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 xvi キリスト教カバラ-、隠秘学的模作など
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xii. カバラ-(カバラ、カッバラー)など

 カバラーに入る前に、中世ドイツのハシディズムについては、あまり資料が見あたらずにいるので、とりあえず;

ショーレム『ユダヤ神秘主義』(1985)の「第3章 中世におけるドイツのハシディズム」

 および


Joseph Dan, Jewish Mysticism. Volume 2 : The Middle Ages, 1998

 を参照。

 また、〈アシュケナズィ・ハシディズム〉とは区別されますが、同時期の動きとして;

Joseph Dan, The ‘Unique Cherub’ Circle. A School of Mystics and Esoterics in Medieval Germany, (Texts and Studies in Medieval and Early Modern Judaism 15), Mohr Siebeck, Tübingen, 1999
『〈唯一のケルビム〉サークル 中世ドイツにおける神秘家・秘教家の学派』
盛期中世における伝統、学派と偽書/ベン・シラ/伝達の謎/セーフェル・イェツィラー/唯一のケルビム・サークル/バライタ/ピッユートとその註釈/
Pesak ha-Yirah veha-Emunah と祈りの意図/偽サアディアの註釈/Elhanan ben Yakar Sod ha-Sodot における創造の概念/Sod ha-Sodot における Elhanan ben Yakar の神学/Elhanan ben Yakar によるセーフェル・イェツィラーへの註釈/秘密の図書館/唯一のケルビムとカバラー/ケルビムとラザ・ラッバ/附録;中世ドイツにおける神秘家たちの言語など、
308ページ。

………………………

 さて、初期カバラーについて、まずは;

ショーレムの
Origins of the Kabbalah, 1987/1990

 次いで原典訳のアンソロジーとして
 (ダンによる序論は初期カバラーの概観としても有用です);


Edited and introduced by Joseph Dan, texts translated by Ronald C. Kiener, The Early Kabbalah, (The Classics of Western Spirituality), Paulist Press, New York, Mahwah, 1986
緒言(モーシェ・イデル)//
序論(ヨセフ・ダン);カバラーの出現/初期カバラーの性質/ユダヤ哲学とアシュケナズィ・ハシディズム/初期の神秘主義学派/バヒールの書/ラビ・盲人イサアク/ジローナ・サークル/カスティーリャのコーヘン兄弟//
イユン・サークル;思弁の書
(SEFER HA-‘IYYUN)/知恵の泉/4文字の名前の説明//
バヒールの書;テクストと註釈//
プロヴァンスのラビ・盲人イサアク;神秘的なトーラー - カバラー的創造/流出の過程//
ジローナのラビ・アズリエル;10のセフィロートの説明/タルムードの伝説への註釈//
ジローナのラビ・ヤコブ・ベン・シェシェト;信仰と信頼の書/正しい答えの応答 - 聖なる玉座と戒律//
コーヘン兄弟;文字の説明(ラビ・ヤコブ・ベン・ヤコブ・ハ=コーヘン)/左の流出についての論考(ラビ・イサアク・ベン・ヤコブ・ハ=コーヘン)など、
220ページ。

 盲人イサアク関連の2論文、
ラビ・アズリエルの「10のセフィロートの説明」および「タルムードの伝説への註釈」中の「知恵と諸元素」の章(pp.100-108)など
に興味深い細部がある他、
ラビ・イサアク・ベン・ヤコブ・ハ=コーヘンの「左の流出についての論考」は悪魔論で、
また先行世界についての記述も含まれています(pp.170-171)。最後の論文については、
Dan, Jewish Mysticism. Volume 3 : The Modern Period, 1999 所収の"Samael, Lilith, and the concept of evil in early Kabbakah"も参照。
こちらも参照:「天使、悪魔など」の頁の「ii. 悪魔など」。
 この論文中 pp.271-277 には、アシュケナズィ・ハシディズムと比較しつつ、コーヘンの先行世界論が分析されています。ちなみに同書所収
"'No Evil Descends from Heaven';Sixteenth-Century Jewish Concepts of Evil"中 pp.336-340 では、コルドヴェロの先行世界論が論じられています。
こちら(「ユダヤ」の頁の「v. タルムードとラビ・ユダヤ教など」)やそちら(「原初の巨人、原初の獣、龍とドラゴンその他」の頁中)、またあちら(「ユダヤ Ⅱ」の頁の「ix. ショーレムの著作とその周辺」)に、こなた(「世界の複数性など」の頁中)、そなた(本頁下掲の「xiii. ルーリアのカバラーなど」)も参照

Aryeh Kaplan, The Bahir, Weiser Books, Boston, York Beach, 1979
『バヒール』
序論/バヒール/バヒールに関する註釈/ヘブライ語原文など、
270ページ。

 同じ著者による→こちら(「ユダヤ Ⅱ」の頁の「xi. メルカヴァー/ヘーハロート神秘主義など」)、またあちら(本項下掲の Immortality, Resurrection, and the Age of the Universe : A Kabbalistic View, 1993)も参照


 カバラーの初期形態とはいいきれないと見なされるものの、同時代の動きとして;

Mark Verman, The Books of Contemplation. Medieval Jewish Mystical Sources, (SUNY Series in Judaica: Hermeneutics, Mysticism, and Religion), State University of New York Press, Albany, 1992
『観想の書 中世ユダヤ神秘主義資料』
『観想の書』、『知恵の泉』と『一性の書』への序論;ユダヤの預言と神秘主義/歴史的概観/西ヨーロッパにおける中世ドイツ神秘主義/伝統、秘教と偽書//
観想の書』と『知恵の泉』;『観想』(短)/『知恵の泉』/『観想』(長)/『観想-13の力』/『観想』(標準)/『私はラビ・ハマイ』/『ラビ・ハマイの一性の書』//
//
〈観想のサークル〉における宇宙論的理論;『観想の書』の宇宙論/『知恵の泉』の宇宙開闢論//
歴史的次元;ショーレムによる初期〈カバラー〉の歴史記述/ショーレムの歴史記述とラビ・イサアク・コーヘンの伝説/〈観想のサークル〉/言語学的証拠//
歴史的結びつき;ラビ・アズリエルと『観想の書』/ハシデイ・アシュケナズィと〈サークル〉/ザドク人ラビ・メシュラム//
附録 『観想の書』の副テクスト;『ラビ・義人シメオンのミドラシュ』/『13の属性に関する註釈』/『13の力』/『慈悲の13の属性の秘密』/『偽ラバドの12の属性』/『観想』(ブルゴス)/『観想』(J.T.S.-1884)/『観想』(標準/魔術)/ラビ・ハスダイの『観想の書』など、
282ページ。

………………………

 ショーレム『ユダヤ神秘主義』(1985)の「第4章 アブラハム・アブーラーフィアと預言者的カバラー」

で記述されたアブーラーフィアですが、モーシェ・イデルのショーレム批判の要点の一つは、ショーレムが『ゾハル』に代表される神智学的カバラーに比べて、アブーラーフィアの預言者的カバラーにあまり重点を置かなかったということにありました。イデルの著書ではこの点が繰り返し強調されますが(→こちら(「ユダヤ Ⅱ」の頁の「x. ショーレム以後、その他」や、またあちら(本頁下掲の「xv. ハシディズムなど」)、その専著としては;

Moshe Idel, translated by Jonathan Chipman, The Mystical Experience in Abraham Abulafia, (SUNY Series in Judaica: Hermeneutics, Mysticism, and Religion), State University of New York Press, Albany, 1988
『アブラハム・アブーラーフィアの神秘的経験』
緒言
(Shlomo Pines)//
序論/脱自に達するための技法/音楽と脱自的カバラー/神秘的経験/脱自的経験のためのエロティックなイメージなど、
258ページ。


Moshe Idel, Studies in Ecstatic Kabbalah, (SUNY Series in Judaica: Hermeneutics, Mysticism, and Religion), State University of New York Press, Albany, 1988
『脱自的カバラー研究』
アブラハム・アブーラーフィアと〈神秘的合一〉/アブラハム・アブーラーフィアはカタリ派に影響されたか?/ユダヤのメシアとイエスについてのアブラハム・アブーラーフィア/ラビ・モーセス・ナルボニとラビ・アブラハム・シャロームに対する
Sefer 'Or HaSekhei の影響/〈想像的世界(ムンドゥス・イマギナリス)〉と Likkutei HaRan/脱自的カバラーとイスラエルの地/脱自的カバラーにおける集中としての Hitbodedut など、
192ページ。


 アブーラーフィアの英訳として;

Abraham Abulafia, Sheva Netivot Ha-Torah. The Seven Paths of Torah, Providence University, 2006
『トーラーの七つの径』
英訳/ヘブライ語原文など、
80ページ。


Abraham Abulafia, translated by Efrat Levy, Sefer Ha-Ot. The Book of the Sign, Providence University, 2006
『印の書』
英訳/ヘブライ語原文など、
76ページ。


Abraham Abulafia, translated by Sharron Shatil, Get Ha-Shemot. Divorce of the Names, Providence University, 2007
『名前の分離』 
58ページ。


Abraham Abulafia, translated by Sharron Shatil, Ner Elohim. Candle of God, Providence University, 2007
『神の蝋燭』
Ner Elohim - 神の蝋燭;〈人の(ネシュマー)〉は(エロヒム
[YHVH]の)蝋燭であり、その腹の内なる深みをすべて求める/そして口には起源を同じくする文字がある/Yhvh、イスラエルの神の名における文字の回転/〈ルアハ〉に作用する力//
すべての〈ミツヴォート〉(戒律)の秘密//〈ブリット・ミラー〉(割礼)の秘密//『セーフェル・イェツィラー』のしるしなど、
174ページ。

 巻末の刊行案内を見ると、このシリーズには他にもアブーラーフィア、ハッイーム・ヴィタールの英訳が挙がっていますが、頁数の割に値高なので、とりあえずこれだけということで。


志田雅宏、「研究ノート アブラハム・アブラフィアにおける真珠のたとえ話」、『東京大学宗教学年報』、37巻、2020.3.31、pp.57-71 [ < 東京大学学術機関リポジトリ ]
DOI : https://doi.org/10.15083/00079458

 同じ著者による→こちら(本項下掲のナフマニデス関連箇所)を参照
………………………

 「ゾハル」、「ゾハール」、「ゾーハル」等と表記される文献ですが、重訳で、また全訳ではないとはいえ、まとまった日本語訳が読めるようになったのは欣快のかぎりというほかありません;

エルンスト・ミュラー編訳、石丸昭二訳、『ゾーハル カバラーの聖典』(叢書・ウニベルシタス 976)、法政大学出版局、2012
原著は Ernst Müller, Der Sohar. Das heilige Buch der Kabbala, 1932
カバラーとゾーハル/トーラーの賛美/創造教義 世界計画/人間界/祭祀と祭式/ゾーハルについての声/附 『ゾーハルとその教義』抄(エルンスト・ミュラー、1920)など、
494ページ。


 「訳者あとがき」の地の文には出てこないのですが、そこでの引用文中で原訳者について「ルードルフ・シュタイナーの薫陶を受けた」とありました(p.471)。脚注でも何度かシュタイナーが引きあいに出されています(p.159, p.235, またp.433)。

 マグレガー・メイザースの『ヴェールを脱いだカバラ』(2000)は→こちら(本頁下掲の「xvi. キリスト教カバラー、隠秘学的模作など」)

 前にショーレムによる2種の抜粋;

Zohar. The Book of Splendor. Basic Redings from the Kabbalah
, 1949/1963


Die Geheimnisse der Schöpfung. Ein Kapitel aus dem kabbalistischen Buch Sohar, 1971

を挙げましたが、上の石丸訳『ゾーハル』の「訳者あとがき」によると、
「ヘブライ語・アラム語の原文とその英語訳を収めた
CD-Rom(The Soncino Zohar, Davka Corporation, 2008)も出ている」
とのことです(pp.469-470)(未見)。

 これとは別に、現在進行中の英訳。全12巻の予定(
追補 2017年完結しました);

Translation and commentary by Daniel C. Matt, The Zohar. Pritzker Edition. Volume One, Stanford University Press, Stanford, California, 2004
『ゾハル プリツカー版 第1巻』
緒言(マーゴット・プリツカー)/訳者の序論(ダニエル・C・マット)/序論(アーサー・グリーン)//
Haqdamat Sefer ha-Zohar(ゾハルへの序説)/Parashat Be-Reshit(「始めに」 創世記 1:1-6:8)/Parashat Noaḥ(「ノア」 創世記 6:9-11:32)など、
584ページ。


Translation and commentary by Daniel C. Matt, The Zohar. Pritzker Edition. Volume Two, Stanford University Press, Stanford, California, 2004
『ゾハル プリツカー版 第2巻』
Parashat Lekh Lekha(「出ていけ!」 創世記 12:1-17:27)/Parashat Va-Yera(「彼は現われた」 創世記 18:3-22:24)/Parashat Ḥayyei Sarah(「サラの命」 創世記 23:1-25:18)Parashat Toledot(「諸世代」 創世記 25:19-28:9)Parashat Va-Yetse(「彼は去った」 創世記 28:10-32::3)など、
472ページ。


Translation and commentary by Daniel C. Matt, The Zohar. Pritzker Edition. Volume Three, Stanford University Press, Stanford, California, 2006
『ゾハル プリツカー版 第3巻』
緒言(ダニエル・C・マット)//
Parashat Va-Yishlaḥ(「彼は送った」 創世記 32:4-36:43)/Parashat Va-Yeshev(「彼は棲んだ」 創世記 37:1-40:23)/Parashat Mi-Qets(「終わりに」 創世記41:1-44:17)/Parashat Va-Yiggash(「彼は近づいた」 創世記 44:18-47:27)/Parashat Va-Yḥi(「彼は生きた」 創世記 47:28-50:26)など、
600ページ。


Translation and commentary by Daniel C. Matt, The Zohar. Pritzker Edition. Volume Four, Stanford University Press, Stanford, California, 2007
『ゾハル プリツカー版 第4巻』
緒言(ダニエル・C・マット)//
Parashat Shemot(「名前」 出エジプト記 1:1-6:1)/Parashat Va-Era(「私は現われた」 出エジプト記 6:2-9:35)/Parashat Bo(「来たれ」 出エジプト記10:1-13:16)/Parashat Be-Shallaḥ(「彼は見送った時」 出エジプト記 13:17-17:16)/Parashat Yitro(「エテロ」 出エジプト記 18:1-20:23)など、
590ページ。


Translation and commentary by Daniel C. Matt, The Zohar. Pritzker Edition. Volume Five, Stanford University Press, Stanford, California, 2009
『ゾハル プリツカー版 第5巻』
緒言(ダニエル・C・マット)//
Parashat Mishpatim(「法」 出エジプト記 21:1-24:18)+Sava de-MishpatimMishpatim への註釈/Parashat Terumah(「献げ物」 出エジプト記 25:1-27:19)+ Terumah への註釈/Sifra di-Tsni'uta(『隠匿の書』)など、
650ページ。


Translation and commentary by Daniel C. Matt, The Zohar. Pritzker Edition. Volume Six, Stanford University Press, Stanford, California, 2011
『ゾハル プリツカー版 第6巻』
緒言(ダニエル・C・マット)//
Parashat Tetsavveh(「あなたは命ずるだろう」 出エジプト記 27:20-30:10)/Parashat Ki Tissa(「あなたが数える時」 出エジプト記 30:11-34:35)/Parashat Va-Yaqhel(「彼は集めた」 出エジプト記 35:1-38:20)/Parashat Pequdei(「報い」 出エジプト記 38:21-40:38)など、
466ページ。


Translation and commentary by Daniel C. Matt, The Zohar. Pritzker Edition. Volume Seven, Stanford University Press, Stanford, California, 2012
『ゾハル プリツカー版 第7巻』
緒言(ダニエル・C・マット)//
Parashat Va-Yiqra(「彼は呼んだ」 レビ記 1:1-5:26)/Parashat Tsav(「命令」 レビ記 6:1-8:36)/Parashat Shemini(「第8」 レビ記 9:1-11:47)/Parashat Tazri'a(「彼女は種を与えた」 レビ記 12:1-13:59)Parashat Metsora(「鱗に悩まされ」 レビ記 14:1-15:33)/Parashat Aḥarei Mot(「死の後」 レビ記 16:1-18:30)など、
604ページ。


Translation and commentary by Daniel C. Matt, The Zohar. Pritzker Edition. Volume Eight, Stanford University Press, Stanford, California, 2014
『ゾハル プリツカー版 第8巻』
緒言(ダニエル・C・マット)//
Parashat Qedoshim(「聖なるかな」 レビ記 19:1-20:27)/Parashat Emor(「言え」 レビ記 21:1-24:23)/Parashat Be-har(「山上で」 レビ記 25:1-26:2)/Parashat Be-Ḥuqqotai(「私の法令によって」 レビ記 26:3-27:34)/Parashat Be-Midbar(「荒野にて」 民数記 1:1-4:20)/Parashat Naso(「数えよ」 民数記 4:21-7:89)など、 Nasoへの註釈、Idra Rabba(大いなる集まり)、Naso への註釈・続き/Parashat Be-Ha'alotekha(「あなたが灯りをつける時」 民数記 8:1-12:16)など、
608ページ。


Translation and commentary by Daniel C. Matt, The Zohar. Pritzker Edition. Volume Nine, Stanford University Press, Stanford, California, 2016
『ゾハル プリツカー版 第9巻』
緒言(ダニエル・C・マット)//
Parashat Shelaḥ Lekha(「あなた自身のために送れ」民数記 13:1-15:41)、Shelaḥ Lekha への註釈、Rav Metivta(アカデミーの頭)、Shelaḥ Lekha への註釈・続き(Tzitzit の部)/Parashat Qoraḥ(「KORAH」民数記 16:1-18:32)/Parashat Ḥuqqat(「法令」民数記 19:1-22:1)/Parashat Balaq(「BALAK」民数記 22:2-25:9)、Balaq への註釈、Yanuqa(「子供」)、
Balaq への註釈・続き/Parashat Pineḥas(「ピネハス」民数記 25:10-30:1)/
Parashat Va-Etḥannan(「私は弁じた」申命記 3:23-7:11)/Parashat Va-Yelekh(「彼は行った」申命記 31:1-30)への註釈/Parashat Ha'azinu(「耳を傾けよ」申命記 32:1-52)、Ha'azinu への註釈、Idra Zuta(小さな集まり)、Ha'azinuHa'azinu への註釈・続きなど、
944ページ。


Translation and commentary by Nathan Wolski, The Zohar. Pritzker Edition. Volume Ten, Stanford University Press, Stanford, California, 2016
『ゾハル プリツカー版 第10巻』
緒言(ネイサン・ウォルスキー)//
Midrash ha-Ne'lam (『隠されたもののミドラシュ』)Parashat Be-Reshit(「始めに」 創世記 1:1-6:8)/Parashat Noaḥ(「ノア」 創世記 6:9-11:32)/Parashat Lekh Lekha(「出ていけ!」 創世記 12:1-17:27)/Parashat Va-Yera(「彼は現われた」 創世記 18:3-22:24)/Parashat Ḥayyei Sarah(「サラの命」 創世記 23:1-25:18)/Parashat Toledot(「諸世代」 創世記 25:19-28:9)/Parashat Va-Yetse(「彼は去った」 創世記 28:10-32::3)/Parashat Shemot(「名前」 出エジプト記 1:1-6:1)/Parashat Ki Tetse(「あなたが出ていく時」申命記 21:10-25:19)/補遺1/補遺2/補遺3など、
652ページ。


