徴」世界/原初性・神々・人間/エッダの倫理と民族の使命]//
考察


 p.132 に図1 としてロイターが再構成した「ゲルマン的世界像」を掲載
 同じ著者による

深澤英隆、『啓蒙と霊性 近代宗教言説の生成と変容』、岩波書店、2006、pp.237-298:
 「Ⅲ 第1章 ヨーロッパと『宗教』 - ゲルマン主義宗教運動から見る -」、
 「同第2章 宗教学と政治神学の『拒絶』 - ゲルマン主義宗教学の帰趨 -」、
 「同第3章 ゲルマン主義宗教運動の生成と挫折 - E.ベルクマンの宗教構想とナチズム -」

も参照
 また→こちらも参照:「近代など(20世紀~) Ⅲ」の頁の「xi. シュタイナーの人智学など

………………………

タキトゥス、泉井久之助訳注、『ゲルマーニア』(岩波文庫 青 408-1)、岩波書店、1979
ゲルマーニアの土地・習俗/ゲルマーニアの諸族//タキトゥスと『ゲルマーニア』など、
274ページ。


菅原邦城・早野勝巳・清水育男訳、『アイスランドのサガ 中篇集』、東海大学出版会、2001
〈フレイル神ゴジ〉フラヴンケルのサガ/ヴァープナフィヨルドのサガ/ドロプラウグの息子たちのサガ/バンダマンナ・サガ-欺かれた首領たちの物語/〈赤毛〉のエイリークルのサガなど、
218ページ。


相良守峯訳、『ニーベルンゲンの歌』(前後)(岩波文庫 赤 881/882)、岩波書店、1955
前篇;ジーフリトの暗殺など、
328ページ。

後篇;クリエムヒルトの復讐など、
346ページ。


石川栄作、『ジークフリート伝説 ワーグナー「指環」の源流』(講談社学術文庫 1687)、講談社、2004
ニーベルンゲン伝説の生成 ブリュンヒルト伝説;ブリュンヒルト伝説の原型/ブリュンヒルト伝説の歴史的根拠//
  ブルグント伝説;ブルグント伝説の原型/ブルグント伝説の歴史的根拠//
  『ニーベルンゲンの歌』の生成過程;ホイスラーの発展段階説/ブリュンヒルト伝説第二段階/ブルグント伝説第二段階/ブルグント伝説第三段階//
  ジークフリート像の原型//
北欧への伝承 『歌謡エッダ』;『歌謡エッダ』のニーベルンゲン伝説/『歌謡エッダ』のシグルズ像//
  『ヴォルスンガ・サガ』;『ヴォルスンガ・サガ』の内容/『ヴォルスンガ・サガ』の特徴//
  『ティードレクス・サガ』;『ティードレクス・サガ』の内容/『ティードレクス・サガ』の特徴//
ドイツ中世英雄叙事詩『ニーベルンゲンの歌』 新しい主人公クリエムヒルト;クリエムヒルトの生い立ち/クリエムヒルトの「鷹の夢」//
  宮廷的王子ジーフリト;ジーフリトの生い立ち/ジーフリトの「高きミンネ」/「高きミンネ」の苦しみ//
  古代ゲルマンの英雄ジーフリト;ジーフリトの冒険/二重のジーフリト像//
  グンテル王への援助;グンテル王との契約/イースラントへの旅立ち/グンテル王との取り決め/三種競技/募兵の旅と先触れの使者の旅/二組の結婚//
  両王妃口論;饗宴への招待/両王妃の夫自慢/大聖堂前での口論//
  ジーフリト暗殺;ハゲネの策略/ジーフリトの最期/ハゲネによる財宝強奪//
  クリエムヒルトの復讐//ジーフリト像の特質//
新しいタイプの伝承 『ニーベルンゲンの歌』写本m//
  韻文版『不死身のザイフリート』;韻文版『不死身のザイフリート』の内容/韻文版『不死身のザイフリート』の特徴//
  ハンス・ザックの悲劇『不死身のザイフリート』//民衆本『不死身のザイフリート』//
ドイツ・ロマン派による伝承 ニーベルンゲン伝説の復活;『ニーベルンゲンの歌』再発見/ドイツ・ロマン派による受容//
  ティークの二つのロマンツェ;『若き日のジークフリート』/『竜殺しのジークフリート』//
  ド・ラ・モット・フケーの戯曲『大蛇殺しのジグルト』;フケーの戯曲『大蛇殺しのジグルト』の内容/フケーの戯曲『大蛇殺しのジグルト』の意義//
十九世紀における戯曲作品 エルンスト・ラウバッハの戯曲『ニーベルンゲンの財宝』;ラウバッハの戯曲の内容/ラウバッハの戯曲の特徴//
  ヘッベルの戯曲『ニーベルンゲン』三部作;第一部『不死身のジークフリート』/第二部『ジークフリートの死』/第三部『クリームヒルトの復讐』/ヘッベルの戯曲の特徴//
ワーグナーの楽劇『ニーベルンゲンの指環』四部作;『ラインの黄金』/『ワルキューレ』/『ジークフリート』/『神々の黄昏』/『指環』四部作の特質//
二十世紀のジークフリート伝説 小説・戯曲・映画による伝承;第二次世界大戦以前/第二次世界大戦以後//
  ワーグナーの楽劇『指環』上演による伝承;戦前のバイロイト音楽祭/戦後の新バイロイト音楽祭//
  日本における『指環』上演//
結び ジークフリート伝説の系譜;ジークフリート像の原型/北欧神話的英雄ジークフリート/低地ドイツ的英雄ジークフリート/ドイツ中世騎士的英雄ジークフリート像/乙女救出の英雄ジークフリート/未来の英雄ジークフリートなど、
304ページ。


忍足欣四郎訳、『ベーオウルフ 中世イギリス英雄叙事詩』(岩波文庫 赤 275-1)、岩波書店、1990
346ページ。

ii. ケルトなど

「ケルト・ウェールズ人の神話・宗教」、『世界神話大事典』、2001、pp.624-669
島嶼ケルト 神話と物語(ブリンリー・リース)/大陸ケルト 宗教と神話 ガリア人(ポール=マリー・デュヴァル)/大陸ケルトの宗教 スペイン、グレート・ブリテン島、ドナウ川(同)/ドルイド僧と詩人 アイルランドのフィリとウェールズのバルズ(ブリンリー・リース)/アイルランド 起源神話とその種族(同)/クーフリン コンコバー王 アイルランド神話における戦いの英雄(同)/ケルトの芸術 表現様式の宗教的性格(ポール=マリー・デュヴァル)/ケルトの神々 特定不能の像(同)/ケルトとケルト・ローマ世界の母神たち(同)/ガロ・ロマン期の神々(同)/ケルトの聖獣(同)/ウェールズの王国神話 マビノギオン(ブリンリー・リース)/アーサー王と英雄たち ウェールズの場合(同)/エスス(ポール=マリー・デュヴァル)/エポナ(同)/オグミオス(同)/ケルトのアポロン(同)/ケルヌンノス シカの枝角の神(同)/3羽のツルを載せた雄ウシ(同)/シロナ(同)/スケルス 槌を持つ神(同)/スメルトリオス(同)/タラニス(同)/テウタテスまたはトゥタティス(同)/ネハレニア(同)/フィンとフィアンナ騎士団(ブリンリー・リース)/リトナ(ポール=マリー・デュヴァル)/ロスメルタ(同)など
………………………

八住利雄、『アイルランドの神話伝説[Ⅰ/Ⅱ] 世界神話伝説体系 40/41』、名著普及会、1929/1981
Ⅰ;種々なる入寇の神話伝説/古代ミレシアンの種々なる王に関する神話伝説/ウルトニアンの物語など、
326ページ。

Ⅱ;アシインを中心とする伝説/メールズーンの航海の伝説/古代史上のケルト族/ケルト族の宗教など、
272ページ。


井村君江、『ケルトの神話 女神と英雄と妖精と 世界の神話 9』、筑摩書房、1983
はじめに-ケルト民族のふしぎ//
「天地開闢神話」のない神話;地下から来た神々/国造りを見た男トァンの話//
ダーナ神族の神話;ダーナの神々/ダーナ神族と妖精と常若の国/銀の腕のヌァザとブレス王/トゥレン三兄弟の試練の旅/光の神ルーフと魔眼バロール/かゆ好きの神ダグザ/愛の神オィンガスの夢/蝶になったエーディン/白鳥になったリアの子/大地と河の女神-エスニャ、エリュ、ボアーン/戦いの女神-モリガン、バズヴ、ヴァハ//
アルスター神話;赤枝の騎士たち(レッド・ブランチ・チャンピオン)/光の神ルーフの子ク・ホリン/悲しみのディアドラ//
フィアナ神話;フィンとフィアナ騎士団/フィンと知恵の鮭/フィンと妖精サヴァ/
常若の国(ティル・ナ・ノグ)へ行ったオシーン/妖精にたのまれた戦い/ディルムッドとグラーニャの恋など、
252ページ。


