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vi. 道教など

 道教をどう定義するかに関しては、いろいろと議論があるようですが、それはさておき、道教といえば思い浮かぶ煉丹術・錬金術との結びつきについて、分別できるものは次項に送るとして、宇宙論の領域で興味深い理念の一つに、〈開劫度人説〉というのがあります。この点を教えてくれたのは、後掲


古藤友子、「道教の世界と神々」、『別冊歴史読本 特別増刊 《これ一冊でまるごとわかる》シリーズ⑧ 「道教」の大事典』、1994、pp.16-27

 の末尾で(pp.26-27)で、後で、すでに読んでいたはずの後掲

吉岡義豊、『永生への願い 道教 世界の宗教 9』、1970、pp.115-117

 や、

窪徳忠、『道教史 世界宗教史叢書 9』、山川出版社、1977、pp.213-215
 (手もとにあるのは前後のコピーのみ)

 にも記されていたことに気づくというわけですが、ともあれ古藤論文の末尾に記された文献からたどって、

神塚淑子、「開劫度人説の形成」、『六朝道教思想の研究』、1999、pp.361-414
(緯書の天地観/「太平の気」「道炁」の到来と天地再生/劫運思想の成立/河図洛書/石室の道経/天宮の道経/開劫度人説の成立など)

 でまとまった記述を読むことができたのでした。
 ちなみに同書では続けて、


「付章 空海の文字観 - 六朝宗教思想との関連性 -」、同上、pp.415-439
(「自然の文」/六朝仏教の文字論/六朝道教の文字論など)

 が掲載されています。空海については→こちら:「仏教 Ⅱ」の頁の「v. 仏身論、密教など

 なお、〈開劫度人説〉は、『隋書』巻三十五経籍志の道経の部の冒頭に記されているもので、〈開劫〉とは〈天地の循環的再生説〉、〈度人説〉とは〈天書出現による救済説〉とのこと(pp.361-362)。→こちら(「言葉、文字、記憶術・結合術、書物(天の書)など」の頁の冒頭)や、あちら(同じ頁の「本・書物(天の書)」の項)も参照

 追補 続篇がありました;

神塚淑子、「霊宝経における経典神聖化の論理 - 元始旧経の『開劫度人』説をめぐって -」、『道教経典の形成と仏教』、2017、pp.36-73+注 pp.512-516
「元始旧経」の構想と「開劫度人」説/上清経から霊宝経へ - 『元始五老赤書玉篇真文天書経』/「出法度人」と阿久曽の物語 - 『太上洞玄霊宝赤書玉訣妙経』/「開劫度人」説と死者救済 - 『太上霊宝諸天内音自然玉字』/天尊の「過去」と斎戒 - 『太上洞玄霊宝智慧罪根上品大戒経』と『太上諸天霊書度命妙経』

 また;

神塚淑子、『道教思想10講』、2020、pp.85-105:「第5講 神格と救済思想 - 自己救済から他者救済へ」
道教における救済/罪の蓄積 - 『太平経』の承負の思想/「太平の気」の到来による救済/救世主としての老子 - 『老子変化経』/「道」による救済 - 『神呪経』/元始天尊による救済 - 天地の再生と救済の思想(開劫度人説/死者救済の思想と儀礼)

 同書「第9講 道教と文学・芸術」中の pp.191-195 も参照

 もどって『隋書』巻三十五経籍志の道経の部については;

興膳宏、「隋書経籍志道経序の道教教理 : 特に無上秘要との関連について」、『京都大學文學部研究紀要』、no.32、1999.3.31、pp.1-44 [ < 京都大学学術情報リポジトリ(KURENAI) ]

 また

土屋昌明、「道教美術にみえる文字の問題」、『道教美術の可能性 アジア遊学 133』、2010

土屋昌明、「唐代道教の文字観 - 『雲笈七籤』巻7訳注研究」、2011

三浦國雄、「文字の根源へ 道教のおふだ」、『宇宙を駆ける知 天文・易・道教 知のユーラシア 4』、2014

 なども参照

 救済者の周期的出現というテーマに関しては、また;

菊地章太、『老子神化 道教の哲学』(シリーズ 道教の世界 3)、春秋社、2002
谷神は死なず;プロローグ 『老子』と道教/『老子』を読む/しいたげられたものの思想//
関を出る;『史記』老子伝を読む/自由の境地へ//
天地に先立つ者;「老子銘」を読む/信仰への歩み//
危険な神;『老子変化経』を読む/誰のために?/抵抗と挫折/エピローグ 「道」を実現するもの、など、
222ページ。

 後掲の楠山春樹、『老子傳説の研究』(1979)も参照


 道教の天界論に関して;

麥谷邦夫、「道教における天界説の諸相 ― 道教教理体系化の試みとの関連で -」、『東洋学術研究』、27別冊、1988、pp.54-73 [ < 東洋哲学研究所 論文BOX

 →こちらで少し触れています(「世界の複数性など」の頁
 →そちらに収録:本頁本項下掲の麥谷邦夫『六朝隋唐道教思想研究』(2018)
 後掲の田中文雄、『仙境往来 神界と聖地』(2002)も参照

 また

垣内智之、「道教の九天」、『宇宙を駆ける知 天文・易・道教 知のユーラシア 4』、2014、pp.123-148
遙か彼方の国/三十六天/九天の呼称/九天の気

神塚淑子、『道教思想10講』、2020、pp.67-83:「第4講 宇宙論 - 目に見える世界を超えて」
「道→元気→天地→万物」の生成論/神学的生成論 - 「気」と神格/天界説/地上の仙境 - 洞天の世界/鬼の世界/仙人鬼三部世界観
………………………

小柳司氣太・飯島忠夫譯、『道教聖典 世界聖典全集 後輯第二巻』、世界聖典全集刊行會、1923
太上感應篇/陰騭文/功過格輯要(巻一~十六)/覺世眞經/抱朴子内篇(巻一~二十)など、
364ページ。


小柳司氣太、「道敎要論」、『大思想エンサイクロペヂア 7 宗敎思潮**』、1930、pp.33-78
道敎研究の必要/支那古代の宗敎思想と鬼神/精霊霊魂と咒術及び巫祝/陰陽五行説/支那古代の學藝と漢書の藝文志/道敎の實質と要素/神仙道/道敎の開創及び經過/道敎に崇拝せらるる神//
道敎の經典;總敍/道藏中の重要な書物/民衆的の道敎經典 太上感應篇、陰騭文、功過格及び其他


吉岡義豊、『道教經典史論』、道教刊行会、1955
道藏編纂史;六朝における道藏の形成 經目と經典/陸修靜と六朝道經目録/六朝道經の傳承系譜//
  隋唐時代の道藏 隋代の道藏について/唐代の道藏について//
  五代及び宋の道藏 附金元以後の道藏 五代の道藏/宋代の道藏/金元以後の道藏//
經典の研究;六朝の圖讖道經-太上洞淵神呪經について-/敦煌發見「無上秘要」殘巻について/敦煌發見「三洞奉道科誡儀範」について//
古道經目録//跋(福井康順)など、
550ページ。


アンリ・マスペロ、川勝義雄訳、『道教』(東洋文庫 329)、平凡社、1978
中国六朝時代人の宗教信仰における道教;道士と不死の探求-肉体的な術-/精神の術-内観・冥想・神秘的合一-/道教の教会と信者の救済-制度と儀式-//
詩人嵇康と竹林七賢のつどい//
西暦初頭数世紀の道教に関する研究;序文-文献学的に-/個人の宗教生活と不死の探求 外面的宗教生活-実践と修行-、内面的宗教生活-神々および道士と神々との関係-/道教教団と一般大衆の信仰 黄巾時代の教団組織、集団的な祭りと儀式、死者のための儀式、集団的道教と個人的道教-神々の観念の進展-、張天師に関する附論/道教と、中国仏教のはじまり/附論-道家的宗教の起源と漢代までの発展に関する歴史的研究 荘子の時代の道家における不死の術と生の神秘的経験、秦漢時代の道教//
老子と荘子における聖人と生の神秘的体験//
[附録]道教の神々-いかにしてこれと交感するかなど、
398ページ。

 「本書は、今世紀前半のフランスにおけるシナ学の巨峰、アンリ・マスペロの《中国の宗教と歴史に関する遺稿》全三巻Henri Maspero, Mélanges posthumes sur les religions et l'histoire de la Chine. Publications du Musée Guimet, Bibliothèque de diffusion, tome LVII~LIX, 1950のうち、第二巻にあたる Le Taoïsme の訳であり、そのうしろに附録として、《遺稿》にのらなかったマスペロの講演『道教の神々-いかにしてこれと交感するか(Les dieux taoïstes: Comment on communique avec eux, dans Comptes rendues de l'Académie des Inscriptions et Belles-Lettres, 1937, pp.362-374)』の訳をつけ加えたもの」(p.362)。
 訳本はもと1966/1968刊
 同じ著者の→こちらも参照:本頁下掲の「vii. 煉丹術・錬金術、風水など


吉岡義豊、『永生への願い 道教 世界の宗教 9』、淡交社、1970
道教の理解;道教信仰の核/黄色の世界//
道教の成立と展開;道教の誕生/知識人の道教-仙道修行/道教教団の確立/教理の体系化/唐宋の王室と道教/新道経の出現とその末流/民衆の道教//
道教と道士の生活;道観と宗派/道士の生活/白雲観の体験//
道教のゆくえ;変貌する道教/民衆を支える道教のこころなど、
274ページ。


楠山春樹、『老子傳説の研究』(創文社東洋學叢書)、創文社、1979
老子河上公注の研究;先人の研究と私見/老子河上公注の二側面/河上公注の特殊相/河上公注の成立/河上公説話の形成/老子節解考/老子想爾注考//
老君傳の研究;展望と論點/老子神化の發祥/歴代化現説考/老君傳とその年代/函關における老君と尹喜-太上混元眞録錄を中心として/靑羊肆説話の檢討/化胡説話の諸相など、
496ページ。


窪徳忠、『道教百話』(講談社学術文庫 875)、講談社、1989
 原著は1982刊
道教とはなにか/道教の教学/道教の方術/道教の医術/道教の倫理/道教の変遷など、
300ページ。


