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図像、図形、色彩、音楽、建築など

i 図像など
ii 図形など
 円・球螺旋・渦巻、その他
iii 色彩など
iv 音楽など
v 建築など
 迷宮、その他
おまけ

i. 図像など

 まずは「通史、事典など」のページの冒頭で挙げた岩田・杉浦編『アジアの宇宙観』(1989)編集のきっかけとなった『アジアの宇宙観』展(ラフォーレ美術館、京都新聞社ホール、1982.11-'83.1)の図録として;

杉浦康平構成、岩田慶治監修、『アジアのコスモス+マンダラ』、講談社、1982
第1部 アジアのコスモス;アジアにそびえる宇宙山/須弥山をとりまく時空間/大海と聖山の宇宙的交合/宇宙神に胎内化された須弥山/山頂水平世界としてのマンダラ/聖域にひそむ須弥山/天なる龍と地なる亀/死と再生の黄金塔/神仙の秘境、崑崙山から富士山へ//
  [対談]自然の感性と宇宙観(岩田慶治・杉浦康平)/[小辞典]アジアの宇宙観(海野一隆・伊藤清司・定方晟)/[図版解説](杉浦康平・佐藤健・和田純)//
第2部 チベットのマンダラ;マンダラ - 慈悲と忿怒の円相世界/マンダラ - 脈動する図像 宇宙と自己の交接点(ヒロシ・ソナム師)など、
A4版、
192ページ。

 杉浦康平について→こちらも参照:「通史、事典など」の頁の「iii. 地学・地誌・地図、地球空洞説など
 岩田慶治については→そちらも参照:「通史、事典など」の頁の「木、花など
 杉浦康平・岩田慶治について→あちらも参照:「図像、図形、色彩、音楽、建築など」の頁の「ii. 図形など
 また関連して;

杉浦康平・後藤多聞企画・構成、、岩田慶治監修、『花宇宙 生命樹 アジアの染め・織り・飾り』展図録、NHKエンタープライズ、1992
人が樹となり、花となる…/花文様・樹文様(岩田慶治)//
花を着る、花を纏う/花咲く樹が語るもの/花を冠る、花を飾る/輝く花、宇宙の華//
樹、かぎりないその恵み(T.C.マジュプリア)/樹木と山の多彩な変幻(R.マックスウェル)/生命の樹の意味空間(土屋健治)/タイにおける生命の樹(S.シーマトラン)/バーイシー・スークァンへの旅(後藤多聞)/樹になる、花と化す(切畑健)/瑞祥の「花」、循環する生命(郡司正勝)など、
A4版、
128ページ。

 下掲『生命の樹・花宇宙』とあわせ、→こちらにも挙げておきます:「通史、事典など」の頁の「木、花など
 さらに;

杉浦康平、『春雷記』、杉浦康平プラスアイズ、1988
「花と壺」。曼荼羅を荘厳する/密教儀礼における、「花と壺」/宝瓶。仏宇宙を胎蔵する/壺と水。生命の水で満たされる/壺と豊穣。大地の響鳴/門。まだらと再生の力/生命樹。上昇する螺旋の力/宇宙山。花と渦、壺のなかの渦/山車と船。動く花、動く壺など、
64ページ。


杉浦康平、『宇宙を呑む アジアの宇宙大巨神の系譜[万物照応劇場]』、講談社、1999
宇宙を呑む - 現代版/宇宙を呑む - 幼児クリシュナ/宇宙大巨神 - クリシュナ=ヴィシュヌ 1/宇宙大巨神 - クリシュナ=ヴィシュヌ 2/宇宙大巨神 - クリシュナ=ヴィシュヌ 3/宇宙を呑む - 聖獣たち/宇宙を呑む - ヨーガ行者/宇宙を呑む - 道教の行者 1/宇宙を呑む - 道教の行者 2、など、
376ページ。


杉浦康平、『生命の樹・花宇宙[万物照応劇場]』、NHK出版、2000
はじめに 「生命の樹」「豊穣の樹」「宇宙樹」//
「生命の樹」の4つの様相;「立樹文様」。ゆらめきうねる「生命の樹」/「カラムカリ」、直立する樹と聖獣たち/渦巻く「ペーズリー文様」と、イスラムの「生命の樹」/「扶桑」と「連理」、絡みあう「宇宙の樹」/4つの樹相が林立する//
「生命の樹」と聖獣たち;聖獣たちが意味するもの/鵞鳥・蛇・猿・牛…、大地・陸上・天空の三世界を結びつける/精霊のざわめき。樹液の流れ。「話す樹」の不思議/絡みあう「生命の樹」、蛇の交尾に感応する//
「生命の樹」と鳥と蛇;鳥と蛇、光明と暗黒、天の火と地の水を象徴する/龍と鳳凰、渦巻き反転しあう対原理/蛇と鳥をあしらう、聖なる造形//
「生命の樹」。豊穣と再生の宇宙軸;神籬、心の御柱。中心を貫く宇宙軸/ストゥーパ。壺と樹木。宇宙山と宇宙軸の造形/玉虫厨子。宇宙樹が宇宙山「須弥山」となる/アジアの蓮華。聖なる宇宙を象徴する/グヌンガン。世界の中心の力を呼び醒ます/祭礼の山車。宇宙山と生命樹の結びつき/山の靈威、天上の花の賑わい//
おわりに 人が樹となり、花となる、など、
272ページ。


杉浦康平、『宇宙を叩く 火焔太鼓・曼荼羅・アジアの響き[万物照応劇場]』、工作舎、2004
はじめに 「楽の音」、音の形。天人饗応のコスモロジー/天籟受器/建鼓/火焔太鼓など、、
348ページ。

………………………

 これまでのページでも随所で宇宙図の類に関する文献にふれてきています。その内から主なものいくつかのみ拾いあげておくと;

Colette Caillat, Ravi Kumar, english rendering by R. Norman, The Jain Cosmology,1981
濱田淑子・本田秋子、「(研究資料紹介) : ローカ・プルシャ Loka-Puruṣa -ジャイナ教の宇宙観-」、2013

須彌山圖譜』、1925
仏教の宇宙観 龍谷大学大宮図書館 2009年度特別展観』図録、2009.5

Buddhist Cosmology Thonburi Version, 1982

大和文華』、no.121、2010.3.31、「マニ教絵画特輯
中国江南マニ教絵画研究』、2015

黙示録と幻想 終末の心象風景』展図録、2000
The Apocalypse and the Shape of Things to Come, 1999-2000

金沢百枝、『ロマネスクの宇宙 ジローナの《天地創造の刺繍布》を読む』、2008

フリッツ・ザクスル、松枝到訳、「中世の宇宙観」、2005

 →こちら(インド(?)の亀蛇宇宙図〉の頁)やあちら(イスラームの〈世界を支える者たち〉の頁)、
 また「通史、事典など」のページ「iii. 地学・地誌・地図など」の項の内、「地図」に関する箇所も参照

 また平凡社の『イメージの博物誌』シリーズ;

ウォレン・ケントン、『占星術 - 天と地のドラマ イメージの博物誌 1』、1977
マリア=ガブリエル・ヴォジーン、『神聖舞踏 - 神々との出会い イメージの博物誌 2』、1977
デーヴィッド・コクスヘッド+スーザン・ヒラー、『夢 - 時空を超える旅路 イメージの博物誌 3』、1977
フランシス・キング、『魔術 - もう一つのヨーロッパ精神史 イメージの博物誌 4』、1978
デーヴィッド・タンズリー、『霊・魂・体 - 小宇宙としての人間 イメージの博物誌 5』、1977
スタニスラス・クロソウスキー・デ・ロラ、『錬金術 - 精神変容の秘術 イメージの博物誌 6』、1978
ジル・パース、『螺旋の神秘 - 人類の夢と怖れ イメージの博物誌 7』、1978
フィリップ・ローソン、『タントラ インドのエクスタシー礼賛 イメージの博物誌 8』、1978
フィリップ・ローソン+ラズロ・レゲザー、『タオ 悠久中国の生と造形 イメージの博物誌 9』、1982
スタニスラフ・グロフ+クリスティナ・グロフ、『魂の航海術 - 死と死後の世界 イメージの博物誌 10』、1982
ゼヴ・ベン・シモン・ハレヴィ、『ユダヤの秘儀 カバラの象徴学 イメージの博物誌 11』、1982
マリー・ルイゼ・フォン・フランツ、『時間 - 過ぎ去る時と円環する時 イメージの博物誌 12』、1982

フランシス・ハックスリー、『龍とドラゴン - 幻獣の図像学 イメージの博物誌 13』、1982
ジョン・ミシェル、『地霊 - 聖なる大地との対話 イメージの博物誌 14』、平凡社、1982
ロジャー・クック、『生命の樹 - 中心のシンボリズム イメージの博物誌 15』、1982
ラレ・バフティヤル、『スーフィー イスラムの神秘階梯 イメージの博物誌 16』、1982
フランシス・ハクスリー、『眼の世界劇場 - 聖性を映す鏡 イメージの博物誌 17』、1992
ジョン・シャーキー、鶴岡真弓訳、『ミステリアス・ケルト - 薄明のヨーロッパ イメージの博物誌 18』、1992
ピーター・ペイン、『マーシャル・アーツ - 武術の霊的次元 イメージの博物誌 19』、1992
デイヴィッド・マクラガン、『天地創造 - 世界と人間の始源 イメージの博物誌 20』、1992
ニコラス・ソーンダズ、『ネコの宗教 - 動物崇拝の原像 イメージの博物誌 21』、1992
リュシ・ラミ、『エジプトの神秘 - 甦る古代の叡智 イメージの博物誌 22』、1992
ジェフリー・アッシュ、『アーサー王伝説 - 黄金時代の夢 イメージの博物誌 23』、1992
ロバート・ロウラー、『神聖幾何学 - 数のコスモロジー イメージの博物誌 24』、1992
フィリップ・ローソン、『聖なるチベット イメージの博物誌 25』、1992
ジョーン・ハリファクス、『シャーマン - 異界への旅人 イメージの博物誌 26』、1992
W.カーク・マクナルティ、『フリーメイソン - 儀礼と象徴の旅 イメージの博物誌 27』、平凡社、1994
ジェフリー・アッシュ、『アトランティス伝説 - 失われた大陸/古代の叡知 イメージの博物誌 28』、1994
ジョン・M・ルンドクィスト、『神殿 - 天と地の出会い イメージの博物誌 29』、1994
アデル・ゲティ、『女神 - 生ける自然の母 イメージの博物誌 30』、1995
P.L.ウィルソン、『天使 - 神々の使者 イメージの博物誌 31』、1995
スタニスラフ・グロフ、『死者の書 - 生死の手引 イメージの博物誌 32』、1995
アリステア・シアラー、『ブッダ - 知恵の心 イメージの博物誌 33』、1995
ジョン・ラッシュ、『双子と分身 - 〈対なるもの〉の神話 イメージの博物誌 34』、1995

………………………

『古美術』、no.35、1971.12、pp.9-52:「特集 星宿美術」
図版/星宿美術 - 星曼荼羅(真鍋俊照)/羅睺・計都の図像鑑賞(野尻抱影)/星とキリスト教美術(田中文雄)

林温、『妙見菩薩と星曼荼羅 日本の美術 no.377』、至文堂、1997.10
はじめに//
古代の天界観;北辰と北斗/さまざまな星宿図/日本における北極星と北斗七星/北斗七星の刀//
インドの星宿像の混入//妙見菩薩//熾盛光法//北斗曼荼羅の成立//
その他の星宿図;如意輪観音と虚空蔵菩薩/おわりに//
カコミ;五惑星/北辰と北斗/十二宮と二十八宿/式盤の一異例//
妙見信仰と武士団形成-千葉氏の場合-(丸井敬司)など、
98ページ。


藤田治彦、『天体の図像学 西洋美術に描かれた宇宙』、八坂書房、2006
古代ギリシア・ローマの天体/磔刑像の天体/聖母像の宇宙/初期ネーデルラント絵画の天体/宗教改革と対抗宗教改革の日月/新大陸の太陽・月・星/太陽の画家と月の画家/18世紀「科学の時代」の天体/19世紀「産業の時代」の太陽と月/20世紀 新しい天体の風景など、
302ページ。


島本浣・岸文和編、『絵画の探偵術』、昭和堂、1995、「第Ⅰ部 3 世界を観る絵画」、pp.66-81
a 宇宙観 西洋(加藤哲弘)/a 宇宙観 日本(加須屋誠)/b 前世と死後の世界 西洋(蜷川順子)/b 前世と死後の世界 日本(加須屋誠)

三好唯義編、『図説 世界古地図コレクション』(ふくろうの本)、河出書房新社、1999
西洋との接触/屏風になった世界地図/出版された世界図/マテオ・リッチ世界地図とその影響/蘭学の発達と世界地図/ペリー来航と幕末の世界地図ブームなど、
140ページ。


久重忠夫、『西欧地獄絵巡礼』、彩流社、1996
序章 「泉の聖母」/トルチェッロ-地獄下り/トスカーナの丘から/ミケランジェロに圧倒されて/第1間奏 『神曲』の挿絵を眺めながら/ドイツから北欧へ/第2間奏 「地獄の門」の前で/ボッシュ憧憬/フランス・カテドラル巡礼/フランドルの旅/付論 私の地獄観-自獄について、など、
316ページ。

 →こちら(タッデオ・ディ・バルトロ《地獄》(部分)(1393)の頁の 「Cf. 」)や、そちら(「暖炉の中へ、暖炉の中から - 怪奇城の調度より」の頁)にも挙げています


ニルス・ビュットナー、深谷訓子訳、「アルス・コスモグラフィア 初期近世ヨーロッパにおける風景画と世界形状誌」、『京都美学美術史学』、no.5、2006、pp.1-30 [ < CiNii Articles

マイケル・ベンソン、序文:オーウェン・ギンガリッチ、野下祥子訳、日本語版解説:松井孝典、『世界《宇宙誌》大図鑑』、東洋書林、2017
原著は Michael Benson, Cosmographics. Picturing Space through Time, 2014
序文(オーウェン・ギンガリッチ)//
創造/地球/月/太陽/宇宙の構造/惑星と衛星/星座・獣帯・天の川銀河/食と太陽面通過/彗星と隕石/オーロラと大気現象//
解説(松井孝典)
320ページ。


 →こちら(ジョヴァンニ・ディ・パオロ《天地創造と楽園追放》(1445頃)の頁の「Cf.」)や、またそちら(ケプラー『宇宙の神秘』(1596)図表Ⅲの頁の「Cf.」)で挙げました

アン・ルーニー、鈴木和博訳、『天空の地図 人類は頭上の世界をどう描いてきたのか』、日経ナショナルジオグラフィック社、2018
原著は Anne Rooney, Mapping the Universe : Exploring and Chronicling the Cosmos, 2017
何もない場所へ/世界の中心 プトレマイオスからコペルニクスへ/月の地図 地球唯一の自然衛星/星から惑星へ 天空の裏庭/太陽系の主 最も身近な恒星/明滅する星々 小さな点から遠い太陽へ/無限の彼方へ 宇宙の果てを目指して、など、
192ページ。


 同じ著者による→こちらを参照;『地図の物語』(2016)/「通史、事典など」の頁の「iii. 地学・地誌・地図、地球空洞説など

エドワード・ブルック=ヒッチング、関谷冬華訳、『宇宙を回す天使、月を飛び回る怪人 世界があこがれた空の地図』、日経ナショナルジオグラフィック社、2020
原著は Edward Brooke-Hitching, The Sky Atlas, 2019
はじめに//
古代の空;先史時代の天文学/古代バビロニア/古代中国の天文観測/古代エジプトの天文学/古代ギリシャ/天球説の登場/プトレマイオスの宇宙論/ジャイナ教の宇宙観//
中世の空;イスラム天文学の台頭/アストロラーベの発明/イスラム天文学がヨーロッパに広まる/ヨーロッパの天文学/天文学の新時代/天上の海/宇宙をこの手に:ぜんめい仕掛けと印刷技術/天文現象:その1/メソアメリカ//
科学の空;コペルニクスが起こした革命/ティコ・ブラーエ/ヨハネス・ケプラー/ガリレオ・ガリレイ/デカルトの渦動説/月の地図を作ったヨハネス・ヘヴェリウス/ニュートンの物理学/ハレー彗星//
近代の空;ウィリアム・ハーシェルとカロリン・ハーシェル/小惑星の名付け親/ジョン・ハーシェルと月の生命体/海王星の発見/まぼろしの惑星ヴァルカン/分光法と宇宙物理学の幕開け/天文現象:その2/パーシヴァル・ローウェルが火星の生命を探る/惑星Xの探索と冥王星の発見/星の分類で活躍したピッカリングの女性チーム/新たな宇宙観:アインシュタイン、ルメートル、ハッブル/20世紀の画期的大発見と未来など、
256ページ。


 次の本とともに、同じ著者による→こちらを参照;『世界をまどわせた地図』(2017)/「通史、事典など」の頁の「iii. 地学・地誌・地図、地球空洞説など

エドワード・ブルック=ヒッチング、藤井留美訳、『地獄遊覧 地獄と天国の想像図・地図・宗教画』、日経ナショナルジオグラフィック社、2023
原著は Edward Brooke-Hitching, The Devil's Atlas , 2021
はじめに//
地獄と冥界;古代エジプトのドゥアト/古代メソポタミア - 冥府クル/ゾロアスター教の死後の世界 - 虚偽の家と歌の家/古代インドの地獄/東洋の地獄/ハデス/ヘル - 北欧の冥界/ジャハンナム - イスラム教の地獄/メソアメリカの地下世界/
  聖書の地獄;シェオルとゲヘナ/地獄の幻視と地獄めぐり/地獄の口/悪魔の歴史/ダンテ「地獄篇」と地獄の地図/地獄の進化//
辺獄、煉獄、中間世界;中間世界/辺獄/煉獄//
天国、楽園、理想郷;古代エジプトのアアル/古代インドの天国/東洋の天国/ギリシャとローマ - 黄金時代、エリュシオン、幸福諸島/メソアメリカの天国/ジャンナ - イスラム教の楽園/ヴァルハラ/聖書の天国/エデンの園を地図にする/トマス・モアのユートピア/食の楽園コケイン/ダウイーのザイオン//
おわりに/主な参考文献など、
256ページ。


今井澄子監修、木川弘美責任編集、『天国と地獄、あるいは至福と奈落 ネーデルラント美術の光と闇』(北方近世美術叢書Ⅵ)、ありな書房、2021
プロローグ 光と闇のはざまで(今井澄子)/
忍び寄る死 - ヤン・ファン・エイクと工房《磔刑》《最後の審判》二連画(杉山美耶子)/善生善死への導き - ロヒール・ファン・デル・ウェイデン《ボーヌ祭壇画》(今井澄子)/イメージの源泉と文学伝統 - シモン・マルミオン『トゥヌグダルスの幻想』(小池寿子)/永遠の業火か浄罪の炎か - ヒエロニムス・ボスが描く罪人の試練(木川弘美)/動物たちの楽園 - ヤン・ブリューゲル(父)/ルーベンス《エデンの園(人類の堕落)》をめぐる考察(廣川暁生)/
エピローグ 彼岸の世界へのまなざし(木川弘美)/
天と地のはざまで - シリーズ完結の辞(今井澄子)など、
258ページ。


 →こちら(メムリンク《虚栄》(1485頃)の頁)や、そちら(ウィレム・ファン・ハーハト《コルネリス・ファン・デル・ヘーストの画廊》(1628)の頁)で挙げました。

 錬金術の図像については、上に挙げたデ・ロラ『錬金術-精神変容の秘術 イメージの博物誌 6』や同じ著者による『錬金術図像大全』などを参照
 また
牧神』、no.7、1976.11:「特集 神秘主義について」中の

吉村正和、「バラ十字会とカバラの図像学」、pp.106-121
 や
球体マンダラ」(南原実)、

フレッド・ゲティングズ、『オカルトの図像学』、1994

オーエン・S・ラクレフ、『図説オカルト全書』、1997

S・エリザベス、井上舞訳、『オカルトの美術 現代の神秘にまつわるヴィジュアル資料集』、2021

ブルトン、『魔術的芸術』、1997

 なども参照ください。

Peter Whitfield, The Mapping of the Heavens, The British Library, London, 1995
『諸天の地図作り』
星図と古典的天文学/もっとも古い科学/イスラームと中世の天文学/新しい科学/移り変わる地平など、134ページ。


Bernard Ribemont, “Le zodiaque médiéval”、『神話・象徴・文化 Ⅱ』、楽瑯書院、2006、横書きpp.77-102
「中世の獣帯」
獣帯の図像誌/中世の百科全書における獣帯/惑星と植物//
附録;『諸事物の特性の書』第9章/同第10章など


