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 近代など(20世紀~) Ⅱ
近代など Ⅲ(20世紀~)
哲学系、神秘学系のものなど
ix 英米から
ジェイムズ(1842-1910)、ホワイトヘッド(1861-1947)とプロセス神学イェイツ(1865-1939)、クロウリー(1875-1947)、J.W.ダン(1875-1949
x フランスから
ベルクソン(1859-1941)、テイヤール・ド・シャルダン(1881-1955)、ゲノン(1886-1951)、メイヤスー(1967-
xi ドイツから:シュタイナー(1861-1925)の人智学など
xii ロシアから
グルジェフ(1866-1949)、ベルジャーエフ(1874-1948)、ウスペンスキー(1878-1948)、ケドロフ(1942- 
xiii 現象学とその系譜、他
ハイデッガー(1889-1976)、フィンク(1905-1975)、メルロ=ポンティ(1908-1961
xiv 可能世界論など
xv 時間論、その他
xvi 20世紀神秘学の歴史など
    おまけ 

Ⅲ 哲学系、神秘学系のものなど

ix. 英米から

 ウィリアム・ジェイムズ(1842-1910);

 ジェイムズに興味を持ったのは、

フランソワ・グレゴワール、『死後の世界』、1958、pp.110-112

 を読んでからだったかと思います。

 友人だったパース(1839-1914)を「ロマン主義、近代など(18世紀末~19世紀)」のページに振り(→こちら)、ジェイムズが20世紀のページというのは、対象となる著作の刊行年によって分けたのですが、当然、併せてとらえるべきところでしょう。さらに、ポー(→そちら)やホワイトヘッド(→あちら)なども加えて、近代の英語圏における思弁的宇宙論の系譜をまとめたものが見たいものです。


伊藤邦武、『ジェイムズの多元的宇宙論』、岩波書店、2009
プロローグ//
科学から宗教へ 序章 理性と境を接するもの//
  『心理学原理』からの出発;心の「科学」/その成果 科学と形而上学の区別、心的状態の本質と内観という方法、意識の流れ/その内的分裂//
  多重人格と心霊研究;宗教的経験の心理学と哲学/心霊研究/多重人格//
そして多元的宇宙のヴィジョンへ 序章 神秘-理性と野生の音楽としての-//
  純粋経験の世界;根本的経験論 根本的経験論の要請、純粋経験の存在論的性格、認識にかんする機能主義、多元的な精神の世界のほうへ/西田幾多郎の不満/人格という小宇宙//
  多元的宇宙;フェヒナーの宇宙像/意識の複合/有限な神とともに//
エピローグなど、
284ページ。

  第Ⅱ部第2章1「フェヒナーの宇宙像」は、下掲のジェイムズ『多元的宇宙』第4講ともども→「ロマン主義、近代など(18世紀末~19世紀)」の頁の「フェヒナー」の項にも挙げておきます。
 同じ著者による→こちら(「通史、事典など」の頁の「viii. 自然哲学系など」)や、あちら(「ロマン主義、近代など(18世紀末~19世紀)」の頁の「パース」の項)を参照


W.ジェイムズ、伊藤邦武編訳、『純粋経験の哲学』(岩波文庫 青 640-6)、岩波書店、2004
「意識」は存在するのか/純粋経験の世界/活動性の経験/ふたつの精神はいかにしてひとつの物を認識しうるのか/純粋経験の世界における感情的事実の位置/変化しつつある実在という考えについて/経験の連続性/多元的宇宙//
解説など、
288ページ。

 「1904年から1905年の形而上学的論文の主要なものと、『多元的宇宙』での主要な議論が窺われる部分とを合わせて1書とすることで、ひとつの世界観としてのジェイムズの体系を提示してみようとしたのである」
とのこと(p.262)。
 下掲の猪口純「万物の紐帯」(2014)ともども→こちらでも少し触れています:「世界の複数性など」の頁の「追記


 上の文庫での第6~8章を含む『多元的宇宙』の全訳が;

ウィリアム・ジェイムズ、吉田夏彦訳、『多元的宇宙 W・ジェイムズ著作集 6』、日本教文社、1961(デジタル・オンデマンド版、デジタル・オンデマンド出版センター、2014)
原著は William James, A Pliralistic Universe : Hibbert Lectures on the Current Situation in Philosophy, 1909
いろいろなタイプの哲学的な考え方/一元論的観念論/ヘーゲルとその方法/フェヒナーについて/意識の複合/主知主義に対するベルグソンの批判/経験の連続性/結論//
付録〈C〉 変化するものとしての現実の概念について//
訳者あとがき//
ウィリアム・ジェイムズのノート 4;漱石・ジェイムズ・実存主義者(比屋根安定)/硬い心と軟い心(広瀬京一郎)など、
296ページ。


 「第4講 フェヒナーについて」は、上掲の伊藤邦武『ジェイムズの多元的宇宙論』第Ⅱ部第2章1 ともども→「ロマン主義、近代など(18世紀末~19世紀)」の頁の「フェヒナー」の項にも挙げておきます。
 そこからも繋ぎましたが、ブラックウッドの『ケンタウロス』1911)では、ジェイムズの第4講がさかんに参照されます。
 フェヒナーの項で挙げたフェヒナー『フェヒナー博士の死後の世界は実在します』(邦訳の原著である英訳;1904)にジェイムズは「解説」を寄せています(pp.148-157)。
 また下掲の猪口純「万物の紐帯」(2014)ともども→こちらでも少し触れています:「世界の複数性など」の頁の「追記


W.ジェイムズ、枡田啓三郎訳、『宗教的経験の諸相』(上下)(岩波文庫 青 640-2/3)、岩波書店、1969/1970
原著は William James, The Varieties of Religious Experience, 1901-1902
上;宗教と神経学/主題の範囲/見えない者の実在/健全な心の宗教/病める魂/分裂した自己とその統合の過程/回心/回心-結びなど、398ページ。
下;聖徳/聖徳の価値/神秘主義/哲学/その他の特徴/結論/後記など、
442ページ。


 →こちらにも挙げておきます:「魔術、神秘学、隠秘学など」の頁

堀雅彦、「心霊研究の彼方に - W.ジェイムズが見た宇宙 -」、鶴岡賀雄・深澤英隆編、『スピリチュアリティの宗教史[上巻] 宗教史学論叢 15』、リトン、2010、pp.201-228
序論//時系列的概観;参入(第1期)/論争(第2期)/統合(第3期)//
パイパー現象の考察;評価の理由/現象の背後への考察//
心霊研究が示唆するもの;科学的なるものの再考/「宗教の科学」との連関/フェヒナー的世界への接近//
まとめ、および現代のスピリチュアリティ論との関連


猪口純、「万物の紐帯 - ウィリアム・ジェイムズの多元的宇宙と〈統一力〉について ー」、『境界を越えて : 比較文明学の現在』、no.14、2014.2、pp.25-39 [ < 立教大学学術リポジトリ(立教Roots) ]

 上掲『多元的宇宙』および『純粋経験の哲学』からの各一節ともども→こちらでも少し触れています:「世界の複数性など」の頁の「追記

猪口純、「もの思う宇宙への道標 - W・ジェイムズの心的な宇宙観とその理論的背景 -」、『境界を越えて : 比較文明学の現在』、no.15、2015.2、pp.51-80 [ < 同上 ]

猪口純、『「多元的宇宙」の再構成――ウィリアム・ジェイムズの心的な宇宙論とその理論的背景及び射程についての考察』、学位論文、2016-09-19 [ < 同上 ]

清水高志、「鍵束と宇宙 W・ジェイムズのオントロジー」、『現代思想』、vol.43-11、2015.7:「特集 いまなぜプラグマティズムか」、pp.80-93
連接と離接の経験/パース、ジェイムズ、デューイ/一つの対象(オブジェクト)、複数の精神/私有化(横取り)と回顧、前-対象/鍵束と宇宙
…………………

 アルフレッド・ノース・ホワイトヘッド(1861-1947)とプロセス神学など;

A.N.ホワイトヘッド、山本誠作訳、『過程と実在』、松籟社、1979
原著は Alfred North Whitehead, Process and Reality. An Essay in Cosmology, 1929
ホワイトヘッドの哲学(ジョン・デューイ)//
序文//
思弁的構図;思弁哲学/範疇の構図/いくつかの派生的観念//
議論と応用;事実と形式/延長的連続体/自然の秩序/有機体と環境/ロックとヒューム/デカルトからカントへ/主観主義者の原理/象徴的関連づけ/命題/過程//
抱握論;感じの理論/原初的感じ/感じの伝達/命題と感じ/経験のより高次の諸相//
延長の理論;同位的区分/延長的結合/平坦な場所/ひずみ/測定//
最終的解釈;理念的に対立するもの/神と世界など、
504ページ。


 20世紀の思弁的宇宙論といえば(神秘学系のものは別にして)フィンクとホワイトヘッドということになるかと思われますが、これは歯が立たなかった。というわけで解説書を;

中村昇、『ホワイトヘッドの哲学』(講談社選書メチエ 390)、講談社、2007
入門以前-ホワイトヘッド哲学の見取り図;ホワイトヘッドの世紀/出会い/なぜかくも難解なのか/哲学は詩である/「こと」と「もの」/ひとつの出来事とはなにか/電磁気的な時代/相対論と量子論/生きいきとした自然/具体的なもの//
入門篇-ホワイトヘッド哲学そのもの;唯一無二のそれ
(actual entity)/〈わたし〉ということ/非連続の連続/かかわり方(prehension)/知るための手がかり(eternal object)/フィーリングの海/物質と記憶/象徴によるつながり(symbolic reference)/自己超越体(superject)/一元、二元、多元/神と世界//
応用篇-エポック的時間とはなにか;エポックとはなにか/純粋持続/刹那滅/エポック的時間など、
180ページ。


 →こちらで触れました:「近代など(20世紀~)」の頁のカルロ・ロヴェッリ、冨永星訳、『時間は存在しない』(2019)のところ
 本人の著書の邦訳にもどると;

上田泰治・村上至孝訳、『科学と近代世界 ホワイトヘッド著作集 第6巻』、松籟社、1981
原著は Alfred North Whitehead, Science and the Modern World, 1925
序/近代化学の起源/思想史における一要素としての数学/天才の世紀/18世紀/ロマン主義的反動/19世紀/相対性/量子論/科学と哲学/抽象/神/宗教と科学/社会進歩の要件//
付録 T.S.エリオット『詩と宣伝』(大浦幸男訳)など、
352ページ。


 邦訳は1954年刊本の加筆訂正版。
 なお本書(2月15日発行)は古本で求めたのですが、月報が2種はさんでありました;
『プロセス A.N.ホワイトヘッド著作集 月報』、第2号、1981.2.15
  野田又夫、「『科学と近代世界』再読」、6ページ。
『プロセス A.N.ホワイトヘッド著作集 月報』、第3号、1981.6.15
  佐藤全弘、「哲学者は神を知りうるか」、4ページ。


ホワイトヘッド、薗田義道・齋藤繁雄訳、『宗教の形成 宗教思想選書 8』、理想社、1967
原著は Alfred North Whitehead, Religion in the Making, 1926
序文//
歴史上の宗教;宗教の定義/宗教の出現/儀式と感情/信仰/合理主義/人間の上昇/最終的対照//
宗教と教義;歴史における宗教的意識/宗教体験の記述/神/神の探求//
肉体と精神;宗教と形而上学/宗教の形而上学にたいする貢献/形而上学的記述/神と道徳的秩序/価値と神の目的/身体と心/創造的過程//
真理と批判;教義の発展/経験と表現/三つの伝統/神の本性/結論など、
168ページ。


山本誠作・菱木政晴訳、『観念の冒険 ホワイトヘッド著作集 第12巻』、松籟社、1982
原著は Alfred North Whitehead, Adventures of Ideas, 1933
序文//
社会的;序説/人間の魂/人道主義の理想/自由の様相/力から説得へ/予見/エピローグ//
宇宙論的;自然の法則/宇宙論/科学と哲学/新宗教改革//
哲学的;客体と主体/過去、現在、未来/諸契機のグループ化/現象と実在/哲学的方法//
文明;真理/美/真理と美/冒険/平安//
付録 自由と女性公民権付与など、
482ページ。


 「訳者あとがき」に
「パルマンティエによると、『科学と近代世界』がわれわれに形而上学への最初の大きな通路を与えている。そこでホワイトヘッドは科学を通して形而上学への道を辿っている。第二の通路は『宗教の形成』において与えられる。ここでは、ホワイトヘッドは宗教経験を通して形而上学に到達する。最後に、科学と宗教との綜合としての宇宙論的体系が、1929年に出版された『過程と実在』において解明されている。次いで、その数年後に上梓された『観念の冒険』において、ホワイトヘッドは今度はこの思弁哲学を人間経験の諸領域に適用するに至るわけである(
Alix Parmentier, La Philosophie de Whitehead et le probleme de Dieu, p.1)」
 とありました(p.451)。

 なお本文中で何度か、プラトーンの〈
受容者(リセプタクル)〉(=〈場所(コーラ)〉)が取りあげられていたのが気になるところであります(p.166、p.183、pp.204-205、pp.257-258)。

田中孝雄、「ホワイトヘッドの〈アクチュアル・オケージョン〉と道元の〈有時〉」、『大阪府立大学紀要(人文・社会科学)』、12号、1964.3.30、pp.33-49 [ < 大阪府立大学 学術情報リポジトリ OPERA

 道元に関し→こちらにも挙げておきます:「仏教 Ⅱ」の頁の「〈華開世界起〉」の項

杉村暢一、「ホワイトヘッドにおける神と世界」、『高知大学学術研究報告 人文科学』、vol.19 no.1、1971.3、pp.1-14 [ < 高知大学学術情報リポジトリ

杉山聖一郎、「現代宇宙論とホワイトヘッドの形而上学」、『思想』、no.802、1991.4、pp.30-44
現代宇宙論の展開と時空の問題の素描/宇宙時の存在と宇宙の生成論的特性/一般相対性理論の存在論的基盤 - アインシュタインからホワイトヘッドの存在論へ -/ホワイトヘッドの時空の形而上学と現代宇宙論

 「現代宇宙論のなかの多世界宇宙論」について、
「このモデルでは、相互に異なる宇宙は、実現された可能性というヒルベルト空間の内に存在している」(pp.40-41)
 と記されていたのが、よくわからないながら、印象に残っています。

 →こちらも参照:「近代など(20世紀~)」の頁のコリン・ブルース、和田純夫訳、『量子力学の解釈問題 実験が示唆する「多世界」の実在』(2008)
 〈ヒルベルト空間〉については
新井朝雄、『ヒルベルト空間と量子力学 共立講座 21世紀の数学 16』、1997
 を「近代など(20世紀~) Ⅱ」の頁(→そちら:「viii. 無限、その他」)で挙げましたが、当方の頭の回路では残念ながらついていけませんでした。

間瀬啓允、「ホワイトヘッドにおける神論の形成過程」、『哲學』、no.82、1986.5、pp.1-24 [ < KOARA 慶應義塾大学学術情報リポジトリ

ヴォルフハルト・パネンベルク、『形而上学と神の思想』、1990、pp.137-158+注:「付論 原子、持続、形態 - 過程の哲学に伴う問題点」

チャールズ・ハーツホーン、クレイトン・ピーデン、京谷憲治訳、『コスモロジーの哲学 - ホワイトヘッドの視座-』(ヴェリエ叢書 6)、文化書房博文社、1998
原著は Charles Hartshorne & Creighton Peden, Whitehead's View of Reality, 1981
ホワイトヘッドと歴史的背景(チャールズ・ハーツホーン);基本的カテゴリー/ホワイトヘッドの哲学的神学/ホワイトヘッドの有神論における未解決の問題//
ホワイトヘッドの哲学 - 解説 -(クレイトン・ピーデン);序論/基本用語/ホワイトヘッドの方法の基本的原理/ホワイトヘッドの方法の構造/方法という観点から見た形而上学的構図/評価/神についての理論/宗教観/評価と比較など、210ページ。


遠藤弘編、『プロセス思想研究 ホワイトヘッド・プロセス思想の現代的意義』、南窓社、1999
ホワイトヘッド形而上学における意識の場と主体(遠藤弘)/「過程」と「場の開け」の問題 - ホワイトヘッドと実存哲学を介して -(花岡永子)/コスモロジーの可能性(平田一郎)/物と言葉-ホワイトヘッドとメルロ=ポンティ-(本郷均)/ホワイトヘッドとベルクソンにおける限定の原理 - 「開削」概念を中心として -(安藤恵祟)/ホワイトヘッドの視点からの西田哲学の解釈の試み(山本誠作)/ホワイトヘッドとアメリカ・プロセス神学 - 東洋的視点よりの批判的理解と提言 -(延原時行)/バルト神学とホワイトヘッド哲学についての結論的考察(大島末男)/ホワイトヘッド哲学と仏教思想(武田龍精)/ホワイトヘッドの思想と現代的課題 - 環境倫理学 -(間瀬啓允)/ホワイトヘッドと公正な社会の理念(藤川吉美)/システム論の哲学的基礎 - 有機体の哲学から組織倫理学へ -(村田晴夫)/有機体哲学における美的価値と共通善(酒井ツギ子)/ホワイトヘッドと隠喩(永見勇)/ホワイトヘッドにおける「自然の回復」と現代舞踊(塚本明子)/量子論の世界 - プロセス哲学からの考察 -(田中裕)など、
272ページ。


進本眞文、「A.Nホワイトヘッドにおけるコスモロジーの成立過程 - 永遠的客体と価値 -」、『九州共立大学経済学部紀要』、no.80、2000.3.25、pp.1-15 [ < CiNii Articles

延原時行、『ホワイトヘッドと西田哲学の〈あいだ〉 仏教的キリスト教哲学の構想』、法蔵館、2001
プロローグ 仏教的キリスト教哲学の形成要素;序/世界の永遠性 - コスモロジーの問題 -/モノサイキズム - 自覚の問題 -/ラショナリズム - 神哲学の根本問題に向けて -/結語//
神哲学の根本問題 滝沢哲学とプロセス哲学;序 問題の所在/滝沢克己と西田哲学/ホワイトヘッド哲学における解法/「倶現」(
concrescence)の可能根拠としての時間性 フォード「未来の神的活動」論、フランケンベリー「過去の力」論/結語//
  ホワイトヘッドとアメリカ・プロセス神学;序/「神我らと共に在す」の東洋的意識 - 滝沢克己と鈴木大拙 -/プロセス神学のための公案/結語 - プロセス神学への提言 -//
コスモロジーのひらけ 純粋経験/自覚より神の場所論的証明へ;序/西田哲学の場合 段階A - 西田の純粋経験の哲学、段階B - 自覚、段階C - 場所/ホワイトヘッド哲学の場合 フランケンベリーの宗教的真理証言の経験的規範による正当化の立場、創造の可能根拠、ホワイトヘッド哲学における場所論/結語 神の存在の場所論的証明の成立//
  世界概念の機能について;序/西田 「世界」概念の場所論的機能、「世界」概念の個人史的機能/ホワイトヘッド 「世界宗教的」概念のアポセオシスティックな機能、「世界」概念の個人的知覚/帰結-文明と宗教- 文明、宗教//
自覚の動態 原理の現実への変換はいかにして可能か;問題/アンセルムス/ナーガールジュナ/ホワイトヘッド/付論 文明の中枢問題と神の共在 文明の中枢問題、ホワイトヘッドの解法、ニヒリズムを救うもの//
  フランケンベリーのプロセス仏教論とイエスの譬話;序/ナンシー・フランケンベリーのプロセス仏教論 規範-事実とは何か?、宗教的意識ないし自覚の成立根拠-因果的効能=縁起、自覚/イエスの譬話 新しい解釈学、イエスの譬話のアナロジカルな有意義性/結語//
エピローグ 私の仏教的キリスト教哲学の方法と哲学的コンヴァージョン//
付論 21世紀の宇宙論的キリスト教など、
276ページ。


郷義孝、「宗教的実在 - プロセス神学の神という実在 -」、『テオロギア・ディアコニア』、no.35、2002.3.1、pp.41-73 [ < CiNii Articles

本多峰子、「プロセス神学の神義論」、『国際政経』、no.12、2006.11、pp.41-83 [ < CiNii Articles

ハンス・ヨーナス、細見和之・吉本陵訳、『生命の哲学 有機体と自由』(叢書・ウニベルシタス 903)、法政大学出版局、2008、pp.181-184:第5章補遺2「ホワイトヘッドの有機体の哲学に対する注釈」

村田康常、「ホワイトヘッド宇宙論における神概念の位置づけ」、『研究紀要』、no.31、名古屋柳城短期大学、2009.12.20、pp.129-143 [ < CiNii Articles

森元斎、「実在を巡って シャヴィロとハーマン、そしてホワイトヘッドへの批判」、『現代思想』、vol.43-10、2015.6:「特集 新しい唯物論」、pp.161-171
はじめに/ハーマンのホワイトヘッド/シャヴィロ、ハーマンへの応答/ハーマンへの応答/ホワイトヘッドへの応答/さいごに

 →こちらにも挙げておきます:「近代など(20世紀~) Ⅳ」の頁の「xix. ラヴクラフトとクトゥルー神話など」中の「作品論など」の項
 副題に挙がっているシャヴィロについては次の著書、またそこでも取りあげられている〈思弁的実在論〉に関しては、上の行のリンク先とともに、本頁「x. フランスから」中の「メイヤスー」の項や、やはり本頁「xiii. 現象学とその系譜、他」中の「ハイデッガー」の項で挙げたハーマン『四方対象 オブジェクト指向存在論入門』(2017)なども参照


スティーヴン・シャヴィロ、上野俊哉訳、『モノたちの宇宙 思弁的実在論とは何か』、河出書房新社、2016
原著は Steven Shaviro, The Universe of Things : On a Speculative Realisum, 2014
序章 ホワイトヘッドと思弁的実在論/自己享受と関心/活火山/モノたちの宇宙/汎心論と/あるいは消去主義/汎心論がもたらす諸帰結/非相関主義的思考/アイステーシス//
訳者解説 - なぜホワイトヘッドか?、など、
256ページ。


「本書はアルフレッド・ノース・ホワイトヘッド(1861~1947)の哲学を新たに見なおす試みだ。近年の大陸系の哲学における『思弁的実在論』や(こちらの言い方はそれほど広まっていないけれど)『新しい唯物論』といった呼称でくくられる展開の光に照らしてホワイトヘッドの哲学を見てみたい」(p.5)

とのこと。
 なお第5章「汎心論がもたらす諸帰結」で、ホワイトヘッドにおける「人間でないものの心や非人間的価値という問題」(p.134)について論じる中で、

「結局、どれほどぼくらがそれを嫌い、また(文字どおり)脅かされていると感じるにしても、クトゥルフさえそれじたいの価値をもっている。同じことは、ハマダラカや(最近根絶された)天然痘ウィルスについても言える」(p.133)

というくだりがありました。なぜここでクトゥルフの名が挙げられるのでしょうか?
 「訳者解説 - なぜホワイトヘッドか?」で知ったのが、「近代など(20世紀~) Ⅵ」の頁の「xxiii. 日本の漫画、アニメーションその他」に挙げた、
 石川雅之、『惑わない星』(2016~ )

…………………

 以下、いささか溯ったものも含みますが;

セルジュ・ユタン、野沢協訳、『英米哲学入門』(文庫クセジュ 262)、白水社、1959
原著は Serge Hutin, La philosophie anglaise et américaine, 1958
イギリス哲学;起源/近代哲学の形成/経験の勝利/ロマン主義からヴィクトリア朝時代へ/現代哲学 新実在論、イギリスのプラグマチズム-起源、論理実証主義。その他の流れ//
アメリカ哲学;アメリカ・イデオロギーの形成/《超越論》から観念論へ/プラグマチズム/現代実在論/今日のアメリカにおける哲学活動//
結びなど、
168ページ。


 同じ著者による→こちらを参照:「グノーシス諸派など Ⅱ」の頁の「v. ナグ・ハマディ写本の発見以降など
 「訳者まえがき」に
「一般に哲学としての市民権をもたない神秘学、心霊学等の記述にかなりのスペースがさかれていることは一読して気がつく点であるが、その他の叙述の中でも概して神秘的、非合理主義的な思想により多く力点がおかれており、個々の哲学者もそうしたものとの関連から把握されている例が少なくない」
 と記されており(p.4)、いささか当惑気味なのが伝わってきます。

植田淸次、『アングロサクスン哲學の傳統 - その觀念論的傾向の線に添うて -』(近代文庫)、東京堂出版、1947
序説/哲學的經驗論/ケムブリヂ・プラトン學派の登場/ケムブリヂ・プラトン學派の特性/カドワースの知識論/オクスフォード・プラトン主義者/トマス・カーライルの哲學/ブラッドリにおける現象と實在/ニュー・イングランドの超越主義/アメリカ科學精神の基調/アメリカ理想主義哲學の形成/ホワイトヘッドの自然哲學/附篇 アメリカ哲學に於ける自我の構造など、
254ページ。


帆足理一郎、『アメリカの宗敎思想』、野口書店、1947
緒論-アメリカ宗敎思想の變遷と現代思想家の類別//
超自然主義の傳統に屬するもの;傳統的超自然主義者/新超自然主義者//
理想主義の傳統に屬するもの;絶對主義者 ロイス、ホッキング/現代的神祕論者 ジョンズ、ベネット/人格主義者 バウン、ブライトマン//
浪漫派の傳統に屬するもの;倫理的直覺主義の哲學者 マッキントッシュ、ライマン/倫理的直覺主義の神學者 ブラウン、ホオトン/歡美的自然主義者 サンタヤナ、ランソム、ブラウネル、アレキサンダァ//
自然主義の傳統に屬するもの;進化論的有神論者 ボウディン、モンタギウ、カルウン、ライト/宇宙的有神論者 ホワイトヘッド、ノオスロップ、ノウブル、オヴァースツリイト/宗敎的人道主義者 主觀主義的宗敎論 マアチン、宗敎的人道主義 オットウ、セラアス、ヘイドン、リップマン//
經驗的有神論者;人道主義的有神論 エイムス、デュウイー、マシウス/神祕的自然主義 スミス、メランド/自然主義的有神論 ヴィーマンなど、
192ページ。