プロインシァス・マッカーナ、松田幸雄訳、『ケルト神話』、青土社、1991
原著は Proinsias MacCana, Celtic Mythology, 1968/1983
はじめに;ケルト族の勃興/ケルト族の衰退/伝統を保存するもの/資料/ケルト神話の多様性//
ガリアの神々と島の神々;カエサルにより記録された神々/ガリアの「メルクリウス」とアイルランドのルーグ/テウターテス、エスス、タラニス、「マルス」、「ユピテル」/ガリアの「アポロ」と、同類の神/ガリアの「ミネルヴァ」とアイルランドのブリギッド/ガリアの「ヴァルカン」、アイルランドのゴヴニュ、ウェールズのゴヴァンノン/ガリアのオグミオス=ヘラクレス、アイルランドのオグマ/ガリアのディス・パテールとアイルランドのドゥン/スケルスとナントスウェルタ/ケルヌンノス/三者一組のグループ/女神たち-神の配偶者たち、マトレス/無生物界につながる崇拝/生物界につながる崇拝//
トゥアッハ・デ・ダナン(女神ドヌの部族);『侵攻の書』/マー・トゥーラの第二次合戦/ゲール人の到来/ドヌ神族の後退/ダグザ/アイルランドのヌアザ、ウェールズのニュッズ/マナナン・マックリール//
ブリテンの神々;ドンの一族/トルュールの一族/プウィール、リヒアンノン、プリュデリ//
島のケルトの女神たち;コナハトのメイヴ/戦いの女神たち/マッハ/極楽の女神たち/エディン/主権をもった女神//
英雄伝説;アルスター神話群/序章-ジェルドレとウシュネの息子たち/ブリクリウの宴会/ク・フーリン/フィン神話群/ディアルマッドとグラーニャの駈落ち/フィンとアーサー王//
神権王政//来世;サワーンの祝宴/死者の国など、
302ページ。


ヤン・ブレキリアン、田中仁彦・山邑久仁子訳、『ケルト神話の世界』、中央公論社、1998
原著は Yann Brekilien, La mythologie celtique, 1987
序章 もう一つのヨーロッパ;原ヨーロッパ文明/ドルイド僧の秘儀/「神話」の誕生/聖ブリギット伝説とイエス降誕/近代文明の袋小路//
死者の海;アトランティスの末裔/他界への旅/フェヴァルの息子ブランの航海/美貌のコンラの冒険//
巨石文明人の遺産;母なる女神の像/コリガンの洞窟/ロッホ島のグワルク/ヒリアノン-牝馬の女神/ケルヌンノス-鹿角をもつ神/アンヌンの領主プゥイヒル/魔術師マーリン/バロール-死の神//
神々の系譜;父なる神/ベレノス-太陽神/オェングスの夢/ルーグ-万能の神/オグミオス-言葉の神/ノドンス-ダナ神族の王/エスス-破壊の神/大海の息子、マン島の男/ベリサマ-癒しの女神//
創世の神話;「蛇の卵」の神話/ケルト神話の「禁断の果実」/マー・トゥーラの戦い/イスの伝説//
再生の大釜;四つの魔法の宝/リルの娘ブランウェン/ケリドゥエンの神話//
探求と試練の旅;トゥレンの息子たちの死に至る探求/クーリーの牛争い/アヴェールへの求愛/キルフーフとオルウェン/ポルトガル王の物語//
秘儀的神話;泉の貴婦人/ペレディールの探求//
王権神話;祭司と戦士の役割をもつケルトの王/馬の王マルク/コンホヴォル/アーサー王//
愛の物語;ジェルドレの物語/ディルムッドとグラーニャの物語/トリスタンとイズーの物語//
終章 永遠の至福;ヨッキー王の妻エーディン/聖杯探索の旅へ、など、
444ページ。


ミランダ・J・グリーン、井村君江監訳、渡辺充子・大橋篤子・北川佳奈訳、『ケルト神話・伝説事典』、東京書籍、2006
原著は Miranda J. Green, Dictionary of Celtic Myth and Legend, 1992
見出し項目一覧;考古学およびギリア・ローマの文献で知られる神々/アイルランドとウェールズの土着の文学に登場する「神話的存在」/聖なる動物/遺跡と聖地/器物と象徴/自然現象/概念と思想/宗教的な役職//
序論/ケルト世界への案内-訳語の説明//
本文(あいうえお惇)//
解説(井村君江)、参考文献、索引など、
320ページ。

 同じ著者による→こちらも参照:本項下掲の『図説 ドルイド』(2000)

………………………

鶴岡真弓、「ドルイド・イメージ」、『ユリイカ』、vol.24 no.2、1992.2:「特集 魔術」、pp.97-107

スチュアート・ピゴット、鶴岡真弓訳、『ケルトの賢者 「ドルイド」 語りつがれる「知」』、講談社、2000
原著は Stuart Piggott, The Druids, 1968/1975/1993
「ドルイド」はなぜ生まれ変わるのか-「高貴なる野蛮人」と呼ばれた賢者(鶴岡真弓)//
語りつがれてきたドルイド像 ドルイド像のもつれをほぐす-方法論的なアプローチ;ドルイドに魅せられた人々/「知識としてのドルイド」と「願望としてのドルイド」-ドルイド研究の問題点/考古学的資料の扱い方/図像と碑文/文献資料の扱い方/古典古代の文献/古アイルランド語の文献//
ケルト社会の技術・経済・宗教 生きていたドルイド-考古学的なアプローチ;古典文献が証明するケルト文化の広がり/技術が支えたケルト社会/農耕と牧畜の経済活動/社会制度を示す証拠/ケルト語と書字の関係/森の聖域/ガリアの聖所と聖堂/祭儀の中心、聖なる囲い地/供儀の穴の意味/献上された埋葬品/神聖なる大釜/彫像の数々/埋葬儀礼とケルト人の来世観/ドルイドの世界とその起源//
古典とケルト語文献のドルイド 異郷の賢者ドルイド-古典文献からのアプローチ;ギリシア・ローマ人の未開へのまなざし/
原始主義(プリミティヴィズム)という思想/ヒュペルボレイオイ人とケルト人/高貴なる野蛮人/ポセイドニオス系の文献と伝承/アレクサドリア系の文献と伝承/ケルト語の文献/ドルイドという名称/ドルイドがいた地域/社会的地位/ケルト人の集会と教育/役割と営み/不死の観念/霊魂不滅の信仰/実用的知識/魔術と格言的な知恵/ガリアとブリタニアにおけるドルイドの最期//
ロマンティック・イメージ 近代人の空想の中に復活したドルイド-近代文献からのアプローチ;ドルイドの再発見/ドルイド、古代ブリトン人、アメリカ先住民/ドルイドとストーンヘンジ/自然宗教と理神論-ウィリアム・ストゥクリーの説から南海の島民まで/ウェールズの
詩人(バード)の座/ドルイドと神秘家/ドルイディズムの衰退//
ドルイド学の歴史と現在 生まれ変わるドルイド;事実としてのドルイドと、シンボルとしてのドルイド/先史の宗教とのつながり-発見されたドルイド/観察されたドルイド/想像されたドルイド//
スチュアート・ピゴットの「ドルイド像」(鶴岡真弓)など、
376ページ。


ミランダ・J・グリーン、井村君江監訳、大出健訳、『図説 ドルイド』、東京書籍、2000
原著は Miranda J. Green, Exploring the World of the Druids, 1997
ドルイドの発見;ドルイドのことは何によって知ることができるのか?/ケルト社会におけるドルイド/ケルト世界の地理的広がり/ドルイドの歴史のあらまし/オークとヤドリギ//
ケルト人と超自然;ケルトの宗教の特質/ケルトの神々/すべての場所に神あり/ドルイドの位置づけ/ドルイドの組織/儀式と祭り/農事暦//
古典期の著述家がみたドルイド;さまざまな記録者たち/ドルイドと社会階層/治癒者と魔術師/ドルイドと教育/哲学者と科学者/不死と再生/ドルイドとローマ人//
発掘が明らかにするドルイドの痕跡;ヨーロッパ先史時代の祭司たち/ドルイドのイメージ/権威の標章/神への捧げ物/大釜と聖なる水/死、埋葬、死後の生//
供儀と予言;生け贄という考え/生け贄の儀式の実際/儀式における殺人/神々への捧げ物としての人間/沼地の死体/デンマークの沼地の死体/供物とされた動物/予言/予言者と神託//
女のドルイド;ケルト社会の女性たち/女ドルイドと賢い女たち/魔術師と魔術/アイルランド神話における女祭司と女予言者/処女の司祭たち//
聖地と祭司たち;聖なる森と湖/神殿・寺院/バースの聖なる泉/ケルトの聖所における祭司/聖なる癒し手/聖なる囲み地//
アイルランド神話におけるドルイド;知識階級/初期の神話/アルスターのカスヴァッズ/神聖な王権とドルイドの予言/ドルイド教とキリスト教//
よみがえったドルイド;ルネサンスにおけるドルイドの復権/スチュークリーと同志たち/ストーンヘンジ教派/リアリストとロマン主義者/絵に描かれたドルイドたち/ウェールズ神話の誕生/ドルイド、エイステズヴォッド、ウェールズ//
現在のドルイドたち;新異教と古くからの宗教/魔術師とドルイド/祭祀と祝典/現代のドルイドの組織/ストーンヘンジ閉鎖/現代のドルイドの教義/地球の守り手//
監修者あとがきなど、
304ページ。

 同じ著者による→こちらも参照:本項上掲の『ケルト神話・伝説事典』(2006)