Translation and commentary by Joel Hecker, The Zohar. Pritzker Edition. Volume Eleven, Stanford University Press, Stanford, California, 2016
『ゾハル プリツカー版 第11巻』
緒言(ジョエル・ヘッカー)//
Midrash ha-Ne'lam (『隠されたもののミドラシュ』)Midrash ha-Ne'lam al Shir ha-Shirimt(雅歌についての隠されたもののミドラシュ)/Midrash ha-Ne'lam al Rut(ルツ記についての隠されたもののミドラシュ)/Midrash ha-Ne'lam al Eikhah哀歌についての隠されたもののミドラシュ)//
ゾハル的諸品;Zohar al Shir ha-Shirim(雅歌についてのゾハル)/Matnitin(我らがミシュナ)/Tosefta(補遺)/Sitrei Torah(トーラーの秘密)など、
798ページ。


Translation and commentary by Nathan Wolski and Joel Hecker, The Zohar. Pritzker Edition. Volume Twelve, Stanford University Press, Stanford, California, 2017
『ゾハル プリツカー版 第12巻』
前書(ダニエル・C・マット)/緒言(ネイサン・ウォルスキー、ジョエル・ヘッカー)//
ゾハル的諸品;Heikhalot Be-Reshit ( Be-Reshit広間(ヘーハロート))/Heikhalot Pequdei ( Pequdei広間(ヘーハロート))/Piqqudin(諸戒律)/Raza de-Razin(文字の秘密)/Qav ha-Middah(物差しの線)Merkevet Yeḥezqel(エゼキエルの戦車)Zohar al ha-Parashot(トーラーの一部についてのゾハル)など、
794ページ。


 部分訳として;

Translated with notes and commentary by Aryeh Wineman, Mystic Tales from the Zohar, Princeton University Press, Princeton, New Jersey, 1997/1998
『ゾハルからの神秘的物語』
序論 - ゾハルの物語について//
悲嘆、凱旋、追放/アダムの書 - 二つの話/世界の家/延期された死/花婿の沈黙/ヨナ再話/罪と悔いの話/子供の涙とその父親の復活など、
172ページ。


 『ゾハル』の解説として、上記諸書の序論等、
ショーレム『ユダヤ神秘主義』(1985)の「第5章 ゾーハル その一 書物とその著者」および「第6章 ゾーハル その二 ゾーハルの神智学的教義」
とともに、プリツカー版英訳へのガイドとして刊行されたのが;

Arthur Green, A Guide to the Zohar, Stanford University Press, Stanford, California, 2004
『ゾハルへのガイド』
序論;プロローグ/カバラー的伝統 - ゾハルまでの手短な歴史/カバリストたちの教説 - 10のセフィロート//
ゾハルとは何か?;ゾハル - トーラーについてのミドラシュ/ゾハルの語り口/ゾハルの神秘主義/歴史的文脈におけるゾハル//
ゾハル中のいくつかの主題;創造と起源/諸世界の間で/悪と悪魔的なるもの/トーラーと啓示/十戒/アヴォダー - 崇拝の命/
義人(ツァッディーク)と敬虔の命/ユダヤの民、流謫とメシア//
テクストとしてのゾハル;ゾハル中の特殊な箇所/著者の諸問題/ゾハルの言語/ゾハルの編集と出版/ゾハルの影響と正典化など、
208ページ。

 同じ著者による→こちらも参照:「ユダヤ Ⅱ」の頁の「xi. メルカヴァー/ヘーハロート神秘主義など


Pinchas Giller, The Enlightend Will Shine. Symbolization and Theurgy in the Later Strata of the Zohar, State University of New York Press, Albany, 1993
『照らされた者は輝く ゾハルの後記の層における象徴化と降神術』
文脈に配した
Tiqqunei ha-ZoharRa'aya Meheimna/神智学的カッバラーの解釈学 - 聖なるテクストの象徴化/MaskillimTiqqunim における神秘的召命/渾沌の神話/『ハラハー』とカバラー/戒律の降神術的次元/統一化の媒介者たち - 休息日と祈りなど、
198ページ。


Pinchas Giller, Reading the Zohar. The Sacred Text of the Kabbalah, Oxford University Press, New York, 2001
『ゾハルを読む カバラーの聖なるテクスト』
『ゾハル』とその註釈者たち/
Sabba de-Mishpatim - 愛と転生/Hormanuta - ゾハル的な創造の伝承/Idrot - 文学的伝統/Idrot - 顔貌の教義/Idrot を読む/附録 Idra テクストなど、
264ページ。


 同じ著者による→こちらを参照:本項下掲のピンカス・ギラー、『カバラー』、2014

………………………

 日本語によるカバラーの歴史研究として(→近代のいわゆる隠秘学系のものについては、「xvi. その後、その他」の項を参照);

箱崎総一、『ユダヤの神秘思想 カバラ』、新人物往来社、1974
発端 - 死海の書の発見//
白い魔術;白い魔術/護符/悪魔学/悪霊アスモデウス/占い/悪魔の目/占星術/ゲマトリア//
伝承;神秘思想/隠された知恵/カバラの伝承/エノクの書/創造の書/
光輝(ゾハール)の書//
思想家たち;離散の旅/古代都市アレクサンドリア/アレクサンドリアのフィロ/マラガのイブン・ガビロール/コルドバの哲学者/盲人のアイザック/ゲロナのアズリール/サフェドのカバラ思想家/ルーリアのカバラ思想家/フィレンツェのピコ・デ・ミランドーラ/スミルナ生まれの
偽救世主(スドメシア)//
ことば;瞑想/ネオ・ピタゴラス派/巨人伝説とアダム・カドモン/エン・ソフ/セフィロトと流出/虚無/
天の車(メルカバ)//
光輝(ゾハール)の書;ゾハールの書/
序章(ベレシテ)/隠された知恵の書/大集会/神秘の神秘/老人の説話/子供/学院の長老/隠された聖書注解書/信仰深い牧者/流布//
神秘世界への回帰など、
230ページ。

 目次からも見てとれるように、資料の扱いはいささか怪しげですが、読み物としては面白かったとの印象が残っています。
 同じ著者による次の本とともに、→こちらも参照:「ユダヤ」の頁の「vii. ユダヤ思想史など


箱崎総一、『カバラ ユダヤ神秘思想の系譜』、青土社、1986
まえがきにかえて - ニューヨーク市立病院の出会い//
カバラの起源;シルクロードのユダヤ人/タルムードの成立/死海の書/メルカバの秘儀//
創造の書;宇宙創造/象徴の言語/母なる文字//
預言者たち;ガビロールの受難/聖人マイモニデス/盲人イサクと聖なる言葉//
光輝の書;光輝の書の誕生/旧約とカバラ/隠れたる神/死後の霊/カバラ伝承//
カバリストの系譜;カロの生涯/コルドベロとルーリア/キリスト教カバリスト/偽救世主サバタイ・ツヴィ//
カバラと現代;カバラ復権/ユングの幻視/フロイトの原風景など、
456ページ。


エーリヒ・ビショフ、林睦子訳、『カバラ Q&A ユダヤ神秘主義入門』、三交社、1995
原著は Dr. Erich Bischoff, The Kabbaka. An Introduction to Jewish Mysticism and Its Secret Doctorine, 1985
 もと1910年頃ドイツで出版されたとのこと(p.199)
カバラの特徴と起源/カバラの教義/カバラの人間学/カバラの魔術/カバラの歴史など、
204ページ。


パール・エプスタイン、松田和也訳、『カバラーの世界』、青土社、1995
原著は Perle Epstein, Kabbalah. The Way of the Jewish Mystic, 1978
神秘家の生活 準備段階 - 畏敬の開拓;秘密の園/バヒヤ・ベン・ヨセフ・イブン・パクダ:「汝の心で神を知れ」/ツファット:ユダヤのシャングリ=ラ/モーセス・コルドヴェロの「13の聖なる属性」/生命の樹/イサク・ルリア:ツファットの「獅子」/モーセス・ルツァトーとその一門/ベト・エルの秘儀//
  愛 - 神への旅;旅人への警告/〈絶対者〉の幻視/ラビ・ネフニアー・ベン・ハカナ:神の玉座への接近/『光の書』/宇宙的肉体の顕示/神の女性的側面/神の熱心な探求者//
カバラーの修行 セフィロトの小径;ラビ・シメオン・バル・ヨハイと『ゾハル』/聖なる御名のある〈宇宙樹〉/ソロモン王の呼吸訓練/「シェマ」への瞑想/アブラハムの霊的な旅/セフィロトの紐帯/道家の瞑想法との類似//
  文字の小径;アブラハム・アブラフィア:
文字置換(ツェルフ)の師家/民衆を扇動する神秘家/熱誠/御名への瞑想/「シェファ」:神聖なる流入/山の大きさの文字/アッコのイサク:「『トーラー』のために自己を殺せ」/「ツェルフ」への後の批判//
  法悦の小径 - ハシディズム;バアル・シェム・トヴ:人間、現実主義者、賢者/ハシディズムの方法:祈り/遍歴の説教師、バアル・シェム・トヴの弟子となる/ハシドの無意識の旅/三人の巨人/レベ・ナクマンの神との対話/レベ・シュネウル・ザルマン:知的な神秘家/動物的自己を従える/完全な「シャバト」を築く/ルバヴィチのドヴ・バエル:法悦の十段階//
デヴェクト - 神への帰依 神の道;預言/超自然的指導霊/ヨセフ・カロの秘密の日記/思考の幻像//
エピローグ カバラーの未来に関する個人的見解など、
244ページ。


ロラン・ゲッチェル、田中義廣訳、『カバラ』(文庫クセジュ 818)、白水社、1999
原著は Roland Goetschel, La Kabbale, 1993
序 カバラの本質//
古代のユダヤ神秘主義;黙示文学のエゾテリスムと神秘主義/クムランの証言/ラビ時代の神秘主義/「ヘカロート」文学/メルカーバー神秘主義とグノーシス主義/ユダヤの宇宙論文学から『セーフェル・イェツィラー』まで//
「ゲオニム」からラインの敬虔主義まで;「ゲオニム」時代(640~1048)のユダヤ神秘主義/イスラム教アラビアの影響とイスラムの地における敬虔主義/アシュケナージ世界におけるユダヤ敬虔主義//
1150年から1492年までのカバラ運動;プロヴァンス地方とラングドック地方のカバラ/カタロニアとカスティーリャのカバリストたち/「ゾーハル」とその周辺//
初期カバラの世界像//
サフェドのカバラとその遺産;追放後のカバラ文学/サフェドのセンター/イサアク・ルリアとその後継者たち/ルリアのカバラから近代へ、など、
178ページ。

 小著ながらバランスのとれた通史でした。


チャールス・ポンセ、邦高忠二訳、『カバラー 今日の世界のための序説と解明』(ユダヤ・イディッシュ基本叢書 2)、創樹社、2001
原著は Charles Poncé, Kabbalah. An Introduction and Illumination for the World Today, 1973
序論//
カバラーの背景;ユダヤ宗教の伝統文学/ユダヤ宗教の神秘文学/カバラー思想の本質と起源//
カバラーの教義;エン・ソフとセフィロート/神の数、名前、文字、計算/人間の本質//
カバラーの現在など、
288ページ。


 毛色を異にするのが;

A.サフラン、西村俊昭訳、『カバラ ユダヤ教思想の統一性と永続性』、創文社、1994
原著は Alexandre Safran, La Cabale, 1960
『カバラ』の統一性 伝承、法、歴史;『カバラ』と歴史/啓示と法/歴史と法/言葉と伝承/書かれた法と口伝法/口伝『トーラー』の力動性/法の神秘/文書の背理/書かれた伝承と口伝承/忘却からの保護/二つの『トーラー』の編年的順序/言葉と文書/思想の「集中化」/絶対への渇望と絶対に対する恐れ/智者の謙遜/人格性と普遍性/匿名の思想、世代の貢献/『カバラ』の人格的要素/「ハラハ」と「アガダ」/「メクバル」という言葉/「セミハ」:叙任、按手/伝統と革新/「今日」の価値//
  歴史、自然、トーラー;世界と『トーラー』の更新/更新の二重の次元/時における進歩/天の『トーラー』と地の『トーラー』.古さと新しさ/「ヒドゥシュ」、過去の現在化/論争についてのカバラ的観念/人格の独立性と共同の探求/伝統の権威と解釈の自由/人間的『トーラー』に向かって/人間の知的道徳的至高性/個人的責任と共同体的規律/共同体的至高性/『トーラー』、共同体的遺産と個人的征服/『カバラ』の継続性/『カバラ』の統一性、イスラエルの歴史の普遍性/相補性の原則/合理的知識と神秘主義的知識/歴史:統一と二元論/垂直的相補性/「ツァディク」の生の理想/禁欲主義の価値/瞑想的志向性と道徳的志向性/『カバラ』の内的統一性//
『カバラ』の教義 人から神へ;神の知識/神と出会うために/神の現実/信仰、疑問、従順/科学的思想と『カバラ』の思想/哲学の神と『カバラ』の神/神の経験/神の確実性/心/人格的な、完全な、しかし決定的でない信仰/信仰と理性/信仰と意志/人間中心主義と人間の責任/謎と探求/主張と質問/言葉と沈黙、驚嘆と服従/「シェマ」/ユダヤ教の『アイン』とヒンズー教の無、神概念のヘブル的否定とギリシャ的肯定/「エムナ」:盲目と明晰/知識と感情、視覚と行為/「ハムシャハ」の両極性/『アイン』から『アニ』へ:非人格的否定から人格的肯定へ/奇跡の意味/『トーラー』、自然の鍵/『トーラー』による神の知覚/『トーラー』の学問/『トーラー』の直接的意味/神の意志と人間の意志/創造/存在から虚無へ//
  神から人間へ;虚無から存在へ/知恵と愛、意志と喜び/「ヘセド」と「エメト」/思想/言葉/『ルーアッハ』と『レアッハ』/光り/「ツィムツム」/矛盾のイメージ/表象、真理、人格/『無限』の引き上げと容器の破壊/世界の神への返還など、
520ページ。

 なかなか難しかったこととともに、

 「ドイツユダヤ教学派の合理主義的批判的方法は、ユダヤ教神秘主義の近代歴史研究において優位に立っていた。ユダヤ教神秘主義を、宗教史の一問題として、むしろ外側から判断し、それをユダヤ教の真正な生活の一現象として、内部から十分解明しないで、ユダヤ教神秘主義の同時代の歴史家たちは-思想家たちすらも-それをハラハ(ヽヽヽ)から分離したのである」

と述べ(pp.247-248)、ここに註を付してショーレムとブーバーの著書を指示していた点が印象に残っています(p.478 註340)。

 Moshe Idel, Kabbalah. New Perspective, 1988

でショーレム批判の一つとして、歴史家と実践者の協力や口伝の重視を説いている箇所を読んだ時(第2章
“Methodological Observations”参照)、思いだされたのが上のくだりでした。
 この点については、次の本の「第1章 2 伝統的カバリストと学術的研究者」も参照。

ピンカス・ギラー、中村圭志訳、『カバラー 知の教科書』(講談社選書メチエ 584)、講談社、2014
原著は Pinchas Giller, Kabbalah: A Guide for the Perplexed, 2011
カバラーとは何か;ユダヤ教の形而上学/伝統的カバリストと学術的研究者/標準的ユダヤ教としてのカバラー/カバラー理解の端緒//
カバラーの歴史;「過去の宗教」/「創造のわざ」と「戦車のわざ」/初期のカバラー/ドイツ(ラインラント)の敬虔主義/『セーフェル・イェツィーラー』と『バーヒールの書』/カバラーと哲学/『ゾーハル』/アブラフィア/ツファト/コルドヴェロとルーリア/エルサレム/スファラディ系社会/ハシディズム/いくつかの系譜/ミトナグディーム/新たな構築//
カバラーの形而上学;流出/セフィーロート/マルフート、イェソード、ネツァハ、ホード-ネフェシュのセフィーロート/ヘセド、ディーン、ラハミーム-ルーアハのセフィーロート/聖書の範例的人物/シェヒーナー - カバラーの中心的象徴/ホフマー、ビーナー、ダアト-ネシャーマーのセフィーロート/ダアトとケテル/アツムートとケリーム/四世界/民衆的カバラー//
ルーリアのカバラー「イドロート」と顔(パルツーフィーム)/顔(パルツーフィーム) - ルーリアの理解/世界の創造/楽園追放と神的な破局/ツィムツームと器の破裂/受胎/ルーリアの新機軸/ルーリア説の学術的評価//
霊魂;放浪する霊魂/ネフェシュ、ルーアハ、ネシャーマー/改宗とネシャーマー/転生//
神秘主義的実践とミツヴォート;マイモニデスとナハマニデスによるミツヴォートの根拠/哲学と清浄性/悪の本性/魔的存在/倫理と敬虔/法とジェンダー/結婚生活における重大な変動/家父長制/安息日/礼拝規定/分離/祝祭日/贖罪のサイクル/巡礼の祝祭/過越しの祭りとオーメルを数えるミツヴァー/カバラーにおける法の働き//
祈り;カッヴァーナー/合一としての祈り/デヴェークートと思考/四世界における上昇/礼拝規定の発達/ハシディズムの祈り/祈りの体験の真正性//
瞑想との関係;カバラーにおける平行事例/アブラフィア派と支持者/瞑想とカバラー//
神の名名の用い方/ミルーイーム/42字の名と72の名/名と祈り//
カバラーと現代のユダヤ教;学術的研究/ニューエイジ/カバラー・センター/ハシディズムの変貌/ユダヤ教復興運動/非アシュケナジ系のカバラー/将来の展開など、
320ページ。


 →こちら(本項下掲のAryeh Kaplan, Immortality, Resurrection, and the Age of the Universe : A Kabbalistic View, 1993 のところ)や、またそちら(本頁下掲の「xiii. ルーリアのカバラーなど」)でも挙げています
 同じ著者による→あちらを参照:本項上掲の Pinchas Giller, Reading the Zohar. The Sacred Text of the Kabbalah, 2001

山本伸一、『総説カバラー ユダヤ神秘主義の真相と歴史』、原書房、2015
カバラーの歴史;古代ユダヤ神秘思想・カバラーの黎明期/スペイン追放によるカバラーの多様化/カバラーの新たな展開/現代におけるカバラーの普及と拡散//
カバラーの思想;セフィロート体系/世界の創造と神の身体/終末論とメシアニズム/世界周期論/霊魂転生論/律法と戒律/ヘブライ語とヘブライ文字/呪術とテウルギア/預言と啓示など、
390ページ。


 本書の書評;

志田雅宏、「書評 山本伸一、『総説カバラー ユダヤ神秘主義の真相と歴史』」、『ユダヤ・イスラエル研究』、31巻、2017、pp.43-46 [ <J-STAGE ]
DOI : https://doi.org/10.20655/yudayaisuraerukenkyu.31.0_43