 次は昔たまたま古本屋で見かけ、おそらくタイトルの「宇宙觀」に引かれて買ったのでしょう;

ボルデン・バウン、今泉眞幸+シドニー・ギュリック共譯、『人格的宇宙觀』、敎文舘、1912
原著は Borden Parker Bowne, Personalism, 1907
序文(シドニー・ギュリック)//
常識と科學と哲學;序論/諸學者共通の立場及び出發點/高調すべき要點/人格論の第一歩//
認識問題;認識問題の槪觀/認識論の出發點/主体(即ち心)の性質に由て生起し又は制約せらるヽ知識/客体の性質に由て生起し又は制約せらるヽ智識/カントの認識論に對する批評/カントの認識論中の眞理/四種の範疇の起原及び意義/説明とは何であるか/回顧及び結論//
物質界は現象的である;槪説/客觀的對象物(外物)は現象的である/時空の現象たることを論ず/時空てふ範疇の對象物に就いて/種々の補足的考察//
機械的原因か將た意志的原因か;大體に就いて/因果てふ觀念の困難/科學的意義の因果/力的因果/器械的因果/有意的因果觀/自由意志の問題/本章の結論//
無人格的宇宙觀の失敗;序言 二種の無人格的宇宙觀/科學的自然説に就いて/哲學的自然説に就いて/唯心論的無人格説に就いて/人格的宇宙觀に對する批難に就いて/本章の結論//
人格の世界;人格の世界は眼に見えぬ世界である/空間的世界の眞相/一と多との關係問題/宗敎の中に含有する重要の眞理/宗敎に對する近代の態度/眞正の宗敎が要求する神觀/本書大体の回顧及び補足//
附録など、
422ページ。


 前掲セルジュ・ユタン、『英米哲学入門』、1959、pp.113-114 に「ボーデン・パーカー・バウン(1847-1910)」として、帆足理一郎、『アメリカの宗敎思想』、1947、pp.40-52:「第3章第3節 人格主義者」に「バウン」として解説されていました。
…………………

 ウィリアム・バトラー・イェイツ(1865-1939)(→こちらも参照:「北欧、ケルト、スラヴなど」の頁の「ii. ケルトなど」)

W.B.イェイツ、鈴木弘訳、『ヴィジョン』、北星堂書店、1978
原著は William Butler Yeats, A Vision, 1925/1937/1956/1962
序(尾島庄太郎)//
エズラ・パウンドに宛てた文集;ラパルロ/『ヴィジョン』の序文/エズラ・パウンドに//
マイケル・ロバーツとその友人たちの物語-弟子たちによる記録からの抜萃-//
月の諸相//
第1篇 大車輪;主要な象徴/車輪の検討/28の示現//
第2篇 完成された象徴//第3篇 審判を受ける魂//第4篇 古代人の大周年//第5篇 鳩か白鳥か//
万霊祭の夜//
解題など、
428ページ。


W.B.イェイツ、井村君江・大久保直幹訳、『神秘の薔薇 世界幻想文学大系 24』、国書刊行会、1980
原著は William Butler Yeats, The Celtic Twilight, 1893 / The Secret Rose, 1897, Rosa Alchemica, the Tablet of the Law, and the Adoration of the Magi, 1897 / Per Amica Silentia Lunae, 1917
ケルトの薄明(抄)/神秘の薔薇/錬金術の薔薇、掟の銘板、三博士の礼拝/月の沈黙を友として、など、
360ページ。


出淵博、「消えた梯子 イェイツ覚書Ⅰ」、『ユリイカ』、vol.6-9、1974.7.20:「総特集 オカルティズム」、pp.66-81

出淵博、「『螺旋』と『渦巻』(イェイツ・ノート 2) - ネルヴァルとイェイツ一斑」、『カイエ』、vol.2 no.2、1979.2:「特集・ネルヴァル 幻視者の系譜」、pp.190-196

H.R.バッカン、高田康成訳、、「イェイツと、ブラヴァツキー夫人の神智学」、『地球ロマン』、復刊4号、1977.3:「総特集 秘教外伝」、pp.46-77

 原著不詳。
Harbans Rai Bachchan, W.B.Yeats and Occultism. : A Study of His Works in Relation to Indian Lore, the Cabbala, Swedenborg, Boehme and Theosophy, Motilal Barnarsidass, Delhi, 1965

 に関連ありか?
…………………

 アレイスター・クロウリー(1875-1947)、他;

アレイスター・クロウリー、島弘之・植松靖夫訳、『法の書』、国書刊行会、1983
原著は Aleister Crowley, Liber AL vel Legis (The Book of the Law), 1904/1925
法の書(第220の書)//
クロウリー写真資料館//
『法の書』解題(クロウリー);『クハブス・アム・ペクト』(第300の書)/『法の書』解題(第150の書)/『NVの書』(第11の書)/『HADの書』(第555の書)//
『法の書』とは何か?(亀井勝行)/アレイスター・クロウリーの生涯(江口之隆)など、
296ページ。


アレイスター・クロウリー、島弘之・植松靖夫・江口之隆訳、『魔術 理論と実践』、国書刊行会、1983/1997
原著は Aleister Crowley, Magick in Theory and Practice, Part 3 of Magick, Liber ABA, Book 4, 1912-13
第1部;序/魔術的宇宙論/〈儀礼〉の原理/〈元素的武器〉の術式/〈テトラグラマトン〉の術式/〈アルヒム〉の術式と〈アリム〉の術式/《I・A・O》の術式/〈初参入者〉の術式/〈聖杯〉、〈アブラカダブラ〉、そしてその他の(・・・・・・・)言葉(・・)〉の術式、また〈魔術的記憶〉/〈均衡〉について、また〈神殿〉の〈調度〉と〈作業〉の〈道具〉との準備の一般的・個別的方法について/〈沈黙〉と〈秘密性〉について:また〈召喚〉の〈野蛮な名〉について/〈所作〉について/〈聖母ベイバロン〉について、また〈聖母〉がお乗りになる〈野獣〉について、同時に〈変容〉に関して/〈血の供犠〉について:そして〈同族物質〉/〈祓い〉について:また〈浄化〉について/〈聖別〉について:〈魔術の環〉の性質と養育に関する記述を付す/(第1部(・・・))〈誓言〉について/(第2部(・・・))霊に対する訓令について、また、時として必要な拘束と呪いに関する記述を付す/〈召喚〉について/退去の許可について/〈透視能力〉について、また〈光体〉の力と発達について、同時に〈占い〉に関して/〈劇的儀礼〉について/〈聖餐式〉について、また〈錬金術〉の〈(わざ)〉について/〈黒魔術〉について、〈魔術〉の〈業〉の諸操作の主要型について、また〈スフィンクス〉の力について//
附録(第2部);Ⅰ A∴A∴のカリキュラム/Ⅱ 視界の一星座/Ⅲ/Ⅳ サメクの書、要点Ⅰ、要点Ⅱ、要点Ⅲ/Ⅵ 主要儀式群、スター・ルビー、スター・サファイア、不死鳥のミサ、ヴェル・レグリ、O・T・O/Ⅶ HHHの書、Eもしくは修行者の書、Oの書、もしくは手と矢の書、アスタルテの書、RVの書、イォドの書、ブドゥシスの書、もしくはジスハルブの書、Bの書、もしくは魔術師の書、レシュ、もしくは太陽の書、第3の書、もしくは掟の書、ヘースの書、もしくは樅の防柵の書、アアシの書、もしくは磨羯宮の精の書、Aの書、もしくはアルモラムの書//
解説(江口之隆)など、
580ページ。


アレイスター・クロウリー、榊原宗秀訳、『トートの書』、国書刊行会、1991/2004
原著はThe Book of Thoth, The Works of Aleister Crowley selected and introduced by Francis King, 1984
扉の日付は1944年(p.25)
序文 『トートの書』の推薦文(フランシス・キング);
タロットの理論/アテュ/コート・カード/スモール・カード//
召喚儀式/アテュ=記憶法/補遺A タロットの作用・占いの技法/補遺B 万物照応など、
296ページ。


ケネス・グラント、植松靖夫訳、『魔術の復活 世界魔法大全 5』、国書刊行会、1983
原著は Kenneth Grant, The Magical Revival, 1972
フェニックスの帰還/性魔術の形而上学的基盤/暗黒の王朝/力の中心/麻薬と隠秘学/召喚の野蛮な名/星火/血、吸血行為、そして月の魔術/迷える神々/ダイアン・フォーチュン/オースティン・オスマン・スペアとゾス・キア崇拝/死の姿勢(ポーズ)と新たな性的能力/結論など、
280ページ。


 p.124、pp.129-130 にラヴクラフトとクロウリーを比較した表が記されています。
 ラヴクラフトとクトゥルー神話について→こちらを参照:「近代など(20世紀~) Ⅳ」の頁の「xix. ラヴクラフトとクトゥルー神話

松井克弘、「超自然におけるラヴクラフト」(1984)、pp.198-200
 も参照

ケネス・グラント、植松靖夫訳、『アレイスター・クロウリーと甦る秘神 アレイスター・クロウリー著作集 別巻 3
』、国書刊行会、1987
原著は Kenneth Grant, Aleister Crowley & the Hidden God, 1973
10を越える1/緋色の女/火の蛇/〈天使〉と〈永劫(アイオン)〉/O・T・Oのタントラ的要素/性魔術による夢操作/魔宴の葡萄酒と悪魔の盃/月の力-名前・数・先祖返り/魔宴/〈ヌー=イシス〉と宇宙の彼方の光輝/超時間の生など、
294ページ。


 pp.48-51 でラヴクラフトが言及されています。

コリン・ウィルソン、中村保男訳、『現代の魔術師 - クローリー伝』、河出書房新社、1988
原著は Colin Wilson, Aleister Crowley. The Nature of the Beast, 1987
魔術に霊験はあるのか/不本意ながらのキリスト教徒/大騒動/神々に選ばれし者/達人と導師/魔術杖/欲するがままになせ/楽園喪失/エピローグなど、
276ページ。

 同じ著者による→こちらを参照:「魔術、神秘学、隠秘学など」の頁


 クロウリーの小説で文庫になったもの;

アレイスター・クロウリー、江口之隆訳、『ムーンチャイルド』(創元推理文庫 552-1)、東京創元社、1990
原著は Aleister Crowley, Moonchild, 1929

アレイスター・クロウリー、江口之隆訳、『魔術師の娘』(創元推理文庫 552-2)、東京創元社、1991
A∴A∴の機関誌『春秋分点』第1巻1号(1909)から9号に掲載された短編12篇
…………………

 ジョン・ウィリアム・ダン(1875-1949)

中村融編、『時の娘 ロマンティック時間SF傑作選』(創元SF文庫 SF ン-6-3)、東京創元社、2009

 の「編者あとがき」で、ロバート・ネイサンの『ジェニーの肖像』(1940)の背後にJはJ・W・ダンの時間理論があり、

「これは予知夢の研究を通して生まれたもので、非常に簡単にいえば、過去・現在・未来の事象は同時に起こるのだが、われわれの知覚が不完全なため、直線的に感じられるにすぎないという考え方だ。この理論は多くの作家に影響をあたえ、さまざまな時間SFの基礎となった。その好例が、バリントン・J・ベイリーの『時間衝突』(1973/創元SF文庫)である」

 と記されていました(pp.355-356)。
 ベイリーの件の本を引っぱりだせば、「著者覚え書き」(p.311)とともに、巻末解説「時間線がいっぱい」(大野万紀)でもジョン・W・ダンのことが説明されていました(pp.324-325)。この本は読んだのにすっかり忘れていたことはいうまでもありません。
 ダンの時間論について日本語で読める多少ともまとまったものとして、今のところ気がついたのは短くはあれ

ホルヘ・ルイス・ボルヘス、中村健二訳、『続審問』、2009、pp.33-39:「時間とJ・W・ダン」

 くらいでしょうか。またしても読んだはずでなのに、毫も思いださなかったことでした。ボルヘスが原註で

「『時間論のこころみ』21章のなかで、彼は他の時間と垂直に交錯する時間について述べている」(p.330)

 と、おそろしく印象的なことを言っているにもかかわらずです。やはりベイリーの『シティ5からの脱出』冒頭に収められた「宇宙の探求」が、ここで連想されずにいません。

 この他にダンの時間論に言及したもので検索に引っかかったのは、


コリン・ウィルソン、中村保男訳、『オカルト』下巻、1973、pp.287-288

 こちらも読んだはずで、あまつさえ頁の端を折ってありさえしたというのに、やはり寸毫も思いださなかったことはいうに及びますまい。
 ウィルソンはJ.B.プリーストリーについての議論の中で、プリーストリーに影響を与えたものとしてダンの時間論に触れているのですが(pp.285-290、また pp.306-307)、プリーストリーは他方、ジェイムズ・ホエイルが監督した『魔の家』(1932)の原作者でもあるのでした→こちらを参照:当該作品の頁の「Cf.」。プリーストリー、安藤貞雄訳、『夜の来訪者』(岩波文庫 赤 294-1、岩波書店、2007)の「解説」でもJ・W・ダンの名が挙げられます(p.165、p.168)

広岡実、「エリオットの時間の探求」、『桃山学院大学人文科学研究』、5巻1/2号、1968.5.20、pp.1-48 [ < 桃山学院大学学術機関リポジトリ(STARS) ]

 その内 p.4。書名の言及のみ

渡辺恒夫、「神聖少女都市ナルシッサからの帰還」、本田和子、他、『少女論』、青弓社、1988、pp.177-199
(手もとにあるのはプリント・オン・デマンド版)

 その内 pp.179-180


橋本恵、「Tom's Midnight Gardenにおける時間と空間」、『アカデミア. 文学・語学編』、98号、2015.6.30、pp.15-39 [ < 南山大学学術機関リポジトリ
Permalink : http://doi.org/10.15119/00000548

 その内 pp.19-20。

 性懲りもなくすっかり忘れていましたが→こちら(「ロマン主義、近代など(18世紀末~19世紀)」の頁の「H.G.ウェルズ」の項)でもJ.W.ダンの名が引用中に挙がっていました(ウェルズの「タイム・マシン」に関するコクセターの発言を引用したシュボーン・ロバーツからの一節)。

J.W.Dunne, An Experiment with Time, 1927 / 1934 (reprint)
『時間についてのある実験』
第3版への序(1934)/第2版についての覚書からの抜粋//
諸定義 1~5章/謎 6~7章/実験 8~14章/時間の持続と時間の流れ 15~19章/順次連なる(シアリアル)時間 20~26章/諸批判への返答//
第3版への附録;アーサー・エディントン卿によるある覚書/年齢の因子/新たな実験 主体A~F 諸結論など、
300ページ。
 

x. フランスから

 アンリ=ルイ・ベルクソン(1859-1941);

ベルクソン、中村文郎訳、『時間と自由』(岩波文庫 青 645-9)、岩波書店、2001
原著は Henri-Louis Begson, Essaai sur les données immédiates de la conscience, 1899
心理的諸状態の強さについて/意識の諸状態の多様性について - 持続の観念/意識の諸状態の有機的一体化について - 自由/結論など、
314ページ。


ベルクソン、真方敬道訳、『創造的進化』(岩波文庫 青 645-1)、岩波書店、1979
原著は Henri-Louis Begson, L'évolution créatrice, 1907
生命の進化について 機械性と目的性/生命進化の発散方向 麻痺、知性、本能/生命の意義について 自然の秩序と知性の形式/思考の映画仕掛と機械論の錯覚 諸体系の歴史を瞥見 生成の事象と偽進化論//
解説など、
460ページ。


ベルクソン、平山高次訳、『道徳と宗教の2源泉』(岩波文庫 青 645-7)、岩波書店、1953/1977
原著は Henri-Louis Begson, Les deux sources de la morale et de la religion, 1932
道徳的責務/静的宗教/動的宗教/結び - 機械学と神秘学など、
392ページ。


篠原資明、『ベルクソン - 〈あいだ〉の哲学の視点から』(岩波新書 1040)、岩波書店、2006
はじめに//
〈あいだ〉と生成-われわれはどこから来たのか;存在と無の〈あいだ〉/過去と現在の〈あいだ〉/異交通的生成//
進化と痕跡-われわれは何であるのか;生物学と実証的形而上学/分岐と痕跡/知性と横断/開いた動対応へ//
神秘系と機械系-われわれはどこへ行くのか;神仏への道/開いた社会と密厳浄土/マンダラと二重狂乱//
おわりに、など、
200ページ。

…………………

 時間のとらえ方にからんで、ベルクソン『創造的進化』第4章の「思考の映画仕掛と機械論の錯覚 諸体系の歴史を瞥見 生成の事象と偽進化論」を引きあいに出したことがありました
 →「時よ止まれ、おまえは美しいのか? 絵と映像のA感覚」、『液晶絵画』展図録、2008 [ < 三重県立美術館のサイト
 →こちら(「仏教」の頁の「ii. アビダルマの自然学、刹那滅論など」)や、そちら(「イスラーム」の頁の「ii. 思想史・哲学史的なものなど」)、またあちら(「バロックなど(17世紀)」の頁の「v. デカルトなど」)も参照。
 その際対照のために引きあいに出したのが;


G.バシュラール、掛下栄一郎訳、『瞬間と持続』、紀伊國屋書店、1969
原著は Gaston Bachelard, L'intuition de l'instant, 1932 および "Instant poétique et instant métaphysique", 1939
瞬間の直観;まえがき/瞬間/習慣の問題と非連続的時間/進歩の観念と非連続的時間の直観/結び//
詩的瞬間と形而上学的瞬間など、
156ページ。


橋爪恵子、「バシュラール詩学と時間論」、『美学』、no.229、2007.6.30、pp.1-14 [ < CiNii Articles

 バシュラールについて→こちらも参照:「通史、事典など」の頁の「vi. 四大その他
…………………

 以下、いささか溯ったものも含みますが;

淡野安太郎、『フランス哲學入門』、小石川書店、1949
緒言//總論 一般的特徴;フランス精神とドイツ精神/フランス哲學の特質//
各論 フランス哲學の諸流派 デカルト及びその流派;デカルト/機會原因論/マールブランシュ/アラン//
  パスカル及びその流派;パスカル/ブロンデル//
  メーヌ・ド・ビラン及びその流派;メーヌ・ド・ビラン/ベルグソン//
  批判主義;ルヌーヴィエ/ラシュリエ/メイエルソン/ブランシュヴィック//
  新實在論;ラヴェル/ル・センヌ/マリタン//
結語など、
218ページ。

…………………

 ピエール・テイヤール・ド・シャルダン(1881-1955);

美田稔訳、『現象としての人間 テイヤール・ド・シャルダン著作集 1』、みすず書房、1969
原著は Pierre Teilhard de Chardin, Le phénomène humain, 1955
序文(N.M.ウィルディールス)//
プロローグ 《見ること》//
生命が現われるまで;宇宙の素材/物質の内面/幼年期の地球//
生命;生命の出現/生命の膨張/デーメーテール//
思考力;思考力の発生/精神圏の展開/近代の地球//
高次の生命;人間集団の未来/集団を超えるもの-高次の人格/地球の最後//
むすび キリスト教という現象/要約 あとがき 現象としての人間の本質//
付録 進化する地球における悪の位置と役割に関する若干の覚え書など、
402ページ。


テイヤール・ド・シャルダン、三雲夏生訳、『宇宙のなかの神の場』、春秋社、1968
原著は Pierre Teilhard de Chardin, Le milieu divin, 1957
  副題は「内面的生についての試論」、執筆は1926-1927年
序論//能動面の神化;行為の聖化に関するキリスト教的問題/不完全な解決-単なる意図による聖化/真の解決-《イエズス・キリストにおける》世界の完成・行為による一致/人間的な努力のキリスト教的完成/行為を通じての超脱//
受動面の神化;人間の受動性の範囲、深さ、およびそのさまざまな形式/増大の受動性-神の2つの手/減少の受動性//
最初の2章への結論 キリスト教的修徳に関する若干の一般的考察;愛着と超脱/十字架の意味/物質の精神力//
神の場;神の場の属性/神の場の本性、普遍者キリストと偉大なる一致/神の場の成長//
エピローグ 再臨の待期など、
202ページ。


 →こちらでも触れています:本項下掲の「メイヤスー」の項
…………………

 ルネ・ゲノン(1886-1951);

ルネ・ゲノン、有田忠郎訳、「聖=心臓と聖杯伝説」、『地球ロマン』、復刊4号、1977.3:「総特集 秘教外伝」、pp.32-39

 次の訳者ノートによると、「1925年8-9月の『レグナービット』誌掲載」、「ルネ・ゲノン『聖なる学問の基礎的象徴』(ガリマール社、1962年)に含まれる一篇」とのこと(p.40)。

有田忠郎、「ルネ・ゲノン研究ノート - 解説にかえて -」、同上、pp.40-45

ルネ・ゲノン、田中義廣訳、『世界の王』、平河出版社、1987
原著は René Guénon, Le roi du monde, 1927
世界の王;西洋における「アガルタ」の概念/王位と教皇位/「シェキナー」と「メタトロン」/3つの至高の役割/聖杯の象徴学/メルキ・ツェデク/ルズあるいは不死の住処/カリ・ユガの間隠れる至高の中心/「オンファロス」と霊石/精神的中心の名称と象徴的表象/精神的中心の所在地/若干の結論//
インドの使命 ヨーロッパにおけるインドの使命、アジアにおけるヨーロッパの使命(サン=チーヴ・ダルヴェードル(1842-1909) 原著は
Saint-Yves d'Alveydre, Mission de l'Inde, 1910)//
訳者解説 『世界の王』とルネ・ゲノンの象徴学など、
256ページ。


ルネ・ゲノン、田中義廣訳、『世界の終末 現代世界の危機』(mind books)、平河出版社、1986
原著は René Guénon, La crise du monde moderne, 1927
暗い時代/東洋と西洋の対立/認識と行動/聖なる学と俗な学/個人主義/社会的カオス/物質的文明/西洋の侵略/若干の結論//
解説 ルネ・ゲノン-失われた伝統を求めて、など、
248ページ。


田中義廣、「アガルタと太初の伝統」、1986

 も参照


 「ユダヤ Ⅱ」のページ「xi. メルカヴァー/ヘーハロート神秘主義など」の項で挙げた Nocolas Sed, La mystique cosmologique juive, 1981のようなアカデミックな文献でもゲノンを参照していたのが印象に残っています。その「第1部ではルネ・ゲノンの著書を手引きとした」(p.8)という本が;

リュック・ブノワ、有田忠郎訳、『秘儀伝授 - エゾテリスムの世界 -』(文庫クセジュ 592)、白水社、1976
原著は Luc Benoist, L'ésotérisme, 1963/1975
序論//概観;公教と秘教/3つの世界/直観、理性、知性/伝統/象徴主義/儀礼、律動、身振り/秘儀伝授/中心と心臓/大密儀と小密儀/3つの道、カーストと職業/民話/中間的な世界/神秘主義と呪術/行為、愛、美/大いなる平安、心の祈り/場所と状態/特性を帯びた時間、循環期/至高の同一者、永遠の《化身》//
歴史的形態 東洋;ヒンズー教の伝統/仏教/中国の老荘思想/禅宗/ヘブライの伝統/イスラムの伝統//
  西洋;キリスト教の秘教/ギリシア正教の神秘的静寂派/神殿騎士団、愛の使徒団、薔薇十字団/ヘルメス学の宇宙論/同業組合、フリーメーソン/マイスター・エックハルトとニコラウス・クサヌス/神智学者たち/ロマン派の伝統重視/東方ルネサンス//
結論など、
152ページ。


 →こちらにも挙げておきます:「魔術、神秘学、隠秘学など」の頁
…………………

ルイ・ポーヴェル、ジャック・ベルジェ、伊東守男編訳、『神秘学大全 魔術師が未来の扉を開く』、サイマル出版会、1975
原著は Louis Pauwels, Jacques Bergier, Le matin des magicians, 1960
現代最大の怪物-訳者まえがき//
錬金術と古代文明;魔術師が扉を叩く/錬金術入門/古代文明を辿る//
ハーケン・クロイツの不思議;オカルティストとしてのヒトラー/宇宙永久氷説/悪魔的文明の敗退/ナチズムとオカルティズム//
新人類誕生の予感;「象徴」との交感/「目覚めの状態」のアンソロジー/ミュータント夢想など、
280ページ。

 「完訳すると2千数百枚の超大著となる。また重複するところもきわめて多く、相等に読みにくいものなので訳者の一存で相当自由にカットしてみた。だが著者の根本的主張はすべて残しておいた」
 とのこと(「訳者まえがき」、p.4)。

 本書については、松井克弘、「超自然におけるラヴクラフト」(1984)、pp.194-198、原田実「現代オカルティズムとラヴクラフト」(2002)も参照。

セルジュ・ユタン、津島恵訳、『地球の中のブラックホール』、大陸書房、1978
原著は Serge Hutin, Des mondes souterrains au roi du monde, 1976
地底世界に文明がある/地下に眠る莫大な秘宝/平行世界の落し穴/魔法による支配/アトランティスの遺産/世界の黒幕/アガルタ王国は実在した、など、
208ページ。

 原題は『地下世界から世界の王へ』となっており、上に挙げたルネ・ゲノンの『世界の王』に掛けたものと思われます。
 →こちらでも挙げました:「通史、事典など」の頁の「地球空洞説」の項
 同じ著者による→そちらを参照:「グノーシス諸派など Ⅱ」の頁の「v. ナグ・ハマディ写本の発見以降など

…………………

 メイヤスー(1967- );

クァンタン・メイヤスー、岡嶋隆佑訳、「亡霊のジレンマ 来るべき喪、来るべき神」、『現代思想』、vol.43-1、2015.1、「特集 現代思想の新展開2015 - 思弁的実在論と新しい唯物論」、pp.90-99
原著は Quentin Meillassoux, "Deuil à venir, dieu à venir", Critique, no.704-705, 2006.1