 宇宙を巡るものだけでなく、また天文写真や図表、グラフなども出てきますが、

ジョン・D・バロウ、桃井緑美子訳、『コズミック・イメージ 美しい科学 1』、青土社、2010

  同、 『サイエンス・イメージ 美しい科学 2』、同、2010
原著は John D. Barrow, Cosmic Imagery. Key Images to the History of Science, 2008
第1巻
はじめに/序文 どの絵にも一つ一つ物語がある//
瞳のなかの星;真夜中の子供たち - 星座/太陽の帝国 - コペルニクスの宇宙像/星月夜 - 渦状銀河/スターになりたい - ヘルツシュプルング=ラッセル図/化粧を凝らした宇宙 - 星雲/西暦1054年の吉兆 - かに星雲/AはアンドロイドのA - 隣の銀河/パーフェクト・ピッチ - ハッブルの音叉図/美は乱調にあり - 特異銀河/世界が爆発するとき - 超新星1987A/逃げていく銀河 - ハッブルの法則/未来の世界 -フリードマン宇宙/膨張 - 風船宇宙/ディープヒート - COBEが観測したスペクトル/陽子と中性子が出会うとき - ビッグバン元素合成/暗転 - 暗い夜空/時間の触手 - CfA赤方偏移サーベイ/最後のフロンティア - ハッブル・ディープフィールド/時は流れて - 時空図/われらの昨日 - 過去の光円錐/重力の虹 - インフレーション宇宙のスペクトル/ワールド・イズ・ノット・イナフ - 永久インフレーション/正体不明の重力 - ブラックホールには毛がない//
宇宙についての先入観;小さいけれど大きな一歩 - 月から見た地球/富のありかを知るには - 夜の地球/小さい星の手あて - オゾンホール/真昼の暗黒 - 食/宇宙戦争 - 火星の運河/人類のゴールドディスク - パイオニアの銘板とボイジャーのレコード盤/ET、オウチニデンワ、シタイ - 空飛ぶ円盤/ベントリー氏の雪への愛情 - 雪の結晶/霊妙なる山に登りて - フォン・フンボルト男爵の植物生態学/ロッキン・オール・オーバー・ザ・ワールド - スミスの地層/風と共に去りぬ - 天気図/驚異の恐竜王国 - 言葉と像/一歩を踏み出す - ラエトリ遺跡の足跡/最初の絵画展 - 挿絵の隆盛/目を奪われる肉体 - ヴェサリウスと人体/ノミの観察 - 発明家フック/地面を揺らしたのはあなた? - 動く大陸/故郷へ帰る道 - メルカトルの世界地図/スタイル抜群 - 生物の対称形/しぶきをあげる - 高速度写真など、
376ページ。

第2巻
数で描かれた絵;有名な五つ - プラトンの立体/神はサッカーをするか - バッキーボール/極上の数 - エラストテネスのふるい/斜辺の上の正方形 - ピュタゴラスの定理/記号の時代 - +-×÷=/積み重なる数 - パスカルの三角形/偶然と必然 - サイコロの目/図になった男 - ジョン・ヴェン師/ワンサイド・ストーリー - メビウスの輪/カドモスとハルモニア - サイン、コサイン/明日に架ける橋 - 鎖とアーチ/神がゼロで割るところ - 無限/無限についての新しい観点 - カントールの対角線論法/プロットする人 - グラフの起源/分析家 - 変動の謎/ドーナッツ、レモン、みんな - 楽譜/超立方体 - 他次元の視覚化/限界を超えて - コッホ雪片、シェルピンスキーのカーペット、メンガーのスポンジ/終わりのない世界 - マンデルブロー集合/起こりえないことが起こるところ - 不可能な三角形/見ることは信じること - 錯視/トゥ・イージー・ピーセズ - 非周期充填/四つの署名 - 四色定理/チューブ - ロンドンの地下鉄マップ/嘘、大嘘、統計学 - 正規であることの重要性//
知は物質を超える;科学の顔 - 象徴としてのアインシュタイン/虹の解体 - ニュートンのプリズム/胎内の引力 - 地球の磁力の誕生/
力場(フォースフィールド)とともにあらんことを - 磁場線/偉大なるデンマーク人(グレートデーン) - ボーアの原子/生命はすべてここに - 元素周期表/ロード・オブ・ザ・リング - ベンゼン鎖/まるで螺旋の輪のように - DNA、生命の螺旋/つなぎ合う手と手 - 分子構造/レット・イット・ビー - 結合エネルギー曲線/あの恐ろしい力 - キノコ雲/空中に描く - 泡箱の軌跡/ディックのおかしな小さい絵 - ファインマン・ダイアグラム/バンド・オン・ザ・ラン - 重なる三つの点/万物の総カタログ - あらゆるものの大きさ/危機一髪の猫 - シュレーディンガーの猫/発展の余地あり - 量子囲い/量子の蜃気楼 - もつれる光子/繰り返すデジャヴュ - ゼログラフィ/予言の自己成就 - ムーアの法則/砂に隠された秘密 -砂山など、
422ページ。


 同じ著者による→あちら(『宇宙が始まるとき』)を参照。『宇宙論大全』のところでも少し触れました。さらに、「ヤムニッツァー(1508-85) 『正多面体の透視図』(1568)より」の頁の Cf. の cf. でも挙げています。

橋本毅彦『描かれた技術 科学のかたち サイエンス・イコノロジーの世界』、東京大学出版会、2008
はじめに//
技術の風景;職人の風景/鉱山の仕組み/工芸の描写/岩礁の灯台/刀匠の秘伝//
機械のかたち;ダ・ヴィンチのスケッチ/機械の劇場/船大工の製図室/機械のモデル/エジソンのインスピレーション//
機械仕掛けの自然;時計仕掛けの宇宙/宇宙のネジ/レーウェンフックの小動物/精気の噴水/匂いのかたち//
自然の形態学;ヒマラヤのシャクナゲ/ダーウィンのフィンチ/青の細菌/鉄の結晶/冬の華/雲の分類学/音の模様/渦の生成/大地の地図//
科学の場所;天の城/黄金の木/実験の情景/ビーナスの影/クリスマスの講演//
おわりに - 科学技術の活動における図像の機能/文献解題など、
308ページ。


 宇宙論的な図像をもっぱら扱う本ではありませんが、第3部中の「宇宙のネジ」の章では、デカルトの渦動宇宙論や地球論が取りあげられています。同じく「精気の噴水」ではデカルトの『人間論』を解説しています。なので→こちらにも挙げておきます(「バロックなど(17世紀)」の頁の「デカルト」の項内)
 また「宇宙のネジ」の前に置かれた「時計仕掛けの宇宙」の章の参考文献としてあげられていたのが→そちら:同じく「バロックなど(17世紀)」の頁の「iv. 薔薇十字団、その他/」オットー・マイヤー、忠平美幸訳、『時計じかけのヨーロッパ 近代初期の技術と社会』(1997)のところ
 →あちら(「寄木細工、透視画法、マッツォッキオ、留守模様」の頁中の「水車、蛇籠」の項)や、→ここ(「怪奇城の隠し通路」の頁)、→そこ(「怪奇城の図面」の頁)で触れました

………………………

 少し下の「iii. 色彩」の項(→こちら)や、→そちら(「近代など(20世紀~ ) Ⅲ」の「xii. ロシアから」)、でカンディンスキーに登場してもらいましたが、
ハインリヒ・リュッツェラー、西田秀穂訳、『抽象絵画 - 意味と限界』、美術出版社、1973、pp.203-209:「天地創造以前の世界」

 という節は、カンディンスキーの《黒い弧》(1912)から説き起こされていました。 
カンディンスキー《黒い弧》 1912
カンディンスキー《黒い弧》 1912

* 画像をクリックすると、拡大画像とデータが表示されます
原著は Heinrich Lützeler, Abstrakte Malerei - Bedeutung und Grenze, 1961

 全体の目次は;

日本語版のための序文/序奏//
問題点;社会学的事実/概念規定//
美術史的前提 ドイツ・ロマン派から表現主義まで;ドイツ・ロマン派/印象派/点描主義/表現主義/対象から解放された絵画への歩み//
美術史的前提 ポール・セザンヌ;
転調(モデュラシオン)実現(レアリザシオン)/人間的な価値内容//
精神史的前提;理念/神/物自体/物質//
価値の問題;構成されたものか?/応用美術か?/表現力に欠けるか?//
基本形式;プロポーションとバランス/表現の範囲/絵画の新しい概念/絵画と建築//
遊戯形式;産業社会/重荷から解放された生活/種々の移行現象//
生成形式;天地創造以前の世界/ロシヤ/闘争と破壊と/根源現象//
秩序形式;構造/按配//
対象的絵画における種々の抽象的性格;ヨーロッパ以外の美術/ルネサンスまでのヨーロッパ美術/ルネサンス以降のヨーロッパ美術//
意味と限界;教則画-秩序と運動-創造/抽象画に対してわれわれのとるべき態度/そして未来は?、など、
366ページ。


 カンディンスキーとバウハウスでの同僚だったクレーの造形論もまた、宇宙生成の過程と大いに重ねあわされています;

パウル・クレー、土方定一・菊盛英夫・坂崎乙郎訳、『造形思考(上下)』(ちくま学芸文庫 ク25-1, 2
)、筑摩書房、2016
原著は Paul Klee, Das bildnerische Denken, 1956
 邦訳は1973年刊本の文庫化
上巻 編者の言葉(ユルク・シュピラー)/まえがき - 講義のための著作の成立について -(同)//
 造形論の概念;永遠の博物史 生命力の作用/反対概念のない概念は考えられない 二元性を統一として扱うこと/フォルムの発生 すべての生成の根底には運動がある/造形は運動と結ばれている 原動力と限界/平面と空間における位置決定 造形的全体像の組成(舞台)/内的なものにもとづいて探求した自然の事物 本質と現象/自然研究の方法/芸術領域における精密な実験/純粋性は抽象の領域である/創造についての信条告白(1920)/造形手段の領域における展望と位置決定、および造形手段の空間的秩序//
 造形フォルム論によせて;概念としての分析(1921/11/14…)/いかにしてフォルムが生ずるか、フォルムへの道、基本的諸フォルムへの道 観念的な造形手段の領域における展望と位置決定 フォルムの手段の本質と現象 規則的と変則的な投影 尺度と重さ。構造による形成 組成論の諸要素。リズムと律動構造 1 線:アクティヴ、パッシヴ、中間的 2 線、面、空間における位置決定(1921/11/28…) 3 空間的-造形的な表現と運動の綜合 4 造形要素としての重さの感覚 力の均衡。重さとそれに釣合う重さ 量、質、および両者の相対関係(192112/12…) 5 構造的な形成、個体的な性格と分割可能な性格 造形過程としての長さの測定と重さの計量 時間単位と長さの単位(1922/1/16…)など、
476ページ。

下巻 造形フォルム論によせて;生成の基本概念 運動の造形。フォルムにいたる過程の強調 自然研究と結びついた造形論 過程と目標の緊張。本質と現象 自然と抽象 1 さまざまな運動の可能性 リズミカルな組成の性格 地上的、および宇宙的な例(1922/1/30…) 2 運動の意志と運動の遂行としての自然な運動有機体機能 二つのもの、および三つのものの有機的な協調(1922/2/13…) 3 運動はすべての生成しつつあるものに固有である 生成としての作品の歴史。造形作品の機能 現実の運動のフォルムの性質やその有機的な相関性の問題(1922/2/27…) 4 造形作品の継起、あるいはその時間的機能 運動の行動と運動のフォルム 現実の運動のフォルムの性質(1922/3/20…) 5 動いた力の原因、結果、および造形 運動有機体と、動いている静かな、靜に動く全体物になる多様性の綜合 運動が無限に行われる解決(1922/4/3…)//
  造形的全体の組成 運動有機体、組成の性格とその評価。領域と部分 1 存在する作品ではなく、生成する作品 単一性にいたる多様性の構造 全体に向う作品内の発展。反復(1922/5/15…) 2 相異なるものを統一に組織すること 領域と諸部分。総括(1922/7/3…)
  純粋な色の秩序と本質 色彩関係を示す場でしめる位置 面上での色の有限な、および無限な運動 色の部分活動と色の全体性 1 色の領域における秩序 有限な色列、および色の無限な融合 直径、および円周の色の関係(1922/11/28…) 2 色の相互関係 直径で結ばれている色の関係 純正な色の対と純正でない色の対 3 円周上の色の運動(1922/12/19…)。色の全体性の
輪唱(カノン) 4 色の平面に関する全体性の法則 5 色円上の色素の固着//
文庫版解説(岡田温司)など、
360ページ。


 あわせて;

ロバート・ローゼンブラム、神林恒道・出川哲朗訳、『近代絵画と北方ロマン主義の伝統 - フリードリヒからロスコへ -』、岩崎美術社、1988
原著は Robert Rosenblum, Modern Painting and the Northern Romantic Tradition : Friedlich to Rothko, 1988
北方ロマン主義と神の復活;フリードリヒと風景画の神性/宇宙創造論と神秘主義 - ブレーク、ルンゲ、パーマー -//
19世紀末におけるロマン主義の生き残りと復活;ファン・ゴッホ/ムンクとホードラー//
20世紀におけるロマン主義の生き残りと復活;牧歌的なものと黙示録的なもの - ノルデ、マルク、カンディンスキー -/ロマン主義のほかの流れ - クレーからエルンストへ -//
超越的抽象;モンドリアン/抽象表現主義など、
352ページ。


 さらに;

Linda Dalrymple Henderson, The Fourth Dimension and Non-Euclidean Geometry in Modern Art (revised edition), 1983 / 2013

The Spiritual in Art. Abstract Painting 1890-1985, 1986

リングボム、松本透訳、『カンディンスキー 抽象絵画と神秘思想』、1995
………………………

『天体と宇宙の美学』展図録、滋賀県立近代美術館、2007
星をめぐる断想(占部敏子)//
物語の中に描かれた天体/太陽と月(太陽、日蝕、月、『月映』)/天文学と占星術/星空と宇宙の旅(夜空を見上げて /宇宙の旅/科学的な眼)など、
144ページ。


『宇宙御絵図』展図録、豊田市美術館、2007
宇宙と風雅モダニズム(篠原資明)/「宇宙御絵図」を思考する(青木正弘)//
図版;安齊重男/金山明/河原温/北山善夫/佐倉密/鷲見和紀郎/田中信行/長沼宏昌/野村仁/松澤宥/毛利武一郎/ZAPPAなど、
124ページ。


港千尋・永原康史編、『創造性の宇宙 - 創世記から情報空間へ』、工作舎、2008
ヴィジュアル・ステージ(港千尋+永原康史)/第2のビッグバンへむけて(港千尋)//
コスモロジーの冒険;創世記に見られる天地創造とその創造主(秦剛平)/ムカルナス - 空虚の装飾(高橋士郎)/ディープ・コスモロジー - 宇宙からのイメージ(伊藤俊治)//
関係性の力;インタラクションに関する考察 - 「自己座標系」をデザインすること(須永剛司)/インタラクティヴな遠近法(ジャン=ルイ・ボワシエ)/計算する宇宙の囲碁(久保田晃弘)//
メディアを超えて;オープン・クリエーション - PAZ(分散的テンポラリー・ゾーン)の実践(四方幸子)/観測される現在地 - 存在のリアリティ(平川紀道)/柔らかなデジタル(前だジョン×永原康史)/情報宇宙の作図法 - インタラクション・ユニヴァースのための制作ノート(永原康史)など、
256ページ。


『ミッション[宇宙×芸術] コスモロジーを超えて』、青幻舎、2014
東京都現代美術館、2014.6.7-8.3
Images for mission [SPACE×ART]/宇宙にとって芸術とはなにか - ミッション[宇宙×芸術]展によせて(森山朋絵)//
展示風景+図版;技術試験衛星I型「きく1号」(ETS-a)/beyond [space+art+design]/宇宙をテーマとする歴史資料・書籍/ポートフォリオ(NASA「宇宙への旅 - 25年の歴史」)/月の影/大平貴之/チームラボ/森脇裕之/木本圭子/鈴木康広/逢坂卓郎/国立天文台/oblaat(谷川俊太郎)/ユリウス・フォン・ビスマルク/国際宇宙ステーション「きぼう」日本実験棟における『文化・人文社会科学利用パイロット・ミッション』/フェアリング/H-IIA204型ロボット/逢坂卓郎/安藤孝浩/河口洋一郎/イ・ヨンジュン/宇宙切手 辻野照久氏蔵/測地実験衛星(EGS)「あじさい」/西澤丞&ソニー・ミュージックコミュニケーションズ/惑星探査車/地球光/名和晃平/松本零士/SPACE FILMS/なつのロケット団/きぼうハイビジョン・アースビュー/月面旅行-Flying over the moon-/H-IIA/H-IIBロケット用第1段エンジン(LE-7A)/JAXA長期ビジョン/宇宙ホテル構想/多摩美術大学×東京大学 ARTSAT:衛星芸術プロジェクト/チームラボ 陸域観測技術衛星2号「だいち2号」(ALOS-2)実物大模型/福原哲郎&東京スペースダンス/oblaat(谷川俊太郎、三角みづ紀、最果タヒ、穂村弘)/人工衛星クラブ(和田ラジヲ)//
テキスト・資料;宇宙×芸術クロニクル[年表]/宇宙芸術 Space Art/宇宙芸術とは(逢坂卓郎)/特別対談(若田光一(宇宙飛行士/JAXA)×逢坂卓郎)/宇宙×芸術展の試み/ミッション[宇宙×芸術]展によせて(板根厳夫)/宇宙機関と芸術の出会い(内富素子)/現代アートの視点と宇宙芸術(森脇裕之)/種子島宇宙芸術祭の構想(同)/プロダクトデザインと宇宙芸術(山中敏正)/アートとしての宇宙切手の魅力(辻野照久)/地球人としての自覚・人類益の創成(松尾尚子)/国際宇宙ステーション(ISS)と宇宙芸術(潮田知彦)/人工衛星と宇宙芸術(鈴木浩之)/遙かなるもののリアリティ(久保田晃弘)など、
182ページ。


『宇宙と芸術 かぐや姫、ダ・ヴィンチ、チームラボ』展図録、森美術館/平凡社、2016
「宇宙と芸術展」について(南條史生)/宇宙と芸術 - 宇宙という想像/創造の領域へ(椿玲子)//
SECTION 1 人は宇宙をどう見てきたか?/SECTION 2 宇宙という時空間/SECTION 3 新しい生命観 - 宇宙人はいるのか?/SECTION 4 宇宙旅行と人間の未来/MAMスクリーン004:宇宙から地球を観る//
宇宙観の変遷 - アリストテレスからアインシュタインまで(竺覚曉)/プラシド・ドミンゴと原子力発電(的川泰宣)/西洋美術における宇宙(アルベルト・ロッカ)//
作品リスト/作家・作品解説など、
320ページ。


 もとの勤め先で2019年2月20日現在開催中の『パラランドスケープ 〝風景〟をめぐる想像力の現在』展(三重県立美術館、2019/1/4-3/24→こちらを参照三重県立美術館のサイト)の図録であげられていて知ったのが(p.15 註29);

『ウェザーリポート 風景からアースワーク、そしてネオ・コスモグラフィア』展図録、栃木県立美術館、2018
ウェザーリポートの彼方へ - 新たな天地学(ネオ・コスモグラフィア)を求めて(山本和弘)はじめに//
  コスモグラフィア;コスモグラフィアとは何か/プトレマイオスとアピアヌスの『コスモグラフィア』/天文学的情報の希薄化//
  天変地異の時代;黄道十二宮/隕石と氷河期/地球時間と宇宙時間/天地反転の造形//
  視覚のアノマリ;アノマリとは何か/風景とアノマリ//
  天文学者と地理学者;ヨハネス・フェルメール/天文学者=地理学者//
  望遠鏡と気球、そして写真;空中撮影/天空の反映と地表の視標//
  回転と革命、あるいは螺旋;回転(と革命)/レヴォルシオン/螺旋//
  ネオ・コスモグラフィア;螺旋と空間恐怖、あるいは脱呪術化空間/ネオ・コスモグラフィア的作品//
  おわりに//
図版/作家解説など、
112ページ。


 総論の副題にある「新たな天地学(ネオ・コスモグラフィア)」が示すように、山本義隆の『世界の見方の転換』(2014)に「小論のタイトルと考察は…(中略)…多くを負うものである」とのこと(p.9)(→こちらも参照:「〈宇宙論〉と〈宇宙観〉など、若干の用語について」の頁)。