窪徳忠、『道教の神々』、平河出版社、1986
道教とは;道教の現状/道教の内容と宗派//
神々たち;生活と神々/神々の素性など、
352ページ。

福永光司、『道教思想史研究』、岩波書店、1987
道教における鏡と剣-その思想の源流-/道教における天神の降臨授誡-その思想と信仰の源流/昊天上帝と天皇大帝と元始大尊-儒教の最高神と道教の最高神-/中国における天地崩壊の思想-阮籍の「大人先生歌」と杜甫の「登慈恩寺塔詩」によせて-/墨子の思想と道教-中国古代思想における有神論の系譜-/封禅説の形成-封禅の祭祀と神僊思想-/『大人賦』の思想的系譜-辞賦の文学と老荘の哲学-/劉向と神仙-前漢末期における神仙道教的世界-/王羲之の思想と生活/顔真卿の書藝術と道教/儒道仏三教交渉における「気」の思想/北宋の太宗の『御製逍遥詠』における「道」の教/天皇と紫宮と真人-中国古代の神道-/鬼道と神道と真道と聖道-道教の思想史的研究-/道教とは何か/道教について-再び「道教とは何か」の問いに答える-/(付)道教思想史研究覚書など、
510ページ。


砂山稔、『隋唐道教思想史研究』、平河出版社、1990
南北朝以前の道教;道教と老子 老子観の変遷と老子注/李弘から寇謙之へ 西暦四・五世紀における宗教的反乱と国家宗教/陶弘景の思想について その仙道理論を中心に/宇文逌の『道教実花序』について 北周武帝の『無上秘要』との関連を通じて//
隋唐時代の道教思想;道教と隋唐の歴史・社会 社会各階層と道教、及び道教教団の系譜について/道教重玄派表微 隋・初唐における道教の一系譜/『太玄真一本際経』の思想について 身相・方便・重玄を中心に/『本際経』のテキスト問題について 『本際経』の異称と巻九・巻十の連続問題/成玄英の思想について 重玄と無為を中心として/『霊宝度人経』四注の成立と各注の思想について 『度人経』解釈と重玄派/『海空経』の思想とその著者について 七宝荘厳・十転の思想と益州至真観主黎君碑を中心にして/「虚」の思想 初唐より盛唐に至る道家・道教思想史の一側面/韋応物と道教 真性・『真誥』・劉黄二尊師について/瞿童登仙考 中晩唐の士大夫と茅山派道教/李徳裕と道教 茅山派道教の宗師・孫智清との関わりを軸に/杜光庭の思想について 道徳・古今・寰瀛の中で、など、
482ページ。


小林正美、『六朝道敎史研究』(創文社東洋學叢書)、創文社、1990
葛氏道と靈寶經;葛氏道と上淸派/『太上靈寶五符序』の形成/『靈寶赤書五篇眞文』の思想と成立/靈寶經の形成//
天師道とその道典;東晉・劉宋期の天師道/『九天生神章經』/『河上眞人章句』 附 『老子道徳經序訣』/『老子想爾注』/「大道家令戒」/『上淸黄書過度儀』/『太上洞淵神呪經』と『女靑鬼律』と『太上正一呪鬼經』の成書年代について/『千二百官儀』の思想と成立//
道敎教理の形成;道敎の終末論/劉宋期の天師道の「三天」の思想とその形成/三敎交渉における「敎」の觀念など、
632ページ。


石井昌子、『真誥』(中国古典新書続編)、明徳出版社、1991
解説;道教思想の源流と陶弘景/陶弘景の伝記/『真誥』について//
本文;運題象篇/甄命授篇/協昌期篇/稽神枢篇/闡幽微篇/握真輔篇/翼真検篇など、
232ページ。

 後掲の 吉川忠夫・ 麥谷邦夫編、『眞誥研究(譯注篇)』 (2000.3.9)も参照


『道教の本 不老不死をめざす仙道呪術の世界 Books Esoterica 4』、学習研究社、1992
道教への招待(藤巻一保)//神仙の章;仙人列伝(諏訪良次)/道教の神々(庄野孝)//道の章;道教の歴史(池田侑理加)/道教の思想(北川聖美)//仙境 道教の楽園世界(樺戸諦)//不老長寿の章(不二龍彦)//方術の章(水上晋吾・吉田邦博)//日本の道教(豊島泰国)//【秘伝】霊符の呪法(本宮眞吾)など、
224ページ。


葛兆光、坂出祥伸監訳、大形徹・戸崎哲彦・山本敏雄訳、『道教と中国文化』、東方書店、1993
原著は;葛兆光(コー  チャオコワン)、『道教与中国文化』、1987
日本語版序言//
序;生きた宗教としての道教/道教の思惟方法/人欲に迎合した宗教/士大夫(したいふ)の文化と庶民文化/道教と文学の関係/本書の構成//
道教の世界観、儀礼、方術 小序//
  道教的宇宙観の形成と神秘化 - 同一起源、同一構造を持つ自然、社会、人は相互に感応する;神話的解釈/理性による解釈/中国的思惟 - 道/陰陽/五行/宇宙図式の展開/哲理から宗教へ/世界の生成過程/神々の登場//
  道教の神々 - その系譜と体系;原始人にとっての鬼神/初期道教の神譜/楚の神譜/老子の神格化/太一の信仰/道教の神譜の完成/膨大な数の神仙、鬼神//
  道教と方術(一) -斎醮、祝咒、符籙など;巫術/(さい)(しょう)の儀礼/呪文/符(ろく)/印、鏡、剣//
  道教と方術(二) -長生と煉丹;巫を信じて医を信ぜず/長生術/煉丹//
  道教の体系化と定形化 - 哲学、神譜、儀礼、方術;後漢末・三国時代の道教/道教の成熟/江南の巫術/道教にかかわる六朝時代士大夫/仏教の影響/中国的宗教としての道教//
道教史の概観 小序//
  初・盛唐期における道教熱 - 風流の時代と熱狂的信仰;道教の魅力と繁栄/道教の政権への接近/道教の官、民への浸透/道教宣伝の手練手管/道教の仏教からの借用と対立/道教の仏教思想借用による融合//
  唐宋文化の変遷と道教(一) - ()(げき)の活躍;安史の乱後の変化/唐代後期から宋代にかけての道教の盛衰/宋代における道教の再興/北宋の道教//
  唐宋文化の変遷と道教(二) - 士大夫道教の老荘、禅への傾斜;中唐という時代/中唐から北宋における過渡期的変化/中唐期における道教の変化/士大夫の接近と道教の変化/外丹から内丹へ//
  唐宋文化の変遷と道教(三) - 鬼神と封建倫理との融合;道教の倫理と戒律/北宋末の道教の世俗化/道教の三つの流れ//
  金朝と南宋の道教 - 第二の隆盛期;全真教とその道教/全真教の儒、仏受容/全真教と大道教、太一教との違い/南宋における道教の低迷/(はく)(ぎょく)(せん)の道教/浄明忠学派の道教/金朝における全真教/金朝における道教の権力への接近//
  元・明・清における道教の展開 - 堕落と没落;チンギス・ハンと全真教/元代における華中・華南の道教/正一派の道教/元代の道教と文化構造の変化/元代後期における道教の衰退/明代における道教の盛衰/清代における道教//
士大夫、民衆への文化的影響 小序//
  道教と士大夫の人生哲学 - 性命を兼ね修める;唐宋士大夫と道教/老荘思想、禅宗、中国医学と道教/士大夫の理想的生活と人生哲学としての養生術/士大夫の生活に対する道教の影響//
  道教と庶民文化との関係 - 鬼神観念と儀礼、方術の発展;世俗における儒、仏、道三教の融合/道教の神譜の展開/方術あれこれ - 雷法、扶乩(フーチー)求籤(きゅうせん)/道徳的規範 - 功過格/世俗社会における道教
/道教の役割 - 情欲の抑圧と昇華、発散//
  道教と古典文学 - 果てしない想像力;道教と老荘思想の違い/宗教と文学/道教の源流 - 楚の文化と巫覡/道教が文学に与えたもの - 神仙、妖怪、方術/心象構造の深層 - 生と死/古典文学に見える道教的心象 - 宗教から文学へ/道教における想像力 - 存想思神/道教的想像力の衰退 - 熱狂性の忌避//
監訳者後記など、
480ページ。


