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メソポタミア
* 楔形文字の日本語表記は、勉強不足のため残念ながらわかりません。
 そもそも、シュメール、アッシリア、アッカド、バビロニアといった言葉の適用範囲もよくわかっていません。
 ともあれ例によって、多々誤りもあろうかと思いますが、ご寛恕ください。

 まずは;

W.G.ランバート、「シュメールとバビロニアの宇宙論」、『古代の宇宙論』、1976、pp.31-60および口絵15-17とその説明pp.xiii-xv。
宇宙の構造;地下の淡水(アプスー)、大地、天/都市と神々の序列、〈神名表〉/バビロニアの『天地創造の詩』/宇宙の各層など。

荒川紘、「第1章 神々の天地-メソポタミア神話の宇宙観」、『東と西の宇宙観 西洋篇』、2005、pp.15-55
宇宙論もシュメールにはじまる/バビロニアの天地創造神話-『エヌマ・エリシュ』/メソポタミアとエジプトなど。

 i 原典からの邦訳 
 ii 神話、信仰等 
 iii ウェブ上より 
 iv 科学史・天文学史的なものなど 
 v 事典類など 
 vi 洋文献 
  おまけ 

 原典からの翻訳として;

古代オリエント集 筑摩世界文學体系 1』、1978
 に
シュメール;「人間の創造」(五味亨訳、pp.5-9)、
  「イナンナの冥界下り」(五味亨訳、pp.23-36)、
アッカド;エヌマ・エリシュ(天地創造物語)」(後藤光一郎訳、pp.105-133)、
  「ギルガメシュ叙事詩」(矢島文夫訳、pp.134-166)、
  「アトラ・ハシース物語」(杉勇訳、pp.167-190)、
  「イシュタルの冥界下り」(矢島文夫訳、pp.191-195)、
  「アダパ物語」(杉勇訳、pp.207-210)、
  「エタナ物語」(後藤光一郎訳、pp.232-242)
 などが収められています。

 他に;
シュメール;農牧のはじまり/洪水伝説/エンキとニンフルサグ/ギルガメシュとアッガ/ドゥムジとエンキムドゥ/ウルの滅亡哀歌/イナンナ女神の歌/ババ女神讃歌/シュルギ王讃歌/グデアの神殿讃歌/ダム挽歌/悪霊に対する呪文/ナンナル神に対する「手をあげる」祈禱文/シュメールの格言と諺//
アッカド;虫歯の物語/バビロンの新年祭/ネルガルとエレシュキガル/ズーの神話/サルゴン伝説/バビロニアの神義論/イシュタル讃歌/エラの神話/バビロニアの智慧文学

 以上シュメールの部分は

杉勇・尾崎亨、『シュメール神話集成』(ちくま学芸文庫)、筑摩書房、2015

 として文庫化された模様(未見)

 『エヌマ・エリシュ』について→こちら(「原初の巨人、原初の獣、龍とドラゴンその他」」の頁)や、あちら(「有閑神(デウス・オーティオースス)、デーミウールゴス、プレーローマなど」の頁)でも触れています。

矢島文夫訳、『ギルガメシュ叙事詩』、山本書店、1965/1977
上掲『古代オリエント集』所収の訳とともに、
解説;発見と研究/テキストと関係資料/文化史的背景/本訳についてなど(pp.137-208)
 を掲載、
210ページ。

 本書は1998年、ちくま学芸文庫に収められました(未見)。
 次の月本昭男訳の対応箇所ともども→こちら(「言葉、文字、記憶術・結合術、書物(天の書)など」の頁の「おまけ」/ダニエレブスキー『紙葉の家』に関連して)で触れました

月本昭男訳、『ギルガメシュ叙事詩』、岩波書店、1996
標準版および古バビロニア版・中期バビロニア版、アナトリアの諸伝承の訳、解説;発見/成立史/構成と物語技法/主題をめぐって/宗教文化史的背景/「ギルガメシュ信仰」のひろがり/『叙事詩』と旧約聖書など、
416ページ。


桑原俊一、「アトラ・ハシース叙事詩(Atra-hasis)(1)」、『北海学園大学人文論集』、no.43、2009.7.31、pp.1-26 [ < 北海学園学術情報リポジトリ(HOKUGA)

 同、   「アトラ・ハシース叙事詩(Atra-hasis)(2)」、『北海学園大学人文論集』、no.44、2009.11.30、pp.29-56 [< 同上 ]

 同、   「アトラ・ハシース叙事詩(Atra-hasis)(3)(退職記念)」、『北海学園大学人文論集』、no.45、2010.3.31、pp.113-141[< 同上 ]

 同、   「アトラ・ハシース叙事詩(Atra-hasis)(4)」、『北海学園大学人文論集』、no.46、2010.7.30、pp.41-71[< 同上 ]

 翻案ということになりますが;


H.ガスター、矢島文夫訳、『世界最古の物語 〈バビロニア・ハッティ・カナアン〉』(現代教養文庫 805)、社会思想社、1973
原著は Th.H. Gaster, The Oldest Stories in the World, 1952
 「バビロニアの物語」の部に
「ギルガメシュの冒険」(pp.34-74)、「神々の戦争」(pp.75-99;「エヌマ・エリシュ」)、「借りものの翼」(pp.100-116;「エタナ物語」)、「逃した幸運」(pp.117-126;「アダパ物語」
など所収、
 「ハッティの物語」、「カナアンの物語」(→「西アジア」の頁の「i. カナアン、ウガリット、ヒッタイトなど」)などとあわせて
全322ページ。

 神話・信仰等について、手もとにあるものから;

ジョルジュ・ゴントノー、「古代西方アジアの諸宗教」、E.ドリオトン、G.ゴントノー、J.デュシェーヌ・ギュイユマン、稲垣良典訳、『古代オリエントの宗教(カトリック全書 141)』、ドン・ボスコ社、1959、pp.89-181
原著は E. Drioton, G. Contenau, J. Duchesne-Guillemin, Les religions de l'orient ancien, 1957.
ヒッティト人とフーリト人」、「フェニキア」の章(→「西アジア」の頁の「i. カナアン、ウガリット、ヒッタイトなど」)に続いて、
メソポタミア;スメル宗教、バビロニアとアッシリア;天界と神々/神々と人間/礼拝と宗教的慣習など(pp.123-181)。