 同じ著者による→こちら(本項下掲ナフマニデス関連箇所)を参照

後藤正英、「書評と紹介 山本伸一、『総説カバラー ユダヤ神秘主義の真相と歴史』」、『宗教研究』、91巻2号、2017、pp.315-319 [ <J-STAGE ]
DOI : https://doi.org/10.20716/rsjars.91.2_315

  山本伸一による→こちら(本頁下掲の「xv. ルーリアのカバラーなど」)や、そちら(本頁下掲の「xvi. サバタイ派、フランク派など」)、またあちら(「日本 Ⅱ」の頁の「x. いわゆる古史古伝・偽史、神代文字など」)、さらにここ(「ユダヤ Ⅱ」の頁の「x. ショーレム以後、その他」)を参照


 第2部第9章「世界周期論」に関連して→こちら等(「ユダヤ Ⅱ」の頁の「ix. ショーレムの著作とその周辺」)やそちら(「世界の複数性など」の頁中)、またあちら(「近代など(20世紀~) Ⅲ」の頁の「x. フランスから」も参照
 また同章中でのイスマーイール派との比較に関連して→ここ(「ユダヤ Ⅱ」の頁の「xi. メルカヴァー/ヘーハロート神秘主義など」)や、そこ(「イスラーム Ⅱ」の頁の「vi. イスマーイール派など」)も参照。
 さらに比較の対象として→あそこも参照:「仏教」の頁の「i. 須弥山/三千大千世界/四大劫・六十四転大劫など」中の 松山俊太郎、「インドの回帰的終末説」(1982)のところ

 この点に関しまた;

Shinichi Yamamoto, "A Comparative Analysis of Kabbalistic and Ismāīlī World Cycles", 『CISMOR ユダヤ学会議』、第8号、2015.12.18、pp.104-112 [ < CISMOR 同志社大学 一神教学際研究センター

 →こちらにも挙げておきます:「イスラーム Ⅱ」の頁の「vi. イスマーイール派など
………………………

 まずは Scholem, Kabbalah, 1978 だとして;

Elliot K. Ginsburg, The Sabbath in the Classical Kabbalah, The Littman Library of Jewish Civilization, Oxford, Portland, Oregon, 1989/2008
『古典的カバラーにおける安息日』
序論 古典的カバラー、その歴史と象徴的宇宙 古典的カバラーの歴史的輪郭;起源/ジローナのカバラー/12世紀のカバラーにおける他の潮流/『ゾハル』/14世紀からサーフェード・ルネサンスまでのカバラー//
  〈セフィロート〉とそのシンボリズム;構造的概観/セフィロート展開の力動性 - 流出の段階としての〈セフィロート〉/神秘的上昇の段階としての〈セフィロート〉/セフィロート・シンボリズムについてのさらなる考察//
  ゾハルのテクストを読む//
カバラー的安息日のシンボリズム - モティーフの研究 歴史的概観;古代における安息日/ラビ的安息日/中世の哲学者における安息日/カバラー的安息日の際だった特徴/セフィロート的安息日//
  モティーフ研究;宇宙的祝福の源泉としてのシャッバト 主題の概観、聖なる中心としての安息日/安息日の変容/成就された時としての安息日//
    神的変容 - 〈聖婚〉としての安息日;ラビにおける先駆/〈ヘーハロート〉神秘主義-
Seder Rabba' di-Vre'shit の証言/カバラー以前の中世における婚姻像の理解/『バヒールの書』の衝撃/ナフマニデス的伝統における婚姻像/『ゾハル』における〈聖婚〉/『ゾハル』以降の婚姻のモティーフ//
    人格の変容 - 安息日=魂;ゾハル以前の展開/モーシェ・デ・レオンの著作と
Tiqqunei ha-Zohar/Raͨaya' Meheimna' における安息日=魂/用いられた描像/シャッバトの存在開始としての Neshamah Yeterah の受容/シャバットの間の安息日=魂の衝撃//
    まったき安息日である宇宙 - いくつかの結論//
カバラーの儀礼における意味の諸相 - シャッバトの場合にとりわけ言及しつつ;第2~4章への実用的序論//
  カバラー儀礼の類型論;ラビ的儀礼とカバラー的儀礼 - いくつかの対比//
  シンボリズムと魔術 - カバラー儀礼の存在論的構造//
  カバラー儀礼の重層的な帰結;聖なる劇としての儀礼/人間の変容の媒介としての儀礼/降神術的行為としての儀礼//
  結論としての例//
準備の儀礼 空間領域への安息日の投影 - 人の家と宮廷の場合;人の住居を変容することの意義/宮廷合体の制定-
ͨEruvei Ḥaẓerot//
  内面化するシャッバト - 小宇宙としての身体;爪の対/入浴と沐浴/着衣の儀式-
Tolaͨat Yaͨaqov の話/『ゾハル』と Tiqqunei ha-Zohar/Raͨaya' Meheimna' における安息日衣装/結論//
分離の儀礼 - ゾハル的カバラーにおける安息日の出発のドラマ;締めの祈り - 厄除けの必要//
  「ワインの上での〈ハヴダラー〉」;治癒の儀礼としての〈ハヴダラー〉の祝福/ギンバイカのシンボリズム/火の上での祝福 
Siṭra' 'Aḥra' の再出現、宇宙的防備の変化 - 天使の領域の公認/締めの祝福、締めの考察//
  (『ゾハル』からの)エピローグ//
附録;シャッバトの間の人格の変容に関するさらなる考察/神と人間との結びつきを拡大する手段としての安息日=儀礼 - ゾハル的カバラーからの2例など、
362ページ。


Aryeh Kaplan, Immortality, Resurrection, and the Age of the Universe : A Kabbalistic View, KTAV Publishing House, Inc., Hoboken, NJ, 1993
『不死、復活、宇宙の年齢 - カバラー的見解』
緒言
Judah Mansbach/前書きPinchas Stolper//
宇宙の年齢/ユダヤ資料における長生と不死/復活について/占星術 - 星々と天使たち/男性と女性//
附録 Rabbi Israel Lipschitz, Derush Or ha-Hayyim, 1842 翻訳・註解: Yaakov Elman
  死の挑戦;死と真っ直ぐ向きあうことの利点/時間の跡をつけること/大切なことを見失わないこと//
  死後の生と死者の復活 死後の魂の残存の証明;経験から/全体としての世界から/自然一般から/聖なる者から/トーラー自体から//
    死後の魂の状態;根絶
Karetという罰の正義に対する反対/答え - 神の二つの光/死後の魂の浄化 義人、普通の人々根絶Karetという罰について//
    死者の復活と復活後の生の性質;信仰の原理の性質/死者の復活の原理とトーラーの信憑性の証明,我々の世界以前の諸世界、地質学的・古生物学的発見、創世記第1章、初期の人間/我々の未来の知的達成/復活以後の啓示/死者の復活の目的/復活後の魂の生//
    コーダ-死の恐怖は克服されねばならない、 など、
182ページ。

 同じ著者による→こちら(「ユダヤ Ⅱ」の頁の「xi. メルカヴァー/ヘーハロート神秘主義など」)、またあちら(本項上掲の Aryeh Kaplan, The Bahir, 1979)も参照

上掲のギラー『カバラー』(2014)、p.280 註8 で「大衆的著述家である Aryeh Kaplan」と記されていました。同書p.225も参照。

Lawrence Fine ed., Essential Papers on Kabbalah, New York University Press, New York, London, 1995
『カバラー論精要』
序論(ローレンス・ファイン)//
神秘的なモティーフと神学的理念;ゾハル - 中世スペインにおけるユダヤ神秘主義(アーサー・グリーン)/アイン - ユダヤ神秘主義における無の概念(ダニエル・C・マット)/ゾハルにおける人間の教義(イザイア・ティシュビー)/サマエル、リリートと初期カバラーにおける悪の概念(ヨセフ・ダン)/ユダヤ神秘主義におけるトーラーの意味(ゲルショム・ショーレム)/ゾハルとルーリア派カバラーにおける神話対象徴(イェフダー・リーベス)/
Galya Raza における輪廻の教義(ラヘル・エリオール)/劫罰の永遠性 - 17世紀30年代のアムステルダムのラビ間での神学的論争(アレクサンダー・アルトマン)//
神秘的指導者性と人格;後期ユダヤ教における〈世界軸〉としての〈義人〉(アーサー・グリーン)/額占い - イサアク・ルーリアのカリスマ的知識の研究(ローレンス・ファイン)//
祈禱の実践と神秘的経験;ゾハルにおける祈りと献身(イザイア・ティシュビー)/安息日準備のカバラー的儀礼(エリオット・K・ギンズバーグ)/神秘的技法(モーシェ・イデル)/割礼、神の幻視とテクスト解釈 - ミドラシュ的文彩から神秘的象徴へ(エリオット・R・ウォルフソン)/高僧としての女性 - 安息日の蝋燭に火を点すためのイディッシュ語のカバラー的祈り(チェヴァ・ヴァイスラー)など、
562ページ。

 すでに各著者の単行本に登場した論考がいくつかあります。下線を引いたものは、リンク先にその単行本を記してあります。


Daniel C. Matt, The Essential Kabbalah. The Heart of Jewish Mysticism, HarperCollins Publishers, 1995/1996
『カバラー精髄 ユダヤ神秘主義の芯』
序論 - 果樹園瞥見//
目的/神の性質//
エン・ソーフ - 無限としての神/エン・ソーフとセフィロート/アイン - 神秘主義的無/10のセフィロート/創造/アルファベットの諸文字/心、瞑想と神秘主義的体験/観想の諸危険/啓示とトーラー/物質界で生きる/カバラーの知恵など、
234ページ。


 編者は後に『プリツカー版ゾハル』第1~9巻(2004~2016)の訳者となります。テーマごとに『ゾハル』やコルドヴェロその他さまざまな文献から抜粋したアンソロジー。

Moshe Hallamish, translated by Ruth Bar-Ilan and Ora Wiskind-Eloer, Introduction to the Kabbalah, State University of New York Press, Albany, 1999
『カバラー入門』
カバラーとその達成;神秘主義とカバラー/カバリストとそのカバラー/前提/早期の準備/神秘家が直面する危険/神秘を開拓する技法/カバラーの評価/啓示の起源//
カバラーの基本的概念;セフィロートの教義/善と悪/創造の教義/トーラー/魂の教義/転生の教義など、
390ページ。


Rabbi Raphael Afilalo, Kabbalah Dictionary. Tanslation and Explanation of Terms and Consepts of the Kabbalah, Kabbalah Editions, 2005
『カバラー辞典 カバラーの用語および概念の翻訳と説明』
序説/カバラー/カバラーとカバリストたちの手短かな歴史//
カバラーの主な概念;
Hishtalshelut - 事象の鎖/創造/ツィムツーム ー 収縮/Reshimu -刻印/Kav - 光線/セフィロート/Sephirot Ha'Igulim - 円の/Sephirot Ha Yashar - 直線の/セフィラー/アダム・カドモン - 原人間/Miluyim - つづり方/BaN(52) のセフィロート/Shvirat HaKelim - 器の破壊/Rapa'h Nitsutsot - 288の火花/Mah(45) のセフィロート/PARTSUFIM - 布置/PartsufPartsuf 'Atik YominPartsuf Arikh AnpinPartsufim(布置) AbahImahPartsuf Zeir AnpinPartsuf NukvahMo'hin -脳/Zivugim - 合一/4つの世界/アツィルート - 流出/ベリアー - 創造/イェツィラー - 形成/アシアー - 行動/ティックン - 修復あるいは行動/Hanhagua - 案内/Ratson Lehashpia' - 授ける意志/Ratson Lekabel - 受けとる欲望/Giluy Yi'hudo - その一性の啓示//
辞典など、
496ページ。


Edited and translated with an introduction and notes by Alan Unterman, The Kabbalistic Tradition. An Anthology of Jewish Mysticism, (Penguin Classics), Penguin Books, 2008
『カバラー的伝統 ユダヤ神秘主義選文集』
序論//
神;擬人神観/無限の神性(エン・ソーフ)/関係の中の神/聖霊/諸偶像/神的内在/セフィロート/神的臨在(シェキナー)/聖四文字/トーラー/超越//
宇宙;占星術/創造/煉獄(ゲヒンノム)/楽園/光/位置/神的収縮(ツィムツーム)//
天使たち;天使論/守護天使たち/天使メタトロン//
聖典 - 聖書の人物たちと諸主題;アブラハム/アダム/エリヤ/エノク/モーセ/詩篇//
自然および超自然の世界;アルファベットと言語の潜在力/護符/アラム語/天の声(バト・コール)/文学と神秘主義的寓話/神秘主義/神の名//
超自然的な諸力;神にくっつく(デヴェクート)/人造人間(ゴーレム)/草/医学/秘密の魔術的療法(Segulot)/義人(ツァッディーク)/各世代における義人/ツァッディークの本性/水//
男たちと女たち;身体/人の本性/ユダヤ人と異教徒/男性と女性/性的関係/沈黙/ヴァルカのレッビ・メンデル(1819-67)、沈黙について/魂/話し言葉/怒りと憐れみ//
儀礼;祭壇/アーメン/祝福/慈善/割礼/舞踏/神への焦点/食物/食後の感謝の祈り/髪/肉/沐浴(ミクヴェー)/戒律(ミツヴァー)/聖句箱(テフィッリン)/祈り//
聖なる空間と聖なる時間;聖なる空間/聖なる時間-断食と祝祭//
死と来世;死を避ける/来世/埋葬/死と死去/影/転生//
暗い諸力;悪と罪 深淵/悪の暗い諸力/悪しき傾向/原罪/悔悛/殻/罪/聖性の火花//
  悪霊たち アスモダイ/悪霊論/リリート/サマエル/サタン/蛇//
贖罪;メシア/復活/来るべき世界など、
428ページ。


 上掲の Daniel C. Matt, The Essential Kabbalah. The Heart of Jewish Mysticism, 1995/1996 とも通じる趣向のアンソロジー。『ゾハル』、ハッイーム・ヴィタールによるルーリア派の文献、一部のハシディズム関連などから選んだとのこと(p.xlii)。

Eitan P. Fishbane, As Light before Dawn. The Inner World of a Medieval Kabbalist, (Stanford Studies in Jewish History and Culture), Stanford University Press, Stanford, California, 2009
『夜明け前の光のように 中世のあるカバリストの内的世界』
文脈;視野と新たな方向 - 研究者界の現状についての省察/さまよえるカバリスト - 歴史的プロフィールと文脈//
受容と伝達;伝統を受けとり、権威を構成する/意図、そして意味の再発見/秘密を見る - 創造的過程と洞察の解釈学//
観想の実践、神秘的経験;観想、降神術的働きかけと神の臨在/神秘的観想の技法 - カッヴァナーと献身の経験/禁欲主義、預言と神秘的合一など、
336ページ。

 本書の主題となっているのは
Isaac ben Samuel of Akko で、
「カバラーのこれら二つの相対的に区別できる様態間の〈架け橋〉の一例」で、「〈セフィロート〉のナフマニデス的カバラーと、ユダヤ=スーフィー的でアブーラーフィアに触発された東方のカバラー双方からの、支配的な影響を反映している」
とのことです(pp.5-6)。

………………………

 この他;

Rabbi Joseph Gikatilla, translated & with an introduction by Avi Weinstein, Gates of Light. Sha'are Orab, (Bronfman Library of Jewish Classics), Altamira Press, 1994
『光の門 Sha'are Orab
緒言
Arthur Hertzberg/訳者序論/歴史的序論(モーシェ・イデル)//
光の門;序論/第1の門 - 第10の領域/第2の門 - 第9の領域/第3-4の門 - 第8-7の領域/第5の門 - 第6の領域/第6の門 - 第5の領域/第7の門 - 第4の領域/第8の門 - 第2の領域/第9の門 - 第2の領域/第10の門 - 第1の領域など、
436ページ。

 ヨセフ・ヒカティーリャは 1248 年生まれのカスティーリャのカバリスト。


 ナフマニデスの活動はカバラーの領域に限られるわけではありませんが;

David Novak, The Theology of Nahmanides Systematically Presented, (Brown Judaic Studies 271), Scholars Press, Atlanta, Georgia, 1992
『組織的に呈示されたナフマニデスの神学』
序論/人間の魂/信仰/伝統/奇跡/自然的と超自然的/イスラエルの地/戒律/終末論など、
164ページ。


Nina Caputo, Nahmanides in Medieval Catalonia. History, Community, and Messianism, University of Notre Dame Press, Notre Dame, Indiana, 2007
『中世カタルーニャにおけるナフマニデス 歴史、共同体とメシアニズム』
マイモニデス論争 - 理にかなった信仰を擁護して/時にかなった物事 - ナフマニデスによる創世記の歴史的読解/バルセローナの討論 - テクスト、修辞と文化的政治/贖罪の敷居で - ダニエルと13世紀カタルーニャにおけるメシアに関する言説/言語と文学 - カタルーニャ語におけるナフマニデスの討論の話と語り、など、
328ページ。


志田雅宏、「ナフマニデスの『ヨブ記註解』研究序論 - 中世ユダヤ教聖典解釈の方法に対する理論的アプローチ -」、『東京大学宗教学年報』、no.25、2007.3.31、pp.89-107 [ < 東京大学学術機関リポジトリ(UT Repository) ]

志田雅宏、「ナフマニデスのトーラー註解研究」、『宗教研究』、vol.81 no.4、2008.3.30、pp.1007-1008[ < CiNii Articles

志田雅宏、「ナフマニデスにおける聖書の読み - 説教と註解 -」、『宗教研究』、vol.82 no.4、2009.3.30、pp.1081-1082[ < CiNii Articles

志田雅宏、「中世ユダヤ教における『イスラエルの地』」、『宗教研究』、vol.84 no.4、2011.3.30、pp.1061-1062[ < CiNii Articles

志田雅宏、「ナフマニデスのメシアニズム - バルセロナ公開討論からの展開 -」、『宗教研究』、vol.86 no.1、2012.6.30、pp.27-52[ < CiNii Articles

志田雅宏、「ナフマニデスと『セフェル・イェツィラー』」、『京都ユダヤ思想』、7巻、2016、pp.7-35 [ < J-STAGE ]
DOI : https://doi.org/10.50954/kyotojewishthought.7.0_7

 同じ著者による→こちら(本項上掲アブラフィア関連箇所)や、またそちら(本項上掲山本伸一『総説カバラー ユダヤ神秘主義の真相と歴史』(2015)のところ)を参照

 また;

ハイアム・マコービイ、立花希一訳、『バルセロナの宮廷にて ユダヤ教とキリスト教の論争』、ミルトス、2007
原著は Hyam Maccoby, The Disputation, 2001
166ページ。

 「序 バルセロナ論争について」(ジョナサン・サックス)に曰く、

 「マコービイの戯曲は、正確な歴史叙述を意図したものではない」(p.5)。


レオン・シュケナジ、「カバラ思想における魂と創造の関係」、大沼忠弘監訳、『意識の遍歴 科学と意識シリーズ 4』、たま出版、1987、pp.111-137
「1979年、スペインのコルドバで行われた国際シンポジウムの報告書『科学と意識』の第四部に当る」とのこと(p.3).。
原著は
Science et consceience, 1980

