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 ユダヤ
ユダヤ Ⅱ
ユダヤ神秘主義
 ix ショーレムの著作とその周辺
 x ショーレム以後、その他
 xi メルカヴァー/ヘーハロート神秘主義など
ユダヤ神秘主義(承前)
 xii カバラー(カバラ、カッバラー)など
 xiii ルーリアのカバラーなど
 xiv サバタイ派(シャブタイ派)、フランク派など
 xv ハシディズムなど
 xvi キリスト教カバラ-、隠秘学的模作など
   xvii 応用篇など
    おまけ 


ix. ショーレムの著作とその周辺

 まずは

ゲルショム・ショーレム、山下肇・石丸昭二・井ノ川清・西脇征嘉訳、『ユダヤ神秘主義』(叢書・ウニベルシタス)、法政大学出版局、1985
原著は Gershom Scholem, Die jüdische Mystik in ihren Hauptströmungen, 1957
ユダヤ神秘主義の一般的特質;本書の意図/神秘主義とは何か/神秘的経験のパラドックスな性質/歴史的現象としての神秘主義/神話、宗教、神秘主義/宗教的価値の神秘主義的解釈/ユダヤ教のポジティブな内容によるユダヤ神秘主義の感化/隠れたる神とその性質に関するカバリストの理論/セフィロース/トーラー/カバラーと言語/神秘主義と歴史世界/宇宙創造説と終末論/ユダヤの哲学とカバラー/寓意(アレゴリー)象徴(シンボル)/ハーラーハーとアッガーダーの哲学的ならびに神秘主義的解釈/カバラーと祈禱/カバリストの思考における神秘主義的要素/ユダヤ教の中心部における神秘主義の復活/ユダヤ神秘主義における女性的要素の欠如//
メルカーバー神秘主義とユダヤのグノーシス;ユダヤ神秘主義の第一期/著作の匿名性/ミシュナー教師の秘教/玉座神秘主義/黙示録と神秘主義/ヘハロース書の文学/ヨルデ・メルカーバーとその機構/伝授の条件/魂の忘我的な上昇とそのテクニック/魔術的要素/上昇の危険/聖なる王としての神/メルカーバー神秘家の讃歌/シウール・コーマー/エノク、メータトローン、ヤーホーエル/宇宙の帷/グノーシスのアイオーン思弁の残滓/『創造の書』/妖術/メルカーバーの道徳的再解釈//
中世におけるドイツのハシディズム;ドイツにおけるハシディズムの台頭/神秘主義の伝統とドイツのユダヤ民族/『敬虔者の書』/ハーシード・ユダとその弟子/ハシディズムの終末論的性格/ハーシードの新しい思想、禁欲、
不動心(アタラクシア)、利他主義/神の愛/修道僧的キニク主義のユダヤ的表現/ハーシードの魔術的力、ゴーレム伝説/祈禱の秘密/オカルト的実践/ハーシード的贖罪観/ハーシード的神表象/神の内在/カーボード、神の栄光/フィロのロゴス説の痕跡/玉座に坐したケルービーム/神の聖性と偉大さ/祈禱の目的/宇宙的原型(祖型)//
アブラハム・アブーラーフィアと預言者的カバラー;カバラーの出現/カバリストのさまざまなタイプ/カバリストの自制と自己検閲/幻視と忘我/神秘的合一のユダヤ的形態デベクースの概念/アブラハム・アブーラーフィアの生涯と作品/忘我的な知に関する彼の理論/「組合せの学問」/純粋思考の音楽/預言の神秘的性質/預言者的カバラー/忘我の本質としての神秘的変容/神秘主義的プラグマティズム/「実践的カバラー」と魔術/アブーラーフィアの教義とその後の発展/アブーラーフィアの一弟子の自伝の翻訳//
ゾーハル その一 書物とその著者;ゾーハルの問題/ゾーハルの文学的性格と構成/ゾーハル「文学」の全体は二つの部分、主要部とラヤー・メヘムナーとから成る/ゾーハルの主要部は
一人の(ヽヽヽ)著者の作である/統一性の証明/ゾーハルの言語と文体/本書の舞台/文学的構成の原理/ゾーハルの本当の典拠とにせの典拠/典拠の扱い方/一定のカバラーの教義に対する著者の特別の好みと、他の教義の拒否/シェミットースないし宇宙の発展の統一に関する教義の欠如/作品におけるいろいろな発展段階/ゾーハルの最も古い構成部分であるミドラーシュ・ハ=ネエラーム/ミドラーシュ・ハ=ネエラームが書かれたのは1275年と1281年の間で、主要部は1281年と1286年のあいだ、そしてラヤー・メヘムナーとティックーニームは1300年頃である/著者の人物の問題/モーセス・ベン・シェムトーブ・デ・レオン/彼が著者であることを示す古い証言/モーセス・デ・レオンとヨセフ・ギカティラ/モーセス・デ・レオンのヘブライ語の著作とゾーハル主要部との比較/これらすべての著作の著者は同一人物である/モーセス・デ・レオンのその他のカバラー的偽書/モーセス・デ・レオンのヘブライ語の著作中に見られる、ゾーハルの著者が彼であることの隠れた示唆/モーセス・デ・レオンの精神的発展とゾーハル起草の動機/偽書は宗教文学の正当なカテゴリー//
ゾーハル その二 ゾーハルの神智学的教義;メルカーバー神秘主義とスペインのカバラーとの相違/隠れた神ないしはエン・ソーフ/セフィロース、神性の王国/トーラーの神秘主義的解釈/セフィロースの象徴的理解/カバリスト的象徴表現の若干の見本/神秘的有機体としての神/無と存在/セフィロースの最初の三つの発展段階/創造と、その神との関係/神統系譜と宇宙創造説/ゾーハルの著者の汎神論的傾向/創造の本来の性質/カバリストの思考における神秘的な諸形象/性的象徴表現の問題/シェキーナーを神における女性的要素ならびに神秘主義的な「イスラエル共同体」としてとらえる新しい考え方/人間とその堕罪/カバリストの倫理/悪の本性/ゾーハルとヤーコプ・ベーメ/ゾーハルの霊魂論/神智学と宇宙創造説と霊魂論の統一//
イサアク・ルーリアとその学派;スペインからの追放とその宗教的な結果/メシア主義に至る途上のカバラー/カバリストの黙示録的宣伝/新しいカバラーの性格と機能/その中心地、パレスチナのサーフェード/モーセス・コルドヴェロとイサアク・ルーリア/彼らの人格/ルーリア派カバラーの伝播/イスラエル・ザールーク/ルーリア派の教義の特性/ツィムツームとシェビーラーとティックーン/創造の二重の過程/創造の出発点たる、神の自己自身の内への退却/この教義の意味/原初の破局ないしは「容器の破裂」/悪の起源/ティックーンすなわち調和の回復の理論の二つの様相/人格神の神秘主義的誕生と人間の神秘主義的行為/神智論的世界と神に対するその関係/ルーリアの体系における人格神論と汎神論/メシア主義の神秘主義的再解釈/神秘主義的祈禱に関する教義/カッヴァーナー/宇宙における人間の役割/ルーリアの心理学と人間学/シェキーナーの追放/聖なる火花を助け上げること/輪廻の教義とサーフェードのカバラーにおけるその位置/ルーリア派カバラーの影響/追放と救済の偉大な神話//
サバタイ主義と神秘主義的異端;1665-66年のサバタイ主義の運動/カバラーのメシアであるサバタイ・ツヴィーと、その預言者ガザのナータン/サバタイ・ツヴィーの病気とナータンにおけるその神秘主義的解釈/反律法主義的行為の擬似秘蹟的性格/新しいメシアの人格に適応したルーリア派の教義/サバタイ・ツヴィーのイスラム教への変説後に生じた運動の異端的転回/ユダヤの歴史におけるサバタイ主義の意味/ユダヤ人の意識の革命/異端的カバラーと啓蒙主義との関係/サバタイ主義のイデオロギー/逆説の宗教/救済の歴史的神秘主義的様相/サバタイ・ツヴィーの背教後の救済の崩壊/サバタイ主義とキリスト教/サバタイ主義に対するマラノの心理学の影響/メシアの必然的背教の教義/反律法主義の問題/サバタイ主義の穏健な形式と過激な形式/神秘主義的ニヒリズムと、罪の聖性の教義/新しい神観、第一原因すなわち理性の神と第一結果すなわち啓示の神//
ポーランドのハシディズム、ユダヤ神秘主義の終局;18世紀のポーランドとウクライナのハシディズム、ならびにその問題性/カバリストとハシディズムの文学/カバラーの大衆運動への変化/サバタイ主義崩壊後のカバリストの発展の二者択一/神秘主義の異教的形式への回帰、ラビ・シャーローム・シャルアビー/その大衆的側面の深化、ハシディズム/カバラーのメシア的要素の排除/サバタイ主義とハシディズム/ラビ・アダム・バァル=シェーム-隠れサバタイ主義の預言者/サバタイ主義とハシディズムにおける新しい型の指導者/神秘主義的な覚醒運動/ハシディズムの新しさは何か/ハシディズムの本来の独自性と関係があるのは神秘主義的神智論ではなく神秘主義的倫理である/ハシディズムの本来の性質から生み出されたツァッディーク主義の人物崇拝/教養に代る人格/ツァッディークないし聖者の像/生きたトーラー/人間共同体の中心としての聖者の社会的機能/ハシディズムにおける神秘主義と魔術/ハーシードの伝説など、
638ページ。

 カバー、背表紙、奥付けに記されたタイトルは『ユダヤ神秘主義』ですが、扉のみ『ユダヤ神秘主義 その主潮流』となっています。
 なお手もとには、英語版
Major Trends in Jewish Mysticism, 1941/1961/1978 があります。

 上の『主潮流』が訳される前に渇を癒してくれたのが;

G.ショーレム、高尾利数訳、『ユダヤ教神秘主義』(ST叢書 bibliotheca sine titulo)、河出書房新社、1975
原著は Gershom Scholem, Judaica 3, 1973
神の名とカバラーの言語論/12、13世紀の西ヨーロッパにおけるユダヤ神秘主義/ユダヤ教伝承および神秘主義における色とその象徴論/ユダヤ教メシアニズムにおける伝統の危機/18世紀の宗教的ニヒリズムにおけるサバタイ主義者の異端的メシアニズムの変貌/ドイツにおける最後のカバリスト/ロイヒリンから現在に至るカバラーの研究/カバラーに関する十の非歴史的テーゼなど、
266ページ。

 とりわけ
「神の名とカバラーの言語論」(→こちらにも挙げました:「言葉、文字、記憶術・結合術、書物(天の書)など」の頁中。また別訳あり→そちら:本頁下掲

「ユダヤ教伝承および神秘主義における色とその象徴論」(→あちらにも挙げました:「図像、図形、色彩、音楽、建築など」の頁の「iii. 色彩など」の項、またあちらの2:「『Meiga を探せ!』より・他」中の『虹男』(1949)の頁)
からは、
豊富なイメージを引きだすことができます。
 また
「ユダヤ教メシアニズムにおける伝統の危機」はサバタイ主義、
「18世紀の宗教的ニヒリズムにおけるサバタイ主義者の異端的メシアニズムの変貌」はフランク主義を論じたもの、
短文ですが「カバラーに関する十の非歴史的テーゼ」中の「Ⅴ」は、「エン・ソフと無との関係」を扱っています。
 →ここでも少し触れています:「有閑神(デウス・オーティオースス)、デーミウールゴス、プレーローマなど」の頁中
 

 これに先だって訳されていたのは;

G.ショーレム、高尾利数訳、『ユダヤ主義の本質』(ST叢書 bibliotheca sine titulo)、河出書房新社、1972
原著は Gershom Scholem, Judaica, 1963
ユダヤ教におけるメシア的理念の理解のために/ダビデの楯-一象徴の歴史/アブラハム・カルドーゾの光に照らしたサバタイ主義の神学/ユダヤ教学の過去と現在/マルティン・ブーバーのハスィディズム解釈/記念すべき日に/ユダヤの伝統の中の36人の隠れた義人/『救いの星』の新版のために、など、
230ページ。


G.ショーレム、高尾利数訳、『ユダヤ主義と西欧』(ST叢書 bibliotheca sine titulo)、河出書房新社、1973
原著は Gershom Scholem, Judaica 2, 1970
;ドイツ人とユダヤ人との〈対話〉という神話に反対して/再びドイツ人とユダヤ人の対話について/ユダヤ人とドイツ人/イスラエルについて/イスラエルと離散の民/プラーハのゴーレムとレホヴォトのゴーレム//
Ⅱ;S.J.アグノン-最後のヘブライ古典作家?/ドイツにおけるアグノン-思い出/マルティン・ブーバーのユダヤ教理解/ヴァルター・ベンヤミンなど、
252ページ。


 その後;

ゲルショム・ショーレム、小岸昭・岡部仁訳、『カバラとその象徴的表現』(叢書・ウニベルシタス)、法政大学出版局、1985
原著は Gershom Scholem, Zur kabbala und ihrer Symbolik, 1960
宗教的権威と神秘主義/ユダヤ教神秘主義における『トーラー』の意味/カバラと神話/カバラ儀礼における伝統と新しき創造/ゴーレムの表象など、
340ページ。


 なお手もとには、英訳版 On the Kabbakah and Its Symbolism, 1960/1965/1969 があります。

ゲルショム・ショーレム、徳永恂・波田節夫・春山清純・柴嵜雅子訳、『錬金術とカバラ』、作品社、2001
原著は Gershom Scholem, Judaica 4, 1984
ヨーロッパ精神史におけるカバラの地位/錬金術とカバラ/宗教現象としてのニヒリズム/ユダヤ教の宗教的カテゴリーとしての啓示と伝承/1900年から1930年の間のドイツにおけるユダヤ人の社会心理について/ユダヤ的敬虔の三つのタイプについて、など、
296ページ。


ゲルショム・ショーレム、石丸昭二訳、『サバタイ・ツヴィ伝 神秘のメシア』(全2冊)(叢書・ウニベルシタス 917)、法政大学出版局、2009
原著は Gershom Scholem, Sabbatai Zwi. Der Mystische Messias, 1992
上巻 サバタイ主義運動の背景;サバタイ主義運動とその欠陥の歴史的社会学的説明/ユダヤ史におけるメシアニズムとその相反する二つの傾向。破局的-ユートピア的形式と合理主義的形式/カバラーにおけるメシア思想/ルーリアのカバラーとその追放ならびに救済の神話/ルーリアのカバラーの歴史的役割と社会的意味/1665年までのルーリアのカバラーの伝播/ポーランドにおけるカバラー。1648年へのメシア的期待。この年の大虐殺にたいする同時代の人びとの反応/キリスト教におけるユートピア的メシア思想。千年至福説と千年至福運動//
サバタイ・ツヴィ(1626-1664)のスタート;サバタイの生まれと青少年時代。彼のカバラー研究と「神性の秘義」/サバタイ・ツヴィの病気。その性質と意味/メシア・サバタイの初登場とスミルナからの追放/サバタイのトルコ遍歴。アブラハム・ヤキーニとダヴィド・ハビロ/エルサレムのサバタイ・ツヴィ/サバタイのエルサレム滞在とエジプトへの宣教。サラとの結婚(1664-1665)//
パレスチナにおける運動の始まり(1665年);ナータン・アシュケナージと彼の預言体験。エジプトからガザへサバタイの帰還。1663年5月の大いなる預言的啓示とメシア的照明/黙示録『ラビ・アブラハムの幻視』/ガザのサバタイ・ツヴィとエルサレムのラビたちによる彼の破門/サーフェード、アレッポを経てスミルナへいたるサバタイの旅。サバタイ出立後のガザにおけるメシア主義暴動/エジプトのチェレビー・ラファエル・ヨセフに宛てた預言者ナータンの手紙。その手紙の意味/ナータンの贖罪冊子/ナータンの『竜に関する論文』とその主要な教義//
サバタイがガリポリで捕えられるまでの運動(1665-1666年);ガザとエジプトからの最初の報告の流布。反対者の沈黙/ペルシア、アラビア、北アフリカにおける10部族の軍隊による征服のuwasa/サバタイ出立後のパレスチナにおける運動(1665年秋から1666年早春まで)/1665年12月までのスミルナの運動/サバタイはスミルナのコミュニティにおいて支配者的な影響力を獲得する。1665年12月の出来事/大衆預言行動とメシアによる王の任命。サバタイのコンスタンチノープル行き/コンスタンチノープルでの運動。預言者モーセス・スリエル(またはサラヴァル)。コンスタンチノープルでのサバタイの拘禁(1666年2月から4月まで)とガリポリへの移送など、
678ページ。