野口鐵郎・坂出祥伸・福井文雅・山田利明編、『道教事典』、平河出版社、1994

 あいうえお順。
 816ページ。


坂出祥伸責任編集、『別冊歴史読本 特別増刊 《これ一冊でまるごとわかる》シリーズ⑧ 「道教」の大事典』、新人物往来社、1994
道教とは何か;道教Q&A(坂出祥伸)/道教の世界と神々(古藤友子)/道教の成立と歴史(砂山稔)/道教の戒律とその種々相(坂出祥伸)/道教の思想(堀池信夫)/気と道教(麥谷邦夫)/民衆の生活と道教(野口鐵郎)//
方術-呪術としての道教;道教における方術の意味(坂出祥伸)/卜筮(井上豊)/人相術(小川陽一)/風水術(三浦國雄)/禁呪(田中文雄)/雷法(松本浩一)/禹歩・天罡(工藤元男)/霊符(坂出祥伸)/童乱(藤崎康彦)/扶乩(志賀市子)/跳神(平木康平)/隠形術(井上豊)/替代術(宮崎順子)/分身術(平木康平)/見鬼術(井上豊)/劾鬼術(平木康平)/摂魂(同)/明照術(宮崎順子)/解鳥語(同)/祈雨術(同)/乗蹻術(平木康平)/擲筶(森田憲司)/八卦牌・獣牌(同)/石敢当(同)//
医薬と神仙術-不老長生への道;養生・医療と道教(石田秀美)/鍼灸と道教(林克)/本草と道教(大形徹)/存思・内丹(山田利明)/守一法(横手裕)/胎息(坂内栄夫)/行気(松村巧)/導引(小林和彦)/房中術(猪飼祥夫)/女丹(黄瑋)/煉丹術(坂出祥伸)/服食・服餌(白杉悦雄)/服薬(大杉徹)/五石散(赤堀昭)/辟穀(石田秀美)/尸解(松村巧)/食養生(中野道子)//
道教の儀礼と経典;道教儀礼と経典編纂の歴史(丸山宏)/功徳儀礼(浅野春二)/祈安慶成醮(丸山宏)/瘟王醮(松本浩一)/法師の儀礼と役割(古家信平)//
道教とその周辺;易・陰陽・五行と道教(吾妻重二)/文学と道教① 唐詩(森瀬壽三)/文学と道教③ 近世小説・戯曲(井上泰山)/絵画と道教(近藤秀美)/建築と道教(田中淡)/密教と道教(頼富本宏)/星と道教(永井晋)/道教の地獄(南澤良彦)/秘密結社と道教(渡辺淳)/一貫道(篠原壽雄)/道教の名山と宮観(蜂屋邦夫・奈良行博)/教団の仕組みと道士の生活(石井昌子)/民間信仰と道教(高橋晋一)/年中行事と道教(渡辺武)//
日本の道教;神道祭祀と道教(増尾伸一郎)/陰陽道と道教(小坂眞二)/日本の民間習俗の中の道教(吉田隆英)/古代日本と道教(高橋徹)/修験道と道教(宮本袈裟雄)//
アジアの道教;香港の道教と風水(可児弘明)/ベトナムの道教(宇野公一郎)/朝鮮の道教(野崎充彦)/ヤオ族の道教と風水(吉野晃)/東南アジア華人社会の道教(吉原和男)/沖縄の道教と風水(都築晶子)//
真人伝・仙人伝(浜田陽子・三田村圭子・森由利亜・山田俊)/道教の神々事典(石田憲司・鄭正浩・二階堂善弘)/主要経典事典(石井昌子・尾崎正治・坂内栄夫・前田繁樹)/道教教団・教派事典(砂山稔)/テーマ別ブックガイド(井澤耕一・佐藤実)など、
456ページ。


『道教文化への展望 - 道教文化研究会論文集』、平河出版社、1994
道教儀礼と内丹思想;道士と道士団 - 現代台湾南部の事例から -(浅野春二)/金允中の道教儀礼学について(丸山宏)/『太上老君説常清静経註』について - 杜光庭本の資料的検討 -(三田村圭子)/明代後期儒学の道教摂取の一様相 - 王畿の思想における道教内丹実践論の位置づけをめぐって -(馬淵昌也)//
教団組織と神々;五斗米道政権の組織構造(澤章敏)/再出本『太平経』について - 六朝末道教諸派の中で(前田繁樹)/全真教龍門派系譜考 - 『金蓋心灯』に記された龍門派の系譜に関する問題点について -(森由利亜)/清朝湖南宝慶府の青蓮教(臼井丘)/梓潼帝君信仰研究の現状(テリー・クリーマン)/『三宝太監西洋記』への他小説の影響(二階堂善弘)//
東アジアのシンクレティズム;後漢における思過と首過について - 自伝文学との関連をかんがえるために -(土屋昌明)/仏教の終末観と救済思想 - インドから中国へ -(明神洋)/六世紀中国の救世主信仰 - 『証香火本因経』を手がかりに -(菊地章太)/〈盂蘭盆〉語義解釈考(田中文雄)/日本古代における『天地八陽神呪経』の受容 - 附、古写本二種(東寺観智院本、真福寺宝生院本)翻刻 -(増尾伸一郎)など、
424ページ。


大淵忍爾、『道経とその經典 - 道教史の研究 其の二 -』(創文社東洋學叢書)、創文社、1997
道藏成立史序説/靈寶經の基礎的研究 - 敦煌鈔本靈寶經目を中心として -/三皇文より洞神經へ/無上秘要とその周邊/太眞科とその周邊/敦煌鈔本S四二二六「太平部巻第二」について/三洞奉道科誡儀範の成立/敦煌殘巻三則/附篇 福建の道教について、など、
678ページ。


山田利明・田中文雄編、『道教の歴史と文化』、雄山閣、1998
中国における道教の歴史的概観 - 分類と用語法の問題に関する考察 -(ラッセル・カークランド)/老子における“存在” - 存在論的観点からの哲学的分析 -(舘野正美)/初期タオイズムにおける瞑想の諸階梯についての文献的記述(ハロルド・D・ロス)/老子出関の物語と道士の叙階(リヴィア・コーン)/老君説 一 百八十戒における道教と仏教(ベンジャミン・ペニイ)/李弘と弥勒 - 天師道の改革と中国仏教における救世主信仰の成立 -(菊地章太)/六朝における仏道論争と『列仙傳』の伝承(トーマス・スミス)/哪吒太子考(二階堂善弘)/中国の中世初期における鬼神観と官僚制 - 道教の宇宙論における六天について -(ピーター・ニッカーソン)/道教斎壇の構造と機能(田中文雄)/規範と変容 - 唐代女性道士の生活における身体と実践 -(スーザン・ケーヒル)/「邱祖語録」について - 明末清初の全真教龍門派の系譜観に関する補足的考察 -(森由利亜)/明代後期儒学士大夫の「道教」受容について(馬淵昌也)/日本古代の道教受容と疑偽経典(増尾伸一郎)/日米道教研究会議 - 日本とアメリカの道教研究 -(山田利明)など、
360ページ。


小林正美、『中国の道教』(中国学芸叢書 6)、創文社、1998
序章 「道教」の構造;「道教」の成立/「道教」の構造/「道教」と天師道//
神仙道の形成;五斗米道/太平道/葛氏道/上清派//
「道教」の成立;天師道の成立とその思想 「三天」の思想、正一盟威の道、老子と『老子道徳経』、三洞説と「道教」、四輔説と道士の位階/教団の組織と教徒の生活 教団の旧制度-治と祭酒の制度、教団の改革、教団の新制度-道館(道観)と出家道士の制度//
「道教」の世界観と修道法;世界観 天上界、人間界、三塗、南宮、洞天福地/修道法 護身法、滅罪法、長生法//
「道教」の歴史;南朝の「道教」/北朝の「道教」/隋の「道教」/唐の「道教」/北宋の「道教」/南宋・金の「道教」/元の「道教」/明・清の「道教」//
終章 「道教」の役割など、
406ページ。


神塚淑子、『六朝道教思想の研究』(創文社東洋學叢書)、創文社、1999
序論//
六朝時代の上清派道教の思想;『真誥』について/方諸青童君をめぐって/上清経の形成とその文体/魔の観念と消魔の思想/上清経と霊宝経//
『太平経』と六朝道教思想;『太平経』の承負と太平の理論について/『太平経』における「心」の概念/開劫度人説の形成/付章 空海の文字観 - 六朝宗教思想との関連性 -//
六朝時代の道教信仰;六朝道教における祭祀・祈禱/六朝時代の道教造像 - 宗教思想史的考察を中心に -など、
594ページ。


 同じ著者による→こちら(本項下掲の『道教経典の形成と仏教』、2017)や、→そちら(同じく『道教思想10講』、2020)を参照

砂山稔・尾崎正治・菊地章太編、『道教の神々と経典 【講座 道教】第一巻』、雄山閣出版、1999
頂点に立つ道教の神々;老子の神格化と太上老君(原田二郎)/元始天尊と霊宝経系経典(山田俊)/玉皇大帝と宋代道教 - 蘇軾を中心にして -(砂山稔)//
成立期の代表的道教経典;『太平経』の世界(神塚淑子)/『抱朴子』の世界(平木康平)/『真誥』と神々(石井昌子)//
集積される道教教理と経典;『易経』の理論と道教(吾妻重二)/黄庭経とその時代(前田繁樹)/唐宋時代の老子信仰と諸注釈 - 『道徳真経広聖義』を中心として -(三田村圭子)/正統道蔵本『雲笈七籤』の藍本(尾崎正浩)//
民間信仰の神々と新しい道教;李弘信仰の生成と変容(菊地章太)/許遜と浄明道(秋月觀暎)/呂洞賓と全真教 - 清朝湖州金蓋山の事例を中心に -(森由利亜)/玄天上帝信仰と武当道(二階堂善弘)など、
280ページ。


福井文雅・山田利明・前田繁樹編、『道教と中国思想 【講座 道教】第四巻』、雄山閣出版、2000
中国の思想と道教;道教の成立(福井文雅)/仏道論争に於ける諸問題(前田繁樹)/儒教と道教の関係について - 元・明期理学者の内丹観を中心に -(馬淵昌也)/近世内丹道の三教一致論 - 牧常晁と李道純の三教一致論と性命双修説を中心に -(森由利亜)//
中国人の宗教意識と道教;道教の終末思想(菊地章太)/死の思想と道教(山田利明)/道教と密教(岩崎日出男)//
文学と道教;通俗文学と道教(二階堂善弘)/仙伝文学と道教(土屋昌明)/詩と道教(遊佐昇)//
芸術と道教;演劇・音楽と道教(有澤晶子)/建築と道教(奈良行博)/絵画と道教(杉原たく哉)/書と道教(大野修作)など、
296ページ。


増尾伸一郎・丸山宏編、『道教の経典を読む』(あじあブックス 028)、大修館書店、2001
道教の歴史と経典(丸山宏)/『太平経』(前田繁樹)/『老子想爾注』(丸山宏)/『神仙伝』(土屋昌明)/『黄庭経』(加藤千恵)/『西昇経』(山田俊)/『度人経』(森由利亜)/『陸先生道門科略』(山田利明)/『洞淵神呪経』(菊地章太)/『清静経』(前田繁樹)/『父母恩重経』(増尾伸一郎)/『道徳真経広聖義』(三田村圭子)/『陰符経』(遊佐昇)/『十王経』(田中文雄)/『玉皇経』(二階堂善弘)/『悟真篇』(吾妻重二)/『道法会元』(松本浩一)/『上清霊宝大法』(浅野春二)/『三教源流捜神大全』(二階堂善弘)など、
290ページ。