 他に
エジプトの宗教」(→「エジプト」の頁の「i. 神話、信仰等」)、
イラン宗教」(→「イラン」の頁の「ii. ゾロアスター教など - 邦語文献」)
 所収。


S.H. フック、吉田泰訳、『オリエント神話と聖書』、山本書店、1967
原著は S.H. Hooke, Middle Eastern Mythology, 1963
 1章が
メソポタミアの神話;シュメールの神話/バビロニヤの神話など

 他に;

序章/エジプトの神話ウガリットの神話/ヒッタイトの神話ヘブライの神話/ユダヤ教黙示文学の神話的要素/新約聖書における神話的要素/キリスト教の神話と儀礼など、
282ページ。


トーキルド・ヤコブセン、「メソポタミア」、H.フランクフォート、H.A.フランクフォート、J.A.ウィルソン、トーキルド・ヤコブセン、山室静・田中明訳、『古代オリエントの神話と思想 哲学以前』、社会思想社、1971、pp.147-278
原著は Henri Frankfort, Henrichte Antonia Groenewegen Frankfort, John Albert Wilson, Thorkild Jacobsen, Before Philosophy; The Intellectual Adventure of Ancient Man, 1946
国家としての宇宙/国家の機能/良き生活など。

 他に
エジプト(→「エジプト」の頁の「i. 神話、信仰等」)のパートと、
序論「神話と現実」、結論「神話からの思想の解放」など、
338ページ。


S.N.クレーマー、小川英雄・森雅子訳、『聖婚 古代シュメールの信仰・神話・儀礼』、新地書房、1989
原著は Samuel Noah Kramer, The Sacred Marriage Rite. Aspects of Faith, Myth and Ritual in Ancient Sumer, 1969
シュメール人-歴史、文化、文学/シュメールの詩歌-反復、類似、形容語、直喩/聖なる結婚-起源と発展/聖なる結婚-求婚と婚儀/聖なる結婚と「ソロモンの雅歌」/聖なる結婚-死と復活など、
284ページ。

後藤光一郎、『宗教と風土-古代オリエントの場合-』(宗教史学論叢 4)、リトン、1993、「第2編 古代オリエントの神話と宗教」
エヌマ・エリシュ考/エヌマ・エリシュ(天地創造物語)/エアと水/生と死のバランス-古代オリエント宗教史のばあい-/文明と宗教-古代オリエントにおける死と友情-/エゼキエル八 14 とタンムズ・イシュタル型信仰

 「2 エヌマ・エリシュ(天地創造物語)」は上掲『古代オリエント集 筑摩世界文學体系 1』(1978)からの再録。

 ちなみにこれ以外の目次は;
第1編 宗教史学論;宗教史学/宗教史学と考古学-生態学的関係づけ-/宗教史学の理論と方法-エコロジーの観点から-/宗教現象と風土/書評-鈴木秀夫著『超越者と風土』-//
第3編 聖書考古学と古代パレスチナの宗教;いわゆる「聖書考古学」について/土器片は語る-パレスチナ考古学の方法-/テル・ゼロール A1 地区の土器による年代決定の方法論的反省/聖書考古学の鉄器時代-
MMŠTh の問題-/考古学・歴史学からみた聖書/テル・ゼロール出土の土器陰刻文/テル・ゼロール出土の一印章/パレスチナにおけるミタンニ文化の影響/テル・ゼロールの小神殿/知恵についての一試論/イェヘズケール・カウフマンのイスラエル宗教論//
付記;葬儀の辞(帆足主基夫)/弔辞(川田殖)/お別れの言葉(月本昭男)/後藤光一郎君追悼(短歌)(伊藤邦幸)など、
512ページ。


渡辺和子、「聖なる空間の表象-古代メソポタミアの『生命の木』-」宮家準・小川英雄編、『聖なる空間 宗教史学論叢 5』、リトン、1993、pp.49-98
古代メソポタミア/「生命の木」研究史/現代のイコノグラフィー研究/文献学的検証/「生命の木」図像の変遷/従来の解釈の検討/「楽園」のシンボルなど

 同じ著者によるものとして、下掲の諸論文とともに、→こちらも参照:「グノーシス諸派など」の頁の「余談 イスカリオテのユダなど


森雅子、「英雄叙事詩の系譜-ギルガメシュの末裔たち-」、同上、pp.99-130
羿/霊均/スサノオなど

森雅子、「ギルガメシュの末裔」、篠田知和基編、『神話・象徴・文化』、楽瑯書院、2005、pp.113-138

 同じ著者による→こちらも参照:「中国」の頁の「ii. 中国の神話とその周辺
 また訳書として上掲S.N.クレーマー『聖婚 古代シュメールの信仰・神話・儀礼』(1989)および次のジョン・グレイ『オリエント神話』(1993)


ジョン・グレイ、森雅子訳、『オリエント神話』、青土社、1993
原著は John Gray, Near Eastern Mythology, 1969/1982
 1章から4章までがメソポタミア。
歴史地理;シュメール人/砂漠の部族/セム人による支配//
宗教;アヌとエンリル/水神エンキ/太陽神シャマシュ/月の神シン/母神イナンナ(イシュタル)/ネボとマルドゥク/エレシュキガルとネルガル//
神話;バビロニアの新年祭/バビロニアの創世神話/イシュタルの冥界下り/アダパの神話/ギルガメシュ叙事詩/ギルガメシュとエンキドゥ/巨人フワワに対する偉業/ギルガメシュは女神イシュタルを拒絶する/エンキドゥの死/ギルガメシュによる不死の探求/ウトナピシュティムと洪水/ギルガメシュによる不死の探索の断念//
王;エタナの神話/アッカドのサルゴンの伝説/王の社会的責任/生命の木、など(pp.7-162)。

 他は
カナアン(5-8章)(→「西アジア」の頁の「i. カナアン、ウガリット、ヒッタイトなど」)、
イスラエル(9-13章)(→「ユダヤ」の頁の「viii. 神話、魔術など」)など、
422ページ。