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カエサル、近山金次訳、『ガリア戦記』(岩波文庫 青 407-1)、岩波書店、1942/1964/2007
解説//
第1巻(紀元前58年);第1-29節 ヘルウェティー族との戦争/第30-54節 ゲルマーニー人との戦争//
第2巻(紀元前57年);第1-33節 ベルガエ人との戦争/第34-39節 海辺諸族の服属//
第3巻(紀元前57-56年);第1-6節 アルペース諸族の討伐/第7-19節 海辺諸族との戦争/第20-27節 アクィーターニー人との戦争/第28-29節 北方諸族の討伐//
第4巻(紀元前55年);第1-19節 ゲルマーニー人との戦争/第20-36節 ブリタンニー人との戦争/第37-38節 北方諸族の討伐//
第5巻(紀元前54年);第1-23節 ブリタンニー人との戦争/第24-58節 北方諸族の謀叛//
第6巻(紀元前53年);第1-10節 北方諸族の討伐/第11-20節 ガリアの事情/第21-28節 ゲルマーニアの事情/第29-44節 エブロネース族の乱//
第7巻(紀元前52年);第1-90節 ガリー人全部との戦争など、
322ページ。

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中野節子訳、徳岡久生協力、『マビノギオン 中世ウェールズ幻想物語集』、JULA出版局、2000
マビノーギの四つの物語;ダヴェドの大公プイス/スィールの娘ブランウェン/スィールの息子マナウィダン/マソヌウイの息子マース//
カムリに伝わる四つの物語;マクセン・ウレディクの夢/スィッズとスェヴェリスの物語/キルッフとオルウェン/ロナブイの夢//
アルスルの宮廷の三つのロマンス;ウリエンの息子オウァインの物語、あるいは泉の貴婦人/エヴラウクの息子ペレドゥルの物語/エルビンの息子ゲライントの物語//
解説など、
502ページ。

………………………

 北欧神話やケルト神話の原点と見なされる文献は、アメリカ大陸の場合と同じく、その多くがキリスト教が波及した後になって記録されたものです。
 以下はより中世のキリスト教(→こちらを参照:「キリスト教(西欧中世)」の頁の「i. 文化史的なものなど」)に染められたものですが、;


ハワード・ロリン・パッチ、黒瀬保・池上忠弘・小田卓爾・迫和子訳、『異界 中世ヨーロッパの夢と幻想』、三省堂、1983
原著は Howard Rollin Patch, The Other World. According to Descriptions in Medieval Literature, 1950
序論/オリエントおよび西洋古典における神話的起源/ケルト民族における異界/ゲルマン神話/夢の文学/楽園への旅/寓意文学/ロマンス/結論など、
380ページ。


田中仁彦、『ケルト神話と中世騎士物語 「他界」への旅と冒険』(中公新書 1254)、中央公論新社、1995
序章 地の果てにて;イスの都/ケルト人の「他界」/死者の海//
ケルト人と他界 ケルト人の宗教;ケルト人の世界/霊魂不滅思想/ケルト的変身譚/古伝承と出土品/ケルト世界の没落/ケルト的キリスト教/古伝承を記録したケルト人修道士//
  海の彼方の女人国;『ブランの航海』/明るい世界/ケルト人の他界の観念/『コンラの冒険』/シイとは何か//
  謎の巨石文化民族;巨石遺跡/共同の墓地ドルメン/「ダナの息子たち」/アトランティスか、極北人か//
  地下の神々;地上と地下との交流/『マー・トゥーラの合戦』/大地母神/四種類の女神/女人の国//
  遍在する他界;他界はどこにあるのか/異次元の「他界」//
  『メルドゥーンの航海』;仇討ちの航海/三人の乳兄弟/猫の島/白い羊と黒い羊/ケルヌンノス/乙女の歓待/鳥と巡礼の島/鍛冶屋の島、海底の島、鮭の島/銀の網の島/女人国/現世への帰還/仇の島への到達//
ケルト・キリスト教と他界 『聖ブランダンの航海』;ケルト宗教とキリスト教との習合/「地上の楽園」/三人の余計者/罪の観念/「緑の殉教」/地獄/ユダの劫罰/楽園への道/ケルト的楽園//
  『聖パトリックの煉獄』;神の子の導き/悪鬼悪霊の棲み家/オウエンが見たもの/地下から地上へ/キリスト教化したケルト的他界//
中世期騎士物語と他界 アーサー王伝説;ベードン・ヒルの戦い/『ブリタニア王列伝』のアーサー/「アヴァロンの島」//
  クレチアン・ド・トロワ;シャンパーニュの宮廷/『イヴァンまたは獅子を連れた騎士』/苦難を経て高次元の愛へ/試練/到達した境地/『ランスロまたは荷車の騎士』/沈滞したアーサー王の宮廷/ランスロ登場/王妃とランスロとの恋/ランスロ「他界」を行く/王妃救出//
終章 「夜の航海」;個性化の過程/人格の完成/集合的無意識としての神話など、
250ページ。


アード・フィン原詩、ケイトリン・マシューズ英訳、安野玲訳、「マルドゥーンの航海-ケルトの死者の書から」、『ユリイカ』、臨時増刊号vol.26-13、1994.12、「総特集 死者の書」、pp.76-102

藤代幸一訳著、『聖ブランダン航海譚 中世のベストセラーを読む』、法政大学出版局、1999
聖ブランダン航海譚//
解説 プロローグ;ドイツの民衆本/中世の文学に現れたブランダン/その祖型//
  アイルランドの章;遙かな遠い国/聖パトリック、そしてシャムロックの花/キリスト教の伝播/実在の聖ブランダン//
  異界Ⅰ;ユダ/聖パトリックの煉獄/煉獄/悪魔/善き男//
  異界Ⅱ;鯨/異界のメルクマール/磁石山と魔の海/城/楽園/のらくら天国/異形の人々//
  エピローグ;中世のベストセラー/伝説の終焉など、
192ページ。


修道士マルクス/修道士ヘンリクス、千葉敏之訳、『西洋中世奇譚集成 聖パトリックの煉獄』(講談社学術文庫 1994)、講談社、2010
はじめに 異界をめぐる魂の旅/トゥヌクダルスの幻視 マルクス[ラテン語ヴァージョン]/聖パトリキウスの煉獄譚 ヘンリクス[ラテン語ヴァージョン]/訳者解説など、
240ページ。


松田隆美、「驚異の場としての『聖パトリックの煉獄』」、山中由里子・山田仁史編、『この世のキワ 〈自然〉の内と外 アジア遊学 239』、2019、pp.93-108
ヨーロッパ中世の死後世界探訪譚/聖パトリックの煉獄の起源/巡礼地としての人気の高まり/『聖パトリキウスの煉獄譚』と12世紀の探訪譚/14世紀の聖パトリックの煉獄巡礼記/煉獄のリアリティの性質/聖パトリックの煉獄の変容

松岡利次編訳、『ケルトの聖書物語』、岩波書店、1999
ケルトの語り//
創世;常新舌/アダムとイブの物語//
キリスト伝;キリスト誕生の夜の十七不思議/マリア昇天/主の日の法//
異界説教;アダムナーンの幻想/聖ブレンダン伝//
終末;天の王国の悲しき二人/終末の兆し//
解説 アイルランドの修道院文学など、
254ページ。


ギラルドゥス・カンブレンシス、有光秀行訳、『アイルランド地誌 叢書・西洋中世綺譚集成』、青土社、1996
アイルランドの自然に関する記述が始まる/驚異と奇跡に関する記述が始まる/この地の住人に関する記述が始まるなど、
304ページ。

………………………

 イエイツの編著から( イエイツについては→こちらも参照:「近代など(20世紀~) Ⅲ」の頁の「ix. 英米から」中の「イエイツ」の項);

W.B.イエイツ編、井村君江編訳、『ケルト妖精物語』(ちくま文庫 け 1-1)、筑摩書房、1986
序文(W.B.イエイツ)//
群れをなす妖精(フェアリー)たち/取り替え子(チェンジリング)/ひとり暮らしの妖精たち/地と水の妖精たち//
付録 アイルランドの妖精(フェアリー)の分類(W.B.イエイツ)/編者解説 アイルランドの物語の語り手(ストーリー・テラー)(W.B.イエイツ)/訳者あとがき/文庫版訳者あとがき ケルト妖精物語など、
362ページ。


 William Butler Yeats, Fairy and Folk Tales of the Irish Peasantry, 1888, Irish Fairy Tales, 1892
から編集したもので、次の『ケルト妖精物語』と対をなす。1978刊訳本の再編集。


W.B.イエイツ編、井村君江編訳、『ケルト幻想物語』(ちくま文庫 け 1-2)、筑摩書房、1987
魔女(ウィッチ)妖精学者(フェアリー・ドクター)常若の国(ティル・ナ・ノグ)/聖者、司祭/悪魔/巨人/王と戦士/王妃様、王女様、王子様、盗人などの話/幽霊(ゴースト)/悪霊/猫など、
470ページ。


 上掲『ケルト妖精物語』の対。

W.B.イエイツ、井村君江訳、『ケルトの薄明』(ちくま文庫 け 1-3)、筑摩書房、1993
原著は William Butler Yeats, The Celtic Twilight. Myth, Fantasy and Folklore, 1893/1990
248ページ。

 併せて;

井村君江、『ケルト妖精学』(講談社学術文庫 1243)、講談社、1996
 『妖精の系譜』(1988)の文庫化
学術文庫版への序文-「妖精学」の必然と領域//
ケルト民族と妖精の世界;フェアリーランドへの道/アイルランド妖精伝承の蒐集と保存/イエイツと妖精物語の蒐集//
妖精伝承と物語詩;中世の古文献にひそむ妖精/中世ロマンスとバラッドから/アーサー王伝説のフェ/テニソンとラファエル前派//
英文学の妖精たち;古代・中世・ルネッサンスの妖精/シェイクスピアの妖精/十七世紀の妖精詩/妖精と浪漫派詩人たち//
児童文学にみる遙かな異界;児童文学の妖精像/イギリス児童文学と旅//
現代のフォークロア研究;キャサリン・ブリッグズの妖精学/英文学とフォークロアなど、
452ページ。

