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キリスト教(西欧中世)
 まずは;

フィリップ・グリアソン、「ヨーロッパへの遺産」、『古代の宇宙論』、1976、pp.231-263。
ギリシアとユダヤの二重性格/ギリシア語文献の翻訳/マクロビウス『スキピオの夢の注釈』/地球中心の宇宙/12-13世紀/ルネサンスなど

荒川紘、『東と西の宇宙観 西洋篇』、紀伊國屋書店、2005、pp.194-231:「第6章 ユダヤとギリシアの融合-スコラ哲学の宇宙観」
イスラムの天文学と宇宙論→細目はこちら:「イスラーム」の頁の冒頭//
トマス・アクィナスの宇宙論;大学の誕生/ナポリ大学とパリ大学のトマス・アクィナス/トマス・アクィナスの宇宙創成論 - パリ大学での論争/宇宙構造論 - 神の栄光の証明/天体を動かす天使/ダンテの『神曲』/占星術の復活//
スコラ学的宇宙論の展開;スコラ学の歴史的意義/「いきおい」の理論/地球は動いているのか/科学革命の前夜/イエズス会による世界布教など


池上俊一、『ヨーロッパ中世の想像界』、2020、pp,344-375+註 pp.134-136:第Ⅱ部5「宇宙と世界の形」
ゲルマン時代/ロマネスク時代/ゴシック時代以後/王国・ヨーロッパと教会・キリスト教世界/むすび

 i 文化史的なものなど
ii 科学史的なものなど
 iii 哲学史的なものなど 
 iv 個々の著述家など
エリウゲナ(810頃-877頃)、アンセルムス(1033/34-1109)、コンシュのギヨーム(1090頃-1154頃)、ビンゲンのヒルデガルト(1098-1179)、フィオーレのヨアキム(1135頃-1202)、グロステスト(1170頃-1253)、アルベルトゥス・マグヌス(1200頃-1280)、ボナヴェントゥラ(1217/21-1274)、ロジャー・ベイコン(1219頃-1292頃)、トマス・アクィナス(1224/25-1274)、ライムンドゥス・ルルス(1232/33-1315/16)、マイスター・エックハルト(1260頃-1328)、ダンテ(1265-1321)、ドゥンス・スコトゥス(1266-1308)、ニコル・オレーム(1320頃-1382)、追補:『ピカトリクス 
  おまけ 

* ラテン語の日本語表記は、勉強不足のため中途半端にしかわかりません。
 その歴史的変化とくればなおさらです。
 そもそも西欧の中世なるものの時代区分もよくわかっていません。
 ともあれ例によって、多々誤りもあろうかと思いますが、ご寛恕ください。

i. 文化史的なものなど

C.S.ルイス、山形和美監訳、小野功生・永田康昭訳、『廃棄された宇宙像 中世・ルネッサンスへのプロレゴーメナ』、八坂書房、2003
原著は C. S. Lewis, The Discarded Image. An Introduction to Medieval and Renaissance Literature, 1964
中世の情況//留保//
資料(抄)-古典期;「スキピオの夢」/ルカヌス/スタティウス、クラウディアヌス、および貴婦人〈自然〉/アプレイウス『ソクラテスの神について』//
資料(抄)-揺籃期;カルキディウス/マクロビウス/偽ディオニュシオス/ボエティウス//
天;宇宙の構成部分/それぞれの作用/そこに住むものたち//
長命者//地球とそこに住むものたち;地球/獣/人間の霊魂/理性的霊魂/感覚的霊魂と植物的霊魂/霊魂と肉体/人間の肉体/人間の過去/自由七科//
〈モデル〉の影響など、
386ページ。


 同じ著者による→こちらを参照:「近代など(20世紀~) Ⅳ」の頁の「C.S.ルイス」の項

フリッツ・ザクスル、松枝到訳、「Ⅲ 中世の宇宙観」、『シンボルの遺産』(ちくま学芸文庫 サ 17-1)、筑摩書房、2005、pp.77-114 + 註 pp.331-334
原著は Fritz Saxl, "Macrocosm and Microcosm in Medieval Pictures"(1927/8), Lectures, 1957

 →こちらでも挙げました:「図像、図形、色彩、音楽、建築など」の頁の「i. 図像など

 単行本は1980刊本の文庫化
 他の目次は;
イメージの死と再生/石棺のアルケオロジー/カピトリウム - ローマのシンボリズム/トロイ物語 - 宮廷風恋愛物語のイコノグラフィー/ミトラス Ⅰ - 古代インドからローマへ/ミトラス Ⅱ - 洞窟祭祀のシンボリズム/三人の「フィレンツェ人」 - ホーン、ヴァールブルク、メニール/蛇・稲妻・祝祭 - ヴァールブルクのニューメキシコへの旅/ひとつの出会い - カッシーラーとヴァールブルク/補遺 ヴァールブルク文庫とその目的//
解説 ヴァールブルクとザクスル - ハンブルクからロンドンへ(前田耕作/松枝到)など、
436ページ。

 邦訳は原著所載の「全28篇の講演から三分の一にあたる9篇を抜き出し、カッシーラーをめぐる回想記を付した」(p.396)もの。
 →そちらでも挙げました:「ルネサンス、マニエリスムなど(15~16世紀)」の頁の「おまけ


ジャック・ルゴフ、池上俊一訳、『中世の夢』、名古屋大学出版会、1992
中世の科学的驚異/西洋中世とインド洋 - 夢の領域/キリスト教と夢 - 2世紀から7世紀/西洋中世の荒野=森/ブロセリアンドのレヴィ=ストロース - 宮廷風ロマン分析のための一試論など、
296ページ。

 
Jacques Le Goff の1977,1985,1988刊著から独自に編集された論文集
 同じ著者による→こちらも参照:「通史、事典など」の頁の「ix. 他界観・来世観など


アーロン・グレーヴィチ、川端香男里・栗原成郎訳、『中世文化のカテゴリー』(New History)、岩波書店、1992
 原著はキリル文字につき、避けるとして英訳タイトルは A. Gurevich, Categories of the Medieval Culture, 1972/1984
序論=中世人の《世界像》//
中世の「クロノトポス」;マクロコスモスとミクロコスモス/「時とは何か?」//
「国は法の上に建ち……」;「古き、善き法」/法と慣習/人間の間の普遍的関係/農民、騎士、市民//
富と労働についての中世的表象;「贈物はお返しの贈物を期待する……」/貪欲の罪/「仕えること」と「分け与えること」/労働-それは呪いか救いか/神とマモン神//
結論-人間的個性を求めて//付論-『煉獄の誕生』と文化史的方法論の諸問題など、
522ページ。


ユルジス・バルトルシャイティス、彌永信美訳・解題、「世界図(マップモンド)と地図」、『ユリイカ』、vol.25 no.1、1993.1:「特集 幻想の博物誌」、pp.52-65
原著は Jurgis Baltrušaitis, Réveils et prodiges. Le gothique fantastique, 1960 の序説および第7章第2節

 あわせて同特集 pp.167-182 の

図版構成:彌永信美、「バルトルシャイティス 怪物たちの宴」

 バルトルシャイティスについては→こちらも参照;「バロックなど(17世紀)」の頁の「vi. 個々の著述家など Ⅱ」内の「キルヒャー」の項
 彌永信美については→そちらも参照:「仏教 Ⅱ」の頁の「vi. 仏教の神話など
 地図について→あちらも参照:「通史、事典など」の頁の「iii. 地学・地誌・地図、地球空洞説など

竹下節子、『ヨーロッパの死者の書』(ちくま新書 042)、筑摩書房、1995
序章 「死」にやさしいカトリシズム/死後の魂の行方/キリスト教以前のヨーロッパ - 「死者の書」の風景[その1]/キリスト教の死後の世界 - 「死者の書」の風景[その2]/死者との交信 - 「死者の書」の風景[その3]/カトリック教会のテクニック - 「死者の書」の風景[その4]/聖者伝と伝記文学 - 「死者の書」の風景[その5]/ジャン・プリユールの「死者の書」 - 「死者の書」の風景[その6]など、
206ページ。


 同じ著者による→こちらを参照:「グノーシス諸派など」の頁の「余談 イスカリオテのユダなど

クロード・カプレール、幸田礼雅訳、『中世の妖怪、悪魔、奇跡』、新評論、1997
原著は Claude-Claire Kappler, Monstres, démons et merveilles à la fin du moyen âge, 1980
序論//
宇宙図と想像の世界;はじめに/さまざまな形態の宇宙/場所と形//
旅とメンタリティ//
旅、物語、神話;はじめに/旅行記における神話と物語/楽園への郷愁/最初の旅行//
妖怪の分類学 妖怪の諸形態;妖怪の諸形態/諸器官の相互的変形による妖怪/妖怪の性質/普通の要素を奇抜な要素で置き換える/動物、鉱物、植物の世界の混淆/性の混合、性の分離/雑種形成/全能の獣性をもつ妖怪(野生の人間)/破壊性をもった妖怪/とくに形態的特性をもたないが恐るべき妖怪//
  奇跡的現象あるいは力の作用;さまざまな要素の例外的表現/自然の通常の流れを断つような現象//
妖怪、言語、イマージュ//妖怪の概念//妖怪の機能と魂//結論……私の終わりは私の始まり、など、
536ページ。


 →こちらにも挙げておきます:「天使、悪魔など」の頁の「ii. 悪魔など

「中世とルネサンスの神話」、『世界神話大事典』、2001、pp.778-797
中世とルネサンス 生き延びた古代の神々;中世/ルネサンス(ジャン・セズネック)//
キリスト教と神話 中世の西欧と神話的思考(ジャン・クロード・シュミット)//
アーサー王 円卓物語と聖杯伝説;アーサー王伝説/聖杯/ガストの地(荒地)(ユージン・ヴィナヴァー)//
トリスタンとイズー(同)


 「中世とルネサンス 生き延びた古代の神々」(pp.778-787)の著者ジャン・セズネックには他に、
『神々は死なず ルネサンス芸術における異教神』(高田勇訳、美術出版社、1977)
 の邦訳があります。


キャロリー・エリクソン、武内信一・多ヶ谷有子・石黒太郎訳、『中世びとの万華鏡 ヨーロッパ中世の心象世界』、新評論、2004
原著は Carolly Erickson, The Medieval Vision. Essay in History and Perception, 1976
魔法にかけられた世界/幻視的想像力(ヴィジョナリー・イマジネーション)聖堂参事会員(キャノン)・修道士・司祭/信仰のイメージ/領土と支配/王権/秩序を乱す勢力/女性像/絡み合う現実など、
436ページ。


ポール・ズムトール、鎌田博夫訳、『世界の尺度 中世における空間の表象』(叢書・ウニベルシタス 795)、法政大学出版局、2006
原著は Paul Zumthor, La mesure du monde. Représentation de l'espace au moyen âge, 1993
序論 知覚されること;空間と時間/感覚的なものから神話的なものへ/身体の例/空間と言語/歴史的展望//
  「中世」;「多重的精神性」/意味ある身ぶり手ぶり/社会空間/認識の対象//
居住地 場所と、場所でないところ;人間とその場所/神聖な場所/「ここ」と「他所」、「内」と「外」/荒野//
  郷土;人間と土地/郷土、領土/農家、家/風景//
  建造すること;建物のある場所/教会堂と修道院/城と宮殿/庭園//
  都市;「典型的な」特徴/潜在的な意味/対照的空間/俗と聖/人間の反応//
騎行 開かれること;視線が世界へ/政治的空間/周辺人と遊牧人/「旅する人」//
  道;旅行者/移動と征服/植民地開発//
  巡礼者と十字軍参加者;巡礼/巡礼地の道路網/「聖地」と十字軍//
  遍歴の騎士;類似性/遍歴/騎士の儀礼//
発見 宇宙;宇宙論/地球を知る//
  大いなる躍進;辺境の世界/広大なるユーラシア大陸/大西洋//
  他の空間;怪奇なものへの恐怖/怪物と不可思議なこと/他所の人間//
  見えない世界;至福千年説の夢/あの世/墓碑//
形象化されたもの 旅を語る;語り手たち/語り方のタイプ/想像的社会から理想的社会へ//
  地図の作製;世界地図/象徴から数へ/プトレマイオスの介入/地図と装飾//
  絵図;現実と絵図/平面図/空間を彫る//
  作品の空間;口誦空間と書記面/修辞学と運動/ジャンルと空間/表象//
エピローグ 調和と光;世界の可視性/数の力/破裂した空間など、
502ページ。


北沢裕、「西欧中世の死後世界旅行記における文化的複合性」、『異界の交錯 宗教史学論叢 11』(下巻)、2006、pp.359-386
「キリストの冥府下り」と死後世界旅行記/「煉獄の誕生」/死後世界旅行記の系譜/文化融合(acculturation)の場/死後世界旅行記の終焉-幻視する異界の消失

北沢裕、「異世界文学の系譜」、松村一男・山中弘編、『神話と現代 宗教史学論叢 12』、2007、pp.85-112
一つの疑問/異世界生起の2つの要因/異世界の物語/『聖パトリキウス煉獄伝』の地上楽園/『聖ブレンダンの航海』の楽園/『マンデヴィルの旅行記』(1357年頃)の楽園/異世界としての新世界 - 近代異世界文学への展開の概観/旅の流行と異界の変質/楽園と現代/結び - ファンタジーの機能

ダレン・オルドリッジ、池上俊一監修、寺尾まち子訳、『針の上で天使は何人踊れるか 幻想と理性の中世・ルネサンス』、柏書房、2007
原著は Darren Oldridge, Strange Histories. The Trial of the Pig, the Walking Dead, and Other Matters of Fact from the Medieval and Renaissance Worlds, 2005
奇態なるヨーロッパ(池上俊一)//
序論 奇妙な世界/針の上で天使は何人踊れるか/邪悪な動物は吊るせ/徘徊する死体/魔女術の理解/狼男と空飛ぶ魔女/取り憑いたのは悪魔か/地獄の苦しみと天国の喜び/異端には死を/結論 奇妙な私たちなど、
318ページ。