『美術手帖』、vol.71 no.1078、2019.10、pp.7-111:「特集 アーティストのための宇宙論」
Editor's note(岩渕貞哉)/巻頭座談会 宇宙×アートの問題系(木村大治、久保田晃弘、永松愛子)/もしも宇宙空間で作品をつくるとしたら?(目[mé]、関根康人)/宇宙を目指すアーティストたちの実践 トレヴァー・パグレン、ハリル・アルティンデレ、マイケル・ナジャー/アーティストのための宇宙入門(磯部洋明監修)/The Space Potter(寺本愛作画、大竹竜平原作・解題)//
宇宙を探求する視点と思考;宇宙科学研究機関とアートの協働 CERN(たなか・ゆり)、NASA JPL(ホリー・ウィリス:聞き手)/宇宙×デザインファイル 造形から見る地球外の生活/さよなら宇宙人 - かつてあれほど栄えていた「宇宙人」について(藤田直哉)/ロシア美術における宇宙 - 宇宙主義・不死・ユートピア(鴻野わか菜)/「宇宙×芸術展」というミッションは続く(森山朋絵)/「宇宙とアート」の何が面白いのか(磯部洋明)/BOOKガイド//
種子島宇宙芸術祭2019 総合ディレクターに聞く、宇宙芸術の実践(特集外)


 この他、

『SPACE ODYSSEY 宇宙の旅』展図録、水戸芸術館現代美術ギャラリー、2001

 あるも未見
 追補:その後見る機会がありました;


新たな視点を求めて - 現代美術と宇宙の旅(逢坂恵理子)/宇宙を見る(デイヴィッド・マリン)//
Installation View at Art Tower Mito;ジョン・マックラーケン/すばる望遠鏡/トーマス・ルフ/ウェンヨン&ギャンブル/マイケル・ライト/デイヴィッド・マリン/森脇裕之/トーマス・シャノン/金山明/ハッブル宇宙望遠鏡/平野治朗/チャールズ&レイ・イームズ/資料展示//
作家資料など、
104ページ。


 もとの勤め先で先だって開かれた『空飛ぶ美術館』展(三重県立美術館、2015/3/7-5/6→こちらを参照。また→そちら「通史、事典など」の頁の「天空など」でも触れました)の図録で参考文献としてあげられていて知ったのが(p.89);

Jean Clair ed., Cosmos. From Romanticism to Avant-garde, The Montreal Museum of Fine Arts, 1999
『コスモス ロマン主義からアヴァン=ギャルドへ』展図録
自然と宇宙;フンボルトからハッブルへ(
Jean Clair)/宇宙の秤 - 有限から無限へ(Stéphane Deligeorges)//
約束の地;アンデスの心臓 - フンボルトの『コスモス』とフレデリック・エドウィン・チャーチ(
Günter Metken)/19世紀のアメリカ - 新たな前線(Mayo Graham)/ヨセミテの最初のイメージ - アメリカ西部の最初のイコン(Mary Warner Marien)/社会的芸術としての地質学的景観 - アメリカ西部における探検家と写真家たち、1859-1879(François Brunet)//
両極への旅;極北の芸術的征服(
Eleanor Jones Harvey)/氷山、北極熊と北のオーロラ(Rosalind Pepall)//
地球の彼方に:月;「壮大な荒廃」 - 撮影された月(
Christopher Phillips)//
想像上の諸宇宙論;新しい天文学と膨張する宇宙-19世紀末のフランスからの眺め(
Barbara Larson)/有限性としての宇宙 - ボッチョーニの色彩生成(クロモゴニー)からフォンタナの空間芸術へ(Giovanni Lista)/宇宙的建築の理念と20世紀初頭のロシア・アヴァン=ギャルド(Igor A. Kazus)/宇宙的想像、象徴主義から抽象芸術へ(Constance Naubert-Riser)//
無限へ、そして帰還;現在の諸宇宙論(
Dieter Ottinger)など、
398ページ。


 そう言えばこんなのもありました;

Jeannot Simmen ed., Schwerelos. Der Traum vom Fliegen in der Kunst der Moderne, Edition Cantz, Stuttgart, 1991
『無重力 近代の芸術における飛行の夢』展図録
無重力になる - 展覧会のために(
Jeannot Simmen)/魂の飛翔と霊の墜落 諸天の建築は脳の建築である(Bazon Brock)/宇宙飛行士の林苑 集合的想像力の駆動装置(Ulrich Giersch)/ル・コルビュジェ《空中の箱》 - 重量のない -、青春の経験に帰される(Adolf Max Vogt)/中性的な枠、普遍的な枠 - ミース・ファン・デル・ローエへ(Christoph Asendorf)/非物質的な像(Norbert Bolz)/〈宙に浮かぶ〉造形(Bernhard Kerber)/こんにちは - 作話の美学(Thomas Zaunschirm)/虚空の中で重さなく(Jeannot Simmen)//
カタログなど、
286ページ。


Benjamin Anderson, Cosmos and Community in Early Medieval Art, Yale University Press, New Haven and London, 2017
『初期中世の美術における宇宙と共同体』
序論:孤独と共同体/専制と光輝/布告と処置/カロリング朝の合意/ビザンティンの不同意/結論など、
212ページ。


 扱われているのはおおよそ西暦700年から1000年までのフランク王国、東ローマ帝国、イスラームの帝国です。


 ちなみに美術に関する旧拙稿で宇宙論ネタを潜りこませたものは、「四方山話」に載せたものや「階段で怪談を」(<美術の話)以外にはあまりなかったかと思うのですが(たぶん)、これまで何度か挙げた

ふわふわ、きちかち、ずずずず、あるいは黒死館の影のもとに」、『1930年代展』図録 1999.9 [ < 三重県立美術館のサイト]

時よ止まれ、おまえは美しいのか? 絵と映像のA感覚」、『液晶絵画』展図録、2008.2 [ < 同上]

作品解説、あるいは幕間に潜りこもう!」、『ひろがるアート展~現代美術入門篇~』図録、2010.10 [ < 同上]

三重県立美術館ニュース、no.119、2010.12.10、『ひろがるアート~現代美術入門篇~』関連記事[ <まぐまぐ!のサイト ]
追補 上記メルマガの記事が「2019年4月15日より無料バックナンバーの公開を停止しております」とのことでリンク切れなので、
こちらに転載しておきました;「世界の複数性など」の頁中)

 などの他、

“my sky hole 86 - 道 No.1”より」、『ひるういんど』、no.18、1987.3 [ < 三重県立美術館のサイト]

ライリー,モネ,その他~線を巡って」、『大原美術館所蔵品展~20世紀・世界の美術~』図録、1987.4 [ < 同上]


 あたりでしょうか。

 宇宙論には絡みませんが、次項で扱う球にふれたのが;

夢みる三半規管」、『エルミタージュ美術館展 - フランス バロック・ロココ絵画』図録、1994.8 [ < 同上]


 こちらは十字について;

吸血鬼は十字架を恐れるか? - ビクトル・ミラ『神に酔いしれて』をめぐって(上) - 『100の絵画・スペイン20世紀の美術』展より -」、『ひるういんど』、no.37、1992.1 [ < 同上]

吸血鬼は十字架を恐れるか? - ビクトル・ミラ『神に酔いしれて』をめぐって(下) - 『100の絵画・スペイン20世紀の美術』展より -」、『ひるういんど』、no.46、1994.4 [ < 同上]
 

ii. 図形など

 まずは;

澁澤龍彦、『胡桃の中の世界』、1974

 から「プラトン立体」、「螺旋について」、「幾何学とエロス」、「宇宙卵について」など。


 〈プラトーン立体〉については、プラトーンの『ティーマイオス』(→こちらを参照:「ギリシア・ヘレニズム・ローマ Ⅱ」の頁の「vi. プラトーン」)やケプラーの『宇宙の神秘』(→そちらを参照:「バロックなど(17世紀)」の頁の「ii. ケプラーなど」)なども参照

 また

澁澤龍彦、『思考の紋章学』、河出書房新社、1977

 から「円環の渇き」

 →こちら(「イスラーム」の頁の「iii. スーフィズムなど」/アッタール『鳥の言葉』)やそちら(「メソポタミア」の頁の「おまけ」/中島敦「文字禍」)、またあちら:「エジプト」の頁の「おまけ」/中島敦「木乃伊(ミイラ)」)でも少し触れています

 他の内容は;
ランプの廻転/夢について/幻鳥譚/姉の力/付喪神/時間のパラドックスについて/オドラデク/ウィタ・セクスアリス/悪魔の創造/黄金虫/愛の植物学など、
232ページ。


 澁澤龍彦については→ここを参照:「通史、事典など」の頁の「おまけ

宮崎興二、『プラトンと五重塔 かたちから見た日本文化史』、人文書院、1987
はじめに//
登呂遺跡に住む/勾玉を曲げる/卑弥呼に会う/天円地方を駆ける/古墳で生きる/古事記を疑う/夢殿で暴れる/蘇民招来をいじめる/六角堂をあばく/晴明ききょうが咲く/魔方陣を攻める/陰陽五行に迷う/五大を見る/曼荼羅を読む/五輪塔になる/プラトンに聞く/多宝塔をののぞく/宝篋印塔が悩む/火輪を持つ/賽の河原で遊ぶ/宝珠を食べる/和算で探す/算額を塗る/十三仏を救う/切籠を切る/家紋が崩れる/五重塔に登る//
おわりに/参考文献一覧など、
256ページ。


 本書を知ったのは芦辺拓『綺想宮殺人事件』(2010)によってでした(p.326)。
 宮崎興二が監修をつとめた本とあわせ、→こちらでも挙げました:「近代など(20世紀~) Ⅱ」の頁の「vi. 次元など


ロバート・ロウラー、三浦伸夫訳、『神聖幾何学 - 数のコスモロジ ー イメージの博物誌 24』、平凡社、1992
原著は Robert Lawlor, Sacred Geometry : Philosophy and Practice, 1982
序/幾何学の実践/神聖幾何学:普遍的秩序のメタファー/初動:〈1〉の分割/交替/比例と黄金分割/グノーモンの展開と螺旋の創造/円の方形化/中項化:幾何学が音楽になる/人間/宇宙的立体の形成//
訳者解題-幾何学から神秘学へ、など、
118ページ。


 『イメージの博物誌』シリーズについて→こちらを参照:本頁上掲「i. 図像など


ティム・インゴルド、工藤晋訳、『ラインズ 線の文化史』、左右社、2014
原著は Tim Ingold, Lines : A Brief History, 2007
序論/言語・音楽・表記法/軌跡・糸・表面/上に向かう・横断する・沿って進む/系譜的ライン/線描・記述・カリグラフィー/直線になったライン//
人類学の詩的想像力 訳者あとがき/さわやかな人類学へ 解説に代えて(菅啓次郎)など、
278ページ。


デヴィッド・ウェイド、宮崎興二編訳、奈尾信英・日野雅之・山下俊介訳、『ルネサンスの多面体百科』、丸善出版、2018
原著は David Wade, Fantastic Geometry. Polyhedra and the Artistic Imagination in the Renaissance, 2015
幻想の幾何学 プロローグ//
  驚くべき発想の古代における源泉;ピタゴラスとプラトン、ならびにその後継者たち/ビザンチン文化とイスラム文化における古代ギリシャの知恵/●プラトン主義//
  西方ラテン世界のルネサンス;知の翻訳と伝達/プラトンの立体の図示/新しい視覚:ルネサンスにおける幾何学、光学、そして透視図/フィレンツェにおける透視図/●2次元平面上の3次元:透視図の作図方法と作図道具//
  北方ルネサンスの幾何学と透視図法;ラートドルトによるユークリッド『原論』/デューラー:画家、ヒューマニスト、そして幾何学者/近世初期の博学者たちと透視図ならびに幾何学/ケプラー:宇宙の数学者/●ルネサンス期の印刷と出版//
  16世紀のドイツにおける幾何学;デューラー以後の幾何学手引き書/普及者たち:ロドラー、ヒルシュフォーゲル、そしてラウテンザック/実作者たち:ヴェンツェル・ヤムニッツァー、ヨハネス・レンカー、ローレンツ・シュトゥーア、そしてある無名作家/後継者たち:プフィンツィンクとハルト/●ニュルンベルク:近代初期の産業と文化の中心地//
  関連分野の流行と衰退;イタリアにおける透視図法の幾何学的研究/透視図とバロック:幻想の幾何学の終焉//
幾何学と偉大な知性:レオナルド、デューラー、ケプラー;レオナルド・ダ・ヴィンチ(1452-1519)『神聖比例論』(ヴェネツィア、1509)/アルブレヒト・デューラー(1471-1528)『計測法教本(測定法教則)』(ニュルンベルク、1525)/ヨハネス・ケプラー(1571-1630)『宇宙の神秘』(チュービンゲン、1596、1621)、『世界の調和(宇宙の調和)』(フランクフルト、1619)//
ヴェンツェル・ヤムニッツァー;ヴェンツェル・ヤムニッツァー(1508-1585)『正多面体の透視図』(ニュルンベルク、1568)//
ローレンツ・シュトゥーア;ローレンツ・シュトゥーア(1540-1620ごろ)『幾何学と透視図』(ニュルンベルク、1567)、『幾何学と透視図:正多面体と不規則多面体』(1562-1599ごろ)//
ドイツのその他の幾何学的透視図作家;ヨハネス・レンカー(1551-1585ごろ)『文字の透視図』(ニュルンベルク、1567)、『透視図法』(ニュルンベルク、1571)/ルーカス・ブルン(1572-1628)『実用透視図』(ニュルンベルク、1615)/無名作家(1565-1600ごろ)『幾何学と透視図の図集』/パウル・プフィンツィンク(1554-1599)『幾何学と透視図法の概要』(ニュルンベルク、1598)/ピーター・ハルト(1620-1653ごろ活躍)『透視図の技法』//
イタリアとフランスにおける幾何学的透視図作家;ダニエーレ・バルバロ(1513-1570)『透視図の実際』(ヴェネツィア、1569)/謎のマルティーノ・ダ・ウーディネ(1470-1548) 3枚の図面/ロレンツォ・シリガッティ(1625没)『透視図の実践』(ヴェネツィア、1596)/ジャン=フランソワ・ニスロン(1613-1646)『不思議な透視図』(パリ、1638)//
付録;イタリアにおける象眼細工(インタルジア)/ドイツにおける象眼細工(インタルジア)/マゾッキオ/象徴的球体//
訳者による補遺:日本におけるドイツの構成幾何学(奈尾信英)など、
310ページ。


 ルネサンス期ということで、次に挙げる Geometry & Art (2017)および Noam Andrews, The Polyhedrists(2022)ともども→こちら(「ルネサンス、マニエリスムなど(15~16世紀)」の頁の「おまけ」)、
 および多面体にまつわって→そちら(「近代など(20世紀~) Ⅱ」の頁の「vi. 次元など」)にも挙げておきます。
 p.76 に図版が掲載されたフリードマン・デ・フリースに関し→あちらを参照:「フレーデマン・デ・フリース《透視画》より」の頁の「Cf.
 また「寄木細工、透視画法、マッツォッキオ、留守模様 - 幻想絵画の周辺(仮)より」のページでは何度か登場してもらっています。同じ著者による姉妹篇的な本が;


David Wade, Geometry & Art. How Mathematics transformed Art during the Renaissance, Shelter Harbor Press, New York, 2017
『幾何学と芸術 ルネサンスの間に数学は芸術をどう変容させたか』
著者の覚書//
幾何学の神的な美;逃れえない理念の古典的な諸起源/後期古典世界におけるプラトーン主義的なものの連続/古典ギリシアの知識のビザンチンとイスラームにおける保有/喪失そして部分的な回復/初期の翻訳者たち/中世ヨーロッパ芸術に影響を与えたものとしての新プラトーン主義/イスラーム芸術に影響を与えたものとしての新プラトーン主義/イスラームの科学と数学//
ラテン的西方の復興;
1400年代(クワトロチェント)のフィレンツェ/世界を測定する:ルネサンスの宇宙誌/フィレンツェと透視図法の発明/見ることの新たなやり方:レンズとカメラ・オプスクラ/幾何学的な宇宙/ピエロ・デッラ・フランチェスカ/パオロ・ウッチェロ/1400年代(クワトロチェント)における幾何学、比例と歴史=物語(イストーリア)/ルカ・パチョーリ/『神聖比例論』/レオナルドと幾何学/人間像における調和ある比例/文字の形成における幾何学と比例/ルネサンスの理想都市/アンドレア・パッラーディオと調和ある比例/幾何学(ゲオーメトリア)と自由学芸/イタリアの〈タルシーア〉における幾何学的なモティーフ//
幾何学(ゲオーメトリア)と北方ルネサンス;数学、幾何学と透視図法 アルプスの北/アルブレヒト・デューラー:芸術家、人文主義者そして幾何学者/デューラーとレオナルドの結び目パターン/人物像を幾何学化する/ニュールンベルク:事業と文化の近代初期における中心地/ルネサンスにおける印刷と出版/ラトドルトの『エウクレイデース』/1500年代ドイツにおける幾何学の諸論考/大衆化する者たち:ロトラー、ヒルシュフォーゲル、ラウテンザック//
多面体と創造的想像力;ドイツの創造的な幾何学者たち/ヴレンツェル・ヤムニッツァー/ローレンツ・シュトゥーア/無名作家(1565頃-1600)『幾何学的なものと透視図法的なもの』/ヨハネス・レンカー/文字と透視図法:『文字の透視図』/ドレスデンの
技芸室(クンストカマー)/ドイツにおける後期の貢献者たち/パウル・プフィンツィング/ペーター・ハルト(活動:1629-1653)/ヨハネス・ケプラー:天体の数学者/ドイツの〈タルシーア〉における幾何学的なモティーフ//
幾何学(ゲオーメトリア)の持続する影響;イタリアにおける後期の幾何学的/透視図法に関する論考/〈マッツォッキオ〉/秘教的、アルカナ的、そして隠秘的な諸幾何学/デ・フリース、バロックと想像的幾何学主義の衰退/ルネサンスの庭園設計における幾何学とシンメトリー/結晶の形態と構造//
結論に、など、
224ページ。


 目次からうかがえるように、前著と扱う範囲は重なりつつ、やや広くなり、また邦訳でみるかぎりモノクロの前著に対し、こちらはカラー図版が主体となっています。だいたい同じようなところで挙げています。

 次の本も同じ領域を扱っています;

Noam Andrews, The Polyhedrists. Art and Geometry in the Long Sixteenth Century, The MIT Press, Massachusetts Institute of Technology, Cambridge, Massachusetts, 2022
『多面体画工たち 長き16世紀における芸術と幾何学』
斜方二十・十面体 Rhombicosidodecahedra /規則的な立体と不規則な立体 Corpora Regulata et Irregulata /測定における指示/幾何学 Geometria と教科書 Lehrbuch /透視図法の技芸を愛する者/いくつものやり方で切り分けられて/奇抜なものの暴力/エピローグ:不規則な立体と規則的な立体など、
300ページ。


 第3章"Instruction in Measurement"は主にデューラーとその『測定法教則 Underweysung der Messung』(1525)、
 第5章"Lover of the Art of Perspective"はヤムニッツァー、
 第6章"Cut Apart in Many Ways"はタルシーア(インタルシア)から書き起こして主にシュトーア(シュテーア)、
 第7章"The Violence of Whimsy"は多面体をモティーフの一部とする象牙細工、
 エピローグ"Corpora Irregulata et Regulata"ではケプラーの『宇宙誌的な神秘』(1596)が扱われています。エピローグの最終頁(p.253)には、太陽系と多面体を組みあわせた「図表Ⅲ」(邦訳『宇宙の神秘』では p.96 と p.97 の間)が、約45.0×34.2cmの複製で折りこまれていました。原寸大なのでしょうか?(邦訳では約27×21cm)
 ともあれ第5章を→ヤムニッツァー『正多面体の透視図』(1568)よりの頁の「Cf. の cf.」,
 第6章を→シュトーア(シュテーア)『幾何学と透視図』(1567)よりの頁の「Cf.」、
 また同じ第6章で部分図が図版に挙げられているので→《ヴランゲルシュランク》(1566)の頁の「Cf.」、
 エピローグを→『宇宙の神秘』図表Ⅲの頁の「Cf.
にそれぞれ挙げておきます。
 

 また;

横山正、「アルキメデスの多面体とパースペクティヴの時代」、『科学の名著 9 アルキメデス 球と円柱について』、1981、附属(月報)、pp.7-10

 エッシャーから語り起こして、「16世紀から17世紀にかけての美術史で言えばマニエリスムからバロックの時代のパースペクティヴのテキスト」(p.8)に遡り、ルカ・パチオーリの『神聖比例論』(p.8 に挿図)、「ローレンツ・シュトアー、ヴェンツェル・ヤミニッツェル(p.9 に挿図)、ヨハネス・レンカーといった奇想の系譜」(p.9)に説き及びます。