ジャン・ボテロ、松島英子訳、『メソポタミア 文字・理性・神々』(りぶらりあ選書)、法政大学出版局、1998
原著は Jean Bottéro, Mésopotamie, l'écriture, la raison et les dieux, 1987
西洋の誕生//アッシリア学//文学//
「理性」-機構と精神構造;夢占い/卜占と科学的精神/身代わり王とその定め/ハンムラビ「法典」/「自由恋愛」とその不利益//
「神々」-宗教;宗教体系/知性と権力の技術的機能-エンキ/エア/悲観論的対話と神の超越性/死の神話など、
492ページ。


ジャン・ボテロ、松島英子訳、『最古の宗教 古代メソポタミア』(りぶらりあ選書)、法政大学出版局、2001
原著は Jean Bottéro, La plus vieille religion en Mésopotamie, 1998
メソポタミアで生まれた最古の宗教/宗教一般と諸宗教/メソポタミアとその歴史/研究資料と期待される成果について/宗教感情/
宗教的具象表現;神々、神話体系における神、神話体系における宇宙(宇宙構造論、宇宙開闢論、宇宙の統治、世界の終末)、神話体系における人間/
宗教的振る舞い;祭祀、「秘蹟」の祭祀/影響と残照など、
396ページ。

 同じ著者による→こちらも参照:「ユダヤ」の頁の「i. 『創世記』とその周辺


「メソポタミアの神話・宗教」、『世界神話大事典』、2001、pp.162-202
宗教問題(ジャン・ボテロ、エレナ・カッサン)/宇宙創成説(E.カッサン)/神話と詩 神の統治権と権力の分割(同)/権力の知とその技術役割 エンキとエア 神々の体系への一考察(J.ボテロ)/神話と詩学 悪の問題(同)、など

三笠宮崇仁監修、岡田明子・小林登志子、『古代メソポタミアの神々 世界最古の「王と神の饗宴」』、集英社、2000
古代メソポタミア文明/豊饒神の世界/シュメルの神々/神となった王たち/ジグラト-天と地の礎/天上界の覇者マルドゥク神/メソポタミア周辺の神々/バビロンの新年祭/神々の戦い-神助と神罰/精霊・悪霊・異形なるものどもなど、
256ページ。


松島英子、『メソポタミアの神像 偶像と神殿祭儀』(角川選書 17)、角川書店、2001
地域の概要と歴史概説/神々はどのような姿をしていたのだろうか-神とその像/神像はどのような役割を担っていたのだろうか-神像の存在意義/神像はどのように作られたのだろうか-神像の制作と手入れ/神々のファッション/神殿では何が起きていたのだろうか-日々の務めと特別行事/生きている神々-偶像と信仰など、
252ページ。

前田徹、『メソポタミアの王・神・世界観 シュメール人の王権観』、山川出版社、2003
シュメール王権の発展/都市国家分立期/領域国家期/統一国家形成期/シュメールの王権と社会正義/シュメールの宇宙観/シュメールの自然観/シュメールの過去の見方/シュメールの神々/シュメールしに対する二つの偏見など、
198ページ。


渡辺和子、「メソポタミアの太陽神とその図像」、松村一男・渡辺和子編、『太陽神の研究 宗教史学論叢8』(下巻)、リトン、2003、pp.25-62
太陽神の系譜/太陽神の属性/王と太陽(神)/南メソポタミアの太陽神とその図像/北メソポタミア/シリア・アナトリアの太陽神とその図像など

渡辺和子、「生を与えるものと死を与えるもの-メソポタミアの場合-」、松村一男編、『生と死の神話 宗教史学論叢9』、リトン、2004、pp.227-250
「命の木」の図像/神話・叙事詩/語彙表/「命の草」の他の用例/「死の草」の他の用例/その他の例など持ちラザロ」と「二河白道」/死後世界旅行記/ユタ/ユダヤ教/ユング/現代の輪廻神話など、
494ページ。


渡辺和子、「メソポタミアの異界往還者たち」、細田あや子・渡辺和子編、『異界の交錯 宗教史学論叢10』上巻、リトン、2006、pp.9-41
神による異界往還/人間による異界往還/エンキドゥの冥界往還など

池上正太、『オリエントの神々(Truth in Fantasy 74)』、新紀元社、2006

 第2章がメソポタミア周辺の神々(→「西アジア」の頁の「i. カナアン、ウガリット、ヒッタイトなど」)(pp.47-194)。神格ごとの解説。

 他に
第1章オリエント世界とは、第3章ペルシア神話とゾロアスターの神々(→「イラン」の頁の「ii. ゾロアスター教など - 邦語文献」)、伝播した神々(「グノーシス諸派など」の頁の「iii. 『ユダの福音書』以後(2006~)」)など、
312ページ。


佐々木光俊、『メソポタミアからの知的伝承-洪水の向こう側』、鼎書房、2008
ベロッソスの伝承/『エノク書』とバビロニア文化/Watcher 外伝/ギルガメシュの生の探求など、
210ページ。

 「あとがき」によると、「本書の主役はオアンネスであり、
Watcher であり、巨人たちであった」(p.206)。
 下掲の「ワシの力 - エタナ物語とその背景」(2011)とともに、同じ著者による→こちらも参照:「ギリシア・ヘレニズム・ローマ Ⅱ」の頁の「デーモクリトスと原子論、およびエピクーロス派」

岡田明子・小林登志子、『シュメル神話の世界 粘土板に刻まれた最古のロマン』(中公新書 1977)、中央公論社、2008
粘土板に書かれた物語-シュメル神話の基礎知識/「創成神話」-人間はなぜ創造されたか/神々が送る大洪水の物語-伝説はシュメルにはじまる/「楽園神話」と農耕牧畜比較論/シュメル世界の規範「メ」と神々の聖船/エンリル神とニンリル女神の性的ゲーム-成人向け神話/大地母神と死んで復活する神-イナンナ女神冥界降下顛末記/大王エンメルカルと「小さな王」ルガルバンダ-英雄神話と「史実」/『ギルガメシュ叙事詩』成立縁起-ビルガメシュ神の英雄譚/王による王のための神話-英雄神の怪物退治/大河のほとりで-シュメル人国家の終焉とその後の伝承など、
334ページ。