 →こちらにも挙げておきます:「天使、悪魔など」の頁の「i. 天使など

 邦題になった問題については、第2章冒頭(p.46)で、「1800年代初頭、ヴィクトリア女王時代のイギリス首相の父であるアイザック・ディズレーリ」による茶化しとして言及されています。
 この問題については→


"How many angels can dance on the head of a pin?" [ < Wikipedia

 また、後掲

八木雄二、『天使はなぜ堕落するのか 中世哲学の興亡』、2009、pp.513-523

池上俊一、『ヨーロッパ中世の宗教運動』、名古屋大学出版会、2007
序章 宗教運動とその霊性隠修士/カタリ派/少年十字軍/ベギン会/鞭打ち苦行団/千年王国運動/終章 民衆的宗教運動と霊性の展開など、
758ページ。


池上俊一、『ヨーロッパ中世の想像界』、名古屋大学出版会、2020
序章 想像界の歴史学//
植物・動物・人間;薬効の在処 - 植物から人体へ/庭園の変容/鸚鵡と梟/動物観と動物イメージの変遷/魂の姿//
四大から宇宙へ;地 - 母なる大地/水 - 水浴と温泉のイマジネール/火 - 神秘と怪異の光/風 - 翼に乗って/宇宙と世界の形//
聖と魔;天使の訪れ/聖心崇拝/魔術師ウェルギリウス/魔女の先駆け/魔女のダンスとサバトの成立//
仲間と他者、現世と異界;権力と権威のイメージ/友愛の印/ユダヤ人人相書/糸巻き棒論/「地上の楽園」と「煉獄」//
終章 想像界の構造とその変容など、
858ページ。


金沢百枝、『ロマネスクの宇宙 ジローナの《天地創造の刺繍布》を読む』、東京大学出版会、2008
序論;「もの」としての刺繍布/問題提起と方法//
宇宙図としての刺繍布 - 時間の円環と地の果ての風;「四方の風」/楽園の四本の河/時間の円環 月暦の図像的系譜/年の擬人像/「時間の円環」が示すもの 中世の聖書解釈における時間論/ジローナの《天地創造の刺繍布》の枠組み//
礼讃図としての刺繍布 - 万物による創造主礼讃;創造主の御姿とローマ型創世記図像/創世記場面の構図とその意図/隠された「礼讃図」//
礼讃図の二匹の海獣 - ケートスの系譜とドラゴンの誕生;
CETE GRANDIA/もう一匹の海獣/礼讃図のなかのドラゴン//
新しい礼讃図の生成 - 「天地創造型マイエスタス」と瞬間的創造;創造主讃美図の系譜/「天地創造型マイエスタス」の萌し/円環構図の系譜/「天地創造型マイエスタス」と創世記註解/「天地創造型マイエスタス」と「礼讃図」/円の幾何学的性質と「聖化」//
約束された楽園 - 「聖十字架発見譚」の役割と意義;聖十字架発見譚とその図像/『ヴェッソブルンの祈禱書』の構成と創世記註解/聖十字架伝と中世の「教科書」/聖十字架伝と典礼 復活節の典礼とのかかわり/刺繍布の用途と典礼//
《天地創造の刺繍布》をめぐる諸問題;制作地/製作年代 教皇庁とカタルーニャ/注文主と制作者/復元図/展示場所//
結論など、
436ページ。
 主題となるジローナの《天地創造の刺繍布》は;  ジローナの《天地創造の刺繍布》

* 画像をクリックすると、拡大画像とデータが表示されます
 小さな挿図とはいえ、とりわけ
第4章「新しい礼讃図の生成-『天地創造型マイエスタス』と瞬間的創造」
 等に、比較対象としてさまざまな宇宙図が掲載されています。
 また
「第3章 礼讃図の二匹の海獣 - ケートスの系譜とドラゴンの誕生」
 で取りあげられる〈ケートス〉のイメージも興味深いものです。

 →こちらにも挙げておきます:「図像、図形、色彩、音楽、建築など」の頁の「i. 図像など
 また→そちらでも少し触れています:「原初の巨人、原初の獣、龍とドラゴンその他」の頁、および同頁の→あちら:「龍とドラゴンなど」、さらに、「ドラゴン、雲形、魚の骨 - 怪奇城の意匠より」の頁

 〈ケートス〉については、

金沢百枝、『ロマネスク美術革命』(新潮選書)、新潮社、2015、「第5章 海獣たちの変貌」

 は、前著「の第3章をもとに、ドラゴンの誕生について新たな見解を加えた」(p.268)もの。
 また;


金沢百枝、「怪物たちの棲むところ - 中世ヨーロッパの地図に描かれた怪物とその発生過程」、山中由里子・山田仁史編、『この世のキワ 〈自然〉の内と外 アジア遊学 239』、2019、pp.109-123
問題提起 - 怪異はどのように生まれたのか/目撃譚と権威(auctoritates)/ネレイスと『オデュッセイア』の人魚/怪物と海図/海獣ケートス、鯨座と海図/天空のケートス/海図とケートス

 さらに、

中野美代子、「鯨座(ケトス)の尾」、『仙界とポルノグラフィー』、1995、pp.35-61

 も参照
 →ここにも記しておきます:『シンバッド七回目の航海』(1958)の頁の「おまけ

アルノ・ボルスト、津山拓也訳、『中世の時と暦』、八坂書房、2010
原著は Arno Borst, Computus. Zeit und Zahl in der Geschichte Europas, 1990/1999/2004
序 中世の暦とヨーロッパの歴史/古代ギリシアにおける神の時間、自然の時間、人間の時間/古代ローマにおける世界時間(ヴェルトツァイト)救済史(ハイルツァイト)/中世初期における復活祭周期と定時課/7,8世紀における世界年代と人生の日々/9世紀における帝国暦と労働のリズム/中世盛期における猶予された瞬間の認識/11,12世紀における与えられた時間とその利用/12,13世紀における時間の分解と統一/中世後期における暦の混乱と管理/14,15世紀における機械時計と歩調の相違/近代初期における天界の機構と年代学/18,19世紀における時刻測定法と工業化/20世紀におけるコンピューターと原子年代/計算可能な時間と分配された時間など、
278ページ。

 同じ著者による→こちらを参照:「グノーシス諸派など Ⅲ」の頁の「ix. ボゴミール派、カタリ派など


ジャン=クロード・シュミット、小林宣子訳、『中世の幽霊 西欧社会における生者と死者』、みすず書房、2010
原著は Jean-Claude Schmitt, Les revenants. Les vivants et les morts dans la société médiéval, 1994
序/幽霊の抑圧/死者を夢に見る/幽霊の侵入/驚くべき死者たち/ヘルレキヌスの一党/飼いならされたイマジネール?/死者と権力/時間、空間、社会/幽霊を描く/結論など、
400ページ。


西洋中世研究』、no.4、2012.12、pp.1-148:「特集 天使たちの中世

山中由里子編、『〈驚異〉の文化史 中東とヨーロッパを中心に』、2015
………………………

 ケルトに関連すると思しいものはそちらのページで挙げましたが(→こちら)、その他;

ヤコブス・デ・ウォラギネ、前田敬作・今村孝訳、『黄金伝説』(全4巻)(平凡社ライブラリー や-17-1~4)、平凡社、2006

ギヨーム・ド・ロリス/ジャン・ド・マン、篠田勝英訳、『薔薇物語』(上下)(ちくま文庫 は-35-1~2)、筑摩書房、2007

W.ラングランド、池上忠弘訳、『農夫ピアズの幻想』(中公文庫 ラ-1)、中央公論社、1993

ティルベリのゲルウァシウス、池上俊一訳、『西洋中世奇譚集成 皇帝の閑暇』(講談社学術文庫 1884)、講談社、2008

逸名作家、池上俊一訳、『西洋中世奇譚集成 東方の驚異』(講談社学術文庫 1951)、講談社、2009

クードレット、松村剛訳、『西洋中世奇譚集成 妖精メリュジーヌ物語』(講談社学術文庫 2029)、講談社、2010

J.マンデヴィル、大場正史訳、『東方旅行記』(東洋文庫 19)、平凡社、1964

 なども参照

 なおマンデヴィル『東方旅行記』について;

S.グリーンブラット、荒木正純訳、『驚異と占有 新世界の驚き』、みすず書房、1994、pp.43-84+註:「2 岩の円蓋(ドーム)から世界の縁へ」
原著は Stephen Greenblatt, Marvelous Possessions. The Wonder of the New World, 1988

 も参照

Norris S. Hetherington,“Medieval Cosmology and Literature; Introduction; The Aristotelian World View”, Cosmology. Historical, Literary, Philosophical, Religious, and Scientific Perspectives, 1993 / 2008, pp.177-179
「中世の宇宙論と文学 序論;アリストテレース的世界観」
Edward Grant, “Medieval Cosmology”, op.cit., pp.181-199
「中世の宇宙論」
J. D. North, “Chaucer”, op.cit., pp.217-224
「チョーサー」


Conrad Rudolph, “In the Beginning : Theories and images of creation in Northern Europe in the twelfth Century”, Art History, vol.22 no.1, 1999.3, pp.3-55
「12世紀の北ヨーロッパにおける創造の理論とイメージ」 
「古い」神学と「新しい」神学、および論理の脅威/創造の理論-ティマイオス、聖典と教父の先例/創造と「新しい神学」/創造のイメージ

ii. 科学史的なものなど

Ch.シンガー、平田寛・平田陽子訳、『魔法から科学へ』、社会思想社、1969
原著は Charles Singer, From Magic to Science, 1928/1958
ローマ帝国下の科学/暗黒時代と科学のあけぼの/ブリトン人ギルダスのロリカ-6世紀の呪術のテキスト/初期イングランドの呪術と医学/初期の本草書/ビンゲンのヒルデガルトの幻視/サレルノの学校とその伝説など、
344ページ。


伊東俊太郎、『近代科学の源流』(自然選書)、中央公論社、1978
序章 西欧科学の源流としての中世 - その意義と研究状況;現代における中世研究の意義/中世科学研究の発展/アラビア科学研究の発展/アラビア科学以前//
ギリシア科学の遺産;古代末期における科学/ヘレニズム科学の残光/東方宗教思想の浸透/新プラトン主義の勃興//
中世ラテン科学の発端Ⅰ - キリスト教教父の自然観;キリスト教とギリシア思想/「ヘクサエメロン」と「フュシオロゴス」/教父の自然観の後世への影響 無よりの創造、直線的な時間、占星術の批判//
中世ラテン科学の発端Ⅱ - プラトニズムの伝統と編纂家の科学;ラテン科学とビザンツの科学/プラトニズムの伝統/ラテン編纂家の科学 ボエティウス、カッシオドルス、イシドルス、ベーダ//
ビザンツの科学;数学者たち/新プラトン主義者たち フィロポノス、シンプリキオス/医学書の編纂//
アラビア科学の発祥;アラビア科学史への呼び概念/シリア・ヘレニズム ネストリウス派の役割、単性論者の役割/アラビア・ルネサンス フナイン・イブン・イスハーク、ザービット・イブン・クッラ//
アラビア科学の開花Ⅰ - 数学・天文学・物理学;アラビアにおける学問の分類/アラビアの数学/アラビアの天文学 反プトレマイオス体系、天球の実在化/アラビアの物理学 アラビアにおける運動論、光学の発展、アラビアの自然観//
アラビア科学の開花Ⅱ - 錬金術と医学;アラビアの錬金術 錬金術の根本性格、アラビア錬金術の起源、ジャービルとその後継者たち、ラテン西欧世界への影響/アラビアの医学 アラビア医学の起源、アッ=ラーズィーの臨床医学、イブン・スィーナーの医学理論、イブン・スィーナー以後//
12世紀ルネサンス;12世紀ルネサンスとは何か/西欧世界のアラビアとの接触/12世紀における大翻訳運動 北東スペイン派、トレード派、シチリア派、北イタリア派/12世紀以後の翻訳//
西欧ラテン科学の興隆 - ヨルダヌスとグロステスト;ヨルダヌスの静力学/グロステストと方法論革命/アリストテレス自然学の消化//
西欧ラテン科学の発展 - ガリレオの先駆者たち;中世運動論の抬頭/運動の数学的定式化/インペトゥス理論の展開//
終章 中世科学と「科学革命」;中世科学の近代科学への連続/インペトゥス理論と近代力学/中世自然観の遺産/「科学革命」の新しさなど、
342ページ。

 →こちら(「イスラーム」の頁の「iv. 科学史・天文学史的なものなど」)や、あちら(「錬金術など」の頁)にも挙げておきます


伊東俊太郎、『12世紀ルネサンス』(講談社学術文庫 1780)、講談社、2006
1993刊本の文庫化
12世紀ルネサンスとは何か/12世紀ルネサンスのルートと担い手/シャルトル学派の自然学/シリア・ヘレニズムとアラビア・ルネサンス/アラビアから西欧へ/シチリアにおける科学ルネサンス/ロマンティック・ラブの成立など、
310ページ。


横山雅彦編訳、青木靖三訳、『中世科学論集 科学の名著 5』、朝日出版社、1981
解説(横山雅彦)//
ジャン・ビュリダン 天体・地体論4巻問題集//
補遺;ジャン・ビュリダン『自然学8巻問題集』第8巻第12問/ニコール・オレーム『天体・地体論』からの抜粋など、
410ページ。


E.グラント、横山雅彦訳、『中世の自然学』、みすず書房、1982
原著は Edward Grant, Physical Science in the Middle Ages, 1971
中世初期の科学の状態-西暦500年から1000年まで/始まりの始まりと翻訳の時代-西暦1000年から1200年まで/中世の大学とアリストテレスの思想のインパクト/運動の自然学/地上界と天界とその彼方/結論など、
188ページ。