 あわせて、その前に掲載された千葉雅也、聞き手:岡嶋隆佑、「インタビュー 思弁的実在論と新しい唯物論」、同、pp.70-88、とりわけ pp.78-83 も参照
 なお同特集から→こちらも参照:「近代など(20世紀~) Ⅳ」の頁の「xix. ラヴクラフトとクトゥルー神話など」中の「作品論など
 その中に浅田彰が千葉雅也との会話でメイヤスーの神論をテイヤール・ド・シャルダンと類比したという話が出ています(p.80)。
浅田は批判すべく引きあいに出したわけですが、それはともかく、〈いまだなく、しかしいずれ来るであろう神〉というイメージについては、シャルダンだけでなく、ステープルドンの『スターメイカー』や小松左京の「神への長い道」も連想されるところです。ハンス・ヨナスの〈仮説的な神話〉とも比較できるでしょうか→こちらを参照:「グノーシス諸派など」の頁の「i. 『ヘルメス文書』邦訳刊行以前以後など」。
 またそうした神の存在を可能にするために、自然法則の変化可能性を導きだす点は、〈潜在性〉の問題(上掲インタビュー、pp.81-82→そちらも参照:「世界の複数性など」の頁)とともに、カバラーにおける〈シェミットート〉説と比較することができるかもしれません)(→あちら(「ユダヤ Ⅱ」の頁の「ix. ショーレムの著作とその周辺」)、ここ(「ユダヤ Ⅲ」の頁の「xii. カバラーなど」)、またそこ(「世界の複数性など」の頁を参照)。

 メイヤスーについてはまた;

クァンタン・メイヤスー、黒木萬代訳、「思弁的唯物論のラフスケッチ わたしたちは如何にして相関の外ヘ出られるか」、、『現代思想』、vol.43-10、2015.6、「特集 新しい唯物論」、pp.132-143
原著は Rick Dolphijn, Iris van der Tuin and Quentin Meillassoux, "Interview with Quentin Meillassoux", New Materialism : Interviews & Cartographies, 2012, pp.71-81

カンタン・メイヤスー、千葉雅也・大橋完太郎・星野太訳、『有限性の後で 偶然性の必然性についての試論』、人文書院、2016
原著は Quentin Meillassoux, Après la finitude. Essai sur la nécessité de la contingence, 2006
序文(アラン・バディウ)//
祖先以前性/形而上学、信仰主義、思弁/事実論性の原理/ヒュームの問題/プトレマイオスの逆襲//
訳者解説など、
238ページ。


 先の二論文を含め(邦訳は修正入り)、「論文・講演・インタビューを集めたもの」(p.7);

カンタン・メイヤスー、岡嶋隆・熊谷謙介・黒木萬代・神保夏子訳、『亡霊のジレンマ 思弁的唯物論の展開』、青土社、2018
序文 メイヤスーの方法 - 存在と倫理と文学をまたいで(千葉雅也)//
思弁的唯物論のラフスケッチ/潜勢力と潜在性(2006)/亡霊のジレンマ:来るべき喪・来るべき神/形而上学と科学外世界のフィクション(2013)/『賽の一振り』あるいは仮定の唯物論的神格化(2012)/減算と縮約:ドゥルーズ、内在、『物質と記憶』(2007)、
各訳者解題など、
268ページ。


 二番目に掲載された論文のタイトルにある
「潜勢力」の原語は
potentialité
「潜在性」は virtualité
 また四番目の論文中に出てくる
「科学外(世界の)フィクション」は
fiction (des mondes) hors-science (FHS)(p.99、p.145)、
 別の機会に用いられた英語からの邦訳は「エクストロ=サイエンス・フィクション」
(XSF)(p.146)

xi. シュタイナー(1861-1925)の人智学など

 ルドルフ・シュタイナーについては著作の多くが邦訳されていますが、とりあえずその宇宙論を位置づけるのに;

セオドア・ローザク、『意識の進化と神秘主義』、1978、pp.165-180:「第6章 オカルト進化論者 - 秘密の教義から健康精神(ユーサイキアン)療法まで」中の「ルドルフ・シュタイナーのアカシア狂想曲」の節

深澤英隆、「ルドルフ・シュタイナーとグノーシス主義」、『グノーシス 異端と近代』、2001、pp.307-320
「グノーシス(主義)」の語用論/「グノーシス主義者」シュタイナー/シュタイナー思想とグノーシス主義 認識論、人間論=宇宙論、キリスト論/おわりに

 この論文は


深澤英隆、『啓蒙と霊性 近代宗教言説の生成と変容』、岩波書店、2006、pp.167-184:「Ⅱ 第2章 知識人宗教とグノーシス - 問題としてのR.シュタイナー -」

 として再録
 同じ著者による→こちらも参照:「北欧、ケルト、スラヴなど」の頁の「i. いわゆる北欧神話など

大田俊寛、『現代オカルトの根源 - 霊性進化論の光と闇』、2013、pp.63-79:第1章第3節「キリストとアーリマンの相克 - ルドルフ・シュタイナー」 
シュタイナーの経歴 1 - 前半生の思想遍歴/シュタイナーの経歴 2 - 神智学から人智学へ/宇宙の多層構造に基づく霊性進化/ルシファー・キリスト・アーリマン/近代におけるアーリマンの暗躍
…………………

 「ロココ、啓蒙思想など(18世紀)」のページの「ゲーテ(1749-1832)」のところで


岩塊の中の理念 《ゲーテの世界観》」(1897)

 「ロマン主義、近代など(18世紀末~19世紀)」の「xiii. ロマン主義、象徴主義の周辺など」で

百年前のドイツ神智学」(1906)

 を挙げていますが、宇宙論に関わる著書・講演録の邦訳で手元にあるものから;

ルドルフ・シュタイナー、深沢英隆訳、『アーカーシャ年代記より』、人智学研究会、1976/1978
原著は Rudolf Steiner, Cosmic Memory. Atlantis and Lemuria, translated by Karl E. Zimmer, 1959
Aus der Akasha-Chronik, 1904-1908
の英訳
初版へのマリー・シュタイナーの序文(1939年)/英語版序文 ルドルフ・シュタイナー 人と業績(ポール・マーシャル・アレン、1959//
精神科学の鏡に映し出された現代文明/アーカーシャ年代記より/アトランティスの先祖たち/第4根源人種から第5根源人種への推移/レムリア人種/性の分離/性の分離直前の諸期間/極北人種と極地人期/現在の地球の始まり 太陽の流出/月の流出/幾つかの必須の観点/地球の起源について/地球とその将来/土星の生活/太陽の生活/月での生活/地球の生活/地球の4重の人間/質疑応答/科学と呼ばれるものから生ずる偏見(1904)//
解説など、
242ページ。


 →こちらでも少し触れています:「言葉、文字、記憶術/結合術、書物(天の書)など」の頁の「本・書物(天の書)など

ルドルフ・シュタイナー、西川隆範訳、『薔薇十字会の神智学 シュタイナー講演集』(mind books)、平河出版社、1985
原著は Rudolf Steiner, Die Theosophie des Rosenkreuzers, 1907/1911/1951/1962 および Die Evolution vom Gesichtspinkte des Wahrhaftigen, 1911/1916/1932/1958
『薔薇十字会の神智学』に寄せて(高橋巖)//
薔薇十字会の神智学(1907);叡智の新しい型/人間の本質/元素界と天界・目覚めと眠りと死/再受肉への過程/死後の生命・物質界への再受肉/運命/カルマ/7つの意識状態/宇宙の進化Ⅰ/宇宙の進化Ⅱ/地球上での人間の進化Ⅰ/地球上での人間の進化Ⅱ/人類の未来/秘儀参入の本質//
霊的観点から見た宇宙の進化(1911);土星紀/太陽紀/太陽紀から月紀へ/月紀/地球紀など、326ページ。


ルドルフ・シュタイナー、高橋巖訳、『シュタイナー 霊的宇宙論 霊界のヒエラルキアと物質界におけるその反映』、春秋社、1998
原著は Rudolf Steiner, Geistige Hierarrchien und ihre Widerspiegelung in der physischen Welt. Tierkreis, Planeten, Kosmos, 1909
叡智の公開/4大存在/人間の起源/流出/太陽系の進化/霊的に見た天動説/人格霊、大天使、天使/惑星の生成過程/人間とは何者なのか/進化の目標//
付録;ヒエラルキアについて(その1)(1905)/ヒエラルキアについて(その2)(1905)/三位一体について(1905)/物質界と元素界(1910)など、
272ページ。


ルドルフ・シュタイナー、石井良・樋口純明訳、『神秘学概論 ルドルフ・シュタイナー著作全集 13』、人智学出版社、1982
原著は Rudolf Steiner, Geheimwissenschaft im Umriß, 1910/1913/1920/1925
第1版の序文/第4版の序文(1913)/第7版から15版までの序文(1920)/第16版から20版までの序文(1925)//
神秘学の性格//人間の本質//眠りと死//宇宙進化と人間//高次世界の認識(
参入(イニシエーション)について)//宇宙進化と人類進化の現在と未来//
精神科学領域内の個別的事項に関する付言;人間のエーテル体/アストラル世界/人間の死後の営みについて/人間の生涯/霊的世界の高次諸領域/人間存在の構成要素/夢状態/超感覚的認識獲得のために/霊的世界の特定の出来事や存在を観察することについて//
特記//編者後記など、
446ページ。


 この他、

『色彩の本質◎色彩の秘密』(2005)→こちらを参照:「図像、図形、色彩、音楽、建築など」の頁の「iii. 色彩など


『天使と人間』(1995)、『天使たち 妖精たち』(2000)→そちらを参照:「天使、悪魔など」の頁の「i. 天使など

『悪の秘儀 アーリマンとルシファー』(1995)→あちらを参照:同上、「ii, 悪魔など

 また


シュタイナー、高橋巌訳、「『血はまったく特製のジュースだ』」(1906)、『牧神』、no.7、1976.11:「特集 神秘主義について」、pp.34-49

 同特集pp.76-78 には次に挙げる高橋巌『神秘学序説』の書評;三光長治、「現代の聖杯を求めて」
…………………

 もっぱらシュタイナーだけを論じたものではありませんが;

高橋巌、『神秘学序説』、イザラ書房、1975
神秘学序説/愛のラディカリストたち//
認識の光/ヨアキム主義の系譜 1・2/バガヴァッド・ギーターと現代神秘学 1・2/フロイトの夢判断 1・2/ユングの個体主義 1・2//
シュタイナーにおける認識の行法など、
224ページ。


高橋巌、『神秘学講義』(角川選書 110)、角川書店、1980
現実世界から超現実世界へ/霊的感覚論 - 霊・魂・体の問題/神秘学における理性と感性/秘儀とその行法 - アポロン的とディオニュソス的/ブラヴァツキー - 近代精神と神秘学など、
220ページ。

高橋巖、「天使への進化論 - シュタイナーの天使論」、『夜想』、no.21、1987.7:「特集 天使」、pp.194-204
多神論的シュタイナー/天使からの衝動/天使になるテクニック/天使への進化論/天使からのはたらきかけ/天使になるための肉体

コリン・ウィルソン、中村保男・中村正明訳、『ルドルフ・シュタイナー その人物とヴィジョン』、河出書房新社、1986
原著は Colin Wilson, Rudolf Steiner. The Man and His Vision, 1985
内宇宙への門/幻視者の少年時代/ゲーテ学者/長かりし徒弟時代/再生/オカルティストと導師/神殿の建設/大惨事/後記-シュタイナーの業績など、
256ページ。

 同じ著者による→こちらを参照:「魔術、神秘学、隠秘学など」の頁


西川隆範、『シュタイナーの宇宙進化論』、イザラ書房、1991
序 ビッグバン・ブラックホール・DNA//
宇宙開闢;概観/熱の時代/空気の時代/水の時代/土の時代//
人類の発生;ポラール時代/ヒュペルボレアス時代/レムリア時代/アトランティス時代//
文化の形成;洪水伝説/蟹座の時代/双子座の時代/牡牛座の時代/牡羊座の時代/魚座の時代//
地球の未来//
講演 シュタイナー「宇宙進化と人間」;「土星」「太陽」「月」(1909年6月8日)/「月」/ポラール時代・ヒュペルボレアス時代・レムリア時代(1909年6月9日)/レムリア時代・アトランティス時代/アトランティス後の諸文化(1909年6月10日)など、
204ページ。


向山毅、「ルドルフ・シュタイナーと四次元」、『研究論集』、no.76、関西外国語大学、2002.8、pp.87-102 [ < CiNii Articles

 同じ著者による→こちらも参照:本頁下掲の「xvi. 20世紀神秘学の歴史など


W.ペーント、長谷川章訳、『表現主義の建築(下)』、1988、pp.283-304:「Ⅱ-7 ルドルフ・シュタイナーの建築」
…………………

熊谷哲哉、「世紀転換期ドイツの一知識人が見た地獄あるいはユートピア シュレーバーの『ある神経病者の回想録』をめぐって」、『ユリイカ』、no.806、vol.55-9、2023.7:「特集 奇書の世界」、pp.271-278
はじめに/神経と神の世界/神経と光線/魂の殺害と宇宙における生存競争/神の無力化と世界の将来/シュレーバーの病をどう読むか/科学と心霊主義とシュレーバー/シュレーバーとわれわれの世界

 上の論考で知ったということで;

ダーニエール・パウル・シュレーバー、尾川浩・金関猛訳、石澤誠一解題、『シュレーバー回想録 ある神経病患者の手記』、平凡社、1991
原著は Daniel Paul Schreber, Denkwürdigkeiten eines Nervenkranken, 1903
序言(1902)/枢密顧問官・医学博士フレッヒジヒ教授への公開状(1903)//
回想録;はじめに
 第1章 神と不死
 第2章 神の国々における危機?  魂の殺害
 第3章 (印刷されず)
 第4章 最初の神経病を患っていた間、及び二度目の神経病を患い始めた頃の個人的な体験
 第5章 前章の続き。神経言語(内なる声)。思考強迫。脱男性化が場合によっては世界秩序によって要請され ということ
 第6章 個人的な体験、前章の続き。ヴィジョン。「見霊者」
 第7章 個人的な体験、前章の続き。奇妙な病状。ヴィジョン
 第8章 ピーアゾン博士の施設に入院していたときの個人的な体験。 「試練を受けた魂」
 第9章 ゾンネンシュタインへの移送。光線との交信に生じた変化。 「筆記制度」、「遊星への繋留」
 第10章 ゾンネンシュタインにおける個人的な体験。光線との交信に随伴して現れる 「妨害」。「気分盛上げ」
 第11章 奇蹟によって身体の不可侵性が犯されるということ
 第12章 声のおしゃべりの内容。「魂の見解」。魂の言語。 個人的な体験(継続)
 第13章 引力の要素としての魂の官能的愉悦。 様々な余波
 第14章 試練を受けた魂」とその運命。 個人的な体験 (継続)
 第15章 「人間玩弄」 と 「奇蹟の戯れ」。助けてくれという叫び声。話をする鳥
 第16章 思考強迫、その現れと随伴現象
 第17章 前章の続き。 魂の言語における意味での「素描」
 第18章 神と創造過程。 自然発生。 奇蹟の虫。 「視線方向変え」。 試験制度
  第19章 前章の続き。神の全能と人間の意志の自由
 第20章 私という人間に関する光線の自己中心的な考え方。 個人的な状況の今後
 第21章 至福と官能的愉悦の相互関係。 この関係が個人的な態度に及ぼす影響
 第22章 結び。 未来への展望
補遺;補遺 1(1900年10月から1901年6月まで)
  Ⅰ 奇蹟について(1900年10月)
  Ⅱ 神の知性と人間の知性の関係について(1900年10月11日).
  Ⅲ 人間玩弄について(1901年1月)
  Ⅳ 幻覚について(1901年2月)
  Ⅴ 私という人間への神経接続を通じて明らかになった神の本性について(1901年3月から4月にかけて)
  Ⅵ 本書を閉じるにあたっての考察及びその他諸々の事柄について(1901年4月から5月にかけて)
  Ⅶ 火葬について(1901年5月)
 補遺 2(1902年10月から11月にかけて)
付録;付録論文 - 精神病と見なされる人物の医療施設での拘禁は、当人がそれを拒否するはっきりとした意志を表明して いる場合、 どういった前提条件があれば許されるか
資料(禁治産宣告取消し訴訟の記録)
  A 枢密顧問官ヴェーバー博士による一八九九年一二月九日付裁判医鑑定書(1899年12月9日)
  B 枢密顧問官ヴェーバー博士による一九〇〇年一一月九日付管区病院医鑑定書(1900年11月28日)
  C  控訴理由書(1901年7月23日)
  D 枢密顧問官ヴェーバー博士による1902年4月5日付鑑定書
  E  ドレスデン控訴院1902年7月14日の判決//
シュレーバー年表//
訳者あとがき//
解題(石澤誠一)シュレーバー/〈シュレーバー症例/邦訳シュレーバーの方へ/
  『ある神経病患者の回想録』;a 「神経を病む一人の男性患者」/b 「考えて然るべき事柄」//
決まり文句集/索引/参考文献など、
548ページ。

xii. ロシアから

 ソロヴィヨフなど、19世紀後半に遡りますが;

S.G.セミョーノヴァ+A.G.ガーチェヴァ編著、西中村浩訳、『ロシアの宇宙精神』、せりか書房、1997
序論 ロシアの宇宙精神(セミョーノヴァ);上昇進化/精神圏的な課題/愛の変形/人間の「地球上の幽閉」からの脱出//
フョードロフ(1829-1903);共同事業の哲学(抜粋)/科学と芸術の矛盾はどのようにして解決できるか?//
ソロヴィヨフ(1853-1900);自然における美(抜粋)/愛の意味 第5論文(抜粋)/キリストは蘇りぬ!//
ブルガーコフ(1871-1944);経済のソフィア性(『経済の哲学』第4章第2節より)/社会主義の魂//
フロレンスキイ(1882-1937);器官投影(1919)/ヴェルナツキイへの手紙(1929/9/21)//
ツィオルコフスキイ(1857-1935);宇宙の一元論(抜粋、1925)/宇宙哲学(1935/5/8)//
ヴェルナツキイ(1863-1945);人類の独立栄養性(最後の第19章を省略、1925/1940)/精神圏についての緒言など、
354ページ。


 原著についてはキリル文字なので、誤りを避けるべく、「訳者あとがき」p.347 を参照してください。
 1993年刊。原題は『ロシア・コスミズム、哲学思想アンソロジー』
 邦訳は原著に収められた17人の思想家のテクストから、6人を選んだもの


鈴木晶、「ソフィアの微笑 - ソロヴィヨーフの『三度の邂逅』」、『ユリイカ』、vol.15 no.69、1983.6:「特集 神秘主義」、pp.146-153

谷寿美、「B. C. ソロヴィヨフにおける"ソフィア"の両義性について」、『駒沢女子短期大学 研究紀要』、19号、1986.3.13、pp.1-11 [ < 駒沢女子大学・駒沢女子短期大学リポジトリ

谷寿美、『ソロヴィヨフ 生の変容を求めて』、慶應義塾大学出版会、2015
ロシア的霊性/ソロヴィヨフ 非分離の精神/「ソフィア」の理念とロシア・ソフィオロジー/ソロヴィヨフとトルストイ/全一的総合に向けて、など、302ページ。

杉浦秀一、「ウラジーミル・ソロヴィヨフとオカルティズム」、『スラヴ研究』、no.52、2005、pp.177-204 [ < HUSCAP 北海道大学学術成果コレクション

杉浦秀一、「ロシア・プラトニズムとウラジーミル・ソロヴィヨフ 」、『「「スラブ・ユーラシア学の構築」研究報告集』、no.12:「プラトンとロシア」、2006.3、pp.1-15 [ < 北海道大学 スラブ・ユーラシア研究センター

北見論、「ブルガーコフの言語哲学におけるカント批判のモチーフについて」、『神戸外大論叢』、62巻3号、2011.11.30、pp.49-73 [ < 神戸市外国語大学 学術情報リポジトリ

細川瑠璃、「20世紀の天動説 - ロシア宇宙主義のヴィジョン」、『未来哲学』、第1号、2020.11.25、pp.126-137
不連続性と実無限/宇宙の形/宇宙の二圏構造とイコノスタス/フロレンスキイの天動説/記述と実体性/ロシア宇宙主義のヴィジョン - 結びに代えて

細川瑠璃、「天動説ともうひとつのユートピア」、『ユリイカ』、no.798、vol.55-1、2023.1:「特集 コペルニクス 『天球の回転について』から『チ。 - 地球の運動について -』へ」、pp.205-213
フロレンスキイの天動説/マニフェストとしての宇宙論/不死とユートピアのロシア宇宙主義/時間の空間化/もうひとつのユートピア

木澤佐登志、「第1章 ロシア宇宙主義 - 居住区(コロニー)としての宇宙」『闇の精神史』(ハヤカワ新書 014)、早川書房、2023、pp.17-101+注 pp.294-295
新しい人間 - アレクサンドル・ボグダーノフ/死者の復活 ー ニコライ・フョードロフ/実体化する「精神圏」 -現代ロシアにおける展開①/新ユーラシア主義 -現代ロシアにおける展開②

 全体の目次は;
まえがき//
ロシア宇宙主義 -
居住区(コロニー)としての宇宙//
アフロフューチャリズム - 故郷(ホーム)としての宇宙;止まって、僕を乗せておくれ - サン・ラー/未来は黒い ^ リー・ペリー/変性=変声するヒューマニティ - サイボーグ化の夢//
サイバースペース - もうひとつのフロンティア;1984年 - ニューロマンサー、マッキントッシュ、VR/幸福な監禁 - 行動分析学的ユートピア/人はなぜ炎上するのか - SNSと道具主義/メタバースは「解放」か? - 精神と肉体の二分法/身体というアーキテクチャ - 私がユートピアであるために//
終章 失われた未来を解き放つ、など、
314ページ。

 スプレマチズムの画家によるのが;

カジミール・マレーヴィチ、五十殿利治訳、「神は見棄てられてはいない」(1920)(抄)、五十殿利治・土肥美夫編、『ロシア・アヴァンギャルド 4 コンストルクツィア 構成主義の展開』、国書刊行会、1991、pp.343-359

 昔

カンディンスキー、西田秀穂訳、『点・線・面 - 抽象芸術の基礎 -』、美術出版社、1959
原著は Kandinsky, Punkt und Linie zu Fläche, 1926/1955
紹介(マックス・ビル、1955)//
序言/点/線/基礎平面/付図//
後記(マックス・ビル、1955)//
"バウハウス"におけるカンディンスキー - 訳者の「覚書」より -など、
256ページ。


 を読んだ時は、ピュータゴラース主義じゃんと思ったものですし(→こちら(本頁下掲の「xvi. 20世紀神秘学の歴史など」/リングボム『カンディンスキー』)、1995や、そちら(「図像、図形、色彩、音楽、建築など」の頁の「i. 図像など」/カンディンスキー《黒い弧》、1912)、またあちら(同上、「iii. 色彩など」/カンディンスキー『芸術における精神的なもの』、1958)も参照)、


宮島久雄、「モンドリアンの抽象絵画の成立」、『美術史』、no.114、1983.5、pp.73-89

 などによって、モンドリアンが神智学の影響を受けたという話も聞いてはいましたし、1986年の『芸術における霊的なもの - 抽象絵画 1890-1985』展図録が初期抽象と神秘学との関連の総まとめをしていたものの、マレーヴィチのこの文章にはやはり驚かされました。
 とりあえずは仏訳;

"Dieu n'est pas déchu. L'art, l'église, la fabrique"(1920), Malevitch / Écrits, présentés par Andrei B. Nakov, traduction du russe par Andrée Robel-Chicurel, Éditions Champ Libre, Paris, 1975, pp.327-364

 が見ることのできた全文訳でしたが、その後日本語の全訳も出ました;

マレーヴィチ、宇佐見多佳子訳、「神は捨て去られてはいない - 芸術・教会・工場」、『零の形態 スプレマチズム芸術論集』(叢書・20世紀ロシア文化史再考)、水声社、2000、pp.157-228
他の内容は;キュビスム、未来主義からスプレマチズムへ - 新しい絵画のリアリズム/ポエジーについて/芸術における新しいシステムについて - 静止と速度/スプレマチズムの鏡/無対象に関する著作より/人間を重量から最大限に解放するものとしての建築/映画の諸問題における絵画の法則など、
406ページ。


 ロシア・アヴァンギャルドからはまた;

本田晃子、『天体建築論 レオニドフとソ連邦の紙上建築時代』、東京大学出版会、2014
序/重力圏からの離脱 - レーニン(図書館学)研究所設計案/建築と演劇の零度 - 構成主義運動における労働者クラブ建築/無重力都市 - 社会主義都市論争とマグニトゴルスク・プロジェクト/レーニン建築プロジェクト - 社会主義リアリズムの誕生/幾何学とファクトゥーラの庭園 - クリミア半島南岸開発計画/2つの太陽の都/終章 紙上建築の時代の終焉など、
360ページ。


 →こちらでも触れました:「言葉、文字、記憶術・結合術、書物(天の書)など」の頁の「おまけ」/ダニエレブスキー『紙葉の家』のところ
 同じ著者による→そちらを参照:「怪奇城の外濠」の頁の「i. 映画と建築など」/『都市を上映せよ』(2022)および『革命と住宅』(2023)
 『天体建築論』の主役であるレオニドフについてはまた;


Andrei Gozak & Andrei Leonidov, edited and designed by Catherine Cooke, Ivan Leonidov. The Complete Works, Rizzoli, 1988
『イワン・レオニドフ 全作品』
イワン・レオニドフ-芸術家、夢想家、詩人
(Andrei Gozak)/わが父の思い出(Andrei Leonidov)/民衆出身の巨匠(Lidia Komarova)/彼はとても才能があった(Mikhail Makotinski)//
レオニドフの既知の作品/現存するオリジナルのカタログ/記録に残る作品と関連資料 1919-1959など、
216ページ。