………………………

 ジェイムズ・マクファーソンによる偽作と見なされることが多いようですが
 (→日本語版ウィキペディアの「オシアン」および「ジェイムズ・マクファーソン」);


中村徳三郎訳、『オシァン 「ケルト民族の古歌」』(岩波文庫 赤 201-1)、岩波書店、1971
ローディンの戦い/クー・ヴァラ-劇の歌-/カリク・フーラ/カルホウン/オーイ・ナム・モール・ウール/グール・ナン・ドゥナ/クローマ/カルホウンとクール・ヴァル/フィンガル/タイモーラ/クーン・ルーフとグーホウナなど、
476ページ。

 訳者による「あとがき」でも真贋論争は詳しく記されています。ただし訳者は、マクファーソンによる編集を認めつつ、ゲール語の写本に基づくものと見なし、訳は後者からなされました。

………………………

『ユリイカ』、vol.23 no.3、1991.3、pp.35-206;「特集 ケルト 源流のヨーロッパ」
ふたつのヨーロッパ(中沢新一・鶴岡真弓)/ケルト民族の歴史と社会(大久間慶四郎)/ケルト、長き黄昏の後に-「オシアン」復活の周辺(鶴岡真弓)/ケルティック・ワンダーランド-アイルランド 古代・中世・世紀末(同)/ギリシア・ローマから見たケルト人;ユリウス・カエサル/ティオドロス・シクロス/ストラボン/アテナイオス/クラウディオス・アイリアノス(松村一男訳)/コーンウォールに生きる「島のケルト」(井村君江)/アーサー王伝説にみるケルト-映画『エクスカリバー』をめぐって(高宮利行)/ケルト世界とヨーロッパ-よみがえるケルトの伝統(中木康夫)/ケルトの来世観(プロインシァス・マッカーナ、松田幸雄訳)/中世修辞学とジョイス-『ケルズの書』によせて(ウンベルト・エーコ、塚田孝雄訳)/現代ケルトの歌姫-グィドーの浜辺にて(エンヤ、インタヴュアー:鶴岡真弓)/ドルイド-不死性の信仰とその知識(スチュアート・ピゴット、辺見葉子訳)/猿のようなケルトの肖像-十九世紀アイルランド人をめぐる図像と言説(谷内田浩正)/戦士・王者・救済-ケルト文化のインド・ヨーロッパ的諸相(松村一男→こちらに再録:『神話思考-Ⅰ』、2010/「通史、事典など」の頁の「iv. 神話・神話学など」)など

ジョン・シャーキー、鶴岡真弓訳、『ミステリアス・ケルト-薄明のヨーロッパ イメージの博物誌 18』、平凡社、1992
原著は John Sharkey, Celtic Mysteries : The Ancient Religion, 1975
古代宗教;三態一組(トリプル)の女神/英雄の王国/呪術師と宗教儀礼/不思議の旅/キリスト教のヒーローたち//
図版;天空の神殿/内なる探求/螺旋の旅/原初のエネルギー/聖なる泉/角をもつ者/永遠の存在/戦士/名づけの行為/錯綜した瞑想/獣の力//
訳者解題;ケルトの神秘性など、
104ページ。


 『イメージの博物誌』シリーズについて→こちらを参照:「図像、図形、色彩、音楽、建築など」の頁の「i. 図像など

iii. スラヴ、フィンランド、古ヨーロッパなど

フェリックス・ギラン、小海永二訳、『ロシアの神話』、青土社、1988
原著は Félix Guilland ed., Mythologie générale, 1935 より “Mythologie Slave”, “Mythologie Lituanienne”, “Mythologie Ougro-Finnoise”
 1960刊訳、1983改訳の新装版
スラヴの神話(G.アレグザンスキー);序論/神々の誕生、原始的二元論 《ベロボーグ》と《チェルノボーグ》(《白い神》と《黒い神》)/自然崇拝、田園の神々、「天」とその子供たち/マーチ=スィラ=ゼムリャー(母なる湿潤の大地)/田園の小神格たち/ドモヴォーイ/人家に住む他の精霊たち/レーシィ/ボレヴィーク/水の精霊、ヴォジャノーイ/ルサールカ/都市と戦争の神々/歓喜の神々/キリスト教時代におけるスラヴの異教神話//
リトワニアの神話(G.アレグザンスキー、F.ギラン);序論/自然崇拝 聖なる森、樹木崇拝、動物崇拝、死者たちの魂、火への崇拝、天体/リトワニアの主要な神々/二次的な神格たち 小神格たち//
ウグロ=フィンの神話(F.ギラン);序論/《カレヴァラ》/魔術とシャーマニズム(巫術) 《カレヴァラ》に現われた魔術/《カレヴァラ》の神々 天上の神々、世界の誕生、大地と水の神格たち、《カレヴァラ》の地獄、《カレヴァラ》の神話学的価値/ウグロ=フィン族のアニミズム 物の持つ魂、神々の群、水の精霊たち、神話、ラップ族のセイダなど、
202ページ。


栗原成郎、『ロシア異界幻想』(岩波新書 772)、岩波書店、2002
序;世紀のはざまに/幻視と啓示/「真に幻想的なるもの」を求めて/日常性の中の異界現象//
「この世」と「あの世」のしきい;ロシアの農民の死に方/死の予告/帰ってくる死者/亡霊防御法/《忘却の川》のかなたへ/過度の哀悼の禁止//
家の霊域に棲むもの;宇宙の小モデルとしての家/聖所としてのペーチ/〝赤ん坊の焼き直し〟/母親としてのペーチ/家神ドモヴォイ/家族の成員の不幸を予告する/ドモヴォイの外貌/変身能力/ドモヴォイを見るのは危険/夢魔/青痣/好色/家畜の守護神/氏族神/かまどの火の神/家と人生/呪術師大工とキキーモラ//
ロシア・フォークロアにおける「死」の概念;フォークロア的に「死ぬ」とは/「生」と「死」の闘い/無敵戦士アニカの最期/死神幻想/死の天使/霊は風か火か/旅立ち/幾山河越え去りゆかば/爪の威力/「あの世」での生活//
「聖なるロシア」の啓示-民衆宗教詩『鳩の書』;民衆の中の宗教詩/民衆宗教詩『鳩の書』とは/『鳩の書』の成立と解釈/「正義」と「不正」の闘い//
ロシア的終末論;地の嘆き/終末期待/小終末と大終末/終わりの時の
(しるし)/中世の反キリスト伝説/クバン・コサックの終末伝説/反キリストは東方より//
天国と地獄の幻景;死者の国はどこにあるのか/宇宙卵と世界樹/鳥たちの天国/「ブヤーンの島」/「楽園」への旅/地上の楽園/地獄の位置/地獄の責め苦//
付録;『鳩の書』など、
222ページ。


 同じ著者による→こちらを参照:『スラヴ吸血鬼伝説考』、1980/『ブラック・サバス 恐怖!三つの顔』(1963)の頁の「Cf.

栗原成郎、「月降ろしの魔術-南スラヴ人の民間伝承における月蝕の意味」、『神話・象徴・文化 Ⅱ』、楽瑯書院、2006、pp.9-26
スラヴ人の民間信仰における蝕現象//月降ろしの魔術;ブルガリアの場合/マケドニアの場合など

中堀正洋、「ロシア葬礼泣き歌における道の意味論-フェドソーヴァの葬礼泣き歌を中心に-」、同上、pp.27-52
世界の「泣き」とロシアの「泣き」//
天才的泣き女イリーナ・アンドレエヴナ・フェドソーヴァ;
誕生からペトロザボォーツクに移り住むまで/ペトロザヴォーツク期/ペテルブルグ・モスクワ期//
葬礼泣き歌に現れる「道」;旅立ち/「あの世」への道程/「あの世」からの帰還など


栗原成郎、「スラヴの神話伝説における『風』」、『神話・象徴・文化 Ⅲ』、楽瑯書院、2007、pp.11-22
空気と風/風崇拝/風の住処と風の統御者/悪い風など

中堀正洋、「ロシア葬礼泣き歌における『道』-世界樹-水平軸と垂直軸-」、同上、pp.23-38
「あの世」はどこにあるのか/世界樹とイーレイ/ブヤーンの島と世界樹など

栗原成郎、「スラヴの天空神話」、『アジア遊学』、no.121、2009.4、「特集・天空の神話学」、pp.26-35
天と地;天空/天の形状/多層の天/天と地の間/天に至る道//
天体;星/大熊座/オリオン座/プレアデス集団/太陽/月など

篠田知和基、「風神としての竜」、篠田知和基編、『天空の神話-風と鳥と星』、楽瑯書院、2009、pp.525-540

中堀正洋、「ロシアの異教神ヴォロスと天体 方言・民俗語彙を中心に」、同上、pp.541-555
プレアデス星団における脱穀の形象/星座と毛髪の関係にみる豊饒多産性/黄金に表象される異界とヴォロスの関係など

中堀正洋、「スラヴ神話の再建に向けて-中世ロシアの異教神ヴォロスは月神か」、篠田知和基編、『天空の世界神話』、八坂書房、2009、pp.273-289
中世文献に現われるヴォロス/ヴォロスと聖ヴラーシイ/ヴォロスと天体など