田中文雄、『仙境往来 神界と聖地』(シリーズ 道教の世界 1)、春秋社、2002
序論 神仙の里;桃の伝説/神仙の島//
洞天福地の思想;洞天福地への案内書/洞天福地のイメージ//
道教の聖蹟;天師道と聖地/抱朴子と聖地/経典のくだる聖地//
道教の天界;三天と九天/三十二天と三十六天//
地獄の地誌;泰山/鄷都地獄/閻魔と十王//
身体の宇宙と儀礼;小宇宙としての身体/道教の儀礼空間など、
224ページ。


小林正美、『唐代の道教と天師道』、知泉書館、2003
唐代の道教教団と天師道/天師道における受法のカリキュラムと道士の位階制度/経籙の伝授における三師説と上清経籙伝授の系譜の形成/『昇玄経』の編纂と昇玄法師など、
256ページ。


前田繁樹、『初期道教經典の形成』、汲古書院、2004
太平經の研究;六朝時代に於ける干吉傳の變遷/再出本『太平經』について - 六朝末道教諸派の中で/「老君説一百八十戒序」の成立について//
老子化胡經の研究;老子の行方/『老子化胡經』と『清淨法行經』/『老子化胡經』の説かれた場所/佛道論争に於ける諸問題//
老子西昇經の研究;『老子西昇經』のテキストについて-附、稿本『老子西昇經』-/『老子西昇經』の思想とその成立/佛道論争に於ける『老子西昇經』/老子妙眞經小考 - 附、『老子妙眞經』輯佚稿 -//
老子中經の研究;『老子中經』覺書//
天師道の展開;房祠破壊と道士の原像/杜子恭とその後裔/「大道家令戒」の形成-道典結集の萌芽-//
附篇 六朝道教經典をめぐる諸問題;「敦煌本」と「道藏本」の差異について - 古「靈寶經」を中心として -/業報と注連の間 - 親の因果は子に報いるか -/所謂「茅山派道教」に関する諸問題など、
458ページ。


野口鐵郎・田中文雄編、『道教の神々と祭り』(あじあブックス 058)、大修館書店、2004
はじめに - 道教・民間信仰と神々(野口鐵郎)/道教の神々 - その由来と役割/神々の祭りと信仰/結び - 神々の世界を支えるもの(田中文雄)など、
284ページ。


小林正美編、『道教の斎法儀礼の思想史的研究』、知泉書館、2006
道教の斎法儀礼の成立;劉宋・南斉期の天師道の教理と儀礼(小林正美)/道教の斎法儀礼の原型の形成 - 指教斎法の成立と構造(同)/霊宝斎法の成立と展開(同)//
道教の斎法儀礼の展開;『法海遺珠』の元帥神について - 道教の醮・民間信仰の儀礼と元帥(二階堂善弘)/張宇初の斎法観とその周辺 - 南昌派考察序説(横手裕)/清朝四川の全真教と天師道儀礼 - 『広成儀制』太清章をめぐって(森由利亜)//
道教文物と斎法儀礼;道教文物の概説(王育成)/金籙斎法に基づく道教造像の形成と展開 - 四川省綿陽・安岳・大足の摩崖道教造像を中心に(小林正美)//
儒仏二教と道教儀礼;宋代の景霊宮について - 道教祭祀と儒教祭祀の交差(吾妻重二)/受菩薩戒儀及び受八斎戒儀の変遷(阿純章)など、
448ページ。


松本浩一、『中国人の宗教・道教とは何か』(PHP新書 429)、PHP研究所、2006
中国文化としての道教;道教における仙人と道士/日本人と道教//
道士と仙人;
道士と道観での生活/仙人とその信仰/仙人になるための方法・修行法//
道教の呪術儀礼;呪術師・司祭としての道士と祠廟/道教の呪術儀礼/道士の呪術儀礼と民間信仰//
道教の歴史と基本経典;
道教の源流/太平道と五斗米道 - 道教の先駆け/南北朝時代 - 道教の成立/隋唐時代 - 道教の隆盛/宋元時代 - 道教の変容/明清時代 - 道教の民俗宗教化など、
256ページ。


横手裕、『中国道教の展開 世界史リブレット 96』、山川出版社、2008
中国史のなかの道教/道家と神僊/宗教的信仰集団と経典の形成/道教教理の大成/宋代以降の変貌/現代の道教など、
94ページ。

菊地章太、『神呪経研究 六朝道教における救済思想の形成』、研文出版、2009
序章 問題の所在と研究の方向//
六朝道教における救済思想の形成;神呪信仰の系譜 - 初期雑密経典から道教経典へ/劫運思想の系譜 - 讖緯文献から道教経典へ/救済思想の系譜 - 李弘信仰の生成と変容//
道教経典の成立史研究;『老子変化経』の成立/『女青鬼律』の成立/『太上霊宝天地運度自然妙経』の成立/『洞淵神呪経』の成立//
結章 中国宗教史における救済思想の展開//補遺 『洞淵神呪経』諸本など、
448ページ。


『道教の美術』展図録、三井記念美術館、大阪市立美術館、長崎歴史文化博物館、2009-2010
道教とはなにか(坂出祥伸)/今日の道教研究について(丸山宏)/道教の美術(斎藤龍一)//
中国古代の神仙思想/老子と道教の成立/道教の信仰と尊像/古代日本と道教/陰陽道/地獄と冥界・十王思想/北斗七星と星宿信仰/禅宗と道教/仙人/道教の神々と民間信仰/道教思想のひろがり/近代日本と道教/拡散する道教のイメージ//
道教と書法 漢-唐(弓野隆之)/道教像の出現とその展開(斎藤龍一)/中国絵画と道教(宮崎法子)/星宿信仰-日本における展開-(清水実)/正安三年銘の木造妙見菩薩立像をめぐって(清水眞澄)/地獄十王思想と道教(鷹巣純)/江戸時代の長崎と媽祖・黄檗寺院(原田博二)/岡倉覚三と道教(木下長宏)など、
408ページ。


 あわせて;

『道教美術の可能性 アジア遊学 133』、勉誠出版、2010
「道教美術の可能性」に寄せて/座談会 「道教美術の可能性」(齋藤龍一、丸山宏、土屋昌明)//
総説;「道教美術」とは何か(鈴木健郎)/道教の歴史(横手裕)//
道教美術の諸相と展開;漢代銅鏡にみえる神話および道教の図像について(李凇)/道教美術にみえる文字の問題(土屋昌明)/道教像のすがたとひろがり - 南北朝~唐時代(齋藤龍一)/中世道教の法服と法具(田中文雄)/中国絵画と道教 - 宋元時代を中心として(宮崎法子)/明清小説の版画に見える道教神 - 三清と如意(山下一夫)/道壇と神画(丸山宏)//
日本における受容と融合;日本の君主、道士法を崇めず - 古代日本における道教と文物の受容(増尾伸一郎)/日本の中世仏画にみる道教(石川知彦)/神道図像と道教美術の関わり - 「道教の美術」展を経て(清水実)/馬に跨る女神はどこから来たか - 神道図像と道教をめぐって(門屋温)/日本渡来の華人の神々(二階堂善弘)/平田篤胤と「五岳真形図」(森瑞枝)//
東アジア、そしてオリエントとの邂逅;琉球の呪符(山里純一)/朝鮮半島における道教美術(土屋昌明)/古代オリエントと道教美術(大形徹)//
展覧会紹介;ギメ東洋美術館+フランス国立美術館連合主催「タオの道-存在へと至るもうひとつの道程」(カトリーヌ・ドラクール)など、
260ページ。


菊地章太、『道教の世界』(講談社選書メチエ 520)、講談社、2012
しいたげられた心の救い 老子/宗教/自然観//
転変する世界の肯定 教団/経典/神統譜//
その喧噪のただなかで 山岳信仰/仙人/女神//
陰気が陽気を犯すとき 文学/怪異/年中行事//
体のなかは虫だらけ 民俗/医療/日本文化//
十中八九でたらめでも 学術史/学者/現在など、
198ページ。

神塚淑子、『道教経典の形成と仏教』、名古屋大学出版会、2017
序章;問題の所在/先行研究/本書の構成//
霊宝経の形成とその思想;霊宝経と初期江南仏教 - 因果応報思想を中心に -/霊宝経における経典神聖化の論理 - 元始旧経の『開劫度人』説をめぐって -/霊宝経に見える葛仙公 - 新経の成立をめぐって -/六朝道教と『荘子』 - 『真誥』・霊宝経・陸修静 -//
天尊像考;隋代の道教造像/天尊像・元始天尊像の成立と霊宝経/元始天尊をめぐる三教交渉//
道教経典と漢訳仏典;『海空智蔵経』と『涅槃経』 - 唐初道教経典の仏教受容 -/『海空智蔵経』巻十「普記品」小考 - 道教経典と中国撰述仏典 -/仏典『温室経』と道典『洗浴経』//
日本国内所蔵の道教関係敦煌写本;国立国会図書館所蔵の敦煌道経/杏雨書屋所蔵の敦煌道経/京都国立博物館所蔵の敦煌道経 - 「太上洞玄霊宝妙経衆篇序章」を中心に -//
唐代道教と上清派;則天武后期の道教/司馬承禎『坐忘論』について - 唐代道教における修養論 -/補論 石刻坐忘論をめぐって/司馬承禎と天台山//
終章;『甄正論』の道教批判/霊宝経の仏教受容/上清派の伝統へ、など、
596ページ。


 同じ著者による→こちら(上掲の『六朝道教思想の研究』、1999)を参照

麥谷邦夫、『六朝隋唐道教思想研究』、岩波書店、2018
まえがき//
道教教理思想の形成;魏晋南北朝期の道家・道教における気(初出は→こちら:『気の思想』、1978/「中国」の頁)/道教的生成論の形成と展開/『老子想爾注』と道気論(初出は→そちら:本項下掲)//
道教教理思想の諸相;道教教理における天界説(初出は→あちら:本項上掲)/初期道教における救済思想/道教における真父母の概念と孝//
道教教理体系と仏教教理学;『道教義枢』と南北朝隋初唐期の道教教理学/道教教理学と三論学派の論法/唐代老子注釈学と仏教/道教類書と教理体系//
唐玄宗三教思想研究;玄宗『道徳真経』注疏における「妙本」/玄宗と『道徳真経』注疏の撰述/玄宗と三経御注など、
440ページ。