 →こちらからも指示しておきます:「図像、図形、色彩、音楽、建築など」の頁の「v. 建築など

高橋健一郎、『ロシア・アヴァンギャルドの宇宙論的音楽論 言語・美術・音楽をつらぬく四次元思想』、水声社、2018
序章;はじめに/本書の構成/宇宙論的音楽論の思想的背景/宇宙論的音楽論//
ロシア・アヴァンギャルド音楽のマニフェスト - ニコライ・クリビンの「自由音楽」論;はじめに/クリビンの生涯/クリビンの自由芸術論/自由芸術論とアヴァンギャルド芸術の基本原理との照応/クリビンの「自由音楽」の基本概念/自由音楽の音楽学的側面/さいごに//
未来派オペラ《太陽の征服》の音楽 - ミハイル・マチューシンの有機的音楽論;はじめに/マチューシンの生涯と基本思想/《太陽の征服》の創作と上演/《太陽の征服》の意味/《太陽の征服》におけるマチューシンの音楽/さいごに//
〈和歌歌曲〉の遠近法 - アルトゥール・ルリエーの宇宙論的音楽論;はじめに/ストラヴィンスキーとジャポニスム/ルリエーとジャポニスム/音楽における遠近法と次元/ストラヴィンスキー《三つの日本の抒情詩》における〈二次元化〉の詩学/ルリエー《日本組曲》の詩学/さいごに//
終章など、
224ページ。


 →こちらにも挙げておきます:「図像、図形、色彩、音楽、建築など」の頁の「iv. 音楽など

亀山郁夫、『甦えるフレーブニコフ』、晶文社、1989
はじめに//
水の迷宮、混血の都市/自然 - 孤独な鳥の夢想/「対馬」体験/スラブ的純粋原理/ペテルブルグの憂鬱//
プリミティヴィズムの嵐/ギレヤ - ロシア・アヴァンギャルドの誕生/言葉の神々の嵐/詩と絵画/古代の意味/牧歌とユートピア//
奇跡の年/クオッカラの青春/数または縛られた神々/アジアそしてアフリカ/二人の日本人への手紙//
ネヴァ川の十月/一冊の書物/内戦 - ハリコフの日々/道化芝居とカーニバル/調和世界//
イランの黄金/復讐の詩 - 革命四部作/孤絶/運命の樹など、
420ページ。


 「世界史の因果律をすべて数学的な合理性の上に体系づけようとしていた」(p.34)
 という〈時間の法則〉についてはまず「第14章 数または縛られた神々」を、改訂版〈時間の基本法則〉については最終章「第25章 運命の樹」などを参照、
 関連して〈虚数〉について「第21章 調和世界」の第1節「『虚数』の意味」、
 言語論については主に「第8章 言葉の神々の嵐」や「第9章 詩と絵画」などを参照。先立つ第7章には
「ぼくらは母音を空間と時間(方向性)、子音を色、響き、匂いとみなす」(p.104)
 といったくだりも見えました。→こちらにも挙げておきます(「言葉、文字、記憶術・結合術、書物(天の書)など」のページの「人工言語・言語起源論など」の項)。
 関連して書物論については「第18章 一冊の書物」など参照。→そちらにも挙げておきます(「言葉、文字、記憶術・結合術、書物(天の書)など」のページ中の「本・書物(天の書)など」の項)。
 この他、
「種が種であるのは、それぞれの獣たちが別様に神(の貌)を見ることができたからだと」(p.75)
 とのくだり、
 未来都市のイメージについて pp.150-152(その中では「『天書』(
nebo-knigi)という『黒い夜空に広がる白い書物』に似たマス・メディアの夢」(p.152)というくだりにも出くわします)、
 エジプトの霊魂観から出発した小説『カー』(1915)について pp.203-207(その中では「時間の七つの脚」(p.205)というくだりにも出くわします)、
 イラン神話の「マシャとマシヤーン」の名前も飛びだします(p.290)


 ちなみに、フレーブニコフ(1885-1922)の早い死を看取ったという画家ピョートル・ミトゥーリチ(Petr Miturich, 1887-1956)(pp.310-311)の名前は、 『ダダと構成主義展』(1988-89、西武美術館、西武つかしんホール、神奈川県立近代美術館)に出品された、《空間アルファベット》(1915-17、12箇の立方体、グアッシュ、インク・紙、各5.5x5.5x5.5cm)という興味深い作品で知りました(図録、p.92、Ⅲ-17/cat.no.59)。
 もう一つついでに元の勤め先は、アンゼルム・キーファー(1945- )の《フレーブニコフのために》(1984)なる作品を所蔵しています。

 またフレーブニコフも含めて、

大石雅彦、「詩的言語の前哨 - ザーウミの系譜」、『彼我等位 日本・モダニズム/ロシア・アヴァンギャルド』、水声社、2009、pp.143-196、およびpp.303-306:「資料1 言語音一覧表(ボリス・エンデル)」

 →フレーブニコフ同様、こちらにも挙げました:「原語、文字、記憶術/結合術、書物(天の書)など」の頁の「人工言語・言語起源論」の項
…………………

 ゲオルギイ・イヴァノヴィチ・グルジェフ(グルジエフ)(1866-1949)

笠井叡、『天使論』、現代思潮社、1976
序//反秘蹟への序論;母権憎悪/受肉/若干の史的考察//
恩寵否定-新たな神秘学のために-;神秘学と進化論/哲學的価値批判/3生命形態の統合/労働についての省察/生理学から位階制度へ/恩寵否定//
肉体の錬金術;位階制度的宇宙構造論/オクターヴの法則/放射の3オクターヴ/肉体の錬金術/7つのセンター/A感覚とクンダバファー/人為的ショックの生理構造/「賢者の石」の象徴学/バプテスマと食物/聖霊なき物質//
言葉の熔鉱炉-サド侯爵をめぐって聖霊なき物質の方へ-//跋など、
446ページ。


 目次からうかがえるとおり、〈天使論〉の歴史的な記述ではさらさらありませんが、「第3部 肉体の錬金術」がウスペンスキー『奇蹟を求めて』を
「随所にわたって換骨奪胎」して構成されており、
「読者はどうかこれらの章を、グルジェフに対するぼくの驚愕と羨望の心情吐露としてお読みいただきたい」
とのこと(p.149)。

 →こちらにも挙げておきます:「グノーシス諸派など Ⅲ」の頁の「おまけ


笠井叡、「グルジェフと『三つの限定の原理』」、『地球ロマン』、復刊4号、1977.3:「総特集 秘教外伝」、pp.78-87

セオドア・ローザク、『意識の進化と神秘主義』、1978、pp.181-194:「第6章 オカルト進化論者 - 秘密の教義から健康精神(ユーサイキアン)療法まで」中の「グルジエフの試練による療法」の節

P.D.ウスペンスキー、『奇蹟を求めて グルジェフの神秘宇宙論』、1981

G.I.グルジェフ、棚橋一晃監修、星川淳訳、『注目すべき人々との出会い』、めるくまーる、1981
原著は G.I. Gurdjieff, Meetings with Remarkable Men, 1963
 ロシア語草稿は1927年に執筆(p.404)。
フランス語版訳者はしがき(ジャンヌ・ド・サルツマン、アンリ・トラコル、1960)
序/父/最初の師/ボガチェフスキー/ミスターX、あるいはポゴシャン船長/アブラム・イエロフ/ユリ・ルボヴェドスキー公 ヴィトヴィツカヤ、ソロヴィエフ、ソロヴィエフの死/エキム・ベイ/ピョートル・カルペンコ/スクリドロフ教授/物質的問題について、など、
408ページ。


K.R.スピース、武邑光裕訳、『グルジェフ・ワーク』(mind books)、平河出版社、1982
原著は Kathleen Riordan Speeth, The Gurdjieff Work, 1976
序文(クラウディオ・ナランホ)//
グルジェフとは?/グルジェフ・システムの哲学的基盤/普通人の心理学/人間の可能性/グルジェフ・ワーク/生きた伝統など、
256ページ。


浅井雅志、「真理への旅 - グルジェフ、その前半生」、『オカルト・ムーヴメント [近代隠秘学運動史]』、1986、pp.116-134

森岡正芳、「自己意識の変容と拡大 - 多元的リアリティーを求めて」、同上、pp.163-186
意識の発達と階層性;リアリティの多元性について/変成意識状態について/自己の発達//
グルジェフの「自己」心理学;人間の発達と進化/自己の探求//
アサジオリの精神総合


G.I.グルジエフ、浅井雅志訳、『ベルゼバブの孫への話 人間の生に対する客観的かつ公平無私なる批判』、平河出版社、1990
原著は G.I. Gurdjieff, Beelzebub's Tals to his Grandson. An Objectively Impartial Criticism of the Life of Man, 1950
 執筆は1924~1929年
親切な助言//第1の書;思考の覚醒/序:ベルゼバブはなぜ、われわれの太陽系にいたのか/カルナック号が遅れた原因/落下の法則/大天使ハリトンの方式/永久運動/真の存在義務に目覚める/ベルゼバブの孫の生意気な小僧ハセイン、人間を〈ナメクジ〉呼ばわりする/月の生成の原因/なぜ〈人間〉は人間でないのか/現代人の奇妙な精神が有する実に刺激的な特性/最初の〈うなり声〉/なぜ人間の理性は空想を現実として知覚するのか/全体を概観しつつ話しはじめるが、どうもあまり楽しい話になりそうもない/ベルゼバブ、惑星地球へ初めて降下する/時間の相対的理解/恐ろしく馬鹿げたこと:ベルゼバブの主張するところによれば、よれば、われわれの太陽系は熱も光も発していない/恐ろしく途方もないこと/ベルゼバブ、惑星地球への2度目の降下について話す/惑星地球へのベルゼバブの3度目の飛行/ベルゼバブ、初めてインドを訪ねる/ベルゼバブ、初めてチベットを訪ねる/ベルゼバブ、惑星地球での4度目の滞在/ベルゼバブ、惑星地球への5度目の訪問/非常に聖なるアシアタ・シーマッシュ、天より地球に遣わされる/非常に聖なるアシアタ・シーマッシュの熟考を伝える「恐るべき現状」と題されたレゴミニズム/非常に聖なるアシアタ・シーマッシュ、人間の生存のために組織を創設する/アシアタ・シーマッシュの非常に聖なる仕事がすべて壊滅したことの元凶//
第2の書;前時代の文明の成果と現代文明の開花/芸術/ベルゼバブの6度目の、そして最後の地球滞在/催眠術/職業的催眠術師、ベルゼバブ/ロシア/宇宙船カルナック号、予定のコースを変更する/ドイツ人についてもう一言/フランス/宗教/聖なる惑星〈パーガトリー〉//
第3の書;ベルゼバブ、人間たちがいかにして根源的宇宙法則ヘプタパラパーシノクを学び、そして再び忘却したかを語る/ボカラのダーヴィッシュ、ハジ・アスヴァッツ・トローヴ/ベルゼバブ、アメリカに行く/人間が周期的に起こす相互破壊のプロセスに関するベルゼバブの概説、あるいは戦争についてのベルゼバブの見解/ベルゼバブの意見によれば、人間が理解している正義は、客観的意味においては呪うべき迷妄である/ベルゼバブの意見によれば、人間が自然から電気を抽出し、使うことによってそれを破壊していることが、人間の寿命を縮めている主因の1つである/ベルゼバブ、人間に関する情報を伝達するにあたって選んだ形式および順列の重要性について孫に説明する/公平無私なる思考活動から必然的に生じた結果/著者より、など、
790ページ。


G.I.グルジェフ、浅井雅志訳、『生は〈私が存在し〉て初めて真実となる』、平河出版社、1993
原著は G.I. Gurdjieff, Life is Real Only Then, When "I Am", 1975/1978/1981
 執筆は1935年
緒言(ヴァレンティン・アナスタシエフ)/序文(ジャンヌ・ド・サルツマン)//
プロローグ/序章/第1講話~第5講話/人間の外なる世界と内なる世界など、
282ページ。


C.S.ノット、古川順弘訳、『回想のグルジェフ ある弟子の手記』、コスモス・ライブラリー、星雲社、2002
原著は Charles Stanley Nott, Teaching of Gurdjieff. A Pupil's Journal, 1961
まえがき/序章/ニューヨークとフォンテーヌブロー 1923-5/ニューヨークとフォンテーヌブロー 1925-6/オレイジによる『ベルゼバブの孫への話』へのコメンタリー/フォンテーヌブロー 1928など、
400ページ。

 第3章は「全体の1割弱を削ってある」とのこと(p.395)。

…………………

 ニコライ・ベルジャーエフ(1874-1948);

青山太郎訳、『ベルジャーエフ著作集 Ⅳ 創造の意味 弁人論の試み』、行路社、1990
 原著の初版は1916年
ドイツ語版(1927年)への序文//
緒論/創造的行為としての哲学/人間・ミクロコスモスとマクロコスモス/創造と贖い/創造と認識論/創造と実在/創造と自由・個体主義と普遍主義/創造と禁欲・天才的なるものと聖なるもの/創造と性・男性的なものと女性的なもの・類と個/創造と愛・結婚と家族/創造と美・芸術とテウルギア/創造と道徳・創造の新たな倫理/創造と社会性/創造と神秘思想・オカルティズムと魔術/3つの時・創造と文化・創造と教会・創造とキリスト教の再生/註釈と余談//
付録;救いと創造/弁人論の問題(『断片』の冒頭部分)/最終章の異文(『断片』の結末部分)など、
568ページ。


『ベルジャーエフ著作集 6 神と人間の実存的弁証法、霊の国とカイザルの国(遺稿)』、白水社、1960
 双方原著は1951年刊
神と人間の実存的弁証法(小池辰雄訳);世俗的観察、キリスト教の危機、啓示の批判/ドイツ的思惟における神的なものと人間的なものの弁証法、ニーチェの意味、三位一体論の弁証法/進化と新創造/恐怖/苦悩/悪/戦争の形而上学的問題/人間的なものについて/霊(精神)性/美/不死/メシア思想と歴史/霊(精神)の宗教、敬虔な(信仰的)観察/万物の終末と新時代//
霊の国とカイザルの国(野口啓祐訳);編集者序言//真理のための闘争 - 認識形而上学叙説-//
人間と神-霊性/人間と宇宙-技術/人間と社会-社会主義/人間とカイザル-権力/価値の秩序について-目的と手段/自由の矛盾/共同体、集団とソボールノスチ/マルキシズムの矛盾/人類の統一と国民主義/永遠の神人/人間実存の悲劇とユートピア、神秘の領域など、
430ページ。


谷川守正、「N.ベルジャーエフの神智学的人間学の基礎づけ - 教育的力の源をもとめて-」、『京都府立大學學術報告. 人文』、no.20、1968.10.25、pp.88-104 [ < CiNii Articles

北見論、「象徴秩序の彼方へ - ベルジャーエフの思想における自由と人格の概念をめぐって -」、『スラヴ研究 』、60号、2013.6.15、pp.1-28 [ < 北海道大学学術成果コレクション HUSCAP
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 ピョートル・デミアノヴィッチ・ウスペンスキー(1878-1948);

P.D.ウスペンスキー、高橋弘泰訳、『ターシャム・オルガヌム 第3の思考規範 世界の謎への鍵』、コスモス・ライブラリー、星雲社、2000
原著は P. D. Ouspensky, Tertium Organum, 1920/1925
 ロシア語原本は1912年刊
ウスペンスキーの「ターシャム・オルガヌム」の神秘とロマンス(クロード・ブラグドン)/英語版への序文(同、1922)/著者による第2版への序文(1921)//
我々は何を知っているのか/空間感覚の進化と4次元/3次元と4次元のアナロジー/時間とは何か、運動とは何か/時間体としての4次元体/2次元世界/次元の問題と数学/感覚、表象、概念/動物の心理学/時間の空間化/科学と4次元問題/現象と本質/実証主義の限界/石の声/愛と死/霊と物質/生命としての宇宙/生命と知識/海を飲み込む水滴/無限/ターシャム・オルガヌム:第3の思考規範/神秘主義/宇宙意識と新しい人種/結び//
訳者あとがき/ウスペンスキー『ターシャム・オルガヌム』解説(小森健太朗)など、
480ページ。


 R.ラッカーは『かくれた世界 幾何学・4次元・相対性』(1981)で本書を、「神秘的な観点から第4次元について書かれた最良の書物」と述べています(p.26)。

P.D.ウスペンスキー、高橋弘泰訳、『新しい宇宙像』(上下)、コスモス・ライブラリー、星雲社、2002
原著は P. D. Ouspensky, A New Model of the Universe. Principles of the Psychological Method in its Application to Problems of Science, Religion, and Art, 1931
上;序註(1930)/第2版への序文(1934)//
序章/秘教と現代思想/4次元/超人/キリスト教と新約聖書/タロットの象徴主義/ヨガとは何か?-東洋の神秘など、436ページ。

下;夢と催眠術の研究について/実験的神秘主義/奇蹟を求めて-小品集 パリのノートルダム大聖堂、エジプトのピラミッド、スフィンクス、サファイアの眼の仏像、タージ・マハール、ダーヴィッシュの旋回舞踏/新しい宇宙像/永劫回帰とマヌ法典/セックスと進化など、
416ページ。


P.D.ウスペンスキー、浅井雅志訳、『奇蹟を求めて グルジェフの神秘宇宙論』(mind books)、平河出版社、1981
原著は P. D. Ouspensky, In Search of the Miraculous, 1949
Gとの出会い/第4の道/複数の〈私〉/知識・存在・理解/存在の光/センター/3の法則・7の法則/〈本質〉と〈人格〉/水素論・食物論/道・宇宙論/グループ/性エネルギー/奇蹟/エニアグラム/宗教とワーク/時間・呼吸・生命/1917年夏/離脱など、
610ページ。


コリン・ウィルソン、中村正明訳、『ウスペンスキー 20世紀の神秘家』、河出書房新社、1995
原著は Colin Wilson, The Strange Life of P. D. Ouspensky, 1993
夢みる人/ロマンティックな現実主義者/偉大なる師/「第4の人間」の創造/成功/「システムなどというものありません」/何がまちがっていたか、など、
208ページ。

 同じ著者による→こちらを参照:「魔術、神秘学、隠秘学など」の頁


向山毅、「超空間を求めて - ウスペンスキーの奇妙な旅 -」、『研究論集』、no.88、関西外国語大学、2008.9、pp.135-152 [ < CiNii Articles

 同じ著者による→そちらも参照:本頁下掲の「xvi. 20世紀神秘学の歴史など
 次元論に関し→あちらも参照:「近代など(20世紀~) Ⅱ」の頁の「vi. 次元など
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 コンスタンチン・ケドロフ(1942- );

コンスタンチン・ケドロフ、渡辺雅司・亀山郁夫訳、『星の書物 東方的・詩的宇宙のヴィジョン』、岩波書店、1994
日本語版への序 宇宙が人類に帰ってくる//
語りかける星たち;星の書物/天地の盃//
死との決闘;「仮面の下は満天の星……」 - 復活の秘儀/神殿、それとも工房?/火の面、おまえは何者?//
水晶の天球儀;「聖母の手綱」/アンドレイ・ベールイの〈多眼球体〉/人間的〝反転〟あるいはオルターナティヴな宇宙//
螺旋階段;フレーブニコフの宇宙/ストーカーのゾーン/九つの層の内側で/メタメタファーの誕生//
メタコードと文学;宇宙の発見/星々の戯れ/黄金の剣/星たちの間を埋めるのは人々など、
338ページ。


 「原著タイトルは、『詩的宇宙』( Konstantin Kedrov, Poeticheskii Kosmos, Sovetskii pisatel', Moskva, 1989 )である。全体で300頁を超える大著だが、著者の許可を得た上、本書はそれをおよそ三分の二に圧縮した」とのこと(「訳者あとがき」、p.325)。
 「著者のコンスタンチン・アレクサンドロヴィチ・ケドロフは、1942年、ヤロスラヴリ県ルイビンスク市の生まれ、トルストイ、レーニンの母校カザン大学で文学を修めた後、『タタール・コムソモーレツ』紙、『現代人』誌の編集者を務め、その後73年から86年までの13年間、ソ連作家同盟附属の文学大学で世界のフォークロアを講じた。現在は詩人、批評家として活躍中であり、92年には最新著『ロゴスと言葉』を上梓している。文学研究の分野では、とりわけフレーブニコフ関係の優れた論文があり、また詩人としては、ロシア詩壇の中心をになう『メタメタファー』派のリーダーとして『現代ロシア詩の聖ヨハネ』(ヴォズネセンスキー)の評価を得ている」(「訳者あとがき」、p.323)。

xiii. 現象学の系譜、他

新田義弘、『現象学とは何か フッサールの後期思想を中心として』(紀伊國屋新書 A-36)、紀伊國屋書店、1958
序章 現象学の出発の立場;意識へ向けられた存在の問/志向性のイデーと明証理論/時期的区分の試み//
前期現象学の方法と立場 『イデーン』期までの現象学的構想の展開 - カントへの接近とゲッチンゲン学派の離反 -//
  『イデーン』期における現象学的方法 - デカルトに沿うて -;自然的態度の克服の方法 - 現象学的エポケー -/純粋意識の獲得の方法 - 現象学的還元 -/志向的分析論の方法 - 現象学的反省 -//
  『第一哲学』における構想の挫折と転回 - デカルトから離れて -;哲学の「始まり」のイデー/非デカルト的方途へ//
発生的現象学とは何か 発生的現象学の方法 - 意味の歴史 -;科学的対象より経験的対象への帰行/イデアチオンの方法と自然的世界概念/「手引き」の方法//
  受動性の現象学 - 経験の分析 -;先コギトからコギトへ/知覚における地平の現象/直観の2つの統一//
  現象学的世界論 - 根源的自然の発見 -;世界地平/世界存在//
人間存在の問題 人間的主観性の構成-人間と理性のパラドックス-;自然と精神/人格と他社/身体の二重現象//
  超越論的主観性の匿名性-意識と実存-;自然的態度の再検討/超越論的事実性とハイデッガー//
現代の現象学的存在論の問題;『危機』の科学批判 - ガリレイへの断罪 -/理性の形而上学 - フッサールとヘーゲル -/生活世界の問題論 - メルロ=ポンティ、シュトラッサーの所論とフンケの反論 -//
最後の思想的境位;絶対的自我と生ける現在 - 2つの「いま」 -/生ける現在のアポリア - 反省の挫折と弁証法 -/邂逅の現象学への道 - 神か自然か - など、
212ページ。


 エドムント・フッサール(1859-1938)もいろいろあるのでしょうが、ここではひとつだけ;

エドムント・フッサール、立松弘孝訳、『内的時間意識の現象学』、みすず書房、1967
原著は Edmund Husserl, Zur Phänomenologie des inneren Zeitbewusstseins, 1928
内的時間意識に関する1905年の講義;序論/時間の根源に関するブレンターノの説/時間意識の分析/時間および時間客観の構成の諸段階//
時間意識の分析について、1905-10年に書かれた補遺と補足;附論など、
246ページ。

…………………

 マルティン・ハイデッガー(1889-1976);

 ハイデッガーについては、「ギリシア・ヘレニズム・ローマ Ⅱ」のページの「v. ソークラテース前派、含む;エピクーロス派」の項で

アナクシマンドロスの言葉 ハイデッガー選集Ⅲ』(1950)、1957 

ヘラクレイトス ハイデッガー全集 第55巻』(1943-44)、1990

パルメニデス ハイデッガー全集 第54巻』(1942-43)、1999

 を挙げ、それ以外にも当然、とてもたくさんいろいろあるのでしょうが、例によってとりあえず、まずは中期の神学的局面について

大橋良介・秋富克哉・ハルトムート・ブフナー訳、『哲学への寄与論稿 (性起から[性起について]) 第3部門 未完論文[講演-思い] ハイデッガー全集 第65巻』、創文社、2005
原著は Martin Heidegger, Beiträge zur Philosophie (Vom Ereignis), Martin Heidegger Gesamtausgabe, 1989/1994
 成立は1936~1938年(p.552)
先見(1-49)//響き(50-80)//投げ送り(81-114)//跳躍(115-167)//
基づけ;現-有と有の企投(168-186)/現-有(187-203)/真理の本質(204-237)/底-無しの深淵としての時-空(238-242)/蔵することとしての真理の本質現成(243-247)//
将-来的な者たち(248-252)//最後の神(253-256)//
()(257-281)//
編者後記(F-W.v.ヘルマン、1988)/訳者後記など、
628ページ。


茂牧人、「ハイデガーの『隠れたる神』の神学」、『日本の神学』、no.38、1999、pp.15-33 [ < J-STAGE ]

茂牧人、『ハイデガーと神学』、知泉書館、2011
序文//ハイデガーと神学 初期フライブルク時代の神学的考察;若きハイデガーの獲得したモチーフ/事実的生体験を取り出す態度/事実的生体験の考察/形而上学批判のモチーフとルター/結び ハイデガーの〈隠れたる神〉の思索//
  哲学と神学 - マールブルク時代のブルトマンとの対話;初期フライブルク時代の事実的生の考察/マールブルク時代のハイデガーのルター研究/「現象学と神学」における哲学と神学との関係//
  神の思索;方法的無・神論の立場から『哲学への寄与』の立場へ/形而上学の神への批判/ハイデガーの神/「形而上学の存在・神・論的体制」における神論//
  言語論と痛みとしての否定神学;ハイデガーの言語観/語の否定神学的働き/痛みとしての否定神学/存在という語//
  ヘルダーリン論と神を超える自然;なぜヘルダーリンか/神の不在/神を超える自然//
  シェリング論と無底の神学;体系と自由との相克/悪の起源ー実存と根底/無底
(Ungrund)について//
  真理論と否定神学;プラトンの洞窟の比喩とハイデガーの真理論/非覆蔵性としての真理/『芸術作品の根源』における真理論/『パルメニデス』における真理論/善のイデアと深淵・脱根底//
  存在と神を結ぶもの -
Abgrund の思索;ハイデガーの深淵・脱根底について/神の思索//
ハイデガーの思索から宗教哲学へ 傷による赦しの宗教哲学;「既に赦されてあること」への信仰/傷による赦しの逆説/未来への信頼//
  キリスト教哲学の可能性;神学と哲学の区別またキリスト教哲学の役割/信仰の生の事実性の省察としてのキリスト教哲学/十字架の赦しの逆説的論理/無底としての神など、
300ページ。