市場泰男、『夢か科学か妄説か 古代中世の自然観』(自然選書 4)、平凡社、1987
金属や鉱石はどうしてできたか - 科学以前の地球像(1)/泉や川の水はどこからくるのか - 科学以前の地球像(2)/山はどうしてできたか - 科学以前の地球像(3)/地震はなぜおこるか - 科学以前の地球像(4)/物はなぜ見えるのか - 古代中世の視覚論争/「自然は真空を嫌う」 - 古代中世の科学キーワード(1)/「現象を救う」 - 古代中世の科学キーワード(2)/衛星か、突起か、斑紋か、雲か - 土星の環をめぐる論争など、
234ページ。


J.V.フィールド、「紀元後千年間のヨーロッパの天文学:考古学的記録」、『望遠鏡以前の天文学』、2008、pp.117-132
天球儀/数理的な歯車装置/暦の考案/携帯用と固定式の日時計

オーラフ・ペーゼルセン、「中世ヨーロッパの天文学」、同上、pp.201-216
修道院の学問/学校の天文学/大学の天文学/大学の宇宙論/占星術との関係/技術的発展/宇宙論に関する革新

 プラトーンからコペルニクスまでの宇宙論史を扱った古典として;

Pierre Duhem, Le système du monde. Histoire des doctrines cosmologiques de Plato à Copernic, 10 vols., 1909-1916

 がありますが、残念ながら未見。
 次の本はそこからの抜粋です;


Pierre Duhem, edited and translated by Roger Ariew, Medieval Cosmology. Theories of Infinity, Place, Time, Void, and the Plurality of Worlds, The University of Chicago Press, Chicago & London, 1985
『中世の宇宙論 無限、場所、時間、真空と世界の複数性の諸理論』
前書き
Stanley L. Jaki/序Roger Ariew//
2つの無限 無限小と無限大(Ⅶ、3-88);数における実無限と魂の不死性/無限の分割可能性に対する幾何学的議論/割り切れない数は純粋な抽象か?/実体の自然的最小点/無限の分割可能性-単体で用いうる無限と共義的な無限/有限の概念-極大と極小//
  無限大(Ⅶ、89-157);スコラ哲学における無限大問題の定式化/共義的無限の可能性/単体で用いうる無限の可能性-最初の試み/単体で用いうる無限の可能性-リミニのグレゴリウスの教説/リミニのグレゴリウスに対する反対者-ジャン・ビュリダンとサクソニアのアルベルトゥス/リニミのグレゴリウスの追随者-ニコール・オレームとインゲンのマルシリウス//
  15世紀の宇宙論に於ける無限;ヴェネツィアのパウルス(Ⅹ、392-96)//
場所 1277年の禁令以前の場所の理論(Ⅶ、158-202);アラビアにおける場所の理論/ロジャー・ベイコン師の疑問/アルベルトゥス・マグヌス/聖トマス・アクィナス/ローマのアエギディウス/アスコリのグラツィアデイ/ロジャー・ベイコン/天球における世界の場所-ノヴァラのカンパヌスとピエール・ダイイ(アリアコのペトルス)//
  1277年の禁令から14世紀末まで(Ⅶ、203-302);エティエンヌ・タンピエによって禁令とされた命題-ミドゥルトンのリカルドゥス/ヨハネス・ドゥンス・スコトゥス/ジャンダンのヨアンネス/スコトゥス学派/オッカムのウィリアム/ウォルター・バーリー/ニコラウス・ボネトゥス/ジャン・ビュリダン/サクソニアのアルベルトゥス/インゲンのマルシリウスとジャン・ビュリダンⅡ/場所の不動性と神の不変性-トーマス・ウィルトン、マイロンヌのフランシスクス、ニコラウス・ボネトゥスとニコール・オレーム//
  15世紀の宇宙論における場所;オルベリスのニコラウス(Ⅹ、50)/ブリュッセルのジョルジュとトーマ・ブリコ(Ⅹ、79-81)/15世紀のアルベルトゥス主義者とトーマス主義者(Ⅹ、159-60)/ドイツにおけるパリ派理論(Ⅹ、204-10)/ヴェネツィアのパウルス(Ⅹ、396-412)//
時間 時間(Ⅶ、363-441);ヨハネス・ドゥンス・スコトゥスによる時間/ペトルス・アウレオリによる時間/オッカムのウィリアムによる時間/オッカムのウィリアムによる時間(承前)-絶対時計/時間と場所の類比-マルキアのフランシスクス/絶対時計は任意に選べるか?-ウォルター・バーリー、ジャン・ビュリダン、サクソニアのアルベルトゥスとインゲンのマルシリウス/オドンのジェラールとニコラ・ボネの原子論/ニコラ・ボネによる運動と時間-心の内では連続しているが、継起的存在は実際には不連続である/ニコラ・ボネによる時間-物理的時間と数学的時間/アスコリのグラツィアデイによる絶対時計の問題/絶対時計の問題の結論//
  15世紀の宇宙論における時間;ヴェネツィアのパウルス(Ⅹ、415-17)//
真空 真空と真空内での運動(Ⅷ、7-60);真空とアラビア哲学-イブン・バーッジャ/真空の不可能性と1277年以前のスコラ哲学-イブン・バーッジャの議論、聖トマス・アクィナスと質量の概念/真空の不可能性と1277年以前のスコラ哲学-真空と世界の複数性/1277年の禁令と真空の可能性 フォンテーヌのゴドフロワ、ヘントのヘンリクス、ミドゥルトンのリカルドゥス、ライモンドゥス・ルルス、グリエルムス・ウァロニス、ヨハネス・ドゥンス・スコトゥス、ヨアンネス・カノニクス、ペトルス・アキラヌス、ロベルトゥス・ホルコト、ウォルター・バーリー、ジャン・ビュリダン、サクソニアのアルベルトゥスとインゲンのマルシリウス、ニコール・オレーム、アスコリのグラツィアデイ//
  15世紀の宇宙論における真空;オルベリスのニコラウス(Ⅹ、50-51)/ジョン・ヘノン(Ⅹ、60-62)/ブリュッセルのジョルジュとトーマ・ブリコ(Ⅹ、81-84)/ドイツにおけるパリ派理論(Ⅹ、210-13)/ヴェネツィアのパウルス(Ⅹ、417-22)//
世界の複数性 ペリパテース派哲学における世界の複数性の問題(Ⅰ、230-41);アリストテレースと世界の複数性/シンプリキウスとアヴェロエスによる世界の複数性//
  スコラ哲学における世界の複数性の問題(Ⅸ、363-430);1277年の禁令以前のスコラ哲学と世界の複数性 世界の複数性と真空-マイケル・スコット、オーヴェルニュのギヨームとロジャー・ベイコン 世界の複数性と世界の中心からの距離による重量の変化-アルベルトゥス・マグヌスと聖トマス・アクィナス/世界の複数性と1277年の禁令-フォンテーヌのゴドフロワ、ヘントのヘンリクス、ミドゥルトンのリカルドゥスとローマのアエギディウス/グリエルムス・ウァロニス、バッソリスのヨアンネス、ストラスブールのトーマ/ジャンダンのヨアンネス/オッカムのウィリアムとロベルトゥス・ホルコト/ジャン・ビュリダンとサクソニアのアルベルトゥス/オクスフォード大学と重量の磁力への同化/重量のプラトーン的理論の復興-ニコール・オレーム/月輪上の斑点(月の上の人間)//
  15世紀の宇宙論における世界の複数性;ジョン・ヘノン(Ⅹ、70-72)/ブリュッセルのジョルジュとトーマ・ブリコ(Ⅹ、94-95)/ヴェネツィアのパウルス(Ⅹ、437-440)/ヨハンネス・マヨーリス(研究Ⅱ、92-94)/ティエニスのガエターノ(研究Ⅱ、415-16)/クーサのニコラウス(Ⅹ、319-24)など、
634ページ。


 →こちらにも挙げておきます:「世界の複数性など」の頁

iii. 哲学史的なものなど

エドワール・ジョノー、二宮敬訳、『ヨーロッパ中世の哲学』(文庫クセジュ 362)、白水社、1964
原著は Édouard Jeauneau, La philosophie médiéval, 1963
序論//学問的典拠と社会的背景;聖書と自然/教父たち/教会著述家たち/世俗の著述家たち/社会的背景//
9世紀から11世紀まで;カロリンガ王朝《ルネサンス》/ヨハネス・スコトゥス・エリウゲナ/哲学史150年の展望/聖アンセルムス//
12世紀;12世紀のルネサンス/シャルトル学派/アベラルドゥス/サン=ヴィクトワール学派/シトー修道会の運動/神学の方法の刷新//
13世紀;新しい動向/オクスフォードの教師たち/聖ボナベントゥラ/聖アルベルトゥス・マグヌスと聖トマス・アクィナス/ブラバンのシゲルスとラテン・アヴェロエス主義/ライムンドゥス・ルルス//
14世紀;未開の分野/ヨハネス・ドゥンス・スコトゥス/マイスター・エックハルト/ウィリアム・オヴ・オッカム/さまざまな流れとペトラルカなど、
144ページ。


トゥッリオ グレゴリィ、飯尾都人・近藤映子訳、「アリストテレス自然学導入以前の中世哲学における自然観 - 十二世紀 -」、『イタリア学会誌』、no.17、1969.1.20、pp.108-129[ < CiNii Articles

  同、飯尾都人訳、「アリストテレス自然学導入以前の中世哲学における自然観(続) - 十二世紀 -」、『イタリア学会誌』、no.19、1971.1.20、pp.114-133[ < 同上
原著は Tullio Gregory, “L'idea di natura nella filosofia medievale prima d'ingresso delly fisica di Aristotele”で、「第3回国際中世哲学会(1964.8.31~9.5)での一般講演を基とした同紀要論文」(「(続)」、p.133)。

渡辺昭造、「中世の無限論 - 2つの無限をめぐって -」、『札幌大学教養部札幌大学女子短期大学部紀要』、no19(A)、1981.9.30、 pp.59-91[ < CiNii Articles ] 

 同じ著者による→こちら(「ユダヤ」の頁の「vii. ユダヤ思想史など」)や、またあちら(「バロックなど(17世紀)」の頁の「パスカル」の項)も参照


上智大学中世思想研究所編、『中世の自然観 中世研究 第7号』、創文社、1991
エリウゲナにおける「自然」の形而上学(今義博)/12世紀における「自然」(柏木英彦)/コンシュのギヨームの『宇宙の哲学』(大谷啓治)/ビンゲンのヒルデガルトの自然理解(E.ゴスマン)/ボナヴェントゥラの自然観(長倉久子)/アルベルトゥス・マグヌスと人間の発生の問題(小松真理子)/トマス・アクィナスにおける自然理解(K.リーゼンフーバー)/トマス・アクィナスの宇宙論の性格 - アリストテレスの宇宙論との比較に基づいて -(中村治)/グロステストとベイコンの自然観 - 光の創世論から光の自然学へ -(高橋憲一)/ペトラルカの自然観-『医者に対する非難』をめぐって-(佐藤三夫)/自然と個 - スコトゥスとオッカム -(大鹿一正)/15・16世紀の自然観(村上陽一郎)/脈動する自然と自然学 - イスラームの医学的自然観 -(五十嵐一)など、
384ページ。


 対となる『古代の自然観 中世研究 第6号』(1989)は→こちら:「ギリシア・ヘレニズム・ローマ Ⅱ」の頁の「xii. その他

山内志郎、「中世の存在論と異界論の構図 - 異端と異界 -」、『異界の交錯 宗教史学論叢 11』(下巻)、2006、pp.337-358
異形に充ちた時代としての中世;井筒俊彦における論点/中世の存在論の特徴、超越//
ゴシック的存在論//「相互内在」の神学//ドゥンス・スコトゥスの存在論


リチャード・E・ルベンスタイン、小沢千重子訳、『中世の覚醒 アリストテレス再発見から知の革命へ』、紀伊國屋書店、2008
原著は Richard E. Rubenstein, Aristotle's Children. How Christians, Muslims, and Jews Rediscovered Ancient Wisdom and Illuminated the Dark Ages, 2003
序章 中世のスター・ゲート - 西ヨーロッパの覚醒/「知恵者たちの師」 - アリストテレスの再発見/「レディー・フィロソフィー」の殺人 - 古代の知恵はいかにして失われ、ふたたび見出されたか/「彼の本には翼が生えている」 - ピエール・アベラールと理性の復権/「そなたを打ち殺す者は祝福されるだろう」 - アリストテレスと異端/「ほら、ほら、犬が吠えている」 - アリストテレスとパリ大学の教師たち/「この(ヽヽ)人物が知解する」 - パリ大学における大論争/「オッカムの剃刀」 - 信仰と理性の分離/「もはや神が天球を動かす必要はない」 - アリストテレスと現代の世界など、
504ページ。


 「第4章 2 カタリ派の登場」および「第4章 3 カタリ派の中のアリストテレス」について→こちらにも挙げています:「グノーシス諸派など Ⅲ」の頁の「ix. ボゴミール派、カタリ派など

八木雄二、『天使はなぜ堕落するのか 中世哲学の興亡』、春秋社、2009
中世とは何か;ヨーロッパ中世世界/天使と秩序世界/中世1000年/大学の誕生/古代からの継承と普遍論争 アウグスティヌス、ボエティウス//
中世哲学の誕生と発展;キリスト教神学の成立 カンタベリーのアンセルムス 1/神の存在 カンタベリーのアンセルムス 2/天使の堕落 カンタベリーのアンセルムス 3/イスラム哲学 アヴィセンナ、ガザーリー、アヴェロエス/西ヨーロッパの文明開化とアリストテレスの時代 トマス・アクィナスの「エッセ」//
中世哲学の成熟と終焉;変化のきざし ヨハニス・オリヴィ/ヨーロッパ中世終端間近の輝き ドゥンス・スコトゥス 1/存在の類比から概念へ ドゥンス・スコトゥス 2/個別者とペルソナ ドゥンス・スコトゥス 3/可能世界と自由意志、及び「針先の天使」 ドゥンス・スコトゥス 4/「中世」の終わり オッカムとエックハルトなど、
608ページ。