神塚淑子、『道教思想10講』(岩波新書 1848)、岩波書店、2020
講義を始める前に/
道教の始まりと展開/「道」の思想 - 通奏低音としての『老子』/生命観 -気、こころ、からだ/宇宙論 - 目に見える世界を超えて神格と救済思想 - 自己救済から他者救済へ/修養論 - 内丹への道/倫理と社会思想 - 政治哲学としての道教/道教と仏教 - 三教併存社会のなかで/道教と文学・芸術/道教と日本文化/
あとがき/読書案内/略年表など、
244ページ。


 同じ著者による→こちら(上掲の『六朝道教思想の研究』、1999)を参照
………………………

窪徳忠、「道教と山岳」、『現代宗教-2 特集・山岳宗教』、春秋社、1980、pp.88-101
古代の山岳信仰/神仙思想と山岳/道教と山岳など

蜂屋邦夫、「太平経における言辞文書 - 共・集・通の思想 -」、『東洋文化研究所紀要』、no.92、1983.7、pp.35-81 [ < 東京大学学術機関リポジトリ(UT Repository) ]

高橋忠彦、「『太平經』の思想構造」、『東洋文化研究所紀要』、no.95、1984.11、pp.295-336 [ < 東京大学学術機関リポジトリ(UT Repository) ]

麥谷邦夫、「『老子想爾注』について」、『東方学報』、no.57、1985.3.30、pp.75-107 [ < 京都大学学術情報リポジトリ(KURENAI) ]

 →こちらに収録:上掲の『六朝隋唐道教思想研究』、2018


麥谷邦夫、「道と気と神 - 道教教理における意義をめぐって -」、『人文學報』、no.65、1989.3.31:「諸宗教の比較論的研究」、pp.93-106
道気論/道性論/悟脱論

鈴木健郎、「道教における聖典 - その多様性と被規定姓 -」、市川裕・鎌田繁編、『聖典と人間』、1998、pp.149-168
「道」と「気」による形而上学・生成論/「道教聖典」/錬丹(内丹道)/倫理思

吉川忠夫・ 麥谷邦夫編、『眞誥研究(譯注篇)』 (京都大學人文科學研究所研究報告)、 京都大學人文科學研究所、2000.3.9、717p [ < 京都大学学術情報リポジトリ(KURENAI) ]

菊地章太、「李姓の反乱者たち - 六朝道教における予言の継続 -」、『アジア遊学』、no.29、2001.7、「特集・予言の力」、pp.35-45
谷神は死なず/老子、神となる/李氏蜂起/危険な神/おわりに-預言の終焉など

菊地章太、「六朝道教における終末思想の形成」、『桜花学園大学研究紀要』、no.2、2003.3.31、pp.131-169 [ < CiNii Articles

趙晟桓、「成玄英『老子義疏』における『道』と『老君』について」、『早稲田大学大学院文学研究科紀要 第1分冊, 哲学東洋哲学心理学社会学教育学』、no.53、2007.2.28、pp.23-39 [ < 早稲田大学リポジトリ(DSpace@Waseda University) ]

vii. 煉丹術・錬金術、風水など 

 →「錬金術など」のページも参照

鈴木由次郎、『周易参同契』(中国古典新書)、明徳出版社、1977
解説(今井宇三郎編);参同契の著者/参同契の諸本//
本文;上篇 第1~16章/中篇 第1~12章/下篇 第1~8章など、
200ページ。


 『周易参同契』は Zhōu yì sān tóng qì しゅうえきさんどうかい、魏伯陽はぎはくよう。
 「後漢末の真人魏伯陽の撰」(p.5)。「魏伯陽は後漢の桓帝時代(147-165)の会稽上虞(今の浙江省にあり)の人である」(p.12)。

 『抱朴子』(Baopuzi ほうぼくし)については、既出の

小柳司氣太・飯島忠夫譯、『道教聖典 世界聖典全集 後輯第二巻』、世界聖典全集刊行會、1923、pp.63-356
 内篇巻一~二十

本田済・沢田瑞穂・高間三良訳、『抱朴子 列仙伝・神仙伝 山海経』(中国の古典シリーズ 4)、平凡社、1973、pp.1-298、547-558
 本田済訳、内篇巻一~二十(11篇は抄訳)、外篇巻一~五十

 の他、


葛洪、本田濟訳注、『抱朴子 内篇』(東洋文庫 512)、平凡社、1990
 巻一~二十、など、
 444ページ。

 「抱朴子、本名は葛洪(284~363)。…(中略)…呉の人」(p.427)。
 葛洪は
Ge Hong かつこう

湯浅泰雄・定方昭夫訳、『黄金の華の秘密』、人文書院、1980
原著は Das Geheimnis der goldenen Blüte, ein chinesische Lebensbuch, 1929
リヒアルト・ヴィルヘルムを記念して(C.G.ユング)/ヨーロッパの読者のための注解(同)/ヨーロッパのマンダラの例(同)/太乙金華宗旨の由来と内容(リヒアルト・ヴィルヘルム)//
太乙金華宗旨 訓読文と現代語訳 第1~13章//慧命経-意識と生命の書- 1~8//
訳者解説(湯浅泰雄)など、
340ページ。

 『太乙金華宗旨』に関して、ヴィルヘルム本では第9章以下は訳されていないが、本書は全訳。
 『慧命経』は
「清の柳華陽という僧が著した瞑想法の書」
で、
「もともとヴィルヘルムが用いた底本に合本の形で収められているものである。ヴィルヘルムが訳したのは、この経典の最初に掲げてある図解の部分のみである。ヴィルヘルムの訳では、図は二つしか紹介しておらず、ところどころ省略した部分もあるが、本書では底本の図を全て掲げ、ヴィルヘルムの省略した部分も訳した(ただし、本文は訳さず)」(p.331)。

………………………

アンリ・マスペロ、持田季未子訳、『道教の養性術』、せりか書房、1983
原著は Henri Maspero, ‘Les procédés de “Nourrir le principe vital” dans la religion taoïste ancienne’, Journal asiatique, avril-juin/juillet-septembre 1937/ Le Taoïsme et les religions chinoises, 1971
序論 中国の解剖学と生理学;中国の古代医学/道教独自の解剖学と生理学//
気の技法;胎息/気の理論/内気の循環-その理論と実践/外気の循環/気の排出//
陰陽養性法//導引//補遺「八景の表現」など、
248ページ。

 同じ著者の→こちらも参照:『道教』、1978/本頁上掲「vi. 道教など


J・ニーダム、牛山輝代訳、『中国科学の流れ』、思索社、1984
原著は Joseph Needham, Science in Traditional China. A Comparative Perspective, 1981
序章/火薬と火器の叙事詩 錬金術からの発展/長生法について/鍼灸療法の歴史と理論的根拠/時間と変化の受けとめかた ヨーロッパと比較して/解説(藪内清)など、
208ページ。

 同じ著者の→こちら(「中国」の頁の「i. 概説、通史など」)、またあちらも参照:同じく「iii. 科学史・天文学史とその周辺

N・セビン、中山茂・牛山輝代訳、『中国の錬金術と医術』、思索社、1985
中国の錬金術と時間の操作;自然哲学における時間/天然の霊薬/錬金術の方法/火の段階的調整/火の段階的調整の意義/空間的相関関係と物質的相関関係/錬金術の目標/結論//
旧中国における医療と社会序説;はじめに だれが先駆者であったか?、農民科学者の神話/病気の社会的構造 文化相対論、医術的意味の体系、状態としての病気の社会的構築、しろうと評価/医学的障碍の社会的構築 診断病名における文化的差異、病気の原因としての微生物//
混乱の源としての「道教徒」という語について-旧中国における科学と宗教の関係;定義とその限界/混乱/議論の骨組み 道教はひとつだろうか?、道教は心情だけで定義すべきか、あるいは慣習も考慮に入れるべきか?/道教、儒教、そして科学/道教と民間宗教/葛洪の場合/結論//
沈括;歴史的背景/生涯/量と寸法 一般数学、数理和声学、天文学、改暦/形状と変化 磁気学、地図作製、大地の形成、大気の現象、大地のめぐみ、光学上の現象/生産技術と原料 同時代の技術、古代の技術/医学/結論 科学思想と現実の関係、その他の知識、儒教と科学、行政と科学、自然に対する姿勢など、
238ページ。

 上掲『中国のコペルニクス』の姉妹編で、やはり独自に編集された論集。各論文の発表は1975~1978。「序 日本読者へ」と「訳者解説」は共通。
 同じ著者の→こちらも参照:「中国」の頁の「iii. 科学史・天文学史とその周辺


カトリーヌ・デスプ、門田眞知子訳、三浦國雄監修、『女のタオイズム 中国女性道教史』、人文書院、1996
原著は Catherine Despeux, Immortelles de la Chine ancienne, 1990
序論//内丹出現以前の道教における女性;道教諸派における女性の存在/道教における女性とセクシュアリテ/西王母、最高の女性神/女性崇拝の重要性//
女性内丹術の登場;外丹と内丹/内丹の師、娼婦たちの師としての呂洞賓/内丹術の最初有名な女性、曹文逸//
金、元代(十二~十四世紀)の道教と女性内丹;金、元代の道教/孫不二(1119-1182)、女性内丹の重要人物/金、元代の女性道士たち//
十四世紀から今日に至るまでの道教と女性内丹;明および清朝治下での道教/清朝治下における全真教の女性の修道生活/清朝治下の女性道教の諸派/女性内丹に関する文献の出現/元代の女性道士たち//
女性内丹術と会得した身体;身体の象徴的表現/女性内丹における身体の重要な場所/内丹的身体の成分//
女性内丹のテクニック;内丹のいくつかの基本概念/第一段階-赤龍を斬る/第二段階-胚の呼吸(胎息)/第三段階-
天界(アンピレ)への上昇//
結論//付録 女丹に関する書物//解説(三浦國雄)//フランスの東洋学に触れて-訳者あとがきにかえて(門田眞知子)など、
378ページ。