森田雄三郎、「『ゾーハル』序説」、『同志社商学』、41巻3-4号、1989.12.15、pp.92-116 [ < 同志社大学学術リポジトリ
Permalink : http://doi.org/10.14988/pa.2017.0000006799

 同じ著者による→こちらを参照:本頁下掲「xvii. 応用篇など」中の「創造と進化 - 創造における無 ー」(1990)

荻本幸、「ダヴイッド・ベン・ユダ・ヘ・ハシードにおける祈りのカバラ的解釈」、『宗教研究』、vol.77 no.4、2004.3.30、pp.1001-1003[ < CiNii Articles

荻本幸、「ユダヤ教における祈祷上昇の概念 - ラビ文学からカバラまで -」、『宗教研究』、vol.81 no.4、2008.3.30、pp.1008-1009[ < CiNii Articles

Timothy Scott, “Edom and Eden: remarks on cosmogonic symbolism”, Vincit Omnia Veritas, 3.1, 2007 [ < Religio Perennis

 〈エドム〉について→こちらも参照:本頁次項「xiii. ルーリアのカバラーなど」の Lawrence Fine, Physician of the Soul, Healer of the Cosmos. Isaac Luria and His Kabbalistic Fellowship (2003)のところ

xiii. ルーリアのカバラーなど

 ルーリアのカバラーに入る前に、同じサーフェード(ツファット)で少し先行して活動したコルドヴェロについて;

Rabbi Moses Cordovero, translated withe an introduction and notes by Louis Jacobs, The Palm Tree of Deborah, Sepher-Hermon Press, New York, 1960/1974/1981
『デボラの椰子の樹』
序論;モーセス・コルドヴェロ/コルドヴェロの著作/デボラの椰子の樹/神のまねび/10のセフィロート/デボラの椰子の樹の分析/椰子の樹の影響/コルドヴェロの典拠/コルドヴェロの文学的様式//
デボラの椰子の樹など、
134ページ。


Ira Robinson, Moses Cordovero's Introduction to Kabbakah : An Annotated Translation of His Or Ne'erav, The Michael Scharf Publication Trust of the Yeshiva University Press, New York, KTAV Publishing House, Inc., Hoboken, NJ, 1994
『モーセス・コルドヴェロのカバラー入門 Or Ne'erav の註釈付き翻訳』
序論//
第1部「この学から離れている者たちの意見のために起こる害を正すことについて」;第1章~第6章//
第2部「神学を学ぶために啓発された者の義務について」;第1章~第2章//
第3部「研究の作法と時間について」;研究の時間/研究の作法/[学生は]誰から学ぶのか?/この学を他人に教えるためのふるまい方/第5章//
第4部「我らが聖なるトーラーの他の部分よりこの学が優れていることについて」;第1章~第2章//
第5部「我らが聖なるトーラーの他の部分を超えたこの学の徳について」;第1章~第2章//
第6部「『柘榴の園』の各部分[に応じた]この学の初心者にとって必要な準備について」;第1章~第6章//
第7章「いくつかの[神的な]呼称の手短な説明」//
附録-導入の素材;タイトル・ページ/
Moses Bassola による序論/Gedaliah Cordovero による序論/編者前書きなど、
272ページ。


 コルドヴェロの主著とされるのが;

Moshe Cordovero, translated by Elyakin Getz, Pardes Rimonim. Orchard of Pomegranares. Part 1-4. Fabrizio Lanza, ULC-ITALIA, 2007
『柘榴の園 第1-4部』
前書き
(Talib Din)//
序論/第1部「10で、9ではない」/第2部「
流出(アツィルート)の理由」/第3部「無限は王冠か?」/第4部「実体と器」//
ヘブライ語原文など、
332ページ。

 原著は全32部ということなので、全8巻前後となるのでしょうか。しかし値が高い。


Moshe Cordovero, translated by Elyakin Getz, Pardes Rimonim. Orchard of Pomegranares. Part 5-8:5. Fabrizio Lanza, ULC-ITALIA, 2010
『柘榴の園 第5-8部5章』
前書き
(Talib Din)//
第5部「流出の順序」;〈ゲオニーム〉と聖典による流出の順序/時として勝利と栄光に先立つ基礎/註釈者たちの見解の説明/天の本質は王冠によっても知恵によっても明かされない/最初の三つの流出/流出の正しい順序//
第6部「それらの地位の順序」;あらゆる意見による地位の順序/
Meirat Enayim の著者の説明/諸世界の順序/原因から結果にいたる〈セフィロート〉の順序/〈セフィロート〉間の分割と結びつき/〈セフィロート〉の順序/無限なるものとその広がり、そして〈セフィロート〉/属性と流出に関するよくある間違い//
第7部「導管論」;導管の性質/王冠と知恵から栄光への導管/勝利から王国への導管と栄光から王国への導管/基礎からの二つの導管/導管の異なる相//
第8部「実体と振舞い」;〈セフィロート〉とその統一性/〈セフィロート〉の名称とその共同での行動/王冠の〈セフィロート〉/光の620の柱/知恵の〈セフィロート〉//
ヘブライ語原文など、
246ページ。


Moshe Cordovero, translated by Elyakin Getz, Pardes Rimonim. Orchard of Pomegranares. Part 8:6-26. Fabrizio Lanza, ULC-ITALIA, 2010
『柘榴の園 第8部6-26章』
前書き
(Talib Din)//
第8部「実体と振舞い」;理解の〈セフィロート〉/理解は裁きか慈悲か/
A'harei Mot の講話からの説明/A'harei Mot の講話からの結論/裁きの〈セフィロート〉/〈セフィロート〉の絆とその結合/「内なる部屋での嘆き」の説明/上なる神的臨在と下なる神的臨在の流謫/『ゾハル』からの説明/最初の三つと交わることがなぜ禁じられているのか/愛しい優しさの〈セフィロート〉/美の〈セフィロート〉/美の王国との結合/覚醒、その実体と起源/覚醒の必要/抱擁/結合の本質、その利、文脈と帰結/三箇所での結合/勝利、栄光と基礎の〈セフィロート〉/愛しい優しさの系列、裁きの系列、慈悲の系列を通しての流出の実在/王国の〈セフィロート〉//
ヘブライ語原文など、
260ページ。


Moshe Cordovero, translated by Elyakin Getz, Pardes Rimonim. Orchard of Pomegranares. Part 9-12. Fabrizio Lanza, ULC-ITALIA, 2010
『柘榴の園 第9-12部』
前書き
(Talib Din)//
第9部「調和させる者たち」;調和させることの必要/調和させることとその活動/調和させる者たちの数/勝利と栄光の間で調和させる者としての基礎/知恵と理解の間には調和させる者はいるのか?/王冠と理解の間を調和させる者知恵//
第10部「色について」〈セフィロート〉における色の意味/最初の三つにおける個々の色/6つの端の色/王国の色/全ての色とそれらの関連//
第11部「清き者たち」;
Rabbi Hai Gaon の回答書/Rabbi Hai Gaon の隠された陳述の説明/王冠の上の三つの清き者たちのの回復/明るい光/清き者たちとその隠れの概念/清き者たちの説明/三つの隠された者たちの順序//
第12部「径」;その数による径/径それぞれの意味/最初の8つの径/2番目の8つの径/3番目の8つの径/4番目の8つの径//
ヘブライ語原文など、
216ページ。


Translation and introduction by Lawrence Fine, Safed Spirituality. Rules of Mystical Piety, the Beginning of Wisdom, (The Classics of Western Spirituality), Paulist Press, Mahwah, New Jersey, 1984
『サーフェード(ツファット)の霊性 神秘的敬虔の諸規則、知恵の始まり』
前書き(
Louis Jacobs)//
序論//
神秘的敬虔の諸規則;序説/モーセス・ベン・モルデカイ・コルドヴェロ/
Abraham ben Mordecai GalanteAbrahamu ben Eliezer ha-Levi Berukhim/ヨセフ・カロ/サーフェードからの付随的慣習/イサアク・ルーリア//
Elijah de Vida の知恵の始まり、Jacob Poyetto による要約;序説/悔いの門/聖性の門/謙譲の門/畏れの門/愛の門など、
222ページ。

………………………

 さて、ルーリアのカバラーについてまずは;

ショーレム『ユダヤ神秘主義』(1985)の「第7章 イサアク・ルーリアとその学派」

 また、

ショーレム『カバラとその象徴的表現』(1985)の「第3章 カバラと神話」

ショーレム『サバタイ・ツヴィ伝』(2009)の上巻「第1章 サバタイ主義運動運動の背景; Ⅳ ルーリアのカバラーとその追放ならびに救済の神話/Ⅴ ルーリアのカバラーの歴史的役割と社会的意味/Ⅵ 1665年までのルーリアのカバラーの伝播」

ショーレム「無からの創造と神の自己限定」、『エラノス叢書 6 一なるものと多なるもの Ⅰ』(1992)

 また

ピンカス・ギラー、中村圭志訳、『カバラー』、2014、pp.101-130:「第4章ルーリアのカバラー」

 などだとして;


Lawrence Fine, Physician of the Soul, Healer of the Cosmos. Isaac Luria and His Kabbalistic Fellowship, (Stanford Studies in Jewish History and Culture), Stanford University Press, Stanford, California, 2003
『魂の内科医、宇宙の治癒者 イサアク・ルーリアとそのカバラー仲間』
序論 - ルーリア派カバラー研究を具体化する/ラビ的学者、香料商人、観想的禁欲家 - エジプトでのルーリアの生活/流謫を嘆き、贖罪を求める - ルーリア以前のサーフェード/聖者性、天との連絡と占い術 - ルーリアのカリスマ的宗教権威/ルーリアの神話/魂の内科医/
TiqqunMitsvot の実施を通して宇宙を治癒する/Tiqqun -献身的な祈りを通して宇宙を治癒する/「とても特別な死者」と交わる - Yiḥudim の実践/輪廻、神秘的仲間とメシア的贖罪など、
500ページ。


 〈エドムの7人の王〉については pp.135-136→こちら(「世界の複数性など」の頁中)、またあちら(本頁上掲「xii. カバラーなど」の Timothy Scott, “Edom and Eden: remarks on cosmogonic symbolism”( 2007)も参照
 また上掲のギラー『カバラー』(2014)、pp.116-117
 次に挙げる本、とりわけ"Part 2 : Procession : The Death of Kings"なども参照。
 ただし Freedman のこの本は、ルーリアのカバラーについて概要をすでに把握していることを前提にして議論を進めるので、見取り図を引きだすにはあまり向いていません;

Daphne Freedman, Man and the Theogony in the Lurianic Cabala, (Gorgias Dissertations 12. Jewish Studies 2), Gorgias Press, New Jersey, 2006
『ルーリアのカバラーにおける人間と神統記』
序論//
起源 被造界の起源;最初の流出/男性性と女性性のシンボリズム/人間//
  神性の収縮;収縮と王たちの死/
Akudim の世界における王たちの死/器の中の火花/下位の3つのセフィロートの収縮/神性の知識//
  神性の啓示;流出の修復/啓示と隠蔽/人間の意識における啓示の目標/人間と神的セクシュアリティ/聖域//
発出 - 王たちの死 王たちの死とグノーシス文学;マニ教資料/後期の神秘的テクストにおけるグノーシス的モティーフの内面化 客体化、移行、主観的視野//
  女性的な水、王たちの死と王国の殉教者たち;供儀とエロティシズム/死//
  王たちの修復と戒律;神性と律法の啓示/救済/原初的統一の修復//
  歴史における王たちの死;歴史における元型/アダムの裔たち//
逆転 - 出エジプト エジプト流謫//出現しようとする布置の汚染//流出の修復;アブラハムと王たちの修復//
  エジプトからの贖い;過越祭前夜の合一/過越祭7日目の合一/暁の牝鹿/岩/
Omer の計算//
  神秘的合一とシナイでの啓示;過越祭前夜の目覚め/浄化/照明/完成など、
224ページ。


Shaul Magid, From Metaphysics to Midrash, Myth, History, and the Interpretation of Scripture in Lurianic Kabbala, Indiana University Press, Bloomington and Indianapolis, 2008
『形而上学からミドラシュへ ルーリアのカバラーにおける神話、歴史と聖典解釈』
序論 カバラー、新たな歴史主義と境界の問題/ルーリアの神話 プログラム/創世記 「そしてアダムの罪は(とても)大きかった」 - ルーリアの釈義における原罪/出エジプト記 「もう一つの」イスラエル-改宗者としての
ͨErev Rav (混ざった群衆)/レビ記 女となることの罪 - 男性同性愛と去勢コンプレックス/民数記 バラム、モーセと「他者」の預言 - 差異の抹消をめぐるルーリアのヴィジョン/申命記 人間と神、神としての人間-神的化肉と「神の似像」/結論など、
366ページ。


 序論に続く"The Lurianic Myth"(pp.16-33)で前提として、以下の議論に関連するかぎりで〈神話〉の概要がまとめてあるものの、タイトルが示すように、形而上学・宇宙論を主軸とする文献よりは聖書釈義に注目することで、当時のパレスチナのユダヤ社会とそれを取り囲むイスラーム、キリスト教、とりわけ converso、ユダヤ教からキリスト教への改宗者で、しかしパレスチナでユダヤ社会への復帰を望んだ者たちとの関係を読みとることが主題となっているため、やはり宇宙論そのものを主に取り扱っているわけではありません。
 第2章にまつわって→こちらでも触れています:本頁下掲「xiv. サバタイ派、フランク派など
………………………

 原典の訳として;

Translated and with an introduction by Donald Wilder Menzi and Zwe Padeh, The Tree of Life. Chayyim Vital's Introduction to the Kabbalah of Isaac Luria. Volume 1 : The Palace od Adam Kadmon, Arizal Publications Inc., New York, 1999/2008
『生命の木 イサアク・ルーリアのカバラーへのハッイーム・ヴィタールによる入門 第1巻:アダム・カドモンの宮殿』
序論//
第1の門 円と線;なぜ諸世界は創造されたか/収縮、流出、10の〈セフィロート〉とアダム・カドモン/魂の諸相と光の諸相/円形の〈セフィロート〉と線的な〈セフィロート〉 - 器と光/〈パルツーフィーム〉と神名//
第2の門 円的な〈セフィロート〉の内での10の線的な〈セフィロート〉の展開;光と器 - 円的な〈セフィロート〉と線的な〈セフィロート〉/アダム・カドモンと10の〈セフィロート〉/内なる光、器と取り囲む光//
第3の門 流出の順序の要約;無限なるもの、神名と4つの世界/創造と贖罪 - いくつかの聖書の章句のカバラー的解釈/魂、身体と着物としての諸世界//
第4の門 耳、鼻と口;耳、鼻と口の息/さらに3つの息と魂の3つの相について/〈ネフェシュ〉、〈ルアハ〉と〈ネシュマー〉のための器 - ビナー、テヴナーと
SaG(63)という名/テヴナーにおける SaG(63)という名と Ze'ir Anpin - 〈ゲマトリア〉の練習/私たちが学んだことのいくつかの含意//
第5の門 詠唱記号、母音点、
crownlets と文字;‘AB(72), SaG(63), Mah(45)Ba(52)/アダム・カドモンの鼻からの光/22の文字と5つのGevurot/詠唱記号、母音点、crownlets からなる文字/「知恵の32の不思議な径とともに…」(『セーフェル・イェツィラー』1:1)/弟子たちによって残されたハッイーム・ヴィタールの写本からの註/文字 ‘A, M, ShB, G, D, K, P, R, T//
第6の門 縛られた光の世界
AKUDIM光と器 - 息と話すこと/魂の諸相-内なる光と取り囲む光/縛られた光(AKUDIMの出現と退却/光の流れにおける中断/光の源と魂の諸レヴェル/流出者に戻る/前からの光と後からの光/真っ直ぐな光と戻る光//
第7の門 「着くことと着かないこと」
MATI V'LO MATI光の最初の広がりと退却/第2の広がり - 「着くことと着かないこと」Mati v'lo Mati/器を形作る/ケテルにおける「着くことと着かないこと」/ホフマーとビナーにおける「着かないこと」//
エピローグなど、
512ページ。


Translated and with commentary by Eliahu Klein, Kabbalah of Creation. The Mysticism of Isaac Luria, Founder of Modern Kabbalah, North Atlantic Books, Berkeley, California, 2000/2005
『創造のカバラー 近代カバラーの創始者イサアク・ルーリアの神秘主義』
序論//
円形のエネルギーと直線的エネルギーの性質についての講話;創造の起源と霊的進化の語り/宇宙的再制定としての結婚式/宇宙的進行の語り/光の宇宙的崩壊/〈ティックン〉の過程/王たちの死//
修復の順序;創造の次の段階/接吻のカバラー//
受胎と授乳の神秘;神名のヘブライ文字/宇宙的懐胎/宇宙的展開/神的な娘の誕生/神的な娘の妊娠/宇宙的誕生/宇宙的授乳/宇宙的成熟/授乳の過程に結びついた神名についての瞑想/神的な乳房の神秘/宇宙的胎児の保育の間に顕われる神名//
第二の妊娠と三なるものの展開;子宮に再び入る/眠りと宇宙的合一/進化とミニアチュアの神的男性/神的文字と胎児の進化/妊娠する神的男性/成熟の三段階 - (1)妊娠1、(2)授乳、(3)妊娠2/胎児と献身的美化/聖書的寸法/〈メズーザー〉の神秘/神的親の影響/ヨセフの美//
心的状態と小さな顔の像;神的像の瞑想/神的番いについての瞑想/神的像と受胎/神的乳房についての瞑想/割礼の神秘/〈テフィッリン〉の神秘//
恩寵の降下;神的下降の増加する諸相//
女性性の存在者;神的女性性/誓い、約束、〈テフィッリン〉の神秘/誓いの免除の神秘/聖書的10分の1税の神秘/タルムードの一節の脱構築/男と女の間に違いはあるのか?//
小さな顔への神的像の諸質の流入;子供はいつその行動に対して責任をもつのか?/祝福された父ヤコブの神秘/覆い包む光の機能/成熟した神的子供//
女性性と小さな顔の発展段階;発展の三段階/「そしてあなたはすべてに命を与える」//
ヤコブとモーセについての講話と父の礎;宇宙的エネルギー交換の機能と意味 - 五つの力と五つの恩寵、それらの流出、そして目的!/ヤコブの創造/神名はいかにして神的母と神的胎児(男)の中に顕われるのか/宇宙的元型の進化のさなかでの預言的幻視の神秘/全ての魂は他の魂につながれている/アベルはなぜ死なねばならなかったのか?//
砂漠の世代、〈ビナー〉と〈テヴナー〉についての講話。銘板の〈メム〉と〈サメフ〉は一つの奇蹟だった;砂漠の世代/砂漠の世代はなぜ皆死んだのか?/ヤコブ、砂漠の世代と、なぜモーセはイスラエルの民を砂漠で導くために選ばれたかという神秘とのつながり/直観と洞察/神的母の三つの顕現/性の変容と神的母/朗らかな〈ティックン〉 - 魂の修復についての瞑想/ヘブライ文字〈メム〉と〈サメフ〉 - 〈生命の木〉におけるそれらの留//
レアの構成と〈テフィッリン〉の神秘;母レアの出現/宇宙的髪の神秘/〈テフィッリン〉の紐の神秘/母レアと預言者モーセ/母レアの創造/小さな顔とレアの合一/真夜中の祈り(
Tikkun Chatzot)と母レア/トーラー研究についての瞑想/〈シェマア〉朗誦と〈テフィッリン〉着用の神秘/母レア、〈テフィッリン〉と神名の曼荼羅/安息日と〈テフィッリン〉の神秘//
切断の神秘;アダムの原初的恍惚/初期ハシディズムの実践/
E-L-O-H-I-M の神名についての瞑想/知恵、直観、美と主権の合一がどのように人間の合一に影響するか - ラビ・ハッイーム・ヴィタールからのテクスト/宇宙的合一はどのように人間の合一に影響するか - 流出の領域から帰結する合一/『生命の木』の「諸原理の門」の結論/新しい翻訳 - 神的親から神的子供たちへの遺産//
附録;忘れられた〈ツィムツーム〉など、
350ページ。


