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自転車の車輪の影(?)            怪奇城閑話
「Meigaを探せ!」より、他



 
 「Meigaを探せ!」シリーズはもとの勤め先のメール・マガジン『三重県立美術館ニュース』に、当時の編集長の発案で何度か掲載されたコーナーで、絵画なり美術の名画(?)が映った映画の名画(?)を紹介するという趣旨でした。『まぐまぐ!』のサイトに掲載されていたのですが、「2019年4月15日より無料バックナンバーの公開を停止しております」とのことでリンク切れになったので、当方が書いた分をここに載せておきます。
 なお第6回『生きた屍の城』はこの作品の頁を作ったのでそちらに、第4回『12モンキーズ』とシリーズ外の番外篇として『吸血鬼ドラキュラ神戸に現わる』にはモローの絵が映ったので、
「ギュスターヴ・モロー研究序説」(1985) [14]への「おまけ」および「追補」として続けて載せてありました。
タイトル  公開/製作年
第2回 リンダリンダリンダ  2005 2008/10/10
第3回 1999年の夏休み  1988 2008/10/24
第4回  12モンキーズ 1995 2008/11/14
第6回 生きた屍の城  1964 2008/12/12
第7回 THEビッグオー 第17回「Leviathan」  1999/2003 2011/12/09
 
   
番外篇 吸血鬼ドラキュラ神戸に現わる~悪魔は女を美しくする  1979 2018/12/20
 『血ぬられた墓標』(1960)の頁に「追補」として『没後40年 マリオ・バーヴァ大回顧 第Ⅰ期』 および同『第Ⅱ期』について記した中で、

『フォー・タイムズ・ザット・ナイト』(1969)で、男性主人公の部屋、女性主人公とその母親の部屋に、現代美術が何点も飾られていること、

『ファイブ・バンボーレ』(1970)で、舞台となる孤島の別荘にミロやカンディンスキー他が飾られていたこと、

『ロイ・コルト&ウィンチェスター・ジャック』(1970)で、モネの《日傘をさす婦人》(1886、オルセー美術館、左向きヴァージョン)らしき絵が映ったことに触れました。

 この他、「古城と怪奇映画など」の随処で挙げたもの以外に思い浮かぶのは;

『新・ガンヒルの決斗』(1971、監督:ヘンリー・ハサウェイ)で、刑期を終えて出所した主人公が最初に立ち寄る酒場兼ホテル、そのカウンターの向かいの壁には裸婦を描いた絵がかかっているのですが、この裸婦の特徴あるポーズは、アングルの二点ある《奴隷のいるオダリスク》(1839、フォッグ美術館、ケンブリッジ、および1842、ウォルターズ美術館、ボルティモア)に由来するものでした。ただし背景は違っており、楽器を奏でる奴隷も描かれていません。オダリスクも、乳房に白い布を巻き、太腿に引っかかっていた布が腰まで引きあげられていました。なおこの酒場の、入口の左右の赤い壁にも裸婦を描いたらしき絵が一点ずつかけられていましたが、こちらはわかりませんでした。
 西部劇といえば、『ワイルド・ワイルド・ウエスト』(1999、監督:バリー・ソネンフェルド)のやはり始めの方に出てくる酒場兼ホテルで、カウンターの、こちらは奥の壁にゴヤの《裸のマハ》(1797-1800、プラド美術館)がかかっていました。ずいぶん大きく見えます。なおこちらの酒場兼ホテルは、三階分はある多角形の吹抜を擁する豪勢なものでした。

処女の生血』(1974)と対をなす『悪魔のはらわた(フレッシュ・フォー・フランケンシュタイン)』(1973、監督:ポール・モリセイ)では、クリムトの《接吻》(1908-09)の紋様部分を抽出して横倒しにしたかのような壁面装飾、デルフォイ(デルフィ)考古博物館のブロンズ彫像《デルポイ(デルフィ)の御者》、さらにフランツ・フォン・シュトゥックの《サロメ》(1906)、《誘惑》(1891)および《楽園の番人》(1889)などが映りました。