三浦國雄・堀池信夫・大形徹編、『道教の生命観と身体論 【講座 道教】第三巻』、雄山閣出版、2000
道教の生命観;道教の生命哲学-宇宙・身体・気-(葛兆光)/気と水のコスモロジー-中国古代の身体観と医学観-(堀池信夫)/医書と道教(林克)/薬物から外丹へ-水銀をめぐる古代の養生思想-(大形徹)/本草と道教(松本きか)//
内丹説の成立;胎の思想(加藤千恵)/存思の技法-体内神の思想-(垣内智之)/唐代の内丹思想-陰丹と内丹-(坂内栄夫)/黄婆論-『老子』から『吾真篇』へ-(三浦國雄)//
内丹説の展開;全真教と南宗北宗(横手裕)/陸西星の内丹思想(秋岡英行)/「張三峯」の房中術(猪飼祥夫)/道教内丹説のエピローグ-陳攖寧「仙学」小論-(沈恩明)など、
260ページ。


加藤千恵、『不老不死の身体 道教と「胎」の思想』(あじあブックス 048)、大修館書店、2002
不老不死の思想;神仙への憧れ/道教と不老不死//
胎児への回帰;懐胎から出産まで/運命の超克//
「敗者復活」への道;小宇宙としての人体/存思-体内宇宙への旅立ち/解結-不死の身体へのステップ/養胎-不死の自己の再生//
「胎」をめぐる技法;食物のヒエラルキー/断穀と食気/胎息と胎食/「胎」の技法の系譜//
「胎」の技法から内丹へ;真人子丹を養育せよ/内丹の技法/陰陽の交合と房中術/道の懐へ-結びにかえて、など、
216ページ。


秋岡英行、垣内智之、加藤千恵、『煉丹術の世界 - 不老不死への道 -』(あじあブックス 080)、大修館書店、2018
煉丹術入門;煉丹術とは何か(垣内)/煉丹術の歴史(秋岡)/煉丹術の原理(加藤)//
煉丹術の経典を読む;『周易参同契』 - 謎多き丹経の祖(加藤)/『抱朴子』 - 外丹の根本経典(垣内)/『老子中経』 - 内丹の源流(加藤)/『霊宝畢法』 - 初期内丹の実践マニュアル(秋岡)/『入薬鏡』 - 初期内丹のキーワード集(加藤)/『悟真篇』 - 聖典視された内丹書(垣内)/『丹房須知』 - 外丹の実践マニュアル(垣内)/補説 外丹の理論化 - 『参同契』と鉛汞説の展開(加藤)/『金丹大要』 - 内丹説の総合化(垣内)/『性命圭旨』 - 図版満載の内丹啓蒙書(秋岡)/『女丹合編』 - 女性のための内丹叢書(秋岡)など、
264ページ。

………………………

石島快隆、「魏伯陽の道家思想の系列とその系譜的意義について」、『駒澤大學研究紀要』、no.18、1960.3、pp.53-64 [ < CiNii Articles

石島快隆、「原始道教教義考」、『駒澤大學研究紀要』、no.21、1962.10、pp.51-66 [ < CiNii Articles

石島快隆、「参同契の思想史的考察」、『駒澤大學研究紀要』、no.25、1967.3、pp.17-31 [ < CiNii Articles

石島快隆、「抱朴子の思想史的考察」、『駒澤大學研究紀要』、no.26、1968.3、pp.1-19 [ < CiNii Articles

石島快隆、「道家と神仙との思想史的研究」、『駒澤大學研究紀要』、no.27、1969.3、pp.1-24 [ < CiNii Articles
 同、  「道家と神仙との思想史的研究(承前)」、『駒澤大學研究紀要』、no.28、1970.3、pp.1-9 [ < 同上
………………………

 風水について;

デ・ホロート、牧尾良海訳、『中国の風水思想-古代地相術のバラード-』、第一書房、1986
原著は Johann Jakob Maria de Groot, The Religious System of China (1892-1910, 6 vols.), vol.3, Disposal of the Dead, part 3, chapter 12, ‘Fung-shui’, chapter 15, ‘On Graveyard and Free Burial Groundsi’, additional chapter, ‘On Sme Exceptional Ways of Disposing of the Dead’, and J. J. M. de Groot, Universismus, 1918, chapter 13, ‘Geomantik’
導言/山岡水流に規制せられる風水/風水の歴史/風水の専家、実際生活への風水の影響//
墓地及び自由埋葬墓地について//
付録 死者の処置に関する二三の例外的方法/地相術など、
292ページ。


堀込憲二、「風水思想と都市の構造」、『思想』、no.798、1990.12、pp.73-99

何曉昕、三浦國雄監訳、宮﨑順子訳、『風水探源 中国風水の歴史と実際』、人文書院、1995
原著は何曉昕、『風水探源』、1990
風水の歴史;風水の現状/風水の原形とその痕跡/漢時代の陽宅風水/晋・郭璞『葬書』/唐・宋時代の中国東南部の風水/明・清時代、中国東南部の陽宅理論の要点//
風水と中国東南部の伝統建築;風水と村落/風水と都市/風水と宗教建築//
風水とは-結び;風水と人間の欲求/風水の評価/新建築と風水など、
294ページ。


『風水の本 天地を読み解き動かす道教占術の驚異 Books Esoterica 23』、学習研究社、1998
風水の世界 天地を貫く龍を求めて/序 大地の神秘学 気で読み解く中国占術・風水の教え(坂出祥伸)/天の巻 風水の羅盤に刻まれた全宇宙の構造(吉田邦博)/地の巻 精緻に組み立てられた風水理論の実際(不二龍彦)/龍脈のミステリー(横屋正朗)/人の巻 大地の龍の秘密に迫った者たち 風水先生列伝(黄大軌)、風水と兵法(豊島泰国)、風水と人体(藤巻一保)、風水と予言(本田不二雄)、風水のアイテム(北川隆三郎)/現代風水事情 香港・台湾・沖縄・韓国の風水(本田不二雄)/実践・風水入門 気脈を読み解き羅盤を駆使して風水師になる!(鮑黎明)など、
226ページ。


三浦國雄、『風水講義』(文春新書 488)、文藝春秋社、2006
風水とはなにか/儒教風水のスタンス-『地理人子須知』というテキスト/三本の大龍脈/都市と龍脈/風水説の仕組み-龍法/穴法/砂法/水法/風水文化圏など、
256ページ。


 →こちらも参照:「中央アジア、東アジア、東南アジア、オセアニアなど」の頁の「iv. 朝鮮・韓国など
……………………… 

澤田瑞穂、『修訂 中国の呪法』、平河出版社、1984/1989
見鬼;見鬼考/劾鬼考/禁術考/避瘧考/隠淪考//
呪詛;嘯の源流/返魂・摂魂/呪詛史/工匠魘魅旧聞抄/替身と替僧//
蠱毒;妖異金蚕記/蜈蚣蠱/挑生術小考/猫鬼神のこと/夷堅妖巫志/南法異聞/摩臍考/登刀梯/呉巫雑記//
雑卜;響卜考/雑占小記/火の呪法/種まきの呪法/紅い呪術/祈子呪法類考/悪夢追放/風邪を売る//
厭勝;掃晴娘のことなど/家宅厭勝のいろいろ/宋代の神呪信仰-『夷堅志』の説話を中心として/道家青精飯考など、
572ページ。

 同じ著者による→こちらも参照:「中国」の頁の「iv. 他界観など


ロルフ・スタン、福井文雅・明神洋訳、『盆栽の宇宙誌』(アジア文化叢書)、せりか書房、1985
原著は Rolf Stein, Jardins en miniature d'Extrême-Orient, 1942
マルセル・グラネを追想して//序 小型の世界//
盆栽の技術とその歴史;盆栽の技術/盆栽の歴史//
テーマの検討;物の姿をかたどる秘術/小事/別世界/天地、ひさご形の壺/景観と神女、壺と鏡/木と石、健康と長生/隠遁と回帰、閉じた壺の中の生活//
付録;『花鏡』に見える盆栽の技術/歌謡など、
200ページ。

 中国だけでなく、ヴェトナムや日本の事例・資料も参照されています。

松本浩一、『中国の呪術』(あじあブックス 038)、大修館書店、2001
はじめに-台湾・中国の呪術//
民間宗教者と呪術儀礼;台湾の祠廟/呪術を行う人々 道士、法師、童乩、誦経団/法師の呪術儀礼 補運、打城、収驚/誦経団の法会/太保先生と紅頭師公/鬼との戦いとしての呪術//
中国呪術の歴史;鬼と初期の道教呪術/道教の符呪/雷法とその展開/中国呪術の伝統など、
256ページ。


 上の本の「第2部 2 道教の符呪」、また〈開劫度人説〉における〈天書〉とも関連して;

大宮司朗、『霊符の呪法 道教秘伝』(Esoterica Selection)、学習研究社、2002
霊符……その歴史と伝説;道教の霊符とは何か/「五岳真形図」に見る霊符の起源/霊符の歴史と変遷/霊符と籙や印のかかわり/霊符の祖とされる神と人/霊符を題材にした物語//
霊符の種類と解読法;霊符にはどんなものがあるのか?/図字で判断する霊符の効験/霊符に用いられる書体/霊符はどう読み解けばいいのか?/道経以外の霊符について//
霊符の書写法と使用法;霊符を書写する前の注意点/霊符書写は吉日を選ぶ/霊符を書写する際の心がまえ/霊符の書写に必要なもの/霊符の筆順を知っておく/実際に霊符を書写する/霊符書写の略式作法/七種に大別される霊符の用い方//
霊符に関するQ&A//厳選・霊符カタログなど、
302ページ。


 →こちらにも挙げておきます:「言葉、文字、記憶術・結合術、書物(天の書)など」の頁
 また


土屋昌明、「道教美術にみえる文字の問題」、『道教美術の可能性 アジア遊学 133』、2010

三浦國雄、「文字の根源へ 道教のおふだ」、『宇宙を駆ける知 天文・易・道教 知のユーラシア 4』、2014

 も参照

土屋英明、『道教の房中術 古代中国人の性愛技法』(文春新書 320)、文藝春秋、2003
房中長生術の歴史/房中長生理論/性技巧とその方法/道教と怛特羅瑜伽と西蔵密教など、208ページ。