「この連中の手にかかると、正多面体の表面はおおよそ考えられる限りの複雑さで隆起し陥没し、円錐や円柱がくるくる皮をむかれて絡み合っていく」(同)。

 同じ著者による→こちらを参照:「怪奇城の外濠 Ⅱ」の頁の「いろいろなど(1)」
………………………

 円・球について;


黒瀬保、「Ⅱ.1. 運命の車輪」、『運命の女神 中世及びエリザベス朝文芸におけるその寓意研究』、南雲堂、1970、pp.45-81
運命の車輪の象徴性;変化の多様性の象徴としての運命の車輪/運命の車輪に見られる宿命と運命の混同と必然の象徴性/運命の車輪と時の車輪の混同と循環の必然性の象徴/運命の車輪に見られる因果応報の象徴性//
運命の車輪の構造//
運命の車輪の二面性


  同、 「Ⅱ.2. 運命の球の変遷」、同上、pp.81-91

 全体の目次は;
はしがき/寓意画表//
序説//
唯一神による運命の統括;ジュピター その機能に基づく運命の諸相/ジュピターからイエス・キリストへ//
運命の寓意の実態;運命の車輪/運命の球の変遷/運命の女神の神性/運命の女神の性格と寓意の類型/逃げる運命と追っかける運命/運命の館/運命の女神と貧乏女神/運命の作用と悲劇//
運命のモラル;運命の試練/分裂の悪徳/野心の戒め/中庸と平等の美徳//
宿命の三姉妹 - 運命及び必然との関連性 -//
必然の女神 - 天命・宿命への協力と変化の促進 -など、
272ページ。


 →こちらで少し触れました:「怪奇城の隠し通路」の頁

ガストン・バシュラール、『空間の詩学』、1972、「第10章 円の現象学」

ジョルジュ・プーレ、岡三郎訳、『円環の変貌』(上下)、国文社、1973-1974
原著は Georges Poulet, Les métamorphoses du cercle, 1961
上巻;序論/ルネサンス/バロック時代/パスカル/18世紀/ルソー/ロマン主義/ラマルティーヌ/バルザック/ヴィニ/ネルヴァルなど、
368ページ。

下巻;エドガー・ポウ/アミエル/フローベール/ボードレール/マラルメの《プローズ》/ヘンリー・ジェイムズ/クローデル/三人の詩人 リルケ、エリオット、ギリェンなど、
328ページ。


 同書の部分訳が;

ジョルジュ・プーレ、近藤晴彦訳、『詩と円環 ポー ボードレール リルケ エリオット』(審美文庫 11)、審美社、1973
訳者まえがき/ポー/ボードレール/リルケ/エリオット/訳者あとがきなど、
120ページ。


 同じ著者による→こちらを参照:『人間的時間の研究』/「通史、事典など」の頁の「vii. 時間と空間など

種村季弘、『ある迷宮物語』(水星文庫)、筑摩書房、1985、pp.21-44:「球体詩人のメランコリア」

 同じ著者による→こちらも参照:「通史、事典など」の頁の「iii. 地学・地誌・地図、地球空洞説など

高橋睦郎、『球体の神話学』、河出書房新社、1991
パチンコ玉に始まる/人、果実に出会う/生の果実と死の果実/豆を尊び豆を忌避し/西の麦・東の米/花は莟をこそ/球根少年、じつは/鳥は二度生まれる/世界卵から愛が生まれた/蛇は永遠に死なず/龍と反世界の卵/亀型宇宙と亀甲占い/魚に呑まれた男根/円い真珠といびつな真珠/神聖なるかな糞の玉/それでも太陽は動いている/太陽は男性か女性か/月と太陽は結婚できない/月に支配された女たち/人間の運命を星空に見る/星座は空に描かれた神話/星座と星座が演じるドラマ/歌人定家が天文学を変えた/キリスト誕生星はハレー彗星?/ブラック・ホールはあるか/天球儀は神の視点/地球と天球は対応するか/青い惑星は生命の星/頭部はもう一つの宇宙/宙を飛ぶ反逆の球体/両眼は頭蓋穹窿の日月/目の逆説と太陽の神/詩人は見者・眼球の人/ひとつの眼・たくさんの眼/眼球は睾丸である?/男性シンボルは男の「宝」/神をたたえる睾丸抜き羊/限りなく完全に近い半球/完全なる男性への儀礼/われらを導く二球体・一半球/球い頭に長い尾っぽの訪問者/人間も卵から生まれる/子宮回帰と子宮嫌悪/多乳の女神と乳なしの女軍/乳房はお尻のコピーである/人間もかつて球体だった!?/旅ついに球戯より球戯へ//
[対談]球なるものをめぐって(四方田犬彦×高橋睦郎)など、
232ページ。


高知尾仁、『球体遊戯 ー ルネサンスにおける知の平衡』、同文舘出版株式会社、1991
球形の劇場//
球体の振幅 - 球体の図像学;球形の宇宙・天・地/宗教・異教・異端/美徳と悪徳/栄光と虚無/秩序と転倒/調和と不和/運命と審判/創造と偽造//
球体の定位 - 知的球体の美学;
技芸(アルス)/メランコリア/知的球体 あるいは テンペランチア//
付記など、
320ページ。


マンフレート・ルルカー、竹内章訳、『象徴としての円 人類の思想・宗教・藝術における表現』(叢書・ウニベルシタス 342)、法政大学出版局、1991
原著は Manfred Lurker, Der Kreis ald Symbol, im Denken, Glaube und Kunstlerishen Gestalten der Menschheit, 1981
幾何学と現象学と形態学のために/小児の体験世界と造形世界/神の円/世界のすがた/時間と永遠/天と天体/黄泉の国の象徴としての円/原初 調和 全体性/人間と円など、
188ページ。


西野嘉章、「聖環図譜」、『ユリイカ』、vol.25 no.1、1993.1:「特集 幻想の博物誌」、pp.92-102

吉武𣳾水監修、杉浦康平編、『円相の芸術工学』(神戸芸術工科大学レクチャーシリーズ)、工作舎、1995
はじめに(吉武𣳾水)/自然と円相;円を発想の基本にして自然の諸相を読み解く(高木隆司)/脳とコンピュータの円相;「脳を考える脳を考える脳……」情報幾何学の円相を探る(甘利俊一)/情報と円相;自己言及(オートポイエーシス)的な生物社会をめぐる情報の円環構造(西垣通)/分裂病の円相学;全存在をかけて、こころの円環を閉じるとき(香山リカ)/混合体と円相;動き、味わう、身体が知覚するクレオールの道(今福龍太)/円相と空間秩序;東アジアの国々に脈打つ風水の空間秩序形成技術(齋木崇人)/マンダラと円相;「花と壺」-豊穣と再生を支える二つの円相(杉浦康平)/円相の人類学、あるいは円相の中の時空;ここがそこであり、生と死が同時に見える場所の不思議(岩田慶治)/円相と太極図;万物生成のダイナミズムを内包する太極(三浦國雄)/円相と十牛図;「花が咲き、川が流れる」無我の境位から、存在が開かれる(上田閑照)など、
296ページ。


M.H.ニコルソン、小黒和子訳、『円環の破壊 17世紀英詩と〈新科学〉』、1999

K.フラッシュ、中山善樹訳、『神とは何か 「24人の哲学者の書」』、知泉書館、2018

 「定義2:神は無限の球であり、その柱神がどこにでもあり、その表面がどこにもない」(「定義一覧」、p.xiii、また第Ⅱ章「『24人の哲学者の書』 翻訳と説明」、pp.29-37)」


Le globe et son image, Bibliothèque nationale de France, Paris, 1995
『球とそのイメージ』
序文
(Jean Favier)/力のイメージ - 古代から中世までの天球あるいは地球(Danielle Lecoq)/フランス王家の象徴体系。球と王たち(Monique Pelletier)/世界の認識、世界の虚しさ - 球、知のイメージ、創造のイメージ(16-18世紀)(Catherine Hofmann et Ève Netchine)など、
76ページ。


Esprit sphérique, Galleria Gottardo, Lugano & Charta, Milano, 2006
『球形の精神』
(Franco Rogantini)/贈りもの、コレクション、展覧会、モノグラフ(Marialaura Parma con Peter e Alex Legler)/球形の精神を求めて(Marisa Bertoldini)/古代と近世のある〈驚異の部屋〉 - 珍奇と驚異としての球(Marco Lorandi Bedogni-Pietri)/宙吊りの球 - ブルトンのシュルレアリスムへの回帰(Carla Burani Ruef)//
球形のもの
(Vittorio Marchis)/球と差異の不完全さ(Ubaldo Fadini)/建築と表象の間での球の幾何学(Laura De Carlo)/球。ラテンアメリカからの視野(Lilian Llanes)/ユダヤ宗教思想における球(Giorgio Israel)/癒すイメージ - 自己検査と変化の倫理(Marco Garzonio)/ムスリムの東方における球の起源(Brahim Alaoui)/「象徴的球」(Mino Gabriele)/芸術における球(Philip Rylands)/「球」、あるいはギリシア思想における完全な丸さの魔術(Christoph Riedweg)/球の宇宙開闢論(Giuseppe O. Longo)/球(と円形物)についての覚書と註釈(Tomás Maldonado)など、
400ページ。


Susanne von Falkenhausen, "The Sphere : Reading a gender metaphor in the architecture of modern cults of identity", Art History, vol.20 no.2, June 1997, pp.238-267
「球 近代の同一性信仰の建築におけるジェンダーの隠喩を読む」
………………………

 螺旋、渦巻などについて;

ジル・パース、高橋巖訳、『螺旋の神秘 - 人類の夢と怖れ イメージの博物誌 7』、平凡社、1978
原著は Jill Purce, The Mystic Spiral. Journey of the Soul, 1974
霊魂の旅/流転、その形式と象徴/進化する螺旋/呼吸する宇宙/生命の螺旋/二つの永遠/中心/内在神か超越神か/宇宙的リズムの小宇宙的模倣/星間渦巻と生命の樹/体内螺旋の拡張と収縮/迷宮と舞踏/あらゆる原因はそれ自身の原因の結果である//
図版//
資料図版とその解説;宇宙の目ざめ/心の迷宮/蛇のマンダラ/人間の神秘体、樹と宮/地のからだ、宮と穴/死と諸世界の均衡/生命の樹と心臓/迷路/戦士/意識の構造と進化/宇宙卵の割れ方/天地の合一とその力動的均衡/小道/諸世界、次元と方角/宇宙秩序とエクスタシー舞踏/進化など、
128ページ。


 『イメージの博物誌』シリーズについて→こちらを参照:本頁上掲「i. 図像など

千田稔、『うずまきは語る 迷宮への求心性』(Fukutake Books 26)、福武書店、1991
序/渦巻く始源/螺旋する風景/渦巻きを解く/「まわる」という意味/都市の快楽など、
192ページ。


金子務、「らせん認識の東西 - 建築・ねじ・ポンプ・科学」、形の文化会編、『アジアの形を読む 形の文化誌[1]』、工作舎、1993、pp.52-65
〈建築〉らせん階段とさざえ堂/〈武器〉鉄砲とねじ構造/〈揚水機〉らせんポンプと水揚輪/〈認識〉らせんと科学の成立

大和岩雄、『十字架と渦巻 象徴としての生と死』、白水社、1995
十字架の原像/十字架と両性具有/十字架とマリア/十字架と生命の樹/十字架とまんじと円/十字架と蛇と渦巻/渦巻と迷宮/渦巻と縄文/渦巻と太陽/十字架と渦巻など、
410ページ。


篠田知和基、『ヨーロッパの形 螺旋の文化史』、八坂書房、2010
はじめに - 螺旋階段のヨーロッパ//
形の文化史 - ヨーロッパへの旅;ローマ/ヨーロッパとは何か/文化のシステム//
蛇の絡まる木;聖書の蛇/古代の蛇/近代の蛇//
衣食住の形;ヨーロッパの衣装/食文化/住まいの形//
技術の中の形;つくる/はこぶ/はかる//
螺旋の文化史;聖性の形、宗教と神話/王権、教権、天/愛の形//
おわりに-ローマ2000年の旅の行方など、
264ページ。


 →こちら(本頁 v. 「建築」中の「迷宮」)や、そちら(「捻れ柱 - 怪奇城の意匠」」)や、またあちら(「階段で怪談を」の「文献等追補」)で挙げました。
 また篠田知和基による→ここを参照:「通史、事典など」の頁の「天空など」の項


Wolfgang Born, "Spiral Towers in Europe and Their Orienral Prototypes", Gazette des Beaux-Arts, tome 24, 1943, pp.233-248
「ヨーロッパにおける螺旋塔とその東方の原型」

 →こちらにも挙げておきます:「怪奇城の外濠 Ⅱ」の頁の「塔など

 また、螺旋・渦巻と縁の深い〈迷宮〉については→こちらを参照:本頁下掲「v. 建築など」中の「迷宮など

エリアーデ、前田耕作訳、「第4章 貝殻のシンボリズムについての考察」、『イメージとシンボル エリアーデ著作集 第4巻』、せりか書房、1971、pp.165-192
受胎のシンボリズム/貝殻の儀礼的機能/葬礼信仰における貝殻の役割/呪術と医術における真珠/真珠の神話

原著は
Mircea Eliade, Images et symboles. Essais sur le symbolisme magico-religieux, 1952
 他の内容は;
序論/《中心》のシンボリズム/時間と永遠性のインド的シンボリズム/《縛める神》と結び目のシンボリズ/シンボリズムと歴史など、
274ページ。

 エリアーデについて→こちらも参照:「通史、事典など」の頁の「v. テーマ別のもの諸々


ガストン・バシュラール、『空間の詩学』、1972、「第5章 貝殻」

iii. 色彩など

 宇宙論と色彩といえば、中国の五行説(→こちらなどを参照:「中国」の頁の「五行大義」の項)やメソアメリカの宇宙論における方位説(→そちらなどを参照:「アメリカ大陸など」の頁の「アステカに関して」の項)などが思い浮かびます。そんな中、後者に関連して、スーステルが中国、ズニ族、マヤ、アステカにおける方位と色彩の配当を表にし、対応の恣意性を指摘していた点にふれたこともありました(→あちらを参照:同上/ Jacques Soustelle, La pensée cosmologique des anciens mexicains, 1940)。

 その他、宇宙論に関わるかどうか、ランボーの「母音」なども思いだされますが、この点については、

田島義士、「ランボー『母音』における色彩表現 - 錯乱の中の秩序 -」、『関西フランス語フランス文学』、no.17、2011.3.31、pp.40-52 [ < CiNii Articles ]

 ランボーとおおよそ同じ時代に生きたカンディンスキーの『点・線・面』については→こちら(「近代など(20世紀~) Ⅲ」の「xii. ロシアから」)で触れましたが、色彩を扱っているのは;

カンディンスキー、西田秀穂訳、『抽象芸術論 - 芸術における精神的なもの -』、美術出版社、1958
原著は Kandinsky, Über das Geistige in der Kunst, 1911/1956
紹介(マックス・ビル、1952)/初版のための序言(1912)/第2版のための序言(1912)//
一般論;序論/運動/精神の転換/ピラミッド//
絵画;色彩の作用/形態言語と色彩言語/理論/芸術作品と芸術家//
結びの言葉//
訳者解説 カンディンスキーの芸術 - 抽象絵画の成立 -など、
258ページ。


 →そちら(リングボム/「近代など(20世紀~) Ⅲ」の頁の「xvi. 20世紀神秘学の歴史など」)や、またあちら(《黒い弧》/本頁上掲「i. 図像など」)も参照

 余談になりますが、やはりほぼ同時代、色と意味づけの一対一対応とはちがって、色同士の関係の網の目に重点を置いたのがマティスでした。これはまた、象徴主義的風土の別の局面と見なせるでしょう。この点については;

ジャン=クロード・レーベンシュテイン、松浦寿夫訳、「画家のテクスト - マチスへ」、『美術手帖』、no.487、1981.10、pp.126-135/no.488、1981.11、pp.146-155/no.490、1981.12、pp.132-143/no.491、1982.1、pp.144-153
原著は Jean-Claude Lebensztejn, "Les textes du peintre", 1974
(Jean-Claude Lebensztejn, Zigzag, Flammarion, 1981, pp.161-206 に再録)

 たとえば連載第3回(no.490、1981.12)での「カンディンスキーの場合とはちがって、個々の色彩はそれらを取り換え不可能なものとするような象徴的な価値を帯びているようなことはない」(p.135)およびそこに附された原註42(p.141)。

 同じ著者による→こちらも参照:「ホワイト・キューブ以前の展示風景」の頁中


 さて、色彩論とくれば山ほどあるのでしょうが、ここではまず;

G.ショーレム、高尾利数訳、「ユダヤ教伝承および神秘主義における色とその象徴論」、『ユダヤ教神秘主義』、1975、pp.95-143

 併せて;

Moshe Cordovero, translated by Elyakin Getz, Pardes Rimonim. Orchard of Pomegranares. Part 9-12. 2010, pp.35-57 : "Part 10 : The Tenth Treatise is called 'On colors'"

 また;

Henry Corbin, Temple et contemplation, 1958/2006, pp.23-86 : "Réalisme et symbolisme des couleurs en cosmologie shî'ite"

 見取り図として;

村田純一、『色彩の哲学』(双書現代の哲学)、岩波書店、2002
序章 なぜ、色彩は哲学の問題となるのか//
色彩の「奥行き」;「射映」と「奥行き」 - フッサールとメルロ=ポンティ/色彩と空間/色彩の恒常性//
色彩の多次元性;ゲーテ - 色彩の「自然科学」/ウィトゲンシュタイン - 色彩の「文法」/カンディンスキー - 色彩の「内面性」//
終章 生態学的現象学へ向けて、など、
284ページ。


is、増刊号「色」、1982.6
鼎談 色の象徴と変容 色彩のフォークロア(谷川健一・大林太良・松田修)/天地玄黄 古代中国人の色相観(白川静)/泉鏡花と色彩 白の象徴機能(笠原伸夫)/演技する色彩 白・赤・青の色彩図式(野口武彦)/辺界の色 歌舞伎の「黒」についての覚え書(服部幸雄)/蓑笠と柿帷 一揆の衣装(網野善彦)/境界の色彩象徴 江戸幕府国絵図の色彩記号をめぐって(黒田日出男)/青い鳥 中国民話の古層(中野美代子)/黄色いマーク ユダヤ人差別のシンボル(阿部謹也)/黄色考現学 世紀末に対する一考察(河村錠一郎)/源氏をめぐる女性群と色彩 『源氏物語』と密教占星法(大久保健治)/色の階段 アストラル・ライトの色彩体験(大沼忠弘)/説話の彩色 「語られざる部分」の接近(常見純一)/彩られた神々 インドの民衆劇(峰岸由紀)/宇宙論(コスモロジー)としての色彩(北沢方邦)/色の重層(吉本隆明)/色彩と陰陽五行 および日本の古代呪術(吉野裕子)/密教における色の役割(宮坂宥勝)/色彩の胎生学 チベット密教の色(中沢新一)/インタヴュー オイリュトミーと色彩(エルゼ・クリンク)/ルネサンスの色 中世色彩論の変遷(若桑みどり)/ゲオルグ・トラクルの詩と色彩 表現主義詩人の生涯(船戸満之)/色彩とは何のことか 現代美術と色(アラン・ジュフロワ)/ジョットの喜び(ジュリア・クリステヴァ)/サバンナの色彩言語 文化の読み取りについて(福井勝義)/色と象徴的思考(セルジュ・トルネー)など、
268ページ。


小町谷朝生、『色彩のアルケオロジー』、勁草書房、1987
色彩のコスモロジー;色彩の身体性/色彩の神話学/象徴する色彩/暗い海から明るい陸へ//
色彩の原風景;色は力/〝イロ〟を読む/青によし奈良/花のしたにて春死なん//
色彩のことば;にほひ/いろふ・いろへる/青い影//
空間と色彩;道と遠白し/青色がかり/中景の位相//
明暗の論理;暗い小部屋/明るい小部屋/影など、
286ページ。


ドミニク・ザーアン、嶋田義仁訳、「白・赤・黒 - 黒人アフリカにおける色のシンボリズム」、1991

浜本隆志・伊藤誠宏編、『色彩の魔力 文化史・美学・心理学的アプローチ』、明石書房、2005
はじめに(浜本隆志)/序章 色彩のプリズム(同)/聖なる色・邪悪なる色(同)/青のヨーロッパ - その軌跡を追って(柏木治)/黒の横顔 - 影絵の肖像画(ポートレート)(森貴史)/東西美術の光り輝く色彩(中谷伸生)/色彩と心理(伊藤誠宏)/終章 色彩のカノン(規範)は死んだか?(伊藤誠宏・浜本隆志)/あとがき(伊藤誠宏)など、
246ページ。