下巻 ヨーロッパにおける運動(1666年);成功の条件と要因。運動の広がり。贖罪運動の全般的記述/イタリア/アムステルダム/ドイツ/ハンブルク/ポーランド//
サバタイの棄教までの東方ならびに中心地ガリポリにおける運動(1666年);1666年5月から7月にかけてのサバタイ・ツヴィ(「堅固な櫓」)/新しい祭礼と伝統的な断食の廃止。ポーランド使節の訪問/トルコ、エジプト、北アフリカにおける運動の広がり。アブラハム・ミゲル・カルドーゾ/イエーメンでの運動/ネヘミヤ・コーヘンと彼のサバタイ・ツヴィ訪問/トルコ当局にユダヤ人謀叛の讒訴。サバタイがスルタンの前に出ること、そして1666年9月の棄教//
棄教のあと(1667-1668年);支持者と反対者にたいする棄教の影響。信仰の危機/公衆を落ち着かせようとするコンスタンチノープルのラビたち/ナータンのパレスチナ出立。ナータンとサバタイの支持者にたいするコンスタンチノープルのラビたちの措置/ナータンの小アジアの旅と、アドリアノープルでサバタイに会おうとすること。1667年のサバタイ・ツヴィ。ナータンのギリシアの旅/ヨーロッパ、とくにイタリアとオランダにおける棄教後の「信者」と「不信仰者」/1668年ナータン、イタリアへ行く。ヴェネツィアのラビ法廷による彼の取調べとローマにおける彼の謎の使命。彼のバルカン帰還とカストリア滞在/預言者サバタイ・ラファエルと彼のヨーロッパの旅/棄教後のサバタイ信奉者たちの神学/ガザのナータンの著作に見る帰郷者メシアの教義と律法の意味/アブラハム・ミゲル・カルドーゾの手紙『マーゲン・アブラハム』//
サバタイ・ツヴィの晩年(1668-1676年);アドリアノープルにおいてサバタイグループが強固になること/1668年の啓示とトラクト『信仰の証』。1672年までのツヴィと彼のサークル/サバタイサークルの教義。イスラエル・ハッサンの詩篇注釈/1672年、サバタイ・ツヴィの逮捕と審判/サバタイ、ドゥルチーニョへ追放。1674-1675年、アムステルダムと北アフリカにおけるメシアニズムの復活/サバタイの最晩年。彼の「神性の秘義」とトラクト『信仰の秘義』/サバタイと預言者ナータンの死など、
682ページ。


 なお手もとには、英訳版 Sabbatai Ṣevi. The Mystical Messiah 1626-1676, 1973/1975 があります。

 サバタイ(シャブタイ)主義については→こちらも参照:「ユダヤ Ⅲ」の頁の「xiv. サバタイ派、フランク派など


 また;

ゲルショム・ショーレム、「パラダイスに入った四人のラビとパウロの入神経験」、手島勲矢訳編、『ユダヤ人から見たキリスト教』、山本書店、1986、pp.129-141
原著は Gershom Scholem, “The Four Who Entered Paradise and Paul's Ascension to Paradise”

 後掲の Jewish Gnosticism, Merkabah Mysticism, and Talmudic Tradition, 1960 所収

 他の内容は;
ユダヤ人から見たイエスと初代キリスト教(ダビッド・フルッサル)/イエスの言葉とミドラッシュ(メナヘム・キステル)/成文律法と口伝律法(手島勲矢)など、224ページ。


ゲルショム・ショーレム、市川裕訳、「無からの創造と神の自己限定」、『エラノス叢書 6 一なるものと多なるもの Ⅰ』、平凡社、1992、pp.61-114
原著は
Gershom Scholem, “Schöpfung aus Nichts und Selbstverschränkung Gottes”, Eranos Jahrbuch 25-1956

 後掲の Über einige Grundbegriffe des Judentums, 1970 所収

ゲルショム・ショーレム、市川裕訳、「神の名とカバラーの言語理論」、『エラノス叢書 9 言葉と創造』、平凡社、1995、pp.79-162+pp.225-235:解題Ⅱ(市川裕)
原著は Gershom Scholem, “Der Name Gottes und die Sprachetheorie der Kabbalac”, Eranos 39-1970

 上掲『ユダヤ教神秘主義』(1975)所収の論文の別訳

ゲルショム・ショーレム、進藤英樹訳、「初期カバラーにおける聖書の神とプロティノスの神の闘い」、『エラノス叢書 10 創造の形態学 Ⅰ』、平凡社、1990、pp.209-281+pp.315-322:解題Ⅳ(進藤英樹)
原著は
Gershom Scholem, “Das Ringen zwischen dem biblischen Gott und dem Gott Plotins in der alten KabbalaS”, Eranos Jahrbuch 33-1964

 後掲の Über einige Grundbegriffe des Judentums, 1970 所収

 以上の他に;

ゲルショーム・ショーレム、丘澤静也訳、「ヴァルター・ベンヤミンと彼の天使」、『現代思想』、vol.3-5、1975.5:「特集=フランクフルト学派 その全体像」、pp.166-194
原著は Gershom Scholem, “Walter Benjamin und sein Engel”, 1972

 →こちらにも挙げておきます:「天使、悪魔など」の頁の「i. 天使など

ゲルショム・ショーレム、野村修訳、『わが友ベンヤミン』、晶文社、1978
原著は Gershom Scholem, Walter Benjamin - Die Geschichte einer Freundschaft, 1975
最初の接触(1915)/友情の深まり(1916-17)/スイスにて(1918-19)/戦後の歳月(1920-23)/遙かからの信頼(1924-26)/パリ(1927)/挫折した計画(1928-29)/危機と転機(1930-32)/亡命の歳月(1933-40)/付 書簡三通など、
302ページ。


ゲルショム・ショーレム編、山本尤訳、『ベンヤミン-ショーレム往復書簡』(叢書・ウニベルシタス 326)、法政大学出版局、1990
原著は Hrsg. Gershom Scholem, Walter Benjamin / Gershom Scholem Briefwechsel 1933-1940, 1980/1985
序言(ゲルショム・ショーレム)/ヴァルター・ベンヤミンからの手紙/往復書簡/文通が終わって、など、
442ページ。


ゲルショム・ショーレム、阿部仁訳、『ベルリンからエルサレムへ 青春の思い出』(叢書・ウニベルシタス 343)、法政大学出版局、1991
原著は Gershom Scholem, Von Berlin nach Jerusalem. Jugenderinnerungen, 1977
家系と幼年時代(1897-1910)/ユダヤ人の環境/ユダヤ人の目覚め(1911-1914)/ベルリン大学生(1915-1916)/パンシオーン・シュトルック(1917)/イェーナ(1917-1918)/ベルン(1918-1919)/ミュンヒェン(1919-1922)/もう一度ベルリンとフランクフルト(1922-1923)/エルサレム(1923-1925)など、
228ページ。

………………………

Selected and edited by Gershom Scholem, Zohar. The Book of Splendor. Basic Redings from the Kabbalah, Schoken Books, New York, 1949/1963

『ゾハル 光輝の書 カバラーからの基礎的な文選』
序論;ゾハルの歴史的位置/文学的性格/起源と著者/本書のための選択について//
創世記;始まり/宇宙:殻と核/最初の光/人間の創造/男と女/焼き尽くす火/生からの出発/霊の三つのより糸/信仰の最高度/真夜中/ヤコブの祝福/ヨセフより大いなる/大いなる宴/ヤコブの死/汝の心の上の封印//
出エジプト記;10のセフィロート/深みより/二つの相/安息日/トーラーの恋人たち/魂の宿命/無垢な子供の苦しみ/魂の三つの局面/喜びをもって主に仕えよ/星々/ヨナの寓意的説明//
レビ記-民数記-申命記;流謫と贖い/いかに神の前に立つか/天の賛歌/聖なる交わり/神の愛/シャロンの薔薇/生命の木/トーラーの隠された意味など、
126ページ。

 本書の p.27 から一節をエピグラフにしたことがあります(→「点を打てば風が吹き、風が吹けば桶が飛ぶ-諏訪直樹の作品をめぐる覚書」、『没後11年 諏訪直樹展』図録 2001.11 [ < 三重県立美術館サイト ])。
 こちらに掲載されているのは、上の書からです→
The Other Bible, 1984/2005
 『ゾハル』については→そちらも参照:「ユダヤ Ⅲ」の頁の「xii. カバラーなど

Gershom Scholem, Jewish Gnosticism, Merkabah Mysticism, and Talmudic Tradition, The Jewish Theological Seminary of America, New York, 1960/1965
『ユダヤ・グノーシス主義、メルカヴァー神秘主義、タルムード的伝承』
概観/ヘーハロート神秘主義のハラハー的性格/楽園に入った四人とパウロの楽園への上昇/メルカヴァー賛歌とタルムードの一節における雌牛の歌/『大ヘーハロート』におけるいくつかの古い要素/『シウール・コーマー』思弁の年代とオーリゲネースの一節/メタトロンとアカトリエルに関する所見/メルカヴァー賛歌によって説明できるアッガダーのいくつかの言説 神の衣/グノーシス資料とユダヤ資料の関連 オグドアスに関するユダヤ資料 ヤルダバオートとアリエル エリヤとリリート/『小ヘーハロート』と魔術パピルスの降神術的要素//
附録;アラム語碑文の新たな解釈/魔術式文
AKRAMACHAMAREI SESENGEN BARPHARANGES について/『マアセー・メルカヴァー』-未公刊のメルカヴァー文献(英語緒言+ヘブライ語ないしアラム語)/Mishnah Shir ha-Shirim -Saul Lieberman 教授による(ヘブライ語ないしアラム語)など、
144ページ。

 第Ⅲ章は日本語訳あり→こちら:本頁上掲「パラダイスに入った四人のラビとパウロの入神経験」(1986)
 メルカヴァー神秘主義については→そちらも参照:本頁下掲の「xi. メルカヴァー/ヘーハロート神秘主義など


Gershom Scholem, translated by Allan Arkush, edited by J. Zwi Werblowsky, Origins of the Kabbalah, Princeton University Press, 1987/1990
原著は Gershom Scholem, Ursprung und Anfänge der Kabbala, 1962
『カバラーの起源と始まり』
問題;調査の現状:グレーツとノイマークの見解/12世紀の南フランス:カタリ派-ラングドックのユダヤ人/カバラー以前のユダヤ教における創造とメルカヴァーの秘教的教義:ヘーハロートおよびユダヤ・グノーシス主義の文献/『セーフェル・イェツィラー』/カバラーの出現に関する最古の資料と『バヒール』の書の刊行//
『バヒール』の書;当書の文学的性格と構造:相異なる層/『バヒール』におけるグノーシス的要素:プレーローマと宇宙樹/その他のグノーシス的要素:神の諸力-『ミッドート』-タルムード的言説のグノーシス的再解釈-二重のソピア-と娘および花嫁としてのソピア-のシンボリズム/ドイツ・ハシディズムの伝承に残された古い典拠の同定:『ラザ・ラッバ』と『バヒール』/最初の三つのセフィロート/六つの下位のセフィロート:原人間の四肢とそのシンボリズム-悪の場所/男性性と女性性の対:『バヒール』における第7と第10セフィラー-義人のシンボリズム/シェキナーのシンボリズムと女性性:宝石/ドイツ・ハシディズムにおけるアイオーンの教義の諸要素/魂の輪廻と『バヒール』における祈りの神秘主義//
プロヴァンスにおける最初のカバリストたち;ナルボンヌのアブラハム・ベン・イサク/アブラハム・ベン・ダヴィド
(Rabad)/ナジル人ヤコブと共同体における禁欲主義者のグループ、PerushimNezirim-カタリ派とカバラー-禁欲主義者たちに与えられた啓示と三つの啓示の形態-祈りにおける〈カッヴァーナー〉の教義/盲人イサクとその著作/〈エン・ソーフ〉とセフィロートに関するイサクの教義/イサクと他の典拠による善と悪/イサクの瞑想的神秘主義:〈カッヴァーナー〉と〈デヴェクート〉/〈イユン〉サークルの著作/当サークルの基本的概念:原初のアイテール-光と言語の神秘主義/偽ハイにおける13の〈ミッドート〉、セフィロートとそれらの上にある三つの光/偽書簡のセフィロート教義//
ジローナにおけるカバリストの中心地ー;ジローナのカバリストたちと彼らの著作/カバリストたちのプロパガンダに起因する論争と騒動:マイモニデスの著作に関する論争における彼らの役割/〈カッヴァーナー〉を通した上昇:無と〈ホフマー〉/アズリエルとナハマニデスの流出の過程に関する教義:〈エン・ソーフ〉、原意志と原理念-セフィロート/人間と魂/〈テムナー〉の書と世界周期あるいは〈シェミットート〉の教義など、
504ページ。

 初期カバラーについては→こちらも参照:「ユダヤ Ⅲ」の頁の「xii. カバラーなど


Gershom Scholem, translated by Joachim Neugroschel, edited by Jonathan Chipman, On the Mystical Shape of the Godhead. Basic Concepts in the Kabbalah, Schoken Books, New York, 1991/1997
原著は Gershom Scholem, Von der mystischen Gestalt der Gottheit. Studien zu Grundbegriffen der Kabbala, 1962/1977
『神性の神秘的形態について カバラーの基本的概念』
序文(Joseph Dan)
/シウール・コーマー:神性の神秘的形態/シトラ・アフラ:カバラーにおける善と悪/ツァッディーク:義人/シェキナー:神性における女性的要素/ギルグル:魂の輪廻/ツェレム:星気体の概念など、
334ページ。


Gershom Scholem, Über einige Grundbegriffe des Judentums, Suhrkamp Verlag, Frankfurt am Main, 1970
『ユダヤ教のいくつかの基本概念について』
初期カバラーにおける聖書の神とプロティノスの神の闘い無からの創造と神の自己限定ユダヤ教の宗教的カテゴリーとしての啓示と伝承ユダヤ教におけるメシア的理念の理解のために、および後記:あるプロテスタントの神学者の手紙から、など、
170ページ
(手もとにあるのはコピー)。

 下線を引いたものは、リンク先に邦訳を掲載した本を記してあります。


Gershom Scholem, Die Geheimnisse der Schöpfung. Ein Kapitel aus dem kabbalistischen Buch Sohar, Insel Verlag, Frankfurt am Main, 1971
『創造の秘密 カバラーのゾハルの書からの1章』
ゾハルの歴史的理解のために;ゾハルの歴史的位置/文学的性格/成立と著者/翻訳とその手はず//
ゾハルそのものに即した理解のために;ゾハルの神観/10のセフィロートとその象徴表現/翻訳された節の構成と思考過程//
「創造の秘密」;創造物語に対する「トーラーの秘密」の節の翻訳など、
106ページ(手もとにあるのはコピー)。