厳敦傑、橋本敬造・坂出祥伸訳、「式盤綜述」、『東洋の科学と技術 藪内清先生頌寿記念論文集』、同朋舎、1982、pp.62-95
引言//式盤//演式;遁甲式/太一式/六壬式など

何丙郁、「『地盤図』の研究」、『東洋の科学と技術 藪内清先生頌寿記念論文集』、同朋舎、1982、pp.143-153

猪野毅、「奇門遁甲の基礎的研究」、『北海道大学大学院文学研究科研究論集』、no.10、2010.12.24、pp.161-185 [ < 北海道大学学術成果コレクション(HUSCAP) ]

 『バトル・オブ・ダンジア 魔獣大戦』(2020、監督:シアン・チウリアン、シアン・ホーション)

という中国映画を、タイトルに「魔獣」とあったもので見てみました(年をとったせいか、お化けや怪獣の出てこない映画を見るのは辛くなってきました)。上映時間も1時間23分とほどよい長さです(年をとったせいか、1時間半を越える映画を見るのは辛くなってきました)。
 お話は妖怪と妖怪ハンターたちの攻防を描いたファンタジー・アクションといった感じなのですが、オープニング・クレジットで表示された中国語原題が『奇門遁甲』ではありませんか。英語版ウィキペディアの該当頁(→こちら)によると、〈奇門遁甲〉の英語表記は"Qimen Dunjia"とのことで、邦題の「ダンジア」はこれに由来するようです。なお英語タイトルは The Thousand Faces of Dunjia
 ウェブで検索してみたところ、

 『奇門遁甲』(2017、監督:ユエン・ウーピン)

という映画もありました。中国語原題はそのまま『奇門遁甲』で、英題は同じく The Thousand Faces of Dunjia。この2017年版、ユエン・ウーピン(袁和平)自身が監督した

 『ミラクル・ファイター』(1982)

の再製作だそうです。 中国語原題はやはり『奇門遁甲』で、英題は The Miracle Fighters。2020年版の『バトル・オブ・ダンジア 魔獣大戦』は再々製作にあたるとのことでした。
 1982年版、2017年版は未見につき、2020年版とどの程度異同があるのかは詳らかにしませんが、〈奇門遁甲〉という占術が中国語圏でどのように捉えられているのか、気になるところでした。

viii. 宋学と理気論など

 「中国」のページの冒頭で挙げたのが;

山田慶児、『朱子の自然学』、岩波書店、1978

 でした。
 細目は→こちら;「中国」の頁の「i. 概説、通史など」の項の冒頭


 そこでの典拠となった『朱子語類』については;


溝口雄三・小島毅監修、垣内景子・恩田裕正編、『「朱子語類」訳注 巻一~三』、汲古書院、2007
巻一 理気上・太極天地上/巻二 理気下・天地下/巻三 鬼神など、
400ページ。


三浦國雄、『「朱子語類」抄』(講談社学術文庫 1895)、講談社、2008
原本は吉川幸次郎・三浦國雄、『朱子集 中国文明選 第3巻』、1976
解説 『朱子語類』について//
門生たちへ/聖人学んで至るべし/新しい古典学/世界の構造/人間の凝視/異端批判/歴史と文学など、
584ページ。

………………………

『朱子の先驅(上) 朱子學体系 第二巻』、明徳出版社、1978
解説//范文正公 附 胡安定/孫泰山/石徂徠//
司馬温公 附 歐陽永叔//
周濂溪;太極圖/太極圖説/通書//
張横渠;正蒙抄/經學理窟/語錄抄//
邵康節;皇極經世書/漁樵問答/伊川擊壤集//
程明道・程伊川;程氏遺書/程氏外書など、
540ページ。


湯浅幸孫、『近思録』(上中下)(タチバナ教養文庫 ゆ K-13, 14, 15)、たちばな出版、1996
原本は『近思録(上・下) 中国文明選 第4・5巻』、1972
上;原序/巻の一 道体篇/巻の二 為学大要篇/巻の三 格物窮理篇、400ページ。
中;巻の四 存養篇/巻の五 改過遷善克己復礼篇/巻の六 斉家之道篇/巻の七 出処進退辞受之義篇/巻の八 治国平天下之道篇、382ページ。
下;巻の九 制度篇/巻の十 君子処事之方篇/巻の十一 教学之道篇/巻の十二 改過及人心疵病篇/巻の十三 異端之学篇/巻の十四 聖賢気象篇//
  周張二程について-人と思想-など、
398ページ。

 「『近思録』は、朱熹の原序にいうように、淳煕二年(一一七六)の夏、呂祖謙、字は伯恭が浙東の東陽(金華)から、福建の建陽にあった朱熹の寒泉精舎を訪れた時、ともに商量して編輯された。周敦頤・張載・程顥・程頤四子の著作から、『その大体に関し、日用に切なるもの』六百二十二条を取って十四巻とした四氏の学の入門書」(上p.i)。


山根三芳、『正蒙』(中国古典新書)、明徳出版社、1970
解説;横渠略伝/横渠の著作/横渠の著書考/正蒙考/横渠思想研究書目//
本文;第一太和篇/第二参両篇/第四神化篇/第五動物篇/第六誠明篇/第九至当篇/第十三有司篇など、
272ページ。
張載、字は子厚、横渠先生と称される、1020-1077(p.7)。

 『正蒙』全17篇中、約半数の8篇を収める。


 上掲山田慶児『朱子の自然学』(1978 )pp.184-187 を読んで以来、邵康節/邵雍(しょうこうせつ/しょうよう Shao Yong)『皇極経世書 Huangji Jingshi こうきょくけいせいしょ』のことが気になっています。後出『西遊記』の冒頭にも登場する〈元会運世〉説について、下掲の島田虔次『朱子学と陽明学』(1967) p74 では、
「このような元会運世の説、その他さまざまな康節の説は、はたして何をめざしているのか」
と投げだされていますが、ともあれ、上掲『朱子の先驅(上) 朱子學体系 第二巻』(1978)、pp.221-290以外に;


三浦國雄、「皇極経世書 邵雍」、川勝義雄、『史学論集 中国文明選 第12巻』、朝日新聞社、1973、pp.229-312

 同書は他に;
総説//
太史公自序 司馬遷/春秋左氏伝序 杜預/史通 劉知幾;自叙、弁職/文史通義 章学誠;原道など、
450ページ。

 ちなみに、一元は12万9600年となるわけですが、川勝義雄「総説」によると、
「宇宙は『元之元之元之元』つまり『元』の4乗『2万8211兆990万7456億年』というふうに、無限に生成消滅のサイクルをくりかえしてゆく、と考えるものであった」
とのこと(p.20)。


 こちらで触れました:「仏教」の頁の「i. 須弥山/三千大千世界/四大劫・六十四転大劫など」中の 松山俊太郎、「インドの回帰的終末説」(1982)のところ

 前掲の

大島晃、「第3部第1章第2節 邵雍と張載における気の思想」、『気の思想 中国における自然観と人間観の展開』、1978、pp.396-416

 も参照。
 また;


ジョゼフ・ニーダム、『中国の科学と文明 第3巻 思想史[下]』、1991、pp.536-541;「循環過程における進化的自然主義」

 邵雍の後の展開として、許魯齋と呉臨川が紹介されています。
 他方、邵雍以前の時間周期について;


 同、『中国の科学と文明 第5巻 天の科学』、1991、pp.286-289;「共鳴周期」

 および後掲の

中野美代子、『西遊記の秘密』、2003、第2章第5節「聖数曼陀羅」、とりわけpp.179-180、195-200

 前掲の

麥谷邦夫、「始と終」、『中国宗教思想 1 岩波講座・東洋思想 第13巻』、1990、p.229

佐藤一好、「『邵雍の思想』研究史」、『中国研究集刊』、no.2、1985.6.21、pp.39-44 [ <大阪大学学術情報庫 OUKA(Osaka University Knowledge Archive) ]

佐藤一好、「邵雍の<体><用><心><迹>について」、『待兼山論叢』(哲学篇)、no.20、1986.12、pp.15-32 [ <同上 ]

川原秀城、「数と象徴 - 皇極経世学小史 -」、『中国 - 社会と文化』、no.12、1997.6、pp.394(1)-357(38)
邵雍の『皇極経世書』;歴年表/声音表/観物外篇と先天易学/術数と観物//
皇極経世学の展開;邵伯温と蔡元定の易説邵/張行成の掛一図と既済図/祝泌の起運法と語音分析/黄畿の気六変説//
小結


 「本稿の課題は、邵雍『皇極経世書』の数論 - 『数』の構造の解明にある。あわせて元明清期における皇極経世学の発展について、その概略を紹介することも企図している」(p.393(2))。
 →こちらに再録:『数と易の中国思想史 - 術数学とは何か』、2018/「中国」の頁の「iii. 科学史・天文学史とその周辺


辛賢、「『朱子語類』巻第一百 邵子之書 譯注(その一)」、『大阪大学大学院文学研究科紀要』、no.53、2013.3.31、pp.1-40 [ 同上 ]

 同、  「『朱子語類』卷第一百 邵子之書 譯注(その二)」、同上、no.55、2015.3.31、pp.19-41 [ 同上 ]

 同、  「『朱子語類』卷第一百 邵子之書 譯注(その三)」、同上、no.56、2016.3.31、pp.1-20 [ 同上 ]

 同じ著者による→こちらも参照:「中国」の頁の「太玄」の項

中島隆博[編]、『コスモロギア 天・化・時』、2015、pp.162-165:林文孝、第3章3-1「『皇極経世書』」

 比較すべき対象として、道教における〈開劫度人説〉については、上掲

神塚淑子、「開劫度人説の形成」、『六朝道教思想の研究』、1999

 また、『帝王世紀』等における天地開闢から現在までを「276万745年」とする算出については→こちらを参照:戸川芳朗、『漢代の學術と文化』、2002/「中国」の頁の「iv. 個々の著述など」の項の「その他
 →そちらも参照:武田時昌、『術数学の思考』、2018/「中国」の頁の「iii. 科学史・天文学史とその周辺