………………………

ロバート・グロステスト、「光について」、

 同、 「色について」

 同、 「虹について」

 など、グロステストについて→こちらを参照:「キリスト教(西欧中世)」の頁の「グロステスト」の項

ゲーテ、菊地榮一譯、『色彩論 - 色彩學の歴史 -』(岩波文庫 4349-4352)、岩波書店、1952
原著は Goethe, Zur Farbenlehre, 1810
 その第3部「色彩學史のための資料 Materialien zur Geschichte der Farbenlehre」の抄訳(p.11)
序言/太古史のために/ギリシャ人とローマ人/中間時代/第16世紀/第17世紀/第18世紀 前期 ニュートンからドロンドまで、後期 ドロンドからわれらの時代まで/著者の告白など、
398ページ。

 ゲーテについては→こちらも参照:「ロココ、啓蒙思想など(18世紀)」の頁の「ゲーテ」の項


ゲーテ、木村直司訳、『色彩論』(ちくま学芸文庫 ケ 6-1)、筑摩書房、2001
 邦訳は1980年刊本の文庫化
科学方法論/色彩論-教示編//
解説 自然科学者としてのゲーテ/文庫版あとがきなど、
518ページ。


ルドルフ・シュタイナー、西川隆範訳、『色彩の本質◎色彩の秘密』、イザラ書房、2005
原著は Rudolf Steiner, Das Wesen der Farben
 邦訳は『色彩の本質』(1986)と『色彩の秘密』(1993)の改訳合本
色彩の本質(1921/5/6-8);色彩体験・4つの像の色/色彩の像と輝きの本質/色彩と物質・色から描く//
色彩の秘密;色彩世界と音響世界の体験(1915/1/1)/光と闇(1920/12/5)/光のなかの生命と重さのなかの生命(1920/12/10)/色彩と健康(1923/2/21)/空間遠近法から色彩遠近法へ(1923/6/2)/絵画における精神的なものと精神的でないもの(1923/6/9)/重さのない色彩(1923/7/29)//
補遺;色彩の創造的世界/霊的存在と虹など、
224ページ。

 シュタイナーについて→こちらを参照:「近代など(20世紀~) Ⅲ」の頁の「xi. シュタイナーの人智学など


ルードウィヒ・ウィトゲンシュタイン、中村昇・瀬嶋貞徳訳、『色彩について』、新書館、1997
邦訳の底本は Ludwig Wittgenstein, Remarks pn Colour, 1977
編者まえがき(G.E.M.アンスコム)//
第Ⅰ部(1951年3月)/第Ⅱ部(1951年2月以前)/第Ⅲ部(1950年春)//
解説『色彩について』 - ウィトゲンシュタインの現象学?(村田純一)など、
240ページ。

iv. 音楽など

 音楽と宇宙論といえばピュータゴラース派以来の〈天球の音楽〉となりますが、ピュータゴラース派については→こちら(「ギリシア・ヘレニズム・ローマ Ⅱ」の頁の「v. ソークラテース前派」)やそちら(同上、その内「ピュータゴラース」の項)、とりわけあちら(同上、その内;キティ・ファーガソン『ピュタゴラスの音楽』、2011)を参照いただくとして、

S.K.ヘニンガー、山田耕士・吉村正和・正岡和恵・西垣学訳、『天球の音楽』(クリテリオン叢書)、平凡社、1990
原著は Simeon Kahn Henninger, Jr., Touches of Sweet Harmony : Pythagorean Cosmology and Renaissance Poetics, 1974
はしがき//
ルネサンスのピュタゴラス学説;宇宙論と詩 - 序説/ピュタゴラスの教団と伝記/資料//
ピュタゴラス派の教義;数/宇宙=コスモス/神と時間の概念/オカルト学/道徳哲学//
詩学;創造者としての詩人/宇宙的照応としての比喩/文学的小宇宙としての詩など、
512ページ。


ジョスリン・ゴドウィン、斎藤栄一訳、『星界の音楽 神話からアヴァンギャルドまで - 音楽の霊的次元』、工作舎、1990
原著は Joscelyn Godwin, Harmonies of Heaven and Earth, 1987
序文//
昇りゆくパルナッソス 音楽の驚くべき効果;アムピーオーンの竪琴 - 鉱物が聴く/旋律とハーモニーの森-植物が聴く/アリーオーンとイルカ-動物が聴く/スピリトゥスの理論/アレクサンダーの饗宴-魂が聴く/タラントラの毒/音楽療法とシュタイナー/孔子とプラトンの郷愁/崩壊した帝国//
  秘められたハーモニーを聴く;妖精たちの音楽/蓄音機の罪/ヴァイオリンを弾く悪魔/水晶柱/天球への航海/沈黙した星界/太陽の音/暗黒の中世と讃美歌/グノーシスとしての音楽/イスラムの共感覚/ヨガと天使/トールキンとC.S.ルイスの神話//
偉大なる仕事 音楽の錬金術;ムネモーシュネーとアポローン/『失われた時を求めて』/錬金術の伝統/インスピレ-ションの3つのレヴェル/聴き手の経験/隠された構造/鉛の自我と純金の自己//
  音楽と時間の流れ;デミウルゴスとしての神/ゴシックの大聖堂で/モテットとマニエリストたち/音楽にルネサンスはあったか/ソリストになった人文主義者/ムシカ・ムシカーンス/ルソーとラモーの対立/予測不可能な形式/ヨーロッパのカースト/ポップ・ミュージックの罪と可能性/開拓された第一質料/ブッダとケージ/作曲家時代の終焉//
天球の音楽;宇宙論的な枠組/惑星音階:タイプA/近代の諸体系 - ティティウス - ボーデとゴルトシュミット/惑星音階:タイプB/惑星、音、曜日/惑星音階:タイプC/可動音をともなう諸体系 - エリウゲナとアンセルミ/ケプラーと惑星の音楽/諸音程と占星術の星相/音の黄道12宮/天使の位階とミューズたち - 存在の偉大なる連鎖/3つの平均律/グルジェフのオクターヴの法則/調和級数とそのシンボリズム/下方倍音列/ラムドーマとピタゴラス表/顕現の彼方に - 1/1および0/0など、
340ページ。


ジョスリン・ゴドウィン、高尾謙史訳、『音楽のエゾテリスム フランス「1750-1950」秘教的音楽の系譜』、工作舎、2001
原著は Joscelyn Godwin, L'Ésoterisme musical en France 1750-1950, 1991
啓蒙の世紀における天体の音楽/エジプトおよび中国のピュタゴラス/ファーブル・ドリヴェフーリエとフーリエ主義者たち/ヴロンスキーとヴロンスキー主義者たち/19世紀中葉のピュタゴラス主義者たち/エドモン・バイイと19世紀末の「宇宙の調和」/サン=ティーヴ・ダルヴェードルと「アルケオメートル」/思弁的音楽と現代など、
376ページ。


 同じ著者による→こちらを参照:『北極の神秘主義』、1995/「通史、事典など」の頁の「iii. 地学・地誌・地図、地球空洞説など

ジェイミー・ジェイムズ、黒川孝文訳、『天球の音楽 歴史の中の科学・音楽・神秘思想』、白揚社、1998
原著は Jamie James, The Music of the Spheres : Music, Science, and the Natural Order of the Universe, 1993
はじめに/交響する音楽と科学/ピュタゴラスという名のマエストロ/プラトンと世界霊/宇宙を解明する鍵/ルネッサンスの音楽学者たち/天界の音楽とオペラの誕生/ヘルメス思想の流れ/ケプラー、ピュタゴラスになる/ニュートンと《魔笛》/ロマン派という異端者たち/シェーンベルクと大いなるテーマの復活/音楽の現在、そして未来へ、など、
354ページ。


茂木一衞、『音楽宇宙論への招待』、春秋社、2010
宇宙の音楽 クラシック音楽を救う「枠組み」/系外惑星へ ある音楽家の最後の旅//
序章 「宇宙の音楽」への旅立ち//
ルネサンス期前後 音楽、美術、宇宙論を貫く大パラダイム転換;中世からルネッサンスへ/ルネッサンスからバロックへ/惑星のサウンドスケープ//
力学的宇宙像と調性和声の確立へ//
近代音楽の背景放射としての宇宙論 《第9交響曲》のコスモス;カントに導かれて/環境芸術への
橋頭堡(ブリッジヘッド)-第4楽章//
宇宙的な存在の響き シューベルト、暗黒からの訴え;「抒情」を越えて「存在」へ/「暗黒星雲のかなたに」//
19世紀の音楽と宇宙論//新しいコスモロジーの誕生//再現から再生へ 地上における「宇宙体験」の記憶/木星圏へ ムシカ・ムンダーナとの出会い/理想の「編集芸術」/終章 系外惑星へ//
夢の時空航行の果てに 歴史・未来・使命など、
326ページ。


山口昌男+湯浅譲二、「音楽のコスモロジーへ」、湯浅譲二、『音楽のコスモロジーへ』、青土社、1981
通底する問題へ/音楽と教育について/日本の演奏家について/演奏家の「パフォーマンス」について/見る側のパフォーマンス/原風景について/悟りと祝祭と/制度化された感性の拒否/時間構造について/水平的な時間と垂直的な時間/ドビュッシーとヴァレーズ/音楽のコスモロジーへ
他の内容は;
音楽の読みかえ(中村雄二郎+)/言語と音楽(大岡信+)/サルの文化、ヒトの文化(河合隼雄+)/音楽と科学の現在(渡辺格+)/音楽と文化の詩学(山口昌男+)/時間芸術としての映画と音楽(篠田正浩+)/彫刻の時間・音楽の時間(井上武吉+)/音楽の言語・演劇の言語(大橋也寸+)芸術の機能と未来(山口勝弘+)/伝承と創造(観世栄夫)/眼と耳(杉浦康平+)/映像と音楽の「時間」(飯村隆彦+)など、
352ページ。


近藤譲、「超越への耳 神秘主義と神秘主義音楽」、『哲学』、no.9 vol.3-4、1989 冬:「特集 神秘主義 テクノロジーとカルト」、pp.94-96

 ケプラーの『宇宙の調和』(→こちらを参照:「バロックなど(17世紀)」の頁の「ii. ケプラーなど」)や
 キルヒャーの『普遍音楽』(→そちらを参照:同頁「キルヒャー」の項)なども参照

 また

クララ・ピント-コレイア、『イヴの卵 卵子と精子と前成説』、2003、「7 天球の音楽」


高橋健一郎、『ロシア・アヴァンギャルドの宇宙論的音楽論 言語・美術・音楽をつらぬく四次元思想』、2018

 以上は勉強不足のため主にヨーロッパ圏のものに限られてしまいましたが、次の舞踏も同様に、各文化圏ごとにいろいろとあることでしょう。
………………………

ゲルハルト・ツァハリアス、渡辺鴻訳、『バレエ 形式と象徴』(美術選書)、美術出帆社、1965
原著は Gerhard Zacharias, Ballet. Gestalt und Wesen, 1962
序章;バレエとは……/ヨーロッパのバレエ/近代ヨーロッパのバレエ/象徴とその言語/本書の意図するもの/方法の問題//
  訳者による補論;
原型(アーケタイプ)》/舞踏の神話//
形像(イマーゴー)としての舞踏家 無限なる知的意識;第1の天国と第2の天国/世俗化された
終末論(エスカトロジー)//
  自己犠牲;アン・ドゥオールと光の
顕示(エピファニー)/たえまなき十字架//
  宇宙のハーモニー;肉体と精神の結合/
平衡性(エクィリーブル)-ミクロコスモスとしての舞踏家//
  舞踏家の階級//
  男性的・女性的イメージ;
両性的(アンドロギニー)な人間の原型/太陽としての男性 牧神としての男性/《大いなる女性》の再覚醒/パ・ド・ドゥという祭式//
ダンス・アカデミックの祭式書(オールドー)プラトン的・トマス的・デカルト的精神//
  魔術的幾何学;方向性の
図式(シェーマ)-マンダラ/立体幾何学(ステレオメトリー)//
  大地をめざして//
  時間の象徴性;三段階の原理/植物的な性質//
  有限なるものと無限なるもの//エネルギーの解放//
  大空をめざして;魂の鳥/跳躍//
  回転;
恍惚(エクスタシー)/死と再生//
結章 世俗化された秘儀としてのダンス//
  訳者による解説;本書の方法について/バレエの造形単位/バレエの構成法/譜記法/バレエ音楽/バレエの象徴性/内在論と超越論の神話//
付録 近代ヨーロッパのバレエの発展段階;イタリアにおけるバレエの発生と他の国々への伝播/フランスにおけるダンス・アカデミーの設立とバレエのクラシック時代/バレエのロマンティック時代/モダン・バレエ//
バレエの国際的現在(クルト・ペータース)など、
262ページ。


マリア=ガブリエル・ヴォジーン、市川雅訳、『神聖舞踏 - 神々との出会い イメージの博物誌 2』、平凡社、1977
原著は Maria-Gabriele Wosien, Sacred Dance. Encounter with the Gods, 1974
神々との出会い;宇宙と人間/祭式と神々/生、死、再生/祖霊/聖なる空間/秘儀/象徴と礼拝//
図版//
資料図版とその解説;聖なる宇宙/身振りと祭式/祖霊としての動物/司祭の役割/解放とエクスタシー/供犠、死、再生/聖霊の容器としての肉体など、
126ページ。


 『イメージの博物誌』シリーズについて→こちらを参照:本頁上掲「i. 図像など

v. 建築など

 建築、都市、庭園などに関して、これまで;

小倉泰、『インド世界の空間構造 - ヒンドゥー寺院のシンボリズム -』、1999

武澤秀一、『空海 塔のコスモロジー』、2009

友田正彦、『チベット/天界の建築』、1995

スメート・ジュムサイ、『水の神ナーガ アジアの水辺空間と文化』、1992

大室幹雄、『劇場都市 古代中国の世界像』、1981

五十嵐太郎、『新宗教と巨大建築[新編]』、2007

シュテファン・コッペルカム、『幻想のオリエント』、1991

ウィトルーウィウス 建築書』、1979

ライナルド・ペルジーニ、『哲学的建築 理想都市と記憶劇場』、1996


Cristina Grau, Borges y la arquitectura, 1989

 また

フランス革命期の幻視的建築家たちとその周辺→こちらを参照:「ロココ、啓蒙思想など(18世紀)」の頁の「vi. ヴィアット『ロマン主義の隠秘学的源泉(1770-1820)』」の「余談


ロシア・アヴァンギャルドからレオニドフ→そちらを参照:「近代など(20世紀~) Ⅲ」の頁の「xii. ロシアから

シェーアバルトとガラス建築など→あちらを参照:「近代など(20世紀~) Ⅳ」の頁の「シューアバルトとタウト」の項

 などを挙げてきました。
 忘れてならないのが、

The Books of Jeu and the Untitled Text in the Bruce Codex, 1978

 中の『無題の書』です。

 まだまだいろいろあることでしょうが、とりあえず;


鈴木博之、「数の力 - ルネサンス建築の一側面」、『理想』、no.535、1977.12:「特集 神秘主義」、pp.162-177
建築における意味/円・正方形・立方体・完全数/ウィトルウィウスの発展/オーダーと柱割り

宮崎興二、『多面体と建築 そのなぞとかたち』、彰国社、1979
はじめに//
伝説の晶化 - 多面体の過去/宇宙を宿す小さな生命 - フラーの世界/発掘された未来 - アラビアの空間/平たい摩天楼 - スペース・フレームの原点/格子の中の自由 - 空中都市の造形/蜂の巣にすむ子供たち - 六角形グリッドの秘密/秩序のない街 - 黄金比の驚異/夢みるなぞ - 多面体の未来//
参考文献など、
306ページ。


 「…(前略)…『多面体と建築』も書き直すことになり、多角形や多面体のみならず曲線や曲面ならびにそれらの高次元版も合併させた本書をまとめることになった」(p.4)というのが;

宮崎興二、『建築のかたち百科 多角形から超曲面まで』、彰国社、2000
はじめに/おもいで//
天地のパターン:多角形;天円地方は生きている 円・正方形/困ったときの○△□頼み 正多角形・半正多角形/有名な建築にはトゲがある 星形多角形・雪形多角形/洋の金か和の銀か 黄金比・白銀比/世界の平和をかたちにする 正タイル貼り・半正タイル貼り・周期的タイル貼り/正方形からの脱出 菱形グリッド/プレファブの欠陥 非周期的タイル貼り/限りある美 紋模様・帯模様・布模様//
調和のランドマーク:多面体;摩天楼の基礎 角柱・角錐・重角錐/地球を建てる 正多面体/美を減らす 半正多面体・準正多面体・正多角面体/空飛ぶ円盤はなぜ丸い 三角多面体・ジオデシック多面体/四角い球面 四角多面体・ゾーン多面体/美しいゴミ箱 五角多面体・サッカーボール形/建築はメビウスの帯 星形多面体・雪形多面体・単側多面体/列島超改造論 トーラス形・スポンジ形/子供のための建築構造学 折版形態/バラック建築論 ポリキューブ・オクテットトラス/空中楼閣で遊ぶ 周期的ブロック積み・平行多面体/超新素材・黄金ダイヤモンド 非周期的ブロック積み/消える空間 脈動多面体・変転多面体//
乱舞のシナリオ:曲線;楕円は強かった 円錐曲線・スーパー楕円/凍れる重力 卵形線・カテナリー/風流を計算する サインカーブ・サイクロイド・トロコイド/夜店で学ぶ リマソン・カージオイド・アステロイド/縄文人は数学者 うずまき線・つるまき線//
秩序のスカイライン:曲面;元祖土地転がし 円配置・球配置/ごろ寝の美学 円柱・円錐/太古の未来建築 柱状面・錐状面/瓦葺きのコウモリがさ 回転面・推動面/砂漠の貝殻 HP面・EP面/建築は風呂敷か 高次曲面/神に逆らう 極小曲面/アメーバからクジラまで 結び目・メビウスの帯・自由曲面//
時空のパノラマ:超立体;建築界のビッグバン 時間・空間/超空間に触れる 点・線・面・胞/透明人間の正体 4次元回転・4次元投影・4次元座標/4次元カンピュータ・グラフィクス 超芸術・超自然/時間の物質化 4次元立方体/宇宙の方舟 正多胞体・半正多胞体・4次元ブロック積み/芸術は4次元だ 超曲面/無限次元に住む 高次元多胞体・高次元ブロック積み//
おわりに/主要参考文献など、
194ページ。


 宮崎興二が監修をつとめた本とあわせ、→こちらでも挙げました:「近代など(20世紀~) Ⅱ」の頁の「vi. 次元など

コーリン・ロウ、伊東豊雄+松永安光訳、『マニエリスムと近代建築 コーリン・ロウ建築論選集』、彰国社、1981、pp.255-280:「ユートピアの建築」
原著は Colin Rowe, "The Architecture of Utopia"(1959), The Mathematics of the Ideal Villa and Other Essays, 1976

渡辺豊和、『天の建築・地の住居 空間のアレゴリー』、人文書院、1987
天の洪水;天の窓・船の窓/はじめの窓/窓意識/牢格子・町屋格子//
海と陸の現象学;海の感覚/
(ろく)とは何か/不動への希求、涅槃/床の構築//
天の舞台と地の迷路;高床 - 樹上家屋/高床の拡張無限定都市/迷路化現象/広場・舞台//
密室願望;立塞がる壁/隠蔽への欲求/一神教の世界像/摩天楼の表層//
動と不動の狭間;バロックの飛翔/ピラミッドからの解放//
宇宙模型;蓋天か渾天か/ミケランジェロの天井画/天井知らず、天井川/仏の天蓋//
屋根裏の秘密;世界の屋根/ドストエフスキーとバシュラール/怒髪天を衝く/やね考//
神々の世界;神称としての柱/ストンサークル、ストンヘンジ/伊勢の棟持柱//
闇の中の神貌;大黒柱/新聞のコラム/柱列のある風景//
天駆ける虹;梁塵秘抄/寓喩の不在/砂上の楼閣、揺らぐ屋台骨//
終章 超越する蛇;縄文の蛇/蛇の追放/洞窟とガウディ/蛇が生き返る/装飾の根元//
あとがきなど、
240ページ。


 「第7章 神々の世界」と「第8章 闇の中の神貌」は柱をテーマにしているので→こちらにも挙げておきます:「ギュスターヴ・モロー研究序説」[3]の「Ⅰ-4 柱」の「補註