 『ゾハル』については→こちらも参照:「ユダヤ Ⅲ」の頁の「xii. カバラーなど


Gershom Scholem, The Messianic Idea in Judaism and Other Essays on Jewish Spirituality, Schoken Books, New York, 1971/1995
『ユダヤ教におけるメシア的理念 およびユダヤ的霊性に関するその他の試論』
序文
(Arthur Hertzberg)
ユダヤ教におけるメシア的理念の理解のために/カバリズムにおけるメシア的理念/ユダヤ教メシアニズムにおける伝統の危機/罪を通しての贖い/トルコのデンメー(サバタイ主義者)の隠れユダヤ宗派/ニューヨークからのあるサバタイ主義者の遺言/初期ハシディズムにおけるメシア的要素の中性化/〈デヴェクート〉、あるいは神との交わり/マルティン・ブーバーのハスィディズム解釈ユダヤの伝統の中の36人の隠れた義人ダビデの楯-一象徴の歴史ユダヤ教の宗教的カテゴリーとしての啓示と伝承ユダヤ教学の過去と現在ブーバーの聖書翻訳の完成にローゼンツヴァイクの『救いの星』1930年度版について/神秘主義の政治学:イサク・ブロイアーの『新たな Kuzari』/プラーハのゴーレムとレホヴォトのゴーレムなど、
396ページ。

 「罪を通しての贖い」に関して→こちら(「言葉、文字、記憶術・結合術、書物(天の書)など」の頁の「おまけ」/ダニエレブスキー『紙葉の家』に関連して)でも触れました

 下線を引いたものは、リンク先に邦訳を掲載した本を記してあります。


Gershom Scholem, Kabbalah, New American Library, New York, Scarborough, Onatario, 1978
原著は1974刊で、 Encyclopaedia Judaica のために書かれた記事を改訂・再編集したもの(p.465)
『カバラー』
第1部 カバラー 序論;概観/カバラーのために用いられる用語//
  カバラーの歴史的展開;神秘主義と秘教の早期の始まり/黙示的秘教とメルカヴァー神秘主義/秘教的文献:『ヘーハロート』、『マアセー・ベ-レシート』、魔術文献/ユダヤ・グノーシスと『セーフェル・イェツィラー』/ゲオニーム時代の神秘主義/ヨーロッパとエジプトにおけるハシディズム運動/プラヴァンスにおけるカバラーの定着/ジローナのカバリストの中心地/13世紀スペイン・カバラーの他の流れ/スペイン追放に至るまでの14世紀のカバラー/スペイン追放以後のカバラーとサーフェード(ツファット)の新たな中心地/後の時期のカバラー//
  カバラーの基本的理念;神と創造/流出とセフィロートの概念/セフィロートの教義の細部とそのシンボリズム/早期の諸世界、下位の諸世界、宇宙周期(〈シェミットート〉の教義)/悪の問題/ルーリア派カバラーにおける創造の教義/カバラーと汎神論/人間とその魂(カバラーの心理学と人間論)/流謫と贖い/トーラーとその意義/神秘的な道/実践的カバラー//
  カバラーの広範な影響と調査;ユダヤ教にたいするカバラーの影響/キリスト教カバラー/学問とカバラー//
第2部 さまざまな主題;ゾハル/サバタイ(シャブタイ)・ツヴィとサバタイ主義運動/ヤーコプ・フランクとフランク主義/〈バアル・シェム〉/『バヒールの書』/手相占い/カバラーにおける悪魔論**/デンメー/終末論/〈ゲマトリア〉/〈ギルグル〉/〈ゴーレム〉/リリート/〈ダビデの楯〉/瞑想/メルカヴァー神秘主義/メタトロン/摂理/サマエル//
第3部 人物;ジローナのアズリエル
Azriel of Gerona/ナフタリ・バハラッハ Naphtali Bacharach/アブラハム・ミゲル・カルドーソ Abraham Miguel Cardozo/モーセス・コルドヴェロ Moses CordoveroJ. Ben-Shlomo筆)/ヨナタン・アイベシュッツ Jonathan Eybeschuetz/ヨセフ・ヒカティーリャ Joseph Gikatilla/ネヘミア・ハヨン Nehemiah Ḥayon/クリスティアン・クノッル・フォン・ローゼンロート Christian Knorr von Rosenroth/イサク・ルーリア Isaac Luria/ハイイム・マラク Ḥayyim malakh/モーセス・ベン・シェム・トヴ・デ・レオン Moses ben Shem Tov de Leon/ガザのナータン Nathan of Gaza/フダー・ライプ・プロッスニッツ Judah Leib Prossnitz/ハッイーム・ヴィタール Ḥayyim Vital/モーセス・ザクト Moses Zacuto/ヨシュア・ヘシェル・ツォレフ Joshua Hechel Ẓoref など、
506ページ。

 * 第1部第3章中の4節目「早期の諸世界、下位の諸世界、宇宙周期(〈シェミットート〉の教義)」に関して→こちら(「ユダヤ」の頁の「v. タルムードとラビ・ユダヤ教など」)や、そちら(同頁「viii. 神話、魔術など」)や、またあちら(「ユダヤ Ⅲ」の頁の「xii. カバラーなど」)、こなた(同上)、そなた(「世界の複数性など」の頁中)、あなた(「ユダヤ Ⅲ」の頁の「xiii. ルーリアのカバラーなど」)も参照
 ** 第2部第7章「カバラーにおける悪魔論」に関して→ここにも挙げておきます:「天使、悪魔など」の頁の「ii. 悪魔など
 第1部は→そこに掲載されています(http://www.jewishvirtuallibrary.org/jsource/judaica/ejud_0002_0011_0_10514.html ;
リンク切れ)。おそらく第2部や第3部の各項目も検索すれば出てくるのではないかと思われます [ <Jewish Virtual Library: The Library
 なお、そこではショーレムの記述の後に、


“Kabbalah in the Late 20th Century”(Jonathan Garb ),
“Kabbalah Studies”(Moshe Idel)


 が加えられています。

………………………

 ショーレムを論じたものおよびその関連として;

デイヴィッド・ビアール、木村光二訳、『カバラーと反歴史 評伝ゲルショム・ショーレム』、晶文社、1984
原著は David Biale, Gershom Scholem. Kabbalah and Counter-History, 1979/1982
序論 ユダヤ教学についての省察/19世紀の遺産/修正と革命/ベルリンからエルサレムへ/神秘主義/神話/メシアニズム/歴史記述の政治学/神学・言語・歴史/反歴史/エピローグ 神秘主義と現代性の間で、など、
476ページ。


スーザン・A・ハンデルマン、山形和美訳、『誰がモーセを殺したか 現代文学理論におけるラビ的解釈の出現』(叢書・ウニベルシタス)、法政大学出版局、1987
原著は Susan A. Handelman, The Slayer of Moses - The Emergence of Rabbinic Interpretation in Modern Literary Theory, 1982
歴史的背景-ギリシア人・ユダヤ人・キリスト教徒の解釈的アーゴン ギリシア哲学とことばの超克;プラトンと言語-『クラチロス』/アリストテレスと賓述の諸問題/アリストテレス-ことばと物、修辞学対哲学/現代の批判-デリダとリクール/隠喩のモデル//
  ラビ的発想-テキストの神性;聖書とギリシア人/テキスト/口承律法の発展//
  ラビ的解釈体系のいくつかの哲学的な面;〈カル・ウェ=ホメル〉/他の12のミダー-一般と個別の関係/ミドラーシュ/解釈における隠喩と換喩//
  テキスト性からの逃避-記号を成就するもの;文字と霊/フィロン/オリゲネス/ロゴスと文字/単一体-三位一体/直義的-比喩的/アウグスティヌス/アウグスティヌスの記号理論//
モーセを殺す人たち-フロイト、ラカン、デリダ、ブルーム、そして転位の暗黒面 序言 本の中の本と自然の本//
  ヤーコプの息子ソロモン=ジークムント;モーセの抹殺/異端的解釈学-出自の書き替え/フロイトの方法論-新しい配列、隠されたギャップ/混成科学//
  筆記者としての分析家-ジャック・ラカンと父なる御名の回帰//レブ・デリダのエクリチュール;デリダ対ラカン/覆われたトーラー/神よりもトーラーを愛す//
  カバリストとしての批評家-ハロルド・ブルームと異端的解釈学;幻視的グループから再視的修正グループへ/修正的公準/キリスト教的釈義の修正的戦い/文学的伝統間の闘争-優雅な古典的伝統対ユダヤ的対立伝統/悪魔的批評/ショーレム、カバラー、そして異端/啓示と伝承/修正的盲目/文学的影響の理論とカバラーの用語-セフィロト、ベヒノト、チムツム/類推的変容//
付録;ラビ・イシュマエルの規則第4~11-一般と個別など、
514ページ。

 ブルームとカバラーに関して→こちら(「ユダヤ Ⅲ」の頁の「xvii. 応用篇など」)やあちら(本頁下掲の「x. ショーレム以後、その他」)も参照


スーザン・A・ハンデルマン、合田正人・田中亜美訳、『救済の解釈学 ベンヤミン、ショーレム、レヴィナス』(叢書・ウニベルシタス 812)、法政大学出版局、2005
原著は Susan A. Handelman, Fragments of Redemption. Jewish Thought and Literary Theory in Benjamin, Scholem, and Levinas, 1991
ゲルショム・ショーレムとヴァルター・ベンヤミン 序論 ある友情の物語-ドイツ人とユダヤ人;進歩のカタストロフ//
  言語と経済;批判的言語/知識としての言語の哲学的探求/「翻訳家の使命」/「純粋言語」/錬金術的で密教的な言語/「希望がいっぱいだ、しかしわれわれのための希望ではない」/ショーレムとメシアの遅れ/カフカ/ハラハーとアガダー-アナーキーな宙吊りと歴史的具体化//
  深淵の上に宙吊りにされて;「言語一般について」/『創世記』を解釈する/言語理論をめぐる論争に隠されたイデオロギー/言語、唯物論、模倣の能力/意味のない語と神的無//
  ドイツ観念論の遺産;ユダヤ教の律法とドイツ観念論/ドイツロマン主義と「こぼれた宗教」-象徴/ショーレムと象徴/象徴-静的なものとして、もしくは動的なものとして//
  アレゴリーと救済;ベンヤミンとショーレム-歴史記述の政治学/ベンヤミン-アレゴリー使用者としての批評家とドイツ悲劇/忠誠と裏切り-聖なるものと脱聖化されたもの/ベンヤミンにおけるバロック的アレゴリーとド・マンの脱構築的批評/アレゴリーとモダニティー/過去を引用する//
  記憶は救済の秘密である-メシアニズムとモダニティー;歴史、モダニティー、メシアニズム/歴史はメシアを到来させないだろう/「私の世俗主義は世俗的ではない」/歴史の天使//
エマニュエル・レヴィナス 善の断絶;レヴィナスの背景/他者-のための-理性-レヴィナスによる哲学批判の源泉/存在論と暴力-倫理と政治/外部性と終末論//
  痕跡、顔、他者の言葉;時間と他者/繁殖性/顔、痕跡、倫理的関係/言葉と顔-ローゼンツヴァイクの発語-思考/可傷性としての主体性-贈与と曝露としての言語//
  パロディーの戯れ、予言的理性、倫理的レトリック-デリダ、レヴィナス、ベレルマン;デリダによるレヴィナス批判/懐疑論と哲学/レトリック、懐疑論、暴力-レヴィナスとカイム・ベレルマン/哲学的対と概念間の分離/語ることと語られたこと-肉と血の主体/受動性-肺としての主体//
  ギリシャ的ユダヤ人/ユダヤ的ギリシャ人;「われここに」/証人とホロコースト/ホロコースト-神よりもトーラーを愛すること/倫理的肯定性としての曖昧な啓示/霊感、啓示、釈義/歴史の回帰/律法の回帰/レヴィナスとショーレム-神秘主義、神話、律法/倫理学対美学//
  タルムード的メシアニズム;レヴィナスのタルムード講義-解釈の方法論/アナクロニズムと歴史主義/タルムード的メシアニズム/政治的生活それとも道徳的生活?-人間的行為それとも非人間的行為を経由した救済?/メシアの条件-歴史の終焉はいつなのか/世界史とその破壊/誰がメシアなのか/歴史、歴史主義、哲学/近代メシアニズムの可能性//
結論 書物に先立って、書物を超えて;啓示とメシア的知見/砕けた石板を修復する、など、
732ページ。

 レヴィナスとタルムードに関して→こちらも参照:「ユダヤ」の頁の「v. タルムードとラビ・ユダヤ教など


ステファヌ・モーゼス、合田正人訳、『歴史の天使 ローゼンツヴァイク、ベンヤミン、ショーレム』(叢書・ウニベルシタス 765)、法政大学出版局、2003
原著は Stéphane Mosès, L'ange de l'histoire - Rosenzweig, Benjamin, Scholem, 1992
フランツ・ローゼンツヴァイク-西欧の裏面;異化/真に受けられたヘーゲル/ユートピアと救済//
ヴァルター・ベンヤミン-歴史の三つのモデル;根源の隠喩-理念、名前、星/美的モデル/歴史の天使//
ゲルショム・ショーレム-秘密の歴史;メシアニズムの数々のアポリア/カフカ、フロイトと伝承の危機/言語と世俗化など、
308ページ。