上原潔、「存在の真理と最後の神 - マルティン・ハイデッガー『哲学への寄与』における」、『基督教研究』、vol.66 no.2、2005.3、pp.63-86 [ < 同志社大学・同志社女子大学 蔵書検索

 後期の〈四方域(四方界) das Geviert〉について

「物」(1949)、茅野良男、『ハイデッガー 人類の知的遺産 75』、講談社、1984、pp.212-236

 他の内容は
ハイデッガーの生涯//ハイデッガーの思想;はじめに/『存在と時間』/20年代末期の方向/30年代初頭の思索/中間期の思索/後期の思索//
ハイデッガーの著作;著作概観/『形而上学とは何か』(1929)(抄)/『芸術作品の起源』(1936)(抄)/『形而上学の克服』第26節(1942)/『形而上学とは何か』後記(1943)/『形而上学とは何か』序文(1949)など、
342ページ。


中村貴志訳・編、『ハイデッガーの建築論 - 建てる・住まう・考える』、中央公論美術出版、2008
建てる・住まう・考える(ハイデッガー、1951)//
建築論の対話 - マルティン・ハイデッガーの思惟を辿って(中村貴志);講演の状況 - テキストの位置/言葉と思索 - 「バウエン」という言葉/建築の現象 - 「住まうこと」の多様性/建築論の領域 - バウエンについて「考えること」/制作論の意義 - バウエンの時間性/テキストの示唆-環境・建築論の展望//
テキストの波紋;増田友也の着眼/
Otto Friedlich Bolnow の考察/Christian Norberg-Schulz の探求など、
320ページ。


鈴木哲、「四方域の思惟への道 - ハイデッガーの新たなる世界思惟 -」、『哲学』、no.45、1995、pp.252-262 [ < J-STAGE ]

『上田閑照集 第9巻 虚空/世界』、岩波書店、2002、pp.27-58:「第1部 1 世界の有意義性と世界の無、及び四方界」
 初出は『実存と虚存 - 二重世界内存在』、1999

 全体の目次は;
世界と虚空//
実存と虚存 - 二重世界内存在;世界の有意義性と世界の無、及び四方界/地平と地平の彼方/住む-安住と不安住と不住/もう一つの次元 - 世界とコスモス/世界遊戯と二重世界内存在/虚空/世界と時間//
場所としての自然;自然の死と自然/「現成公案」と自然/場所と曼荼羅//
後語 実存と虚存、そして
genius loci など、
360ページ。


松本啓二郎、「〈物への問い〉はいかにして可能か」、『アルケー : 関西哲学会年報』、no.12、2004、pp.195-210 [ < 大阪教育大学リポジトリ

 後掲の

中敬夫、『歴史と文化の根底へ 《自然の現象学》第2編』、2008、第1章~第4章のハイデッガー論、〈四方域〉に関してはとりわけ「第3章 ハイデッガーと自然/その3 - 40年代以降の摂-立(Ge-Stell)と四方(Geviert)」も参照

グレアム・ハーマン、岡嶋隆佑監訳、山下智弘・鈴木優花・石井雅巳訳、『四方対象 オブジェクト指向存在論入門』、人文書院、2017
原著は Graham Harman, The Quadruple, 2011
英語版への序文/はじめに/解体と埋却/感覚的対象/実在的対象/さらにハイデガーについて/関節因果/ハイデガーの四方界/新しい四方界/さまざまな水準と魂/存在地誌/思弁的実在論など、
240ページ。


 →こちら(「近代など(20世紀~) Ⅳ」の頁の「xix. ラヴクラフトとクトゥルー神話など」中の「作品論など」)で同じ著者による他の著書と関連して少し触れています

 また

的場哲朗、「ハイデガーとグノーシス主義」、『グノーシス 異端と近代』、2001、pp.228-242
はじめに//
「適用」とは何か - ハイデガーから学んだもの-//
実存論的分析論によるグノーシス主義の解釈;構造上の一致/内容上の一致 ラディカルな二元論 - 人間の異邦性と超越性、異邦性の懊悩 - 深刻な被投性の体験、覚醒をうながす呼び声 - 本来性の自覚/なぜ「適用」できたのだろうか


武井徹也、「第9章 ハイデガーと古代原子論 古代原子論の現象学的解釈の試み」、田上孝一・本郷朝香編、『原子論の可能性 近現代哲学における古代的思惟の反響』、2018、pp.255-286
はじめに/古代原子論の基本原理/
ハイデガーにおける古代原子論の現象学的解釈;レウキッポスの断片2の解釈/デモクリトスの断片156の解釈/古代原子論の位置づけと人間の魂の問題/
ハイデガーにおける古代原子論の現象学的解釈の射程/おわりに

…………………

 オイゲン・フィンク(1905-1975);

 フィンクの〈宇宙論的現象学〉のことを知ったのは、上掲新田義弘『現象学とは何か』(1958)の「第5章 最後の思想的境位 3 邂逅の現象学への道 - 神か自然か -」、p.189 ででした。

オイゲン・フィンク、石原達二訳、『遊びの存在論 幸福のオアシス』、せりか書房、1976
原著は Eugen Fink, Oase des Glücks. Gedanken zu einer Ontologie des Spiels, 1957
96ページ。

オイゲン・フィンク、千田義光訳、『遊び - 世界の象徴として』、せりか書房、1976
原著は Eugen Fink, Spiel als Weltsymbol, 1960
哲学的問題としての遊び;哲学の可能な対象としての、また価値ある対象としての遊び/人間の遊びの世界意義/方法論的考察/西洋のケンタウルス的形而上学における人間の位置づけ/世界は遊びか。遊びの世界の仮象のもとでの発端//
形而上学の遊び解釈;遊びの非現実性の性格/遊びと他の人間的生の諸分野 - プラトンの存在と無の混合/鏡を手掛かりにしたプラトンの遊び解釈。彼の詩人批判/覚醒者の光学。プラトン的鏡モデルの批判/草創期形而上学における遊びの存在論的価値否定-象徴問題//
神話の遊び解釈;神話的な祭祀の遊びの根本特徴/祭祀的象徴とその隠された世界指示 - デーモンとの交渉/遊びの象徴的表現の宇宙的階層 - 太古の時代のデーモン信仰。仮面の魔術/聖なる技術、宇宙的相等化、発動的魔術 - 祭祀の遊びへの移行/世界関連の偽りとしての祭祀の遊び。神々の遊びと世界の遊び/遊びと聖別。祭祀の遊びと宗教。神々自身の遊びは祭祀の遊びではない/自然は神話において「神々に満ち」、後の文化において神々を欠く。「自己疎外」をモデルとした宗教批判。遊びの世界性の問いは聖的でも、世俗的でもない//
人間の遊びの世界性;「世界的」という概念の多義性/遊びの世界性-形而上学的解釈と神話学的解釈に対比させて/世界への人間の脱自としての遊びと世界開示的存在者への世界の反照としての遊び - 遊び手の射ない遊びとしての世界など、
334ページ。


 →こちらでも挙げてあります:「マネ作《フォリー・ベルジェールのバー》と絵の中の鏡」の註9

ギー・フォン・ケルクホーフェン、小林睦訳、「オイゲン・フィンクの宇宙論的世界概念 - 『哲学入門』講義(1946年夏学期)における世界への宇宙論的な問いの提示について -」、『思想』、no.916、2000.10:「特集 現象学の100年」、pp.105-131
原著は Guy von Kerckhoven, "Eugen Finks kosmologischer Weltbegriff. Zur Exposition der kosmologischen Weltfrage in Eugen Finks Vorstellung 'Einleitung in die Philosophie'(S. S. 1946)", 2000

武内大、「形而上学的全一論とフィンクの現象学」、『フッサール研究』、3号、2005.3、pp.239-248 [ < 雑誌『フッサール研究』 < フッサール研究会

武内大、『現象学と形而上学 フッサール・フィンク・ハイデガー』、知泉書館、2010
序 形而上学と世界問題//
現象学的形而上学としての非存在論 絶対者の現象学としての非存在論 現象学的形而上学の構想;フッサールにおける形而上学と神の問題/フィンクの非存在論と超越論的方法論//
    フィンクの非存在論;非存在論と伝統的形而上学/超越論的傍観者と生としての絶対者//
  非存在論と時間分析 志向性の存在への問;ハイデガーのフッサール批判/世界内存在と超越//
    存在の意味の問としての時間分析;フッサールにおける世界時間と個体化の問題/脱現在化と揺動 初期フィンクの時間分析/構想力と世界の問題 フィンクのハイデガー批判//
コスモロギーと現象学的世界論の展開 コスモロギー的世界論の成立 フィンクのコスモロギー;現象の現象性としての世界/像と遊戯//
    伝統的形而上学のコスモロギー的解釈;超越論的範疇と超越論的理想/コスモロギー的差異と世界の不和的二重性//
    現象学における世界の問題;フッサールの空間論/ハイデガーの真理論/ロムバッハの構造存在論//
  光と闇の現象学 フィンクの光の形而上学批判;存在と光/ピュシスとロゴス-ハイデガーにおける覆蔵性の問題/闇の現象学//
    触覚と視覚;フランス現象学における光と闇/触覚的差異化-夢と眠りの問題//
結びにかえて、など、
246ページ。

…………………

 モーリス・メルロ=ポンティ(1908-1961);

モーリス・メルロ=ポンティ、中山元編訳、『メルロ=ポンティ・コレクション』(ちくま学芸文庫 メ 1-1)、筑摩書房、1999
言語について;表現としての身体と言葉(『知覚の現象学』から)/言葉の問題(『コレージュ・ド・フランス講義要録』から)//
身体について;問い掛けと直観(『見えるものと見えないもの』から)/絡み合い - キアスム(『見えるものと見えないもの』から)//
自然について;自然の概念(『コレージュ・ド・フランス講義要録』から)//
政治と歴史について;プロレタリアから人民委員へ(『ヒューマニズムとテロル』から)/歴史の理論のための資料(『コレージュ・ド・フランス講義要録』から)/個人の歴史と公共の歴史における「制度」(『コレージュ・ド・フランス講義要録』から)//
芸術について;セザンヌの疑い(『意味と無意味』から)//
メルロ=ポンティの〈身体〉の思想(中山元)/読書案内 - 訳者あとがきに代えて、など、
308ページ。


M.メルロー=ポンティ、竹内芳郎・小木貞孝訳、『知覚の現象学 1』、みすず書房、1967/1974
原著は Maurice Merleau-Ponty, La phénoménologie de la perception, 1945
序文//
序論 古典的偏見と現象への回帰;〈感覚〉なるもの/〈連合〉なるもの、および〈追憶の投射〉なるもの/〈注意〉なるもの、および〈判断〉なるもの/現象野//
身体;対象としての身体、および機械論的生理学/身体の経験と古典的心理学/自己の身体の空間性、および運動性/自己の身体の綜合/性的存在としての身体/表現としての身体と言葉など、386ページ。


M.メルロー=ポンティ、竹内芳郎・木田元・宮本忠雄訳、『知覚の現象学 2』、みすず書房、1974
知覚された世界;感覚するということ/空間/物と自然的世界/他者と人間的世界//
対自存在と世界内存在;コギト/時間性/自由など、
442ページ。


 こちら(「言葉、文字、記憶術・結合術、書物(天の書)など」の頁の「おまけ」/ダニエレブスキー『紙葉の家』に関連して)でも触れました

M.メルロ=ポンティ、滝浦静雄・木田元訳、『眼と精神』、みすず書房、1966
原著は Maurice Merleau-Ponty, Les science de l'homme et la phénoménologie, 1962 / Les relations avec autrui chez l'enfant, 1962 / Éloge de la philosophie, 1953 / L'Œil et l'esprit, 1964
人間の科学と現象学/幼児の対人関係/哲学をたたえて/眼と精神など、
382ページ。


M.メルロ=ポンティ、滝浦靜雄・木田元訳、『見えるものと見えないもの 付・研究ノート』、みすず書房、1989
原著は Maurice Merleau-Ponty, Le visible et l'invisble, suivi de notes de travail, 1964
まえがき(クロード・ルフォール)//
見えるものと自然[哲学的問いかけ];反省と問いかけ/問いかけと弁証法/問いかけと直観/絡み合い - 交叉配列//
  補遺;前客観的存在:独我論的世界/現前//
研究ノート;1959年1月/1959年2月/1959年3月/1959年5月/1959年6月/1959年7月/1959年8月/1959年9月/1959年10月/1959年11月/1959年12月/1960年1月/1960年2月/1960年3月/1960年4月/1960年5月/1960年6月/1960年11月/1960年12月/1961年3月//
あとがき(クロード・ルフォール)/訳者あとがきなど、
508ページ。


川瀬智之、「『奥行き』における『同時性』 - メルロ=ポンティの時間論の展開」、『美学』、no.229、2007.6.30、pp.43-56 [ < CiNii Articles
…………………

ロムバッハ、大橋良介訳、『形象は語る - 現象学の新しい段階 -』、創文社、1982
 1980年に来日した際の講演集
構造としての世界/「形象哲学」とゴッホの作品分析/ヘルメス学/人間 - 1つの対話/人間の将来についての哲学的省察//
解説など、
180ページ。


中敬夫、『自然の現象学 時間・空間の論理』、世界思想社、2004
一にして不可分の空間(の)経験 - スピノザ、フッサール、ビラン -;スピノザにおける「一にして不可分の延長」/フッサールの空間構成論/メーヌ・ド・ビランにおける「原初的空間」/結論 〈多における一〉と〈多なき一〉//
『物質と記憶』における緊張
(tension)と伸張(extension)『試論』と『創造的進化』のあいだで/純粋知覚 - イマージュ論/伸張と不可分連続延長/緊張と感性的諸性質/難点の検討-行為と視、感性的諸性質と瞬間/時間論的展望-行為のなかの無為と持続のなかの瞬間と//
瞬間のなかの持続 - フッサールとベルクソンの調停の試み -;現象学派のベルクソン批判/現代思想のフッサール批判/デリダ、フランク批判とフッサール解釈の新たな可能性/ベルクソンの現象学的解釈の可能性とドゥルーズ批判/持続と生ける現在//
〈一なき多〉の場の自己経験としての〈多なき一〉 - レヴィナス多元論の批判の試み -;レヴィナスの多元論/レヴィナス批判(1) - 現象性の次元で/レヴィナス批判(2) - 時間論の次元で/レヴィナス批判(3) - 倫理の次元で/結論 〈一なき多〉の根源場としての〈多なき一〉など、
252ページ。


中敬夫、『歴史と文化の根底へ 《自然の現象学》第2編』、世界思想社、2008
序//
ハイデッガーと自然/その1 - 20年代の「世界」と「自然」 -;自然 - 問題圏の画定/世界 - 超越論的哲学の構想と真性の問題/世界と自然 - 自らを隠すものの真性の問題//
ハイデッガーと自然/その2 - 30年代の「世界と大地の闘い」 - はじめに - 前期ハイデッガーから中期ハイデッガーへ//
  真有の歴史とピュシス;主導的問いと根本の問い/第1の始源と別の始源/ピュシスと性起//
  性起と大地;性起とその構造/神・人間・世界・大地/真性と大地//
  大地と真性;芸術と大地/真性の詩作/批判 - 大地の真性//
ハイデッガーと自然/その3 - 40年代以降の摂-立
(Ge-Stell)と四方(Geviert) -;はじめに - 40年代以降のハイデッガーと「自然」/「四方」と自然/「摂-立」と自然/危険と転回/性起と有の歴史/批判 - 「自然」は自ずら立ち現れうるか//
歴史の根底としての自然 - ハイデッガー
Seynsgeschichte の批判 -;はじめに/自然と歴史/「歴史」概念の変遷とその由来/真性と非真性/真性の根拠としての非真性と非真性の根拠としての真性/根源的真性としての自然//
文化哲学の根本問題 - カッシーラーと3つの哲学 -;はじめに/『象徴形式の哲学』の構想と3つの哲学/文化の超越論的哲学/記号の機能[函数]主義/文化の媒介性/生の無媒介性/精神と生-文化の根底にあるもの//
文化の根底としての自然 - メルロ=ポンティの思索をめぐって -;はじめに - カッシーラーからメルロ=ポンティへ/『知覚の現象学』における「自然」と「文化」/『自然』講義など/後期思想における〈自然〉の有論/問題点の検討と課題//
瞬間のなかの自然と文化 - ベルクソンとフッサールの場合 -;〈瞬間のなかの持続〉の実質の問題/フッサールにおける発生論的現象学の構想/ベルクソンにおける再認の構造/フッサールとベルクソンの調停可能性の問題/行為を離れた6人のベルクソン/ベルクソンと実在認識の問題/ビラン『習慣論』の観点から見たベルクソンとフッサール/結論-文化の基底としての自然など、
486ページ。


 「ユダヤ Ⅲ」のページの「xvii. 応用篇」で挙げた

永井晋、『現象学の転回 「顕現しないもの」に向けて』、2007

 も参照

 カッシーラー(→こちらも参照:「通史、事典など」の頁の「iv. 神話・神話学など」)、リクール(→そちらも参照:同上、「v. テーマ別のもの諸々」中の「その他」)、レヴィナス(→あちらも参照:「ユダヤ」の頁の「v. タルムードとラビ・ユダヤ教」)、デリダ(→ここも参照:「ギリシア・ヘレニズム・ローマ Ⅱ」の頁の「vi. プラトーン」)、シオラン(→そこも参照:「グノーシス諸派など Ⅲ」の頁の「おまけ」)、ドゥルーズ(→あそこ:「ギリシア・ヘレニズム・ローマ Ⅱ」の頁の「デーモクリトスと原子論、エピクーロス派」や、こっち:「バロックなど(17世紀)」の頁の「viii. ライプニッツなど」、またそっち:本頁下掲の「xv. 時間論、その他」も参照)、ガタリなどなどと挙げるべきなのでしょうが、とても手に負えないので、ここは以下のものだけ;

ジャック・ラカン、宮本忠雄訳、「〈わたし〉の機能を形成するものとしての鏡像段階」(1949)、宮本忠雄・竹内迪也・高橋徹・佐々木孝次訳、『エクリ Ⅰ』、弘文堂、1972、pp.123-134
原著は Jacques Lacan, "Le stade du miroir comme formateur de la fonction de Je", Écrits, 1966

ジャン=リュック・ナンシー、大西雅一郎訳、『神的な様々の場』(ちくま学芸文庫 ナ 15-1)、筑摩書房、2006
原著は Jean-Luc Nancy, Des lieux divins, suivi de Calcul du poète, 1987/1997 / La déconstruction du christianisme, 1998 / La joie d'Hypérion, 1983
邦訳は2001年刊本の文庫化
神的な様々の場/キリスト教の脱構築/詩人の計算/ヒュペーリオンの悦び//
訳者解説など、
336ページ。


近藤和敬、「ドゥルーズはシモンドンの議論をいかに理解し使用したか - ドゥルーズの忠実さと過剰さ -」、『鹿児島大学法文学部紀要人文科学科論集』、83巻、2016、pp.1-10 [ < 鹿児島大学リポジトリ
Permalink : http://hdl.handle.net/10232/26303

 「『宇宙発生論』(コスモゴニア)的観点」(p.1)が取りあげられています。

xiv. 可能世界論など

 このあたりは残念ながら頭の回路がついていってくれないのですが、とりあえず;

三浦俊彦、『可能世界の哲学 「存在」と「自己」を考える』(NHKブックス 790)、日本放送出版協会、1997 
序 「何でもあり」の世界観~可能世界へようこそ//
可能世界に何ができるのか;哲学と様相/様相と量化/「もしもかりに……」/法則と因果/意味と外延/虚構と価値判断//
可能世界のネットワーク;飽和する世界/到達できる世界、できない世界/現われては消える個体/諸世界を貫く個体/名指される個体//
可能世界とは何なのか;クリプキ型とルイス型/可能主義-有りうるものは有る/様相主義-悪循環の患い/自然主義-神の心か、時空点か/現実主義の限界/虚構主義-実用という真理//
可能世界は本当に有るのか;カミソリを研ぎすます/帰納法を正当化せよ/ニヒリズムを回避せよ/平行宇宙を分離せよ/世界の個数を決定せよ//
自然科学と可能世界;なぜ、量子の揺らぎが/なぜ、この宇宙に生命が/なぜ、「この宇宙」なのか/なぜ、あなたは存在するのか//
可能世界の外側;不可能世界?/哲学的必然性?/無限個の論理空間?/混沌の中の意識?//
付 可能世界ブックガイドなど、
250ページ。


 同じ著者の先行する本が;

三浦俊彦、『虚構世界の存在論』、勁草書房、1995
序言//
虚構作品(テクスト)とは何なのか;作品の変貌と同一性/外延と現象/発見と規定/作品の可能態//
虚構世界とは何なのか:不完全性;余剰情報と不確定性/不確定性への3つのアプローチ/排中律と二値性/発見、選定、創造/D.ルイスの集合説/外挿原理と曖昧さ/個体の追跡//
虚構世界とは何なのか:矛盾;矛盾に依存する物語/2種類の矛盾/合併の方法/解釈の存在論/論理的非閉鎖と最小離脱/論理的メタファー/2055年に何が起こったか//
虚構的対象(キャラクター)とは何なのか 諸説概観;記述理論(ラッセル)/擬装主張説(サール)/還元主義(ライル)/マイノング主義(パーソンズ)/理論的実体説(ヴァン・インワーゲン)/種類説(ウォルターストーフ)/寓意説(プランティンガ*)/代入的量化説(ウッズ)/状況説(ハインツ)/
de re 可能多世界説(クリプキ)/物理主義(クリプキ、カプラン、ドネラン)/de dicto 可能多世界説(ルイス)/de dicto 超世界説(スタルネイカー、カリー)/メイクビリーブ説(ウォルトン)/限界仮説と唯一仮説(スタルネイカー)/虚構論の判定軸//
虚構理論と何なのか;現象主義と一世界説/×(下に:メイクビリーブとしての)世界観など、
436ページ。


 後続する本が;

三浦俊彦、『多宇宙と輪廻転生 人間原理のパラドックス』、青土社、2007
序 この世に生まれることの難しさ/輪廻の必然性;「私」という不合理/純粋個体と純粋自我/繰り返す「私」/重なり流れる「私」//
超能力と超難問;語用論的独立性 - 仮説と証拠の、正しい関係/意識の超難問 - 擬似問題から純問題へ「私はなぜ他の誰でもなく、三浦俊彦なのか」の誤謬//
多宇宙と多精子;強い人間原理 - 多宇宙説がすべてを解く?/指示の因果説 - 「私」の誕生 どこに確率が作用するのか//
文明の終末;事前確率と事後確率 - 「論理で終末を予測」できる時代 その1/終末論法の構成的ジレンマ - 「論理で終末を予測」できる時代 その2//
皆既日食の原理;強い観測選択効果 - 「論理で終末を予測」できる時代 その3/SSSA - 皆既日食が本当に意味すること//
眠り姫問題;一人称的確率問題 - 眠りの森の美女/極端な眠り姫問題 - 安眠のための徹底考察//
輪廻転生;霊体、ゾンビ、そして転生 - 「同一人物」とは何か/いのちと解脱 - 輪廻する倫理//
終章 輪廻か多宇宙か//
付論 「意識の超難問」の論理分析など、
380ページ。


三浦俊彦、『エンドレスエイトの驚愕 ハルヒ@人間原理を考える』、春秋社、2018
まえがき/エンドレスエイトの驚愕(前) 「なにこれ!」/エンドレスエイトの憂鬱 「やりきれんな……」/エンドレスエイトの溜息 「やれやれ……」/エンドレスエイトの退屈 「いいかげんにもう……」/エンドレスエイトの消失 「どうしてこんなことに……」/エンドレスエイトの暴走 「やりすぎでしょ……」/エンドレスエイトの動揺 「いや、まだまだでしょ……」/エンドレスエイトの陰謀 「この手でどうだ……?」/エンドレスエイトの憤慨 「その手にのるか!」/エンドレスエイトの分裂 「それだけじゃないだろ?」/エンドレスエイトの驚愕(後) 「まさかこれほどとは!」/あとがきなど、
422ページ。


 谷川流原作の『涼宮ハルヒ』シリーズ(2003- )をアニメ化した『涼宮ハルヒの憂鬱』(2006,2009)第2期中の第12話-19話「エンドレスエイト」が主題。そこで→こちらにも挙げておきます(「近代など(20世紀~) Ⅵ」の頁の「谷川流」の項) 原作に則ってグノーシス主義的反神論が引きあいに出されたり(pp.76-77、p.334)、グルジエフの意識論が援用されたりします(pp.361-362)。
 と思えばグリーンバーグやフリードが参照されたりもします(p.121註73、p.237註144)。
 また物語世界の解釈の一つとして提案される〈オムニループ説〉 - 時間ループの遍在・多重化 - というのがなかなか面白い(pp.312-314)。

『哲学』、no.8、1989秋:「可能世界 神の意志と真理」
この世界、またはパラレルワールド(光瀬龍)/1,2と3,4(畑中正一)/可能世界と状況(R.ストルネイカー)/世界から状況へ(ジョン・ペリー)/哲学者の楽園 世界の複数性のテーゼ(デイヴィッド・ルイス→こちらに全訳:本項下掲、『世界の複数性について』、2016)/映像的抽象化(伊藤博文)/可能世界とモデル(野本和幸)/可能世界再訪(飯田隆)/時は神であるか?(松平頼暁)/世界の可能性と不可能性(小林康夫)/「突かれていないビリヤード」(中島らも)/妄想のリアリティー(小林恭一)//
必然的真理と偶然的真理(ライプニッツ)/「一人の人間も実在しない場合に、人間は動物である」は真か(ブラバンティアのシゲルス)/未来偶然命題 『論理学大全』より(オッカムのウィリアム)/様相命題について 『推断論』より(J.ビュリダン)//
中世論理学は可能世界を語らない(清水哲郎)/ハビトゥスとアナロギア(稲垣良典・坂部恵)/奥多摩の呪い 宮崎事件の神話的地理学(山口昌男)/中世への途上 5 『経験論と主体性』を巡るノート(丹生谷貴志)/臨床哲学 4 個体発生と2つの可能世界 生物学における現実世界と可能世界(養老孟司)など、
222ページ。