伊賀上菜穂、「十九~二十世紀のロシア人農民の霊魂観-墓をとおして見た死者と生者の関係」、『アジア遊学 128 古代世界の霊魂観』、勉誠出版、2009.12、pp.160-171
ロシア人農民の「二重信仰」//あの世への旅立ち;抜け出る魂/死者を見ること//
他界としての墓;死者の家を建てる/墓地で死者と語り、遊ぶ//
「異常な死者」の行方;不自然な死/母なる大地が受け入れない/異界に棲む//
死者はいつまで記憶されるか;名前を失う死者/追善供養と墓標維持の期間など


「スラブの神話・宗教」、『世界神話大事典』、2001、pp.700-711
スラブ人 神話、祭儀、神々(レジス・ボワイエ)/スラブ・ゲルマン・北欧神話の類似性 ペルーン、ペルクン、ペルクナス、フィヨルギュンの問題点(同)

「カフカスの神話・宗教」、『世界神話大事典』、2001、pp.712-727
オセット人 宗教と神話(ジョルジュ・シャランジェ);神々/ナルト人とオセットの神話//
カフカス北部 神々と神話 アブハーズ人、チェルケス人、ウビフ人の場合(同);嵐の神々/鍛冶の神が見/アヒンと犠牲に供される雌ウシ/シェウゼリシュ/狩猟の神々//
グルジア 山岳住民の宗教と神話(同);宇宙創成と基本概念/偉大な神々の肖像/狩猟の神々と神話など

………………………

リョンロット編、小泉保訳、『カレワラ フィンランド叙事詩』(上下)(岩波文庫 赤 745-1/2)、岩波書店、1976
上巻;第1章~第24章//カレワラ概説(小泉保)/各章の内容と解説など、
500ページ。

下巻;第25章~第50章//各章の内容と解説/固有名詞語解など、
482ページ。

 「通史、事典など」のページで記しましたように、アーレニウスが『宇宙の始まり 史的に見たる科学的宇宙観の変遷』の第1章で『カレワラ』の冒頭部分を引いていました(寺田寅彦訳、第三書館、1992、pp.16-19 →こちら:件の頁の「i. 天文学史的なもの」).


Philippe Walter, translated by William Schnabel, “Salmon Woman and the Ninth Wave in Kalevala, Runo Ⅴ”(フィリップ・ワルテル、「『カレワラ』における鮭女」)、『神話・象徴・文化 Ⅲ』、楽瑯書院、2007、横書きpp.7-22
エピソードの概略/メリュジーヌ的語りの痕跡/プロテウス的人物/第9の波//第5章 ワイナミョイネンの嘆きなど

「フィン・ウゴル諸族 神話と祭式」、『世界神話大事典』、2001、pp.689-699
フィン・ウゴル諸民族(ジャン=リュック・モロー)/原資料(同)/狩りと漁の祭式と神話(同)/シャマニズム(同)/神々(同)/農耕の祭式(同)/神話(同/死者への礼拝(同)など
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ミルチャ・エリアーデ、斎藤正二訳、監修:堀一郎、『ザルモクシスからジンギスカンへ-① ルーマニア民間信仰史の比較宗教学的研究 エリアーデ著作集 第11巻』、せりか書房、1976、pp.181-291:「第3章 悪魔と『善なる神』-ルーマニア民間信仰における〝宇宙創成神話〟成立の前史」
原著は Mircea Eliade, “Le Diable et le Bon Dieu : la préhistoire de la cosmogonie populaire roumaine”, dans De Zalmoxis à Gengis-Khan. Études comparatives sur le religions et le folklore de la Dacie et de l'Europe Orientale, 1970
宇宙創成神話と潜水/南東ヨーロッパの異伝/ポーランド異本/バルト海沿岸異本・モルドーヴァ異本/《神の疲憊(つかれ)》ということ/スラヴ的《二元論》であるのか?/いくつかのロシア伝説/ウゴール民族における「宇宙創成のための潜水」/アルタイ族・モンゴール族/ブリヤート族・ヤクート族/イラン/北アメリカの宇宙創成説/インド・アーリアン/アーリアン以前のインド、および、南西アジア神話の起源および伝播/「宇宙創成の潜水」の構造および意味作用など

 訳者あとがきによれば、本論文と次の論文「との間にはかなりの分量の重複部分が見られる」とのこと(p.298);


ミルチャ・エリアーデ、「創造者とその〈影〉」、中村恭子編訳、監修:堀一郎、『宗教学と芸術 新しいヒューマニズムをめざして エリアーデ著作集 第13巻』、せりか書房、1975、pp.204-239
原著は Mircea Eliade, “Le créateur et son ombre”, Eranos-Jahrbuch 30, 1962
〈大地の種子〉/神の〈疲れ〉/ボゴミル教/中央および北方アジアの神話/イラン/神話の起源と伝播

 こちらの論文には次の別訳あり;


ミルチャ・エリアーデ、久米博訳、「創造者とその『影』」、『エラノス叢書 10 創造の形態学 Ⅰ』、平凡社、1990、pp.167-207+pp.308-314:解題Ⅲ(久米博)

 関連論考として→こちらも参照:『悪魔と両性具有』第2章(1973)/「天使、悪魔など」の頁の「ii. 悪魔など
 エリアーデについて→そちらも参照:「通史、事典など」の頁の「v. テーマ別のもの諸々


ウノ・ハルヴァ、田中克彦訳、『シャマニズム アルタイ系諸民族の世界像』、1971、pp.76-95:「第2章 大地の起源」

 も参照
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マリヤ・ギンブタス、鶴岡真弓訳、『古ヨーロッパの神々』、言叢社、1989
原著は Marija Gimbutas, The Goddesses and Gods of Old Europe : 6500-3500BC. Myths and Cult Images, 1974/1982
序章;放射性炭素と年輪年代学による年代測定法/編年表//
文化的背景;〈古ヨーロッパ文明〉の定義と意味/〈古ヨーロッパ〉の地域区分と年代区分 エーゲ海・中央バルカン、アドリア海地方、ドナウ河中流域、東バルカン、モルダヴィア=西ウクライナ//
図式主義(スキーマティズム)造形表現における〈速記〉/芸術家にとっての実在/自然主義的形態へ傾斜する彫像-金石過渡時代//
儀礼の衣装;衣装と装身具を表わす装飾的モチーフ/腰帯/女性の衣装/男性の衣装/履物/髪型と帽子/結語//
仮面;人面ならざる顔/ヴィンチャの仮面/ヴィンチャ仮面の発展/仮面飾り/クレタおよび古代ギリシアの仮面とその演劇性//
祭殿と小像の役割;粘土製の祭殿模型/聖域と供儀の場所/ミノア=ミュケナイの祭殿/祭殿の付属物と儀礼用具/刻印のある奉納物-小像・容器・紡錘車/結語//
宇宙生成論(コスモゴニー)宇宙論(コスモロジー)のイメージ;世界の四方位、月・牡牛のシンボリズム/蛇のシンボリズム/始源の卵/魚//
水の女王-〈鳥女神〉と〈蛇女神〉;雨乞い、熊、鳥女神の
表意文字(イデオグラム)-雨水のシンボリズム/雷文(メアンダー)-宇宙水のシンボル/〈鳥女神〉の起源と新石器時代の〈鳥女神〉像/金石過渡時代の〈鳥の貴婦人〉・〈蛇の貴婦人〉像/乳母としての〈蛇女神〉と〈鳥女神〉/ミノア=クレタと古代ギリシアの〈鳥女神〉と〈蛇女神〉//
生と死と再生の女神;腕を折り曲げる両性具有の豊満な女神-新石器時代/腕を折り曲げる硬直した女神-金石過渡時代/女神の身体に宿る呪術的な生の根源-口・手・卵/女神の
顕現(エピファニー) 犬-〈月の女神〉の分身、牝鹿-〈再生の女神〉の分身、ヒキガエルとカメ-胎児の姿をした女神、ハリネズミ-動物の子宮や胎児に変容する女神、蜜蜂と蝶-牡牛から生まれた女神の変容と再生、熊-母と乳母としての女神/〈死と再生の女神〉の諸相/ヘカテーとアルテミス-古代ギリシアと西アナトリアに生き残った古ヨーロッパの〈死と再生の女神〉//
多産女神と植物女神;種子としての点文と耕地としての菱形/玉座の〈多産女神〉/豚-〈植物女神〉の聖なる動物/ギリシア神話の隠喩-デーメーテール、コレー、ペルセポネー//
イヤー・ゴッド-蘇生を促す男神;男根像/卑猥な仮面男/人面を被った牡牛/ディオニュソスの隠喩/悲しみに暮れる神/神の子//
結論 古ヨーロッパ文明の遺産//発掘地名とC14年代//
解題:マリヤ・ギンブタスと東欧考古学-古ヨーロッパの女神と母の概念(鶴岡真弓)、
316ページ。


「キリスト教以前のヨーロッパの神話・宗教」、『世界神話大事典』、2001、pp.606-623
ヨーロッパの先史時代 宗教の問題(アンドレ・ルロワ=グーラン);墓と骸骨崇拝/装身具/洞窟壁の出来事/動物/対合(アサンブラージュ)/記号/傷/手形/オブジェ/小像//
インド・ヨーロッパ語族(ジャン・ヴァレンヌ);儀礼/供儀/家庭行事/神話/終末論/万神殿の構成など


オーウェン・ギンゲリヒ、「ストーンヘンジの基礎天文学」、ブレッヒャー、ファイタグ編、花野秀男訳、『古代人の宇宙 考古天文学への招待』、白揚社、1984、pp.181-200、「付録=ストーンヘンジ解読器」、同、pp.289-292