 扉には
A translation and commentary of “The Gate of Principles”, section of The Tree of Life (Shaar Ha-Klalim shet Sefer Etz Haim)
『生命の木』、「諸原理の門」の翻訳と註釈

とあります。テクストの著者はルーリアの早い時期の弟子の一人
Rabbi Moshe Jonah とされ、

 「ルーリアの著作(Kitvei Ha-Ari)中でもっとも発展したテクストではないけれど、アリが早い時期に伝えたことを明晰かつ明瞭な形で呈示している」

とのことです(p.xxv, pp.xxxv-xxxvii)。

Edited and with an introduction by James David Dunn, Translated by Nathan Snyder, Window of the Soul. The Kabbalah of Rabbi Isaac Luria (1534-1572), Selections from Chayyim Vital, Weiser Books, San Francisco, Newburyport, 2008
『魂の窓 ラビ・イサアク・ルーリアのカバラー ハッイーム・ヴィタールからの選集』
緒言(
Rabbi Ernesto V. Yattah)//前書き//序論 - 第二のアダムと魂たちの歴史//
カバラーへの準備/創造の解剖学/10のセフィロート/聖なる名-テトラグラマトン/聖なる顔たち/内在する諸世界/魂の諸レヴェル/祈り/Ⅰ.エドムの王たち/Ⅱ.神的な再生/Ⅲ.諸世界間のアダム/Ⅳ.魂の祝福など、
222ページ。


 この他;

Chaim Vital, translated by Yaron Ever Hadani, Shaarei Kedusha. Gates of Holiness, Providence University, 2006
『聖性の門』
緒言
Fabrizio Lanza//
序論//第1部;第1の門 ミツヴォート(掟)の違反によって引きおこされた過ちの説明/第2の門 不適切な振舞いゆえに、途切れない過ちを扱うこと/第3の門 義人の徳と敬虔な者の徳を説明し、人がいかにそれを得ることができるかを教える/第4の門 義人の徳を細かく説明する/第5の門 敬虔な者の徳の手短かな説明、いつもあなたの目の前にあるだろう説明/第6の門 これまでの門全ての手短かな要約を含み、敬虔な者がおのが墜落を防ぐためにいかに振舞うべきかを説明する//
第2部;第1の門 譴責/第2の門 祝福された記憶のわれらが聖者たちの訓練の譴責/第3の門/第4の門 悪しき性格の特徴のための罰と善き性格の特徴のための報い/第5の門 禁じられた性格の特徴を有する者たちのための罰/第6の門 否定的ミツヴォートを犯した者たちのための罰/第7の門 積極的ミツヴォートの遵守と善き振舞いについて/第8の門 悔いの門と呼ばれ、3つの部分に分かれる//
第3部
 Ruach Ha-Kodesh(神的な霊感)の理解;第1の門 諸世界の性質について -預言の性質の理解のため手短かな序説/第2の門 人間の性質を扱う/第3の門 預言を妨げるものについて/第4の門 預言の約定に ついて/第5の門 預言の質と関心事について/第6の門 預言のレヴェルについて/第7の門 われわれの時代における Ruach Ha-Kodesh(神的な霊感)への導き/第8の門 われわれの時代における聖別に関する手短かな説明//
第4部
 Ruach Ha-Kodesh に達するための教示//ヘブライ語原文など、
202ページ。

 本書は〈預言者的カバラー〉の書とされます(p.ix)。第4部は冒頭のみで(p.133)、全訳は次の本に掲載されました;


Chaim Vital, translated by Yaron Ever Hadani and Elyakim Getz, Shaarei Kedusha. Gates of Holiness, Providence University, 2006
『新たな著述』
Brit Menucha - Covenant of Rest (『休息の契約』)
緒言
Elyakim Getz//
第1章 神的世界(アツィルート)から来て、創造の世界(ブリアー)に流出する26の道と7つの径の説明/第2章 創造の世界における理解の身体(シウール・コーマー)の説明/第3章 創造の世界における美の身体の説明/第4章 創造の世界における王国の身体の説明/第5章 理解、美と王国の身体と、知恵の身体との違い、および創造におけるそれらの振舞いの説明/第6章 創造の世界における知恵の振舞いの説明/第7章 創造における知恵の振舞いとその身体の長い説明/第8章 創造における理解の振舞いの説明/第9章 創造の世界における美と王国の振舞いの説明/第10章 ゾハルとティクニムにおいて説明されたことと平和の契約におけるそれとの違いの説明/第11章 聖なる名前と天使たち、その番人と起源および配分の秩序の説明/第12章 
Yhv"h の10の名前と神的世界における10の流出の句読法と、創造の流出の10の句読法との違いの説明/第13章 創造の世界における王冠の Yhv"h の説明/第14章 創造の知恵のYhv"h と、そこから出てくる名前の説明との句読法の説明/第15章 創造における理解と続く名前の句読法の説明/第16章 創造における慈悲の Yhv"h と続く名前の句読法/第17章 創造における美の Yhv"h と続く名前の句読法の説明/第18章 創造における厳格の Yhv"h と続く名前の句読法の説明/第19章 創造における勝利の Yhv"h と続く名前の句読法の説明/第20章 創造における栄光の Yhv"h と続く名前の句読法の説明/第21章 創造における基礎の Yhv"h と続く名前の句読法の説明/第22章 創造における王国の Yhv"h と続く名前の句読法の説明//
Shaarei Kedusha - Gates of Holiness (『聖性の門』;前掲訳書に続く第4部)
緒言
Yaron Ever Hadani//
第4部;第4部への総括的序説/第4部の第1の門と第2の門のための序説/第1の門 
Ruach Ha-Kodesh に値するために満たすべき諸条件/第2の門 到達のために要請される行動/第3の門 行動の方法など、
228ページ。

………………………

 関連して;

小岸昭、『離散するユダヤ人 - イスラエルへの旅から -』(岩波新書 489)、岩波書店、1997
序章 追放の神話//
マラケシュ - マラーノの墓;北アフリカとヨーロッパ/物語としてのジャマ・エル・フナ広場/
流氓(りゅうぼう)の町//
カイロ - 「流謫(エクシール)」の意味を求めて;漂白の歌人/フスタートの哲学者/エジプトのイサーク・ルリア//
エルサレム - シェキーナの流謫;西の壁のシェキーナ/神の臨在から流謫へ/「非・場」の記憶//
サフェド - アリの青い墓;「獅子」のカバラ/サフェドへの道/聖山をおりたカバラ//
ヤッフォ - 神の収縮か器の修復か;歴史の港/蠅の苦しみ/シャガール、そして『仔牛の唄』//
あとがきにかえて - ベングリオン空港から、など、
236ページ。


 併せて;

小岸昭、『スペインを追われたユダヤ人 マラーノの足跡を訪ねて』、人文書院、1992
序 追放の言語//
ユダヤ人の不安;星の山とマラーノの国/その後の訪問者たち/マラーノとは何者か//
ドイツのマラーノ;国境の死神/ハンブルクの
猶太人区(ゲットー)/禁じられた生ハム//
カバラ主義者の故郷ヘローナ;破壊された器/「地下」シナゴーグ/メシアの風//
グラナダ1492年;アルハンブラ落城/コロンブスとは何者か/マラーノの諸相//
火刑都市セビリア;
二人部屋(ドス・カマス)/ペスト流行と異端審問所開設/大審問官ゲバラの肖像//
コルドバの猶太人区(ラ・フデリア)マイモニデスの広場/マラーノの抵抗/シナゴーグ女神像//
トレドの死の影のなかで;エル/グレコの家/密告/ふたつのシナゴーグ//
ポルトガル・マラーノの行方;
彷徨(さまよ)う難民/扉のなかの顔/トマールへ//
(いばら)族の末裔スピノザ;強化された後発者/レンズ/薔薇の印章//
あるマラーノ研究者の運命;汽車/アムステルダム最後の日々/追放と王国//
トーマス・マンの「マラーノ的」魅力;ダ・シルヴァの眷属/スペインの拷問笞刑吏/亡命と言語//
エリアス・カネッティ-ふたつの追放の言語をもつ作家;カニェテ一族の移住/斧と文学/ベルリン「黄金時代」の虚妄//
後書きにかえて-外の思考など、
330ページ。


Gérard Nahon, La terre sainte au temps des kabbalistes. 1492-1592, (Présences du Judaïsme), Albin Michel, Paris, 1997
『カバリストたちの時代の聖地』
序論//
4つの〈聖地〉と他の共同体;聖地のスペイン人たち/オスマン・トルコの征服/移住/町と村/メシア的興奮/時代の不幸//
エルサレム;家、パンと葡萄酒/聖職者の税免除、貸付け、
haskamot/共同体の統治/ヘブライ語、行政用語、日常言語/ラビの地位向上/taqqanot//
1538年のサーフェード(ツファット) -
SEMIKHA をめぐる争い;サーフェードとガリラヤの回復/村々/低地ガリラヤ/Jacob Bérab の大計画/エルサレム対サーフェード-Lévi Ibn Habib/叙階された師父たちと新たなラビの権威//
1565年、ティベリアスとラ・セニョーラ;16世紀のティベリアス湖岸/ラ・セニョーラ、
Joseph Nassi、新しい町/アルヴァロ・メンデス、別名 Salomon Ibn Ya'ish//
ラビたちの世界;エルサレムで/サーフェードで//
カバリストたち;『ゾハル』、スペイン、サーフェードとイタリア/神秘主義的な雰囲気/イサアク・ルーリアとサーフェードのカバラー/内的流謫//
内面化した空間 - 書物;ヘブライ語印刷法の大いなる世紀/蓄えられた写本と印刷工を求める写本/サーフェードの印刷所//
離散における聖地の威光;イサアク・ルーリア・アシュケナズィの伝説 - サーフェードからイタリアへ/1583年の飢饉から1587年の疫病へ - 危機のサーフェード/
Moïse ben Haïm Alsheikh と聖地の密使たち/オランダからポーランドへ - サーフェードに調子を合わせたセファラディとアシュケナズィなど、
198ページ。


羽村貴史、「創造と修正主義 - ルーリヤ派カバラーとユダヤ人の離散 -」、『小樽商科大学人文研究』、no.119、2010.3.25、pp.135-173 [ < 小樽商科大学学術成果コレクション Barrel

 同じ著者による→こちらも参照:本頁下掲の「xvii. 応用篇など

山本伸一、「カバラーの霊魂転生論に見られる一六-一七世紀のユダヤ人の精神的状況 - ツファットとアムステルダムの事例 -」、『宗教研究』、vol.84 no.1、2010.6.30、pp.1-24[ < CiNii Articles

 次の論考とともに、同じ著者による→こちらも参照:本頁上掲「xii. カバラーなど

山本伸一、「ハイム・ヴィタルの交霊術に見る実践と理論 - カバラ-におけるスピリチュアリティの先鋭化の一例 -」、鶴岡賀雄・深澤英隆編、『スピリチュアリティの宗教史[下巻] 宗教史学論叢 16』、リトン、2012、pp.215-239
はじめに;ユダヤ思想の霊魂と身体の対立構造/ルーリア派の交霊術における霊魂と身体//
ハイム・ヴィタルの交霊術;実践の記録に見る交霊術と霊魂転生論の影響/技法の指南に見る交霊術と脱我カバラーの影響

xiv. サバタイ派(シャブタイ派)、フランク派など

 何より;

ショーレム、『サバタイ・ツヴィ伝』(2009)

 また;

ショーレム『ユダヤ神秘主義』(1985)の「第8章 サバタイ主義と神秘主義的異端」

ショーレム、「アブラハム・カルドーゾの光に照らしたサバタイ主義の神学」、『ユダヤ主義の本質』(1972)

ショーレム、「ユダヤ教メシアニズムにおける伝統の危機」、『ユダヤ教神秘主義』(1975)

ショーレム、「宗教現象としてのニヒリズム」、『錬金術とカバラ』(2001)

Scholem, “Redemption through Sin”, “The Crypto-Jewish Sect of the Dönmeh (Sabbatians) in Turkey”, “A Sabbatian Will from New York”, The Messianic Idea in Judaism and Other Essays on Jewish Spirituality, 1971/1995

 →こちらも参照:「有閑神、デーミウールゴス、プレーローマなど」の頁中

Matt Goldish, The Sabbatean Prophets, Harvard University Press, Cambridge and London, 2004
『サバタイ主義の預言者たち』
プロローグ/初期近代の文脈の中でのメシア主義的預言/ユダヤの伝統の中でのメシア主義と預言/ガザのナータンとサバタイ主義的預言の根/神秘的幻視から預言的噴火へ/反対者たちと観察者たちが応答する/シャブタイの背教以後の預言など、
236ページ。

Translated, with notes and introductions by David J. Halperin, Sabbatai Zevi. Testimonies to a Fallen Messiah, The Littman Library of Jewish Civilization, Oxford, Portland, Oregon, 2007
『サバタイ・ツヴィ 墜ちたメシアへの証言』
序論//
第1の証言 アレッツォのバルーフ、『イスラエルの子らへの覚書』/第2の証言 ヨセフ・ハレヴィの書簡群/第3の証言 ナヤラ年代記/第4の証言 アブラハム・クウェンケ伝/第5の証言 アブラハム・カルドーソの回想から//
附録;アレッツォのバルーフの『覚書』本文への註/サバタイ・ツヴィの回状(ニサンの月、1676)/「イヤルの月30日」/ロシュトック写本36についての註など、
242ページ。


 カルドーソについて;

Translated and introduced by David J. Halperin, Abraham Miguel Cardozo. Selected Writings, (The Classics of Western Spirituality), Paulist Press, New York, Mahwah, NJ, 2001
『アブラハム・ミゲル・カルドーソ選集』
前書き(エリオット・R・ウォルフソン)//
人とその宇宙;マラーノ・カルドーソ/カバリスト・カルドーソ/メシアを担ぐ者カルドーソ/神学者カルドーソ/魔術師カルドーソ/放浪者カルドーソ/この男は誰だったのか?//
カルドーソが語る;一匹狼の神学者の青春からの場面/墜ちたメシアを擁護する/隠れた神を求めて/歪められた神性を繕う/シェキナーの騎士の回想/墓碑銘など、
444ページ。

 編訳者によるメルカヴァー神秘主義に関わる単著として→こちら:「ユダヤ Ⅱ」の頁の「xi. メルカヴァー/ヘーハロート神秘主義など


森田雄三郎、「罪をおかすことによって罪から救贖できる? - ユダヤ神秘主義の失敗からの警告 -」、『基督教学研究』、15巻、1996.3.20、pp.1-27 [ < 京都大学学術情報リポジトリ・紅
Permalink : https://doi.org/10.14989/268436

 同じ著者による→こちらを参照:本頁下掲「xvii. 応用篇など」中の「創造と進化 - 創造における無 ー」(1990)

山本伸一、「ゲルショム・ショーレムのシャブタイ派運動研究に見るシオニズムの影響」、『東京大学宗教学年報』、no.23、2006.3.31、pp.91-105 [ < 東京大学学術機関リポジトリ(UT Repository) ]

 以下の論考とともに、同じ著者による→こちらも参照:本頁上掲「xii. カバラーなど

山本伸一、「シャブタイ派運動における神秘思想の多様性」、『宗教研究』、vol.80 no.4、2007.3.30、pp.1057-1058[ < CiNii Articles

山本伸一、「アブラハム・ミカエル・カルドーゾの神学とメシア論 - シャブタイ派思想の多様性の一側面 -」、『東京大学宗教学年報』、no.24、2007.3.31、pp.145-158 [ < 東京大学学術機関リポジトリ(UT Repository) ]

山本伸一、「預言者ナタンの教義に見るシャブタイ派思想の規範と反規範」、『東京大学宗教学年報』、no.27、2010.3.31、pp.73-86 [ < 東京大学学術機関リポジトリ(UT Repository)

山本伸一、「シャブタイ派思想の霊魂転生論 - 蛇の穢れとメシアの霊魂の系譜」、『死生学研究』、no.15、2011.3、pp.166-144 [ < 東京大学学術機関リポジトリ(UT Repository) ]

山本伸一、「シャブタイ派思想の反規範主義とドンメ教団への影響」、『宗教研究』、vol.84 no.4、2011.3.30、pp.1064-1065[ < CiNii Articles
………………………

 フランク派については;

ショーレム、「18世紀の宗教的ニヒリズムにおけるサバタイ主義者の異端的メシアニズムの変貌」、『ユダヤ教神秘主義』(1975)

 また;

小岸昭、「フランク主義者の悪と冒険」、『ユダヤ教思想における悪』、2004、pp.91-130
到着/ゲーテとヤコブ・フランク/フランク主義の誕生/チェンストハウ修道院要塞の偽メシア/シェキーナの誘惑/最初のユダヤ人軍国主義者フランク/フランク主義者のヨーロッパへの進出など

Alexander Kraushar, edited and annotated with an introductory essay by Herbert Levy, Jacob Frank. The End to the Sabbataian Heresy, University Press of America, Inc., Lanham, New York, Oxford, 2001
原著は Frank i Frankisci Polscy, 1726-1816, 1895
『ヤコブ・フランク サバタイ派異端への結末』(ポーランド語原題は『フランクとポーランドのフランク派追随者たち 1726-1816』)
一般読者のための註
Herbert Levy//
著者序文//
第1巻;第1章~第21章//
第2巻;第1章~第18章//
附録;『主の言葉の書』からの言説集など、
562ページ。


Paweł Maciejko, The Mixed Multitude. Jacob Frank and the Fraikist Movement, 1755-1816, University of Pennsylvania Press, Philadelphia, 2011
『混ざった群衆 ヤコブ・フランクとフランク主義運動、1755-1816』
序/
Herem の影なのかで/異端の危険、新たな信仰の誕生/フランク主義はどこにはまり込むのか?/血の中傷の政治学/ラビたちと僧侶たちがいかにしてフランク主義運動を造りだしたか/過去の亡霊たち、未来の先触れたち/エドムの崩落/山師たちの奇行/たえず変わり続ける仮面舞踏会など、
376ページ。