文:毛綱毅曠、画:横尾忠則、写真:藤塚光政、『神聖空間縁起』、住まいの図書館出版局、1989
斜眼の悲願 序章にかえて - 金剛峯寺不動堂/密厳蓮華国幻想 その壱 - 多宝塔湧出/密厳蓮華国幻想 その弐 - 高野山金剛峯寺/投入堂伝説 - 三徳山三仏寺/重源学 その壱 - 東大寺法華堂/重源学 その弐 - 極楽山浄土寺/重源学 その参 - 吉備津神社本殿・拝殿/洞堂の堂廻り - 田谷山瑜伽堂/迷宮の構築 - 正久山・妙立寺/輪廻の廻堂 - 会津若松栄螺堂/帰命頂礼観世音 その壱 - 豊山長谷寺/帰命頂礼観世音 その弐 - 大悲山笠森寺/帰命頂礼観世音 その参 - 石龍山橋立寺/浄土変相空間論 - 小田原山浄瑠璃寺/惟神の地球学 その壱 - 人体地球説/惟神の地球学 その弐 - 神々のネットワーク/惟神の地球学 その参 - 鳩森神社/惟神の地球学 その四 - 地球年代記/惟神の月学 その壱 - 宇宙的表象としての月球/惟神の月学 その弐 - 出羽の月山神社/惟神の月学 その参 - 江之島弁財天神社/惟神の星学 その壱 - 記憶術としての星辰/惟神の星学 その弐 - 河内観心寺/惟神の星学 その参 - 鞍馬山由岐神社/惟神の宇宙論 その壱 - 吉田神社斎場所太元宮/惟神の宇宙論 その弐 - 貫前神社の七不思議/惟神の宇宙論 その参 - 光耀山照蓮寺は一本造/惟神の宇宙論 その四 - 世界の書を収める転輪蔵/惟神の宇宙論 その五 - 宇宙卵の道祖神たち/惟神の宇宙論 その六 - 大崎八幡神社/惟神の事物学 その壱 - 新宮の神倉神社/惟神の事物学 その弐 - 羽昨の諏訪神社/惟神の事物学 その参 - 諏訪神社/惟神の事物学 その四 - 伏見稲荷大社/神々の奇巌城 - ゴシック・ローマン/惟神の国土学 その壱 - 生島足島神社/惟神の国土学 その弐 - 都市のなかの七福神/我内なる女神たちの神殿 - 日本弁天ラインなど、
612ページ。


 →こちらで少し触れました:モロー《ガラテイア》(1880)の頁の 「Cf. の cf」.
 毛綱毅曠による→そちらも参照:「怪奇城の外濠 Ⅲ」の頁の「綺想建築など」の項


ジョーゼフ・リクワート、前川道郎・小野育雄訳、『〈まち〉のイデア ローマと古代世界と都市の形の人間学』、みすず書房、1991
原著は Joseph Rykwert, The Idea of a Town : The Anthropology of Urban Form in Rome, Italy and the Ancient World, 1976
新しい序/序//
まちと儀礼-ローマとロームルス;ロームルスとレムス/儀礼の書/新しい共同体/計画術-合理的と非合理的/敷地の選定/創建者と都市/創建を記録すること//
都市と敷地;いかにして敷地を選定するか 理論家たち、遵守された儀礼/再びロームルス/テンプルム/測量師/内蔵占(肝臓占)/ムンドゥス/直交型計画と測量師/最初の犂き溝/カストルム/破壊儀礼//
正方形と十字形;エトルーリア人/テルラマーレ/マルツァボット/スピーナ/スピーナと直交型計画/神話と儀礼/最初のローマの境界線/ルペルキーとルペルカル//
中心の守護者たちと境界の守護者たち;ローマ・クァドラータ/ウェスタ/境界とテルミヌス/境界と中心-ムンドゥスとテルミヌス/土地の境界と人びとの境界/トロイアの木馬とトロイアの遊戯/ムンドゥスとポーモエリウム/境界と強さと豊饒多産/境界と門/門の守護者/謎と迷路/迷路と舞踏と都市/罪を犯した創建者//
類例;マンダラ/マンデー族の儀礼/ボロロ族の儀礼/スー族/ティウィ族/分離と罪と和解/世界の像としての四分割された身体/ハウサ族/ドゴン族/日常の小宇宙/大いなる法(大図)//
治療できる病いとしての都市-儀礼とヒステリー;最初の建設者たち/まちの記号//
結びなど、
382ページ。


ジョセフ・リクワート、黒石いずみ訳、『アダムの家 建築の原型とその展開』(SDライブラリー 18)、鹿島出版会、1995
原著は Joseph Rykwert, On Adam's House in Paradise. The Idea of the Primitive Hut in Architectural History, 1972/1981
序文 近代建築の初源(磯崎新)//
考えることと行動すること/必要と慣習/実証的と恣意的/自然と合理性/理性と神の恩寵/儀礼/魂の家など、
296ページ。


 第5章で取りあげられるエルサレムの神殿に関連して→こちらでも挙げました:「捻れ柱」の頁

W.カーク・マクナルティ、吉村正和訳、『フリーメイソン - 儀礼と象徴の旅 イメージの博物誌 27』、平凡社、1994
原著は W. Kirk MacNulty, Freemasonry : A Journey through Ritual and Symbol, 1991
儀礼と象徴の旅;〈自己〉を知るための探求/密儀の継承/新しいルネサンス像/心理学としてのフリーメイソン大系/第1位階 - 徒弟/第2位階 - 職人/第3位階 - マスター・メイソン//
図版//
資料図版とその解説;起源 - 初期の理論/起源 - 近代の理論/フリーメイソンの分裂とグランド・ロッジの創設/儀礼の発展/人間と宇宙を映す神殿/フリーメイソンの作業への道/意識の諸段階/暴力・危険・死/反フリーメイソン/女性とフリーメイソン/世界のフリーメイソン/神の下にある国家/公けの顔/お国ぶり/慈善活動//
訳者解説 近代密儀宗教と〈始原〉の夢の復現など、
102ページ。


 『イメージの博物誌』シリーズについて→こちらを参照:本頁上掲「i. 図像など

ジョン・M・ルンドクィスト、山下博司訳、『神殿 - 天と地の出会い イメージの博物誌 29』、平凡社、1994
原著は John M. Lundquist, The Temple : Meeting Place of Heaven and Earth, 1993
聖なるものの焦点;序論/神殿の多くの名称/山/天上のモデル/神聖幾何学/マンダラ/宗教儀礼/神殿における儀礼劇/命の館/秘匿/墓所としての神殿//
図版//
資料図版とその解説;神殿のさまざまな形/原初の丘/内奥への通路/天上のモデル/敷地と定礎/神聖幾何学/聖なるものの顕現/マンダラ/ボロブドゥール/主の神殿/巡礼の道/生命の樹/生ける水/神殿の役割/死後の生命//
訳者解説 聖なるものの宿る場所など、
104ページ。


田路貴浩、「フィリベール・ド・ロルムのオーダー論の研究 『神の比例』と『フランス式円柱』の発明」、『日本建築学会計画系論文集』、no.468、1995.2.28、pp.181-187  [ < CiNii Articles (有料)

  同、  「フィリベール・ド・ロルムの風配図を巡る思考 『建築第一巻』の考察」、『日本建築学会計画系論文集』、no.472、1995.6.30、pp.177-183  [ < CiNii Articles (有料)

  同、  「フィリベール・ド・ロルムの宇宙と建築についての思想 『建築第一巻』『読者への序文』の考察」、『日本建築学会計画系論文集』、no.473、1995.7.30、pp.177-182  [ < CiNii Articles (有料)

フルカネリ、『大聖堂の秘密』、2002

深澤英隆、「異界としての建築 - フィドゥスの「神殿芸術」の構想 -」、細田あや子・渡辺和子編、『異界の交錯 宗教史学論叢 11』(下巻)、リトン、2006、pp.447-464
キリスト教世界と異界;キリスト教世界における異界/異界の探求と宗教建築//
フィドゥスの神殿芸術構想;世紀末の異界探求と建築/フィドゥスという男/「神殿芸術」の構想//
まとめ - 民族的空間への転換とその後


桑木野幸司、「ルネサンスの建築史 ピタゴラス主義とコスモスの表象 」、『ミクロコスモス 初期近代精神史研究 第1集』、2010、pp.320-329
人文主義時代の建築原理(数比・ピタゴラス主義的建築)/ルネサンス建築理論と修辞学・文学/建築におけるコスモスの表象

桑木野幸司、『叡智の建築家 記憶のロクスとしての16-17世紀の庭園、劇場、都市』、中央公論美術出版、2013
序 16世紀後半の精神建築史に向けて/建築的記憶術:創造的「思考器械」と、ムネモシュネの寵児たち/思考の庭:アゴスティーノ・デル・リッチョ(1541-1598)の理想庭園における記憶術的空間構成と百科全書的知識のイメージ/デル・リッチョの記憶術的庭園における百科全書的知識の表象/初期近代イタリアの幾何学庭園デザインにみられる天空の表象:G.B.フェッラーリ『フローラあるいは花々の栽培』(1638)の庭園デザイン理論の分析から/創造的思考の大劇場:ザムエル・フォン・クヴィヒェベルク『広大なる劇場の銘あるいは標題(……)』(1565)/天空都市と常套主題:コスマ・ロッセッリ『人工記憶の宝庫』(1579)における記憶術的都市計画とコスモロジー/結 記憶の旅路の終わりに、など、
552ページ。


 記憶術に関し→こちら(「言葉、文字、記憶術・結合術、書物(天の書)など」の頁の「記憶術・結合術」の項)に、庭園に関し→そちら(「怪奇城の外濠 Ⅱ」の頁の「庭園など」の項)にも、それぞれ他の論著とあわせ挙げておきます

桑木野幸司、「宇宙誌としての建築の系譜 風の理想都市から星辰の花壇まで」、『ユリイカ』、no.798、vol.55-1、2023.1:「特集 コペルニクス 『天球の回転について』から『チ。 - 地球の運動について -』へ」、pp.175-184
はじめに/都市計画/建築/庭園
………………………

 迷宮など;

江戸川乱歩、「迷路の魅力」(1929)、『江戸川乱歩全集 第24巻 悪人志願』(光文社文庫 え 6-27)、光文社、2005、pp.107-111

 初出は1929(昭和4年)4月9日、『東京朝日新聞』(「解題」、p.744)
 単行本『悪人志願』は1929(昭和4)年6月、博文館、新青年叢書4(「解題」、p.732)


ガストン・バシュラール、『大地と休息の夢想』、1970、「第7章 迷宮」

 建築的空間のイメージに関しては、他の諸章や、上で「第5章 貝殻」や 「第10章 円の現象学」を挙げた『空間の詩学』の諸章も参照

海野弘、「迷宮と迷路」、『空間の神話学 玩具・庭園・劇場』、1971、pp.53-69
迷宮のイメージと意味/迷宮空間の歴史/迷宮空間の構造

カール・ケレーニイ、種村季弘・藤川芳郎訳、『迷宮と神話』、弘文堂、1973
原著は Karl Kerényi, Labyrinth-Studien, Labyrinthos als Linienreflex einer mythologischen Idee, 1950 / Hermes der Seelenführer, Das Mythologen vom männlichen Lebensursprung, 1943
迷宮の研究 - ある神話的観念の線反射としての迷宮 -;問題 - 秘密/バビロニア/死-生/セーラム、ポリネシア、オーストラリア/スカンジナヴィア、イングランド、ドイツ/中世 - ウェルギリウス/建造物 - 洞窟/舞踏/沈降-飛上/無限 - 不死/装飾 - 象徴像/ノルマン人-ローマ人/補遺 アポローン祭祀ならびにアスクレーピオス祭祀における蛇と鼠について//
魂の導者・ヘルメース - 男性の生命起源の神話素 - 古典伝承のヘルメース;〈ヘルメース〉という概念における問題的なもの/『イーリアス』のヘルメース/『オデュッセイア』のヘルメース/『讃歌』のヘルメース/ヘルメースと夜//
  生と死のヘルメース;ヘルメースとエロース/ヘルメースと女神たち/ヘルメース立像の密儀/ヘルメースと雄羊/シーレーノスとヘルメースなど、
294ページ。

 同じ著者による→こちらを参照:「ギリシア・ヘレニズム・ローマ」の頁の「ii. オルペウス教


B.ルドフスキー、「12 迷路」、『人間のための街路』、1973

ジャネット・ボード、武井曜子訳、『世界の迷路と迷宮』、佑学社、1977
原著は Janet Bord, Mazes and Labyrinths of the World, 1976
序文 - 迷路と迷宮/類似のシンボルと遺跡/古代のラビリンス様彫刻/エジプトの墳墓、神殿、印章/クレタのラビリンス/芝生迷路/舞踏、儀式および遊戯/石迷路/ローマ人のモザイク/11~18世紀の筆写本、書籍、地図/アルジェリア、イタリア、フランス、北欧諸国の教会および大聖堂(カテドラル)/イギリスの教会および大聖堂(カテドラル)/絵画や筆稿の中の迷路とラビリンス/生垣迷路および庭園迷路の設計図と版画/イギリスと北アメリカの生垣迷路/民芸品/19世紀および20世紀の迷路など、
168ページ。


 →こちらでも挙げています:伝バッチョ・バルディーニ《テーセウスと迷宮》の頁の「Cf.

岡本太郎編、『迷宮幻想 遊びの百科全書 10』、日本ブリタニカ、1980
GALLERY OF LABYRINTH/迷宮のなかを行く(岡本太郎)/螺旋と迷宮(海野弘)/ある迷宮物語 美わしのロザモンドの伝説(種村季弘→こちらに収録:下掲の『ある迷宮物語』1985)/迷宮としての江戸(内藤昌)/文学における迷宮・迷宮としての文学(天沢退二郎)/GALLERY OF MAZE/迷図パズル考(岸田孝一)/迷宮幻想事典(岡本太郎編)など、
166ページ。


高木茂男、『Play Puzzle パズルの百科』、平凡社、1981、pp.214-219:「迷路」
庭園迷路/現代の迷路/迷路の解き方/迷路の玩具

入沢康夫、「迷宮の構造に関する妄想」、『ユリイカ』、vol.15 no.3、1983.3:「特集 幻想の建築 〈空間〉と文学」、pp.50-52

 →こちら(「近代など(20世紀~) Ⅳ」の頁の「ボルヘス」の項)と、またあちら(「近代など()20世紀~) Ⅵ」の頁の「入沢康夫」の項にも挙げておきます

高橋英夫、「見えない迷宮」、同上、pp.60-63

ヘルマン・ケルン、鈴木聡訳、「世界と聖域の模像 迷宮の都市/都市の迷宮」、『現代思想』、vol.11 no.7、1983.7:「特集 隠喩としての都市 都市論の新しい地平」、pp.76-90
原著は Hermann Kern, "Abbild der Welt und heiliger Bezirk. Labyrinthstädte-Stadtlabyrinthe", Didalos 3, 1982

 同じ著者による→こちらを参照本項下掲 Hermann Kern, Through the Labyrinth. Designs and Meaning over 5,000 Years,1982/2000

種村季弘、『ある迷宮物語』(水星文庫)、筑摩書房、1985、pp.46-69:「K・ケレーニイと迷宮の構想」
  同、 pp.70-91:「ある迷宮物語 - (うるわ)しのロザモンドの隠れ処」

 後者の初出は→こちら::本項上掲の『迷宮幻想』(1980)
 同じ著者による→そちらも参照:「通史、事典など」の頁の「iii. 地学・地誌・地図、地球空洞説など

高山宏、「迷宮の言語都市 アンチ・ピクチャレスクの一形式」、『目の中の劇場』、1985、pp.211-229
エピステモロジー - 見取り図/反ピクチャレスク - 或る迷宮小説家のケース/無知から書く

ハンス・ペーター・デュル、原研二訳、『再生の女神セドナ あるいは生への愛』(叢書・ウニベルシタス 349)、法政大学出版局、1992
原著は Hans Peter Duerr, Sedna oder die Liebe zum Leben, 1984/85
はじがき/はじめに//
洞窟;新生の小屋/滝壺の老女と黄色い髪の処女/セイウチの母/大地の胎の中で/愛と死/シャーマンと獣の女/氷河期のヴェーヌス//
迷宮;豹女とハゲワシの女/彼の母の牡牛/愛人を八つ裂きにする/迷宮の女王/死者の島への道/鶴踊り/牡牛越えの跳躍/睡蓮を持つ女性/姿を消す女神/ペルセポネーの胎内//
逃走の試み;生への愛/なべての生は苦悩なり/時は停止せねばならぬ/独自の色を持たない鳥たち/小道はパセリ畑のまん中に終わる、など、
624ページ。


ヤン・ピーパー、和泉雅人監訳、佐藤恵子・加藤健司訳、『迷宮 都市・儀礼・祝祭・洞窟……迷宮的なるものの解読』、工作舎、1996
原著は Jan Pieper, Das Labyrinthische : Über die Idee des Verborgenen, Rätselhaften, Schwierigen in der Geschichte der Architektur, 1987
序章//
迷宮と「迷宮的なるもの」;「迷宮的なるもの」の発見 - 古代迷宮神話における都市の隠喩/「迷宮的なるもの」の諸形式 - ある建築的質の概念規定//
「迷宮的なるもの」の諸相と変遷;内蔵と擬人化 内奥なるもの - 擬人的建築と空間概念/行列と祝祭劇 錯綜せるもの - 都市の道と迷路/聖なる山 超越へと導くもの - 脱現実化された山上の理想都市・サクロ・モンテ/都市儀礼 メカニカルなもの - 都市儀礼の迷宮的舞台装置/地底の発見 深奥なるもの - 地下世界の迷宮/洞窟観光 超人間的なるもの - 建築としての洞窟/建築の解読 謎化されたもの - 寓意画的な建築/地震都市 刺激 - 「逆さまの世界」と攪乱された秩序/古代建築 忘却されしもの - 謎と化した太古の大建築//
余論;都市隠喩としての古代後期の迷宮/建築における領域的身振りと古代オリエント文化の都市儀礼/錬金術の象徴としての洞窟・山・塔/地下の建築理論/『ポリフィロの夢の恋愛合戦』とボマルツォのサクロ・ボスコなど、
436ページ。


 同じ著者による→こちらを参照:「怪奇城の外濠 Ⅱ」の頁の「vii. 建築図、街景図、紙上建築など」の項内

ヘルムート・ヤスコルスキー、城眞一訳、『迷宮の神話学』、青土社、1998
原著は Helmut Jaskolski, Das Labyrinth : Symbol für Angst, Wiedergeburt und Befreiung, 1994
序/ミノタウロス/建築家/誤解/解放/再生/集中/世界/人生の旅路/愛の園/図書館/監獄/ダイダロスとイカロス/あとがきなど、
292ページ。


ユベール・ダミッシュ、松岡新一郎訳、『スカイライン 舞台としての都市』、青土社、1998、pp.47-71:「第1部 2 エジプトの迷宮」
原著は Hubert Damisch, Skyline. La ville Narcisse, 1996

 ここで取りあげられているのは、「ヘロドトスが『歴史』第二巻の終わり近くで記述しているエジプトの迷宮」(p.48)とのことで、岩波文庫の松平千秋訳では、巻二の148にあたります(上巻、pp.256-258)。下掲の Hermann Kern, Through the Labyrinth, 2000, p.57 でも引用されています。

和泉雅人、『迷宮学入門』(講談社現代新書 1532)、講談社、2000
はじめに - 迷宮探索の旅へ/クレタの大迷宮と迷宮神話/迷宮の原理/古代地中海世界の大迷宮/トロイア遊戯とローマ帝国時代のモザイク迷宮/ヨーロッパ中世と迷宮の世界/ルネサンスと人文主義/華麗なる庭園迷宮の世界/アジア、アメリカ世界の迷宮表象/おわりに-現代の迷宮など、
230ページ。


マリオ・プラーツ、森田義之訳、「ラビュリントス」(1968)、若桑みどり・森田義之・白崎容子・伊藤博明訳、『官能の庭 マニエリスム・エンブレム・バロック』、ありな書房、2000、pp.83-90
原著は Mario Praz, "Il labirinto", 1968, Il Giardino dei Sensi : Studi sul manierismo e il barocco, 1975

 同書からは→こちらにも挙げています:「怪奇城の外濠 Ⅲ」の頁の「ボマルツォの〈聖なる森〉」の項
 同じ著者による→そちらを参照:「天使、悪魔など」の頁の「ii. 悪魔など

篠田知和基、『ヨーロッパの形 螺旋の文化史』、2010、pp.202-205:第5部第1章5「迷宮」

中島和歌子、「『迷宮(Labyrinth)』図像群に関する一考察 - 迷宮史概略, および現代アメリカにおける迷宮図像活用について -」、『東京大学宗教学年報』、no.29、2012.3.31、pp.105-126 [ < 東京大学学術機関リポジトリ(UTokyo Repository) ]