おまけ

荒俣宏、『99万年の叡智 近代非理性的運動史を解く』、1985、pp.112-124:「第1部6 ケルトの復活」
ケルトの哀しみ/場としてのイオナ/オカルティストとして/妖精の起源を知る哀しみ

家島彦一、「驚異としての北方-イブン・ファドラーンの記録を中心に」、山中由里子編、『〈驚異〉の文化史 中東とヨーロッパを中心に』、2015、pp.274-289
イブン・ファドラーンの旅/驚異の源泉としての北方ユーラシア世界/むすびにかえて-驚異譚の定型化と知識の伝承

見市雅俊、「ストーン・ヘンジと驚異の国土」、同上、pp.327-336
中世編-先住権のあかし/近世編-ローマ化のあかし

 北欧神話に材を得たものとしては、まずはヴァークナーの『ニーベルンゲンの指環』四部作が挙げられるべきなのでしょうが、ちゃんと聞いたことも見たこともないので、ここでは;


ジェシー・ダグラス・ケルーシュ、野村芳夫訳、『不死の怪物』、2002

ポール・アンダースン、関口幸男訳、『折れた魔剣』(ハヤカワ文庫 SF 146)、早川書房、1974
原著は Paul Anderson, The Broken Sword, 1954

 ケルト神話も少し混ざっています。

 アーサー王伝説ネタですが;


ポール・アンダースン、豊田有恒訳、『魔界の紋章』(ハヤカワ文庫 SF 280)、早川書房、1978
原著は Paul Anderson, Three Hearts and Three Lions, 1961

 同じ著者による→こちらを参照:「近代など(20世紀~) Ⅴ」の頁の「アンダースン」の項

エドモンド・ハミルトン、市田泉訳、「神々の黄昏」、『眠れる人の島』、2005、pp.87-153
原著は Edmond Hamilton, "Twilight of the Gods", 1948

石ノ森章太郎、「エッダ(北欧神話)編」、『サイボーグ009 1 神話・伝説編』(秋田文庫 5-1)、秋田書店、1994
初出は1976

 石ノ森章太郎について→こちらも参照:「近代など(20世紀~) Ⅵ」の頁の「石ノ森章太郎」の項


山田正紀、『デッド・エンド』、奇想天外社、1980

 山田正紀について→こちらも参照:「近代など(20世紀~) Ⅵ」の頁の「山田正紀」」の項

 ケルト神話といえば;

山岸凉子、『妖精王』(全5巻)(花とゆめCOMICS HC-99/106/117/135/140)、白泉社、1977-1978

 山岸凉子について→こちらも参照:「近代など(20世紀~) Ⅵ」の頁の「山岸涼子」の項

 大昔に読んだルブランのルパン(リュパン)ものでドルメンだのドルイドということばを覚えた記憶があるのですが、とりあえず手もとにあった子供向けの訳で;

ルブラン原作、池田宣政訳、『悪魔のサイン アルセーヌ=ルパン全集 5』、ポプラ社、1970
原著は Maurice Leblanc, L'île aux trente cercueils. Première partie : Véronique, 1919

ルブラン原作、池田宣政訳、『恐怖の島 アルセーヌ=ルパン全集 6』、ポプラ社、1970
原著は Maurice Leblanc, L'île aux trente cercueils. Deuxième partie : La pierre miraculeuse, 1919

 『三十棺桶島』二部作となります。


ロバート・ブロック、柿沼瑛子訳、「ドルイド教の祭壇」、『暗黒界の悪霊』(ソノラマ文庫海外シリーズ 15)、1985
原著は Robert Bloch, ‘The Druidic Doom’,1936

 同じ著者による→こちらを参照:「近代など(20世紀~) Ⅳ」の頁の「xix. ラヴクラフトとクトゥルー神話など

 ディ・キャンプ&プラットによる『ハロルド・シェイ』シリーズの内、

神々の角笛 ハロルド・シェイ 1』(1940)

 は北欧神話の世界を、


『英雄たちの帰還 ハロルド・シェイ 4』

 所収の「蛇の壁」(1953)は『カレワラ』を、
 「青くさい魔法使い」(1954)はアイルランド神話の世界を舞台にしています。


ダグラス・アダムス、安原和見訳、『長く暗い魂のティータイム ダーク・ジェントリー全体論的探偵事務所』、2018

 オーディンだのトールだのが登場します。
 ちなみにアダムスの先立つ


風見潤訳、『宇宙の果てのレストラン』(1980、邦訳:1983)、p.159(17章)

 では「アスガルドの殿堂から何人かの神」が宇宙の終末を見物にタイトルのレストランにやって来ており、「雷が轟」き、「稲妻がステージに向けてと」びます。さらに

風見潤訳、『宇宙クリケット大戦争』(1982、邦訳:1985)、pp.194-195、205-208(22章)

 にはトールが名指しで登場します。好きなのでしょうか。
 また「長く暗い魂のティータイム」というフレーズは「十六世紀のスペインの神学者サン・ファン・デ・ラ・クルス(十字架の聖ヨハネ)の書いた『暗い魂の夜』のもじりらしい」(「訳者あとがき」、p.363、安原和見訳版「『宇宙クリケット大戦争』のあとがきでも触れた」という)とのことですが、『宇宙クリケット大戦争』1章(風見潤訳版、p.10)にすでに登場していました。
 トールに戻ると、かてて加えてアダムス歿後の公式続篇


オーエン・コルファー、安原和美訳、『新 銀河ヒッチハイク・ガイド』(2009、邦訳:2011)

 にも登場、けっこう活躍します。中盤ではアスガルドが舞台になる。オーディンは登場こそしないものの、ぼちぼち引きあいに出されます。
 未見ですが
アメコミの『マイティ・ソー』およびその映画化『マイティ・ソー』(2011、監督:ケネス・ブラナー、やはり未見)と『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』(2013、監督:アラン・テイラー)、『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017、監督:タイカ・ワイティティ、未見)連作
 といい、みんな大好きなのでしょうか。


ニール・ゲイマン、金原瑞人・野沢佳穂訳、『アメリカン・ゴッズ』(上下)、角川書店、2009
原著は Neil Gaiman, American Gods, 2001

 オーディンが重要な役回りをつとめます。後にロキも合流。トールについては話の中で言及されます(第2部13、下巻、p.144)。
 なお本作で、北欧神話だけでなく、人間とともにアメリカへ渡ってきた各地の神々が登場します。その中ではロシアのチェルノボグとともに、トト、アヌビス、バステト、ホルスといったエジプトの神々が比較的目立っていました。なので→こちらにも挙げておきましょう(「エジプト」の頁の「おまけ」)。
 ところで本作では、北アメリカ先住民の神様やヴードゥーの神様は多少登場するものの、なぜかメソアメリカや南アメリカの神様は出てこなかったような気がします。
 ちなみに第1部第5章の舞台はウィスコンシン州に実在する「ハウス・オン・ザ・ロック」(上巻 p.174 前後など→ウィキペディア英語版の該当ページ)、クライマックスの舞台はジョージア州の「ロック・シティ」(第3部第17章、pp.288-291 など→ウィキペディア英語版の該当ページ)でした。

 上掲の『長く暗い魂のティータイム』、『新 銀河ヒッチハイク・ガイド』ともども〈流謫の神々〉にまつわるお話ということで、→そちらにも挙げておきます(「ロマン主義、近代など(18世紀末~19世紀)」の頁の「ハイネ)と〈流謫の神々〉その他」の項

 また;

ニール・ゲイマン、「谷間の王者 - 『アメリカン・ゴッズ』後日譚」、金原瑞人・野沢佳織訳、『壊れやすいもの』(角川文庫 ケ7-8)、角川書店、2019、pp.415-494
2009年刊本の文庫化
原著は
Neil Gaiman, "The Monarch of the Glen", Fragile Things : Short Fictions and Wonders, 2006

 作者自身の「本書について」によると、この中篇は「叙事詩『ベオウルフ』の影響を受けている」とのこと(p.522)。またゲイマンは、ロバート・ゼメキスが監督したCG映画『ベオウルフ/呪われし勇者』(2007)の脚本をロバート・エイヴァリーと共同で担当しました(pp.522-523)。

 余談になりますが短篇集のタイトルはイエスの4枚目 Yes, Fragile, 1971(邦題:『こわれもの』)を連想させずにいませんが、関係はないようで、かわりといっては何ですが、この短篇集に収められた「パーティで女の子に話しかけるには」中に、

「ちょうどパンクが流行(はや)りだした頃だった。自分のレコードプレーヤーできくのは、アドヴァーツ、ザ・ジャム、ストラングラーズ、ザ・クラッシュ、セックス・ピストルズといったところ。よその家のパーティでは、ELO、10cc(テンシーシー)、ロキシー・ミュージックなんかも耳にした。運がよければ、デヴィッド・ボウイも何曲かきけた。交換留学でドイツにいったときにきいた音楽でみんながいいと思ったのは、ニール・ヤングの『ハーヴェスト』というLPだけで、『孤独の旅路(ハート・オブ・ゴールド)』を旅のあいだずっとリフレインのようにきくことになった」(p.358

というくだりがありました。ちなみにゲイマンは1960年生まれ。なおこの短篇も映画化されており(『パーティで女の子に話しかけるには』、2017、監督:ジョン・キャメロン・ミッチェル)、未見なのですが、パンクが大きな役割を果たすそうです。
 同短篇集から別の作品をクトゥルー神話がらみということで→あちらに挙げました(「翠色(エメラルドト)の習作」/『狼男』(1941)の頁の「おまけ」」)