ピーター・セラーズ主演版『ゼンダ城の虜』(1979、監督:リチャード・クワイン→こちらも参照:『ゼンダ城の虜』(1937)の頁の Cf.)の始めの方で、ベラスケス《鏡を見るウェヌス》(ロンドン、ナショナル・ギャラリー)、ジョルジョーネ《眠れるウェヌス》(ドレスデン、アルテ・マイスター絵画館)にアルバート・ムーア《夏の一夜》(1890、リヴァプール、ウォーカー・アート・ギャラリー)の複製を飾った部屋が出てきました。

人工知能を扱った、しかしゴシック・ロマンスでもある『エクス・マキナ』(2014、監督:アレックス・ガーランド)で、ポロックの《ナンバー5、1948》(1948)とクリムトの《マルガレーテ・ストンボロー=ヴィトゲンシュタインの肖像》(1905)が登場した点は、ネットを検索するとあちこちで指摘されていました。

サラ・ウォ-ターズの『荊の城』(2002)を原作とする『お嬢さん』(2016、監督:パク・チャヌク)には、藤島武二《大王岬に打ち寄せる怒濤》(1932)の、二点ある内の三重県立美術館版が映りました。もとの勤め先の所蔵品ではあり、個人的にはとても感慨深いことではありました。

 と、以上は氷山の一角にもならない、たまたま目に留まった数例でしかありません。いずれは頁を作れればと思うものの、いつになるやら知れたものではないので、とりあえず文字通り、備忘録としてメモしておきましょう(2021/03/10)。


 映画と美術の関係について、「怪奇城の外濠」の頁の「i. 映画と建築など」に

岡田温志、『映画は絵画のように 静止・運動・時間』、2015

 「キリスト教(古代および東方正教会)」の頁の「おまけ」に

岡田温司、『映画とキリスト』、2017

岡田温司、『映画と黙示録』、2019

 を挙げましたが、さらに、

岡田温司、『映画と芸術と生と スクリーンのなかの画家たち』、筑摩書房、2018
 序 - 実像と虚像のあいだで/三人の「ゴッホ」 耳切りと自殺はどう描かれたのか/解放された「レンブラント」 民衆の画家か、ナルシシストか、肉体派か/モダニズムとその脱構築 ポロック、ウォーホル、バスキア/よみがえる女流アーティストたち カミーユ、アルテミジア、フリーダ/ベル・エポックの画家たち ロートレック、モディリアーニ、ゴーガン/性と暴力 カラヴァッジョ、ベーコン/政治と色事 ゴヤの場合/アール・ブリュットの画家たち/名画誕生の秘密 フェルメール、ブリューゲル、ジェリコー、レンブラント/異色のビオピック イコン画家ルブリョフ、表現主義者ムンク、装飾家クリムトなど、
296ページ。

岡田温司、『イタリア芸術のプリズム 画家と作家と監督たち』、平凡社、2020
 ピランデッロと初期映画/フェリーニとカトリシズム/パゾリーニと伝統のアヴァンギャルド/アントニオーニとイメージの迷宮/ベルトリッチと造形芸術など、
206ページ。

 同じ著者による→こちらを参照:「天使、悪魔など」の頁中

 この他;

ルメートル、小海永二訳、『美術と映画』(芸術論叢書)、紀伊國屋書店、1965
原著は
Henri Lemaitre, Beaux-arts et cinéma, 1956
 美術としての映画;両者の関連/交換と借用/その未来//
 美術映画論;さまざまの問題点/清算結果 - その評価/その可能性//
 映画と芸術的教養;教育/大衆化/映画と空想の美術館//
 結論/付録など、
192ページ。

パスカル・ボニゼール、梅本洋一訳、『歪形するフレーム - 絵画と映画の比較考察 -』,、勁草書房、1999
原著は
Pascal Bonitzer, Décadrage - peinture et cinéma, 1985
 序文/現実の粒子/ショット=タブロー/とまどうレンズ/切断された反映/デカドラージュ/メタモルフォーゼ/残滓(カール・テホ・ドライヤー『ゲアトルード』)/消失(アントニオーニについて)/
 来るべき映画のために - 訳者による解題など、
176ページ。


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