服部等作、「玉座を支える有翼神獣像-ウラルトゥ王国の玉座における天空と地上世界の交流-」、『神話・象徴・文化 Ⅲ』、楽瑯書院、2007、横書きpp.171-183
ウラルトゥの玉座について;ウラルトゥの玉座の構成/玉座に登場する有翼神獣像/他のウラルトゥの玉座と神獣像の例//
アッシリアの玉座//ウラルトゥの玉座と有翼神獣像//玉座の有翼神獣像、まとめなど


服部等作、「天上と天下の玉座-ウラルトゥと新アッシリア帝国の玉座-」、篠田知和基編、『天空の神話-風と鳥と星』、楽瑯書院、2009、pp.654(43)-635(62)
前8世紀前後の北メソポタミアにおける玉座;ウラルトゥの玉座/アッシリア-ウラルトゥの玉座の特徴/天空側と天下側・玉座からの視線など

松島英子、「天空と人間-古代メソポタミアの場合」、同上、pp.513-524
『エタナ叙事詩』/天上界と人間界/異なる視点から、など

松島英子、「メソポタミアの天空観と神話」、『アジア遊学』、no.121、2009.4、「特集・天空の神話学」、pp.36-45
メソポタミア文化の特色-複合文化/宇宙の開闢と構造/天体と神々/天空の神々、地上の人間/天に刻まれる神々のメッセージ/叙事詩『エッラとイシュム』について/占星術とその影響など

松島英子、「メソポタミアの霊魂観」、『アジア遊学 128 古代世界の霊魂観』、勉誠出版、2009.12、pp.23-32
メソポタミアの文化・シュメールとアッカド(=バビロニア・アッシリア)//
自然と霊魂;神々と自然の要素/水の霊力/動物/ラマ/ラマッスほか//
人と霊魂・人間の成り立ち//死後の世界//死者の「帰還」と慰撫など


エドワード・ケーシー、江川隆男・堂囿俊彦・大﨑晴美・宮川弘美・井原健一郎訳、『場所の運命』、2008、pp.45-78:第Ⅰ部第2章「母胎を支配する - 『エヌマ・エリシュ』とプラトンの『ティマイオス』」+註 pp.602-591

月本昭男、『古代メソポタミアの神話と儀礼』、岩波書店、2010
神話世界;創成神話/神々の死-アヌ殺害の場合/冥界をめぐる神話と儀礼-『イシュタルの冥界下り』を中心に/古代メソポタミアの神話世界から見たグノーシス創成神話//
宗教儀礼;王権と宗教儀礼/呪と医と信/埋葬儀礼と死者供養/卜占の論理-鳥卜占を中心として//
文学と預言;『ギルガメシュ叙事詩』の可能性/イシュタルの誘惑/預言と預言文書/いわゆる「アッカド語預言」についてなど、
400ページ。

 本書の書評→
柴田大輔、『宗教研究』、vol.84 no.3、2010.12.30、pp.767-774 [ < CiNii Articles


MIHO MUSEUM編、アンソニー・グリーン監修、『メソポタミアの神々と空想動物(MUSEAE JAPONICA 12)』、山川出版社、2012
Jeremy Black and Anthony Green, An Illustrated Dictionary. Gods, Demons and Symbols of Ancient Mesopotamia, 1992 を「専門的な内容も多いので省略改編し、アルファベット順ではなくジャンル別にした」もの(p.1)。
メソポタミアの神々;世界の始まり 創造の神々、天体の神々、農耕狩猟の神々/母神と人間の創造 母神、英雄たち/死後の世界 地下世界の神々/個人神・守護神 個人神・守護神、神々の生活//
シンボル//精霊・悪霊・空想動物//
宗教儀礼;神殿と供物/祭儀と呪術//
美術館・博物館紹介//コラムなど、
148ページ。


 表紙側見返しには「シュメール人の宇宙」の図解が掲載されています。

 また→こちらで p.21 の「運命の粘土板『メ』」の項目について少し触れています:「言葉、文字、記憶術・結合術、書物(天の書)」の頁の「本・書物(天の書)

三津間康幸、「『バビロン天文日誌』にみる占星術と天文学の関係」、鶴岡賀雄・深澤英隆編、『スピリチュアリティの宗教史[下巻] 宗教史学論叢 16』、リトン、2012、pp.35-51
日誌の形式と内容/日誌の作成者たち/日誌と「ホロスコープ」との関係

岡田明憲、「マリの予言書」、「熱病と頭痛の予言集」、藤巻一保・岡田明憲、『東洋秘教書大全』、学研パブリッシング、2012、pp.358-365

 メソポタミア以外の地域も含みますが;

小林登志子、『古代オリエントの神々 文明の興亡と宗教の起源』(中公新書 2523)、中央公論新社、2019
序章 神々が共存する世界 - 古代オリエント史の流れの中で;先史時代には/歴史時代にはいると/前2000年紀になると/前1000年紀になると/ヘレニズム時代にはいると//
煌く太陽神、霞む太陽神;太陽神とは/ウトゥ神 - 正義を司る太陽神/アテン神 - 異端の太陽神/ミトラス神 - 変容した太陽神//
地母神が支配する世界;地母神とは/処女なるイナンナ女神/クバウ女王、クババ女神そしてキュベレ女神/ブランコ奇譚//
死んで復活する神々;冥界と冥界神/『ギルガメシュ叙事詩』よりも『シヌヘの物語』/死んで復活するさまざまな神々/ぶどうの木の神、ニンギュジダ神/真の子、ドゥムジ神//
神々の王の履歴書;神々の王とは/ニンギルス神 - ラガシュ市の都市神/エンリル神 - シュメル・アッカドの最高神/天候神 - 天水農耕地帯の最高神/ヤハウェ - イスラエルの神/マルドゥク神、最高神に成長/移動するマルドゥク神像/「ベル」マルドゥク神/アッシュル神 - アッシュル市の神格化/大きくなったマルドゥク神像//
終章 「アブラハムの宗教」が対立する世界など、
334ページ。