 また同短篇集には目次に挙げられた諸作以外に、
自作解説である「本書について」の、「他人」の項の中に「地図を作る人」という掌篇が組みこまれており(pp.505-508)、
これは「解説 壊れやすく愛おしいもの」(山尾悠子)によるとボルヘスの「学問の厳密さ」(『汚辱の世界史』/『砂の本』所収)とアイデアがかぶっています(pp.531-533)。
 〈帝国の実物大の地図〉がもっとも厳密な地図であるというなら、これに対応して、〈実物大の歴史〉というのも考えることができそうで、神様なり神々が存在するのであれば、そうしたものを作っているのかもしれません。〈アーカーシャ年代記〉がそれなのでしょうか?(→あちらの2でも触れました:「津の築山遊具など」の頁)

 とまれ、それとは違いますが、神様の創造の意図というのを主題の一つにしたのが;

ニール・ゲイマン、テリー・プラチェット、金原瑞人・石田文子訳、『グッド・オーメンズ』(上下)、2019

 で、主人公の車のカセットからはクイーンの曲が鳴っているのでした(たとえば、上巻、p.23 他)。
 ついでに同書中には、

「ターナーとランドシーアがサミュエル・パーマーと出会って、いっしょに仕事をし、スタッブスに馬を描いてもらったとしても、これ以上にすばらしい風景画ができるとは思えない」

 というくだりがありました(上巻、p.220)。エドウィン・ランドシーア(1802-73)のことは不勉強のため知りませんでしたが、とまれこれを、ある種の英国人にとっての風景画というものに対するイメージの、類型の少なくとも一つと見なしてよいのでしょうか?

 また、

原作:ニール・ゲイマン、作画:J.H.ウィリアムズⅢ、彩色:デイヴ・スチュワート、レタリング:トッド・クライン、カバーアート:デイヴ・マッキーン、柳下毅一郎訳、『サンドマン 序曲』、インターブックス、2023

 は〈終わりなきもの(エンドレス)〉なる神的な存在の一人〈夢(ドリーム)〉を主人公にした、宇宙の終末と再生のお話でした。
 1989~1996年に刊行されたシリーズ『サンドマン』の前日譚にあたるとのことです(原著は刊行25周年記念として2013年に刊行された)。日本語版再刊『サンドマン1 前奏曲と夜想曲』(インターブックス、2023)の最終話で見られたマティスの《ダンス》(1909、ニューヨーク近代美術館)の複製について→「『Meiga を探せ!』より、他」の頁で触れました

 戻ってやはりここ(同じく「ロマン主義、近代など(18世紀末~19世紀)」の頁の「ハイネ)と〈流謫の神々〉その他」」)で挙げた


マイケル・スコット、橋本恵訳、『錬金術師(アルケミスト)ニコラ・フラメル』、2007

 を始めとする全6巻の連作にも、イグドラシル、ニドホグ、オーディン、ヘルなど、また著者がアイルランドの作家とあってか、スカアハ始めケルト系の神々も登場します。
 

 やはりスカアハという名の人物が登場するのが;

押井守、『ガルム・ウォーズ 白銀の審問艦』、2015

皆川博子、「魔王 - 遠い日の童話劇風に」、東雅夫編、『稲生モノノケ大全 陽之巻』、毎日新聞社、2005、pp.391-415

 また

『マスク』、1994、監督:チャールズ・ラッセル

 でつけた者を変貌させる〈仮面〉には、ロキが宿っているという設定でした。野暮を承知で深読みすれば、仮面の男を包囲した警官たちが、仮面男のリズムに乗せられて踊り歌いだす場面には、神性が顕現するさまを見てとれるかもしれません。

 美術の方面では、19世紀の前半、アングルをはじめとした画家たちが《オシアン》に材を得た作品が思い起こされます。
 この点については、
上掲『『ユリイカ』、vol.23 no.3、1991.3、「特集 ケルト 源流のヨーロッパ」所収の鶴岡真弓、「ケルト、長き黄昏の後に-『オシアン』復活の周辺」(pp.70-86)
 をご参照ください。

ジェラール、《オシアン》、 1801以降
   
ジロデ、《オシアン》、 1802
ジェラール
《ローラの岸辺で琴の音によって
霊たちを目覚めさせるオシアン》
1801年以降
  ジロデ
《フランスの英雄たちを迎えるオシアン》
1802
 

アングル、《オシアンの夢》 、1813
アングル
《オシアンの夢》
1813
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 音楽方面では;

Pavlov's Dog, At the Sound of the Bell, 1976(邦題:パブロフス・ドッグ、『条件反射』)(→こちら:「エジプト」の頁の「おまけ」)

 のA面ラスト、
“Valkerie”(邦題;「幻のヴァルキリー」)
 壁状のメロトロンとビル・ブルーフォード(ブラッフォード)のドラムス、『運命』風のギター、サックス、少年合唱団に、デイヴィッド・サーカンプのキンキン声がからむという曲でした。

 また、

Jethro Tull, Minstrel in the Gallery, 1975(邦題;ジェスロ・タル、『天井桟敷の吟遊詩人』)(1)、

 A面2曲目、
“Cold Wind to Valhalla”(邦題;「ヴァルハラへの冷たい風」)も挙げておきましょう。
1. 大鷹俊一監修、『ヤング・パーソンズ・ガイド・トゥ・プログレッシヴ・ロック』、音楽之友社、1999、p.77。
 深見淳・松崎正秀監修、『UKプログレッシヴ・ロック アウトスタンディング・エディション』(THE DIG presents Disc Guide Series #020)、シンコーミュージック、2004、p.165。
 →こちらも参照(「キリスト教(西欧中世)」の頁の「おまけ」)
 ジェスロ・タルのリーダーによるソロ2枚目が;

Ian Anderson, Divinities. Twelve Dances with God, 1994(邦題;イアン・アンダーソン、『ディヴィニティーズ:神との12のダンス(舞曲)』)

 その1曲目が、“In a Stone Circle”(邦題;「ストーン・サークル」)、3分26秒、器楽曲。
 ソロ第1弾
Walk into Light, 1983 は演奏の主軸をシンセサイザーに委ねた、テクノ・ポップ化したジェスロ・タルといった感じの作品でしたが、今回はフルートと小編成オーケストラの協奏によるもので、ロック色はほぼ見られません。フォーカスの主要メンバーの一人による Thijs van Leer, Introspection, 1974(邦題;タイス・ヴァン・レアー、『ロマンの映像(イマージュ)』)と比べることができるかもしれません。
 ともあれ、→こちら(「イスラーム Ⅲ」の頁の「おまけ」)や→そちら(「アフリカ」の頁の「おまけ」)、また→あちら(「インド」の頁の「おまけ」)で別の曲を挙げました。
Asgard, Götterdämmerung, 1991 (2)

 こちらはイタリアのグループですが、フランスにも同名のグループがありました(3)。そちらは未聴。
2. 『イタリアン・ロック集成 ユーロ・ロック集成1』、マーキームーン社、1993、p.27。

3. 『ユーロ・ロック集成』、マーキームーン社、1987/90、p.72。
 『フレンチ・ロック集成 ユーロ・ロック集成3』、マーキームーン社、1994、p.53。
 同じく未聴なのですが、イギリスには

Druid (4)

 というグループもありました。
4. 深見淳・松崎正秀監修、『UKプログレッシヴ・ロック メインストリーム・エディション~The Golden Era』(THE DIG presents Disc Guide Series #017)、シンコーミュージック、2004、p.90。
 岩本晃一郎監修、『ブリティッシュ・プログレッシヴ・ロック100』(Masterpiece Albums vol.2)、日興企画、2012、p.91。

Third Ear Band, Alchemy, 1969(→こちらを参照:「錬金術など」の頁の「おまけ」)

 のA面3曲目"Druid One"、続いて"Stone Circle"

Roxy Music, Avalon, 1982(4b)

 からA面3曲目のタイトル曲(4分15秒)およびB面ラストの"Tara"(1分27秒)。後者は器楽曲です。
4b. 『ストレンジ・デイズ』、no.98、2007.11、「ロキシー・ミュージック」、p.11。
 『ロキシー・ミュージック大全』、シンコーミュージック・エンターテイメント、2021、pp.130-131。
 同じアルバムから→こちらも参照:「インド」の頁の「おまけ」。また→そちらも参照:「アメリカ大陸など」の頁の「おまけ
 アイルランドということではまた;

Thin Lizzy, Black Rose. A Rock Legend, 1979(邦題;シン・リジィ、『ブラック・ローズ』)(5)

 の掉尾、
“Roisin Dubh (Black Rose) A Rock Legend”(邦題;「ブラック・ローズ」)を。
5. 『ヘヴィ・メタル/ハード・ロックCDガイド』(シンコー・ミュージック・ムック)、シンコー・ミュージック、2000、p.139。
 平野和祥広監修、『ブリティッシュ・ハード・ロック The DIG Presents Disc Guide Series #007』、シンコーミュージック、2002、p.49。

 シン・リジィはアイルランドの出身で、とすると紛い物をという「おまけ」コーナーの基本路線にそぐうかどうか微妙なところですが、こちらは正真正銘いかがわしさ満点なのが、