 
 →こちらにも挙げておきます:「天使、悪魔など」の頁の「i. 天使など
 第15章中の「何人の天使が針先で踊れるか」の節は→そちらにも挙げています:本頁上掲「i. 文化史的なものなど」中のオルドリッジ、『針の上で天使は何人踊れるか』(2007)のところ
 

竹下政孝・山内志朗編、『イスラーム哲学とキリスト教中世 Ⅰ 理論哲学』、2011

 同、  『イスラーム哲学とキリスト教中世 Ⅱ 実践哲学』、2012

 同、  『イスラーム哲学とキリスト教中世 Ⅲ 神秘哲学』、2012

アダム・タカハシ、『哲学者たちの天球 スコラ自然哲学の形成と展開』、名古屋大学出版会、2022
序章 揺籃期の自然哲学;アリストテレスの子供たち - イブン・ルシュドとアルベルトゥス/「12世紀ルネサンス」を超えて - 西欧における学問環境の変化/アリストテレス主義 - イブン・ルシュドの知的遺産と古代の註解者たち/天界と月下界とのつながりという争点/各章の概要//
神的な天体 - アリストテレス主義の〈宇宙神学〉;アリストテレスの神学の諸相/天界と神的なもの - アリストテレス『天界について』第1巻第3章・第9章/天界の神的なものにかんする〈古代の註解者〉の見解/天の神々とヘルメス主義 - 『天界について』第1巻第3章/天外の生命体と宇宙の第1原因 - 『天界について』第1巻第9章//
天体の魂 - 「天は生きている」という思想;「第1動者」とは何か - 『自然学』第8巻の註解/星々の生命 - アリストテレス『天界について』第2巻第2章・第12章/『形而上学』第12巻における天の魂の問題/アフロディシアスのアレクサンドロスにおける天の生命の問題/天の熱と宇宙の生理学的分析//
自然に秩序を与えるのは何ものか - アリストテレス主義の〈摂理論〉;哲学者たちの摂理論にたいする神学者たちの批判/キリスト教神学における摂理論/アリストテレス主義における神的摂理//
元素の生成変化 - 中世物質理論の基礎;アリストテレス『生成消滅論』における〈元素論〉/イブン・ルシュドの〈物質主義的〉立場/アルベルトゥスの〈形而上学的〉立場//
熱と自然発生 - 『気象論』第4巻における生成の一般理論;自然の事物の生成と「熱」のはたらき/自然発生と生成の一般理論//
形成力 - 天界と自然界をつなぐもの;形成力、あるいは鉱物を生み出す〈製作者〉/動物発生と天の知性/アリストテレスとプラトンとの思想的一致/生成変化の形而上学的基礎//
アリストテレスの擁護者たち - 残存するスコラ自然哲学;アリストテレス主義という母胎 - イブン・ルシュドの世界像/アリストテレスの擁護者たち - ポンポナッツィ、スカリゲル、メランヒトン..
終章など、
318ページ。


 「主人公であるイブン・ルシュドとアルベルトゥス」(p.4)
とのことなので、→こちら(「イスラーム Ⅲ」の頁の「イブン・ルシュド」の項)、およびそちら(本頁下掲の「アルベルトゥス」の項)にも挙げておきます。

 なお、
「…(前略)…『天体』そのものを神と見る立場である。本書では、その立場を『宇宙神学』(cosmic theology)と称することにしよう」(p.34)、
 また
「宇宙全体を一つの動物のようなものとして捉える思想を『宇宙生物学』(cosmobiology)と称することがある。このような『宇宙生物学』の思想の代表としては、デイヴィッド・ハーンが研究したような古代ストア派の哲学者たちの宇宙観をあげることができる」(p.104)
とのことです。デイヴィッド・ハーンの研究として註83(註 p.55) に挙げられていたのは、
 David E. Hahm, The Origines of Stoic Cosmology,1977
でした。

 本書がきっかけの一つになったのが→あちらを参照:『ユリイカ』、no.798、vol.55-1、2023.1、pp.41-325:「特集 コペルニクス 『天球の回転について』から『チ。 - 地球の運動について -』へ」/「ルネサンス、マニエリスムなど(15~16世紀)」の頁の「コペルニクス」の項
 同じ著者による→ここを参照:「偽アリストテレスの『宇宙論』、真作と偽書のはざまで」、2020/「ギリシア・ヘレニズム・ローマ Ⅱ」の頁の「vii. アリストテレース

Émile Bréhier, La philosophie du moyen âge. Éditions Albin Michel, Paris, 1937/1971
『中世の哲学』
序論//哲学の目覚め(6-8世紀);西方における哲学/東方における哲学//
哲学の再生(9-10世紀);歴史的条件/カロリング・ルネサンスとその継承者/アラビア哲学の始まり//
哲学の展開(11-12世紀);歴史的条件/西方におけるさまざまな哲學的潮流/アラビア哲学の全盛期//
13世紀の転換期;歴史的条件/ラテン・アリストテレース主義の始まり/聖ボナヴェントゥーラ/聖アルベルトゥス・マグヌスと聖トマス・アクィナス/ラテン・アヴェロエス主義/13世紀におけるトマス主義への対抗/哲学とキリスト教の膨張//
スコラ哲学の分解(14世紀);ドゥンス・スコトゥス/オッカムのウィリアム/オッカム主義者たち/思弁的神秘主義//
結論など、
442ページ。

 →こちらでも触れました:「ユダヤ」の頁の「vi. マガーリヤその他と天使論
 同じ著者による→そちら(「ギリシア・ヘレニズム・ローマ Ⅱ」の頁の「viii. ストア派」)と、またあちら(「ユダヤ」の頁の「iv. アレクサンドリアのフィロンとヘレニズムなど」)を参照

………………………

 原典からの訳として;

『キリスト教神秘主義著作集 2 ベルナール』、教文館、2005
ベルナール「神を愛することについて」、「雅歌の説教」(抄)

 (→このシリーズの先立つ巻はこちら:「キリスト教(古代および東方正教会)」の頁の「iii. 教父神学など」)


『キリスト教神秘主義著作集 3 サン・ヴィクトル派とその周辺』、教文館、2000
サン・ヴィクトルのフーゴー「ノアの神秘的箱舟について」/サン・ヴィクトルのリカルドゥス「観想への魂の準備」(小ベニヤミン)/
ロバート・グロステスト「光について」、「色について」、「虹について
」/
シュトラスブルクのウルリヒ「美・光・愛について」(『最高善について』第2巻第3論考第4-7章)


『キリスト教神秘主義著作集 4/Ⅰ 中世の女性神秘家Ⅰ』、教文館、1996
マクデブルクのメヒティルト『神性の流れる光』

『キリスト教神秘主義著作集 6 エックハルトⅠ』、教文館、1989

『キリスト教神秘主義著作集 7 エックハルトⅡ』、教文館、1993

 →細目はこちら:本頁下掲の「エックハルト」の項

『キリスト教神秘主義著作集 9 ゾイゼとリュースブルク』、教文館、1995

 や、

『中世思想原典集成 6 カロリング・ルネサンス』、平凡社、1992

 就中、
ベーダ・ウェネラビリス「事物の本性について」(pp.83-115)
ヨハネス・エリウゲナ「ペリフュセオン(自然について)」など

 (→このシリーズの先立つ巻はこちら:「キリスト教(古代および東方正教会)」の頁の「iii. 教父神学など」)


『中世思想原典集成 7 前期スコラ学』、平凡社、1996

 就中、
カンタベリーのアンセルムス、5篇など


『中世思想原典集成 8 シャルトル学派』、平凡社、2002

 就中、
シャルトルのベルナルドゥス「プラトン註釈」(pp.67-194)
コンシュのギヨーム「宇宙の哲学」、「プラトン・ティマイオス逐語註釈
シャルトルのティエリ「六日の業に関する論考」(pp.437-473)
ベルナルドゥス・シルヴェストリス「コスモグラフィア(世界形状誌)」(pp.483-580)
アラスのクラレンバルドゥス「創世記についての小論考」(pp.845-885)
 など


『中世思想原典集成 9 サン=ヴィクトル学派』、平凡社、1996

 就中、
サン=ヴィクトルのアンドレアス「七書註解」(pp.599-636)など


『中世思想原典集成 10 修道院神学』、平凡社、1997

『中世思想原典集成 12 フランシスコ会学派』、平凡社、2001

 就中、
フィオーレのヨアキム「新約と旧訳の調和の書
ボナヴェントゥラ「諸学芸の神学への還元」、「命題集註解
ロジャー・ベイコン、高橋憲一訳、「大著作


『中世思想原典集成 13 盛期スコラ学』、平凡社、1993

 就中、
グロステスト「物体の運動と光」、「真理論」、「命題の真理」、「神の知
アルベルトゥス・マグヌス「形而上学」、「ディオニュシウス神秘神学註解」、「動物論
シュトラスブルクのウルリヒ、須藤和夫・渡辺菊郎訳、「最高善について」(pp.541-611)
ブラバンのシゲルス「世界の永遠性について」(pp.613-641)
パリ司教エティエンヌ・タンピエ「1270年の非難宣言/1277年の禁令」(pp.643-678)
アエギディウス・ロマヌス「哲学者たちの誤謬」(pp.737-783)
フライベルクのディートリヒ「至福直観について」(pp.785-823)
 など


中世思想原典集成 14 トマス・アクィナス』、平凡社、1993

『中世思想原典集成 15 女性の神秘家』、平凡社、2002

 就中、
ビンゲンのヒルデガルト「スキヴィアス(道を知れ)」
ハデウェイヒ、「幻視」(pp.357-409)
ジェノヴァのカタリナ「煉獄論」(pp.1021-1043)
 など


『中世思想原典集成 16 ドイツ神秘思想』、平凡社、2001

 就中、
マイスター・エックハルト、8篇の他、
グリュンディヒのエックハルト「能動知性と可能知性について」(pp.431-451)
 など


『中世思想原典集成 17 中世末期の神秘思想』、平凡社、1992

 就中、
ニコラウス・クザーヌス、4篇(→「ルネサンス」の頁の「ii. クザーヌスなど」)
 など


『中世思想原典集成 18 後期スコラ学』、平凡社、1998

 就中、
ライムンドゥス・ルルス「愛する者と愛された者についての書
ヨハネス・ドゥンス・スコトゥス「第一原理についての論考
ヨハネス・ブリダヌス「霊魂論問題集」(pp.777-847)
 など


『中世思想原典集成 19 中世末期の言語・自然哲学』、平凡社、1994

 就中、
ニコル・オレーム「質と運動の図形化
 など


 などがあります。以下で一部挙げましょう。

iv. 個々の著述家など

ヨハネス・スコトゥス・エリウゲナ(810頃-877頃
カンタベリーのアンセルムス(1033/34-1109
コンシュのギヨーム(1090頃-1154頃
ビンゲンのヒルデガルト(1098-1179
フィオーレのヨアキム(1135頃-1202
ロバート・グロステスト(1170頃-1253
アルベルトゥス・マグヌス(1200頃-1280
ボナヴェントゥラ(1217/21-1274
ロジャー・ベイコン(1219頃-1292頃
トマス・アクィナス(1224/25-1274
ライムンドゥス・ルルス(ラモン・リュイ)(1232/33-1315/16
マイスター・エックハルト(1260頃-1328
ダンテ・アリギエーリ(1265-1321 
ヨハネス・ドゥンス・スコトゥス(1266-1308
ニコル・オレーム(1320頃-1382
追補:『ピカトリクス

 ヨハネス・スコトゥス・エリウゲナ(810頃-877頃);

ヨハネス・エリウゲナ、今義博訳、「ペリフュセオン(自然について)」、『中世思想原典集成 6 カロリング・ルネサンス』、1992、pp.473-631

 「全体の約六分の一を訳出した」とのこと(p.481)。


ヨハネス・エリウゲナ、今義博訳、「ヨハネ福音書序文説教」、『哲学』、no.9 vol.3-4、1989 冬:「特集 神秘主義 テクノロジーとカルト」、pp.60-75

R.L.シロニス、『エリウゲナの思想と中世の新プラトン主義』、創文社、1992
序言(K.リーゼンフーバー)//
序論//教父時代の新プラトン主義 - エリウゲナに至る道;ギリシア教父における神の像である人間 - キリスト教的人間観と新プラトン主義/ニュッサのグレゴリオスにおける否定神学 - 神的暗闇と新プラトン主義/偽ディオニュシオスとエリウゲナにおける「善の自己拡散」 - 神の創造と新プラトン主義/偽ディオニュシオスとエリウゲナにおける肯定神学と否定神学 - 神認識と新プラトン主義//
エリウゲナにおける神と人間 - キリスト教的新プラトン主義の伝達;エリウゲナにおける肯定神学と否定神学の意義と根拠 - 神についての知と無知/エリウゲナの人間論 - 神の像としての人間/エリウゲナの認識論における新プラトン主義的性格 - 知性と否定神学の優位/エリウゲナの学問観 - 信仰と理性の調和//
エリウゲナとそれ以後の時代の思想 - 中世思想の連続性と発展;12世紀の神秘神学者に見る神についての知と無知 - 神に関する存在論的・認識論的パラドックス/中世思想における理性と信仰 - 知解を求める信仰/現代における理性と信仰 - 哲学的神学の現代的意義/神に関する言葉の類比 - 現代における実存論的・存在論的話の意義//
付録;西田幾多郎における中世のキリスト教神学者の引用 - 西田哲学とキリスト教的新プラトン主義との接点/現代において神を語ることなど、
404ページ。