『文藝』、vol.33 no.4、1994冬、pp.279-342:「特集 可能世界トラヴェラー」
ポシブル・ワールド入門(瞑想導入篇) 可能世界は可能なのか(三浦俊彦)/唯識論・多世界解釈・一般経済学(中沢新一)/∞ビットの不-可能世界(赤間啓一・大澤真幸)//
可能世界についての4つの可能な質問(質問作成:三浦俊彦);可能世界意味論に抗する立場からの回答(星川啓慈)/そうである必要はない(永井均)/失われた可能世界(山内志朗)/可能世界についての4つの可能な質問の(ほぼ)ひとつに答えて(飯田隆)/無数のサイクリストの世界のように(丹生谷貴志)/もはや現実化不可能な可能世界(清水哲郎)/ノイズとノイズのあいだ(小島寛之)/海のざわめきを聞くには……(谷川多佳子)/文学者に出番はない(土屋俊)/私が愛するこの世界のことを私が愛するのはどうしてなのか(香山リカ)//
可能世界トラヴェラーのためのブック・カタログ(田崎英明)/可能世界トラヴェラーのための
関連人物(キイ・パーソン)・カタログ(同)//
《私は晩餐であった》(鈴木創士)/RIKACHAN HOUSE(長野まゆみ)/テクノの自己生成力と「ソーセージ」の可能世界(陣野俊史)/SF、ある
幻実世界(インポシブル・ワールド)(野阿梓)/可能世界のカノン(吉永良正)/量子物理学の可能世界 決定論としての多世界解釈(和田純夫、聞き手:三浦俊彦)

『現代思想』、vol.23-04、1995.4、pp.65-374:「特集 可能世界/固有名」
可能世界/固有名(柄谷行人・赤間啓之)/可能世界とは何か(飯田隆)/可能世界を名指すこと 固有名と記述の隙間から(三浦俊彦)/現実世界の構成と可能世界の位置(雨宮民雄)/仮面の生涯を命名する 秘められた名の記憶について(澤野雅樹)/叫ぶ者と語る者(田崎英明)/フィクションの真理(デイヴィッド・ルイス→こちらも参照:本項下掲のルイスの著書の邦訳)/可能世界に関する虚構主義の擁護(ピーター・メンジーズ+フィリップ・ペティット)/死者(パレ・ユールグラウ)/言葉は世界を救う ロシア言語哲学史断章(桑野隆)/固有名詞の矛盾 その異化と同化(イ・ヨンスク)/タルムードの諸節による神の名(エマニュエル・レヴィナス)/不実なる固有名(高橋義人)/生成する指示(加地大介)/話し手の指示と意味論駅指示(ソール・クリプキ)/「名辞」その指示対象・使い方・同一性(池田清彦)/概念形成の媒体としての「父」 「文は名ではない」という『論考』のフレーゲ批判との関連で(岡本賢吾)/生命と時間、そして原生-計算と存在論的観測(承前)(郡司ペギオー幸夫)/マクダウェルを読む 「単称思想と内的空間の広がり」、そのヴィジョン(篠原成彦)/貨幣論的差異をめぐって(岩井克人・大澤真幸)

倉持武、「可能世界の複数性について」、『松本歯科大学紀要 』、no.30、2001、pp.1-4 [ < 松本歯科大学リポジトリ

ソール・A・クリプキ、八木沢敬・野家啓一訳、『名指しと必然性 様相の形而上学と心身問題』、産業図書、1985
原著は Saul A. Kripke, Naming and Necessity, 1972/1980
前書き/第1講義-1970年1月20日/第2講義-1970年1月22日/第3講義-1970年1月29日/補遺//
訳者解説(八木沢敬)/訳者あとがきなど、
286ページ。


デイヴィッド・ルイス、吉満昭宏訳、『反事実的条件法』(双書現代哲学 6)、勁草書房、2007
原著は David Lewis, Conterfactuals, 1973/1986
反事実的条件法の分析/再定式化/比較/基礎/類比/論理//
付録 関連するデイヴィッド・ルイスの作品//哲学だって進歩する-訳者解説など、
340ページ。


デイヴィッド・ルイス、出口康夫監訳、佐金武・小山虎・海田大輔・山口尚訳、『世界の複数性について』、名古屋大学出版会、2016
原著は David Lewis, On the Plurality of Worlds, 1984
序文//
哲学者の楽園;世界の複数性テーゼ/様相実在論に何ができるか-様相/様相実在論に何ができるか-近さ/様相実在論に何ができるか-内容/様相実在論に何ができるか-性質/世界の分離/具体性/充満性/現実性//
楽園にあるパラドックス?;あらゆるものが現実的になってしまう?/すべての世界がひとつの世界のうちにある?/実際よりも多くの世界がある?/いかにして知りうるのか?/懐疑主義への道?/無関心への道?/恣意性が失われる?/疑いの眼//
安上がりな楽園?;代用主義のプログラム/言語的代用主義/図像的代用主義/魔術的代用主義//
対応者か、それとも二重生活者か?;良い問いと悪い問い/世界のオーバーラップへの反論/貫世界的個体への反論/このもの主義への反論/表象の一貫性への反論//
解説(八木沢敬)など、
352ページ。


 部分訳が→こちらを参照(本項上掲の『哲学』「可能世界 神の意志と真理」)。また別の論文→あちらも参照:本項上掲の『現代思想』「特集 可能世界/固有名

片岡優、「ディヴィッド・ルイスの様相の形而上学」、『創価大学大学院紀要』、no.30、2008.12.25、pp.415-431 [ < 創価大学学術機関リポジトリ

八木沢敬、『神から可能世界へ 分析哲学入門・上級編』(講談社選書メチエ 575)、講談社、2014
関係論;性質と関係/関係の関係/同値関係//
存在論的論証;神の概念/存在論的論証の概観/可能世界の枠組み内での定式化/完全な定式化/現実性の世界非相対性/現在性の発話文脈相対性/現実性の発話文脈相対性/まとめ//
可能世界;時間論理/様相論理/様相形而上学//
存在論的論証-現実主義;現実主義/不可能個体/個体の性質としての存在/存在という関係/可能主義との比較など、
286ページ。

 同選書所収の『分析哲学入門』、『意味・真理・存在-分析哲学入門・中級編』に続くシリーズ第三弾とのこと


野上志学、『デイヴィッド・ルイスの哲学 なぜ世界は複数存在するのか』、青土社、2020
はじめに//
可能世界と様相;形而上学的可能性/可能世界とは何か - 様相実在論の内実/どのような可能世界が存在するのか - 組み換え原理/現実性についての指標理論 - 時空と様相の類比/事象様相と対応者理論//
反事実条件文;反事実条件文とその性質/可能世界を用いた反事実条件文の分析/世界間の類似性基準//
因果;単称因果と出来事/因果と反事実的依存/ルイスの因果分析の問題/様相的に脆い出来事/因果は過程に内在的か - 内在性アプローチ/内在性アプローチの問題/影響としての因果 - ルイス第二の因果分析//
フィクション;書かれていないが真であること/現実の真理がフィクション内の真理に与える影響/人々の信念がフィクション内の真理に与える影響/フィクション間の相互作用//
知識;外界についての懐疑論/ムーア主義/知識閉包を否定する戦略/知識についての文脈主義//
キーワード解説/読書案内と問題/おわりに、など、
308ページ。


 応用篇ということで;

マリー=ロール・ライアン、岩松正洋訳、『可能世界・人工知能・物語理論』(叢書 記号学的実践 24)、水声社、2006
原著は Marie-Laure Ryan, Possible Worlds, Artificial Intelligence, and Narrative Theory, 1991
序//
虚構のゲーム;虚構の中心移動/可能世界と到達関係 - 虚構の意味論的分類/テクスト宇宙の再構築 - 最小離脱法則/声と諸世界/虚構オートマトン//
筋の図面作成;物語宇宙の様相構造/筋の力学 - 目標・行動・計画・私秘的物語/仮想性と物語価値性/累積・枠・境界、あるいはコンピュータ言語としての物語/筋の形態表示/ストーリー自動生成の発見学//
結論//
詩学の言語使用論的問題 訳者あとがきにかえて、など、
518ページ。


香山リカ、『自転車旅行主義 真夜中の精神医学』、青土社、1994
夜の自転車/私の〈自転車的転回〉/香水をラクロワにしなかったなら/誘惑するなら停車中に/幸せと不幸せの切片のサンドウィッチ/高速道路とグッド・ナイト・コール/まぶたを閉じても眠らない/シチリアの黄昏の月/ピアソラ水平奏団の熱死(ヒート・デス)/三連画の継ぎ目とダブリンの綻び目/ヘルメットのある路肩/干き潮で沈む砂浜/星なき聖夜にご希望を/自転車放置あるいはラッパ音の臨界/眼球湿度計には針が2本/樹に咲くボタンの墜落音/∞年後に君にケーキを/そして自転車は望遠鏡の彼方へ、など、
294ページ。


 「訳者あとがき」に「邦訳の『可能世界』と『現実世界』は、原題のための新造語」といって良かろう」とあるように(p.99)、アリストテレースの〈可能態/現勢態〉を思わせるもので、分析哲学とは関係なさそうですが;

フランソワ・ジャコブ、田村俊秀・安田純一訳、『可能世界と現実世界 進化論をめぐって』、みすず書房、1994
原著は François Jacob, The Possible and the Actual, 1982
序/神話と科学/進化のブリコラージュ/時間、そして未来の発明など、
120ページ。


 上掲の『哲学』、no.8、1989秋:「可能世界 神の意志と真理」に
ライプニッツ「必然的真理と偶然的真理
 の邦訳が掲載されていますが、ライプニッツについては→「バロックなど(17世紀)」のページの「viii. ゴットフリート・ヴィルヘルム・ライプニッツ(1646-1716)など」を参照


 また「世界の複数性など」のページの→こちらも参照

xv. 時間論、その他

 このページでもすでに、J.W.ダン、ベルクソン、バシュラール、フッサールだのの時間論が出ていますが(「通史、事典など」のページ中の「vii. 時間、空間など」も参照);

ジョン・エリス・マクタガート、永井均=訳・注解と論評、『時間の非実在性』(講談社学術文庫 2418)、講談社、2017
マクタガートの原著は John Elliss McTaggart, "The Unreality of Time", Mind, vol.17, 1908, pp.456-474
はじめに//
時間の非実在性(本文)//
注解と論評;A系列なしには時間はありえない/時間の本質であるA系列は矛盾しており、それゆえ実在しないから、時間は実在しない//
付論;A系列とB系列/矛盾はどこにあるのか/時計の針について//
必要最小限の参考文献など、
264ページ。


 マクタガート本文の訳は pp.15-58。

滝浦静雄、『時間 - その哲学的考察 -』(岩波新書 960)、岩波書店、1976
序 時間への問いと方法//
時間のパラドクス;絶対時間と常識的時間/絶対時間のパラドクス//
時間の形(1);円環としての時間/アリストテレスの時間論//
時間の形(2);直線としての時間/時間と因果性/時間とエントロピー//
時間の言葉(1);時間系列とは何か/時間系列の非実在性/マクタガート批判//
時間の言葉(2);「実在的時間」としてのB系列/「自己中心的特殊規定」/意味論的客観性//
時間と自我;主観的時間/現象学的時間論/フッサール批判//
意味としての時間と身体;時間の実在性とは何か/時間の経験/意味と身体など、
214ページ。


大森荘蔵、『時間と自我』、青土社、1992
時間の変造/過去の制作/観測者は邪魔?/刹那仮説とアキレス及び観測問題/言語的制作(ポイエーシス)としての過去と夢/過去概念の改訂//
自我と時間の双生/ホーリズムと他我問題/理論概念としての自我と他我/「他我」の
意味制作(ポイエーシス)//
鏡の中の左右/風情と感情など、
272ページ。


大森荘蔵、『時間と存在』、青土社、1994
線型時間の制作と点時刻/幾何学と運動 アキレス問題の解消/ゼノンの逆理と現代科学/キュビスムの意味論//
存在の意味 「語り存在」/疑わしき存在/色即是空の実在論//
無脳論の可能性/脳と意識の無関係/意識の虚構から「脳」の虚構へ、など、
272ページ。


大森荘蔵、『時は流れず』、青土社、1996
物語りとしての過去/殺人の制作 過去制作の一断片/「後の祭り」を祈る 過去は物語り/時は流れず 時間と運動の無縁//
他我問題の落着/他我問題に訣別//
主客対置と意識の廃棄/「意識」からの解放など、
232ページ。


中島義道、『時間を哲学する 過去はどこへ行ったのか』(講談社現代新書 1293)、講談社、1996
夢と人生/人生の短さについて/時間の速さとは何か/過去はどこへ行ったのか/過去はどこへも行かない/「死ぬ」時としての未来/現在という謎など、
216ページ。


入不二基義、『時間は実在するか』(講談社現代新書 1638)、講談社、2002
「時間の非実在性」はどう考えられてきたか/「時間の非実在性」の証明(1) - 証明の前半/「時間の非実在性」の証明(2) - 証明の後半/証明は成功したのか/もう一つ別の時間論 - 第4の形而上学的な立場など、
318ページ。

 「この本がこれから試みるのは、イギリスの哲学者J.M.E.マクタガート
(John McTaggart Ellis McTaggart, 1866-1925)の『時間の非実在性』についての議論をゆっくりとていねいに追いかけることであり、その議論を徹底的に批判することであり、さらにその議論を超えて、私自身の『時間の形而上学』を描くことである」(p.7)。

加地大介、『なぜ私たちは過去へ行けないのか ほんとうの哲学入門』(魂の本性 collection ψυχή 1)、哲学書房、2003
なぜ私たちは過去へ行けないのか;ターミネーター2/限りなくおいしいワイン/「ターミネーター2」の謎/過去は引き起こせる……ロンドンの宿命論と踊る酋長/未来は決定している……オズモの物語/過去と未来の相違/可能性としての未来と必然性としての過去/私たちが過去へ行けない理由……その1/私たちが過去へ行けない理由……その2/ひょっとしたら面白いかもしれないけれど、まったく哲学的とはいえないエピローグ 運命は自分で創る//
なぜ鏡は左右だけ反転させるのか;鏡像反転の謎/鏡は上下も左右も反転させない/ノボル君の悩み/鏡は上下も左右も反転させる/ふたたびノボル君の悩み/鏡の中の世界は2次元? 3次元?/デカルト座標と回転座標/鏡はやっぱり左右だけ反転させる/回転軸の謎/ちょっと難しいかもしれないけれど、もっと哲学的だといえるエピローグ カントの空間論など、
202ページ。


加地大介、『穴と境界 存在論的探求』(現代哲学への招待)、春秋社、2008
存在のかたち;現代形而上学をとりまく事情と存在論/3つの現代的カテゴリー論/現代哲学における「存在論的転回」//
穴;穴は存在するか/穴は回るか/穴とは何ものか(1) - 物体としての穴/穴とは何ものか(2) - 欠如としての穴/穴とは何ものか(3) - 依存的対象としての穴//
境界;なぜ境界は重要なのか(1) - 実体の独立性/なぜ境界は重要なのか(2) - 実体の自己連結性/なぜ境界は重要なのか(3) - 「触れ合い」の謎/境界とは何ものか(1) - 無としての境界/境界とは何ものか(2) - 抽象的対象としての境界/境界とは何ものか(3) - 具体的対象としての境界/4種類の「触れ合い」/依存的構成要素としての境界//
付録 形式存在論の現代的展開;哲学的フォーマル・オントロジー/工学的フォーマル・オントロジー/代表的な形式的関係など、
246ページ。


村山章、『4次元時空の哲学 相対的同時性の世界観』(21世紀叢書)、新泉社、2007
相対性理論と4次元時空 相対性理論の概説の部;同地点の相対性と同時刻の相対性/光速不変の原理/同時刻の相対性と時間の遅れ、長さの収縮/ミンコフスキー4次元時空/一般相対性理論と歪んだ時空//
  哲学的考察の部;4次元時空を実在するか/決定論的世界像/量子論上の問題//
連続性と矛盾の問題について;アキレスと亀/相対性原理に基づく「アキレスと亀」/距離の変化と「分割のパラドックス」「飛ぶ矢のパラドックス」/4次元時空の存在/時間と空間の差異について/速度の連続性について/論理は時間を鳥瞰する/ゼノンの思想とアインシュタイン//
時間表象の問題について;時間の内省的考察/時空スキャンの世界モデル/今を持つもの持たぬもの/タイムトラベルについて/時間の方向について//
倫理学的問題(自由論);自由論に向けて/時間の流れと自由意志/客観的自由概念の分析/主観的自由界年の分析/そして、もう一つの自由など、
286ページ。


セオドア・サイダー、中山康雄監訳、小山虎・齊藤暢人・鈴木生郎訳、『4次元主義の哲学 持続と時間の存在論』(現代哲学への招待)、春秋社、2007
原著は Theodore Sider, Four-Dimensionalism. An Ontology of Persistence and Time, 2001
序論//4次元的な世界像//
現在主義への批判;時間論における2つの問題 - 存在論と時制/時間をまたいだ空間的関係/真理メーカーに基づく反論/現在主義と特殊相対論//
3次元主義と4次元主義を規定する;なぜ定式化にこだわるのか/4次元主義を規定する/3次元主義とは何か/延続、耐続、現在主義、永久主義//
4次元主義の擁護(1);節約に基づくラッセルの議論/論理学に基づく議論/時間のA理論は不整合である/4次元主義と特殊相対論/空間と時間は類比的である/一時的内在性質の問題/風変わりな可能性に基づく議論/時空に基づく議論/曖昧性に基づく議論//
4次元主義の擁護(2) 一致のパラドックスについての、もっとも優れた統一理論;一致の脅威/ワーム説と一致/一致する3次元的対象/バークの優勢性に基づく説明/一時的同一性/消去主義/メレオロジー的本質主義/段階説//
4次元主義に対する反論;言語学的反論と認識的反論/変化の不可能性に基づく反論/いかれた形而上学/様相に基づく議論/均質な物体の運動//
監訳者解説など、
476ページ。


 →こちらで少し触れました:草野原々『大絶滅恐竜タイムウォーズ』(2019)に関し/「近代など(20世紀~) Ⅵ」の頁

辻正二監修、山口大学時間学研究所編、『時間学概論』、恒星社厚生閣、2008
時間の流れと記録;物理の時間・宇宙の時間(藤沢健太)/時間の哲学(青山拓央)/時間とそのリズムを記録する地球(鎌田祥仁)/パソコン・インターネットの発達と時間(松野浩嗣)//
生きものと社会の時間;生物の時間・ヒトの時間(井上愼一)/知覚体験の時間的特性と心的時間(一川誠)/昔という時間、古という時間(森野正弘)/現代社会における社会的時間(辻正二)/少子高齢社会における労働と余暇(石田成則)など、
230ページ。


檜垣立哉、『瞬間と永遠 ジル・ドゥルーズの時間論』、岩波書店、2010
序章 ドゥルーズの時間論とは何か/第3の時間/永遠の現在/見者の時間/生成の歴史/断片の歴史/歴史の断片/終章 自然の時間と人為の時間//
補論;パラドックスとユーモアの哲学/ドゥルーズ哲学における「転回」について、など、
208ページ。


椿井真也、「時間の非実在性と Julian Barbour の無時間論」、『Core Ethics (コア・エシックス)』、vol.17、2021、pp.155-163 [ < 立命館学術成果リポジトリ
JaLC DOI : info:doi/10.34382/00014515

 →こちらで触れました:「近代など(20世紀~)」の頁のカルロ・ロヴェッリ、冨永星訳、『時間は存在しない』(2019)のところ

Paul J. Nahin, Time Machines. Time travel in physics, metaphysics, and science fiction, 2nd edition, Springer Verlag New York, Inc., 1993/1999
『タイム・マシン 物理学、形而上学、SFにおける時間旅行』(第2版)
来るべき事どもの例/序(キップ・S・ソーン)/第2版で何が新しいか/初版へのプロローグ/初版への謝辞//
時間旅行概観;時間旅行の神秘/夢や薬物なしの非機械的時間旅行/機械による時間旅行/H.G.ウェルズ - 彼のタイム・マシンはなぜ作動しないであろうことか/未来へ旅する/過去へ旅する/他の誰が時間旅行に興味を抱いたかもしれなかったか/いくつかの問題/時間を遡って - ほんとうになされうるのか?/諸逆説の問題/〈過去を変えること〉のフィクションにおける始まり/諸逆説を避ける諸方法/時間旅行者は皆どこにいるのか?/懐疑論と時間旅行者たち/アインシュタイン、ゲーデルと過去/量子力学、ブラック・ホール、特異点と時間旅行/ティプラーのタイム・マシン//
時間、時空、第四次元の性質について;時間とは何か?/時間の実在についての諸思弁/過去は永遠にあったのか?/時間と時計/超空間と
虫喰い穴(ワームホール)/超空間の怪物たち/第四次元としての空間/第四次元としての時間/H.G.ウェルズ、時間と空間について/時空と第四次元/時空、全知と自由意志/未来はすでに存在するのか?過去はいまだまわりにあるのか?//
時間の矢;時間旅行の言語/時間には向きがあるのか?/原因と結果/逆向きの因果/〈今〉は何を意味するのか?/不可逆性/逆向きの諸世界/逆向きの時間の哲学と物理学/時間の矢としてのエントロピー/他の時間の矢/多次元的な時間//
時間旅行の諸逆説とその説明(のいくつか);諸逆説/時間旅行の諸逆説についての初期SFの思弁/時間旅行の二つの基本的な逆説/現在は過去を変えることができるのか?過去は取り消されうるのか?/過去を変える-対-過去に作用する/時間旅行者はなぜ彼の祖父を殺せないのか?/量子力学と時間旅行/因果の環/性的な諸逆説/マックスウェルの方程式と先進する諸結果/過去との交信/ウィーラー&ファインマンとそのだまくらかす逆説/吸収理論と過去へ信号を送る/タキオンの信号、薄気味悪い振舞とベルの反電話//
エピローグ//
技術的覚書;〈今〉とはいつか?/時間膨張-対-光子時計/ロレンツ変換/時空図表、光円錐、測定基準と不変の間隔/固有時、湾曲した世界線と双子の逆説/高速度ロケットは未来への片道タイム・マシンである/超光速、逆向きの時間旅行とワープ・ドライヴ、あるいは過去へ光より速く/ゲーデルとティプラーによる逆行時間旅行/
虫喰い穴(ワームホール)・タイム・マシン/アインシュタインの重力場方程式、非物理的質量=エネルギーと宇宙ひも・タイム・マシンを〈解く〉/時間と重力など、
662ページ。


 物理学の話が多いので→こちら(「近代など(20世紀~)」の頁の「ii. 1990年代前後」)、
 SFの話も多いので→そちら(「近代など Ⅳ」の頁中の「xvii. ブックガイド、通史など」の項)
 にも挙げておきます

…………………

ハンス=ペーター・デュール、ヴァルター・Ch・ツィンマリ編、尾形敬次訳、『精神と自然 自然科学的認識と哲學的世界経験の間の対話』、木鐸社、1993、pp.15-79:「第Ⅰ部 世界・科学・実在」
精神と自然(カール・フリードリッヒ・フォン・ヴァイツゼッカー)/科学と実在-物理学の世界像と本来の実在との関係について(ハンス=ペーター・デュール)/時間の再発見 - 一定の予言可能な世界における自然科学(イリヤ・プリゴジン)/精神・自然・創造 - 宇宙論上の事実とそこから推測できる宇宙の開闢(ハンス・ヨナス)

 原著は
Herausgegeben von Hans-Peter Dürr und Walther Ch. Zimmerli, Geist und Natur, 1989

ジム・ホルト、寺町朋子訳、『世界はなぜ「ある」のか? 実存をめぐる科学・哲学的探索』、早川書房、2013
原著は Jim Holt, Why Does the World Exist? An Existential Detective Story, 2012
プロローグ 忙しい生活をする現代人に贈る、何もないのではなく、何かがあるはずであることの手っ取り早い証明/謎との遭遇/幕間 私たちの世界がハッカーによって創造されたことはありうるか?/哲学のあらまし/幕間 無の計算/無の小史/偉大なる拒否者/有限か無限か?/幕間 カフェ・ド・フロールでの夜想/帰納法を駆使するノース・オックスフォードの有神論者/幕間 是非もない至高の真実/多宇宙論の鬼才/幕間 説明の果て/究極のフリーランチ?/幕間 嘔吐/究極理論を待ちながら/幕間 多世界への一言/プラトン主義の意見/幕間 それ(イット)はビットから?/「何かが存在することの倫理的な要件」/幕間 パリのヘーゲル哲学信奉者/すべての魂(オール・ソウルズ)からの決定的な言葉/手紙による幕間 証明/ちょっとした軽妙な詩としての世界/自己:私は本当に存在するのか?/無への回帰/エピローグ セーヌ川の上で、など、
448ページ。

 アドルフ・グリュンバウム(「第4章 偉大なる拒否者」、
 リチャード・スウィンバーン(「第6章 帰納法を駆使するノース・オックスフォードの有神論者」)、
 デイヴィッド・ドイッチュ(「第7章 多宇宙論の鬼才」、→こちらも参照:「近代など(20世紀~)」の頁、『世界の究極理論は存在するか』、1999)、
 スティーヴン・ワインバーグ(「第9章 究極理論を待ちながら」、→そちらも参照:同上、『宇宙創成はじめの三分間』、1977)、
 ロジャー・ペンローズ(「第10章 プラトン主義の意見」、→あちらも参照:同上、『ホーキングとペンローズが語る 時空の本質』、1997)、
 ジョン・レスリー(「第11章 『何かが存在することの倫理的な要件』」)、
 デレク・バーフィット(「第12章 
すべての魂(オール・ソウルズ)からの決定的な言葉」)、
 ジョン・アップダイク(「第13章 ちょっとした軽妙な詩としての世界」)
などとの対話を含みます。