メトロファルス、『LIMBO島』、1996

 手もとにあるのは2010年に増補再発された「Deluxe Edition」なのですが、そこに封入されたリーフレットの裏面に掲載された「凛坊島異聞」で、
「『LIMBO島』はアイリッシュっていうサウンドにスタイルをカッチリ固めたところがある」(横川理彦)
と述べられていました。
 同リーフレット表面下段の曲目解説には、
2曲目「東京暮色」(4分43秒)について「TYPOGRAPHICA のビートを松竹新喜劇のように」とか、
3曲目「蝙蝠翁」(6分17秒)について「大好きな ZEPPELIN の『バトル・オブ・エバモア』やジェスロ・タルの良い部分を想起させる」
なんて説明が見受けられました。上で1曲挙げたジェスロ・タルですが、ちなみに前掲「凛坊島異聞」にも、
「ロックっぽくないジェスロ・タルみたいなとこ」(ライオン・メリィ)
との発言がありました。
 とまれ多分に演劇的なヴォーカルの「濃すぎる」(同上、横川理彦)点が大丈夫であれば、アルバムを通して幾度となく、けざやかに印象的な旋律やリフが飛びだすのに出くわせることでしょう。
 そんな中、先の曲目解説では「プログレ・フォーク歌劇?」とされた11曲目「宇宙アンファンテリブル」(6分30秒)には、
「めざせワルハラ神殿 天空駆けるハヤコマ」、
 さらに
「僕等はアンファンテリブル 反転世界のヒーロー
 ドグマはブレイン・エピキュリアン 三千世界を放浪」、
 ついでに
「蹴散らせ 天敵どもをアンダルシアの犬と」
 なんて歌詞が聞こえてきたことでした。

 同じアルバムから、また別のアルバムから→こちらを参照:「中央アジア、東アジア、]東南アジア、オセアニアなど」の頁の「おまけ
 メトロファルスから→そちらも参照(「天使、悪魔など」の頁の「おまけ」)

Picchio dal Pozzo, Camere Zimmer Rooms, 2001(邦題:ピッキオ・ダル・ポッツォ『ねじれた小部屋の風景』)

 から1977-78年録音の2曲目が
"Il mare d'Irlanda (The Sea of Ireland)"、6分20秒、および5曲目"Il fantasma d'Irlanda (The Irish Ghost)"、0分40秒。後者はアルバム末尾のエピローグ的な器楽曲です。
 同じアルバムから別の曲を→こちらに挙げました:「中央アジア、東アジア、東南アジア、オセアニアなど」の頁の「おまけ

 ロシアということでは;

Sparks, Introducing Sparks, 1977(6)

 7枚目の6曲目(元のLPではB面1曲目)
“Goofing off”4分26秒を挙げておきましょう。
 Esperanto, Last Tango, 1975(→こちらを参照:「アメリカ大陸など」の頁の「おまけ」) のタイトル曲と双璧をなす、高揚感満載の偽民族音楽風ロックです。
 ちなみにスパークスには
“Scandinavian Design”という曲もありました;

Sparks, Hippopotamus, 2017

23枚目の4曲目、4分10秒。
 同じアルバムから→あちらも参照:ボス《快楽の園》の頁の「おまけ
6. 『グラム・ロック黄金時代1971-77:フィーチャーリング・モダーン・ポップ』(CDジャーナル・ムック)、音楽出版社、2012、pp.116-117。
 同 pp.66-67 も参照。
 →そちらも参照:「日本 Ⅱ」の頁の「おまけ

Slapp Happy / Henry Cow, Desperate Straights, 1975(7)

 のB面掉尾
“Caucasian Lullaby”、8分25秒、器楽曲。
 「ピアノとクラリネットが8分もの間ゆっくりとドレミファソラシ(本当は半音が含まれる複雑なスケールですが便宜上こう記しています)を繰り返すという〝恐怖のドレミファソ男〟ムーアの面目躍如たる実験的ナンバー」(右の註7 に挙げた『カンタベリー・ミュージック』、2004、p.168)。
 同じアルバムから→こちらを参照:「錬金術など」の頁の「おまけ
7. The Bible. rock magazine 04、ロックマガジン社、1981、p.38。
 大鷹俊一監修、『ヤング・パーソンズ・ガイド・トゥ・プログレッシヴ・ロック』、音楽之友社、1999、p.100。
 松井巧監修、『カンタベリー・ミュージック(Artists & Disc File Series Vol.5)』(ストレンジ・デイズ12月号増刊)、2004、p.164, p.168。
 ベンジャミン・ピケット、須川宗純訳、『ヘンリー・カウ 世界とは問題である』、月曜社、2023、p.221。
 →こちら(「日本 Ⅱ」の頁の「おまけ」)や、そちら(「アメリカ大陸など」の頁の「おまけ」)、またヘンリー・カウに関して→あちら(「怪奇城の外濠 Ⅲ」の頁の「おまけ」)、アート・ベアーズに関して→ここ(「図像、図形、色彩、音楽、建築など」の頁の「おまけ」)も参照

ムーンライダーズ、『イスタンブール・マンボ』、1977(8)

 3枚目のB面ラスト、5曲目が「ハバロフスクを訪ねて」、5分27秒。
 ハバロフスクはロシア極東の都市。
8. ムーンライダーズ+アストロ・チンプス、『フライト・レコーダー』、JICC出版局、1990、p.93、p.103、pp.322-323。
 『ミュージック・マガジン』、514号、2006.6:「特集 ムーンライダーズの30年」、p.48。
 同じアルバムから→そちら:「西アジア」の頁の「おまけ」、
 他のアルバムから→あちらを参照::『吸血鬼ノスフェラトゥ』(1922)の頁の「おまけ
 

Kate Bush, Never for Ever, 1980

 よりA面1曲目、
“Babooshka”(→こちらも参照:「エジプト」の頁の「おまけ」)

 ロシアがらみという点では→そちらも参照:『妖婆死棺の呪い』(1967)の頁の「おまけ
 結成は1970年代半ばにさかのぼるイタリアのシンフォニック・プログレ・バンドの5枚目

Il Castello di Atlante, Quintessenza, 2004(邦題;イル・カステッロ・ディ・アトランテ『真髄』)(9)

 より2曲目、
“Il Marinen Forgia Il Sampo”(「マリネンの炉、サンポ」)は「フィンランドの叙事詩である『Kalevala』をテーマにしたプロジェクトに参加」、そこで提供した曲とのこと(宮坂聖一による日本版ライナー・ノーツより)、7分50秒。
 歌詞はイタリア語で不勉強のためわからないのですが、上掲の小泉保訳岩波文庫版では第10章に「サンポの鍛造」との見出しが付されています(上巻。巻末の「各巻の内容と解説」中の第10章の部分も参照;pp.473-475。また p.432、pp.439-440)。ちなみに曲の原題は「イルマリネンがサンポを鍛造する」といったところでしょうか。
9. 『ユーロ・ロック・プレス』、vol.20、February 2004、p.26。
 アウグスト・クローチェ、宮坂聖一訳、『イタリアン・プログ・ロック イタリアン・プログレッシヴ・ロック総合ガイド(1967年-1979年)』、マーキー・インコーポレイティド、2009、pp.171-172。

Pierrot Lunaire, Gudrun, 1977(邦題:ピエロ・リュネール『グドルン』)(→こちらも参照:『黒猫の怨霊』(1962)の頁の「おまけ」)

 タイトル曲
"Gudrun"(1曲目、11分23秒)は、「北欧的表示」では「グズルーン または グリームヒルト」、中世英雄叙事詩では「クリエムヒルト」、ワーグナーでは「グートルーネ」、一般的表示では「クリームヒルト」にあたり(石川栄作、『ジークフリート伝説』、2004、p.18)、シグルズ/ジークフリートの妻となった女性の名です(同上、第3章第1節「新しい主人公クリエムヒルト」の参照)。

Rick Wakeman, The Myths and Legends of King Arthur and the Knights of the Round Table, 1975(邦題:リック・ウェイクマン『アーサー王と円卓の騎士たち』)(10)

 →こちら(「ルネサンス、マニエリスムなど(15~16世紀)」の頁の「おまけ」)で挙げたように、ソロ第1作(数え方によっては2作目)『ヘンリー八世と六人の妻』(1973)には36年後の増補付きライヴ・アルバム(2009)がありましたが、ソロ第3作(数え方によっては第4作ないし第5作)の本作にも、


Rick Wakeman, The Myths and Legends of King Arthur and the Knights of the Round Table, 2016(邦題:リック・ウェイクマン『アーサー王と円卓の騎士たち 2016』)

 と、41年後の増補版が制作されました。1975年版がA面20分18秒+B面24分25秒のLP1枚だったのに(表紙裏表紙を入れて12頁のほぼLP大冊子付き)、2016年版は約41分27秒+42分15秒のCD2枚組になりました(20頁のCD大冊子付き)。
10.  『イエス ストレンジ・デイズ11月号増刊』(Strange Days Artists & Disc File Series, vol.1)、2003.11、p.156。
 →そちらも参照:「怪奇城の地下」の頁

Alhambra, Fadista, 2007(11)

 日本のプログレッシヴ・ハード・ロック・バンド、2枚目の9曲目、「ワルキューレ - Die Walküre -」、11分29秒。
 ジャケット表がモローの《サッフォー》(1869-72頃、水彩)なので、→こちらで触れました:「ギュスターヴ・モロー研究序説」[14]の頁の「おまけ
 
11. 『ユーロ・ロック・プレス』、vol.36、2088.2、p.53。
 同、vol.39、2008.11、pp。40-41。
 同じアルバムから別の曲を→そちらで挙げました:「図像、図形、色彩、音楽、建築など」の頁の「おまけ」。
 
2013/09/30 以後、随時修正・追補
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