 書名の"mixed multitude (erev rav)"は『出エジプト記』12:37-38 に由来し、上掲 Shaul Magid, From Metaphysics to Midrash, Myth, History, and the Interpretation of Scripture in Lurianic Kabbala, 2008 の第2章でも取りあげられていました。

xv. ハシディズムなど

マルティン・ブーバー、平石善司訳、『ハシディズム』(みすずライブラリー)、みすず書房、1997
原著は Martin Buber, Die chassidische Botschaft, 1952
 訳本は『ブーバー著作集 3』(1969)の再刊
序言//
スピノザ、サッバタイ・ゼヴィとバール・シェム//
発端//礎石//
ハシディズム運動の精神と身体;精神/身体//
象徴的存在と秘蹟的存在;預言の世界における象徴的存在/ハシディズムの世界における秘蹟的存在//
神と魂//神の愛と隣人愛//宗教史におけるハシディズムの位置など、
266ページ


M・ブーバー、板倉敏之訳、『祈りと教え ハシディズムの道』(実存主義叢書 15)、理想社、1966
原著は Martin Buber, “Mein Weg zum Chassidismus”, 1918 ; “Der Weg des Menschen nacha der chassidischen Lehre”, 1948 ; “Des Rabbi Israel ben Elieser genannt Baal Schem-Tow das ist Meister vom guten Namen Unterweisung in Umgang mit Gott aus den Bruchstücken gefügt von Martin Buber”, 1927
わたしのハシディズムへの道//
ハシディズムの教えによる人間の道;自覚/独自の道/決心/自分の心の中から始めること/自分にかかり合わぬこと/いま立っているこの場所で//
バール・シェム・トヴの教え;序文/認識について/熱心について、また
(わざ)について/聖なる火花とその救出について/いかに仕えるべきか/遠くと近くについて/秘めごとについて/祈りの譬え/真の集中について/言葉の力について/捨身について/つながりについて/気を散らす思想について/善悪について/高慢と謙遜について/二重の動きについて、など、
142ページ。


 ブーバーについては;

上山安敏、『ブーバーとショーレム ユダヤの思想とその運命』、2009

ピエール・ブーレッツ、合田正人・渡名喜庸哲・藤岡俊博訳、『20世紀ユダヤ思想家 来るべきものの証人たち 2』、みすず書房、2011、pp.187-299:「第5章 マルティン・ブーバー - 神の死の時代におけるヒューマニズム」
ツェーレンドルフの義人(ツァディク)/マルティン・ブーバーのユダヤ教 亡命の下に架かる橋/〈聖典〉を翻訳すること/自分がいる場所-ハシディズムの道/出会いの〈汝〉あるいは対話における生/この時代遅れのシオニズム/神の栄光と宗教の精神など

植村卍、「マルティン・ブーバーの『善悪の諸像』について」、『ユダヤ教思想における悪』、2004、pp.47-68
旧約聖書における善と悪;アダムとエバにおける悪/カインにおける悪/洪水の物語における悪//
古代イランの神話における善と悪;アフラ・マズダーとその双生児における善と悪/アフラ・マズダーと原神ズルワンにおける善と悪/アフラ・マズダーと原王イマにおける善と悪//
哲学的人間学から捉えられた善と悪など


植村卍、「『正しい者・悪しき者・罪人』 - ブーバーの『詩編』釈義を通して示される善悪論 -」、『ユダヤ教思想における悪』、2004、pp.69-89
善と悪の逆説性//
「悪しき者
(Frevler)」;「詩編」第12編における悪 - 「偽り」/「詩編」第14編における悪 - 民族の「分裂」/「詩編」第82編における悪 - 裁判官の悪//
「詩編」第73編における「悪」の実存的深化と「心の清い者」//「詩編」第1編における「正しい者・悪しき者・罪人」 - 「罪人」と「回心」-など

 また;

ショーレム『ユダヤ神秘主義』(1985)の「第9章 ポーランドのハシディズム、ユダヤ神秘主義の終焉」

ショーレム、「マルティン・ブーバーのハスィディズム理解」、『ユダヤ主義の本質』(1972)

ショーレム、「マルティン・ブーバーのユダヤ教理解」、『ユダヤ主義と西欧』(1973)

 なども参照


市川裕、「生と死をつなぐ想像力 - 東欧ハシディズムの救済信仰」、細田あや子・渡辺和子編、『異界の交錯 宗教史学論叢 10』上巻、リトン、2006、pp.199-235
はじめに - 執着の滅却と方向の転換//
視点と方法 - 「神への執着」としてのドゥヴェークート;ドゥヴェークート/語りの宗教的意義//
東欧ユダヤ民間伝承とアンスキーの『ディブーク;ユダヤ民間伝承とアンスキーとの出会い/劇作『ディブーク』の信仰世界//
ハシディズムの信仰と救済力;神への執着の心構え/死霊の天界への上昇と不信仰者の叱責/天界と地上の運動 - 霊魂救済の遅延と反ユダヤ主義の策動など


手島佑郎、『ユダヤ教の霊性 ハシディズムのこころ』、教文館、2010
ユダヤ教ハシディズム派のあらまし;18世紀東欧のユダヤ社会/バアル・シェム・トブの出現/バアル・シェム・トブと主要な弟子たち/ハシディズム運動の発展//
神への密着(デベクート)を目指す;ハシディズム運動の特色/新興勢力と旧勢力との軋轢/ハシディズムへの非難/礼拝の混乱/異端視された原因/反対派との抗争とその結末/ハシディズム側の弁明/ハシディズムの社会的献身/ハシディズムにおける熱誠の礼拝/デベクートとは何か/バアル・シェム・トブ流デベクート法/ハシディズムのデベクート法/マンネリ化への対策/デベクートとカヴァナー(精神集中)//
ハシディズムの雑念対処法;ティクン(修復)ということ/ティクンの応用/ハシディズムと雑念/快感の永続は快感ではない/ハシディズムの逆転的発想/雑念をめぐる現代の学会での論争/人間と雑念//
祈りの集中と自己滅却(ビトゥル・ハイェシュ);神への密着から自己滅却へ/自己滅却への道(1) ハシディズムは苦行を否定/自己滅却への道(2) 神への個人的対話の意義/自己滅却への道(3) グループ・ダイナミクスの有効性/ユダヤ教の礼拝の概要/自己滅却への道(4) 礼拝の4段階/自己滅却への道(5) 精神集中の4段階/自己滅却への道(6) 神人合一の異常現象/キリスト教における異言との類似/自己滅却への道(7) 没我の世界/自己滅却への道(8) 密着にいたる5段階//
ユダヤ神秘思想と人間の概念;ハシディズムの人間観のあらまし/ユダヤ神秘思想『ゾハル書』における人間観/『ゾハル書』における人間の身体と霊魂/人間についてのハシディズムの理解/ツァディクとは誰か/人間だけでは半人前/人間の不完全さが完全を目指させる/シュネウル・ザルマンの人間学/悪と人間/人間の完成度5段階/レビ・イツハクの自己分析//
人生の不確実-流浪の意味とユダヤ人;ユダヤ人と流浪/流浪についてのユダヤ教の一般的な考え方/流浪とシェヒナー/流浪の原因についてのハシディズムの考え方/ハシディズムにおける流浪の積極的意義/ショーレム教授の功績/ハシディズムのメシア思想に関するショーレムの誤解/メシア来臨を期待するには遠い現実/メシア来臨への下準備としての個人的贖い/メシア来臨期待と指導者の使命//
まとめ-ユダヤ教ハシディズムから学ぶこと;宗教運動の発生の背景/瞑想への回帰/雑念と宗教者/ハシディズムにおける人間の主体性の理解/われと汝とそれ/宗教者と生の不確実性など、
234ページ。


Moshe Idel, Hasidism. Between Ecstasy and Magic, State University of New York Press, Albany, 1995
『ハシディズム 脱自と魔術の間で』
序論//
カバラーとハシディズムにおける範型;18世紀におけるルーリア派カバラーの弱体化/ユダヤ神秘主義における範型/神秘的=魔術的範型//
引きおろす;ハシディズムにおける神秘的祈りと魔術的祈り/ハシディズムにおける神秘的研究と魔術的研究/ハシディズムにおける〈器〉と〈導管〉としての義人//結論//
附録;カバラーとハシディズムにおける神智学の心理学化/叫ぶ Ryzhin のラビ・イスラエル/力の意図的伝達について、など、
448ページ。

 同じ著書による→こちら(「ユダヤ Ⅱ」の頁の「x. ショーレム以後、その他」)や、またあちら(本頁上掲「xii. カバラーなど」)も参照

………………………

ビアトリス・S・ヴァインライヒ編、泰剛平訳、『イディッシュの民話』、青土社、1995
原著は Beatrice S. Weinreich, Yiddish Folktales, 1988
はじめに/
第1部(寓話選集) 裸の真理とキラキラ輝くたとえほか/
第2部(子供のためのお話選集) おんどりとめんどり - さあ、わたしの話がはじまるよ/
第3部(奇蹟譚選集) 魔法の指輪、黄金の羽毛、草のやま/
第4部(敬虔に訴える物語選集) 正義、信仰、日常道徳ほか/
第5部(ユーモラスな話) まぬけ、ウィット、いたずら/
第6部(伝説) 賢者、ツァディキーム、ならずもの/
第7部(超自然的な物語) 妖精とディブック、悪鬼とゴーレムなど、
全178話、
474ページ。

xvi. キリスト教カバラ-、隠秘学的模作など

 まずは;

G.ショーレム、『ユダヤ教神秘主義』、1975、pp.229-244:「ロイヒリンから現在に至るカバラーの研究」

Gershom Scholem, Kabbalah, 1978, pp.196-201:“The Christian Kabbalah”

Joseph Dan, Jewish Mysticism. Volume 3 : The Modern Period, 1999, pp.191-207:“Christian Kabbalah : From Mysticism to Esotericism”, pp.209-251:“The Kabbakah of Johannes Reuchlin and its Historical Significance”

 ピコ・デッラ・ミランドラ(1463-1494)
 ギヨーム・ポステル(1510-1581)
 ジョン・ディー(1527-1608)や、

 フランセス・イエイツ、『魔術的ルネサンス エリザベス朝のオカルト哲学』、1984
など、
ルネサンス、マニエリスムなど(15~16世紀)」や「バロックなど(17世紀)」のページでは、
しばしばキリスト教カバラーがからんできます。

エルンスト・ベンツ、松本夏樹訳・解説、「キリスト教カバラ 神学の継子」、『現代思想』、vol.20-2、1992.2、「特集 グノーシス主義」、pp.148-161
原著は Ernst Benz, Die christliche Kabbala : Ein Stiefkind der Theologie, 1958 序論・第2・第7章
序論/カバラに至るエティンガーの道程/アントニア女王のカバラ的教示画/解説など


 同じ訳者による→こちらも参照:「バロックなど(17世紀)」の頁の「iv. 薔薇十字団、その他

小川浩史、「ハプスブルク宮廷におけるディーとクーンラートのキリスト教カバラ思想」、『ミクロコスモス 初期近代精神史研究 第1集』、2010、pp.165-20

能木敬次、「認識の魔術 - F.X.v.バアダーの力動論的認識論について -」、『福岡経大論集』、39巻1号、2010.2.3、pp.11-26

 ショーレムに「しばしば大げさな誤解と偽造」と述べさせた(『ユダヤ教神秘主義』、1975、p.9)エリファス・レヴィについては、→こちらを参照

 怪しさ満載ですが;

澁澤龍彦、「カバラ的宇宙」、『黒魔術の手帖』(1961)、『澁澤龍彦集成 Ⅰ』、1970、pp.11-19

 澁澤龍彦については→こちらを参照:「通史、事典など」の頁の「おまけ

 さて、以下の前置き代わりに;

赤井敏夫、「近代オカルティズムとカバラ」、『ユダヤ教思想における悪』、2004、pp.167-188
ショーレムの否定/世俗的文化現象としての近代オカルティズム/神智学運動とルクソールのヘルメス同胞団/ミラ・アルファッサからマザーへ、など

 同じ著者による→こちらを参照:「近代など(20世紀~) Ⅳ」の頁の「トールキン」の項

 以下、ユダヤ的なるものとの関係は色濃いとはいいがたいものが多くなりますが、大凡に原著の刊行順で;

S.L.マグレガー・メイザース、判田格訳、『ヴェールを脱いだカバラ』、国書刊行会、2000
原著は S.L.MacGregor Mathers,The Kabbalah Unveiled, 1887
はしがき(モイナ・マグレガー・メイザース)/序説(S.L.マグレガー・メイザース)//
隠された神秘の書 【
光輝の書(ゾハール)】部分訳/大聖集会 【光輝の書(ゾハール)】部分訳/小聖集会 【光輝の書(ゾハール)】部分訳//
邦訳者解説/マグレガー・メイザース・ストーリー~栄光の魔法騎士~など、
404ページ。

 扉に

 「これらはクノール・フォン・ローゼンロートのラテン語訳【カバラ・デヌダータ】からヘブライ語とカルデア語の原典を参照しつつ英語に翻訳したものである」

とあります(p.9)。「カルデア語」とあるのはアラム語のことでしょうか。

フラター・エイカド、松田和也訳、秋端勉監修、『QBL - カバラの花嫁 - 現代魔術体系 6』、国書刊行会、1996
原著は Frater Achad, Q.B.L. or The Bride's Reception, 1923
序論/〈創造過程〉のカバラ的概念である〈生命の木〉の形成について/ヘブライ語アルファベットにおける照応の自然的基盤について/22の〈小径〉とその〈イェツィラー〉的属性および色彩の照応について/〈タロー〉の切り札およびそのヘブライ語アルファベットへの割り当てについて/発音すべからざる〈御名〉および〈四界〉と、〈タロー〉の小アルカナへのその照応について/〈大宇宙〉と〈小宇宙〉について、および〈生命の木〉によるその統合と〈大いなる作業〉の完成について/文字のカバラおよび〈ゲマトリア〉〈ノタリコン〉〈テムラー〉の方法について/数字、象徴および同種の問題について/過去、現在、未来について/王国と花嫁について、など、
210ページ。


マンリー・P・ホール、大沼忠弘・山田耕士・吉村正和訳、『カバラと薔薇十字団 象徴哲学体系 Ⅲ』、人文書院、1981
原著は Manly P. Hall, The Secret Teaching of All Ages. An Encyclopedic Outline Of Masonic, Hermetic, Cabbalistic and Rosicrician Symbolical Philosophy, 1928/1973 で、訳は4分冊中の第3巻
カバラ、イスラエルの秘密教義/カバラ的宇宙創成論の根本原理/セフィロトの木/人類創造のカバラ的解釈/タロット・カードの分析/荒野の幕屋/薔薇十字団/薔薇十字団の教義と信条/薔薇十字団とカバラの15の図像/ベーコンとシェイクスピアと薔薇十字団員/象徴哲学の一要素としての暗号/フリーメーソンの象徴体系/密儀と密使など、
300ページ。

 先に記したように『セーフェル・イェツィラー』の訳が載っています→こちら:「ユダヤ Ⅱ」の頁の「xi. メルカヴァー/ヘーハロート神秘主義など
バロックなど(17世紀)」のページの「iv. 薔薇十字団、その他」の項にも挙げておきます→そちら

 他の巻は;
Ⅰ 古代の密儀』、
『Ⅱ 秘密の博物誌』

Ⅳ 錬金術


A. E. Waite, The Holy Kabbalah, University Books, Citadel Press
『聖なるカバラー』
 刊行年不詳。原著は1929刊で、1913刊の
The Secret Doctrine of Israel を併合(ショーレム『ユダヤ神秘主義』(1985)、p.(39)、原注 第1章1、p.(85)、原注第6章25)
序文
(Kenneth Rexroth)//
緒言//
キリスト教以後のユダヤ文学;イスラエルの隠された教会/隠秘学的釈義の熱狂/カバラーとタルムード/カバラーの区分//
カバラーの典拠と権威および主な文献の年代;形成の書の年代/光輝の書についての近代の批評/光輝の書の年代と著者/ゾハル的伝承の年代/カバラーの教義の伝えられるところの典拠/カバラーのイスラームとのつながり/ユダや人に及ぼしたカバラーの影響//
カバラーの書かれた言葉 第1期;初期カバラーの文献/形成の書/形成の書のつながりと依拠するところ//
カバラーの書かれた言葉 第2期;光輝の書 - 内容と区分/隠匿の書/大聖集会/小聖集会/年老いた男の講話/輝ける書/忠実な羊飼い/法の隠された事ども/秘密の註解/ゾハルの小論文 削除、追加、重複、秘密の秘密、若い男の講話、邸あうるいは住まい、ルツ記註釈/古い補遺と後の補遺//
神と宇宙に関するカバラーの教義内容;カバリズムにおける神の威厳/10のセフィロート/4世界の教義/知恵の径と理解の門/宇宙論の教義//
霊的存在の位階;カバリズムにおける魂/天使たちと悪霊たち//
人とともにある神の道;地上の楽園の神話/蛇、朝の息子と天使たちの堕落/人間の堕落/洪水の伝説/アブラハムとの契約/モーセ、法の主について/エルサレムの神殿/メシアの来臨/シェオルに関する教義/復活について//
より高位の秘められた教義;シェキナーの神秘/生の神秘//
カバラーの書かれた言葉 第3期;ゾハルの解説者たち コルドバのモーセス、ルーリアのイサアク、ナフタリ・ヒルツ、アブラハム・コーヘン・イリラ、イサハト・ベン・ナフタリ/浄める火の書/愛の神秘/カバラーのより小さな文献//
キリスト教徒のカバラー研究者;序説/ライモンドゥス・ルルス/ピコ・デ・ミランドーラ/コルネリウス・アグリッパ/パラケルスス/ヨハネス・ロイヒリン/ギョーム・ポステル/薔薇十字団/ロバート・フラッド/ヘンリー・ムーア/トーマス・ヴォーン/クノル・フォン・ローゼンロート/ラルフ・カドワース/トーマス・バーネット/サン=マルタン/エリファス・レヴィ/2つのアカデミックなサークル/フランス・カバリズムの近代学派 パピュス、スタニスラ・ド・ガイタ、レオン・ムーラン, S.J./カバラーと秘教的キリスト教/カバラーと近代神智学//
カバラーと秘密の伝承の他の経路;カバラーと魔術/カバラーと錬金術/カバラーと占星術/カバラーとタロット/カバラーと神秘主義//
最後の考察;後期カバリズムの展開/いうところのキリスト教的要素/ユダや神智学についての結論//
附録;セフィロートの展開/後期カバリズムにおける4つの世界/創造の道具/神名/魂の諸段階など、
672ページ。

 原著の刊行年のところで記したように、ショーレム『ユダヤ神秘主義』(1985)、p.9 で言及されています。
 同 pp.279-280 では、

 「この著者がカバラーの世界にたいして深い理解を示していることは否定できない。それだけに、彼が歴史的・文献学的事実にたいする彼の無批判な態度と、ジャン・ド・ポーリーの誤りだらけの不完全なフランス語によって惑わされたことは惜しまれる。彼はヘブライ語とアラム語に通暁していなかったために、この翻訳を利用せざるをえなかったのである」

と述べています。
Scholem, Kabbalah, 1978、p.203 にも。
 アーサー・エドワード・ウェイト(1857-1942)は、マグレガー・メイザースが創設に関わった黄金の夜明団に参加したことがあり、またアーサー・マッケンと交遊していたともいう。