上山安敏、『ブーバーとショーレム ユダヤの思想とその運命』、岩波書店、2009
東方ユダヤ神秘主義と西欧 エラノス会議とユダヤ神秘主義;精神分析と神秘主義/フロイトと神秘主義/フロイトとショーレム//
  ウィーン文化連盟とカイザーリング吐く「知恵の学園」;ユング、ブーバー、レオ・ベック/知恵の学園//
  ユダヤ・アイデンティティの崩壊と模索;潰えた同化の夢とシオニズム/原ユダヤへの回帰//
  マルティン・ブーバーのネオハシディズム;ハシディズムとの出会い/ユダヤ教ルネッサンス//
  キリスト教異端とユダヤ神秘主義;正統派への造反/イエス像の転換とドイツ神秘主義//
  血、土地、民族、共同体;原ユダヤと「血と大地」/ワンダーフォーゲルと青白連盟//
  ネオハシディズムの反響-ルカーチ//プラハのカフカと東方ユダヤ人問題;結社バル・コホバ/カフカとイディッシュ演劇//
  ラビ体制と神秘主義;レオ・ベック『ユダヤ教の本質』/神秘主義と選民性//
ブーバーの神秘主義 ユダヤ神秘主義とハシディズム;神話と一神教/公式ユダイズムと地下ユダイズム/キリスト教徒の近縁性/神秘主義の発見・環境/モデルネとの出会い/キリスト教神秘主義とハシディズム/「ユダヤ教科学」との離別-ユダヤ民俗学/ベルディチェフスキーとニーチェ/ブーバーとウィーンの世紀末/ヘルツルとアハド・ハアム/ブーバーの「ハシディズム」への失望/神秘主義から対話的哲学へ//
  キリスト教とブーバー;ヘレニズムとユダヤ教/ブーバーのイエス/ブーバーのキリスト教評価-ユダヤ人とドイツ人の共生/イエスのエムナ
(emuna)とパウロ的キリスト教のピスティス(pistis)/ブーバーとヴェルハウゼン=宗教史学派/ブーバーのモーセ論/原キリスト教とハシディズムは両立するか//
  ブーバーの反グノーシスと反黙示文学;グノーシスとマギー対ユダヤ教/ヨハネ福音書とマルキオン/ハルナックへの異議//
  ショーレムとブーバーの衝突;ハシディズム理解をめぐる対立/反黙示文学//
ユダヤ教神秘主義とグノーシス主義 キリスト教グノーシスとユダヤ教グノーシス;キリスト教とグノーシス/トーラーのデーミウールギー化//
  ショーレムのユダヤ教グノーシス主義;グレーツのグノーシス主義/カバラの時代評価/グノーシスへの視線の変化/ショーレムへの批判/ショーレムの神話論//
  ユダヤ教グノーシスの性格;メルカバー(車輪玉座)文学/ユダヤ教神秘主義の性格/ミニ/秘儀と魔術//
  エピローグ;カバラ・ハシディズムの中のユダヤ教グノーシス/シャブタイ主義//
ショーレムのカバラ論 総論 カバラをめぐる知識社会;カバラの二重構造/思索カバラと実践カバラ//
  ユダヤ教カバラ観-カント-ヘーゲル時代からショーレム-ヴェルハウゼン時代へ;反理性としてのカバラ-カント/反啓蒙としてのカバラから啓蒙のカバラへの逆転-カントとメンデルスゾーン/メンデルスゾーンのマラーノ性/キリスト教に対抗するラビたち/ユダヤ教科学/教育機構をめぐる葛藤/教義の戦い/ユダヤ教科学とショーレム/ユダヤ教科学とカバラ/19世紀カバラ学復興をめぐる布置状況//
  ショーレムをめぐる時代潮流;ショーレムとグノーシス/グノーシス・ルネッサンス/ショーレムとショアー/コーエンと同化の夢/ポスト・コーエン/シェリングとバイエルン王国/シェリングとカバラ/モリトールの書/アイゼンメンガー『暴かれたユダヤ教』/キリスト教カバラ-ツィムツム(収縮)理論のキリスト教化/三位一体論への転用//
  地殻変動-言語論的アプローチと宗教史学派;アハド・ハアムのヘブライ語/ハーマンの言語哲学/ショーレムとヴェルハウゼン=宗教史学派/ウェーバーとヴェルハウゼンとコーエン/「後期ユダヤ教」に対するアンビヴァレンツ/グノーシスとカバラ//
ショーレムのメシアニズム-シャブタイ主義 ショーレムとメシアニズム;カバラ論とシャブタイ・ツヴィ論の連続性/カバラ理解の三段階/ルーリアのカバラ改作-収縮・容器の破壊・修復/黙示録的=破局的思想をめぐって//
  シャブタイ主義;マラーノへの注目/「罪を通した救済」/シャブタイ主義の反律法的傾向/シャブタイ主義の歴史的経過/シャウタイ・ツヴィ/メシアの伝播/千年王国論とメシアニズム/シャブタイ・ツヴィの背教/ガザのナタンによる「ツヴィ神話」の脚色//
  フランクの急進的シャブタイ主義//ハシディズムの登場;バール・シェム・トーヴとハシディズムの始まり/デヴェクトによる個人の救済へ/コミュニティの指導者ツァディーク/反対者ミトナグディーム・ヴィルナのガオン/ハシディズムの功罪/ブーバーとハシディズム//
  メシアニズムとシオニズム;メシアニズムとシオニズムとの峻別/若き黙示思想家からの転換//
ショーレム以後のユダヤ学 ショーレムのカバラ論をめぐって;シャブタイ主義とハスカラの因果関連性への疑問/マラーノとシャブタイ主義との関連/モーシェ・イデルの批判/カバラのシンボルとユダヤ・ナショナリズム/ルーリアのカバラ論の見直し/アレゴリーとシンボリズム/アブーラーフィアのカバラをめぐる分岐/アブーラーフィアの預言者的神秘主義/ショーレムとアブーラーフィア/忘我カバラと巫術カバラ/マイモニデスの合理的知性/二つのカバラ/メシアニズムと終末論/神人合一とデヴェクトとの峻別/歴史か、比較現象学か/エラノス会議とショーレム/比較研究か、歴史的方法か/ナチス期と戦後のエリアーデとユング/カバラとユダヤ教神秘主義/ユダヤ教神秘主義の特異性の強調/魔術への警戒//
  男性原理の偏愛とオリエンタリズム;カバラと女性性/シャブタイ主義の性的放縦/オリエント=女性の放縦と異端//
アーレントとショーレム アーレントとショーレムの確執;ユダヤ製の齟齬/レオ・ベックをめぐって//
  「ドイツ特有の道」の問題;ゴールドハーゲン論争とアーレント/ショーレムとの心理的な溝//
  パレスチナ問題での異方向;二民族国家構想/メシアニズムとシオニズム//
  永遠の反ユダヤ主義;アーレント『シオニズム再考』/アーレントの批判/「ナショナリスト」ショーレム//
  ブーバーとの不協和音;シオニズムのヴァリアント/移送-ナチスとの取引/パレスチナの膨張と国家体制//
  苦渋の政治的決断;分割案の登場/アーレントは反シオニストか//
ポスト・シオニズムと歴史家論争 イスラエルの「歴史家論争」-シオニズムの代替イデオロギー//「新しい歴史記述」の台頭//
  殉教死と儀礼殺人;ユヴァル論文の衝撃/新世代の旗手たち//
  ポスト・シオニズムから見たショーレム;『歴史哲学テーゼ』をめぐる問題/ショーレムとベンヤミンの不協和音//
  新保守派から見たブーバー=ショーレム//ポスト・モダニズム、ポスト・シオニズム、歴史家論争;イェルシャルミ対マイヤーズ、サイード/イェルシャルミとショーレムの親和性/イェルシャルミの『ザホール』と『フロイトのモーセ』に対するマイヤーズの批判/イェルシャルミの『フロイトのモーセ』と集合的記憶//
  フロイト像の十字路-ゲイ、ショーレム、イェルシャルミ、サイード、デリダ;共生をめぐるショーレムとゲイの対立/イェルシャルミの『フロイトのモーセ』/サイードの『フロイトと非-ヨーロッパ人』/サイードとポスト・シオニズム/デリダのイェルシャルミ『フロイトのモーセ』批判など、
454ページ。

 なお本書は、同じ著者による
『宗教と科学 ユダヤ教とキリスト教の間』(岩波書店、2005)
 の姉妹編をなしている。また同じく、
『神話と科学 ヨーロッパ知識社会 世紀末~20世紀』(岩波現代文庫、岩波書店、2001;1984刊本の文庫化)
 にもつながっています。
 「第3章 ユダヤ教神秘主義とグノーシス主義」のもとになったのは→『グノーシス 異端と近代』、2001、pp.43-60:Ⅰ章1

 ブーバーとハシディズムに関して→こちらも参照:「ユダヤ Ⅲ」の頁の「xv. ハシディズムなど


ピエール・ブーレッツ、合田正人・渡名喜庸哲・藤岡俊博訳、『20世紀ユダヤ思想家 来るべきものの証人たち 2』、みすず書房、2011、pp.5-185:「第4章 ゲルショム・ショーレム-認識と修復とのあいだの〈伝統〉」
ベルリンからエルサレムへ/霧の壁を突破すること/ユダヤ的魂の隠れた住処/メシアニズムの弁証法、ユダヤの歴史の書き方(エクリチュール)/カバラーとその諸年代/〈創造〉の追放/猶予期間の生など
原著は
Pierre Bouretz, Témoins du future. Philosophie et messianisme, 2003

 第1巻は合田正人・柿並良佑・渡名喜庸哲・三浦直希訳、2011;

ヘルマン・コーエンのユダヤ教-成年者の宗教/世界の夜から《救済》の輝きへ-フランツ・ローゼンツヴァイクの星/ヴァルター・ベンヤミン-歴史の天使と世紀の経験など、
368ページ。

 第2巻の他の内容は;
マルティン・ブーバー-神の死の時代におけるヒューマニズム
/エルンスト・ブロッホ-期待の解釈学など、
376ページ。

 第3巻は合田正人・渡名喜庸哲・三浦直希訳、2013;
レオ・シュトラウスの遺言/ハンス・ヨナス-思想の経験と世界に対する責任エマニュエル・レヴィナスとともに-裁かれる歴史など、
384ページ。


ハンス・ヨナス、盛永審一郎・木下喬・馬渕浩二・山本達訳、『ハンス・ヨナス「回想記」』、東信堂、2010、pp.117-122、231-235 など

Joseph Dan, Gershom Scholem and the Mystical Dimension of Jewish History, New York University Press, New York, London, 1987
『ゲルショム・ショーレムとユダヤ史の神秘的次元』
人と学者/ユダヤ神秘主義の初期の始まり/古代の東方からヨーロッパの中世へ/アシュケナズィ・ハシディズム運動/謎めいた本『バヒール』/初期カバラー/ジローナから『ゾハル』へ/『ゾハル』/『ゾハル』からサーフェード(ツファット)へ/カバラーのサーフェード学派/サバタイ(シャブタイ)主義の動乱/ハシディズムと近代など、
340ページ。

 ダンによるショーレム論は→こちらも参照:本頁下掲の「x. ショーレム以後、その他


Paul Mendes-Flohr ed., Gershom Scholem. The Man and His Work, State University of New York Press, The Israel Academy of Sciences and Humanities, 1994
『ゲルショム・ショーレム 人と仕事』
序論:文献学者の霊的探求
(Paul Mendes-Flohr)/ゲルショム・ショーレムとユダヤ研究(Ephraim E. Urbach)/『ゾハル』研究へのゲルショム・ショーレムの寄与(Isaiah Tishby)/カバラーにおける汎神論に関するゲルショム・ショーレム(J. Ben-Shlomo)/ゲルショム・ショーレムとユダヤ・メシアニズム(Joseph Dan)/ゲルショム・ショーレムによるおのが理想主義の表現としてのハシディズム解釈(Rivka Schatz)/ゲルショム・ショーレムのユダヤ・ナショナリズム概念(Nathan Rotenstreich)/書痴としてのゲルショム・ショーレム(Malachi Beit-Arié)など、
140ページ。


Steven M. Wasserstrom, Religion after Religion. Gershom Scholem, Miercea Eliade and Henry Corbin at Eranos, Princeton University Press, Princeton, New Jersey, 1999
『宗教以後の宗教 エラノスにおけるゲルショム・ショーレム、ミルチャ・エリアーデ、アンリ・コルバン』
宗教以後の宗教;エラノスと〈宗教史〉/宗教史の起源に向けて:霊感源および通過儀礼としてのキリスト教カバラー/
他を指示しない(トーテゴリカルな)崇高:対話するゲルショム・ショーレムとアンリ・コルバン/〈対立するものの一致〉:試論//
詩学;諸早朝象徴と象徴作用について/美的な結論/森のざわめき:ヴァイマール・ユダヤ思想における神話への転回//
政治学;神秘的歴史性/アンリ・コルバンによるイスラーム研究の千年王国論的実践/裏返しの精神分析//
倫理学;宗教史における両性具有の用法/内側から悪を負かす:〈罪を通しての贖い〉に関する比較論的視野/倫理的なものの宙吊りについて、など、
380ページ。

 エリアーデについて→こちらを参照:「通史、事典など」の頁の「v. テーマ別のもの諸々
 コルバンについては→そちらを参照:「イスラーム Ⅱ」の頁の「v. シーア派など


手島勲矢、「カバラー、メルカバー・ヘイハロット文学とグノーシス主義 - ゲルショム・ショーレムとユダヤ神秘主義の『起源』問題 -」、『グノーシス 陰の精神史』、岩波書店、2001、pp.146-160
ユダヤ神秘主義へのアプローチ/「カバラー」と「ユダヤ神秘主義」 - 二つの「起源」問題 -/「カバラー」の語義/カバラー思想の特異性/言語感覚の問題 - 象徴(シンボル)とアレゴリ ー (寓意) -/初期ユダヤ神秘主義とグノーシス主義など

 →こちらも参照:「ユダヤ」の頁の「vii. ユダヤ思想史など


関口裕昭、「<天使の質料から> - ツェラーンとショーレム、あるいはブリコラージュとしての詩 -」、『愛知県立芸術大学紀要』、no.31、2002.3.31、pp.41-60

並木浩一、「メシアニズムの歴史的展開を問う 第一部 発題講演 『メシアニズム - その過去と現在』」、『敬和学園大学研究紀要』、12巻、2003.2.28、pp.23-40 [ < 敬和学園大学機関リポジトリ

市川裕、「ユダヤ教の現代メシア論 - ショーレムとレヴィナスの対話 -」、『東京大学宗教学年報』、no.27、2010.3.31、pp.1-15 [ < 東京大学学術機関リポジトリ(UT Repository) ]

x. ショーレム以後、その他

 まずは;

Peter Schäfer and Joseph Dan ed., Gershom Scholem's Major Trends in Jewish Mysticism. 50 Years After. Proceedings of the Sixth International Conference on the History of Jewish Mysticism, J. C .B. Mohr (Paul Siebeck), Tübingen, 1993
『ゲルショム・ショーレム「ユダヤ神秘主義の主潮流」:50年後 第6回ユダヤ神秘主義史国際会議議事録』
開会講演;諸メシアニズムと神秘家
(R.J. Zwi Werblowsky)//
メルカヴァー神秘主義とユダヤ・グノーシス主義;ユダヤ神秘主義の性質と起源についての省察
(Ithamar Gruenwald)/応答Michael Fishbane/メルカヴァー神秘主義と魔術Peter Schäfer/応答(Philip S. Alexander)//
中世ドイツのハシディズム;アシュケナズィ・ハシディズム、1941-1991-中世ドイツにハシディズム運動は本当にあったのか?
Joseph DanHasidei Ashkenaz の歴史的意味-事実、虚構あるいは文化的自己像?(Ivan G. Marcus)//
アブラハム・アブーラーフィアと預言的カバラー;ユダヤ神秘主義の理解に対するアブラハム・アブーラーフィアのカバラーの寄与
Moshe IdelBa'al ha Zohar から預言者、そして脱自者へ:現在の研究におけるアブーラーフィアの変遷(Ronald Kiener)//
Hug ha'Iyyun -観想のサークル;観想のサークルの展開Mark Verman//
ゾハル;「新しく=古い言葉」-ゾハルの秘密性のアウラ
Daniel C. Matt/ゾハル文学における忘我的経験としての幻視的上昇の諸形態Elliot R. Wolfson//
イサアク・ルーリアとカバラーのサーフェード学派;ルーリアのカバラーにおける〈女性的なるもの〉の相
(Yoram Jacobson)/忠実な伝達対刷新-ルーリアとその弟子たち(Roint Meroz)//
サバタイ・ツヴィとヤーコプ・フランク;
Novum Pascha Novae Legis Phase Vetus Terminat (新たな法の新たな過越の祭りが古い過越の祭りを終わりにする) (R.J. Zwi Werblowsky)/世俗的メシアニズムとしてのフランク主義(Hillel Levine)//
ハシディズム;ハシディズム-歴史的連続性と霊的変化
Rachel Elior/応答Moshe Hallamish/応答(Karl E. Grözinger)など、
340ページ。

 すでに4度ほど登場している
Joseph Dan とともに、これからお目にかかる名前がいくつかあります。下線を引いたものは、リンク先にその著者の本等を記してあります。

 また

ピンカス・ギラー、中村圭志訳、『カバラー』、2014、pp.250-256:「第10章 2 学術的研究」

 も参照
………………………

 という訳で、まずはダンから


ヨセフ・ダン、市川裕訳、「ユダヤ神秘主義-歴史的概観」、『ユダヤ思想 2 岩波講座・東洋思想 第二巻』、岩波書店、1988、pp.115-217
古代のユダヤ神秘主義/初期カッバーラーとゾーハル/ルーリアのカッバーラー/シャブタイ派運動/ハスィーディズム運動など


Joseph Dan, Jewish Mysticism. Volume 1 : Late Antiquity, Jason Aronson Inc., Northvale, New Jersey, Jerusalem, 1998
『ユダヤ神秘主義 第1巻 古代末期』
古代末期におけるユダヤ神秘主義-序論;歴史における〈始まり〉-決定論から混沌へ/神秘主義とユダヤ神秘主義/タルムードの確立とヘーハロート的周縁/
Yordey ha-Merkavah//
ユダヤ・グノーシス主義?//古代ユダヤ神秘主義の三つの型-序論;類型論/戦車へ下降する者たち/文字、数、名前の神秘主義/トーラーの王子の啓示//
世界の秘密の啓示-古代末期におけるユダヤ神秘主義の始まり//未来の記憶と過去のユートピア//創造の言語とその文法/『セーフェル・イェツィラー』の歴史の三つの段階//
ヘーハロートとメルカヴァー文献における歴史期の概念;背景/歴史性の問題/内的な歴史的論理/研究者の目標/超歴史的な視点//
『シウール・コーマー』における知識の概念//
Chochmat ha-Egoz -その起源と展開//メタトロンの70の名前//ラシと『メルカヴァー』//中世における古代ヘーハロートの神秘的文献-伝承、源泉、霊感//古代ユダヤの神秘的テクストにおける神秘的上昇の危険/ヤルダバオートとグノーシス主義者たちの言語など、
360ページ。