 →ここでも少し触れています:「〈宇宙論〉と〈宇宙観〉など、若干の用語について」の頁

近藤勝彦、「創造の起源について」、『紀要』、no.3、東京神学大学、2000.3.30、pp.89-110 [ < CiNii Articles

関口佐和子、「モルトマンの宇宙的キリスト論」、『基督教研究』、vol.65 no.2、2004.3、pp.107-115 [ < 同志社大学・同志社女子大学 蔵書検索 ] 

中澤實郎、「バルト神学における摂理、虚無的なもの、天国論の展開」、『紀要』、no.44、2008.3、pp.1-39 [ < ひろさき地域共同リポジトリ ] 

道躰(どうたい)章弘、『創造と情報 現代形而上学叙説』、水声社、2009
方法の問題 - 序に代えて//
絶対存在すなわち創造因;存在と無/「原初のカオス」神話/「永遠の循環」と「永遠回帰」神話/「一[者]」もしくは「同一性」の形而上学/グノーシス主義形而上学と神統記神話の再興/ヘブライ人の形而上学//
相対的存在すなわち情報化する活動的形相である霊魂;霊肉二元論/アリストテレスの「霊魂による情報[形相]化」論/原子論/ヘブライの人間論すなわち霊魂被造説/霊肉二元論(その二)/プロティノス説すなわち霊魂不完全降下説/オリゲネス説すなわち折衷論/教父等の人間学すなわち霊魂被造説(再説)/デカルトすなわち霊肉二元論(その三)/マルブランシュすなわち霊肉二元論(その四)/ベルクソンすなわち創造力の「枯渇」(あるいは「落下」)論/霊魂すなわち存続する活動的形相の実体性//
補説;反創造論の系譜 - 批判的素描/ベルクソン形而上学の両義性/ハイデガーの非形而上学的存在思考 - 批判/霊魂不滅説//
創造の究極目的 - あとがきに代えて、など、
488ページ。


互盛央、『エスの系譜 沈黙の西洋思想史』、講談社、2010
プロローグ - エスを奪い合う者たち;邂逅 - フロイトとグロデック/確執 - 『エスの本』と『自我とエス』//
エスの問題圏;フロイトとニーチェ/ニーチェの因果性批判/ランボーの反抗/「絶対的に近代的」であること/デカルトの問い/非人称の「思われる」ことへ//
エスの淵源へ;「神なる自然」とゲーテ/フィヒテの課題/近代の逆説/シェリング来都/フォイエルバッハの示唆/端緒としてのリヒテンベルク/ビスマルクのエス/ハルトマンという桎梏/フロイトとハルトマン/「台無しにされたショーペンハウアー」//
変貌するエス;「自然の精神化」と「自然の物質化」/ヘルムホルツからマッハへ/ルナンの二面性/ドレフュス事件とエス/スーリー、そしてエクスナー/ユダヤ人とは誰だったのか/遺伝する「エスの経験」/「世界霊」としてのエス/ジェイムズと心霊主義/ユングとの葛藤/獲得形質の遺伝/シュタイナーとゲーテの出会い/シュタイナーとハルトマン/シュタイナーのエス//
エスへの抵抗;カール・クラウス/抵抗するローゼンツヴァイク/ブーバーの「君」とエス/「始源語」としてのエス/ウィーン学団のエス/ラッセルによる仲介/ヴィトゲンシュタインのエス/ハイデガーのエス/『モーセという男と一神教』へ/伝承するエス、伝承されるエス/エスの稲妻//
エピローグ-「エスの系譜」のゆくえ;メルロ=ポンティと「沈黙」/ルソーからレヴィ=ストロースへ/ドゥルーズのほうへ/傷をもつ者など、
302ページ。

 同じ著者による→こちらを参照:「言葉、文字、記憶術/結合術、書物「(天の書)など」の「人工言語・言語起源論など
 関係あるのかどうかいささか心許ないのですが〈エス〉にちなんで→そちらでも挙げています:「怪奇城の外濠 Ⅲ」の頁の「おまけ


桑野萌、「ペドロ・ライン=エントラルゴの身体論を巡って - ペドロ・ライン=エントラルゴにおける心身の一体性とダイナミズム的宇宙論の思想史的背景について -」、『人体科学』、22巻1号、2013、pp.74-81 [ < J-STAGE ]
DOI https://doi.org/10.20788/jmbs.22.1_74

xvi. 20世紀神秘学の歴史など

 「日本 Ⅱ」のページの「xi. 近現代」の項や「ユダヤ Ⅲ」のページの「xvi. キリスト教カバラ-、隠秘学的模作など」の項などもあわせてご覧ください。ブラヴァツキーと神智学など、一部19世紀にさかのぼりつつ;

種村季弘、『アナクロニズム』(ユリイカ叢書)、青土社、1973、pp.33-45:「續・地球空洞説」

セオドア・ローザク、志村正雄訳、『意識の進化と神秘主義 科学文明を超えて』、紀伊國屋書店、1978
原著は Theodore Roszak, Unfinished Animal. The Aquarian Frontier and the Evolution of Consciousness, 1975
序 ピコのカメレオンと意識の回路/水がめ座の境界地域/カーニバルとコンピュータのあいだの神/奇形たち - 人間的可能性の進化論的イメージ/少数派/「忘れないようにせよ」//
オカルト進化論者-秘密の教義から健康精神(ユーサイキアン)療法まで;マダム・ブラヴァツキーの秘義ルドルフ・シュタイナーのアカシア狂想曲グルジエフの試練による療法/われわれにふさわしい進化//
聖三角形と俗三角形 - 文化の幻視的起源/高次の正気とその競争相手たち/倫理とエクスタシー - パタンジャリの警句を考える/コンセンサスの中心 - 次のリアリティの踏査など、
350ページ。


マンリー・P・ホール、『古代の密儀 象徴哲学体系 Ⅰ』、1980

  同、  『秘密の博物誌 象徴哲学体系 Ⅱ』、1981

  同、  『カバラと薔薇十字団 象徴哲学体系 Ⅲ』、1981

  同、  『錬金術 象徴哲学体系 Ⅳ』、1981

  同、  『人間 密儀の神殿』、1982

アン・バンクロフト、吉福伸逸訳、『20世紀の神秘思想家たち アイデンティティの探求』(mind books)、平河出版社、1984
原著は Anne Bancroft, Twentieth Century Mystics and Sages, 1976
序文//
橋を架けた人々;オルダス・ハクスレー/アラン・ワッツ/トーマス・メルトン/テイヤール・ド・シャルダン//
孤高の人;クリシュナムルティ//
スーフィーのメッセンジャー;グルジェフ/パク・スブー//
ヒンドゥーの導師(グル)メハー・ババ/ラマナ・マハリシ//
仏教の中道;チョギャム・トゥルンパ//
ユダヤの預言者;マルティン・ブーバー//
オカルティスト;ダイアン・フォーチュン/ルドルフ・シュタイナー//
見る人;カスタネダ//
神秘主義者とマザー;マザー・テレサ//
アイデンティティを求めて、など、
408ページ。

 原著にある
「『ディヴァイン・ライト・ミッション』のマハラジ、TM(超越瞑想)のマハリシ・マヘッシ・ヨーギ、タイ出身の仏教僧で現在イギリスで活躍中のディラヴォンサ、禅に造詣の深いイギリスの神秘思想家ダグラス・ハーディンの4人」
は省かれています(p.401)。


マーティン・ガードナー、市場泰男訳、『奇妙な論理Ⅰ だまされやすさの研究』(ハヤカワ文庫 NF272)、早川書房、2003
原著は Martin Gardner, In the Name of Science, 1952
 邦訳は1989年刊本の再刊(原著の第4,第6、第8、第26章は割愛)
科学の名において 擬似科学と奇人のプロフィル/平たい大地、中空の地球 地球空洞説の周辺/地球をゆるがした怪星たち 聖書の奇跡の「天文学的」裏づけ/くたばれアインシュタイン 相対論の揚足とり/地質学対創世記 進化論への抵抗/憎悪を煽る人々 人類差別の「科学的」基礎/医療の4大
宗派(カルト) 同種療法、自然療法など/食物のあぶく流行 断食からハウザー食まで/オルゴン理論 オルガスムと宇宙論/ダイアネティックス 出生前記憶と精神治療/ESPとPK ラインの実験の問題点//
解説-人生を決めた古典的名著(山本弘)など、
320ページ。

 「地球をゆるがした怪星たち 聖書の奇跡の「天文学的」裏づけ」の章でヴェリコフスキーの『衝突する宇宙』(→こちらを参照:本項下掲)、ヘルビガーの宇宙氷理論その他を取りあげています。
 次の「くたばれアインシュタイン 相対論の揚足とり」はジレットのラセン形宇宙他について。
 続いて


マーティン・ガードナー、市場泰男訳、『奇妙な論理Ⅱ なぜニセ科学に惹かれるのか』(ハヤカワ文庫 NF273)、早川書房、2003」
邦訳は1992年刊本の再刊
円盤狂時代の開幕 異星人が地球を見張ってる?/
占い棒(ダウジング・ロッド)と占い振子 地下水や石油、病気や性別もピタリ/生命をつくり出す人々 現代のホムンクルス/ルイセンコの勝利と敗北 科学が権力にすり寄るとき/アトランティスとムー 「失われた大陸」の魔力/ピラミッドの神秘 数字が未来を予言する/奇跡の医療機械 えせ医師たちのボロもうけ/めがねを捨てろ! オルダス・ハクスリーもだまされた近眼治療/奇妙な性の理論 男女児の産み分け、若返り、保留性交など/一般意味論とサイコドラマ 精神治療のわき道/骨相学から筆跡学まで 性格判断のいろいろ//
訳補 擬似科学の新しい話題から 超能力から超物理学へ/解説-信ずるは(やす)く、疑うは(かた)し(池内了)など、
320ページ。


横山茂雄、『聖別された肉体 オカルト人種論とナチズム』、水声社、1990
ウィーン=バビロン/鉤十字の城/根源人種の彼方に/予言者たち/ナチ出現前夜/「20世紀の神話」/「祖先の遺産」/ホムンクルスの流産//
附録;歪んだ性意識 - ヴァイニンガー、シュレーバー、ランツ/玄米、皇国、沈没大陸/J.ランツ=リーベンフェルス博士『神智学とアッシリアの獣人』(抄)など、
400ページ。


 同じ著者による→こちら(稲生平太郎名義で高橋洋と『映画の生体解剖 恐怖と恍惚のシネマガイド』、2014/「怪奇城の外濠」の頁の「iii. 怪奇映画とその歴史など」)や、そちら(『異形のテクスト 英国ロマンティック・ノヴェルの系譜』、1998/同上、「v. ゴシック・ロマンス、その他」)、またあちら(『神の聖なる天使たち ジョン・ディーの精霊召喚 1581~1607』、2016)/「ルネサンス、マニエリスムなど(15~16世紀)」の頁の「ジョン・ディー」の項)を参照
 次の本所収の「獣人と神人の混淆 - アドルフ・ランツとフェルキッシュ・オカルティズム」と「ヒトラー、ナチズム、オカルティズム」は上掲『聖別された肉体』の「内容を抄出したもの」とのことですが(p.2);


稲生平太郎、『定本 何かが空を飛んでいいる』、国書刊行会、2013
図版/自序//
何かが空を飛んでいる(1992);私は前科者である/踊る一寸法師/小人たちがこわいので/虐げられた人々/セックスと針とフライング・ソーサー/私を涅槃に連れてって/空飛ぶレイシズム/妄執の格納庫18/陰謀の泉/キャデラックの中の三人男/黒い哄笑/空を飛んでいるのは何か?/光に目が眩んで/附録 泥の海 - あるいは円盤文献瞥見//
  「純」円盤映画を求めて/不思議なセルロイド - 怪奇幻想映画オールナイト全五夜//
影の水脈;影の水脈 - 西洋近代オカルティズム略史/シオンの顕現 - アーサー・マッケンと〈オカルト〉/天の影 - チャールズ・ウィリアムズをめぐって/想像力という「呪い」 - シャーロッテ・ブロンテ『ヴィレット』/異界の言葉 - テオドール・フルールノワ『インドから火星へ』地底への旅 - カフトン=ミンケル『地下世界』/ログフォゴあるいは「岩の書」 - リチャード・シェイヴァーについてのノート水晶の中の幻影 - ジョン・ディーの精霊召喚作業/物語としての同祖論の「起源」/妄想の時空 - 木村鷹太郎とウィリアム・カミンズ・ボーモント/獣人と神人の混淆 - アドルフ・ランツとフェルキッシュ・オカルティズム/ヒトラー、ナチズム、オカルティズム//
他界に魅せられし人々;他界に魅せられし人々 - 『妖精の誘惑』のためのノート/夢と光り物 - アナ・キングズフォード、佐々木喜善、泉鏡花/「心界幽玄」のこと - 南方熊楠とフレデリック・マイアーズ/先住異民族の「残存」 - 南方熊楠、柳田國男の山人論争における隠された文脈/牛涎的博士 - 坪井正五郎をめぐって/家に憑く - 『四谷雑談』/平田翁の「夏休み」 - 『稲生物怪録』をめぐって//
後記など、
454ページ。


ピーター・ワシントン、白幡節子・門田俊夫訳、『神秘主義への扉 現代オカルティズムはどこから来たか』、中央公論新社、1999
原著は Peter Washington, Madame Blavatsky's Baboon, 1993
序章 トルコ・ブルー/拠り所と手掛かり/マローニーとジャック/夢想郷からのお告げ/やっかいな出来事/使徒伝承/第二世代/少年と神/アフリマンとルシファー/戦争ゲーム/旅/事件/二つの階級:芸術家と賢人/苦難/道の終焉/私生活/罪深き人々/戦時中の導師たち/終結/回帰/大系から拠り所へ/厄年/終章 勝ち誇ったヒヒなど、
560ページ。


 ブラヴァツキーからオルコット、アニー・ベサント、リードビーター、そしてクリシュナムルティへ、またシュタイナー、ウスペンスキー、グルジェフ、J・G・ベネットなどが織りなす網の目の見取り図を作るのに役立つことでしょう。ただしそれぞれの思想内容について詳しいとはいいかねます。
 なお原題の『ブラヴァツキーのヒヒ』については、p.66、またp.446、p.530 参照。


ジョン・ホーガン、竹内薫訳、『科学を捨て、神秘へと向かう理性』、徳間書店、2004
原著は John Horgan, Rational Mysticism, 2002
「原書にある詳細をきわめた(おもに学術的な)注釈をカットすること、同じく、本文も一部カット」したもの(p.364)。
プロローグ リーナの羽/永遠の哲学/ポストモダン主義/トランスパーソナル心理学/神経神学はわたしたちを救えるか?/神の機械/ヤギになったヒツジ/禅と脳/LSD誕生の地で/神の精神分析医/紫色の絢爛たるスーツの男/アヤワスカ/畏怖あふれる真実/エピローグ 冬の満月など、
368ページ。


大田俊寛、『現代オカルトの根源-霊性進化論の光と闇』(ちくま新書 1022)、筑摩書房、2013
神智学の展開;神智学の秘密教義 - ブラヴァツキー夫人/大師のハイアラーキー - チャールズ・リードビーター/キリストとアーリマンの相克 - ルドルフ・シュタイナー/神人としてのアーリア人種 - アリオゾフィ//
米英のポップ・オカルティズム;輪廻転生と超古代史 - エドガー・ケイシー/UFOと宇宙の哲学 - ジョージ・アダムスキー/マヤ暦が示す二〇一二年の終末 - ホセ・アグエイアス/爬虫類人陰謀論 - デーヴィッド・アイク//
日本の新宗教;日本シャンバラ化計画 - オウム真理教/九次元霊エル・カンターレの降臨 - 幸福の科学など、
256ページ。


 同じ著者による→こちら(「グノーシス諸派など」の頁の「iii. 『ユダの福音書』以後」)や、あちら(「日本 Ⅱ」の頁の「xi. 近代など」)も参照

Joscelyn Godwin, Atlantis and the Cycles of Time. Prophecies, Traditions, and Occult Revelations, Inner Traditions, Vermont, 2011
『アトランティスと時間の諸周期 予言、伝承と隠秘学的啓示』
合理主義者たちのアトランティス/フランスの秘教的伝統/H.P.ブラヴァツキーと初期の神智学者たち/後期の神智学者たち/ドイツのアトランティス論/2人の伝統主義者/英国人たち/孤高の人たち/新世界におけるチャンネリング/ニュー・エイジにおけるチャンネリング/4つの時代/歳差運動/結論 隠秘学的アトランティス論のくりかえし現われる諸主題など、
448ページ。

 同じ著者による→こちらを参照:「通史、事典など」の頁の「iii. 地学・地誌・地図、地球空洞説など

 プラトーンの『ティーマイオス』と『クリティアス』について→そちらを参照:「ギリシア・ヘレニズム・ローマ Ⅱ」の頁の「vi. プラトーン
 併せて;


ライアン・スプレイグ・ディ・キャンプ、小泉源太郎訳、『プラトンのアトランティス』(ボーダーランド文庫)、角川春樹事務所、1997
原著は Lyon Sprague de Camp, Lost Continents, 1954/1970
邦訳は『幻想大陸』(1974)の文庫化
プラトンのアトランティス/アトランティスの復活/レムールの国/人類文化の痕跡を求めて/マヤの謎と真実/アメリカ・インディアンの起源/移動する大陸/海上の覇者と銀の王国/憧憬のかなたに//
解説(南山宏)など、
327ページ。

 「三分の二ほどに圧縮された抄訳」とのこと(p.317)。
 ブラヴァツキーの宇宙進化論(pp.93-98)やヘルビガーの『宇宙氷化説』(pp.137-141)、ヴェリコフスキーの『衝突する宇宙』(pp.142-145→こちらを参照:本項下掲)などにも言及する他、近代のフィクション(pp.307-314)も取りあげています。
 同じ著者による→そちらを参照:「近代など(20世紀~) Ⅴ」の頁の「ディ・キャンプ&プラット」の項


ジェフリー・アッシュ、船木裕訳、『アトランティス伝説 - 失われた大陸/古代の叡知 イメージの博物誌 28』、平凡社、1994
原著は
Geoffrey Ashe, Atlantis : Lost Lands, Ancient Wisdom, 1992
主題と探求/描かれたアトランティス/シャンバラ - 前哨地?/ムー - 代わりの大陸?/荒涼たる浜辺/予言の声/プラトンとその物語/さまざまな反応と解釈/アトランティス学への険しい道/プラトンの想像力/娯楽(エンタテインメント)/永遠の幻影/
図版//
資料図版とその解説;プラトンの逆説/神話の形成/水による死/いつ、そして、どこで?/地上楽園/再興された神話/大洋の彼方への反響/来るべき啓示?/オカルトによる接近/レムリアとムー/シャス タ -レムリアの植民地/月の作用による大陸起と秘密の空間/平穏の地/夢の実現//
訳者解題-もうひとつのヨーロッパ思想史など、
108ページ。

 『イメージの博物誌』シリーズについて→こちらを参照:「図像、図形、色彩、音楽、建築など」の頁の「i. 図像など

庄子大亮、『アトランティス・ミステリー プラトンは何を伝えたかったのか』(PHP新書 640)、PHP研究所、2009
アトランティス伝説とは何か//
アトランティスは文明の起源か?-大西洋実在説;ダンリーの解釈 - 「アトランティス学」の興隆/ダンリーへの批判/大西洋実在説の背景//
アトランティスとミノア文明;クレタ島のミノア文明/サントリーニ島/ミノア文明説の問題点//
探索は続く;氷期が終わりアトランティスは沈んだ?/「超古代文明」という幻想/その他の諸説/関心の背景と根本的な問題//
アトランティス伝説はなぜ語られたのか;プラトンと祖国アテナイ/アトランティスとは何なのか?/プラトンの意図//
伝説の真実;神々と英雄たちの時代/神話・伝説が果たした役割/プラトンの神話観/「虚構」を超えて//
おわりに-そして現代へ、など、
204ページ。

 同じ著者による→こちらも参照:「日本 Ⅱ」の頁の「x. いわゆる古史古伝・偽史、神代文字など

 さらに併せて;

ルネ・テヴナン、笹本孝訳、『伝説の国』(文庫クセジュ 558)、白水社、1974
原著は René Thévenin, Les pays légendaires, 1946
序//
古代;ヘスペリデスの苑/イリオンからイタケー島へ/オフル王国/この世の果て、ツール/アトランティス、古代の種まき//
中世とルネサンス;地上楽園(エデン)と幸福の島/永遠の国(マグ=メルド)からエストチランドへ/驚異の浜(フルトフルシュトランディア)/黄金郷(エル・ドラード)の国/イスの都//
現代;宝島と幽霊島/ラパ=ヌイ島(イースター島)/死霊の国(ラ・レミュリー)/アトランティス、現代の収穫など、
184ページ。


ジェームズ・チャーチワード、小泉源太郎訳、『失われたムー大陸』、1991

志水一夫、「疑惑の人ジェームズ=チャーチワードとムー大陸伝説・伝」、『歴史を変えた偽書』、1996、pp.44-63

藤野七穂、「偽史と野望の陥没大陸-〝ムー大陸〟の伝播と日本的受容-」、同上、pp.64-89

 シャンバラについて→少し下のこちらを参照
…………………

吉永進一、「オカルトとニューエイジ - 一種の思想史として -」、『宗教と社会. 別冊, ワークショップ報告書 1997』、1998.3.1、pp.16-22 [ < CiNii Articles

 同じ著者による→こちらも参照:「日本 Ⅱ」の頁の「xi. 近代など

伊藤雅之、「ニューエイジと精神世界 - 概念的整理を中心として -」、『宗教と社会. 別冊, ワークショップ報告書 1997』、1998.3.1、pp.22-29 [ < CiNii Articles

向山毅、「クロード・ブラグトン - 四次元の伝道師 -」、『研究論集』、no.80、関西外国語大学、2004.8、pp.97-112 [ < CiNii Articles

向山毅、「物理学者と超自然現象」、『研究論集』、no.84、関西外国語大学、2006.9、pp.173-187 [ < CiNii Articles

 同じ著者による→こちら(本頁上掲の「xii. ロシアから」の「ウスペンスキー」の節)や、そちら(本頁上掲の「xi.. シュタイナーの人智学など」も参照
 次元論に関し次のヘンダーソンの論文・著書とともに→あちらも参照:「近代など(20世紀~) Ⅱ」の頁の「vi. 次元など


リンダ・D・ヘンダーソン、「神秘主義、ロマン主義、4次元」、『現代思想』、vol.23-05、1995.5:「特集 高次元多様体」、pp.86-115
原著は Linda Dalrymple Henderson, "Mysticism, Romanticism, and the Fourth Dimension", The Spiritual in Art. Abstract Painting 1890-1985, 1986, pp.219-237
〈無限〉/〈一元論〉と〈意識の進化〉/ウェーバーとニューヨークの前衛芸術/アポリネールとキュビスム/ウスペンスキーとシュルレアリスト

 さらに;

Linda Dalrymple Henderson, The Fourth Dimension and Non-Euclidean Geometry in Modern Art (revised edition), The MIT Press, Cambridge, Massachusets, London, England, 1983 / 2013
『近代芸術における四次元と非ユークリッド幾何学』(改訂版)
再序論 21世紀からの眺望//
  文化と芸術における四次元についての1983年時点の歴史を増補する(1900-1950);〈四次元〉の文脈としてのX線とエーテル物理学/ステュアート・デイヴィスとアインシュタインの時代における四次元時空//
   四次元 1950-2000:ある概観;四次元の「炎を保つ者たち」:ラースロー・モホリ=ナジ、マルセル・デュシャンとバックミンスター・フラー/1950-60年代における四次元をめぐる大衆文学 マーティン・ガードナーの著書を含む/1960年代における空間的四次元に対するアメリカ人芸術家たちの反応:ロバート・スミッソンとパーク・プレイス・ギャラリーのグループ/1970年代と80年代における空間的四次元のための器:『
拡張映画(エクスパンディッド・シネマ)』(ジーン・ヤングブラッド、1970)と新たなメディア;コンピューター・グラフィクスとひも理論/1990年代を通した1970年代:トニー・ロビンの四次元的芸術/1990年代:超空間からサイバースペイスへ、そしてマーコス・ノヴァクのデジタル建築;ひも理論の新たな展開//
  結論的諸考察//
序論//
19世紀の背景;非ユークリッド幾何学/n 次元の幾何学/新たな諸幾何学に対する大衆的関心の勃興//
キュビスムと新たな諸幾何学;パリ1900-1912:大衆文学における四次元と非ユークリッド幾何学/〈四次元〉の視覚的伝統/出来事の時系列/キュビスムの理論と実践における四次元と非ユークリッド幾何学/キュビストたちの間での別の見解:神智学者クプカ/キュビスムの四次元に対するボッチョーニによるイタリア未来派の批判//
マルセル・デュシャンと新たな諸幾何学;デュシャンによる n-次元的および非ユークリッド幾何学の導入/《大ガラス》/『不定詞で』における覚書/後年の諸作品//
アメリカにおける四次元と非ユークリッド幾何学;マックス・ウェーバー/ゲレット・バージェス/クロード・ブラグドン/1913年のニューヨークとアーモリー・ショウ/戦時下のニューヨーク:デュシャンとアレンズバーグのサークル/1920年代//
現在を超越する:ウスペンスキーの哲学とロシアの未来主義とスプレマチムにおける四次元;革命以前における非ユークリッド幾何学と相対性理論の副次的な役割/ロシアにおける超空間哲学:ピョートル・デミアノヴィッチ・ウスペンスキー/初期のロシア未来派とラリオーノフの光線主義/ロシアの未来派哲学における四次元:マチューシンとクルチョーヌイフ/マレーヴィチの芸術における四次元/1920年代:エル・リシツキーその他//
フランスとオランダにおける第一次世界大戦と戦後期での新たな諸幾何学;戦時下の議論:セヴェリーニとオザンファン/初期デ・ステイルと四次元/フランスにおける相対性理論の大衆化/ファン・ドゥースブルフによる時空世界のための芸術の探求/1920年代における芸術と相対性:ある概観//
結論;芸術と理論における新たな諸幾何学 1900-1930/1930年以降の芸術と理論における四次元と非ユークリッド幾何学//
附録;キュビスムと相対性の問題/新たな諸幾何学を大衆化するアメリカの諸記事 1877-1920/グレーズとメッツァンジェによる著書『キュビスムについて』に関して、など、
758ページ。