 ウェブ上で出くわしたものから;

冨樫乕一、「古代メソポタミアの神々の系譜-シュメールからバビロニアへの歩みをみる-」、『オリエント』、vol.18 no.1、1975、pp.109-122,167 [ < J-STAGE

柴田大輔、「古代メソポタミアにおける混成獣グループ(ティアーマトの被造物)  マルドゥク神学構築と転用のための戦略的手段」、『東京大学宗教学年報』、no.16、1998、pp.73-95 [ < 東京大学学術機関リポジトリ

柴田大輔、「古代メソポタミアにおける神名の解釈学-シュメル語シュイラ祈祷 ur-sag úru ur4-ur4「勇士, 逆巻く洪水」におけるマルドゥクの名前と称号-」、『オリエント』、vol.49 no.2、2006、pp.22-39 [ < J-STAGE

桑原俊一、「古代メソポタミア文学における冥界 : 古代ギリシア・ローマの冥界観を視座に」、『北海学園大学人文論集』、no.23・24、2003.3.31、pp.65-86 [ < 北海学園学術情報リポジトリ(HOKUGA)

桑原俊一、「シュメール文学概説 : 冥界にかかわる作品(1)」、『北海学園大学人文論集』、no.26・27、2004.3.31、pp.17-41 [ < 北海学園学術情報リポジトリ(HOKUGA)

桑原俊一、「創世神話の系譜 : 古代メソポタミアの資料から(1)」、『北海学園大学人文論集』、no.31、2005.7.29、pp.1-19 [ < 北海学園学術情報リポジトリ(HOKUGA)

 同、    「創世神話の系譜 : 古代メソポタミアの資料から(2)」、『北海学園大学人文論集』、no.36、2007.3.31、pp.63-83 [ < 同上 ]

 同、    「創世神話の系譜 : 古代メソポタミアの資料から(3)」、『北海学園大学人文論集』、no.39、2008.3、pp.175-197 [ < 同上 ]

松島英子、「メソポタミアにおける文字と思考についての一考察」、『法政大学キャリアデザイン学部紀要』、no.3、2006.03、pp.257-275 [ < CiNii Articles

松島英子、「古代メソポタミアにおける特定の数字の取り扱いについて」、『法政大学キャリアデザイン学部紀要』、no.4、2007.03、pp.213-226 [ < CiNii Articles

松島英子、「マルドゥク神のキャリア形成 -叙事詩『エヌーマ・エリシュ』から-」、『法政大学キャリアデザイン学部紀要』、no.5、2008.03、pp.265-278 [ < CiNii Articles

松島英子、「メソポタミアにおける文字と思考についての一考察」、『法政大学キャリアデザイン学部紀要』、no.3、2006.03、pp.257-275 [ < CiNii Articles

松島英子、「古代メソポタミアの人々にとっての光と闇」、『法政大学キャリアデザイン学部紀要』、no.7、2010.03、pp.21-35 [ < CiNii Articles

佐々木光俊、「ワシの力 - エタナ物語とその背景」、『千葉経済論叢 』、no.4、2011.12.30、pp.29-64 [ < CiNii Articles 

 科学史・天文学史的な視点からは;

マルグリット・リュッタン、矢島文夫訳、『バビロニアの科学』(文庫クセジュ 316)、白水社、1962
原著は Margueritte Rutten, La science des chaldéens, 1960
古代バビロニア人の『思想』-『カルデア人』の遺産;先駆者たち/思想の表現/選良階級の形成/もろもろの信条/運命に対する闘争の構成/もろもろの方法//
知るということ-諸科学の誕生;時制と暦法の組織化/占星術/数学など、
162ページ。


矢島文夫、「オリエントの知的伝統と東地中海世界-星学的知識の西方伝播を中心に-」、『思想』、no.661、1979.7、pp.42-57

矢島文夫、『占星術の誕生』(オリエント選書 5)、東京新聞出版局、1980
オリエント宗教と天体神/カルデア人の科学/十二宮占星術の起源/十二宮占星術の展開/占星術的思考//「天の牛」神話の起源/西暦176年のホロスコープ/若干の古代占星術家についてなど、
182ページ。


O.ノイゲバウアー、『古代人の精密科学』、1984、pp.89-132:「第5章 バビロニアの天文学」

アンドレ・ピショ、『科学の誕生(上) 古代オリエント』、1995

 第1章メソポタミアに「宇宙論、天文学、暦法」(pp.101-1361)の節があります。
 第1章の他の目次は;
メソポタミア;歴史/技術/文字/記数法/度量衡/数学(算術-一般的知識、算術問題と代数問題、幾何学-一般的知識、ピュタゴラスの定理、メソポタミア数学の評価)/医学/結論など


ジョン・ブリトン、クリストファー・ウォーカー、「メソポタミアの天文学と占星術」、『望遠鏡以前の天文学 -古代からケプラーまで』、2008、pp.27-60
暦/時間計測/宇宙論、星座、獣帯(黄道12宮/前1000年紀のバビロニアの観測記録/バビロニアの科学的天文学/数学的道具 周期関係、直線ジグザグ関数(システムB)、ステップ関数(システムA)/理論 月の理論、惑星の理論/歴史的発展/まとめなど

近藤二郎、『わかってきた星座神話の起源 古代メソポタミアの星座』、誠文堂新光社、2010
天文学発祥の地メソポタミア/黄道十二宮の星座/北天の星座/南天の星座・黄道十二宮以外の星座/古代メソポタミアの天体観測/古代メソポタミアからギリシア、アラビアへなど、
192ページ。

 → 同じ著者によるこちらも参照:「エジプト」の頁の「科学史・天文学史的な視点から


三津間康幸、「『バビロン天文日誌』と未来予知学」、『未来哲学』、第1号、2020.11.25、pp.115-125 

 事典類として;

ピョートル・ビエンコウスキ、アラン・ミラード編著、池田裕・山田重郎翻訳監修、池田潤・山田恵子・山田雅道訳、『大英博物館版 図説古代オリエント事典』、東洋書林、2004
原著は Piotr Bienkowski and Aalan Millard ed., Dictionary of the Ancient Near East, 2000
 あいうえお順、
 592ページ。