今義博、「エリウゲナにおける創造論の構造」、『中世思想研究』、no.31、1989.9.25、pp.1-25 [ < 『中世思想研究』バックナンバー中世哲学会

今義博、「エリウゲナにおける『自然』の形而上学」、『中世の自然観 中世研究 第7号』、1991、pp.3-41
ナトゥーラの定義と普遍/「自然」の意味特性/「自然」の第一区分/「自然」の第二区分/普遍性の探究/自然の否定性/自然観想/自然と主体性

川本浩子、「エリウゲナの創造論における『算術の例』の役割」、『中世思想研究』、no.44、2002.9.25、pp.78-88 [ < 『中世思想研究』バックナンバー < 中世哲学会 ]
………………………

 カンタベリーのアンセルムス(1033/34-1109);

古田暁訳、『アンセルムス全集』、聖文舎、1980/1987
モノロギオン/プロスロギオン/グラマティクスについて/真理について/選択の自由について/悪魔の堕落について/言の受肉に関する書簡/神はなぜ人間となられたか/処女懐妊と原罪について/聖霊の発出について/種なしパンと発酵パンの犠牲に関する書簡/教会の秘跡に関する書簡/自由選択と予知、予定および神の恩寵の調和について//
解説 アンセルムス-その時代とその作品など、
1126ページ。


カンタベリーのアンセルムス、古田暁訳、「モノロギオン」、『中世思想原典集成 7 前期スコラ学』、1996、pp.47-171

 同、 同訳、「プロスロギオン」、同上、pp.173-247

 同、 同訳、「言の受肉に関する書簡(初稿)」、同上、pp.249-272

 同、 同訳、「哲学論考断片(ランベス写本59)」、同上、pp.273-309

 同、 同訳、「瞑想」、同上、pp.311-334
………………………

 コンシュのギヨーム(1090頃-1154頃);

コンシュのギヨーム、神崎繁・金澤修・寺本稔訳、「宇宙の哲学」、『中世思想原典集成 8 シャルトル学派』、2002、pp.269-404

 同、 大谷啓治訳、「プラトン・ティマイオス逐語註釈」、同上、pp.405-436

 「宇宙の哲学」は全訳、「プラトン・ティマイオス逐語註釈」は第1節:序言、第2-6節:ティマイオスへの導入、第32-70節:第1部-1:宇宙の四原因および宇宙の創造についての論考

大谷啓治、「コンシュのギヨームの『宇宙の哲学』」、『中世の自然観 中世研究 第7号』、1991、pp.57-75
序/『宇宙の哲学』の内容/自然研究の態度/自然観
………………………

 ビンゲンのヒルデガルト(1098-1179);

Ch.シンガー、「ビンゲンのヒルデガルトの幻視」、『魔法から科学へ』、1969、pp.261-316+口絵
ヒルデガルトとその著作/宇宙すなわち大宇宙の構造についてのヒルデガルトの見解/大宇宙と小宇宙の関係についてのヒルデガルトの理論/人体すなわち小宇宙の構造についてのヒルデガルトの見解/生と死と霊魂の性質とについてのヒルデガルトの見解/幻視の病理学的な基礎/ヒルデガルトの科学的知識の典拠

鈴木桂子、「予見的幻視と時代批判 ー ヒルデガルド・フォン・ビンゲンの『スキヴィアス』写本画について」、山本正男監修、『芸術と社会』(芸術学研究双書)、玉川大学出版部、1987、pp.185-210+巻頭の図版頁4頁目
ヒルデガルドの Vision と救済史/宗教的実践としての時代批判/"Endzeiten"の幻視におけるテキストとさし絵の関係/「幻視」のさし絵の機能と意味

種村季弘、『ビンゲンのヒルデガルトの世界』、青土社、1994
十字軍と幻視者/光り輝くもの/ルチフェルと宝石/教皇の認可状/卵と車輪/二人の娘/赤ひげ王バルバロッサ/花咲く女子修道院/光と音響/知られざる文字/ラインの魚類学者/女庭師の帰還/病気の治癒力/ジグヴィツァ共同治療/メランコリアの涙/性と睡眠/風の薔薇/彼岸の王国など、
446ページ。

 同じ著者による→こちらを参照:「通史、事典など」の頁の「iii. 地学・地誌・地図、地球空洞説など


E.ゴスマン、茂牧人訳、「ビンゲンのヒルデガルトの自然理解」、『中世の自然観 中世研究 第7号』、1991、pp.77-89
自然学的著作における自然理解/神秘学的著作における自然理解

ゴットフリート修道士・テオーデリヒ修道士、井村宏次監訳・解説、久保博嗣訳、『聖女ヒルデガルトの生涯』、荒地出版社、1998
訳の元本は Fr. Hugh Feiss, The Life of the Saintly HiIdegard, 1996
英訳者序言/ヒルデガルトの生涯 - 年代記的な素描/この翻訳(英訳)に関して//
ヒルデガルト・ルネサン ス -中世を代表する「智恵の女性」の復活(井村宏次);年々高まる再評価の気運/聖女ヒルデガルト、その人と業績/ヒルデガルトの信仰と教え/異端カタリ派とヒルデガルト/カトリックにおける神秘家と奇蹟/ヒルデガルトの自然学と医学/蘇ったヒルデガルトの治療術/アーチストとしてのヒルデガルト/神の愛、人の愛//
聖女ヒルデガルトの生涯;第一の書/第二の書/第三の書//
英語版解題;ヒルデガルトのいくつかの『生涯』/ジャンブルーのウィベール/エクテルナハのテオーデリヒの寄与/ゴットフリートの『小冊子』/自叙伝の部分/奇蹟の報告/テオーデリヒの『生涯』の計画と狙い//
ヒルデの世界-訳者あとがきにかえて-など、
334ページ。


バーバラ・ニューマン、村本詔司訳、『ヒルデガルト・フォン・ビンゲン 女性的なるものの神学』、新水社、1999
原著は Barbara J. Newman, Sister of Wisdom. St. Hildegard's Theology of the Feminine, 1987
「貧しき小さな女」;生涯のあらまし/ヒルデガルトの著作の概要/神学と女性の権威の問題//
女性的に神的なるもの;テオファニアと神の花嫁/摂理の鏡、処女の泉、生命の木/永遠の助言/クレアトリックス[女創造主]とアニマ・ムンディ[宇宙魂]/〈知恵〉の衣/〈愛〉の笞//
女とヘビ;神の像につくられて/衣と鏡/明るい雲と影/エヴァとサタン//
エヴァの娘たち;女たちの性と性格/神、サタンと生殖能力/産婦人科学/癒しと呪術//
神の母;マリアと古き助言者/エヴァとマリア/処女出産による贖い/女性の理想としてのマリア/マリア、〈教会〉、司祭性//
キリストの花嫁;天上における永遠の〈教会〉/シナゴーグと〈教会〉/カルワリでの婚礼/キリストの処女たちと処女なる〈教会〉/母なる〈教会〉と神の母性/「女々しい時代」//
〈知恵〉の妹;神学と塗り替えられたジェンダー/20世紀を通じてのサピエンティア思想/フェミニズムとソフィアの未来など、
388ページ。


ビンゲンのヒルデガルト、佐藤直子訳、「スキヴィアス(道を知れ)」、 『中世思想原典集成 15 女性の神秘家』、2002、pp.31-305

 全3部中、第2部の訳

H.シッペルゲス、熊田陽一郎・戸口日出夫訳、『ビンゲンのヒルデガルト 中世女性神秘家の生涯と思想』、教文館、2002
原著は Heinrich Schipperges, Hildegard von Bingen, 1995
序//
生涯と作品;教養の年月と成熟の日々/文学的創造/芸術的活動/預言者的使命/最晩年//
世界と人間;霊的背景/宇宙のなかの人間/身体の自然/男と女としての人間/自然界における働きかけ//
自然学と医術;自然の支配につい/病気の根源と本質/救済への仲介者としての治療法/生命の知としての医術/生命の秩序と生活態度//
治療と救済;創造の道筋/責任をとる人間/世界における方向確認/世界の完成/時の終わりに//
展望//ヒルデガルトの詩から、など、
222ページ。


ヒルデガルト・フォン・ビンゲン、英語版翻訳:プリシラ・トループ、井村宏次監訳、聖ヒルデガルト研究会訳、『聖ヒルデガルトの医学と自然学[新装版]』、ビイング・ネット・プレス、2005
原著は Hildegard von Bingen's Physica. The Complete Translation of Her Classic Work on Health and Healing, translated from the Latin by Priscilla Throop, 1998
英語版翻訳者による序(プリシラ・トループ女史)//
第1の書 植物/第2の書 元素/第3の書 樹木/第4の書 石と宝石/第5の書 魚/第6の書 鳥/第7の書 動物/第8の書 爬虫類/第9の書 金属//
解説に代えて 「智慧の女性」の医学と自然学(井村宏次)/聖ヒルデガルトの今(聖ヒルデガルト研究会)など、
384ページ。


細田あや子、「ヒルデガルト・フォン・ビンゲンにおけるヴィルトゥテス-『神の御業の書』Ⅲ3を中心に-」、『異界の交錯 宗教史学論叢 11』(下巻)、2006、pp.297-336
『神の御業の書』/『神の御業の書』Ⅲ3のヴィジョン/泉のほとりのヴィルトゥテス/異界を交錯するヴィルトゥテス/ルッカ写本の挿絵/「天上の諸力」としてのヴィルトゥテス

伊藤博明、「中世神秘主義における宇宙論 - ビンゲンのヒルデガルトを中心に -」、『イスラーム哲学とキリスト教中世 Ⅲ 神秘哲学』、2012、pp.143-172
宇宙と秩序/宇宙の神秘的イメージ-ビンゲンのヒルデガルト/宇宙卵/マクロコスモスとミクロコスモス

細田あや子、「中世における幻視と夢」、同上、pp.211-244
幻視と夢の図像学/ヒルデガルト・フォン・ビンゲンの幻視図像/造形的イメージと幻視イメージの相互関係

鈴木桂子、「夢の拒絶と夢への憧れ - ヒルデガルト・フォン・ビンゲンの幻視 -」、河東仁編、『夢と幻視の宗教史[上巻] 宗教史学論叢 16』、リトン、2012、pp.57-80
幻視体験における夢の否定/ヒルデガルトの夢理論/ヒルデガルトの幻視の特異性/インスピレーションの一つの源泉-夢

ヒルデガルト・フォン・ビンゲン、英語版翻訳:プリシラ・トゥループ、臼田夜半編訳、『聖ヒルデガルトの病因と治療』、ポット出版、2014
原著は Causes and Cures : the complete translation of Hildegardis Causae et Curae Libri V, translated by Priscilla Throop, 2006/2008
はじめに(臼田夜半)/英訳第二版序文(プリシラ・トゥループ)//
宇宙と元素/人間の本性と病の原因/治療法(1)/治療法(2)/生と死の徴候・月齢と気質//
あとがき(臼田夜半)など、
416ページ。


大槻真一郎、澤元亙監修、『ヒルデガルトの宝石論 神秘の宝石療法』(ヒーリング錬金術 3)、コスモス・ライブラリー、2017
はじめに/いまヒルデガルトの宝石論を読むということ/宝石論(1番目~2番目の宝石)/宝石論(3番目~5番目の宝石)/宝石論(6番目~7番目の宝石)/宝石論(8番目~9番目の宝石)/宝石論(10番目~13番目の宝石)/宝石論(14番目~16番目の宝石)/宝石論(17番目~20番目の宝石)/宝石論(21番目~26番目の宝石)/宝石療法の概観(1)/宝石療法の概観(2)//
解説 - 聖女ヒルデガルトについて(長谷川弘江)/あとがき(澤元亙)など、
176ページ。


 同じ著者による→こちらを参照:「錬金術など」の頁

 なお、『キリスト教神秘主義著作集 4/Ⅱ 中世の女性神秘家Ⅱ』(教文館)はヒルデガルト・フォン・ビンゲン『神の業について』を訳載するとのことですが、2014年3月現在、未刊の模様。

Sara Salvadori, translated by Sarah Elizabeth Cree and Susan Ann White, Hildegard von Bingen. A Journey to the Images, Skira, 2019
『ビンゲンのヒルデガルト 諸イメージへの旅』
前書き(
Giorgio Mazzanti / Michela Pereira)//
序/肖像/スキヴィアス 知恵ある旅/文法 像/象徴とその意味//
知恵ある用語集 始まり/図版 読者のための案内//
修辞 像/象徴を突き通す知恵ある金の糸;三位一体/地と天/創造/光と闇/マリア=教会/シナゴーグ=教会/魂の旅/人の教化の旅/天のエルサレムと交響楽/天の霊たちの軍/諸徳/協和と和声が諸天に鳴り響く、など、
222ページ。


 『スキヴィアス』に附された35点の細密画をオリジナルと同じ寸法で複製した図版を軸にした本。
………………………

 フィオーレのヨアキム(1135頃-1202);

フィオーレのヨアキム、宮本陽子訳、「新約と旧約の調和の書」、 『中世思想原典集成 12 フランシスコ会学派』、2001、pp.33-53

 第2巻第1部第2-第12章を訳出

バーナード・マッギン、宮本陽子訳、『フィオーレのヨアキム 西欧思想と黙示的終末論』、平凡社、1997
原著は Bernard McGinn, The Clabrian Abbot. Joachim of Fiore in the History of Western Thought, 1985
ミルチャ・エリアーデによる跋//
序章 歴史的に見たフィオーレのヨアキム;12世紀の諸相/フィオーレのヨアキムの生涯/ヨアキムの真正の著作//
ヨアキムの思想的背景;キリスト教歴史神学の発展/ラテン・キリスト教世界における「黙示録」釈義//
ヨアキムの思想の主題;象徴主義者ヨアキム/〈霊的理解〉-ヨアキムの聖書解釈/「巻物を受け取って食べよ」 - ヨアキムと「黙示録」/歴史における三位一体//
ヨアキムの影響;修道院と博士たち-ヨアキム、トマス・アクィナス、ボナヴェントゥラ//
結論など、
314ページ。