 改訂版で加えられた"Reintroduction"は、pp.1-100 + notes pp.537-568 を占めていました。
 なお、たまたま見かけた範囲内でしかありませんが、本書に触れている自然科学系の本ということで、「近代など(20世紀~)」のページから、
 ミチオ・カク、稲垣省五訳、『超空間』、1994、p.32 / p.531 註第1章5、および p.92, p.96 / pp.540-541 註第3章4-5
や、
 ローレンス・M・クラウス、斉藤隆央訳、『超ひも理論を疑う 「見えない次元」はどこまで物理学か?』、2008、p.300
を挙げておきましょう。


 戻って、邦訳された上掲論文を収めた

The Spiritual in Art. Abstract Painting 1890-1985, Los Angeles County Museum of Art, Museum of Contemporary Art, Chicago, and Haags Gemeentemuseum, Haag, 1986
『芸術における霊的なもの-抽象絵画 1890-1985』

 は他に;
抽象美術における秘められた意味
(Maurice Tuchman)/聖なる幾何学 - フランス象徴主義と初期抽象(Robert P. Welsh)/新たな神秘主義の告知 - オランダ象徴主義と初期抽象(Carel Blotkamp)/象徴化された自然 - ライダーからハートリーまでのアメリカ絵画(Charles C. Eldredge)/目に見えるものを超越する - 抽象の開拓者たちの世代(Sixten Ringbom)/芸術家ヒルマ・アフ・クリント Hilma af Klint の場合(Åke Fant)/秘教的文化とロシア社会(John E. Bowlt)/理性を超えて - マレーヴィチ、マチューシンとその周辺(Charlotte Douglas)/表現主義、抽象とドイツにおけるユートピアの探求(Rose-Carol Washton Long)/アルプ、カンディンスキーとヤーコプ・ベーメの遺産(Harriett Watts)/マルセル・デュシャン - 前衛の錬金術師(John Moffitt)/儀礼と神話 - ネイティヴ・アメリカン文化と抽象表現主義(W. Jackson Rushing)/抽象映画と色彩音楽(William Moritz)/現在の芸術における霊的なものに関して(Donald Kuspit)/フランスにおける隠秘学文献(Geurt Imanse)/ロシアにおける隠秘学文献(Edward Kasinec and Boris Kerdimun)/霊的なものと関連用語の解説(Robert Galbreath)/年譜-芸術家たちと霊的なもの(Judi Freeman)など、
436ページ。


 上のヘンダーソンの本とあわせて→こちらにも挙げておきます:「図像、図形、色彩、音楽、建築など」の頁の「i. 図像など
 先に触れた→そちらも参照:本頁上掲の「」ii. ロシアから」中のマレーヴィチ、カンディンスキーなど
 また寄稿者の一人による;

S.リングボム、松本透訳、『カンディンスキー 抽象絵画と神秘思想』(ヴァールブルク・コレクション)、平凡社、1995
原著は Sixten Ringbom, The Sounding Cosmos : A Study in the Spiritualism of Kadinsky and the Genesis of Abstract Painting, 1970
序章//
物質の消滅と科学の瓦解;転回点/原子の崩壊/象徴派の反唯物論と「偉大なる精神的なものの時代」/思念伝達と思念影像//
色彩に満ちた神智学の世界;神智学への関心/2枚の秘教的挿絵/色彩と形態/色彩の顕現//
芸術作品と芸術家;「内的必然性」と「純粋に永遠に芸術的なるもの」/作品の内容/作品内容の表現としての形態/内的認識の小道//
色彩と形態の解放;風景の崩壊/《コンポジションⅥ》 - 物語的テーマの解体//
終末論と第3の啓示;最後の審判/第3の啓示//
余波;理性と神秘主義/形象とその起源//
終章 ロマン主義的精神主義とオカルト的精神主義の収斂など、
404ページ。


 →こちらで触れました:「軽く明るく気持ちよく、再び - セザンヌの一枚の絵に捧げるラスト・ソング」(1998)の頁の「追記
 →そちら(「図像、図形、色彩、音楽、建築など」の頁の「i. 図像など」/カンディンスキー《黒い弧》、1912)も参照

 『芸術における霊的なもの-抽象絵画 1890-1985』展を承けた特集が

『美術手帖』、no.587、1987.11、pp.21-88:「特集1 スーパー・ネイチャー オカルトと抽象」
オカルティズムの伝統と抽象絵画の夜明け(大瀧啓裕)/造形のアストラル・トラヴェリング(武邑光裕)/現代の秘儀としての抽象表現主義(三井滉)/隠されたものの写真史(飯沢耕太郎)/[コラム]10人の作家から(太田泰人)

 相通じる趣旨の近年の展覧会で、時代をさらに溯ったのが;

L'Europe des esprits, ou la fascination de l'occulte, 1750-1950, Musée d'Art moderne et contemporain de la Ville de Strasbourg, et Zentrum Paul Klee, Berne, 2011-2012
『霊たちのヨーロッパ、あるいは隠秘的なるものの魅惑、1750-1950』
序論
(Joëlle Pijaudier-Cabot)/想像的なるものの無限の小径(Daniel Bernemann)/憑かれた不可視、バルドゥング・グリーン、大クラナッハ(Anny-Claire Haus)/仄暗い存在における思い出…(Daniel Payot)//
ロマン主義者たちと隠秘的なるもの;暗がりのヨーロッパ
(Serge Fauchereau)/世界の大いなる光は千の色彩に回折する-ロマン主義時代のドイツにおける科学、信仰と絵画(Roland Recht)/ゴヤとスペイン絵画における黒い伝統(Antonio Bonet Correa)//
象徴主義;霊たちの干渉
(Serge Fauchereau)/エドゥアール・シュレと偉大な秘儀参入者たち(Laurence Perry)/カール・フレデリク・ヒルとエルンスト・ヨゼフソン(Olle Granath)ミカロユス・コンスタンティナス・チュルリョーニス、画家=音楽家(Osvaldas Daugelis)/「すべての人の内に踊り手が生きている」(Joëlle Pijaudier-Cabot)//
抽象と前衛の他の表現;近代魔術
(Serge Fauchereau)/前衛と秘教の配備(Chrisoph Wagner)/アルプと自然智(Estelle Pietzyk)/パウル・クレーにおける霊媒的変形(奥田修)//
シュルレアリスム的星座;再発見された魔術 - シュルレアリスム
(Serge Fauchereau)/未知なるものの壁に支えられた梯子(Annie Le Brun)/霊媒たちの入場、アール・ブリュットと心霊主義(Joëlle Pijaudier-Cabot)/ジャンヌ・トリピエの実験室(Lucienne Peiry)/《Dé véchi ké ti éfi mervé éni》. エリーゼ・ミュラーの見事な人生(Savine Faupin)//
科学が霊たちを測定する時;科学が霊たちを測定する時
(Sébastien Soubiran & Marie-Dominique Wandhammer)/ウィリアム・クルックス、幽霊を愛した科学者?(Anne Lagaisse)/ピエールとマリー・キュリー、知識人夫婦と霊媒の出会い(Anne Lagaisse)/カミーユ・フラマリオン、未知の力を求めて(Anne Lagaisse)/写真、科学と隠秘学-真正性の認証、まやかしと創造(Héroïse Conésa)など、
424ページ。

…………………

 隠秘学者の著作もすでにぼちぼち挙がっていますが、それ以外の著者によるもので、ごくごくわずかながら、ほんの見本ということで;

 →こちら(本項上掲)ですでに挙げましたが;

ジェームズ・チャーチワード、小泉源太郎訳、『失われたムー大陸 消えた謎の古代都市』(大陸文庫)、大陸書房、1991
原著は James Churchward, The Lost Continent of Mu, 1931
 邦訳は1982刊本の加筆・改訂文庫版
序/失われたエデンの園/輝ける太陽の帝国/ムー大陸の大陥没/太平洋に眠るムーの遺跡/人類最初の宗教/アトランチス大陸と地中海/北米大陸の古代遺跡/中米の埋れた都市/東洋の神秘な国々/栄光の都バビロンへの道など、
320ページ。


 1章「失われたエデンの園」には、「ナーカルの粘土板の碑文」によるものとして、宇宙開闢論が記されていたりします(pp.25-27、またpp.155-156)。


ヴェリコフスキー、鈴木敬信訳、『衝突する宇宙』、法政大学出版局、1966
原著は Immanuel Velikovsky, Worlds in Collision, 1950
プロローグ(2章)/金星(10章)/火星(9章)/エピローグなど、
672ページ。


 上書を下敷きにしたという小説が;

ジェイムズ・P・ホーガン、内田昌之訳、『揺籃の星』、2004


レイモンド・バーナード、小泉源太郎訳、『地球空洞説』、大陸書房、1973
原著は Raymond Bernard, The Hollow Earth. The Greatest Geographical Discovery in History, 1969
献辞/序文/UFOと国家機密/バード少将の言葉/本書が立証しようとしていること/はしがき//
バード少将の画期的大発見/地球は空洞である/南北両極の幻想/地球内部への旅/北極点は発見されたのか?/エスキモーの発祥/地球空洞と空飛ぶ円盤/地球内部への架空探検/地底世界アガルタ/結論/古代の空飛ぶ円盤/空飛ぶ円盤の飛行法の謎など、
288ページ。


 →こちらでも挙げました:「通史、事典など」の頁の「iii. 地学・地誌・地図、地球空洞説など

フリッチョフ・.カプラ、吉福伸逸・田中三彦・島田裕巳・中山直子訳、『タオ自然学 現代物理学の先端から「東洋の世紀」がはじまる』、工作舎、1979
原著は Fritjof Capra, The Tao of Physics. An Exploration of the Parallels between Modern Physics nd Eastern Mysticism, 1975
コズミック・ダンスへの招待-前がきにかえて//
自然学のタオ;現代物理学は心ある道か/識ることと観ること/言語の秩序/新時代の物理学//
東洋思想のタオ;変幻するブラフマン〈ヒンドゥー教〉/合一性と相互作用〈仏教〉/社会性と宗教性の一致〈中国思想〉/陰陽の運動原理〈タオイズム〉/日常のなかの悟り〈禅〉//
共振するタオ;万物の合一性/対立世界の超越/4次元時空/ダイナミズムの自然学/
(くう)と形象/コズミック・ダンス/幻の粒子、クオーク/変化のパターン/無碍の世界//
エピローグ/
秩序(オーダー)の自然学-日本版によせて、など、
368ページ。


アンドルー・トマス、遠山峻征訳、『シャンバラ 中央アジア奥地に聖なる楽園を求めて』、ユニバース出版社、1979
原著は Andrew Tomas, Shambhala. Oasis de lumière, 1976
神々の谷の伝説/シャンバラへの憧憬/果てしなき砂漠をこえて/神秘の科学カラチャクラ/ロシア人と白い湖の国/光の使者たち/プレスター・ジョンの国/世界を変革した愛の結社/サン・ジェルマン伯爵/歴史の中の輝き/ラマ寺院での対話/闇の時代から光の時代へ/母なる自然との調和//付録//
解説 聖なる中心としての「地下都市」(武田益尚)など、
224ページ。


 本訳書の位置づけについて;

宮坂清、「第5章 シャンバラへの旅 - 80年代日本の危うい夢」、吉田司雄編著、『オカルトの惑星 1980年代、もう一つの世界地図』、青弓社、2009、pp.111-132
はじめに/アガルタの首都シャンバラ/多彩な表象/チベットに回帰するシャンバラ/精神世界の救世主へ/チベット人ディアスポラとカーラチャクラ/おわりに

 その内 pp.119-120
 シャンバラについてはまた;

田中公明、『超密教 時輪タントラ』、1994、pp.68-89:「第Ⅳ章 シャンバラ伝説 - 隠された王国と最終戦争 -」
シャンバラの原義/シャンバラの位置/シャンバラ王の系統/最終戦争の時期/シャンバラ伝説の影響/『時輪タントラ』におけるシャンバラ伝説の意義

西岡祖秀、「シャンバラ国について」、『印度學佛教學研究』、vol.55 no.1、2006

荒俣宏、『99万年の叡智 近代非理性的運動史を解く』、1985、pp.78-95:第1部4「アジアの中心 アガルタ・シャンバラ幻想の裏面」
地底王国とシャンバラ=アガルタ伝承/シャンバラ/アガルタ/ヴリル・パワーとキーリィ・モーター

ニコライ・レーリヒ、澤西康史訳、『シャンバラの道』、中央アート出帆社、1996、pp.12-52:「輝きを放つシャンバラ[タライ-ポ-ブランにて、1928年]」
原著は Nicholas Roerich, Shambhala, the Resplendent, 1930/1990

 他の目次は;
まえがき(ダニエル・インティン)/序文//
聖なる山の祝祭[タライ-ポ-ブランにて、1928年]/チベットの仏教[カンパ-ゾンにて、1928年]/チベット美術[シェーカル-ゾンにて、1927年]/死のとばり[ナクチュにて、1927年]/死者たちと憑依について[ウラン-バートル-ホトにて、1927年]/偉大なるチンギス-ハーン(歌)/勝利の女神ラクシュミー/国境を見なかった王子/大地に隠された宝/慈しみの地/平和の祈り/正義を守る人/砂漠に埋もれた都/巨人リュートの伝説/新時代を告げる星[タライ-ポ-ブランにて、1924年]/敵への賛歌[カシミールにて、1925年]/アジアからの手紙[ウラン-バートル-ホトにて、1927年1月]/ヒマラヤ学術研究所[ナガールにて、1929年]/インドの王子の生涯[アルタイにて、1926年]/地底の住人たち[タングーにて、1928年]/砂漠に燃える火[ガントクにて、1928年]/クル谷に祭られた神々[ナガールにて、1929年]/ソロモン王の伝説[タライ-ポ-ブランにて、1928年]/恵み深き太母[タライ-ポ-ブランにて、1928年]/創造の喜び[ニューヨークにて、1929年]/真の教師グルーなど、
406ページ。


 リョーリフ(レーリヒ)に関し→こちらも参照:「怪奇城の外濠 Ⅱ」の頁の「劇場と舞台装置」の項
 また;

加藤九祚(きゅうぞう)、『ヒマラヤに魅せられたひと ニコライ・レーリヒの生涯』、人文書院、1982
はじめに/故国ロシア/放浪の歳月/ヒマラヤ//
付録・レーリヒ詩集『モリヤの花』など、
270ページ。


 しばしばシャンバラと対にされるアガルタについては、すでに何箇所かで挙がっていますが、たとえば→ルネ・ゲノンの項など参照

K.ウィルバー編、井上忠・井上章子・伊藤笏康・山本巍・渡辺邦夫訳、『空像としての世界 - ホログラフィをパラダイムとして』(新訂版)、青土社、1984/1985
原著は Edited by Ken Wilber, The Holographic Paradigm and Other Paradoxes, 1982
序(ケン・ウィルバー)/真の実在への新しい展望/プリブラムの「変動する真の実在」 - 脳の中の宇宙と宇宙の中の脳(マリリン・ファーガソン)/この大騒ぎはいったい何のこと?(カール・H・プリブラム)/場の意識と場の倫理(ルネ・ウェーバー)/包み込み - (ひら)き出す宇宙 - デイヴィッド・ボームとの対話(聞き手 ルネ・ウェーバー)//
ホログラフィ理論について;ホログラフィック・パラダイムについて(ケン・ダイトワルド)/
全体学(ホロノミー)と「靴ひも」理論(フリチョフ・カプラ)/自己愛と宇宙的つながり(サム・キーン)/神経生理学のホログラフィック・モデルと、その不確定性原理(ケネス・R・ペレティア)/全体学的(ホロノミック)な知識(ボブ・サンプルズ)/全体学(ホロノミー)と超心理学(スタンリー・クリップナー)/マリリン・ファーガソン著『変動する真の実在』(ジョン・シモツ)/ホログラフィック・パラダイムと経験の構造(ジョン・ウェルウッド)/ホログラフィ的な実在観(イツァク・ベントフ)/行き過ぎた一般化を戒める(ウィリアム・アーウィン・トンプソン)/新しい科学と全体学(ホロノミー)(ウィリス・ハーマン)/多次元的見解(ウィリアム・A・ティラー)/ホログラフィック・モデル、全体論的パラダイム、情報理論、意識(ジョン・R・バティスタ)/ホログラフィを経験する(レナード・J・ドゥール)//
物理学、神秘主義、新しいホログラフィック・パラダイム - その批判的評価(ケン・ウィルバー)/科学と神秘主義のあいだ 共通の言語を探って - デイヴィッド・ボームとの対話(聞き手 ルネ・ウェーバー、編集 エミリー・セロン)/物理学は神秘主義へ向う 『タオ自然学』再考 - フリチョフ・カプラとの対話(聞き手 ルネ・ウェーバー)/新時代のパラダイムへの反省 - ケン・ウィルバーとの対話など、
544ページ。


 マリリン・ファーガソン「プリブラムの『変動する真の実在』」 中で、ライプニッツ、ベルクソン、ホワイトヘッド、T.S.エリオット、エックハルト、ヒューム、ルーミーを引きあいに出したのに続いて、出典は記されていませんが因陀羅網(→こちらを参照:「仏教 Ⅱ」の頁の「iii. 華厳経、蓮華蔵世界、華厳教学など」)についての引用がありました(pp.55-57)。
 二篇のインタヴューの主役であるD.ボームについて→そちらも参照:「近代など(20世紀~)の頁の「i. ~1980年代
 下掲のタルボット、川瀬勝訳、『投影された宇宙 ホログラフィック・ユニヴァースへの招待』(1994/2005)も参照

ロバート・A・ウィルソン、武邑光裕監訳、『コスミック・トリガー イリュミナティ最後の秘密』、八幡書店、1994
原著は Robert Anton Wilson, Cosmic Trigger. Final Secret of the Illuminati, 1977
プロローグ-想像も及ばぬことについての思弁/シリウス・コネクション/モデルとメタファー/トリガー//
新版のための序文(ロバート・アントンA・ウィルソン)/序文(ティモシー・リアリー)/あとがき(ソール・ポール・シラグ)//
監訳者あとがきなど、
454ページ。


マイケル・タルボット、川瀬勝訳、『投影された宇宙 ホログラフィック・ユニヴァースへの招待』、春秋社、1994/2005
原著は Michael Talbot, The Holographic Universe, 1991
『ホログラフィック・ユニヴァース - 時空を超える意識』(1994)の改題新装版
はじめに//
驚くべき世界観の登場;ホログラムとしての脳/ホログラムとしての宇宙//
心と身体;ホログラフィック・モデルと心理学/素晴らしきかなわが身体 - ボディ・ホログラフィック/奇跡がいっぱい/ホログラフィックにものを見る//
時間と空間;時を超えて/スーパーホログラムの旅/
夢時間(ドリームタイム)への回帰など、
476ページ。


 上掲 K.ウィルバー編『空像としての世界 - ホログラフィをパラダイムとして』(1984/1985)も参照

ジョン・キング、好田順治訳、『数秘術 数の神秘と魅惑』、青土社、1998
原著は John King, The Modern Numerology. A Practical Guide to the Meaning and Influence of Numbers, 1996
序/数の歴史/数と自然/数の特質/珍しい数と数の型/カバラ、それを越えて/ゲマトリア、それを越えて/実践的数秘術/現代数学と数秘術/解釈意味論的数秘術/応用数秘術 - 数の魔術//付録など、
390ページ。


アーヴィン・ラズロー、野中浩一訳、『創造する真空(コスモス) 最先端物理学が明かす〈第五の場〉』、日本教文社、1999
原著は Ervin Laszlo, The Whispering Pond. A Personal Guide to the Emerging Vision of Science, 1996
序文Ⅰ(デイヴィッド・ロイ)/序文Ⅱ(カラン・シン)/はじめに/本書の内容と構成について//
確立された世界観;宇宙の進化/物質の本質/生命現象/心の出現//
あいまいになる概念;宇宙学における未解決の問題/物質の理解におけるパラドックス/生命現象の謎/心の出現にまつわる神秘//
新しい理解を求めて;統一理論を求めて - 新しい物理学/統一理論を求めて - 分野を超えて/統一理論 - その最先端//
新しい世界観の出現;準全体論への道/相互結合をもたらす場の発見/宇宙のダンス//
この場の名称について - 21世紀の科学のための提案/結びなど、
314ページ。


ピート・J・キャロル、金尾英樹訳、秋端勉監修、『無の書 現代魔術体系 7』、国書刊行会、2003
原著は Peter J. Carroll, Liber Null & Psychonaut, 1987
「無の書」 序文/団と探求//MMMの書;心の統制/魔術/夢見術//
  LUXの書;グノーシス/喚起/召喚/解放/アウゴエイデス/占術/魅惑魔法//
  NOXの書;妖術/霊体/変化/恍惚/無作為の信仰/欲望のアルファベット/至福千年紀//
  AOMの書;アエティール/全質変化/カオス球/アイオン/転生//
「心霊飛行士」;序文/新アイオンの魔術/グループによる魔術実験/意識のレベル/魔術戦/混沌の儀式/魔術的時間/化学的グノーシス/魔術的視座/シャーマニズム/グノーシス主義/オカルト司祭術/魔術武器/魔術的パラダイム/逸話/カタストロフィー理論と魔術//
現代魔術体系とその潮流
(Fr. Hieros Phoenix)//
後書きという名のはじまり(金尾英樹)など、
272ページ。


おまけ

 次のページで、小説等で宇宙論に関わるものを扱いますが、ここでは;

小森健太朗、『グルジェフの残影』(文春文庫 こ 35-1)、文藝春秋、2006
 『Gの残影』、2003 の文庫化

 ウスペンスキーとグルジェフが登場します。


 グルジェフは次の本にも登場します(ラスプーチンや恐龍も登場、それに
「それはほかの恒星系に栄える知的生命体であったかもしれない。宇宙の〝意志〟のようなものかもしれない。なんなら神の御業と考えてもいっこうにさしつかえない。
 それは、人類の理解の遠くおよばないことだった。求めても、絶対に(ヽヽヽ)得られない答えだったのだ」(p.292)
という何ものかの影も射します);


山田正紀、『ツングース特命隊』(講談社文庫 や 8)、講談社、1985
 1980年刊本の文庫化

 →こちらでも挙げました:「怪奇城の地下」の頁
 山田正紀について→そちらも参照:「近代など(20世紀~) Ⅵ」の頁の「山田正紀」の項


 また

インフェルノ』、1980、監督:ダリオ・アルジェント

 ではゆかりとされる建物が主たる舞台となります。

 グノーシス主義を連想させるグルジエフのクンダバファー論が言及されるのが(pp.108-112、pp.143-147、また p.244、p.301;)


有栖川有栖、『月光ゲーム Yの悲劇'88』(創元推理文庫 M あ 2-1)、東京創元社、1994
 1989年刊本の文庫化

 巻末で「参考文献に代えて」として、登場人物の一人である「深沢ルミ愛読書」に、
 A.リーパー『月の魔力』(東京書籍、未見)
とともに、
 笠井叡『天使論』、
 澁澤龍彦『異端の肖像』(1967、『澁澤龍彦集成 第5巻』、1970:「20世紀の魔術師」がグルジエフを取りあげています;pp.15-24、澁澤について→こちらも参照:「通史、事典など」の頁の「おまけ」)、
 ウスペンスキー『奇蹟を求めて
が挙げられていました(p.347)。
 同じ著者による→そちら(「怪奇城の外濠」の頁の「v. ゴシック・ロマンス、その他」)や、またあちら(「怪奇城の外濠 Ⅲ」の頁の「郵便夫シュヴァルの理想宮」の項)を参照。
 後者で挙げた『双頭の悪魔』(1992/1999)でも「グルジェフワーク」が言及されていました(p.28)。


 クロウリーについて語る時、必ず言及されるのが;

W.S.モーム、田中西二郎訳、『魔術師 世界幻想文学大系 9』、国書刊行会、1975
原著は William Somerset Maugham, The Magician, 1908

 邦訳は、『サマセット・モーム全集 29 魔術師』、新潮社、1958 の再録
 訳者による「モーム文学における〝オカルト〟」(pp.370-394)は書き下ろし。


川又千秋、『幻詩狩り』(中公文庫 A186)、中央公論社、1985
 1984年刊本の文庫化

 ブルトンとかデュシャンとかが登場します。
 →こちらにも挙げておきます:「言葉、文字、記憶術/結合術、書物(天の書)など」の頁の「おまけ
 同じ著者による→そちらを参照:「近代など(20世紀~) Ⅵ」の頁の「川又千秋」の項


笠井潔、『哲学者の密室』、光文社、1992

 レヴィナスとハイデッガーをモデルにした人物が登場します。
 同じ著者による→こちらを参照:「近代など(20世紀~) Ⅳ」の頁の「xvii. ブックガイド、通史など

 「ロマン主義、近代など(18世紀末~19世紀)」の頁の「ウェルズ(1866-1946)」の項に入れるべきか、ただ本頁の「xv. 時間論、その他」の項に Paul J. Nahin, Time Machines. Time travel in physics, metaphysics, and science fiction, 1993/1999 を挙げたので、

Beggars Opera, Waters of Change, 1971(1)

 2枚目のA面1曲目が
"Time Machine" 、8分6秒。 

サディスティック・ミカ・バンド、『黒船』、1974

 2枚目のA面3曲目が「タイムマシンにおねがい」、4分13秒。
1. 深見淳・松崎正秀監修、『UKプログレッシヴ・ロック メインストリーム・エディション~The Golden Era』(THE DIG presents Disc Guide Series #017)、シンコーミュージック、2004、p.86。 
2014/05/13 以後、随時修正・追補
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