Joseph Dan, Jewish Mysticism. Volume 2 : The Middle Ages, Jason Aronson Inc., Northvale, New Jersey, Jerusalem, 1998
『ユダヤ神秘主義 第2巻 中世』
序論//
ミドラシュとカバラーの夜明け//中世ドイツにおけるユダヤ神秘主義の出現//アシュケナズイ・ハーシードの言語概念//アシュケナズィ・ハシードの《知恵の門》//ドイツにおける中世ユダヤ神秘主義の偽書//アシュケナズィ・ハシディズムにおける
Teshuvah の歴史に関する覚書//
ヴォルムスのラビ・エレアザルによる神的な名前の書;Sefer ha-ShemYHVH から HVYH へ//
アシュケナズィ・ハシディズムとマイモニデス的論争//スペインの13世紀カバラーにおけるメシア的神話の出現//神秘的祈りの出現//テクストとしての祈りと神秘的経験としての祈り//
Pesak ha-Yirah veha-Emunah とアシュケナズィ・ハシードの秘教における祈りの意図//アシュケナズィ・ハシディズム、1941-1991-中世ドイツにハシディズム運動は本当にあったのか?/
/中世イタリアにおけるユダヤ文化-哲学、倫理、神秘主義//イディッシュの
Akdamot 物語の初期ヘブライ語典拠など、
462ページ。

Joseph Dan, Jewish Mysticism. Volume 3 : The Modern Period, Jason Aronson Inc., Northvale, New Jersey, Jerusalem, 1999
『ユダヤ神秘主義 第3巻 近世』
序論//神秘主義の歴史的定義を求めて-偶発的なアプローチ//ユダヤの歴史、宗教、文学における神秘主義//カバラーにおける無の逆説//神の似姿//
ユダヤ的霊性におけるエルサレム;天と地が出会う場所/エルサレムのメシア的役割/盛期中世/エルサレムとカバラー//
神秘的祈りの言語//神の名前、薔薇の名前、そしてユダヤ神秘主義における言語の概念//中世ドイツにおける神秘家たちの言語(以上3篇→こちら本頁下掲の「xi. メルカヴァー/ヘーハロート神秘主義など」)や、そちら(「言葉、文字、記憶術/結合術、書物(天の書)など」の頁中)にも挙げておきます)//
キリスト教カバラー-神秘主義から秘教へ//
ヨハネス・ロイヒリンのカバラーとその歴史的意義;適切さ/〈キリスト教カバラー〉におけるキリスト教/〈キリスト教カバラー〉におけるカバラー/黙示文学的要素/キリスト教カバラーとヨーロッパのヘブライ語運動/ロイヒリン、ヘブライ語とカバラー/
De Arte Cabbalistica//
サマエル、リリートと初期カバラーにおける悪の概念(→あちら(「ユダヤ Ⅲ」の頁の「xii. カバラーなど」)や、ここ(「原初の巨人、原初の獣、龍とドラゴンその他」の頁中)、また→そこ(「天使、悪魔など」の頁の「ii. 悪魔など」)も参照)//エルサレム人の物語の五つのヴァージョン//敬虔なるラビ・ユダとハイシュテルバッハのカエサリウス-彼らの物語に共通するモティーフ//ユダヤ神秘主義における荒野-サマエルの王国//〈テラピム〉-民間信仰から民話へ//「天からはいかなる悪も降りてこない」-悪に関する16世紀のユダヤ的概念(→あそこも参照(「ユダヤ Ⅲ」の頁の「xii. カバラーなど」))//
Manasseh ben IsraelNishmat Hayyim と17世紀ユダヤ思想における悪の概念//サマエルとユダヤ・グノーシス主義の問題//ナフマニデスとカバラーにおける悪の概念の展開//
カバラーとグノーシス主義の二元論;グノーシス主義とメルカヴァー神秘主義/『バヒールの書』/左側の流出/歴史と類型論の間で、など
478ページ。

Joseph Dan, Jewish Mysticism. Volume 4 : General Charasteristics and Comparative Studies, Jason Aronson Inc., Northvale, New Jersey, Jerusalem, 1999
『ユダヤ神秘主義 第4巻 一般的特性と比較研究』
序論//千年王国の叙事詩-ユダヤ=スペイン文化の対峙/
Shevet Yehuda-過去と未来の歴史/Manasseh ben Israel-『ゾハール』とルーリア派カバラーに対する彼の態度/ハシディズムー第3の世紀/Frumkin のハシディズムへの礼/現代のハシード的〈義人〉-カリスマ、伝統、魔術と奇跡/ゲルショム・ショーレム-歴史と歴史智学の間で/ゲルショム・ショーレムとユダヤ・メシアニズム/ゲルショム・ショーレム以後のユダヤ研究/ゲルショム・ショーレム-神秘主義と学問の間で/マルクス主義的ユートピアニズムのユダヤ・メシアニズム的諸相/カオス理論、リオタールの歴史と観念史研究の未来など、
350ページ。


Edited by Joseph Dan, The Heart and the Fountain. An Anthology of Jewish Mystical Experiences, Oxford University Press, Oxford and New York, 2002
『心臓と泉 ユダヤの神秘的経験選文集』
序論;宗教、神秘主義と言語/ユダヤ神秘主義/言語のユダヤ的概念-ミドラッシュ/歴史的概要-古代末期/歴史的概要-中世/歴史的概要-近代/キリスト教カバラー//
世界の秘密の啓示(『ヘーハロート・ラッバティ』より)/ラビ・アキバとラビ・イシュマエルの幻視(『マアセー・メルカヴァー』より)/エノクの神化(『第3エノク書(ヘブライ語エノク書、セーフェル・ヘーハロート)』より)/ラビ・バフヤ・イブン・パクダ(11世紀後半にスペインのサラゴーサで活動)-目なしで見ること、耳なしで聞くこと(『心臓のもろもろの義務』より)/ガビロール(1021年スペインのマラガに生まれる)-神と宇宙(詩『王らしい冠 Keter Malchut 』より)/流出された神性に向けて話す(〈唯一のケルビム〉サークルの『神の怖れと信仰に関する決定』より(→こちらも参照:「ユダヤ Ⅲ」の頁の「xii. カバラーなど」)/水の上での神の声-聖なる名の崇拝(ヴォルムスのラビ・エレアザルの『聖なる名の書』より、1220年頃)/ロケアー-祈りにおける献身(ラビ・エレアザルの Sefer ha-Rokeach より)/人の意志の中にまとわれた神的な意志-初期カバラーにおける祈りの意図(Scholem, Origins of the Kabbalah, 1987/1990, pp.417-419 より)/アブラハム・アブーラーフィア(1240頃-1292)-黙示的幻視(『印の書 Sefer ha-Ot 』より)/名と文字への神秘主義的没頭-Shaarey Zelek(『正義の門』、1295)(ショーレム、『ユダヤ神秘主義』、1985、pp.193-204 より)/ゾハル-始まり/ラビ・シメオン・バル・ヨハイとその神秘家たちの集まり(『ゾハル』より)/ゾハル-不思議な子供/ペンとインクなしで書くこと(ラビ・ヨセフ・タイタツァク、16世紀にツファットで活動。〈マギド〉によって彼に与えられた啓示より)/ヨセフ・デッラ・レイナ(15世紀後半、スペインのカバリスト)-経験から伝説へ(ラビ・アブラハム・ベ=ラビ・エリエゼル・ハ=レヴィ、1519 からシュロモ・ナバッロ、1660年頃)/シェキナーとともに歩んで-デボラの椰子の樹(モーセス・コルドヴェロ(1522-75)(→そちらも参照:「ユダヤ Ⅲ」の頁の「xiii. ルーリアのカバラーなど」)/ラビ・ハッイーム・ヴィタールのメシア主義的な夢(『幻視の書 Sefer ha-Hezyonot 』より)/ガザのナータン(1644-80)の預言的幻視/悪の怪物たちと向きあうガザのナータン-デンメーの神話(ナータン偽書)/ルッツァット(1707-47)-メシア主義と神聖(1731年8月)/ラビ・イスラエル・バアル・シェム・トヴ(1700-60、通称ベシュト)の神秘主義的祈り/ブラツラフのラビ・ナフマン(1772-1810)-ある幻視とある夢/ビアリク(1873-1934、詩人)-神秘主義的な詩と神秘主義的言語/主の甘美な声-現在のイスラエルの4人の詩人たち(Yona Wollach(1944-85), Benjamin Shvili/1992, Agi Mishol, Maya Bejerano)など、
336ページ。


 ダンによる著述は→こちら(本頁上掲の「ix. ショーレムの著作とその周辺」)、そちら(本頁下掲の「xi. メルカヴァー/ヘーハロート神秘主義など」)、またあちら(「ユダヤ Ⅲ」の頁の「xii. カバラーなど」)も参照
………………………

 ダンがショーレムの学風を継ぐ者と見なされているようなのに対し、ショーレムに対する批判的見直しを前面に出しているのが、モーシェ・イデルです
(上掲の上山安敏『ブーバーとショーレム ユダヤの思想とその運命』(2009)第6章「ショーレム以後のユダヤ学」,、ハンデルマン『救済の解釈学 ベンヤミン、ショーレム、レヴィナス』(2005)など参照)。
 その総論的性格の本として


Moshe Idel, Kabbalah. New Perspective, Yale University Press, New Haven, London, 1988
『カバラー 新しい視野』
カバラー研究への所見/方法論的観察/ユダヤ神秘主義におけるデヴェクートの多様性/ユダヤ神秘主義における神秘的合一/神秘的技法/カバラー的神智学/古代ユダヤの降神術/カバラー的降神術/カバラー的解釈学/ユダヤの秘教からヨーロッパ哲学へ-文化的因子としてのカバラーの知的プロフィールなど、
440ページ。


Moshe Idel, Golem. Jewish Magical and Mystical Traditions on the Artificial Anthropoid, State University of New York Press, Albany, 1990
『ゴーレム 人工的擬人間に関するユダヤの魔術的・神秘的諸伝承』
古代の伝承;古代の平行現象/セーフェル・イェツィラー/タルムードとミドラシュ//
中世の練りあげ;調合する魔術-ゲオニーム的および合理主義的姿勢/ゴーレムについてのアシュケナズィ・ハシード的見解/北フランスの議論/脱自的カバラーにおけるゴーレム/ラビ・ヨセフ・ベン・シャローム・アシュケナズィ/ゴーレムの心理学的含意/ゴーレムの神智学的解釈//
ルネサンス期;西方における16-17世紀の議論/ラビ・モーセス・ベン・ヤコブ・コルドヴェロの見解//
近世初期および近代の反響;ヘルムのラビ・エリヤウ、名前の師/ハラハーにおけるゴーレム/ゴーレムと性/ゴーレム技法の変遷/ゴーレムとハシード的神秘主義/近代のの反響/ゴーレム-想像上の、没価値的な、静寂の/要約//
附録;ゴーレムとツェレム/ゴーレム-意味論的な所見/
'Emet という名の巨人がいたのか?、など、
356ページ。

ショーレム、『カバラとその象徴的表現』、1985、「第5章 ゴーレムの表象」

 も併せて参照
 また


種村季弘、「ゴーレムの秘密」、『怪物の解剖学』、1974/1979、pp.7-24

  同、  「巨人ゴーレムの謎 大地崇拝から終末論の恐怖へ」、『怪物のユートピア 増補改訂版』、西澤書店、1968/1974、pp.175-178

 併せて→こちら(「ユダヤ Ⅲ」の頁の「おまけ」)や、またあちら(『巨人ゴーレム』、1920)も参照


クララ・ピント-コレイア、『イヴの卵 卵子と精子と前成説』、2003、「6 Hのつく言葉」

 も参照

Moshe Idel, Messianic Mystics, Yale University Press, New Haven, London, 1998
『メシア的神秘家たち』
序論-メシア的意識の源泉/カバラー以前のメシアニズムのユダヤ的諸形態/アブラハム・アブーラーフィア-脱自的カッバラーと霊的メシアニズム/13~14世紀におけるメシアの概念-カバラーの神智学的諸形態/メシアニズムとカバラー、1470-1540/イタリアからサーフェードへ、そしてまたイタリアへ、1540-1640/サバタイ主義と神秘主義/ハシディズム-神秘的メシアニズムと神秘的救済/結論//
附録;
Ego, Ergo Sum Messiah-アブラハム・アブーラーフィアの Sefer ha-Yashar について/Tiqqun Ḥatzot -神話、メシアニズムと神秘主義の間の儀礼/ユダヤ・メシアニズムの近代におけるいくつかの反響など、
464ページ。


Moshe Idel, Absorbing Reflections. Kabbalah and Interpretation, Yale University Press, New Haven, London, 2002
『吸いこむ反映 カバラーと解釈』
緒言(ハロルド・ブルーム)//
序論/言葉を吸収するテクスト/神を吸収するテクスト-白い火の上の黒い火/カバラーにおけるテクストと解釈の無限性/全てを含み保つ書物/正典の魔術と魔術=神秘的奥義化/ユダヤ神秘主義におけるトーラー研究と神秘的経験/秘密性、ビーナーと
Derishah/意味論、星座と解釈/ユダヤ解釈学の急進的諸形態/神智学的=降神術的カバラーにおける象徴的様態/脱自的カバラーにおける寓意、神名と経験/Tzerufei 'Otiyyot -ユダヤ神秘主義におけるトーラーの可変性と適応/伝統、伝達と技法/結論//
附録;パルデス-解釈の四重の方法/アブラハム・アブーラーフィアの血とインクのトーラー/アクルのラビ・イサアク釈義的苦境/トーラーの流謫と秘密の幽閉/ハシディズムにおける口承トーラーと幾重もの解釈/15世紀末のフィレンツェにおける〈神の書〉/〈法の書〉など、
682ページ。


Moshe Idel, Ascensions on High in Jewish Mysticism. Pillars, Lines, Ladders, Central European University Press, Budapest, New York, 2005
『ユダヤ神秘主義における高みへの上昇 柱、線、梯子』
序論;宗教を研究する/宗教への8つのアプローチ/遠近法主義-付加的アプローチ/近代の研究による象徴的神学としてのカバラー//
ユダヤ資料における生きたままでの高みへの上昇のさまざまな形について;序論/ヘーハロート文献-先駆者と支流/知性の上昇-上昇の新アリストテレース主義的精神化/魂の上昇の新プラトン主義的な事例/セフィロートを通した上昇/「あたかも」と想像的上昇/ユダヤ資料における星気的な魂の上昇/結語//
ユダヤ資料における宇宙柱について;エリアーデとヨアン・P・クリアーノの著作における柱/ラビ文献における宇宙柱/バヒールの書における柱/初期カバラーにおける柱/アシュケナズィの秘教における柱/ゾハルと輝ける柱/ゾハルにおける柱としての義人//
ゾハル文学における魂たちの終末論的な柱;柱と二つの楽園/終末論的な楽園間の柱/偽ミドラシュ
Seder Gan 'Eden とゾハルにおけるその平行箇所における柱/柱の礼拝/器としての柱/神的領域への導き手としての柱/柱と審判/天の秘密を観想する/ゾハル的足場の後代における反響/柱、作業と義人/死後の魂の上昇のタイミング/マニ教における光と栄光の柱/ゾハルにおける楽園の建築の象徴的解釈/結語//
18世紀ハシディズムにおける魂の上昇と柱の変容;ベシュトと魂の上昇の書簡/呪医としてのベシュト/カルパティア山脈におけるシャーマニズムについて/ベシュトと終末論的な柱/ハシディズムにおける現在の柱としてのツァッディーク/ハシード的意味論/ベシュトの書簡に関する方法論的所見//
死者の魂のための新プラトーン主義的な道-中世哲学、カバラーとルネサンス;アラビア文献における普遍魂と正中線/カバラーにおける正中線/アル=バタリャウシ、ヨハナン・アレマンノとピコ・デッラ・ミランドーラ/梯子、〈自然〉と〈金の鎖〉/結論//
結論;柱、楽園と〈形態的〉一貫性/柱といくつかの意味論的観察/文学と経験の間で/柱とエリアーデのユダヤ教観について/有機体、組織化と両者の間のスペクトル/時間、儀礼、技法など、
260ページ。