 「本書で使用されている古代オリエント
(Ancient Near East)という言葉の定義は、大英博物館で用いられている定義にしたがい、メソポタミア、イラン、アナトリア、コーカサス、レヴァント、アラビアを含む」とのこと(「はじめに」、p.v)。

日本オリエント学会編、『古代オリエント事典』、岩波書店、2004
総論・付編(pp.3-279)/事典(あいうえお順、pp.281-820)/付録(pp.823-945);王名一覧、関係地図、参考文献など、
1017ページ。

 「時代的には、先史時代からイスラーム以前まで、地域的には、イラン、メソポタミア、アナトリア、シリア・パレスティナ、アラビア、エジプトを扱」うとのこと(「はじめに」、p.iii)。

Maurice Lambert, ‘La naissance du monde à Sumer’, La naissance du monde. Sources orientales Ⅰ, 1959, pp.93-113.
「シュメールにおける世界の始まり」
国/シュメールの大神たち/宇宙開闢論の断片/ディルムンの神話など

Paul Garelli et Marcel Leibovici, ‘La naissance du monde selon Akkad’, La naissance du monde. Sources orientales Ⅰ, 1959, pp.115-152.
「アッカドによる世界の始まり」
バビロニアの創造の詩/二次的な宇宙開闢論//エヌマ・エリシュのテクスト/さまざまな宇宙開闢論のテクストなど


Wayne Horowitz, ‘Mesopotamian Accounts of Creation’, Encyclopedia of Cosmology. Historical, Philosophical, and Scientific Foundations of Modern Cosmology, 1993, pp.387-397
「メソポタミアの創造説話」
メソポタミア的宇宙の歴史/前3000期のシュメールにおける創造の記述/マルドゥクによる宇宙の構築/アッカドにおける他の創造の記述/空の組織化など。


Francesca Rochberg-Halton, ‘Mesopotamian Cosmology’, Encyclopedia of Cosmology. Historical, Philosophical, and Scientific Foundations of Modern Cosmology, 1993, pp.398-407 / Cosmology. Historical, Literary, Philosophical, Religious, and Scientific Perspectives, 1993 / 2008, pp.37-52
「メソポタミアの宇宙論」
神話と神学/宇宙誌/宇宙/初期バビロニア天文学の影響など。

Gerald P. Verbrugghe & John M. Wickersham, Berossos and Manetho, Introduced and Translated. Native Traditions in Ancient Mesopotamia and Egypt, The University of Michigan Press, 1996/2001
『ベロッソスとマネトーン 序論と翻訳 古代メソポタミアぴょびエジプト現地の伝承』
一般的導入部//
ベロッソスへの導入/古代の証言/断片/表//
マネトーンへの導入/古代の証言/断片/偽マネトーン:古代の証言と断片/表など、250ページ。

 なお、 サイト
Βάρβαροι! (Barbaroi!) 中の「ベーローッソス断片集」および「マネトーン断片集」に日本語訳が掲載されています。[ < Βάρβαροι! (Barbaroi!)
 マネトーン(マネト)に関わって→こちらも参照:「エジプト」の頁の「おまけ

Wayne Horowitz, Mesopotamian Cosmic Geography, Eisenbrauns, Winona Lake, Indiana, 1998
『メソポタミアの宇宙的地誌』
メソポタミアの宇宙的地誌のための典拠;宇宙の諸平面:KAR 307 30-38と AO 8196 iv 20-22/「バビロニアの世界地図」/エタナと鷲の諸天への飛行/サルゴン地誌/ギルガメシュと大地の表面の遠隔の区域/創造の記述における宇宙的地誌/空の地誌:「アストロラーベ」、ムル=アピンと関連テクスト/BagM. Beih. 2 no.98 と羅針盤の方位/「七つの天と七つの地」//
宇宙の諸区域;諸天の名称/諸天の地誌::アッカドの文献における至高天、中間の天、シュメールの文献における至高天の証拠、至高天の地誌、天界における神のすみか、可視天(空)、諸天の組成、諸天の大きさ、諸天の形、諸天の紐帯、天の門
/大地の名称/大地の地誌:大地の諸平面、大陸、地表の四地域、海、海の向こうの地域と地表の果て、アプスー、冥界など、
454ページ。


 →こちら(〈天の星々の銘板〉に関連して;「言葉、文字、記憶術・結合術、書物(天の書)など」の頁の「本・書物(天の書))」や、またそちら(〈世界の果ての山〉に関連して;「イスラーム Ⅲ」の頁の「x. クジャタ、バハムート、ファラク、その他」)で少し触れています。。

おまけ

 メソポタミアに材を得たフィクションとしては、エジプトのページでも記したように、

長岡良子、『ナイルのほとりの物語』、1993-1998

 の第9巻から最終巻までの「VOL.17 天空の神話」で主人公たちは、エジプトからメソポタミアへと時間を超えて旅します。

 その他、

A.メリット、荒俣宏訳、『イシュタルの船』(ハヤカワ文庫FT 39)、早川書店、1982
原著は
Abraham Merritt, The Ship of Ishtar, 1924

中島敦、「文字禍」、『中島敦全集 1』(ちくま文庫 な 14-1)、筑摩書房、1993、pp.39-49

 4篇からなる「古譚」中の一。初出は1942

 「木乃伊(ミイラ)」ともども、この短篇について知ったのは澁澤龍彦、『思考の紋章学』、1977、「円環の渇き」ででした(p.203 )。
 →こちらにも挙げておきます:「言葉、文字、記憶術・結合術、書物(天の書)など」の頁の「おまけ
 また同じ著者による→そちらを参照:「エジプト」の頁の「おまけ


エドモンド・ハミルトン、中村融訳、「蛇の女神」、『眠れる人の島』、2005、pp.9-57
原著は Edmond Hamilton, "Serpent Princess", 1948