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 ロバート・グロステスト(1170頃-1253);

ロバート・グロステスト、須藤和夫訳、「光について」、『キリスト教神秘主義著作集 3 サン・ヴィクトル派とその周辺』、2000、pp.179-188

 同、 同訳、「色について」、同上、pp.189-190

 同、 同訳、「虹について」、同上、pp.191-199

 →こちらにも挙げておきます:「図像、図形、色彩、音楽、建築など」の頁の「iii. 色彩など

ロバート・グロステスト、降旗芳彦訳、「物体の運動と光」、 『中世思想原典集成 13 盛期スコラ学』、1993、pp.215-223

 同、 同訳、「真理論」、同上、pp.225-244

 同、 同訳、「命題の真理」、同上、pp,245-249

 同、 同訳、「神の知」、同上、pp.251-255

A translation of the Hexaëmeron by C. F. J. Martin, Robert Grosseteste. On the Six Days of Creation, (Autores Britannici Medii Aevi ・ VI(2)), Oxford University Press, 1996/1999
ロバート・グロステスト『創造の6日間について(ヘクサエメロン)』
序論;グロステスト/『ヘクサエメロン』/テクスト/翻訳//
創造の6日間について;プロエミウム/第1部(第1章-第24章)/第2部(第1章-第11章)/第3部(第1章-第16章)/第4部(第1章-第30章)/第5部(第1章-第23章)/第6部(第1章-第17章)/第7部(第1章-第14章)/第8部(第1章-第35章)/第9部(第1章-第10章)/第10部(第1章-9章)/第11部(第1章-第30章)など、
384ページ。


高岡尚、「グローステストの光概念に関する諸問題 Ⅰ De luce seu de inchoatione formarum 54; 11-3における第一質料をめぐって」、『札幌大学女子短期大学部紀要』、no.2、1983.9.30、pp.79-89[ < CiNii Articles

  同、 「グローステストの光概念に関する諸問題 Ⅱ “De luce seu de inchoatione formarum”全訳」、『札幌大学女子短期大学部紀要』、no.4、1984.9.30、pp.69-76[ < 同上

  同、 「グローステストの光概念に関する諸問題 Ⅲ 翻訳 Robert Grosseteste: De colore」、『札幌大学女子短期大学部紀要』、no.9、1987.2.28、pp.39-47[ < 同上

 同じ著者による→こちらも参照:「ルネサンス、マニエリスムなど(15~16世紀)」の頁の「ii. クザーヌスなど

高橋憲一、「グロステストとベイコンの自然観-光の創世論から光の自然学へ-」、『中世の自然観 中世研究 第7号』、1991、pp.197-224
光の創世論-自然の形而上学的根拠-/光の自然学-自然作用の原理論-/光の自然学-原理論から各論へ-/光の自然学の学問論的諸問題

A. C. Crombie, Robert Grosseteste and the Origins of Experimental Science. 1100-1700, Oxford at the Clarendon Press, 1953/1962/1971
『ロバート・グロステストと実験科学の起源 1100-1700』
序論/12世紀の科学における経験論と合理論/グロステストの科学理論についての著作/自然科学における帰納法、検証と反証/数学的自然学/光の形而上学/グロステストとオクスフォード学派/グロステスト、オクスフォードとヨーロッパ科学/実験的方法とフライベルクのフリードリヒによる虹の説明/実験的方法と、虹、色、、光についての13-14世紀の著作の17世紀への伝達/実験科学についての近代的理論の歴史的基礎など、
388ページ。


Edited by D. A. Callus, Robert Grosseteste. Scholar and Bishop. Essays in Commemoration of the Seventh Centuriy of his Death, Oxford at the Clarendon Press, 1955
『ロバート・グロステスト 学者・主教 歿後7世紀記念論集』
Sir Maurice Powicke/学者としてのロバート・グロステストDaniel A. Callus/聖書学者Beryl Smalley/科学史におけるグロステストの位置A. C. Crombie/ロバート・グロステストの書庫Richard William Hunt/グロステストによるリンカン教区の管理J. H. Srawley/グロステストの教皇および王との関係William Abel Pantin//
附録;ロバート・グロステストの眷属
Kathleen Major/ロバート・グロステスト聖者化の企てEric W. Kemp/ロバート・グロステストの墓と1782年開設時の説明J. W. F. Hillなど、
280ページ。

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 アルベルトゥス・マグヌス(1200頃-1280)といえば、澁澤龍彦が何度か言及した、自動人形の伝説が思い浮かびます。たとえば;

澁澤龍彦、「玩具について」、『夢の宇宙誌 コスモグラフィア・ファンタスティカ』、1964、pp.18-19

 また、こんなのもありました;

アルベルトゥス・マグヌス、立木鷹志編訳、『大アルベルトゥスの秘法 中世ヨーロッパの大魔術書』、河出書房新社、1999
はじめに/読者諸氏に-フランス語版編訳者のことば//
第一の書;人間の誕生、あるいは、人はいかにして生まれるか/胎児はいかにしてつくられるか-胎児に対する惑星の影響について/惑星の身体への影響について/下等動物はどのように生まれるか/出産について/自然界の奇形について/胎児が男か女かを知るための徴候について//
第二の書;さまざまな植物の効力について/さまざまな石の効力について/さまざまな動物の効力について//
第三の書;自然の驚くべき秘密について/いろおろな糞の効力と特質について/さまざまな鉱物の秘密について//
第四の書;身体の部分的差異による人相学概論/吉日と凶日/悪性熱病の治療法-悪性熱病の特質について//
編訳者解題 魔術の復権 - 存在の革命 -;魔術と現代科学/自己と多重人格/〝未来の科学〟=魔術//
  魔術書『大アルベルトゥスの秘法』について;『大アルベルトゥスの秘法』との出会い/アルベルトゥス伝説/『大アルベルトゥスの秘法』の構成/『大アルベルトゥスの秘法』の内容など、
178ページ。


 →こちらにも挙げておきます:「魔術、神秘学、隠秘学など」の頁

 さて;

アルベルトゥス・マグヌス、宮内久光訳、「形而上学」、 『中世思想原典集成 13 盛期スコラ学』、1993、pp.369-426
第1巻第1論考の訳

アルベルトゥス・マグヌス、須藤和夫訳、「ディオニュシウス神秘神学註解」、同上、pp.427-509

アルベルトゥス・マグヌス、小松真理子訳、「動物論」、同上、pp.511-540
全26巻中、第23巻の序論と始めの15種(長さにして当巻の2割弱)の訳

小松真理子、「アルベルトゥス・マグヌスと人間の発生の問題」、『中世の自然観 中世研究 第7号』、1991、pp.109-127
アルベルトゥスの問題意識-アリストテレスとガレノス/ガレノスからの挑戦/アルベルトゥスの解決/アルベルトゥス以降の様相

アダム・タカハシ、『哲学者たちの天球 スコラ自然哲学の形成と展開』、2022
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 ボナヴェントゥラ(1217/21-1274);

ボナヴェントゥラ、伊能哲大・須藤和夫訳、「諸学芸の神学への還元」、『中世思想原典集成 12 フランシスコ会学派』、2001、pp.451-474

 同、須藤和夫訳、「命題集註解」、同上、pp.519-704

 序言から第1巻第3区分註解までを訳

ボナヴェントゥラ、長倉久子訳、「精神の神への歴程」、『哲学』、no.9 vol.3-4、1989 冬:「特集 神秘主義 テクノロジーとカルト」、pp.108-126

坂口ふみ、『天使とボナヴェントゥラ ヨーロッパ13世紀の思想劇』、岩波書店、2009
序にかえて;笑い猫/13世紀の志//
ボナヴェントゥラとは誰か 総合者ボナヴェントゥラ - 「教師キリスト」という思想 -;歴史的背景/二つの霊的生活への導きの書/神学的背景/キリスト - 内と外なる、万人の唯一なる教師//
  ボナヴェントゥラの位置 - 知と信の関係について-;序論/ボナヴェントゥラにおける思考の目的/自然的神認識/自然の光
(lumen naturale)/信仰と思考/信仰の対象/神学/形なき知恵//
天使という思想 二人のドクトル・セラフィクス - ボナヴェントゥラとリルケ -;天使のはなし/ボナヴェントゥラ/リルケ//
  「形相は質料と結びつくことを欲求する」 - ボナヴェントゥラとトマスの天使論における2, 3の差異について -;純粋形相か、形相と質料の複合体か/天使の優位か、人間の優位か//
ボナヴェントゥラと13世紀の思想劇 ボナヴェントゥラの質料的・個別的存在の認識 - 13世紀思想劇の一幕 -;直接認識論と間接認識論/ボナヴェントゥラにおける質料的個物の認識 主体の面から-認識能力の問題、客体の面から-個体化の問題//
  ボナヴェントゥラのプラトン主義;序論/前期著作におけるプラトン/後期著作におけるプラトン/プラトン評価の変化と時代の情勢/範型としてのキリスト/フランチェスコ、ディオニュシウス、プラトン//
  ボナヴェントゥラの神学;信と神学/聖書と世界という書物など、
326ページ。


 →こちらにも挙げておきます:「天使、悪魔など」の頁の「i. 天使など

長倉久子、「ボナヴェントゥラの自然観」、『中世の自然観 中世研究 第7号』、1991、pp.91-107
自然の意味//神を源とする自然;被造物としての自然 無からの創造、世界の時間的有限性、創造の意味/神の(かたどり)としての自然 自然本性の源たう神のイデア、諸本性の階層としての自然、神の類似たる自然/本来善きものとしての自然//
神に帰還する自然;発出と帰還/自然と人間-自然界の中心たる人間//
神の内在する自然

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 ロジャー・ベイコン(1219頃-1292頃);

伊東俊太郎編、高橋憲一訳、『ロジャー・ベイコン 科学の名著 3』、朝日出版社、1980
ロジャー・ベイコンそのものに向かって-序説(伊東俊太郎)/ロジャー・ベイコンの生涯と思想(高橋憲一)//
大著作;第4部 数学の有用性について/第5部 光学について/第6部 経験学について、など、
496ページ。


ロジャー・ベイコン、高橋憲一訳、「大著作」、『中世思想原典集成 12 フランシスコ会学派』、2001、pp.705-762

 第2部「哲学の神学との親近性」を訳

 上掲の

高橋憲一、「グロステストとベイコンの自然観 - 光の創世論から光の自然学へ -」、1991
………………………

 トマス・アクィナス(1224/25-1274);

 『神学大全』の邦訳は次の本の後付けによれば全36冊ですが、手もとにあるのは2冊だけでした。後付けの分冊内容によれば
 第4冊は「創造について、天使について」、
 第5冊は「物体的被造物の創造について」;


トマス・アクィナス、高田三郎・日下昭夫譯、『神學大全 4 第1部 第44問題-第64問題』、創文社、1973
第44問題 諸々の被造物の神からの発出について - 万有の第1原因について(4項)/第45問題 諸事物の第1根源による流出の仕方について(8項)/第46問題 被造的諸事物の持続の始めについて(3項)/第47問題 諸々の事物の区別一般について(3項)/第48問題 諸々の事物の区別についての各論-悪について(6項)/第49問題 悪の因について(3項)/第50問題 天使の実体そのものについて(5項)/第51問題 天使の物体に対する関係について(3項)/第52問題 天使の場所に対する関聯について(3項)/第53問題 天使の場所的運動について(3項)/第54問題 天使における認識について(5項)/第55問題 天使の認識の媒介について(3項)/第56問題 非質料的な諸事物に関しての天使の認識について(3項)/第57問題 質料的な事物についての天使の認識について(5項)/第58問題 天使の認識の様態について(7項)/第59問題 天使の意志について(4項)/第60問題 天使における愛について(5項)/第61問題 天使の自然的存在への流出について(4項)/第62問題 天使たちの、恩寵的ならびに栄光的な存在者においての完成について(9項)/第63問題 天使たちにおける罪科たるかぎりの悪というものについて(9項)/第64問題 悪霊たちの罰について(4項)//付録 第47問題 補遺 第3項 被造物にあっては、諸々の能動者のあいだに秩序が存在するか、など、
542ページ。

 →こちらにも挙げておきます:「天使、悪魔など」の頁の「i. 天使など


トマス・アクィナス、高田三郎・山本清志譯、『神學大全 5 第1部 第65問題-第74問題』、創文社、1967
第65問題 物体的被造物の創造の業について(4項)/第66問題 「創造」に対する「区別」の位置について(4項)/第67問題 区別の業そのものについて-最初の日の業(4項)/第68問題 第2日の業について(4項)/第69問題 第3日の業について(2項)/第70問題 装いの業について-第4日の業(3項)/第71問題 第5日の業について/第72問題 第6日の業について/第73問題 第7日に属する諸般のことがらについて(3項)/第74問題 全7日一般について(3項)など、
210ページ。


中世思想原典集成 14 トマス・アクィナス』、平凡社、1993

 就中、
トマス・アクィナス、須藤和夫訳、「存在者と本質について」、pp.65-112

 同、 有働勤吉・中山浩二郎訳、「形而上学註解」、pp.337-502

 同、 八木雄二・矢玉俊彦訳、「離存的実体について(天使論)」、pp.585-717、など


聖トマス、高桑純夫訳、『形而上学叙説-有と本質とに就いて-』(岩波文庫 青 621-1)、岩波書店、1935/2010
120ページ。

 →こちらにも挙げておきます:「有閑神、デーミウールゴス、プレーローマなど」の頁

松本正夫、「天使の自然的認識についての覚書」、『哲學』、no.53:守屋謙二先生古稀記念論文集、1968.9、pp.1-21[ < KOARA(慶應義塾大学学術情報リポジトリ) ]