Moshe Idel, Kabbalah and Eros, Yale University Press, New Haven, London, 2005
『カバラーとエロース』
序論/カバラーとエロースに対するカバラー以前のいくつかの態度/
Du-Partzufin -ユダヤ神秘主義における両性具有の諸解釈/神の妻と内妻-国民神話の道/女性的なるものを観想する-プラトーン的エロースからユダヤ神秘主義へ/ユダヤ神秘主義にける宇宙的エロティシズム/結論//
附録;セクシュアリティーにおける女性の降神術的役割について、など、
382ページ。

Moshe Idel, Ben. Sonship and Jewish Mysticism, (The Kogod Library of Judaic Studies 5), Continuum, London, 2007
息子(ベン) 息子性とユダヤ神秘主義』
義-ラビおよびヘーハロート文学における神名主義と息子性/秘教のアシュケナズィ的諸形態における(神の)息子/脱自的カバラーにおける知性的/終末論的実体としての息子/神智学的=降神術的カバラーにおける神の性化された息子/イタリア・ルネサンスとその反響におけるキリスト論的および非キリスト論的な神の息子/ハシディズムにおける義人としての神の息子/結論//
附録;義人エノク、そして中世にエノク/メタトロンの崇拝はあったのか?、など、
738ページ。


 イデルによる著述は→こちら(「ユダヤ Ⅲ」の頁の「xii. カバラーなど」)や、またあちら(同頁の「xv. ハシディズムなど」)なども参照。
 その他あちこちで序文を書いているのが見受けられます。

………………………

Elliot R. Wolfson, Through a Speculum that Shines. Vision and Imagination in Medieval Jewish Mysticism, Princeton University Press, Princeton, New Jersey, 1994
輝く鏡を通して 中世ユダヤ神秘主義における幻視と想像力』
〈イスラエル-神を見る者〉-聖書、黙示文学、ラビ文献における神の視覚化/神秘的典拠における神の幻視-類型論的分析/ヘーハロート文学における幻視的上昇と即位/カバラー以前の典拠における栄光の理論と幻視的経験/ハシード・アシュケナズィ-車輪の幻視の真正性および仮現性についての解釈/神智学的カバラーにおける幻視的グノーシスと想像力の役割/幻視的経験の解釈学-ゾハルにおける啓示と解釈など、
462ページ。


Elliot R. Wolfson, Circle in the Square. Studies in the Use of Gender in Kabbalisitic Symbolism, State University of New York Press, Albany, 1995
『四角の中の円 カバラー的シンボリズムにおけるジェンダーの使用の研究』
トーラーの女性的イメージ化-文学的隠喩から宗教的象徴へ/割礼、神の幻視とテクスト解釈-ミドラシュ的文彩から神秘的象徴へ/消したものを消す/カバラー的シンボリズムにおけるジェンダーと神の身体を書くこと/カバラー的儀礼と神話におけるジェンダーの境界を横切る、など、
282ページ。


Elliot R. Wolfson, Along the Path. Studies in Kabbalisitic Myth, Symbolism, and Hermeneutics, State University of New York Press, Albany, 1995
『道に沿って カバラー的神話、シンボリズム、解釈学の研究』
玉座に刻まれたヤコブのイメージ-ドイツ敬虔主義者の秘教的教義に関するさらなる省察/全てである木-『バヒールの書』におけるカバラー的象徴のユダヤ=キリスト教的根底-/聖なる義務として歩くこと-初期ハシディズムにおける社会的現実の神学的変容など、
298ページ。


Elliot R. Wolfson, Language, Eros, Being. Kabbalisitic Hermeneutics and Poetic Imagination, Fordham University Press, New York, 2005
『言語、エロース、存在 カバラー的解釈学と詩的想像力』
プロローグ-時間をそれる/解釈学的な可逆性/言説を示す-解釈上の土台を据える/違い(の無さ)を差異化する-異端、ジェンダーとカバラー研究/男根形態的な提示-救済的な秘教を隠す/男性の両性具有-男性化/去勢を産む/肉が言葉となる-テクスト上の具現と詩的化肉/エロースを思い描く-詩と留意する沈黙/安息日を守る宦官-エロティックな禁欲主義/禁欲的なエロティシズム/頭=に=来る、子宮=に=帰る-救済的/秘教的グノーシスと圧倒するェンダーの二形性/エピローグなど、
794ページ。


Elliot R. Wolfson, Alef, Mem, Tau. Kabbalisitic Musings on Time, Truth, and Death, University of California Press, Berkeley Los Angeles, London, 2006
『アレフ、メム、タウ 時間、真実と死についてのカバラー的黙想』
時間を考える/解釈学的仮定//線的な円環性/(無)時間的な詩学//アレフの前に/始まりが終わるところ//メムの内に/前へ戻る//タウの後で/終わりが始まるところ、など、
344ページ。

………………………

 他に通史的な性格をもつものとして;

Peter Schäfer, Mirror of His Beauty. Femine Images of God from the Bible to the Early Kabbalah, Princeton University Press, Princeton, Oxford, 2002
『彼の美の鏡 聖書から初期カバラーにいたる神の女性的イメージ』
聖書から『バヒール』まで 貴婦人知恵;ヨブ-知恵は見つけられない/箴言-神の小さな娘としての知恵と地上における神の化身/シラの子イエス-神のトーラーとしての知恵/ソロモンの知恵-神的力の媒介および神の愛しい花嫁としての知恵//
  ピローンの知恵;神とその知恵/知恵とロゴス/知恵の性別/神の娘/神的な知恵と人の知恵/要約-そして再び性別//
  グノーシス的ドラマ;『ヨハネのアポクリュフォン』による創造神話 バルベーロー、自ら生まれた者=キリスト、ソピアーとその子孫、ソピアーの下降/ソピアーとバルベーロー/エイレナイオスによるヴァレンティノス派の創造神話 激したソピアー、ソピアーとアカモート、上位の知恵と下位の知恵//
  ラビ的シェキナー;知恵/唯一の創造者神/イスラエル、神の花嫁、娘、姉妹と母/シェキナー/シェキナーの人格化//
  哲学者たちのシェキナー;サアディア・ガオン/バルセロナのユダ・ベン・バルツィッライ/ユダ・ハ=レヴィ/モーセス・マイモニデス//
  バヒールにおけるシェキナー;10のセフィロート/性的シンボリズム/セフィロート体系におけるシェキナーの位置/天と地の〈媒介者〉//
起源の探索 グノーシス//キリスト教;東方教会/西方教会/ペトルス・ダミアニ/トゥルネのエルマン/クレルヴォーのベルナール/アドモントのゴットフリート/ビンゲンのヒルデガルト/ブロワのペーテル/マリアとシェキナー//
  対抗証言-マリアとユダヤ人;反ユダヤ的伝説とイメージ ユダヤ人がマリアの葬儀を妨げる、厠のマリアの像、竈のユダヤ少年、マリアに対するユダヤの論争 ラビの証言と
Toledot Yeshu、ゼルバベルの黙示録//
  いくつのの〈起源〉、あるいは影響の不安;神話的起源/女性性/影響/歴史など、
324ページ。


 シェーファーの主な持ち場は、次項のメルカヴァー神秘主義の領域です→こちら(本頁下掲の「xi. メルカヴァー/ヘーハロート神秘主義など」)や、またあちら(同項中の別の箇所
 また次の邦訳があります;

ペーター・シェーファー、上村静・三浦望訳、『タルムードの中のイエス』、岩波書店、2010
原著は
Peter Schäfer, Jesus in tha Talmud, 2007

 シェキナーに関しては、また

Scholem, On the Mystical Shape of the Godhead, 1991/1997

 中の“4. Shekhinah : The Feminine Element in Divinity”とともに;

藤本武、「一神教の『シェキナ』と古代日本の『依り代』における『痛み』への考察」、『新潟青陵大学紀要』、no.4、2004.3、pp.283-300 [ < 新潟県地域共同リポジトリ(NiRR) ]

Betty Rojtman, translated by Steven Rendall, Black Fire on White Fire. An Essay on Jewish Hermeneutics, from Midrash to Kabbalah, University of California Press, Berkeley, Los Angeles, London, 1998
原著は Betty Rojtman, Feu noir sur feu blanc, 1986
『白い火の上の黒い火 ユダヤ解釈学についての試論、ミドラシュからカバラーまで』
緒言(モーシェ・イデル)//
序論/指示詞の意味/指示の意味論/コード化されたレヴェル(ソッド)/主題上の収束/他動詞性など、
212ページ

xi. メルカヴァー/ヘーハロート神秘主義など

 まずはショーレム『ユダヤ神秘主義』(1985)の「第2章 メルカーバー神秘主義とユダヤのグノーシス」だとして、
 同じくショーレムの
Jewish Gnosticism, Merkabah Mysticism, and Talmudic Tradition (1960/1965) は各論集なので、概説的なものとしては;

Joseph Dan, The Ancient Jewish Mysticism, Broadcast University Series, MOD Books, Tel-Aviv, 1993
『古代のユダヤ神秘主義』
ヘーハロートおよびメルカヴァー文学/〈戦車の業〉から〈戦車への下降〉へ/グノーシス主義/シウール・コーマー/戦車へ下った者たち/神秘的経験の危険/メタトロン/プレーローマ/トーラーの王子の神秘主義/歴史の概念/メシアニズム/セーフェル・イェツィラー/古代ユダヤ神秘主義の本質など、
230ページ。

 上掲
Joseph Dan, Jewish Mysticism. Volume 1 : Late Antiquity, 1998 も参照

 原典の校訂は

Synopse zur Hekhalot-Literatur, herausgegeben von Peter Schäfer in Zusammenarbeit mit Margarete Schlüter und Hans-Georg von Mutius, 1981

 としてまとめられており(なので研究者はこちらを参照するわけですが。未見)、その翻訳として;

Übersetzung der Hekhalot-Literatur Ⅰ §§ 1-80, hrsg. von Peter Schäfer und Klaus Hermann in Zusammenarbeit mit Ulrike Hirschfelder und Gerold Necker, (Texte und Studien zum Antike Judentm 46), J. C. B. Mohr (Paul Siebeck), Tübingen, 1995
『第3エノク書(ヘブライ語エノク書、セーフェル・ヘーハロート)』所収、
256ページ。


Übersetzung der Hekhalot-Literatur Ⅱ §§ 81-334, hrsg. von Peter Schäfer in Zusammenarbeit mit Hans-Jürgen Becker, Klaus Hermann, Claudia Rohrbacher-Sticker und Stefan Siebers, (Texte und Studien zum Antike Judentm 17), J. C. B. Mohr (Paul Siebeck), Tübingen, 1987
『ヘーハロート・ラッバティ』に対応、
362ページ。


Übersetzung der Hekhalot-Literatur Ⅲ §§ 335-597, hrsg. von Peter Schäfer in Zusammenarbeit mit Klaus Hermann, Lucie Renner, Claudia Rohrbacher-Sticker und Stefan Siebers, (Texte und Studien zum Antike Judentm 22), J. C. B. Mohr (Paul Siebeck), Tübingen, 1989
『ヘーハロート・ズッタルティ』および『マアセー・メルカヴァー』に対応、
384ページ。


Übersetzung der Hekhalot-Literatur Ⅳ §§ 598-985, hrsg. von Peter Schäfer in Zusammenarbeit mit Klaus Hermann, Lucie Renner, Claudia Rohrbacher-Sticker und Stefan Siebers, (Texte und Studien zum Antike Judentm 29), J. C. B. Mohr (Paul Siebeck), Tübingen, 1991
Ḥarba de-Moshe
、『メルカヴァー・ラッバー』および『シウール・コーマー』に対応、
254ページ。


 『第3エノク書(ヘブライ語エノク書、セーフェル・ヘーハロート)』には英訳があります;

Edited and translated by Hugo Odeberg, 3 Enoch or the Hebrew Book of Enoch, Old South Books, San Bernardino, CA, 2013
原著は1928刊
『第3エノク、あるいはヘブライ語エノク書』
序論 省略記号//
出典と文献;ヘブライ語とアラム語/他の文献//ヘブライ語エノク書ないしその一部を含む写本と刊本//写本と他の出典の相互関係と類縁性//ヘブライ語エノク書の内容の手短かな概観//第3エノクの引用と言及//
  ヘブライ語エノク書作成の起源と年代および同種の神秘主義的著作との関係;第3エノクで第1エノクの繰り返される理念と表現/第2エノクと第3エノクとの平行箇所および同種の概念/マンダ教文献と第3エノクの類似//
  第3エノクにおけるメタトロンの概念//タルムード、ミドラシュ、タルグムに見出されるメタトロンへの言及//
  関連する神秘主義的・黙示文学的文献におけるメタトロンの概念;『ラビ・イシュマエルの黙示録』、『ヘーハロート』作品群と『10殉教者の伝説』第1版および第2版において/『ヘーハロート・ズッタルティ』と『シウール・コーマー』において/メタトロンととりわけモーセを結びつけた著作において/『ラビ・アキヴァのアルファベット』、『ラビ・シメオン・ベン・ヨハイの啓示』、『第2ラビ・イシュマエルの黙示録』などにおいて//
  後代の神秘主義文献におけるメタトロン概念の概観//〈メタトロン〉という語の起源//メタトロンの概念の起源//
  第3エノクの天使論;A1(19-22、25-28(6)章)の天使論/A2(17章)の天使論/A3(18章)の天使論/28(7)-48A章)の天使論/エノク=メタトロン節(3-16、48B-D(1,2)章)および23,24章の天使論/追加節22B, 22C, 15B章の天使論//
  〈第7天〉、〈メルカヴァー〉、〈玉座〉のなかば物質的局面、神的な文字と名前//霊と魂の概念 霊と魂の宿命//神的審判//天上の歌、とりわけ〈ケドゥシャー〉の遂行//
  附録;エノク=メタトロン節の最古の断片復元の試み/〈小ヤオ〉へのグノーシス的言及、神的な名前の所有、〈若者〉など、
198ページ。
翻訳と註、180ページ//ヘブライ語テクストと批評的註、74ページ//索引、
36ページ;計488ページ。


 この他;

Massekhet Hekhalot, Edition, Übersetzung und Kommentar hrsg. von Klaus Hermann, (Texte und Studien zum Antike Judentm 39), J. C. B. Mohr (Paul Siebeck), Tübingen, 1994
序説/写本と刊本/写本と初版本の分析/写本分析のまとめ/翻訳/註釈/註釈のまとめなど、
478ページ。


 上記の校訂・翻訳作業で中心となったシェーファーの著書として;