石ノ森章太郎、『ギルガメッシュ』(全4巻)(竹書房文庫)、竹書房、1996

 連載は1976-1977
 TVアニメ化もされていますが(2003.10-'04.3、監督;むらた雅彦)、物語は別ものになっていました。


石ノ森章太郎、「イシュタルの(シルシュ)編」、『サイボーグ009 15 失われし伝説編』(秋田文庫 5-15)、秋田書店、1995
 初出は1980

 石ノ森章太郎について→こちらも参照:「近代など(20世紀~ ) Ⅵ」の頁中


菊地秀行、『魔宮バビロン(魔界都市〈新宿〉)』(ソノラマ文庫 423)、朝日ソノラマ、1988

 同じ著者による→こちらを参照:「近代など(20世紀~ ) Ⅵ」の頁中

たきぐちけいこ、『ネブカドネザル 運命の輪』(ル・コミックス)、東京三世社、1992

篠田真由美、『イシュタルの子』(廣済堂文庫 784 し10-1)、廣済堂出版、1999

 →こちらにも挙げました:「エジプト」の頁の「おまけ
 同じ著者による→そちら(「ルネサンス、マニエリスムなど(15~16世紀)」の頁の「おまけ」)やあちら(「天使、悪魔など」の頁の「おまけ」)、またここ(『たたり』(1963)の頁の「おまけ」」)や、そこ(『赤い影』(1973)の頁の「おまけ」)を参照


諸星大二郎、「ギルガメシュの物語」、『巨人譚』(光文社コミック叢書 SIGNAL)、光文社、2008、pp.11-60

 諸星大二郎について→こちらも参照:「近代など(20世紀~ ) Ⅵ」の頁中

Simon, Necronomicon, Avon Books, New York, 1977/1980
『ネクロノミコン』

 「クスルウー神話をシュメール=バビロニア神話と結びつけようとする試み」、ロバート・M・プライス、小林勇次訳、「高等批評と『
死霊秘法(ネクロノミコン)』」、『定本ラヴクラフト全集 7-1』、国書刊行会、1985、p.297。
 →こちらでも触れました:『襲い狂う呪い』(1965)の頁の「Cf.
 ラヴクラフトとクトゥルー神話について→そちらを参照:「近代など(20世紀~ ) Ⅳ」の頁中(→あちらにも挙げておきます:同頁中

 ちなみに、音楽方面では、

Rainbow, Gates of Babylon, 1978 (邦題:レインボー、『バビロンの城門』)

 のタイトル曲がすぐ思い浮かびますが、また、
 
魔方陣、『組曲(バビロニア)』、録音:1978、発売:1991

 も忘れずにおきましょう。志賀敦(オルガン、ピアノ、シンセサイザー、メロトロン)、岡田やすし(ベイス)、菅野詩朗(ドラムス)からなるトリオで、
「志賀のジャージーなオルガン・プレイと雄大なメロトロンを中心としたキャラバンなどのカンタベリー系のプログレッシヴ・ロック」(
Numero Ueno、ライナー・ノーツ)
と形容されています(1)。
 手もとにあるのはCDですが、LPならA面にあたるのが
「バビロニア」組曲で、
a) イントロダクション、
b) ニューバビロンⅠ、
c) ニューバビロンⅡ、
d) 最終都市B.C.538、
e) エピローグ
 の5部構成。B面も
2. キャリオット、
3. バベルの塔、
4. フェスティバル
 と、オール・インストゥルメンタルなので意味づけはわかりませんが、タイトルからするとつながっていそうです。
 なおカヴァーには、レメディオス・バロの《螺旋の運航》(1962)と《精神分析医の治療を終えた女》(1960)が組みあわせて用いられています。
1. ヌメロ・ウエノ、たかみひろし、『ヒストリー・オブ・ジャップス・プログレッシヴ・ロック』、マーキームーン社、1994、pp.188-189も参照。
レメディオス・バロ、 《螺旋の運航》、 1962
レメディオス・バロ
《螺旋の運航》
1962


レメディオス・バロ、 《精神分析医の治療を終えた女》、 1960
レメディオス・バロ
《精神分析医の治療を終えた女》
1960


* 画像をクリックすると、拡大画像とデータが表示されます
こちらも参照:「図像、図形、色彩、音楽、建築など」の頁の「おまけ

 バビロンないしバビロニアというのは、どうしても聖書経由の視線になってしまうようで、アフロディテズ・チャイルドの『666』(1972→こちら:「キリスト教(古代および東方正教会)」の頁の「おまけ」)の冒頭、サウンド・エフェクトの「システム」に続く「バビロン」もそうした範疇に含まれるのでしょう。

 それはともかく;

Amon Düül Ⅱ, Carnival in Babylon, 1972 (邦題:アモン・デュールⅡ、『バビロンの祭り』)(2)

 Ⅱになってから4枚目。洗練よりは粗放さを選択しつつ、物語性に富み、サイケデリックなフォーク・ロックといった感じでしょうか。
2. 『ジャーマン・ロック集成 ユーロ・ロック集成2』、マーキームーン社、1994、p.45。
 小柳カヲル、『クラウトロック大全』(ele-king books)、Pヴァイン、2014、p.147。
 →こちら(「アフリカ」の頁の「おまけ」)や、またあちら(「近代など(20世紀~) Ⅳ」の頁の「おまけ」)も参照
 さらに、グループ名だけかもしれませんが;

Semiramis, Dedicato a Frazz, 1973(邦題:セミラミス、『フラッツに捧ぐ』)(3)

 めまぐるしい展開がつねに情調に浸されているという、いかにもイタリアのプログレらしい音をしていました。
3. 『ユーロ・ロック集成』、マーキームーン社、1987/90、p.51。
 『イタリアン・ロック集成 ユーロ・ロック集成1』、マーキームーン社、1993、p.108。
 5. 「ミケーリ・ザリッロ イタリアン・ロックの生き字引に訊く」、『ユーロ・ロック・プレス』、vol.2、1999.8、p.96。
 片山伸監修、『ユーロ・プログレッシヴ・ロック The DIG Presents Disc Guide Series #018』、シンコーミュージック、2004、p.76。
 アウグスト・クローチェ、宮坂聖一訳、『イタリアン・プログ・ロック イタリアン・プログレッシヴ・ロック総合ガイド(1967年-1979年)』、マーキー・インコーポレイティド、2009、pp.459-460。
 岩本晃一郎監修、『イタリアン・プログレッシヴ・ロック(100 MASTERPIECE ALBUMS VOL.1)』、日興企画、2011、p.119。
Gilgamesh, Gilgamesh, 1975 (4)