 →こちらにも挙げておきます:「天使、悪魔など」の頁の「i. 天使など

中村治、「トマスにおける光輝天球(caelum empyreum)について」、『中世思想研究』、no.29、1987.9.20、pp.70-78 [ < 『中世思想研究』バックナンバー < 中世哲学会 ]

脇宏行、「トマス・アクィナスにおける天使の自由決定力について」、同上、pp.99-107

 →こちらにも挙げておきます:「天使、悪魔など」の頁の「i. 天使など

桑原直巳、「知性的存在者における悪 - トマス・アクィナスと天使の罪」、『中世思想研究』、no.38、1996.9.25、pp.41-57 [ < 『中世思想研究』バックナンバー < 中世哲学会 ]

 →こちらにも挙げておきます:「天使、悪魔など」の頁の「i. 天使など


稲垣良典、『トマス・アクィナス』(講談社学術文庫 1377)、講談社、1999
1979刊本の文庫化
トマスの思想;はじめに-古都ローマで/日本におけるトマス/思想史におけるトマスの位置/トマス思想の歴史的意義/「トマス的総合」//
トマスの生涯;はじめに/幼少年時代/ナポリの大学とドミニコ会/第1回パリ大学時代/イタリア遍歴/第2回パリ大学時代/トマスの晩期//
トマスの著作 著作の分類と解説//トマス著作集;知恵の探求と真理の観照/信仰と理性/「存在」の形而上学/神と世界/真理・認識・言語/善と美-超越的なもの
transcendentia の問題/人間論-情念と習慣/倫理的行為/法・政治論/信・望・愛//
トマスとトミズムの歴史;トマス没後50年/近世初期におけるトミズム/19世紀の再興および現代トミズム/おわりに-トマスと現代思想など、
530ページ。


 同じ著者による→こちらを参照:「天使、悪魔など」の頁の「i. 天使など

K.リーゼンフーバー、矢玉俊彦訳、「トマス・アクィナスにおける自然理解」、『中世の自然観 中世研究 第7号』、1991、pp.129-178
歴史的背景/トマス自然学の源泉と方法/自然本性概念の意味の多様性/自然本性概念の存在論的基本構造/自然本性的存在者の諸原理/自然の統一と自然の始原としての神/自然の秩序とその目的である神との関係/自然における人間の位置/自然と超自然

中村治、「トマス・アクィナスの宇宙論の性格 - アリストテレスの宇宙論との比較に基づいて -」、同上、pp.179-196
アリストテレスの自然学上の前提への同意/アリストテレスの宇宙論とトマスの宇宙論/アリストテレスの宇宙論に対するトマスの変更/トマスの宇宙論の性格
………………………

 ライムンドゥス・ルルス(ラモン・リュイ)(1232/33-1315/16);

ライムンドゥス・ルルス、西澤龍生・野村銑一訳、「愛する者と愛された者についての書」、『中世思想原典集成 18 後期スコラ学』、1998、pp.25-100

野村銑一、「ルルスの神秘思想-神・人間・世界」、『理想』、no.565、1980.6:「特集 神秘主義」、pp.85-95
生涯/神秘学的著作/神秘思想の源泉/神/世界/人間

 「言葉、文字、記憶術・結合術、書物など」のページで

ウンベルト・エーコ、『完全言語の探求』、1995

 や「記憶術・結合術など」の項でルルスの名前は頻繁に出てきます。
………………………

 マイスター・エックハルト(1260頃-1328);

マイスター・エックハルト、川崎幸夫訳・解題、「マタイ伝5章3節による説教」、『理想』、no.535、1977.12:「特集 神秘主義」、pp.91-103

  同、 川崎幸夫訳、「集会の書24章30節による説教」、pp.104-110

植田兼義訳、『キリスト教神秘主義著作集 6 エックハルトⅠ』、1989
ドイツ語説教集//神学論集;教導対話/神の慰めの書/高貴な人について/離脱について//
ヨハネス22世の教皇勅書など、
452ページ。


中山善樹訳、『キリスト教神秘主義著作集 7 エックハルトⅡ』、1993
創世記注解/ヨハネ福音書注解など、
774ページ。


田島照久編訳、『エックハルト説教集』(岩波文庫 青 816-1)、岩波書店、1990
説教;22篇//論述;離脱について//伝説;4篇など、
308ページ。


マイスター・エックハルト、中山善樹訳、「主の祈り講解」、『中世思想原典集成 16 ドイツ神秘思想』、2001、pp.151-174

  同、 同訳、「命題集解題講義(コラティオ)」、同上、pp.175-187

  同、 同訳、「1294年の復活祭にパリで行われた説教」、同上、pp.189-203

  同、 同訳、「聖アウグスティヌスの祝日にパリで行われた説教」、同上、pp.205-217

  同、 同訳、「パリ討論集」、同上、pp.219-259

  同、 同訳、「集会の書(シラ書)24章23-31節についての説教と講解」、同上、pp.261-319

  同、 同訳、「三部作への序文」、同上、pp.321-354

  同、 同訳、「高貴なる人間について」、同上、pp.355-369

川崎幸夫、「聖書解釈学と説教 - エックハルトの『三部作への全般的序文』をめぐって」、『理想』、no.565、1980.6:「特集 神秘主義」、pp.44-58

アロイス・ハルダー、伊藤聡訳、「エックハルトにおける多、一、および『自体』」、辻村公一編、『一即一切-日独哲学コロクィウム論文集-』、創文社、1986、pp.183-219
問題連関の素描/解釈/諸々の尋常ならざる問いの刺衝

上田閑照、吉田喜久子訳、「キリスト教神秘主義における自証 エックハルトのドイツ語説教集の中の『私』」、『哲学』、no.9 vol.3-4、1989 冬:「特集 神秘主義 テクノロジーとカルト」、pp.8-27

田島照久、『マイスター・エックハルト研究-思惟のトリアーデ構造 esse・creatio・generatio 論-』、創文社、1996
序にかえて//
存在(esse)をめぐる思惟;『三部作への全般的序文』におけるエッセ理解/『パリ討論集』におけるエッセ理解/『出エジプト記註解』におけるエッセ理解/『創世記註解』におけるエッセ理解//
神と被造物のエッセをめぐるアナロギア論;問題の所在/否定神学とその克服/アポロギアの類型/『集会の書に関する説教と講義』におけるアナロギア理解//
創造(creatio)をめぐる思惟;問題の所在/神と知性認識の同一/エッセに対する知性認識の優位/三種の言葉、ロゴスによる創造//
誕生(generatio)をめぐる思惟;問題の所在/受肉(
incarnatio)と人性(natura humana)/魂の内における神の誕生/離脱と神性//
救済論的一(unum)の通景;プロティノスの一者論(
Henologie)とエックハルトの神論(Theologie)/一者(unum)神論における三つのアスペクト/「一(unum)である限りの一(unum)」の観点/「区別なきもの(indistinctum)としての一(unum)」の観点/「否定の否定(negatio negationis)としての一(unum)」の観点など、
436ページ。


田島照久、「神論の経歴 - エックハルトの「区別なきもの(indistinctum)」からクザーヌスの「非他なるもの(non-aliud)」へ -」、『早稲田大学大学院文学研究科紀要 第1分冊』、vol.46、2000、pp.17-34 [ < 早稲田大学リポジトリ(DSpace@Waseda University) ]

 →こちらにも挙げておきます:「ルネサンス、マニエリスムなど(15~16世紀)」の頁の「ii. クザーヌスなど


ベルンハルト・ヴェルデ、大津留直訳、『マイスター・エックハルト その思索へ向かって思索する試み』(叢書・ウニベルシタス 690)、法政大学出版局、2000
原著は Bernhard Welte, Meister Eckhart. Gedanken zu seinen Gedanken, 1979/1992
新版へのはしがき(アロイス・M・ハース)//
序論;考察されるべきであろう事柄と、その事柄に適した思索方法について//
神性の暗き光への道;「離脱」/「離脱」と、真理としての神/善性としての神/真理と善性との基礎としての存在と一者、そして、三位一体/形而上学の超克への道/突破-「離脱」の無としての神/同一性の問題/同一性の変容//
神性という暗き光への道の前提としての、魂の根底;魂の根底とその根底における非被造物//
神性という暗き光における世界のヴィジョン;神における世界の物/世界の始まりと終わりの不可思議さ/始まりの不可思議さから出て来る世界の根源と、統一としての世界の根源的形態/世界の不統一、禍と罪/神の暗き光への世界の突進//
付説 エックハルトに対する裁判についての考えなど、
318ページ。


岡部雄三、「マイスター・エックハルト(1260-1328年)」、『ドイツ神秘思想の水脈』、2011、pp.23-74
表現者としての神と人間-マイスター・エックハルトの神秘思想//
西谷啓治における西洋神秘思想研究の特徴について;西谷の神秘思想研究-西と東/西谷のエックハルト理解について - マリアとマルタに関する説教を一例として//
マイスター・エックハルトと『ドイツ神学』におけるキリスト中心主義的な神化思想//
マイスター・エックハルトの歴史的境位


山崎達也、「第8章 中世 第3節 エックハルト-始原への探求-」、『新プラトン主義を学ぶ人のために』、2014、pp.322-335
生涯と著作/ドイツ・ドミニコ会と新プラトン主義/ディートリヒからエックハルトへ/始原としての御言葉/知性としての神/神の一性/ペルソナの発出と世界の創造

 →こちらも参照:「有閑神、デーミウールゴス。プレーローマなど」の頁
………………………

 ダンテ・アリギエーリ(1265-1321);

ダンテ、平川祐弘訳、『神曲 世界文学全集 Ⅲ-3』、河出書房新社、1966
地獄篇(第1~第34歌)/煉獄篇(第1~第33歌)/天国篇(第1~第33歌)など、
560ページ。


 こちら(「言葉、文字、記憶術・結合術、書物(天の書)など」の頁の「おまけ」/ダニエレブスキー『紙葉の家』に関連して)で触れました

野上素一訳編、『ダンテ神曲 詩と絵画にみる世界』(教養カラー)、社会思想社、1968
図版;地獄篇/浄罪篇/天堂篇//
解説;地獄界について篇/浄罪界について/天堂界について//
神曲の宇宙など、
164ページ。

 『神曲』の挿絵として描かれたものだけではありませんが、おおよそ14~15世紀の作例の図版で構成されています。


谷口江里也訳・構成、『ドレの神曲』、宝島社、2009

 ドレ(1832-1883)の原著は『地獄篇』が1861年、『煉獄篇・天堂篇』が1868年刊
 1980年刊本、1996年刊本の新装版、
 320ページ。

 →こちらで1点挙げました:「怪奇城の画廊(完結篇)」の頁
 ドレによる『失楽園』→そちらを参照:「バロックなど(17世紀)」の頁の「ミルトン」の項

J.L.ボルヘス、『七つの夜』、2011、pp.5-42:「第1夜 神曲」

 ボルヘスについて→あちらも参照:「近代など(20世紀~) Ⅳ」の頁の「ボルヘス」の項

原基晶、「第三の宇宙像の存在と消滅について」、『ユリイカ』、no.798、vol.55-1、2023.1:「特集 コペルニクス 『天球の回転について』から『チ。 - 地球の運動について -』へ」、pp.185-196
はじめに/天動説とキリスト教/太陽中心説/第三の宇宙像

Alison Cornish, “Dante's Moral Cosmology”, Cosmology. Historical, Literary, Philosophical, Religious, and Scientific Perspectives, 1993 / 2008, pp..201-215
「ダンテの倫理的宇宙論」

………………………

 ヨハネス・ドゥンス・スコトゥス(1266-1308);

ヨハネス・ドゥンス・スコトゥス、小川量子訳、「第一原理についての論考」、『中世思想原典集成 18 後期スコラ学』、1998、pp.351-447

大鹿一正、「自然と個-スコトゥスとオッカム-」、『中世の自然観 中世研究 第7号』、1991、pp.267-295
1277年のコンデムナチオ/知性能力の拡大解釈/スコトゥスと個体化の原理/オッカムと個体

山内志朗、『存在の一義性を求めて ドゥンス・スコトゥスと13世紀の〈知〉の革命』、岩波書店、2011
序章 中世哲学と存在の問題;存在の一義性を求めて/普遍論争について/形而上学の運命/コラム:ドゥンスへの旅//
ドゥンス・スコトゥスと中世哲学 個体と直観;直接的認識としての直観/直観的認識の系譜/個体と直観的認識//
  主意主義という問題;意志と知性/中世における意志の問題/スコトゥスの主意主義//
  無限の形而上学;無限と有限の絆/純粋完全性と無限/内包的無限について//
  個体と個体化;個体化の諸理論/アヴィセンナの影響/「このもの性」という謎//
  スコトゥス存在論と形相的区別;普遍と形相的区別/形相的区別の構造/形相と形相性/オッカムによる批判//
  コラム:ツィード川の小石//
存在の一義性-ドゥンス・スコトゥスの知的革命 存在の一義性について;存在の一義性とは何か/存在の一義性の成立条件/アナロギアと一義性//
  存在の一義性に至る途;若きスコトゥスの迷い/アヴィセンナと一義性/アナロギアから一義性へ//
  一義性と超越;一義性と同一性/内在と超越/概念と媒介の論理//
  一義性と存在論;ヘンリクスの存在論/〈もの〉のリアリティ/偶有性としての存在//
  超越概念の革命;超越概念の拡張/存在の一義性と形而上学の改革/スコトゥスからオッカムへ//
  コラム:哲学史の中のスコトゥス//
ヨハネスへの手紙-後書きに代えて、など、
362ページ。