Peter Schäfer, translated by Aubrey Pomerance, The Hidden and Manifest God. Some Major Themes in Early Jewish Mysticism, State University of New York Press, Albany, 1992
原著は Peter Schäfer, Der verborgene und offenbare Gott. Hauptthemen der frühen jüdischen Mystik, J. C. B. Mohr (Paul Siebeck), Tübingen, 1991
『隠れた神と顕われた神 初期ユダヤ神秘主義における主な主題』
序論//
『ヘーハロート・ラッバティ』 神;玉座の上の王としての神/神の顕現//
 天使たち;玉座を担う者たち/
ḥayyot ha-qodesh/天上の礼賛/個々の天使たち//
 人;
yored merkavah/イスラエル/呪文//
『ヘーハロート・ズッタルティ』 神;神名の力/神を見ることはできるのか?/シウール・コーマー/王としての神//
 天使たち;
ḥayyot ha-qodeshḥayyot と玉座/守護者たちと審判者たち-個々の天使たち//
 人;モーセとアキヴァの昇天/神名の危険/メルカヴァー神秘主義の書物/上昇と呪文//
『マアセー・メルカヴァー』 神とその名前//
 天使たち;天上の礼賛/門番たち/啓示の天使たち//
 人;昇天への手段としての祈り/天上の旅の主人公たち/呪文の手段としての祈り//
『メルカヴァー・ラッバー』 神;神とその名前/シウール・コーマー//
 天使たち;天上の礼賛/サンダルフォンとメタトロン/啓示の天使たち//
 人;神名の神秘/誰が密儀を用いるのか?/名前の魔術的使用/トーラーに熟達する/呪文/アキヴァの昇天//
『第3エノク』 神;玉座のシェキナー/神の超越?/神の顕現/神の名前//
 天使たち;天使の位階/天上の礼賛/メタトロン//
 人;
yored merkavah の天上の旅/終末論と人間論//
結果 神と天使たちの間の人;神/天使たち/人//
隠れ、そして顕われた神;超越と内在/脱自的な天上の旅と魔術的=降神術的な呪文/秘教的と顕教的/結論など、
210ページ。


Peter Schäfer, Hekhalot-Studien, (Texte und Studien zum Antike Judentm 19), J. C. B. Mohr (Paul Siebeck), Tübingen, 1988
『ヘーハロート研究』
ヘーハロート文学における伝承と編集/『メルカヴァー・ラッバー』の批判的編集と分析のための序説/『ヘーハロート・ズッタルティ』の構成と編集的同定/『ヘーハロート・ラッバティ』の編集的同定の問題について/『シウール・コーマー』-本文批評と原テクスト/額占いと手相占いの新たな断片/『ヘーハロート・ラッバティ』の新たな断片/ヘーハロート文学に属する未知のゲニザー断片/
śar ha-panim の呪文-編集と翻訳/ヘーハロート文学の写本/新約聖書とヘーハロート文学 パウロとメルカヴァー神秘主義における天への旅/ヘーハロート文学における天使と人/初期ユダヤ神秘主義の目標と目的など、
316ページ。


Peter Schäfer, The Origins of Jewish Mysticism, Princeton University Press, Princeton and Oxford, 2009/2011
『ユダヤ神秘主義の諸起源』
序論;神秘主義/ユダヤ神秘主義 ユダヤ神秘主義の諸相、神秘的合一/諸起源/ユダヤ神秘主義の諸起源//
エゼキエルの幻視:神殿としての宇宙//
エノクとそのサークル:天への上昇;見張りたちの書(第1エノク 1-36)/レビの遺訓/エノクの譬え(第1エノク 37-71)/第2エノク//
エノクの仲間たち:共同体から個人へ;アブラハムの黙示録/イザヤの昇天/ゼファニヤの黙示録/ヨハネの黙示録//
クムラン:天使たちとの交わり;神官たちの共同体/聖戦における天使たちとの交わり/天使たちとの典礼的交わり/安息日の犠牲の歌/自己栄光化の讃歌/要約//
ピローン:魂の上昇;ピローンにおける神の概念/身体と魂、諸感と心/魂による神のヴィジョン//
ラビたちⅠ:釈義を通して神に近づく;トーラーを読み解説する/7つの物語のサイクル ヨハナン・ベン・ザッカイとエレアザル・ベン・アラフ:教師と生徒、伝承の鎖、4人が庭園に入った、王の庭の寓話、中間の道の寓話、ベン・ゾマと創造、創造/要約//
ラビたちⅡ:文脈内でのメルカヴァー;イェルシャルミ/バヴリ//
メルカヴァー神秘家たち;ヘーハロート・ラッバティ ゲドゥラー讃歌、ケドゥシャー讃歌、10人の殉教者の話、黙示録、ケドゥシャー讃歌と称賛の讃歌、昇天の記事/ヘーハロート・ズッタルティ §§335-374:昇天の記事、§§375-406:メタトロン、§§402-427:神秘家の試験とその昇天、§§489-495:神的な名前の秘義の書、§§498-517:名前の魔術/シウール・コーマー/第3エノク イシュマエルの昇天、エノクはメタトロンである/要約//
結論;エゼキエルと昇天黙示録/ヘーハロート文献/クムラン/ラビたち/ピローン/神秘主義など、
414ページ。


 シェーファーについては→こちらも参照本頁上掲の「x. ショーレム以後、その他
………………………

Nocolas Sed, La mystique cosmologique juive, (Études juives XVI), Éditions de l'École des Hautes Études en Sciences Sociales, Mouton Éditeur, Paris, 1981
『ユダヤの宇宙論的神秘学』
序論//
基本的な資料;『ミシュナ・ハギガー』Ⅱ, 1/『トセフタ・ハギガー』Ⅱ, 1-7/『エルサレム・タルムード』中の『ハギガー』Ⅱ, 1/『バビロニア・タルムード』中の『ハギガー』11b-13a 終末論的視野と通過儀礼的視野、〈宇宙的な環〉、ラビ・ヨハナン・ベン・ザッカイの神秘家サークル//
平行する流れ;『諸週の黙示録』/『エゼキエルのタルグム補遺』/『エゼキエルの幻視論
Pereq Rěūyōt Yeḥezq'ēl』/〈メルカヴァーへ降る者たち〉の領域//
ゲオニーム時代の論考 始まりはイスラエルしかない-『マアセー・ベ-レシートのバライタ』;『セデル・ラッバー・ディ・べ-レシート』/『セーフェル・ラズィエル』中に刊行されたテクスト、B, LA とV 写本の図表/『セーフェル・ラブ・ペアリム』中に刊行された断片/ゲニザーの断片/『イザヤ書』XXVI, 4 の図式を解釈するための補遺-『ラビ・アキヴァのアルファベット』/『マアセー・ベ-レシートのバライタ』による世界の創造 〈6性〉、イスラエル、〈3性〉と〈10性〉、〈12性〉、1万8000の世界、19万6000の世界、歩いて500年/『マアセー・ベ-レシートのバライタ』による宇宙像 天と地のシンメトリー、地獄横断、天と地の鎖、〈高みに挙げられた〉玉座//
  始まりはトーラーしかない;『十戒のミドラシュ』の冒頭
Midrāš 'Aseret ha-diběrōt/『ミドラシュ・コーネーン』の冒頭//
孤立した引用;『偽セーフェル・イェツィラー』/『ミドラシュ・マアセー・ベ-レシート』と『モーセの昇天』//
比較図表;7つの天の内容/天、地、地獄の用語法/ミカエルとメタトロンの住処//
ミカエルとメタトロン//年代設定の諸問題//
附録 12氏族の黄道帯シンボリズム;ヤコブの棺/大祭司の法衣/大祭司の胸当て/砂漠でのイスラエルの野営地/砂漠での12氏族の歩みなど、
344ページ。

 本書について後掲のロラン・ゲッチェル、『カバラ』、1999、p.49[原注]2 では、「宇宙論的ドラマ」に関する
「これらのテクストはN.セドの見事な書物『ユダヤの宇宙論的神秘主義』
(N. Sed, La mystique cosmologique juive, Paris, 1981)において深く研究されている」
 と述べられています。
 分量的に可能だったということなのでしょうが、扱う資料の訳が掲載されている点もありがたい。

 なお、第3章A-f-5
“Les dix-huit mille mondes”中で、

「G.ショーレムによれば、タルムードの〈アガーダー〉にとってこの1万8000の世界は同時に存在するが、13世紀においては、カバリストにあってもイスマーイール派にあっても、これらの世界は継起的な1万8000の〈アイオーン〉となった」

と述べられています(p.183、および同、註182)。ここで参照されているのは
Ursprung und Anfänge der Kabbala(1962)の仏語版 p.476で、独語原本では p.400註192 にあたります(同 p.411も参照)。
 イスマーイール派に関してショーレムが参照したのは
W. Ivanow, Journal of the Royal Asiatic Society, 1931, p.548 とのことですが、アンリ・コルバン、神谷幹夫訳、「マズダー教およびイスマーイール派思想における巡回する時間」、『エラノス叢書 1 時の現象学 Ⅰ』、1990、p.192 にも「1万8000の世界」が言及されています。コルバンは同、p.231註138 では

「この1万8000の世界という数字は『第3エノク書』(XXIV, 17)のなかにもあることを注意されたい」

と記しています。
 →こちら(イスマーイール派の周期説;「イスラーム Ⅱ」の頁の「vi. イスマーイール派など」)、またそちら(〈500年〉、〈1万8000の世界〉とイスラームの伝承;「イスラーム Ⅲ」の頁の「x. クジャタ、バハムート、ファラク、その他」)、そしてあちら(世界の複数性;「世界の複数性など」の頁中)、さらにこなた(サンダルフォンの身の丈;「原初の巨人、原初の獣、龍とドラゴンその他」の頁中)や、そなた(イスマーイール派周期論と〈シェミットート〉説との比較;「ユダヤ Ⅲ」の頁の「xii. カバラーなど」)、あなた:「仏教」の頁の「i. 須弥山/三千大千世界/四大劫・六十四転大劫など」中の 松山俊太郎、「インドの回帰的終末説」(1982)のところも参照


 同じ p.183 の少し前には、B.ʻAbhōdāh Zarāh, 3b からの引用で、神の一日の内、4番目の3時間には

「レビヤタンと戯れる」

という一節があり、p.209 註320 では、オーリゲネース『ケルソス駁論』第6書からの引用で、

「ユダヤの著作家たちは、その暗示するところが何であれ、レビヤタンは神によって玩具として創造されたと言う」

とあります。オーリゲネースはまた、これが『詩篇』104-26 によるものと述べているとのことです
追補:第6書の邦訳を含む
 出村みや子訳、『キリスト教教父著作集 10 オリゲネス 5 ケルソス駁論Ⅲ』、教文館、2022
が刊行されました。該当箇所はいわゆる〈オフィス(オピス)派の図解(ディアグランマ)〉が記すところで、第6巻25節にあたります;pp.28-29。『詩篇』104篇26-27は日本聖書教会版『聖書』(1976)では、

 「かしこに大いなる広い海がある。
  その中に無数のもの、大小の生き物が満ちている。
  そこに舟が走り、
  あなたが造られたレビヤタンはその中に戯れる」(p.840上段)

となっていますが、『ケルソス駁論』邦訳では

 「海は大きく広く、舟がそれを航行し、大小の生き物もおり、この龍(ドラコーン)はあなたが戯れのためにお造りになったもの」(詩103[104]・24-26)

とあり、すぐに続けて

 「『龍(ドラコーン)』という言葉の代わりに、ヘブライ語聖書のテクストには、『レビヤタン』とある」(pp.28-29)

と記されています。また
 関根正雄訳、『旧約聖書 詩篇』(岩波文庫 青 802-1)、岩波書店、1973/2014
では(p.251)、

 「海をも支配する者よ、海は大いにして広く、
  そこには無数の動くもの、
  大小の生き物が満ちている。
  そこに舟が行きかい、
  あなたが遊び道具につくられたレビヤタンがいる」)。

 レヴィアタンに関し→こちらも参照:「ユダヤ」の頁の「viii. 神話、魔術など」、またそちら(「暖炉の中へ、暖炉の中から - 怪奇城の調度より」の頁)

 ユダヤ資料の多様さを教えてくれたのが;

David Halperin, The Faces of the Chariot, (Texte und Studien zum Antike Judentm 16), J. C. B. Mohr (Paul Siebeck), Tübingen, 1988
『戦車の諸面』
序説//
メルカヴァーの影;「多くの者が〈メルカヴァー〉について述べた」/ヨハナン・ベン・ザッカイと〈メルカヴァー〉/ミシュナ-メギッラー 4:10 と平行箇所/ミシュナ-ハギガー 2:1/隠蔽の伝承/パルデスの挿話-パレスティナ版/パルデスの挿話-バビロニア版/結論//
メルカヴァー解釈の始まり;エゼキエル書/クムラン/セプトゥアギント/結論//
メルカヴァーと黙示録;準備-黙示録、昇天と〈メルカヴァー〉/ダニエル書/エノク書/ヨハネ黙示録/『アダムとエバの生涯』/アブラハムの黙示録/結論//
シナゴーグの伝承;序説-ラビ資料の使用/エゼキエル 1 へのタルグム/バビロニア・タルムード、ハギガー 13b/創世記ラッバー 65:21-箱入れするミドラシュ/シナイにおける戦車-
Pesiqta de-Rab Kahana, Ba-Hodesh #22 と平行箇所/創世記ラッバー 65:21ー箱入れするミドラシュ/結論//
メルカヴァーと仔牛;序説/レビ記ラッバー 27:3/出エジプト記 14::29 へのメヒルタ/出エジプト記ラッバー 43:8/仔牛、〈メルカヴァー〉と海/詩篇 5:8 へのミドラシュ/結論//
メルカヴァーと水;序説/〈ヘーハロート〉-パルデスの挿話と「水」の試験/出エジプト記 15::2 へのメヒルタ/バビロニア・タルムード、ソーター 17a と平行箇所/1:9 への雅歌ラッバー、出エジプト記ラッバー 23:14/「ケバルの川で」/省察/反〈メルカヴァー〉//
メルカヴァーと虹;人のような神/虹のような栄光/結論//
シュヴオート群 〈エゼキエルの幻視〉;序説/翻訳/テクストの年代/テクストの構造/テクストの意味/〈幻視〉とシナイ//
  モーセの昇天;序説/物語/昇天物語の源泉/昇天物語と〈エゼキエルの幻視〉/
Haggadat Shemaͨ Yiśra'el-「あなたはあなたの心の理解をもって見る」/昇天か侵入か?//
  オーリゲネース;序説/エゼキエルに関する最初の説教/ヨシュア記、ルカ、ヨハネに関するオーリゲネース/オーリゲネースとヨシュア・ベン・レビ/カイサリアのギリシア語ミドラシュ/シュヴオート群とユダヤ=キリスト教論争/結論/後記-七つの〈メルカヴァー〉//
メルカヴァーとヘーハロート ヘーハロートの問題;序説/中心を捜しあてる-天界の旅/中心を捜しあてる-〈サール・トーラー〉/結論//
  ヘーハロートのメルカヴァー釈義;『ヘーハロート・ズッタルティ』の2節/『ヘーハロート・ラッバティ』-目の教父/シナゴーグの伝承、〈ヘーハロート〉の他所に/〈若者〉とシナゴーグの伝承/神人同形説-タルグム・エゼキエル 1:27 と〈シウール・コーマー〉//
  ヘーハロートとシュヴオート群;序説/エゼキエルの幻視/シナイ=昇天の素材/メタトロンとモーセ/サール・トーラー再訪//
結論//附録;ラビ資料への方向づけ/メルカヴァー伝承のイスラームでの反映/ニューヨーク写本での〈若者〉の節/〈エゼキエルの幻視〉への補註/ヘーハロートのメルカヴァー釈義への索引/
Pirque de-Rabbi Eliezer、ヘーハロートとナグ=ハマディ・テクスト/サルモン・ベン・イェルヒムによるサール・トーラー神話のヴァージョンなど、
632ページ。

 エゼキエル書第1章で記述された〈ḥayyot 、単数:ḥayyah〉(活物、獣:pp.39-40、註1)が、『アブラハムの黙示録』18章で、神への賛

「歌を終えると、互いに見合い、互いを脅し合うのだった」(p.107)