というグループもいましたが、未聴。
追補:聴く機会がありました。上の1枚目と2枚目、

Gilgamesh, Another Fine Tune You've Got Me into, 1978

1枚目の数曲にスキャットが入る以外はすべて器楽曲で、タイトルからも伝説の王との関連はうかがえません。ともあれ2枚とも典型的なカンタベリー系ジャズ・ロックです。
 ちなみに2枚目のジャケットはブレイクの《蚤の幽霊》(1819-20年頃、テイト・ギャラリー)です。ブレイクについて→こちらも参照:「ロココ、啓蒙思想など(18世紀)」の頁の「v. ブレイクなど」。
4. 大鷹俊一監修、『ヤング・パーソンズ・ガイド・トゥ・プログレッシヴ・ロック』、音楽之友社、1999、p.30。
 松井巧監修、『カンタベリー・ミュージック(Artists & Disc File Series Vol.5)』(ストレンジ・デイズ12月号増刊)、2004、pp.132-133。
 松井巧監修、『ジャズ・ロック The DIG Presents Disc Guide Series #035』、シンコーミュージック、2008、pp.57-58。
 大鷹俊一監修、『レコード・コレクターズ増刊 プログレッシヴ・ロック』、2010、p.123。

Minimal Compact, One by One, 1982 (5)

 イスラエル人3人にドイツ人1人のバンドのLP1枚目、B面1曲目が"Babylonian Tower"、3分30秒。
 同じバンドの別の曲→こちらを参照(「近代など(20世紀~) Ⅴ」の頁の「アーサー・C・クラーク」の項)。
5. 阿木譲、『イコノスタシス』、impetus、1984、p.127。

 「バビロニアないしバビロンの塔」というのはバベルの塔のことなのでしょう。と来ると→そちら(「近代など(20世紀~) Ⅴ」の頁の「テッド・チャン」の項)や、→あちら(「怪奇城の外濠 Ⅲ」の頁の「おまけ」)とともに思いだされるのが(→あちらの2:「怪奇城の外濠 Ⅱ」の頁の「塔など」も参照)、

Steve Hackett, Voyage of the Acolyte, 1975 (邦題:スティーヴ・ハケット『侍祭の旅/スティーヴ・ハケット・ソロ』)(6)

 ソロ1枚目、A面3曲目が"A Tower Struck down"(「タワー・ストラック・ダウン」)、3分29 秒、器楽曲。
 この曲は

Steve Hackett, Genesis Revisited II, 2012(7) 

 でも演奏されました。2枚組の2枚目、9曲目、4分45秒。
6. 深見淳・松崎正秀監修、『UKプログレッシヴ・ロック メインストリーム・エディション~The Golden Era』(THE DIG presents Disc Guide Series #017)、シンコーミュージック、2004、p.33。
 『ジェネシス』(SHINKO MUSIC MOOK. THE DIG Special Edition)、シンコーミュージック・エンターテイメント、2014、pp.177-178。
 『ジェネシス 眩惑のシンフォニック・ロック』(文藝別冊 KAWADE 夢ムック)、河出書房新社、2016、p.249。
 スティーヴ・ハケット、上西園誠訳、『スティーヴ・ハケット自伝 ジェネシス・イン・マイ・ベッド』、シンコーミュージック・エンタテイメント、2021、pp.176-182。
 ハケットの別の曲→あちら(『レベッカ』(1940)の頁の「おまけ」)や、→ここ(『ノーサンガー・アベイ』(1987)の頁の「おまけ」)、また→そこ(『吸血鬼』(1931)の頁の「おまけ」)を参照


7. 註6前掲『ジェネシス 眩惑のシンフォニック・ロック』、2016、p.254。
 註6前掲スティーヴ・ハケット、『スティーヴ・ハケット自伝 ジェネシス・イン・マイ・ベッド』、2021、pp.269-270。

News from Babel, Sirens and Silences / Work Resumed on the Tower, 1984(8)

 バンド名とともに、1枚目のB面全体が
Work Resumed on the Tower で、
"Arcades (of Glass)"
、7分44秒、
"Victory" 、5分19秒、
"Anno Mirabilis" 、4分08秒、
の3曲からなります(手もとのあるのは2枚目Letters Home (1986) と合わせた版)。
  
8.『オール・アバウト・チェンバー・ロック&アヴァンギャルド・ミュージック』、マーキー・インコーポレイティド株式会社、2014、p.34。
 同じアルバムから→こちらも参照:「近代など(20世紀~ ) Ⅱ」の頁の「おまけ

Septicflesh, Communion, 2008

 ギリシアのシンフォニック・デス・メタル・バンド、7枚目の4曲目が "Babel's Gate"、2分57秒。
 同じアルバムから→こちら(「近代など(20世紀~) Ⅳ」の頁の「おまけ」)を参照
 再び日本のグループ;

月比古、『弦は呪縛の指で鳴る』、2005(9)

 の1曲目;「メソポタミア」
9. 『ユーロロックプレス』、vol.27、2005.11、pp.10-11。

『ギルガメッシュ叙事詩を大幅に偽装して縮小した、フナー・ラウスの局長のちょっとした歌、またはこの名付け難い小さなほうき』、1985、監督:クエイ兄弟(10)

 予定されていた52分の作品は製作されなかったとのことで、この11分12秒のパイロット版は、ギルガメッシュがエンキドゥを捕獲するくだりに基づいています。
10. 『クエイ兄弟 ファントム・ミュージアム』、神奈川県立近代美術館/求龍堂、2016、pp.48-51。
 →こちらも参照(ベックリーン《死の島(第3ヴァージョン)(1883)の頁の「おまけ」)、またそちら:「ホワイト・キューブ以前の展示風景」の頁の「追記の4
2013/05/05 以後、随時修正・追補 
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