 〈迷路 maze 〉は

「入り口から迷路の内部に進入して、多数の分岐路や袋小路に直面してその都度迷いながらも正しい道を選択してゆくことで、やがて出口に到達し、外部への帰還が果たされる」、

 〈迷宮
labyrinth 〉には、

「入り口=出口である唯一の開口部しか存在せず、内部の通路は完全に一本道である」

とのことです(p.105)。

 他方、少し下で掲げるW・H・マシューズ『迷宮と迷路の文化史』(2022、原著は1922)の「イントロダクション」では、

「迷路(maze)と迷宮(labyrinth)の違いはなにか? と聞かれることがある。答えは、ほとんどない、ないしはまったくない、である」(p.20)

とありました。もっとも第20章「迷路の語源」では、

「それよりも、ともに比喩的意味で用いられている時でさえ、『迷宮』と『迷路』には微妙なニュアンスの差があることを指摘しておくことにしよう。『迷宮』が、時間と不屈の努力で解決できる複雑な問題を意味するのに用いられるなら、『迷路』は、それに加えて不確定性やあいまいさの要素があってより高次の精神力を必要とするような状況を指す場合に使われる」(p.296)

として、すぐに続けて、

「つまりは、この二つの迷宮と迷路は始まりと終わりを単一路(ユニカーサル)で結ぶタイプの図と、複数路(マルチカーサル)で結ぶタイプの図をそれぞれ代表していると考えてもよいだろう」(同上)

と述べています。〈単一路型(ユニカーサル)〉と〈複数路型(マルチカーサル)〉については第21章「迷宮デザインと迷路の解法」でも取りあげられています(pp.306-309)。

 「迷宮と迷路の古典的名著として知られる本書」(「解題」、p.439)の訳者の一人による、上掲の和泉雅人『迷宮学入門』(2000)を見ると、
「…(前略)…迷宮は一本道であり、いやおうなく中心へと人を運ぶ。迷宮の中心からでるときも同じである。これに対して迷路は、だれもが中心にたどり着けるとはかぎらない。むしろ中心にたどり着くことを可能なかぎり困難にし、中心を隠蔽する役割を果たしているといっていいだろう」(p.44)

とありました。「おわりに - 現代の迷宮」でも、

「迷宮は迷路とは異なり、中心にすべてを集中させる全体として解釈されるべきものであるが、迷路は単なる知的ゲームに近いものがある」(p.218)

と述べて、「迷宮と迷路との混同」(同上)に注意を促していました。

小林頼子、『庭園のコスモロジー 描かれたイメージと記憶』、2014、pp.109-136:「第5章 迷宮(ラビリンス) 惑わしの空間・導きの糸」

W・H・マシューズ、和泉雅人・宇沢美子訳、『迷宮と迷路の文化史』、東京堂出版、2022
原著は William Henry Matthews, Mazes and Labyrinths. A General Account of Their History and Developments, 1922
序言/イントロダクション/エジプトの迷宮(ラビュリントス)Ⅰ 古代作家たちの報告/エジプトの迷宮(ラビュリントス)Ⅱ 後世の探検家たちの記述/クレタの迷宮(ラビュリントス)Ⅰ テーセウスとミーノータウロスの物語/クレタの迷宮(ラビュリントス)Ⅱ ゴルテュナの洞窟/クレタの迷宮(ラビュリントス)Ⅲ クノッソス/エトルリアまたはイタリアの迷宮/古代芸術における迷宮/教会迷宮/芝迷宮Ⅰ/芝迷宮Ⅱ/芝迷路の起源/花壇迷宮と小低木迷路/トピアリー庭園迷宮あるいは生垣迷路Ⅰ/トピアリー庭園迷宮あるいは生垣迷路Ⅱ/トピアリー庭園迷宮あるいは生垣迷路Ⅲ 近現代における推移/置き石迷宮と岩面陰刻(ペトログリフ)/トロイ舞踏、またはトロイ競技/「麗しのロザモンド」のあずまや/迷路の語源/迷宮デザインと迷路の解法/文学における迷宮/余録および結論//
訳注/解題(和泉雅人)/補遺など、
480ページ。


 少し上の→中島和歌子「『迷宮(Labyrinth)』図像群に関する一考察」(2012)のところでも触れました。
 また→こちらでも挙げています:伝バッチョ・バルディーニ《テーセウスと迷宮》の頁の「Cf.


Hermann Kern, Through the Labyrinth. Designs and Meaning over 5,000 Years, Prestel, München, London, New York, 2000
原著は Hermann Kern, Labyrinthe : Erscheinungsformen und Deutungen. 5000 Jahre Gegenward eines Urbilds, 1982
『迷宮を通って 5000年以上に及ぶデザインと意味』
ヘルマン・ケルン、1941-1985(
Jeff saward, John Kraft)/英語版への序文(Robert Ferré)//
迷宮の基礎-効果、仮説、解釈/クレタの迷宮/古代の「諸迷宮」/岩面陰刻とグラフィッティ/ルースス・トロイアエ-トロイのゲーム/ローマのモザイク迷宮/写本における迷宮/教会の迷宮/芝生の迷宮/古典古代の再生/中心のシンボリズム/個人的エンブレムとしての迷宮/迷宮としての世界/祝典とゲーム/庭園の迷宮と迷路/トロイの町と乙女の踊り/非ヨーロッパの迷宮/今日の迷宮/迷宮復興など、
360ページ。


 →こちらでも挙げています:伝バッチョ・バルディーニ《テーセウスと迷宮》の頁の「Cf.
 また下掲「おまけ」の→そちらでも挙げました:Art Bears のところ

 同じ著者による→あちらを参照:本項上掲ヘルマン・ケルン「世界と聖域の模像」(1983)

 宇宙論とはあまり関係がありませんが、イメージとしての建築については、「古城と怪奇映画など」>「怪奇城の外濠」などのページ、とりわけ→このあたり(「v. ゴシック・ロマンス、その他」)もご覧ください。

おまけ

 迷路状の作品といえば、

『みづゑ』、no.956、AUTUMN 1990、pp.3-33:「魔の構築物 - アリス・エイコック」
中世とテクノロジーの宇宙論(柳正彦)/魔法の国のアリス - A.エイコック・インタヴュー(インタヴュー・構成:柳正彦)

Robert Hobbs, Alice Aycock. Sculpture and Projects, The MIT Press, Cambridge & London, 2005

 昔名古屋市美術館の地階のロビーに仮設された、真っ暗闇の迷路に入った記憶があります。図録に図版が載っていないので確実ではないのですが、たぶん

『今日のオーストラリア美術』展、国立国際美術館、ハラ ミュージアム アーク、名古屋市美術館、北海道立近代美術館、1988-1989、

 図録 p.46/no.16 のマイク・パー Mike Parr 《ヘブライ語、神の言語 Hebrew, the Language of God》、1988 が件の作品で、材質は「明部/暗部、木」となっています。図録の巻頭論文であるブルース・アダムス「今日のオーストラリア美術」には、

「パーの新作のインスタレーションでは、観客はこの迷宮のあらゆる抑圧や課題に積極的に関わることになる。彼らは作品の入り口でも、そしてまた作品の真中でも、明るさか暗さか、開放性か閉鎖性か、そのどちらかに入り込むことを積極的に選ばなくてはならない」

等と記されていますが(p.12)、憶えているのは真っ暗だったことだけなのでした。


 そういえば長野市は善光寺の「お戒壇廻り」も真っ暗でした。

 真っ暗といえば「両刃の斧の家、双頭のミノタウロス」(『今村哲』展図録 2000.6三重県立美術館のサイト)に記した今村哲の《Creepng in a tunnel》(2000)もそうした迷路状の作品です。今村はその後も幾度か迷路状のインスタレーションを手がけ、近年では染谷亜里可とのD.Dなるユニットとして(他のメンバーが加わることもあり)、迷路作りにいそしんでいます。その内実見する機会のあったのは、2012年11-12月、岡崎シビコ6階での《半熟卵の構造》と、2014年2-3月、名古屋市美術館での《光と闇の迷路》および《鏡の迷路》で、後者については

『遠まわりの旅 親子で楽しむアートの世界』展図録、名古屋市美術館、2014

 を参照ください。
 
追補;さらに、

D.D. baseproject, 2020

 2012年から2020年までに開かれた各プロジェクトの記録および「Paper D.D. アンビルドなプラン」を掲載。
 →こちらでも触れました:「津の築山遊具など」の頁
 「メソポタミア」のページのおまけコーナーでレメディオス・バロの《螺旋の運航》(1962)を挙げましたが(→こちらを参照)、ここでは15世紀後半のフィレンツェで制作されたとされる版画《テーセウスと迷宮》を載せておきましょう。 
伝バッチョ・バルディーニ 《テーセウスと迷宮》 15世紀後半 
《テーセウスと迷宮》

* 画像をクリックすると、拡大画像とデータが表示されます

 音楽方面からは、まず円や球をめぐって、日本のグループ;

ストロベリー・パス、『大烏が地球にやってきた日』、1971(→こちらも参照:『大鴉』(1935)の頁の「おまけ」)

 の8曲目が「球状の幻影 Spherical Illusion 」。ドラム・ソロをフィーチャーした器楽曲です。

G-Schmitt, sin, secret & desire, 1986

 のB面ラスト、"Grand Circle 〈for lovers under the shelter〉"
 (→こちらもを参照:「エジプト」の頁の「おまけ」)

Asturias, Circle in the Forest, 1988(1)

 タイトル曲はラスト、5曲目。22分24秒、器楽曲です(最後の方に合唱あり)。
1. ヌメロ・ウエノ、たかみひろし、『ヒストリー・オブ・ジャップス・プログレッシヴ・ロック』、マーキームーン社、1994、p.55。
 『ユーロ・ロック・プレス』、vol.28、2006.2、p.5。
 →こちらも参照(「怪奇城の外濠 Ⅲ」の頁の「おまけ」)

想い出波止場、VUOY、1997(→こちらも参照:「仏教 Ⅱ」の頁の「おまけ」)

 の8曲目
"FULL CIRCLE"、3分00秒。
 なおギタリストの山本精一は、下掲の PARA のメンバーでもあります→そちら:本項の下


Alhambra, Fadista, 2007(→あちらも参照:「北欧、ケルト、スラヴなど」の頁の「おまけ」)

 の3曲目「ラビリンス - LABYRINTH -」、6分24秒。
Taï Phong, Windows, 1976(邦題:タイ・フーン、『ウィンドウズ/タイ・フーン Ⅱ』)(2) 2. 『ユーロ・ロック集成』、マーキームーン社、1987/90、p.92。
 『フレンチ・ロック集成 ユーロ・ロック集成3』、マーキームーン社、1994、pp.89-90。
 
 ヴェトナム人が主要メンバーのフランスのプログレッシヴ・ロック・グループの2枚目、B面1曲目が"Circle"(「サークル」)、5分31秒。グループ名は現在ではタイ・フォンと表記されています。前作1枚目(1975)のジャケットには、日本のといっていいのか、鎧兜が白を基調に描かれていましたが、今回のジャケットも兜は白く、ただ、枠状の構築物に区切られた桜並木のある川辺らしき風景が、色とりどりの背景をなしています。鍬形(くわがた)と呼んでいいのか、二本の虹が後方へ伸びている。
 1枚目ともども、抒情的という以上に感傷的と形容したくなるくらい、旋律は泣きギターは泣き歌声は泣きます。ある時期のキャメルやセバスチャン・ハーディー、アース・アンド・ファイアーなどとタメを張れそうです。そのかぎりで、空間的なひろがりを感じさせ、しかも締まりを欠いてはいない。歌は最後の方に少しだけ入るだけのこの曲も、その例に洩れません。



 方形をめぐって、日本のバンド

PARA, X-GAME, 2006(→こちらを参照:「近代など(20世紀~) Ⅱ」の頁の「おまけ」)

 1枚目の1曲目が
"Cube"、器楽曲、12分20秒。
 ギタリストの山本精一は上掲の想い出波止場のメンバーでもあります→そちら
 〈立方体(キューブ)〉といえば〈キュビスム〉や〈ルービック・キューブ〉が思い浮かびますが、

『キューブ』(1997、監督:ヴィンチェンゾ・ナタリ)

という映画もありました。続篇、続々編、日本版まであるそうですが、未見。

Egg, The Civil Surface, 1974(邦題:エッグ、『ザ・シビル・サーフェイス』)(2a)

 2枚のアルバムを出していったん解散した後、一時的に再結成した3枚目の3曲目(元のLPではA面後半)が
"Enneagram"(「エニアグラム」)、9分7秒。ほぼ器楽曲ですが、かすかにスキャットが混じっているのかどうか。
 'ennea-'はプローティノスの『エンネアデス』(→「ギリシア・ヘレニズム・ローマ Ⅱ」の頁の「x. 新プラトーン主義」の項も参照)でもお馴染み、ギリシア語の「9」を意味します。'-gram'もギリシア語由来ですが、こちらは手もとの英和辞書にも載っていて、「記録」、「図」、「文書」の意だそうです。ペンタグラムが五芒星、ヘクサグラムが六芒星なのと同じく、エネアグラムは九芒星を指すのでした。
2a. 松井巧監修、『カンタベリー・ミュージック(Artists & Disc File Series Vol.5)』(ストレンジ・デイズ12月号増刊)、2004、p.180。
 深見淳・松崎正秀監修、『UKプログレッシヴ・ロック メインストリーム・エディション~The Golden Era』(THE DIG presents Disc Guide Series #017)、シンコーミュージック、2004、p.91。
松井巧監修、『ジャズ・ロック The DIG Presents Disc Guide Series #035』、シンコーミュージック、2008、p.56。
 別のアルバムから→「怪奇城の高い所(後篇) - 塔など」の頁の「v. 鐘塔など
 
 螺旋をめぐって、同じくフランスのグループ;

Lard Free, Lard Free, 1977(邦題:ラード・フリー、『サード』)(2b)

 LPではA面一杯を占めていたという17分11秒の
"Spiral Malax"(「螺旋混合機」)。こちらは情緒性をあまり感じさせません。
2b. 『フレンチ・ロック集成 ユーロ・ロック集成3』、マーキームーン社、1994、p.142。

Black Sabbath, Sabbath Bloody Sabbath, 1973(邦題:ブラック・サバス、『血まみれの安息日』)(3)

 5枚目のB面ラスト、4曲目の
"Spiral Architect"(「スパイラル・アーチテクト」)、5分30秒。この曲は1997年の再結成ライヴ

Black Sabbath, Reunion, 1998(邦題:ブラック・サバス、『リユニオン』)(4)

 でも演奏されました。2枚組の1枚目、7曲目、5分39秒。
   
3. 平野和祥広監修、『ブリティッシュ・ハード・ロック The DIG Presents Disc Guide Series #007』、シンコーミュージック、2002、p.9
 .『ヘヴィ・メタル/ハード・ロックCDガイド』(シンコー・ミュージック・ムック)、シンコー・ミュージック、2000、p.79
 『ストレンジ・デイズ』、no.91、2007.4、「ブラック・サバス アルバム・ガイド」、p.10
 オジー・オズボーン、クリス・エアーズ、迫田はつみ訳、『アイ・アム・オジー オジー・オズボーン自伝』、シンコーミュージック。エンターテインメント、2010、pp.178-182
 
トニーアイオミ、前むつみ訳、三谷佳之日本語版監修、『アイアン・マン』、ヤマハミュージックメディア、2012、pp.136-139。
 『マスター・オブ・ブラック・サバス』、シンコーミュージック・エンタテイメント、2020、pp.46-47。
 また→こちら("The Sign of the Southern Cross")やそちら("Voodoo")、さらにあちら("Black Sabbath")も参照。


4. .『ヘヴィ・メタル/ハード・ロックCDガイド』(シンコー・ミュージック・ムック)、シンコー・ミュージック、2000、p.80
 『ストレンジ・デイズ』、no.91、2007.4、「ブラック・サバス アルバム・ガイド」、p.15
 トニーアイオミ、前むつみ訳、三谷佳之日本語版監修、『アイアン・マン』、ヤマハミュージックメディア、2012、pp.312-315。
 
   

Hawkwind, Warrior on the Edge of Time, 1975(邦題: 『絶体絶命』)(4a)

 スタジオ・アルバムとしては6枚目、2枚組ライヴをはさんで、ややプログレ色が出た第二期の2枚目、そしてマイケル・ムアコックが全体のコンセプトを担当したアルバムでもあります。なので→こちらでも挙げました:「近代など(20世紀~) Ⅴ」の頁の「ムアコック」の項。
 とまれそのB面3曲目が
"Spiral Galaxy 28948"(「スパイラル・ギャラクシー28948」)、器楽曲、3分47秒。 
4a. 深見淳・松崎正秀監修、『UKプログレッシヴ・ロック アウトスタンディング・エディション』(THE DIG presents Disc Guide Series #020)、シンコーミュージック、2004、p.162。
 『ストレンジ・デイズ』、no.123、2010.2、「Hawkwind Albums」、pp.8。
 『ユーロ・ロック・プレス』、vol.44、2010.2、p.7。
 

Happy the Man, Happy the Man, 1977(→こちらも参照:「マネ作《フォリー・ベルジェールのバー》と絵の中の鏡」の頁の「おまけ」)

 1枚目の7曲目(元のLPではB面2曲目)が 
"On Time as a Helix of Precious Laughs"、5分22秒、9曲中2曲しかない歌曲の一つ。
 ところで日本語版ウィキペディアの「渦巻」の頁によると(→そちら、また「螺旋」の頁も参照→あちら)、

「渦巻(スパイラル)は、旋回するにつれ中心から遠ざかる2次元曲線だが、
 螺旋(ヘリックス)は、旋回するにつれ旋回面に垂直成分を持つ方向に動く3次元曲線である。
…(中略)…
 スパイラルとヘリックスの混同は日本語でよく見られるが、英語でも学術的にはヘリックスであるものがスパイラルと呼ばれることが多い。たとえば、螺旋階段は英語では『helix staircase』だが『spiral staircase』も使われている。
  一方、各種の代数螺旋や対数螺旋が英語ではスパイラルと呼ばれている。
…(中略)…
 渦巻と明確に区別するため、本来の螺旋を弦巻線と呼ぶことがある」

だそうです。
 色をめぐって、フランスから;

Carpe Diem, Cueille le jour, 1977(邦題:カルプ・ディアン、『陽光を摘む者』)(5)
5. 『フレンチ・ロック集成 ユーロ・ロック集成3』、マーキームーン社、1994、p.54。
 片山伸監修、『ユーロ・プログレッシヴ・ロック The DIG Presents Disc Guide Series #018』、シンコーミュージック、2004、p.32。
  『ユーロ・ロック・プレス』、vol.34、2007.8、p.31。
 LPではB面一杯を占めていたであろう21分38秒の"Couleurs"(組曲「色彩」)。5部構成で各
"Phase Noire"、
”Phase Orange”、
”Phase Verte”、
”Phase Violette”、
”Phase Blanche”

(黒、オレンジ、緑、紫、白それぞれの局面)となっています。歌のあるのは約13分30秒頃から始まる第4部、紫の部分だけですが、歌詞カードには他の部分にも短い詩がつけられていました(ライナー・ノーツに邦訳あり)。
 ちなみにバンド名は、日本語版ウィキペディアの該当頁によると(→こちら)、ホラティウスの詩に由来し、「その日を摘め」という意味だそうです。ラテン語読みでは「カルペ・ディエム」。
 カルプ・ディアンはほんの少しだけ歌入りでしたが、同じくフランスから、こちらは歌なしで、メロトロンを大幅に用いた抒情的シンフォニック・バンド;

Terpandre, Terpandre, 1980(邦題:テルパンドル、『抒情と技巧が鳴り渡る時』)(6)
5. 『ユーロ・ロック集成』、マーキームーン社、1987/90、p.93。
 『フレンチ・ロック集成 ユーロ・ロック集成3』、マーキームーン社、1994、p.106。
 片山伸監修、『ユーロ・プログレッシヴ・ロック The DIG Presents Disc Guide Series #018』、シンコーミュージック、2004、p.81。
  『ユーロ・ロック・プレス』、vol.47、2010.11、p.77。
 
 録音は1978年の唯一のアルバム、2曲目が"Conte en vert"(「緑の物語」)、4分54秒。この曲はまた、ボーナス・トラックとして6曲目にライヴ録音が収録されています、4分46秒。
 同じくボーナス・トラックのライヴ録音で、続く7曲目は
"Musique pour claire obscure"(「暗光の為の音楽」)、8分20秒。邦題では「暗光」となっている"claire- obscure"ですが、ここは辞書通り「明暗法」と見なしたいところです。明暗法は必ずしも色彩を必須とはしないのですが。
 グループ名についてライナー・ノートには「ギリシア神話に登場する竪琴の神」とありましたが、英語版ウィキペディアの該当頁からすると(→こちら)、紀元前7世紀前半のの詩人・キタラー奏者テルパンドロス
Terpandros のことのようです。