 同じ著者による→こちらを参照:「天使、悪魔など」の頁の「i. 天使など

………………………

 ニコル・オレーム(1320頃-1382);

ニコール・オレーム、横山雅彦編訳、「『天体・地体論』からの抜粋」、『中世科学論集 科学の名著 5』、1981、pp.331-344

ニコル・オレーム、中村治訳、「質と運動の図形化」、 『中世思想原典集成 19 中世末期の言語・自然哲学』、1994、pp.451-605

中村治、「キリスト教と科学 - 魔術に対するニコル・オレームの批判 -」、『人文學報』、no.65、1989.3.31:「諸宗教の比較論的研究」、pp.39-51
序/図形化説とその応用/幻視(visio)について/魔術について/魔術の第一の根源/魔術の第二の根源/魔術の第三の根源/奇跡の肯定/魔術の一般的規定/オレームの世界観

中村治、「ニコル・オレームの世界観」、『大阪府立大学紀要 人文・社会科学』、no.42、1994.3.31、pp.37-49[ < OPERA 大阪府立大学学術情報リポジトリ

中村治、「14世紀における信仰と自然哲学 - 知についてのニコル・オレームの考えをめぐって -」、『中世思想研究』、no.36、1994.9.25、pp.53-70 [ < 『中世思想研究』バックナンバー < 中世哲学会 ]

日下昭夫、「コメント 中村治『14世紀における信仰と自然哲学』について」、同上、pp.71-75
森田良紀、「討論報告(司会者)」、同上、pp.75-79

Norris S. Hetherington, “Oresme, Nicole (1320-1382)”, Encyclopedia of Cosmology. Historical, Philosophical, and Scientific Foundations of Modern Cosmology, 1993, pp.451-453

 ニコラウス・クザーヌス(1401-1464)については、→「ルネサンス、マニエリスムなど(15~16世紀)」のページの「ii. クザーヌスなど」を参照
………………………

 追補;

大橋喜之訳、『ピカトリクス 中世星辰魔術集成』、八坂書房、2017
参考図版/序//
第Ⅰ書;段階度数に関する知識について/
降霊術(ネグロマンツィア)とは何かおよびその諸特性/天とは何でありどのような質料からなっているか/図像(イマジネ)をなすにあたっての諸天の一般的な比と組み合わせについて/比率の諸例。(イマジネ)をつくるにあたって必要となるところ/この世における各人の段階度数について。人は小世界であり、大世界の写しであるということについて/この世の一々のものはいかなる段階度数にあるか。また本書で明らかにしたい諸他の隠秘な叡知の深淵なることども//
第Ⅱ書;この知識にはどのように到達されるかを明らかにする/諸天の
図像(イマジネ)とその秘鑰の数々/諸惑星、太陽そして月にかかわるすべての作用(はたらき)/第八天および恒星群の運動について/諸民族にあってこの知識はどのように区分されており、それぞれの民はどの部分を保持しているか/図像(イマジネ)の諸力能について、またそれはどのようにして獲得されるか。図像(イマジネ)はどのようにして諸惑星の力能を獲得し、そのさまざまな注入影響が図像(イマジネ)を介してどのようにはたらくのか。つまり降霊術(ネグロマンツィア)図像(イマジネ)の知識の基礎について/図像(イマジネ)の知識における語法(ディアレクティカ)について。またそれがこの知識において占める部分について/自然の諸事物の秩序について。どのようにしてこの知識に参入することができるか/諸惑星の援けを借りてつくられる図像(イマジネ)の形象および形相の解説/各々の惑星にふさわしい石の数々および形象の成り立ちについて/星座(しるし)の諸形象とその諸効果について/星座(しるし)の諸形象およびその度数(段階)について、その諸効果に関するインドの所見。いかにしてこの知識の知解に進むか、また上位なる諸星辰の力能を持続的に引き出す手法に関する彼らの見解および顕著な秘鑰の数々//
第Ⅲ書;植物、動物、金属のうちに存する諸惑星の部分について/上述した三界つまり植物、動物、金属のうちに存する諸
星座(しるし)の部分について/諸惑星の形象、彩色、模様、燻香について。また諸星座(しるし)(ツァキエス)の彩色について/この知識に慣れぬ限り知解できない秘鑰について/動物たちの中にある力能の解明およびこの知識に欠かせない著しい知見。またいかにして諸惑星の(スピリトゥス)を形象と燻香によって引き出すかについて/惑星の(スピリトゥス)を自然の事物から採り出す大いなる(マギステリオ)。そして図像(イマジネ)とは何か、またこの力能を獲得するための手法について/諸惑星の力能を引き寄せること(誘引)およびそれらといかにして語り合うか、いかにその諸効果は惑星ごとに、形象、供物、祈禱、燻香、請願題目ごとに区分されるかについて。またそれぞれの惑星に必要とされる天界の状況(スタートゥス)について/ナバテアの民(ネプティヌス)が太陽および土星(サトゥルヌス)に願上する祈禱の様式。それらの(スピリトゥス)とどのように語り合うか、およびそこから引き出される効果について/一々個別の惑星から力能を引き出す方法と、そうした個々の力の(スピリトゥス)の指名およびその名辞 による操作について/諸惑星の(スピリトゥス)の効果を調合物に込め、またその作用(はたらき)の損ないを祓う方法。降霊術(ネグロマンツィア)の奇瑞について。惑星の霊への実修に用いる食物、燻香、塗布剤、香について。そして惑星の効果また目に見えない作用(はたらき)について/図像(イマジネ)がさまざまな事物に及ぼす効果。事物が在るところとは異なった視覚における諸変化、睡眠時、覚醒時の薬毒による影響およびその治療法について/この知識に必要とされる諸規範について//
第Ⅳ書;
(スピリトゥス)の力能と堅牢さはどこから来るのか。また覚知と知性のはたらきの特性とは何であり、(スピリトゥス)の特性とは何であるか。身体(コルプス)の、(アニマ)の特性および諸差異について/なぜ月の(スピリトゥス)の活力はそれより下位なるものどもに引き寄せられるのか、また七つの惑星には何をもって燻香をなすべきであるか/カルデア人たちは深みから何をとりだしたのか、あるいはこの知識の秘鑰の数々およびこれに関して何が語られてきたかについて説かれる/ここでは図像(イマジネ)について、またこの知識の役立つところについてその理拠を求める/この業にとって必要な十の知識を提示するとともに、いかにそれらがこの知識を援けるか、またこの知識に必要な礎とは何であるかを示す/いかにして諸星辰の燻香をなすべきかを示すとともに、この知識に必要な成分組成を明かす/アブバエル・アベンヴァシエによってカルデア語からアラビア語に訳されたカルデアの農事書にみられる降霊術(ネグロマンツィア)の業について/いくつかの事物の自然本性からする(固有の)力能について/コルドヴァ(コルディヴ)の教会で発見されたある書物および王妃フォロペドラの書物に載せられた奇瑞をなす力能ある図像(イマジネ)について余すことなく述べる//
付録 『ピカトリクス』を読むために;『ピカトリクス』大要-M・プレスナーによる亜版梗概//
  解題 中世星辰魔術『ピカトリクス』再発見の途 - 二十世紀諸賢による所見の紹介;ソーンダイクによる『ピカトリクス』概説/エウジェニオ・ガレン「魔術
便覧(マニュアル)ピカトリクス」抄//
  補遺Ⅰ 哲学としての魔術 - ペッローネ・コンパーニ;ペッローネ・コンパーニ「ピカトリクス・ラティヌス」抄//
  補遺Ⅱ (イマジネ)の遡及と典拠の探索 - 羅版刊行者ピングレー;ピングレー「『ガーヤット・アル・ハキム』の典拠の幾つか」抄/ピングレー「『ガーヤ』と『ピカトリクス』の間Ⅰ:スペイン語異文」抄/ピグレー「『ガーヤ』と『ピカトリクス』の間Ⅱ:ジャービルに帰される『自然学精華集』」抄//
  補遺Ⅲ ピカトリクス分光;クラテスの書』(全訳)など、
748ページ。


 「十一世紀後半よりさかのぼるものではない」(p.581、また pp.583-584、p.607、pp.626-627)アラビア語文書『ガーヤット・アル-ハキム』(賢者の目的、付録に訳された諸論稿では『ガーヤ』と略記)がラテン語版序文によれば1256年スペイン語に訳され(p.1、pp.572-573、p.608、pp.634-635)、それがさらにラテン語に訳された(時期は不詳、pp.635-636)、そのラテン語本の和訳。著者の名とされる「ピカトリクス」の由来は不明(p.584、pp.607-608)。

 →こちらにも挙げました:「魔術、神秘学、隠秘学など」の頁
 また


フランセス・イエイツ、前野佳彦訳、『ジョルダーノ・ブルーノとヘルメス教の伝統』、2010、第3章中の pp.85-94:「魔術マニュアル『ピカトリクス』」

おまけ

 〈西欧の中世〉といって何を思い浮かべるにせよ、アーサー王の伝説に取材したものやゴシック・ロマンスの類を始めとして、そこに材をとったフィクションも数限りなくあることでしょうが、ここはやはり;

ウンベルト・エーコ、河島英昭訳、『薔薇の名前』(上下巻)、東京創元社、1990
原著は Umberto Eco, Il nome della rosa, 1980

 →こちらにも挙げておきます:「言葉、文字、記憶術/結合術、書物(天の書)など」の頁の「おまけ
 エーコの著書→そちらも参照:同上の「人工言語・言語起源論など

 その映画化

『薔薇の名前』(1986年、監督:ジャン=ジャック・アノー)

 原作ともども、→あちらでも挙げました:「怪奇城の図書室」の頁の「7 『薔薇の名前』映画版(1986)からの寄り道:ピラネージ《牢獄》風吹抜空間、他」の項

 比較的最近見たというだけなのですが、

『デビル・クエスト』(2011年、監督:ドミニク・セナ)

 は主役がニコラス・ケイジとロン・パールマンのコンビという、すばらしい面構えが並び、しかもゲストでクリストファー・リーが出ているという(メイキャップでまったく気がつかなかったのですが)映画でした。
 また音楽方面では、

Focus, Hamburger Concerto, 1974(邦題:フォーカス、『ハンバーガー・コンチェルト』)(1)

 からLa cathédrale de Strasbourg(「ストラスブルグの聖堂」)を挙げておきましょう。
1. 片山伸監修、『ユーロ・プログレッシヴ・ロック The DIG Presents Disc Guide Series #018』、シンコーミュージック、2004、p.20。
 →こちらでも挙げました:「怪奇城の高い所(後篇) - 塔など」の頁の「v. 鐘塔など
 ちなみにストラスブールとその大聖堂については、 

三宅理一、『マニエリスム都市 シュトラスブルクの天文時計』(イメージ・リーディング叢書)、平凡社、1988

 同書から1章→こちらに挙げました:「バロックなど(17世紀)」の頁の「iv. 薔薇十字団、その他
 同じ著者による→そちらを参照:「ロココ、啓蒙思想など(18世紀)」の頁の「余談 革命期の幻視的建築家たちなど


宇京賴三、『ストラスブール ヨーロッパ文明の十字路』、未知谷、2009

 などを参照
 フォーカスにもどると、ファースト・アルバム In and out of Focus, 1970(邦題『イン・アンド・アウト・オブ・フォーカス』)(2)とサード・アルバム Focus 3, 1972(邦題『フォーカス3』)(3)の双方で演奏された"House of the King"(邦題「ハウス・オブ・ザ・キング」)も忘れがたいところでしょう。 2. 『ユーロ・ロック集成』、マーキームーン社、1987/90、p.154。

3. 『ユーロ・ロック集成』、マーキームーン社、1987/90、p.155。
 前掲『ユーロ・プログレッシヴ・ロック』、2004、同上。

Jethro Tull, Minstrel in the Gallery, 1975(邦題;ジェスロ・タル、『天井桟敷の吟遊詩人』)(→こちらを参照:「北欧、ケルト、スラヴなど」の頁の「おまけ」)、

 のタイトル曲も挙げておきます(
追補:→「怪奇城の画廊(前篇)」でも触れました)。
 しかし極めつけは、リコーダーとバスーンが大活躍する古楽×プログレのグリフォン、とりわけ最初の3枚でしょうか;

Gryphon, Gryphon, 1973(邦題:グリフォン、『鷲頭、獅子胴の怪獣』)(4)、

Gryphon, Midnight Mushrumps, 1974(→そちらを参照:「バロックなど(17世紀)」の頁の「おまけ」)

Gryphon, Red Queen to Gryphon Three, 1974(邦題:グリフォン、『女王(クイーン)失格』)(5)
4. 深見淳・松崎正秀監修、『UKプログレッシヴ・ロック メインストリーム・エディション~The Golden Era』(THE DIG presents Disc Guide Series #017)、シンコーミュージック、2004、p.95。
 同じアルバムから→こちらも参照:「怪奇城の外濠 Ⅲ」の頁の「おまけ


5. 大鷹俊一監修、『ヤング・パーソンズ・ガイド・トゥ・プログレッシヴ・ロック』、音楽之友社、1999、p.117。
 『200CD プログレッシヴ・ロック』、立風書房、2001、p.76。
 上掲『UKプログレッシヴ・ロック メインストリーム・エディション~The Golden Era』、2004、p.96。
 岩本晃一郎監修、『ブリティッシュ・プログレッシヴ・ロック100』(Masterpiece Albums vol.2)、日興企画、2012、p.99。

 他のアルバム→あちらで挙げました:「グノーシス諸派など Ⅲ」の頁の「おまけ
2014/03/18 以後、随時修正・追補
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