という伝承がいたく印象的でした(pp.112-113 も参照) 。
 『ヨナタンのタルグム』では、

「4つの活物の翼の総数は、256である」

ともいいます(pp.125-127、pp.393-396 も参照:こちらは256の眼について)。
 「バビロニア・タルムード、ハギガー 13b」では、

「地面に足をつけ、頭が ḥayyot のそばまで届く一柱の天使」、

サンダルフォンのことが記されています(p.131, p.133, pp.39-140)。
 その他、

7種の金属でできた7つの天(pp.242-245)、
『エゼキエルの幻視』における諸天の列挙(pp.266-268、また pp.499-500)、
イスラームのあるハディースにおける天と地の距離(pp.470-471, また pp.473-474。上の Nicolas Sed 著書とともに→こちらも参照:「イスラーム Ⅲ」の頁の「x. クジャタ、バハムート、ファラク、その他」)

などなど、興味深い細部に富んでいます。

 なお、著者はサバタイ派研究にも手を染めているようです→そちら:「ユダヤ Ⅲ」の頁の「xiv. サバタイ派、フランク派など

Michael D. Swartz, Scholastic Magic. Ritual and Revelation in Early Jewish Mysticism, Princeton University Press, Princeton, New Jersey, 1996
学者風の魔術 初期ユダヤ神秘主義における儀礼と啓示』
序論;古代ユダヤ教の心性/記憶、トーラーと魔術//
サール・トーラーのテクスト;テクスト/サール・トーラーの語り-翻訳と関連テクスト/サール・トーラーの儀礼と関連テクスト//
儀礼と啓示;儀礼と清浄/伝統と権威//
結論;学者風の魔術など、278ページ。


Arthur Green, Keter. The Crown of God in Early Jewish Mysticism, Princeton University Press, Princeton, New Jersey, 1997
『ケテル 初期ユダヤ神秘主義における神の王冠』
古代イスラエル-上の王冠と下の王冠/戴冠と〈クドゥシャー〉/天の戴冠-一次資料/神の王冠とイスラエルの祈り/王冠の上の名前/王冠、〈テフィッリン〉と魔術的印章/戴冠した天使たち/シナイで戴冠したイスラエル/戴冠と婚姻/中世の再考察/栄光の賛歌/カバラーへの径/『バヒールの書』/初期カバラーなど、
242ページ。

 同じ著者による→こちらも参照:「ユダヤ Ⅲ」の頁の「xii. カバラーなど


C. R. A. Morray-Jones, A Transparent Illusion. The Dangerous Vision of Water in Hekhalot Mysticism: A Source-Critical & Tradition-Historical Inquiry, Brill, Leiden, Boston, Köln, 2002
『透明な幻覚 ヘーハロート神秘主義における水の危険な幻視-原典批評的および伝承史的調査』
〈4人が楽園に入った〉における危険な発言;タルムード資料と『雅歌ラッバー』における〈4人が楽園に入った〉/ヘーハロート校訂版における〈4人が楽園に入った〉/〈4人が楽園に入った〉の原典および編集批判的観察と〈楽園への上昇〉伝承の起源/『ヘーハロート・ズッタルティ』のニューヨーク写本による〈4人が楽園に入った〉における水の幻視のエピソード/宇宙的神殿//
פדדס (楽園)〉物語と水の幻視のエピソード-〈争点〉//『ヘーハロート・ラッバティ』と『ヘーハロート・ズッタルティ』における水の幻視のエピソードとその文脈;典拠/חשמל のような…もの/門番とことば「入れ(入るな)!」/ラビ・ネフンヤ・ベン・ハ-カナーの昇天における門番/奇妙な言い方-「なぜならば…」/水の幻視のエピソードの始まり-テクスト上の問題と関連/結論-水の幻視のエピソードと楽園の伝承//
天の舗道と不浄の水;ユダヤおよびキリスト教黙示録の資料/『ヘーハロート・ズッタルティ』の起源/問いの形/水の上の宮殿/クムラン写本における不浄の水/ヨハネ黙示録/清浄と不浄の水//
グノーシスおよびキリスト教資料;物質性の水/大気と光の領域//
神殿の帷と天の蒼穹;サバオートの即位/幕屋とその幕についてのユダヤの伝承/第1天の名称としての〈帷〉/神殿の帷/玉座の前の帷/ユダヤおよびグノーシス資料における帷の位置//
戦車の諸面;昇天は続く(『マッセヘト・ヘーハロート』、§28)/『ヘーハロート・ズッタルティ』ニューヨーク写本における1節とサバオート即位の場面/顔を多層化する/ベン・シラ、サバオートの即位と『ヘーハロート・ズッタルティ』//
天の材料;仔牛、レビ人と水/水と天の書板/天使の祭司職/天の書板とトーラーの海/天的な実体//
結論としての観察;『ヘーハロート・ズッタルティ』の起源の年代/ヘーハロート神秘主義と
מעשה מךכבה/二元論と祭司の清浄//
附録 ソロモンとシェバの女王;ソロモンと女王の伝説群/エステル書へのタルグム・シェニーにおけるガラスの宮殿の話/クルアーンにおけるガラスの宮殿の話/近年のユダヤ民話における女王の毛の生えた脚/『ベン・シラのお話』における女王の毛の生えた脚/イスラームの註釈者たち/毛の生えた女王の征服/リリート/リリートとシェバの女王/『ゾハール』におけるシェバの女王/悪魔的女王の起源の問題/イザヤ 34:14 におけるリリートと毛の生えた悪霊/違いの問題/キリスト教におけるシェバの女王/1~3世紀におけるシェバの女王/ヨブ・タルグムにおける悪霊の女王/ラビ・ヨナタンとシェバの女王/女王、ガラスの宮殿と彼女の毛の生えた脚-証言の調査と評価/18世紀初頭のイエメンのユダヤ人版のお話/結論としての観察など、
336ページ。


Vita Daphna Arbel, Beholders of Divine Secrets. Mysticism and Myth in the Hekhalot and Merkavah Literature, State University of New York Press, Albany, 2003
『神的な秘密を観る者たち ヘーハロートおよびメルカヴァー文学における神秘主義と神話』
序論/ヘーハロートおよびメルカヴァー文学とその神秘的伝承/ヘーハロートおよびメルカヴァー神秘主義/ヘーハロートの神話的言語とメルカヴァー神秘主義/神話的言語における神秘的な旅/神の概念-神秘的および神話的次元/文学的、現象学的、文化的、そして社会的な含意など、
262ページ。


Rachel Elior, translated by David Louvish, The Three Temples. On the Emergence of Jewish Mysticism, The Littman Library of Jewish Civilization, Oxgord, Portland, Oregon, 2004
原著はヘブライ語で2002刊
『三つの神殿 ユダヤ神秘主義の出現について』
序論/附録;〈エッセネ人〉あるいは〈祭司たち、ザドクの子ら〉//
メルカヴァーと七重のパターン/神殿からメルカヴァーへ-ケルビムの戦車の玉座からエゼキエルの幻視へ/聖なる時間のパターンとしての太陽暦/ヤレドの子エノクと太陽暦/見張人たちの罪と太陰暦/契約、誓い、七と七週祭/エゼキエルの幻視と七週祭/祭司たちと天使たち/分離派祭司層とラビ的伝承/ヘーハロート文学など、
316ページ。

 主張するところは明快なのですが、いささか繰り返しの多い文体が気になったことでした。

 ともあれ同じ著者によるものとして、次の邦訳があります;


ラヘル・エリオール、堀川敏寛訳、「ユダヤ神秘思想における離散と贖い」、『一神教学際研究』、no.4、2008.2、pp.12-26 [ < 同志社大学学術リポジトリ
原著は Rachel Elior,“Exile and Redemption in Jewish Mystical Thought”, Stidies in Spirituality, no.14, 2004, pp.1-15

 この他、「ユダヤ」のページ中「vi. マガーリヤその他と天使論」で挙げた諸文献や;

ヨアン・P・クリアーノ、『霊魂離脱(エクスタシス)とグノーシス』、2009、「第9章 玉座の神秘学からミウラージュ伝説へ」

 「グノーシス Ⅱ」のページで挙げた;

Otfried Hofius, Der Vorhang vor dem Thron Gottes, 1972

Nathaniel Deutsch, The Gnostic Imagination. Gnosticism, Mandaeism, and Merkabah Mysticism, 1995

Nathaniel Deutsch, Gurdians of the Gate. Angelic Vice Regentcy in Late Antiquity, 1999
………………………

Martin Samuel Cohen, The Shiͨur Qomah : Texts and Recensions, (Texte und Studien zum Antike Judentm 9), J. C. B. Mohr (Paul Siebeck), Tübingen, 1985
『シウール・コーマー テクストと校訂』
序論//
原文、註と英訳;
Sefer Hashi͑ͨur/祈禱書ラッバーの校訂版/『メルカヴァー・ラッバー』校訂版/『セフェル・ラジエル』校訂版/Sefer Haqqomah/
/附録など、
266ページ。

 これを読んだ時は、インド人に劣らぬ巨数愛好を再確認するとともに、〈シウール・コーマー〉というのは一種の曼荼羅のようなものではないかと思ったことでした。

 ともあれ、原典の翻訳はあるものの、「序論」は書誌学的な記述のみなので、解説が欲しくなります。

Martin Samuel Cohen, The Shiͨur Qomah : Liturgy and Theurgy in Pre-Kabbalistic Jewish Mysticism, University Press of America, 1983

 がそれに当たるのだと思われますが、残念ながら未見。

 なので今のところは

ショーレム『ユダヤ神秘主義』(1985)の「第2章 メルカーバー神秘主義とユダヤのグノーシス」の該当箇所(pp.85-90)、

 同じくショーレムの

Jewish Gnosticism, Merkabah Mysticism, and Talmudic Tradition, 1960/1965
, “Ⅵ. The Age of Shiur Komah Speculation and a Passage in Origen”(pp.36-42)

 同じく
On the Mystical Shape of the Godhead. Basic Concepts in the Kabbalah, 1991/1997, “1. Shiͨur Qomah The Mystical Shape of the Godhead”(pp.15-55)

 また

Joseph Dan, The Ancient Jewish Mysticism, 1993, “Ⅳ. Shiur Komah”(pp.63-77)


 同じく
Joseph Dan, Jewish Mysticism. Volume 1 : Late Antiquity, 1998, “8. The Concept of Knouwledge in the SHIUR KOMAH”(pp.205-215)

 さらに

Joseph Dan, Jewish Mysticism. Volume 3 : The Modern Period, 1999,
所収の "6. The Language of Mystical Prayer",
 "7. The Name of God, the Name of the Rose, and the Concept of Language in Jewish Mysticism",
 "8. The Language of the Mystics in Medieval Germany"


 その他の論文でも言及されています。


Peter Schäfer, Hekhalot-Studien, 1988, “5. Shi'ur Qoma : Rezensionen und Urtext”(pp.75-83)

Peter Schäfer, The Origins of Jewish Mysticism, 2009/2011, pp.306-315:“Shi'ur Qoma”

Alexander Altmann, "Moses Narboni's 'Epistle on Shi'ur Qoma'", Studies in Religious Philosophy and Mysticism, 1969, pp.180-209

 などが手もとにあるまとまった資料ということになります。

S.R.Burge, Angels in Islam. Jalāl al-Dīn al-Suyūṭī's al-Ḥabā'ik fī akhbār al-malā'ik, 2012,
 "PART Ⅱ Imagining angels", pp.60-63:"Angels of great size"


も参照


 →こちらでも少し触れています:「原初の巨人、原初の獣、龍とドラゴンその他」の頁中
………………………

 『創造の書』ないし『形成の書』こと『セーフェル・イェツィラー』については、まずはやはり;

ショーレム『ユダヤ神秘主義』(1985)の「第2章 メルカーバー神秘主義とユダヤのグノーシス」の該当箇所(pp.101-104)、

Joseph Dan, The Ancient Jewish Mysticism, 1993, “XII. Sefe Yetzirah”(pp.198-211)


Joseph Dan, Jewish Mysticism. Volume 1 : Late Antiquity, 1998, “8. Three Phases of the History of the Sefer Yezira”(pp.155-187)

 など

 この文献については、以下4種の邦訳がありました;

吉村正和、「カバラと言語神秘主義 - 『イェツィラの書』 -」、『地球ロマン』、復刊5号、1977.5:「総特集 神字学大全」、pp.80-87

M.ドーリル博士、『カバラの眞義』、1978、pp.266-299
原著は Dr. M. Doreal, “Sepher Yetzirah”(刊行年は未記載)

マンリー・P・ホール、『カバラと薔薇十字団 象徴哲学体系 Ⅲ』、1981、pp.18-32

 「『セフェール・イェツィラー』の内容を読者に知ってもらうために、私は五種類の英語の翻訳を参照した。その結果生まれた以下の訳文は、各種の訳文の特徴を表わしてはいるが、ヘブライ語やラテン語から直接翻訳したものではない」とのこと(pp.16-17)。


箱崎総一、『カバラ ユダヤ神秘思想の系譜』、1986、pp.91-144:「第二章 創造の書」

Das Buch Jezira, In der Übersetzung von Johann Friedlich von Meyer herausgegeben von Eveline Goodman-Thau und Christoph Schulte, (Jüdische Quellen. Band 1), Akademie Verlag, Berlin, 1993
『イェツィラーの書 ヨハン・フリードリッヒ・フォン・マイヤー訳、イヴリン・グッドマン=タウ・クリストフ・シュルテ編集』
編集者の緒言/イェツィラーの書 ヘブライ語とドイツ語(1830)//
後書き;ユダヤの伝承におけるイェツィラーの書(モーシェ・イデル)/キリスト教の伝統におけるイェツィラーの書(ヴィルヘルム・シュミット=ビッゲマン)など、
74ページ。

 本体部分は復刻なので視覚的に読みにくく、かつヒゲ文字です。


Aryeh Kaplan, Sefer Yetzirah. The Book of Creation. In Theory and Practice. Revised Edition, Weiser Books, San Francisco, Newburyport, 1997
『セーフェル・イェツィラー 創造の書 理論と実践において 改訂版』
序論;テクスト/著者/タルムード時代/テクストと註釈者たち//
『セーフェル・イェツィラー』;第1章~第6章(ヘブライ語原文付き)//
附録;セーフェル・イェツィラーの他の版/短い版/長い版/サアディア版//
  知恵の32の径/門/編集と註釈/刊行された版/セーフェル・イェツィラーを含む他の書物/写本/註釈/翻訳など、
434ページ。

 同じ著者による→こちら(「ユダヤ Ⅲ」の頁の「xii. カバラーなど」)、またあちら(同上、別の箇所)も参照


 スペインの本屋で見つけたのが;

Myriam Eisenfeld, Sefer Yetzirah. El Libro de la Formación. A la luz de los Escritos de los Cabalistas de Girona, (Colección La Aventura Interior), Ediciones Obelisco, Barcelona, 1992
『セーフェル・イェツィラー 形成の書 ジローナのカバリストたちの著作に照らして』
緒言(ジョセプ・アルナウ・イ・フィゲローラ)
『セーフェル・イェツィラー』への序論;テクストとその歴史/その継承/その意味論的風景/その解釈/宇宙における人間と人間における宇宙/〈契約〉との関連/時空の関連とその星気的影響//
形成の書、註釈付き訳文;第1章~第6章(ヘブライ語原文付き)//
附録;形成の書に関するラビ・モシェー・ベン・ナフマーン(ナフマニデス)の註釈/婚礼のための説教など、
168ページ。

2013/11/15 以後、随時修正・追補
ユダヤ Ⅲ
ユダヤ神秘主義(承前)
カバラー、ルーリア派カバラー、サバタイ派(シャブタイ派)、フランク派、ハシディズム、その他、その後など
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