 ちなみに緑といえば;
 

鈴木さえ子、『緑の法則』、1985

 →こちら(『妖婆死棺の呪い』(1967)の頁の「おまけ」)でも挙げましたが、ゴーゴリの「ヴィイ」に取材したらしき"ВИЙ"なんて器楽曲も入っています。その他、"The Green-eyed Monster"という曲もありました。

The Rolling Stones, Their Satanic Majesties Request, 1967(ローリング・ストーンズ、『サタニック・マジェスティーズ』)

 のB面1曲目、
"She's a Rainbow"(「シーズ・ア・レインボー」、4分37秒。
 同じアルバムから→こちら(「通史、事典など」の頁の「おまけ」)に挙げました。
 スペインのグループ;

Triana, Triana, 1975(邦題:トリアーナ『トリアーナ』)(7)

 フラメンコ成分入りプログレ・バンドの1枚目、3曲目が
"Todo es de color"(「全ての色」)、2分6秒。コケコッコー、ピヨピヨという効果音に始まって、「全ては色でできている~」と歌いあげます。
7. 『ユーロ・ロック集成』、マーキームーン社、1987/90、p.167。

 迷路・迷宮などをめぐって;

中森明菜、『不思議』、1986(8) 

 3曲目が
"Labyrinth"、4分50秒。

8. このアルバムについては、
 川嶋未来(SIGH)、「重厚音楽考察 ホラー映画サウンドトラックの系譜に連なる中森明菜」 < COLUMN < ARTICLES [ < PECKINPAH ]
で知りました。日本語版ウィキペディアの該当頁も参照→こちら
 
アウターリミッツ、『マリオネッツ・ラメント』、1987(→こちら(「怪奇城の外濠 Ⅲ」の頁の「おまけ」」も参照)

 12インチ・シングルのB面、
"Spanish Labyrinth (re-mix)"
 ヴァイオリンをフィーチャーしたフラメンコ調の器楽曲です。
Kacica, Kacica, 2006(9)

 の1曲目は
"Sensibility Cube"で、詞も英語ですが、歌詞カードを見ると訳のタイトルは「宇宙迷路」となっていました。全9曲中7曲は邦訳部分でも英題のままで、残る7曲目も"Picasso"が「ピカソ」とされるものの、これは固有名とあれば、1曲目の邦題については何かこだわるところがあるのでしょうか。
9. 『ユーロ・ロック・プレス』、vol.32、2007.2、p.49。
 イタリアのグループ;

Stormy Six, L'apprendista, 1977(邦題:ストーミー・シックス『ラップレンディスタ』)(10)

 6曲目(もとのLPではB面2曲目)が
"Il labirinto"、8分15秒。
10. 『ユーロ・ロック・プレス』、vol.26、2005.8、p.14。
 アウグスト・クローチェ、宮坂聖一訳、『イタリアン・プログ・ロック イタリアン・プログレッシヴ・ロック総合ガイド(1967年-1979年)』、マーキー・インコーポレイティド、2009、pp.478-483。
 『オール・アバウト・チェンバー・ロック&アヴァンギャルド・ミュージック』、マーキー・インコーポレイティド株式会社、2014、pp.167-170、177。
 このアルバムは6枚目で、続く7枚目、Macchina maccheronica (1979)(『マッキナ・マッケロニカ』)はヘンリー・カウ周辺との交流もあってか、縁日の楽隊風だったり、現代音楽風だったり、自由即興が入ったりと、多方向に蛸足をのばした文字通り多彩な作品でした。その次の8枚目、いったん最終作となった Al volo (1982)は、ニューウェイヴ風に引き締められ、しかし演奏はしばしばプログレ成分を示したりする。サイト Office Chipmunk の STORMY SIX の頁(→こちら)で言われていたように、「カッコいい」と呼びたくなる作品です。
 これら後の二枚は、けっこう緊張感があって、とはいえ力みかえっているわけでもないのですが、比べるに6枚目は、フォーク・ロックという出自を色濃くうかがわせます。それでいて序奏や間奏などでジェントル・ジャイアントに通じるような幾何学的なアンサンブルを聞かせてくれたりもするのですが、ともあれぼけっとしたというか、ぽわっとしたというか、そんな表情をたたえたアルバムでした。

Art Bears, Hopes & Fears, 1978(11)

 ヘンリー・カウとスラップ・ハッピーが合流し分岐した後で産み落とされたバンドの1枚目、
“ÁHÁ : palace courtyard”とまとめられたA面4曲目が、“Maze”、4分47秒。さらに、“MER : irrigated land”とまとめられたB面の5曲目は、“Labyrinth (Daedalus lamenting)”、2分8秒。
11. The Bible. rock magazine 04、ロックマガジン社、1981、p.39。
 「迷宮の地形学 前編 Henry Cow Art Bears」、『フールズ・メイト』、vlo.16、1981.4、pp.23-27。
 M. Kitamura、「迷宮の地形学 後編 Henry Cow Art Bears」、『フールズ・メイト』、vlo.17、1981.74、pp.22-24。
 大鷹俊一監修、『ヤング・パーソンズ・ガイド・トゥ・プログレッシヴ・ロック』、音楽之友社、1999、p.101。
 深見淳・松崎正秀監修、『UKプログレッシヴ・ロック メインストリーム・エディション~The Golden Era』(THE DIG presents Disc Guide Series #017)、シンコーミュージック、2004、p.135。
 『オール・アバウト・チェンバー・ロック&アヴァンギャルド・ミュージック』、マーキー・インコーポレイティド株式会社、2014、p.22。
 →こちら(北欧、ケルト、スラヴなど」の頁の「おまけ」)も参照
 綴じられていないジャケットの内側、右頁に、現在フリブールにある、中央にミーノータウロスを倒すテーセウスを配して迷宮を描いたローマ時代のモザイクHermann Kern, Through the Labyrinth. Designs and Meaning over 5,000 Years, 2000, p.92 / fig.136、およびシャルトルの舗床モザイクid., p.152 / fig.259)の図版が大きく載せられています。また左頁でも迷路図を記号化して見出し代わりに用いていたりしました。
 ヘンリー・カウの流れを引くといっていいものか、上の二曲も含めて、表情のきつい曲が多いのですが、B面1曲目の
“Terrain”(3分45秒、器楽曲)や7曲目“Moeris, dancing”(5分0秒、歌詞のない歌あり)などはとても爽快でした。

Flamen Dialis, Symptom - Dei, 1979(邦題:フラメン・ディアリ『シンプトム・ダイ』)(12)
12. 『ユーロ・ロック集成』、マーキームーン社、1987/90、p.79。
 『フレンチ・ロック集成 ユーロ・ロック集成3』、マーキームーン社、1994、p.59。
 『ユーロ・ロック・プレス』、vol.21、2004.5、p.14。
 『オール・アバウト・チェンバー・ロック&アヴァンギャルド・ミュージック』、マーキー・インコーポレイティド株式会社、2014、p.116。
 
 こちらはフランスのバンドの唯一のアルバム、
 3曲目が
“Dédale vert du retour”(「帰還への緑の迷路」)、3分41秒、
 また5曲目(もとのLPならB面1曲目)が、
“Méandres envoutés”(「まわりくどい呪文」。CDの裏で"Méandrea"とあるのは、リーフレットに掲載されたもとのジャケットか何かからすると誤り。邦訳も「魔法をかけられた迷路(雷文))」といったところでしょうか)、2分07秒。
 さらに、7曲目(B面3曲目)
“Labyrinthe pourpre de la conaissance”(「認識への紫の迷宮」。CDの裏での"Labyrinth"は最後の"e"が落ちています)、2分11秒。
 メロトロンが大々的にフィーチャーされた、しかしシンフォニック系ではない、といって無調無拍子など現代音楽的なわけでもなく、旋律もリズムも欠かさぬ摩訶不思議系の音をしています。人声は用いられるものの、詞のある歌曲はありません。
 なおグループ名は古代ローマでユピテル神に仕える高位の神官を意味するそうで(→英語版ウィキペディアの該当ページ)、ラテン語読みでは「フラーメン・ディアーリス」となります。
  

 イタリアに戻って;

La Maschera di Cera, Il grande labirinto, 2002(邦題:ラ・マスケーラ・ディ・チェラ『大迷宮』)(13)

 タイトル曲は2曲目、9分43秒。
なおこの曲は続くライヴ


La Maschera di Cera, In concerto, 2005

 でも2曲目に収録されています。
13. 『ユーロ・ロック・プレス』、vol.17、2003.5、p.13。
 岩本晃一郎・祖父尼淳監修、『21世紀のプログレッシヴ・ロック100(100 MASTERPIECE ALBUMS VOL.4)』、日興企画、2013、p.72。
 →こちらも参照:『肉の蝋人形』(1933)の頁の「おまけ
Yugen, Labirinto d'acqua, 2006(邦題:ユーゲン『水の迷宮』)(14)

 タイトル曲は13曲目、1分21秒。
 またこのアルバムには
"Le rovine circolari"(「円形の廃墟」)が収録されています。10曲目、6分53秒。全曲器楽曲ですが、後者のタイトルは下に挙げるボルヘス「円環の廃墟」のイタリア語題と一致しています(→[イタリア語版ウィキペディア『伝奇集 Finzioni 』のページ])。 
14.. 『ユーロ・ロック・プレス』、vol.32、2007.2、p.92。
 岩本晃一郎・祖父尼淳監修、『21世紀のプログレッシヴ・ロック100(100 MASTERPIECE ALBUMS VOL.4)』、日興企画、2013、p.121。
 『オール・アバウト・チェンバー・ロック&アヴァンギャルド・ミュージック』、マーキー・インコーポレイティド株式会社、2014、p.178, p.180。

The Cure, The Cure, 2004(ザ・キュアー、『ザ・キュアー』)

 12枚目の2曲目、
“Labyrinth”(「ラビリンス」)、5分14秒。
 同じバンドの別の曲→こちらで挙げました:「日本 Ⅱ」の頁の「おまけ



 円・球についてのフィクションといえば

ボルヘスの「円環の廃墟」や「アレフ」、

倉多江美、「球面三角」、『樹の実草の実 倉多江美傑作集』(花とゆめCOMICS)、白泉社、1977、pp.151-188

 〈球面三角法〉なる幾何学の計算法があるそうですが、それについては全く知らず、とまれとある原稿に「四角はまるいか」というタイトルをつけたことがあったのは(1991)、もしかすると本作のタイトルが無意識裡に作用したのかもしれません。次に挙げる花田清輝のエッセイとあわせて、「四角はまるいか」の頁の「おまけ」にもつないでおきましょう→こちらを参照。
 同じ著者による→そちらも参照:「近代など(20世紀~ ) Ⅵ」の頁の「xxiii. 日本の漫画、アニメーションその他」内

 と、例によって例なるがごとく、読んだのに綺麗さっぱり忘れていたのが;

花田清輝、「球面三角 - ポー -」(1941)、『復興期の精神』(1946)(講談社文庫 C43)、講談社、1974、pp.86-96/『花田清輝全集 第二巻』、講談社、1977、pp.299-308

 ポー、とりわけその『ユリイカ』について論じたものなので→こちらにも挙げておきます:「ロマン主義、近代など(18世紀末~19世紀)」の頁の「viii. E・A・ポーなど」内。
 また同じ単行本には;


花田清輝、「楕円幻想 - ヴィヨン -」(1943)、pp.184-191/pp.392-399

 同じ著者による
こちら(『美女と野獣』(1946)の頁の「Cf.」)、そちら(「廃墟の美」/「怪奇城の外濠 Ⅱ」の頁の「vi. 廃墟など」」)、あちら(『怪猫有馬御殿』(1953)の頁の「Cf. の cf.」』)、ここ(『怪談佐賀屋敷』(1953)の頁の「Cf. の cf.」)、そこ(「天使の羽ばたき」/「天使、悪魔など」の頁の「おまけ」」)、そこの2(『ゴジラ』他/「原初の巨人、原初の獣、龍とドラゴンその他」の頁の「龍とドラゴンその他」)、あそこ(『マクベス』(1948)の頁の「Cf.」)、こっち(『カリガリ博士』(1920)の頁の「Cf.」)、そっち(『蜘蛛巣城』(1957)の頁の「Cf.」)、あっち(『恋人たち』(1958)の頁の「Cf.」)、こなた(『黒死館殺人事件』等/「近代など(20世紀~) Ⅳ」の頁の「小栗虫太郎」の項』等)、そなた(『怪談』(1964)の頁の「Cf.」)、あなた(『バグダッドの盗賊』(1940)の頁の「Cf.」)、こちら(「ナマズ考」/「日本 Ⅱ」の頁の「鯰絵」の項」)
 を参照。また
そちら(藤井貴志の論考:「近代など(20世紀~) Ⅳ」の頁の「埴谷雄高」の項)も参照



 螺旋についてのフィクションといえば、

夢枕獏の 『上弦の月を喰べる獅子』や
  『歓喜月の孔雀舞(パヴァーヌ)』、
  『混沌(カオス)の城』、
  『月に呼ばれて海より如来(きた)


 の他、

山田正紀、『宝石泥棒』、1980

  同、   『宝石泥棒Ⅱ』、1989

鈴木光司、『リング』(角川ホラー文庫 H 5-1)、角川書店、1993
 1991年刊本の文庫化

  同、  『らせん』、角川書店、1995

  同、  『ループ』、同、1998

折原一、『螺旋館の殺人』(講談社文庫 お 63-2)、講談社、1993
 1990年刊本の文庫化

菅浩江、『メルサスの少年 「螺旋の街」の物語』(新潮文庫A 8-1)、新潮社、1991

 同じ著者による→こちらを参照:「近代など(20世紀~ ) Ⅵ」の頁の「xxii. 個々の著述家など - 日本 Ⅱ(20世紀後半等)」内

伊藤潤二、『うずまき』、2000

テッド・チャン、「バビロンの塔」、『あなたの人生の物語』、2003


 色についてのフィクションといえば

H.P.ラヴクラフト、大瀧啓裕訳、「宇宙からの色」、『ラヴクラフト全集 4』(創元推理文庫 523-4)、東京創元社、1985
原著は H. P. Lovecraft, "The Colour out of Space", 1927

 →こちらも参照:『襲い狂う呪い』(1965)の頁


 これを承けて;

マイクル・シェイ、荒俣宏・栗原知代訳、『異時間の色彩』(ハヤカワ文庫 FT 135)、早川書房、1990
原著は Michael Shea, The Color out of Time, 1984

山田正紀、北原尚彦、フーゴ・パル、『ホームズ鬼譚~異次元の色彩』(クトゥルー・ミュトス・ファイルズ)、創土社、2013
宇宙からの色の研究(山田正紀)/バスカヴィル家の怪魔(北原尚彦)/バーナム二世事件(フーゴ・パル)/宇宙からの色(ラヴクラフト:冒頭部分)//
解説(増井暁子)など、400ページ。
 

 ラヴクラフトの「宇宙からの色」と同じテーマで、しかし色ではなく透明だの味覚が出てきて、なおかつラヴクラフトではなくH.G.ウェルズにからめたのが;

ブライアン・W・オールディス、「唾の樹」、中村融編訳、『影が行く ホラーSF傑作選』(創元SF文庫 SF ン 6-1)、東京創元社、2000、pp.388-506
原著は Brian W. Aldiss, "The Saliva Tree", 1965

 同じ著者による→こちらを参照:「近代など Ⅳ(20世紀~ )」の頁の「xvii. ブックガイド、通史など」内
 また、ウェルズにからめて→そちらでも挙げました:「ロマン主義、近代など(18世紀末~19世紀)」の頁の「H・G・ウェルズ」の項


 あわせて「近代など(20世紀~) Ⅳ」のページの「xix. ラヴクラフトとクトゥルー神話など」も参照


 音楽についてのフィクションといえば

グレッグ・ベア、『無限コンチェルト』、

キム・スタンリー・ロビンスン、『永遠(とわ)なる天空の調(しらべ)』、

メリッサ・スコット、『天の十二分の五

ピート・ローリック、甲斐呈二訳、「音符の間の空白」、2018

 なども参照。さらに;


高野史緒、『ムジカ・マキーナ』(ハヤカワ文庫 JA 693)、早川書房、2002

 同じ著者による→こちら(「エジプト」の頁の「おまけ」」)や、またそちら(「グノーシス諸派など Ⅲ」の頁の「おまけ」)を参照

 「エジプト」のページでも挙げた(→こちらを参照:「おまけ」)

『ラーゼフォン』(2002、監督:出渕裕)

 およびその「シェアワールド・ノベル」

神林長平、『ラーゼフォン 時間調律師』(徳間デュアル文庫)、徳間書店、2002

 同じ著者による→こちらを参照:「近代など(20世紀~) Ⅵ」の頁の「神林長平」の項



 迷宮といえば、やはり

ボルヘス、「八岐の園」、「不死の人」、「アベンハカーン・エル・ボハリー おのれの迷宮にて死す」、「ふたりの王とふたつの迷宮

 などの他、

横溝正史、『迷路荘の惨劇』(角川文庫 緑 304)、角川書店、1976

 1956年連載の中篇を長篇化した1975年刊本の文庫化
 →こちら(「怪奇城の隠し通路」の頁)でも触れました


ささや ななえこ、「ミノタウルス」(1982)、『ミノタウルス』(角川ホラー文庫 H 601-20 Y743)、角川書店、2001、pp.47-213

佐藤史生、『この貧しき地上に』(ペーパームーン・コミックス)、新書館、1985

 表題作(pp.3-48)、「青猿記」(pp.49-100)、「一陽来復」(pp.101-136)と話が続きます。この他に「おまえのやさしい手で」(pp.137-211)収録。
 同じ著者による→こちらを参照:「インド」の頁の「おまけ


綾辻行人、『迷路館の殺人』(講談社 NOVELS ア 1-03)、講談社、1988

 同じ著者による→こちら(「《水車図》江戸時代初期、17世紀」の頁の「おまけ」)や、またそちら(「怪奇城の隠し通路」の頁)を参照

秋月涼介、『迷宮学事件』(講談社 NOVELS ア A4-02)、講談社、2002

スザンナ・クラーク、原島文世訳、『ピラネージ』、東京創元社、2022

 →ピラネージ《牢獄》(第2版より、1761)の頁の「おまけ」で触れました。

『ラビリンス - 魔王の迷宮 -』(1986)
 こちらを参照:当該作品の頁
追補:

 「言葉、文字、記憶術・結合術、書物(天の書)など」のページのおまけコーナーでルネサンス期イタリアの寄木細工ことタルシーア(インタールシオ、インタルシア)2点を追加したのですが(→こちらを参照:「言葉、文字、記憶術・結合術、書物(天の書)など」の頁の「おまけ」)、その内1点にマッツォッキオが描きこまれていました。宇宙論史には直接関わりませんが、ここでも載せておきましょう。
 
 拡大画像のページに挙げたヴァザーリの『ルネサンス画人伝』(平川祐弘・小谷年司・田中英道訳)中のウッチェッロの項でマッツォッキオに触れた箇所への訳註では、

「木の輪やたがで、それに布をかぶせて男の頭のかぶりものとしたという」(p.38 註2)

と記され、
またジャン=フィリップ・アントワーヌ『小鳥の肉体 画家ウッチェルロの架空の伝記』(宮下志朗訳)によると、

「柳の枝で編んだものに布をかぶせたというこの被り物」(p.155)、

シュオッブ「絵師パオロ・ウッチェロ」(渡辺一夫訳)には

「布で蔽われた木製の輪であり、これを頭に戴いて、布の襞●(ひだ)を垂らすと、顔がすっかり包まれてしまふやうになるのである」(p.241 ●はネ+責)

などとありました。
 右に挙げた素描3点の作者とされるウッチェッロは、《大洪水》(→こちら)や《サン・ロマーノの戦い》(ルーヴル版→そちら)でも、マッツォッキオを身につけた人物を描きこんでいます。
 「寄木細工、透視画法、マッツォッキオ、留守模様 - 幻想絵画の周辺(仮)より」のページもご覧ください。

ウッチェッロ(に帰属)《マッツォッキオ》 ウフィッツィ

ウッチェッロ(に帰属)《マッツォッキオ》 ウフィッツィ

ウッチェッロ(に帰属)《マッツォッキオ》 ルーヴル
ウッチェッロ(に帰属)《マッツォッキオ》

ウッチェッロ《大洪水》1446-1448
ウッチェッロ《大洪水》1446-1448

* 画像をクリックすると、拡大画像とデータが表示されます

2014/06/27 以後、随時修正・追補 
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