イスラエル・リガルディー、片山章久訳、『柘榴の園』、国書刊行会、1983/2002
原著は Israel Regaldie, A Garden of Pomegranates, 1932
序文/歴史的考察/ピット/セフィロト/径/アダム・カドモン/文字に関するカバラ/続・文字に関するカバラ/梯子//
附録;真の治療の技術/魔術の技法など、
246ページ。

 「コルドヴェロの書とは内容的にも歴史的にもほとんど関連がないと告白せねばなるまい」

とのこと(p.9)。


ダイアン・フォーチュン、大沼忠弘訳、『神秘のカバラー』、国書刊行会、1985/1994
原著は Dion Fortune, The Mystical Qabalah, 1935
序//
第1部;「西洋人のヨーガ」/「小径」の選択/「カバラー」の方法/「書かれざるカバラー」/「否定的存在」/「オツ・キイム」、「生命の木」/「至高の三角形」/「木」の原形/「四つの世界」における「十のセフィロート」/「木」の「小径」/主観的「セフィロート」/「木」の神々/「木」に対する実践行//
第2部;一般的考察/「ケテル」、「第1のセフィラー」/「コクマー」、「第2のセフィラー」/「ビナー」、「第3のセフィラー」/「ケセド」、「第4のセフィラー」/「ゲブラー」、「第5のセフィラー」/「ティファレト」、「第6のセフィラー」//
第3部;「四つの低次のセフィロート」/「ネツァク」/「ホド」/「イエソド」/「マルクト」/「クリフォート」/結論など、
416ページ。


W.E.バトラー、大沼忠弘訳、『魔法入門』(角川文庫 白 237-1)、角川書店、1974
原著は W. E. Butler, Magic, its Ritual. Power and Purpose, 1952 および The Magician, his Training and Work, 1959
魔法 - その儀式と効力と目的;定義と概観/人格/魔法の根拠/魔法の道具立て/エドムの王たち/祈禱と降霊/磁気の魔法/魔法のイメージ/入門儀礼の魔法//
魔法使い - その訓練と仕事 展望;なぜ本書が書かれたか/魔法の原理/生命の木//
  魔法使いの訓練;準備的覚え書き/アストラル・ライト(幽光)/不可視体/霊視と霊聴/呪力をもつ言葉、音声の魔法的用法/魔法活動における言葉と名前/閃く色彩/法衣/潜在意識/綾の光//
  魔法の鍵;磁気/タットワの潮/光体]/魔法の人格//
  魔法の儀式;礼式の構成と用法/典礼の形成/魔除けの魔法/魔法達成の道/結びに//
付論;弛緩と呼吸の実習/追儺の儀式/「中央の柱」の実習など、
342ページ。


雄実龍徳、「生命の樹と数の位階 - カバラの世界」、『理想』、no.535、1977.12:「特集 神秘主義」、pp.144-161

M.ドーリル博士、林鐵造訳、『カバラの眞義』、霞ヶ関書房、1978
 原著者は Dr. M. Doreal で、訳者はしがきによると、「カバラに関するドリール博士の著書をまとめて訳したもの」とのこと(p.1、pp.4-6 に原書名のリスト。刊行年は未記載)
カバラ入門//人と神秘宇宙//宇宙と我々//メルキジデク//可視の聖者、不可視の聖者//第1周期のアダムとイブ//人類の第1時代と7都市//アダムと前アダム人//密教のシンボル//グノーシスの神秘的秘教//創造と人間の神性失落//
大ピラミッドの象徴性;大ピラミッドの既知の部分/大ピラミッドの未知の部分//
創造の書//宇宙生成論と宇宙論//カバラ;第1段/第2段/第3段//創造と人間の失落//生命の木と聖なる人アダムカドモン//カバラの知恵//
古代知恵と7周期の概略;人間のはじまり/球体的光球人/自然霊とエックシアン人//新時代の神秘と神秘主義//宇宙聖白色同胞団と地球聖白色同胞団など、
560ページ。

 先に記したように『セーフェル・イェツィラー』の訳が載っている点(→こちら:「ユダヤ Ⅱ」の頁の「xi. メルカヴァー/ヘーハロート神秘主義など」)を別にしても、歴史的な知識を求めさえしなければ、読み物ととしては楽しめたとの記憶が残っています。
 著者のミュリエル・ドリール(1901-1963)については、

原田実「現代オカルティズムとラヴクラフト」(2002)、p.785註27。


ゼヴ・ベン・シモン・ハレヴィ、大沼忠弘訳、『ユダヤの秘儀 カバラの象徴学 イメージの博物誌 11』、平凡社、1982
原著は Zev ben Shimon Halevi, Kabbalah - Tradition of Hidden Knowledge, 1979
訳者解説 - カバラ開顕//
序/顕現/四つの世界/アダム/解剖学/求道/訓練/一体化の作業/創造の作業/完成//
図版//
資料図版とその解説;変貌するカバラの形式/永遠の見方/存在の四つの位階/もうひとつの体系/天使と悪魔/奇蹟と魔法/キリスト教的・オカルト的カバラ/カバラの行法=活動/カバラの行法=献身/カバラの行法=考察/死・再生・運命/大師とメシア/内的登攀/一体化の作業/最後の日など、
108ページ。

 『イメージの博物誌』シリーズについて→こちらを参照:「図像、図形、色彩、音楽、建築など」の頁の「i. 図像など
 名義は違いますが同じ著者とのことで→そちらを参照:「通史、事典など」の頁の「ii. 占星術の歴史など
 次の訳書もあります;


ゼフ・ベン・シモン・ハレヴィ、ギレスビー・新村峯子訳、『カバラの宇宙 生命の樹(カバラシリーズ)』、出帆新社、2004
原著は Zev ben Shimon Halevi, A Kabbalistic Universe, 1977/1988
象徴と現実//
〈神〉;「初め」以前/顕現/神性//〈世界〉;分離/不完全/創造の日々/7レベルの天(セブン ヘブンズ)/天に住むもの、そこに生息するもの/イェツィラー:天使界/アシヤー:物質界/アシヤー:自然界/悪/下降(フォール)//
〈人間〉;受肉/自然界(この世)の歴史/肉体と心(心理界)/天体(シレスチャル ボディー)/運 - 一般人の運/個人特有の定め - 宿命/ギルグリム(輪廻転生)/神の摂理と人間の自由意志/超自然知識/トラー - 教義(教え)/魔術と奇跡/一体化の作業/日々の終わりなど、
374ページ。

 後付によると、同シリーズとして他に『カバラ入門 生命の木』、『占星学とカバラ 生命の木』、『カバラの道 生命の木』とありますが、未見。


大沼忠弘、『実践カバラ 自己探求の旅』、人文書院、1988
魔法 アストラル・ライトの科学技術 - 序に代えて//
実践カバラ入門 密儀の基本文法 - はじめに//最初の一歩;西洋の秘教的伝統「実践カバラ」/神秘に満ちた「生命の木」の図//
  修行体系;霊的認識(グノーシス)への道のり/修行の用心//
  神殿形成;イニシエーションの二つの方法/意識を内的に変換する道具だて//
  ヴィジョンの窓;ヴィジョンとは第3の眼である/「タットワ」行法で視覚を磨く//
  中央の柱;オカルト修行の公分母的技術/色と思念で全身を燃やす//
  道行き(パス・ワーキング);「花園の小径」と「月のイシス」/「洞窟脱出」//
  イシス神殿献納儀式;アストラル神殿の創造の意味/イシス神殿献納儀式の実際と注意点//
身体へ;ソーマ 神像か牢獄か ギリシア人の肉体観素描/神々の肉体 偶像崇拝論の試み/体を練る 私のアスケーシス体験/色の階段 アストラル・ライトの色彩体験など、
270ページ。

 「Ⅰ 実践カバラ入門」で「展開するのは、『黄金の夜明け』とその後継結社に伝えられた霊的修行の方法論である」
とのこと(p.48)。


E.ホフマン、村本詔司・今西康子訳、『カバラー心理学 ユダヤ教神秘主義入門』、人文書院、2006
原著は Edward Hoffman, The Way of Splendor : Jewish Mysticism and Modern Psychology, 1981/1989
ユダヤの神秘家たち - 一なるものを求める人々/我らは宇宙なり/聖なる肉体の世界/心の平安をもたらす諸技法/覚醒のエクスタシー/夢と音楽を通じて源泉に戻る/かなたの次元/生死を超える不滅の魂/心の新しい国など、
366ページ。

xvii. 応用篇など

デイヴィド・バカン、岸田秀・久米博・富田達彦訳、『ユダヤ神秘主義とフロイド』、紀伊國屋書店、1976
原著は David Bakan, Sigmund Freud and the Jewish Mystical Tradition, 1958
フロイドの精神分析の発展の背景;精神分析の起源の問題/精神分析の起源とフロイドの私生活との関係に関する仮説/思想史における一問題としての精神分析/ウィーンにおける反ユダヤ主義/偽装の一般的問題/フロイドは実際に偽ったか/フロイドのユダヤ人としての積極的自覚/フリースおよび他のユダヤ人の仲間に対するフロイドの関係//
ユダヤ神秘主義の環境;初期カバラー/近代のカバラー/ゾハル/チュミエルニッキ時代/ユダヤ人の自律/サバタイの挿話/フランク派の挿話/ハシディズム//
フロイド思想におけるモーセの主題;ミケランジェロのモーセ/伝記上の関連項目/『モーセと一神教』 - 二重の意味をもつ書/エジプト人としてのモーセ サバタイ主義の達成、「家族空想」の幻想、モーセと反ユダヤ主義、モーセのユダヤ人離脱/モーセはユダヤ人に殺された/メシア フロイド//
宙ぶらりんの超自我としての悪魔;序論/移行/催眠術とコカインのエピソード/転移の発見/夢判断の「天上の神々を……」/フロイドの悪魔憑き論/『夢判断』の
構成(ヽヽ)/悪魔の意味の増大 「距離」の問題、知者としての悪魔、悪魔に内在する呪いの力//
精神分析とカバラー;学殖の問題/解釈の技術 トーラーとしての人間、細部の解釈と一括の解釈、論文『ベラスコス』における夢判断、言葉遊び/性//
エピローグ;ハイムリッヒカイトなど、
376ページ。


ハロルド・ブルーム、島弘之訳、『カバラーと批評』(クラテール叢書 2)、国書刊行会、1986
原著は Harold Bloom, Kabbalah and Criticism, 1975
プロローグ そのことも私は知っていたにちがいない(ヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽ)/カバラー/カバラーと批評/誤読の必然性/エピローグ 湖水を越えて語られる名(ヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽ)//
訳者解説-ハロルド・ブルーム小論など、
218ページ。

 ブルームとカバラーに関して→こちらも参照:「ユダヤ Ⅱ」の頁の「ix. ショーレムの著作とその周辺
 同じ著者による→そちらも参照:「グノーシス諸派など Ⅲ」の頁の「おまけ


羽村貴史、「後続性の心理修辞学 - ハロルド・ブルームの誤読理論 -」、『小樽商科大学人文研究』、no.117、2009.3.25、pp.39-89 [ < 小樽商科大学学術成果コレクション Barrel

羽村貴史、「ハロルド・ブルームとヘブライの解釈様式」、『小樽商科大学人文研究』、no.118、2009.11.25、pp.243-278 [ < 小樽商科大学学術成果コレクション Barrel

 同じ著者による→こちらも参照:本頁上掲「xiii. ルーリアのカバラーなど

カール・エーリヒ・グレーツィンガー、清水健次訳、『カフカとカバラ フランツ・カフカの作品と思考にみられるユダヤ的なもの』(叢書・ウニベルシタス 485)、法政大学出版局、1995
原著は Karl Erich Grötzinger, Kafka und die Kabbala. Das Jüdischein Werk und Denken von Franz Kafka, 1992
カフカとユダヤ教/カバラにおける〈審判〉と〈門番伝承・伝説〉/裁きの時と方法/忘我の〈天上への上昇〉/「ここはほかの誰もが入れてもらえなかった。なぜならこの入口はただお前ひとりだけのものと決まっていたからだ」/裁きに関する論述と門番伝承・伝説との関係/人間と裁きに仕える者との上下関係について/裁きの鏡としての顔/カバリストたちの論述に見られる天井の裁きの法廷 - 裁きとしての歴史/人間の生への裁きの侵入 - 病気と夢/「女たちは大きな力を持っている」 - 裁きの位階組織の枠の中における女性の要素/東方ユダヤの民間物語における裁きの一連のテーマ - 物語としてのカバラ/動物物語 「もしかしたらこの動物は肉屋の肉切包丁こそ救いなのかも知れない」、「ターミュールのシナゴーグに一匹の動物が住みついている」/言葉による天上の裁き - 「わしは今お前に溺死による死刑の判決を下す」/言葉と現実 - 祈りとしての書くということ/ヨゼフィーネ - または二十日鼠族/アフォリズム - 楽園の二つの木のあいだ/終わりなきカフカ - さらにもう一つ解釈が//
付録;資料テキスト 『パルデス・リモニーム』における天上の殿堂に関するトラクト/動物物語/言葉による天上の裁き//語の解説など、
390ページ。


 →こちらにも挙げておきます:『審判』(1962)の頁の「Cf.

永井晋、『現象学の転回 「顕現しないもの」に向けて』、知泉書館、2007
序論//
「顕現しないもの」への現象学の転回 内在領野の開示;序/「顕現しないもの」への現象学の「転回」 フランス現象学における諸々の転回、「顕現しないもの」の暫定的規定、ハイデガーの「転回」とそのふたつの問題点/現象学的絶対者への接近 - 「自己構成」から「自己現出」へ フッサールの自己構成論、「自己構成」から「自己現出」への転回/「自己原因」の現象学 「自己原因」の導入、「自己原因」の現象学化とその内的構造の解明/結論//
  自己産出する生;序/無限の絶対者としての生/生の原可知性 - 「同じものの同じものによる差異化」/自己触発としての生/自己産出としての生 触発モデルから産出モデルへ、受肉としての自己産出/結論//
  贈与の現象学;贈与という問い/「自己(自体)能与(贈与)
(Selbstgegebenheit)」としての贈与/二重襞(Zwiefalt)における贈与/無限の贈与-イコンと顔の現象学 イコン、顔/結論//
ユダヤ神秘主義カバラーと現象学 秘密の伝承;「神なきユダヤ人」 - 同化ユダヤ人におけるユダヤ性の回帰/テクストの内部での無限の経験 - イマジナルの論理としてのユダヤ性 「ベレシート」(「初めに」) - 起源の論理、モーゼによる律法の石版の破壊 - 律法の二重化、ツィムツム - 神の収縮、「炸裂させる読解」と「書物の焼却」/フッサール現象学のユダヤ性 フッサールとフロイト、フッサールのユダヤ性とその転位/レヴィナスとデリダにおける「秘密の伝承」 レヴィナス - 律法とエロス、デリダ - 盲目なる彷徨のメシアニズム//
  神の収縮;序/イサク・ルリアの教説 神の収縮(ツィムツム)、容器の破壊(シェビラー・ハ・ケリーム)、贖い(ティクーン)/『全体性と無限』における「ツィムツム」の痕跡/受肉した主体/メシア的永遠性としての無限//
  神名の現象学;序/現象学/神の収縮/神名の現象学//
イマジナルの現象学とその展開 イマジナルの現象学;序 
EX ORIENTE LUX - イマジナルという次元/「贈与の現象学」から「イマジナルの現象学」へ/井筒俊彦の分説化理論/神秘主義的コギトと絶対者 - イマジナルの原超越論的機能/「存在解体のあと」の現象性 - イマジナルの論理/結論//
  絵画の終焉と像の救済;序/像主体(主題)からの像の自律化 - 像意識の現象学的分析と現代絵画の展開(現象学的還元の最初の展開) フッサールの像意識分析とその変容、「純粋絵画」における像の自律化/「顕現しないもの」の像化としての現代絵画の展開(「顕現しないもの」の次元への還元の徹底化) カンディンスキーと反還元 - 原ヒュレーの表現主義、還元としての絵画 - セザンヌ、ロスコと「飽和した現象」、キーファーによる像の破壊と救済//
  神と妖怪の現象学;妖怪学の方法/「畏きもの」の現象としての神と妖怪/妖怪の現象学//
結論など、
296ページ。

 著者による訳稿→こちらを参照:「グノーシス諸派など Ⅲ」の頁の「おまけ
 →そちらにも挙げておきます:「近代など(20世紀~) Ⅲ」の頁の「xiii. 現象学の系譜、他

 また

永井晋、「神話的思惟としてのカバラー」、末木文美士・中島隆博編、『非・西欧の視座』(宝積比較宗教・文化叢書 8)、大明堂、2001、pp.37-51
神話からの脱却:無からの創造と偶像崇拝の禁止/宗教性の三段階/「一神教のパラドックス」と「創造的想像力」/結論

永井晋、「神の収縮(ツィムツム) - シェリング『世界年代』とルリアのカバラー -」、2014

永井晋、「提題3 未来哲学としての東洋哲学」、『未来哲学』、第1号、2020.11.25、「特集・未来哲学とは何か」、pp.27-44
序 「未来哲学」とは何か//
井筒の「未来志向的東洋哲学」;基本的な構想/分節化理論と「東洋哲学」//
東洋哲学と現象学;「分節化理論」から現象学へ/レヴィナスの「東洋現象学」//
ノアの物語のカバラー的読解//
コメント(佐藤麻貴)/応答(永井晋)


森田雄三郎、「創造と進化 - 創造における無 -」、『基督教学研究』、11巻、1990.3.31、pp.1-36 [ < 京都大学学術情報リポジトリ・紅
Permalink : https://doi.org/10.14989/268408

 この論文は主にユルゲン・モルトマンの神学における創造論を扱うものです。その中で、

 「この神の原創造の象徴的表現に関するかぎりで、モルトマンはユダヤ教、とりわけ中世のカバーラー神秘死主義の『シェキナー』論と『ツィムツーム』論を高く評価する」(p.22)

と述べられていました。

 モルトマンに関して→こちら(「近代など(20世紀~ ) Ⅲ」の頁の「xv. 時間論、その他」)も参照。
 また森田雄三郎は、カバラーに関して次の論文二篇を著していました→そちら(本頁上掲「xii. カバラーなど」中の「『ゾーハル』序説」、1989)および、そちらの2(本頁上掲「xiv. サバタイ派、フランク派など」中の「罪をおかすことによって罪から救贖できる? - ユダヤ神秘主義の失敗からの警告 -」、1996)を参照。他に→そちらの3:「ユダヤ」の頁の「vii. ユダヤ思想史など

 〈ツィムツーム〉については、すぐ上に挙げた永井晋『現象学の転回 「顕現しないもの」に向けて』(2007)などとともに、「近代など(20世紀~ ) Ⅲ」の頁の「xiii. 現象学の系譜、他」で触れたように、

 ジャン=リュック・ナンシー、大西雅一郎・松下彩子・吉田はるみ訳、『世界の創造あるいは世界化』、2006、pp.55-87:「Ⅱ 創造について」

中でも取りあげられていました(p.77)。
 

 この他、

井筒俊彦、『意識と本質』、1983、pp.243-304:「意識と本質Ⅹ-ⅩⅠ」

 でカバラーの言語論やセフィロート論について記し、

五十嵐一、『イスラーム・ルネサンス』、1986、「Ⅱ 第8章 アッラーの神-ひとつの神名論的反省-」

 で「古事記の神学と流出論」、イスラームの「原像空間(アーラム・ミサール)」、「カッバーラーの神学」を比較し、また

五十嵐一、「イスラームの科学思想 - まなざしの精密化と内面の涵養」、『イスラーム思想 1 岩波講座・東洋思想 3』、1989

 の pp.274-276 で、『セーフェル・イェツィラー』第1~5章をとりあげています。

J.L.ボルヘス、土岐恒二訳、「カバラ擁護論」、『パイデイア』、no.10、1971.6.15、「特集 シンボル・錬金術」、pp.34-37
原著は Jorge Luis Borges, “Una vindicasión de la cábala”, Discusión, 1957

 別訳が

J.L.ボルヘス、「カバラの擁護」、『論議 ボルヘス・コレクション』、2001、pp.88-95

J.L.ボルヘス、『七つの夜』、2011、pp.167-191:「第6夜 カバラ」 

 ボルヘスについて→こちらも参照:「近代など(20世紀~) Ⅳ」の頁の「ボルヘス」の項

アミール・D・アクゼル、『「無限」に魅入られた天才数学者たち』、2002
原題はThe Mystery of the Aleph. Mathematics, the Kabbalah, and the Search for Infinity

で、主役はカントール(1845-1918)です。

「カントールの運命と、神の秘密の園に入ろうとして、ひとりは命を、もうひとりは正気を失ったラビたちの運命とに、いったいどれだけの違いがあるというのだろうか」

という1節(p.165)が印象に残っています。
 カントール自身の神観については、p.197、p.199 を参照。また ジョン・D・バロウ、『無限の話』、2006、pp.116-127。

おまけ

藤枝晃雄、「バーネット・ニューマン論 上」、『季刊藝術』、no.44、1978冬、p.74(『現代芸術の不満』、東信堂、1996、所収。引用箇所は pp.204-205)

 によると、

 「ニューマンの個展(ニューヨーク近代美術館、1971年)にさいして長文のカタログを書いたトーマス・ヘスは、この芸術家がユダヤ人でありかれの書斎にゲルショム・ショーレムの『ユダイカ』があったことから、そしてニューマンが宗教的、神話的なタイトルを付け、またシナゴーグを設計したことから、かれの芸術をユダヤ教神秘主義、カバラーと関連づけている」

とのことです。もっともその後すぐ記されているように、

 「たしかに、ニューマンがユダヤ的なものを意識しなかったというわけにはいかないけれども、かれはたとえ偶然に一致する場合があってもカバラーによって、たとえばその象徴的な色彩論によって絵を描いたのではないし、その作品が抽象的であるのも遠くモーゼの十誡に繋るのではなく、現代芸術の正当な展開なのである」(同)

ことは忘れてはなりますまい。

 文中に挙げられているトーマス・ヘスのカタログは;


Thomas B. Hess, Barnett Newman, The Museum of Modern Art, New York, 1971

 ともあれニューマンには《ツィムツーム Ⅰ》(1969)と題された彫刻があったりします。
 また

多木浩二、『神話なき世界の芸術家 バーネット・ニューマンの探求』、岩波書店、1994、「Ⅵ 場所の感覚 - マコムとツィムツーム -」

 も参照

 ニューマンと並びカバラーにちなむタイトルをつけた美術家がキーファーです;

ドレート・ルヴィッテ・ハルテン、千速敏男訳、「知られざる神への讃歌」、『ユリイカ』、vol.25 no.7、1993.7:「特集 アンゼルム・キーファー」、pp.108-118
原著は
Doreet LeVitte Harten, “Canticle for a God Unknown”, 1991

檜山哲彦、「変容と流謫 - ユダヤ的なるものとキーファー」、同上、pp.148-153

 また同特集の図版ページ;

「アンゼルム・キーファー - 知の翼 -」、pp.128-129:「PAINTINGS - ユダヤ思想をテーマとした絵画」

多木浩二、『シジフォスの笑い アンセルム・キーファーの芸術』、岩波書店、1997、「第7章 カバラの詩学」
大いなる言語の破片/カバラと詩的な歴史/世界過程のはじまり-ツィムツーム

 同書について→こちらでも触れています:「言葉、文字、記憶術・結合術、書物(天の書)など」の頁の「おまけ

 そう言えば以前愛知県美術館で開かれた『愉しき家』展(2006年8月4日-10月1日)に、ミハ・ウルマンというイスラエルの作家による《回復》(cat.no.15、図録 1st、pp.46-47、2nd、同 pp.76-79)の原題が Tikkun (Restoration) であることを見た時には、思わずルーリアのカバラーを思いだしたものです。

 ちなみに前の職場で開かれた『開館10周年 シャガール展』(1993年1月)の図録で、cat.no.45《生命》の作品解説で、ショーレムの「神の名とカバラーの言語論」(『ユダヤ教神秘主義』、1975)を念頭に置いた文言を紛れこませたり、2度目にあたる『開館25周年記念 シャガール展』(2007年4月)の際には、「シャガール展今昔」という小文で、ショーレムのことに触れたりしたことがありました;

 「作品解説」 < 『シャガール展』展図録、1993.1

 「シャガール展今昔」 < HILL WIND 15号、2007.3.27 [ < ともに三重県立美術館のサイト

 さて、映画の領域に目を移すと、まず

巨人ゴーレム』、1920、監督:パウル・ヴェーゲナー

 が思いだされます。このテーマは何度か映画化されていますが、他のものは未見。

 ゴーレムといえば;

グスタフ・マイリンク、今村孝訳、『ゴーレム』(河出海外小説選 22)、河出書房新社、1978
原著は
Gustav Meyrink, Golem, 1915

 本書についてショーレムは、

 「その背後にはユダヤ的というよりむしろインド的な救済思想が展開されている。…(中略)…だが、雑然としてひどく込み入っているにもかかわらず、このマイリンクの『ゴーレム』は、ある模倣を許さぬ雰囲気につつまれている」

云々と述べています(「ゴーレムの表象」、『カバラとその象徴的表現』、1985、pp.218-219)。
 本作は

 ラヴクラフトの『文学における超自然の恐怖』(2009、p..59)

でも言及されています。さらに、

澁澤龍彦、「玩具について」、『夢の宇宙誌』、1964、p.28, pp.78-79:「註 - グスタフ・マイリンクの『ゴーレム』について(本文28ページ)」

 澁澤龍彦については→こちらを参照:「通史、事典など」の頁の「おまけ

 また、

フリードリヒ・キットラー、石光泰夫・石光輝子訳、『グラモフォン・フィルム・タイプライター』、下巻(ちくま学芸文庫)、筑摩書房、2006、pp.82-89

春山清純、「ゴーレム伝説関連文献 - 『プラハのゴーレム』を中心として - (研究ノート)」、『神戸薬科大学研究論集 Libra』、vol.5、2004.3.15、pp.41-84 [ < 神戸薬科大学機関リポジトリ

大場昌子、佐川和茂、坂野明子、伊達雅彦編著、『ゴーレムの表象 ユダヤ文学・アニメ・映像』、南雲堂、2013
はしがき(大場昌子)/
ユダヤ伝説を辿って(佐川和茂)/カフカ的想像力の憑依(坂野明子)/愛するゴーレム(金森修)/ユダヤ系女性作家の伝説書き換え(大場昌子)/ゴーレム伝説とアメリカン・スーパーヒーロー(片渕悦久)/マグマ大使はゴーレムか?(片渕悦久)/ゴーレム表象の軌跡(伊達雅彦)/
あとがき(佐川和茂)など、
256ページ。

 併せて→そちらも参照:「ユダヤ Ⅱ」の頁の「x. ショーレム以後、その他」の項のモーシェ・イデルの節

ミロラド・パヴィチ、工藤幸男訳、『ハザール事典 夢の狩人たちの物語[男性版]』、東京創元社、1993
原著は
Milorad Pavić, Le dictionnaire Khazar, 1988

 この本は「ハザール問題に関する」、キリスト教・イスラーム教・ユダヤ教それぞれの関係資料からなっていますが、
 その内「黄色の書 ハザール問題に関するユダヤ教関係資料」には、「アダム・カドモンについての覚書」が含まれています(pp.244-246)。
 →こちらも参照:「イスラーム Ⅱ」の頁の「vi. イスマーイール派など」の冒頭。また→そちらにも挙げておきます:「天使、悪魔など」の頁の「おまけ

 この他、


レオポルド・ルゴーネス、大西亮訳、「カバラの実践」、『アラバスターの壺 女王の瞳 ルゴーネス幻想短篇集』(光文社古典新訳文庫 K Aル 3-1)、光文社、2020、pp.19-31
原著は Leopoldo Lugones, ‘Kábala práctica’, 1897

 作中で「エリファス・レヴィを読んだ」(p.25、p.26)とありますが、それ以上にカバラについて記されるわけではありません。


渡辺啓助、『クムラン洞窟』(ふしぎ文学館)、出版芸術社、1993 の表題作(1959)

 →こちらにも挙げておきます:「グノーシス諸派など」の頁の「余談 イスカリオテのユダなど」。

エリエット・アベカシス、鈴木敏弘訳、『クムラン』、角川書店、1997
原著は Eliette Abécassis, Qumran, 1996

ジルベール・シヌエ、阪田由美子訳、『サファイアの書』、NHK出版、1998
原著は
Gilbert Sinoué, Le livre de saphir, 1996

ジェラルディン・ブルックス、森嶋マリ訳、『古書の来歴』、武田ランダムハウスジャパン、2010
原著は Geraldine Brools, People of the Book, 2008

 また、

『新世紀エヴァンゲリオン』(1995-1996→こちらも参照:「近代など(20世紀~) Ⅵ」の頁の「xxiii. 日本の漫画、アニメーションその他」)

 タイトルバックにセフィロートの木の図像が用いられたり(大瀧啓裕、『エヴァンゲリオンの夢 使徒進化論の幻影』、東京創元社、2000、p.11、pp.14-18 参照)、

高遠るい『ミカるんX』(2008-11)

での舞台の一つの学校がやはりセフィロートの樹の形をしていたり(第1巻、p.17、第2巻折り込み口絵など、ちなみに学校の名前は聖アグリッパ学院、校名の由来はハインリヒ・コルネリウス・アグリッパ・フォン・ネッテスハイム、とりわけ第8巻第弐期第壱拾玖話参照、ブラヴァツキーだのマルキオンだとのいった人工衛星(第1巻、pp.83-84)も登場、第1巻、pp.178-179 で唱えられる呪文にもご注目ください)、

 KAKERUの『魔法少女プリティ☆ベル』(BLADE CIMICS)、マッグガーデン(2010~ )、第3巻(2010)



 「アッシャー=活動位階/イェッツラー=形成位階/ブリアー=創造位階/アツィルト=原型位階」

といった用語が持ちこまれたり(p.66)と、漫画やアニメの分野でもカバラー周辺のイメージはおなじみになっているようですが、ここでは;


佐藤史生、『チェンジリング』(PFコミックス PFC-692)、小学館、1989、pp.131-170

 表題作(1989、pp.5-59)およびその続篇「ネペンティス」(1989、pp.61-106)に「セフィロート」という名の人物が登場します。カバラーとの関係は設けられていないようです。
 同じ著者による→こちらを参照:「インド」の頁の「おまけ



篠原烏童、『セフィロト』(全3巻)(ソノラマコミック文庫)、朝日ソノラマ、2000-2001(初出は1994-95+書き下ろし)

 『不法救世主』(全3巻、同、2000:初出は1990-1994)の続篇にあたり、ここで〈セフィロト〉は完全な形態としての円/球の意味で用いられていました。

 また、「イラン」のページで挙げた(→こちら:当該頁の「おまけ」)

諏訪緑、『西の国の物語 ~ペルシア神話より~』(flowers フラワーコミックスa FCa3315)、小学館、2010

 同、  『砂漠の花の物語 ~ペルシア神話より 2~』(flowers フラワーコミックスa FCa4264)、小学館、2012

 では、そこでも記したように、ペルシアの英雄のザールの物語、ヨナやトビトの物語が綴られた後、両系列が交差します。

倉橋由美子、『夢の通い路』(講談社文庫 く 5-2)、講談社、1993
(1989年刊本の文庫化)

 所収の「蛇とイヴ」は『創世記』の人間創造のくだりをひっくりかえしたものとなっています。
 同じ短篇集から→こちらも参照:『鮮血の処女狩り』(1973)の頁の「おまけ


 音楽の領域から - ジョン・ゾーンはユダヤ系とのことなので、紛いものを挙げるこのコーナーの趣旨からずれるのですが;

John Zorn's Masada, Alef (One), 1994(邦題:ジョン・ゾーン・マサダ、『マサダ1』)

 裏ジャケットにはショーレムの文章がエピグラフとして引かれています;

 「保守的な保存だけからなるわけではない伝統の生命というものがある、それは一つの共同体が霊的・文化的に所有しているものの、たえざる継続なのだ。伝統の内には宝探しのようなものがあって、伝統と生きた関係を創りだし、現在のユダヤ的意識の内最良のものが多くをそれに負っている、それが正統の枠外で表現された-そして表現される-時でさえも」。

出典は「イスラエルと離散の民」(『ユダヤ主義と西欧』、1973)の英語版だと思われます(邦訳ではp.67)。
 『マサダ』のシリーズはこの後も続いたようで、手もとにあるのはこの1枚と次の一枚だけなのですが、ライナーノートによると、ジャケットに映っているのは死海写本の写真だそうで、また
Gimel (3)には“Hekhal”(ヘハル=王宮の大広間)というタイトルの曲もあったりするとのことです。

 ちなみに;

Electric Masada, At the Mountains of Madness, 2004

 アルバムのタイトルはラヴクラフトの『狂気の山脈にて』(1931)によるものですが、内容も関係あるかどうかは不明(ライヴ・アルバムではあり、たぶん関係ないのでしょう)。
 ラヴクラフトとクトゥルー神話について→こちらを参照:「近代など(20世紀~) Ⅳ」の頁の「xix. ラヴクラフトとクトゥルー神話など」、またそちらも:同頁の「おまけ

 そういえば日本のグループで

アイン・ソフ、『妖精の森』、1980(1)
1. ヌメロ・ウエノ、たかみひろし、『ヒストリー・オブ・ジャップス・プログレッシヴ・ロック』、マーキームーン社、1994、pp.48-49。
 またバスクのプログレ成分入りフォーク・ロック・・バンドの2枚目

Itoiz, Ezekiel, 1980(邦題:イトイス、『エゼキエル』)(2)

 まるまる一枚エゼキエルをテーマにしたトータル・アルバムです。
2. 『ユーロ・ロック集成』、マーキームーン社、1987/90、p.158 ; 『ユーロ・ロック・プレス』、vol.43、2009.11、77。

 こちらはカタルーニャの、プログレ+中近東風民族音楽成分入りフォーク・ロック・バンドの7枚目、

Amarok, Sol de medianoche, 2007(邦題:アマロック、『真夜中の太陽』)

 1曲目が
"Sephiroth"(「生命の樹」)。

 同じアルバムから→こちら:「イスラーム Ⅲ」の「おまけ」に7曲目"Ishak el pescador"(「漁師イシャーク」」)や、
そちら:「近代など Ⅳ」の「おまけ」に4曲目"Wendigo"(「ウェンディゴ」)、
またあちら:『インフェルノ』(1980)の「おまけ」に11曲目"Abaddon's Bolero"(「奈落のボレロ」)
を参照

 あわせて→ここ:「アメリカ大陸など」の「おまけ」に Mujer Luna, 2002(邦題:『月の女』)から"Tierra Austral"(「南の風景(チリへ捧ぐ)」)や、
そこ(「近代など Ⅳ」の「トールキン」の項に Canciones de los mundos perdidos, 1995/2009 から"Homenaje a J.R.R.Tolkien (Homage to J.R.R.Tolkien)")
も参照
  

 アイルランドのシンフォニック・プログレ・バンドの2枚目、

Fruupp, Seven Secrets, 1974(邦題:フループ、『七不思議』)(3)

 1曲目が
"Faced with Shekinah"(「汚された安息日」)、8分23秒、オーボエとチェンバロで始まります。
 余談というかユダヤ的なものとは関係ないのですが、忘れない内にメモしておくと、4枚目の
Modern Masquerades, 1975(邦題:フループ、『当世仮面舞踏会』)の3曲目は"Gomenghast"、邦題は「ゴーメンハスト」となっていますが、マーヴィン・ピークの『ゴーメンガースト』三部作(1946-59、邦訳は1985-88)のことなのでしょう。10分47秒、LPならA面後半を占める曲です。
 『ゴーメンガースト』三部作について→「怪奇城の肖像(完結篇)」の頁でも触れました。
3. 深見淳・松崎正秀監修、『UKプログレッシヴ・ロック メインストリーム・エディション~The Golden Era』(THE DIG presents Disc Guide Series #017)、シンコーミュージック、2004、p.94。

 スウェーデンのトラッド成分+ジャズ成分入りプログレ・バンドの1枚目、

Samla Mammas Manna, Samla Mammas Manna, 1970(4)

 5曲目(数え方によっては6曲目)が
"Schekina"(手もとにあるCDの裏面では"Schenkina")、器楽曲、2分51秒。このアルバムではギターなしで、エレクトリック・ピアノが先導しています。ドラムスとパーカッション奏者が各1名、ベースが一人。
4. 『ユーロ・ロック・プレス』、vol.36、2008.2、pp.82-85。
  『オール・アバウト・チェンバー・ロック&アヴァンギャルド・ミュージック』、マーキー・インコーポレイティド株式会社、2014、pp.138-149。
 →こちらも参照:「怪奇城の外濠 Ⅲ」の頁の「おまけ」、また→そちら(「アメリカ大陸など」の頁の「おまけ

Patrick Moraz, Out in the Sun, 1977(邦題:パトリック・モラーツ、『アウト・イン・ザ・サン』)(5)

 2枚目の6曲目(元のLPではB面2曲目)が
"Kabala"(「カバラ」)、器楽曲、4分56秒。せわしないまでに仰々しくも賑々しかった前作 The Story of i (→そちらを参照:「アメリカ大陸など」の頁の「おまけ」)とは打って変わって、軽快でポップな作品が主軸になったアルバムです。この曲もその例に洩れません。とはいえ、ブラジルの音楽家たちによるパーカッション以外にも、メロディー・ラインやキーボードのフレーズ・音色などに、前作との共通項が垣間見られます。他方、前作の特徴の一つだったと見なしてよいでしょうか、エンジンを駆動させるかのような、景気のいいリフは見られなくなりました。
5. 『イエス ストレンジ・デイズ11月号増刊 Artists & Disc File Series vol.1』、ストレンジ・デイズ、2003、p.178。

The Mars Volta, Amputechture, 2006(邦題マーズ・ヴォルタ、『アンピュテクチャー』)

 3枚目の2曲目が"Tetragrammaton"(邦題:「テトラグラマトン」)、16分41秒。
 同じアルバムから別の曲→こちらを参照:「天使、悪魔など」の頁の「おまけ
2013/12/04 以後、随時修正・追補
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