 比較の対象としてはさらに、
インドの〈(カルパ)〉説(→あちら、その他:「インド」の頁の「i. 概説など」、また→ここ:「仏教」の頁の「i. 須弥山/三千大千世界/四大劫・六十四転大劫など」中の 松山俊太郎、「インドの回帰的終末説」(1982)のところ)
 はもとより、
イスマーイール派における周期説(→そこなど:「イスラーム Ⅱ」の頁の「vi. イスマーイール派など」)、
ユダヤ教カバラーの〈シェミットート〉説も
(→ Scholem, Origins of the Kabbalah, 1990, chapter 4-6“The Book Temunah and the Doctrine of World Cycle or Shemiṭṭoth
 や
Scholem, Kabbalah, 1978, pp.116-122 “Earlier Worlds, Lower Worlds, and Cosmic Cycles (the Doctrine of Shemittot)”
 など参照のこと
 

川嶋孝周、『易學案内 皇極経世書の世界』、明徳出版社、2006
序文 甦る東洋の叡智//
易學案内;易と東洋思想/儒・仏・道 三教/決断の時/占いの意義/古今の占例/東洋思想と現代科学/『易経』の成立と構成/『易経』の基本用語/易学史//
易経;『易経』上 乾為天から離為天/『易経』下 沢山咸から火水未済//
皇極経世書の世界;干支と月の運行/宇宙の時間的解釈/『皇極経世書』が予言する人類の運命/変革と未完成〈西暦2004→2013〉/変革の中の腐敗と復興〈西暦2014→2023〉など、
328ページ。

 残念ながら『皇極経世書』自体の内容を解説するものとはなっていません。
 他方、〈元会運世〉説が『和漢三才図会』に記されていることを述べている点(p.257)を挙げておきましょう。

 確かめると;

寺島良安、島田勇雄・竹島淳夫・樋口元巳訳注、『和漢三才図絵 1』、1985、pp.305-307

武田雅哉、『星への(いかだ) 黄河幻視行』、1997、pp.47-49

 では『和漢三才図絵』のネタである明の『三才図絵』(1609)から「天地始終消息図」が挙げられていました。

中村璋八・古藤友子、『周易本義』(中国古典新書続編)、明徳出版社、1992
解説//
本文;周易本義圖/周易上經/周易下經/筮儀/附・原文(繋辭上傳・下傳)など、
292ページ。

 「朱子注の原文は掲載できず『通釈』(この中に『語釈』を挿入した)だけになり、『彖伝』『象伝』は省略」(p.291)、「繋辞伝」は原文のみ。

………………………

安田二郎、『中國近世思想研究』、弘文堂書房、1948
序(吉川幸次郎)//
朱子の「氣」に就いて-主として存在論的側面からの解明-/朱子の存在論に於ける「理」の性質について/朱子に於ける習慣の問題-序説/朱子解釋について津田博士の高敎を仰ぐ/陳白沙の學問/陽明學の性格//
安田君の遺著の後に(武内義範)、
228ページ。


島田虔次、『朱子学と陽明学』(岩波新書 637)、岩波書店、1967
新しい哲学の出発;仏教・道教のいわゆる影響/台頭する士大夫階級と宋学の理想/宋学の形成//
宋学の完成・朱子学;中国最大の思想家、朱子/朱子の論敵、陸象山//
陽明学の成立・展開;王陽明の登場/陽明学の展開、とくに左派//
儒教の叛逆者・李贄(李卓吾)など、
210ページ。

 p.92 に〈未発〉と〈已発〉という用語が出てくるのですが、これらがアリストテレースの〈デュナミス/エネルゲイア、エンテレケイア〉と比較できるものなのかどうか、ずっと気になっています(→こちらも参照:「ギリシア・ヘレニズム・ローマ Ⅱ」の頁の「vii. アリストテレース」)。
 〈未発〉/〈已発〉については→

宮下和大、「未発已発論における程朱継承再考」、『早稲田大学大学院文学研究科紀要 : 第1分冊 哲学・東洋哲学・心理学・社会学・教育学』、vol.54 no.1、2009.2、pp.33-50 [ < 早稲田大学リポジトリ(DSpace@Waseda University) ]

 も参照
 同 p.49 註 11 には関連文献として、

中純夫、「朱子の工夫論について-已発未発の問題をめぐって-」、『中国思想史研究』、no.7、1985

 が挙げられていますが、残念ながら未見。
 →こちらも参照:「世界の複数性など」の頁

子安宣邦、『鬼神論 儒家知識人のディスクール』、福武書店、1992
序 「鬼神」のディスクール/「鬼神」と「人情」/「有鬼」と「無鬼」と-鬼神と徂徠のアルケオロジー/「陰陽の鬼神」と「祭祀の鬼神」/朱子「鬼神論」の注解/「鬼神」を解釈する言説-朱子「鬼神論」の言説的構成/「鬼神」と「理」-三宅尚斎の「祭祀来格説」をめぐって、など、
212ページ。

 朱子以前の有鬼論/無鬼論を概観するには、

神塚淑子、「有神と無神」(『中国宗教思想 1 岩波講座・東洋思想 第13巻』、1990)後半の「二 鬼神論の展開」(pp.169-177)

 も参照
 また→こちらも参照:本項下掲の柴田篤「陰陽の霊としての鬼神」、1991
 日本の江戸時代における鬼神論の展開について→そちら:「日本 Ⅱ」の頁の「v. 江戸時代の儒学その他

三浦國雄、『朱子と気と身体』、平凡社、1997
気の思想としての朱子学;総説 間断のない思想/歴史意識/鬼神論/易説/呼吸論//
近世における気の心身技法;総説 三教の心身技法/気質の変革/陸游と養生/陳搏の睡功/気功と道教など、
416ページ。


小島毅、『宋学の形成と展開』(中国学芸叢書)、創文社、1999
天;天譴論/郊祀論/天理による統合/朱熹による展開/天譴論の再現/郊祀論の再現//
性;北宋の性説/朱熹の定論/心身情性/無善無悪/朱陸の異同/非難と調停//
道;主題の構成/理学の開山/虚像の成立/従祀の昇降/唐宋の変革/道統の後継//
教;聖人の教え/礼学の意義/冬官の補亡/教化の職官/家礼と郷礼/漢学と宋学など、
294ページ。


吾妻重二、『朱子学の新研究-近世史大夫の思想史的地平-』(創文社東洋学叢書)、創文社、2004
緒言//
朱子學まで-北宋期の儒教とその展開 周惇頤「太極圖」の考察;太極圖の形成-儒佛道三教をめぐる再檢討/太極圖・圖説の浸透と變容//
  士大夫の思潮;「洪範」と宋代政治思想の展開-災異説と皇極概念/晁説之について-考證學と佛教信仰のあいだ//
朱子學の思想 朱子學の基本槪念;道學の聖人槪念-その歴史的位相/理の思想-朱子學と魏晉玄學//
  易學の理論と世界觀;朱熹の象數易學とその意義/『周易參同契考異』の考察//
  朱子學の方法;重層的な知-朱熹窮理論の位相/格物窮理のゆくえ-朱熹以後における二つの方向/居敬前史/靜坐とは何か//
  政治實踐とその思想;朱熹の政治思想/朱熹の中央権力批判//
朱子學雜纂;朱熹の事迹に關する新資料-武夷山、福州鼓山の題名石刻/標點本『朱子語類』について/アメリカの宋代思想研究など、
616ページ。

………………………

多田知子、「運気論と北宋の儒者たち-その相関関係への序説-」、『中国哲学論集』、no.11、1985.10.10、pp.16-35[ < 九州大学学術情報リポジトリ(QIR)

柴田篤、「陰陽の霊としての鬼神-朱子鬼神魂魄論への序章-」、『哲學年報』、no.50、1991.3、pp.71-91

橋本敬司、「陸象山の『悟り』の構造」、『漢文教育』、no.16、1993.3.25、pp.23-36[ < 広島大学学術情報リポジトリ

溝口雄三、「中国における理気論の成立」、溝口雄三・浜下武志・平石直昭・宮嶋博史編、『世界像の形成 アジアから考える[7]』、東京大学出版会、1994、pp.77-130
「理」が自立するまで-先秦の理/存在根拠としての「理」-郭象の理/物に内在・相即する「理」-六朝期の理/「気」の哲学世界/「気の哲学」の止揚/理気論の歴史性など

林文孝、「他者の死と私/私の死と他者- 張載・朱熹・王夫之からの問い」、『山口大学哲学研究』、no.6、1997、pp.1-93 [ < 山口大学学術機関リポジトリ(YUNOCA)

嚴錫仁、「佐藤直方の理気論-朱・陸の太極論争との関連において-」、『倫理学』、no.14、1997.12.20、pp.61-74[ < つくばリポジトリ (Tulips-R)
………………………

荒木龍太郎、「楊晋菴の思想について-万暦期理気一体論の一考察-」、『中国哲学論集』、no.11、1985.10.10、pp.52-69[ < 九州大学学術情報リポジトリ(QIR)

海老江康二、「王夫之の死生観-気の善悪をめぐって-」、『倫理学』、no.1、1983、pp.13-27[ < つくばリポジトリ (Tulips-R)

陳晟秀、「王夫之の気一元論の形成過程に関する研究序説」、『倫理学』、no.19、2002.12.20、pp.39-54[ < つくばリポジトリ (Tulips-R)

 朝鮮での宋学・理気論等について→こちら:「中央アジア、東アジア、東南アジア、オセアニアなど」の頁の「iv. 朝鮮・韓国など

 宋学成立の頃と時代を同じくする蘇東坡 Su Dongpo こと蘇軾(そしょく) Su Shi (1037-1101)について;

土田健次郎、「蘇軾の思想的輪郭」、『中国 - 社会と文化』、no.12、1997.6、pp.139-171
序言/道/性/天人/科挙/仏道/結語

ix. 民間信仰その他

太田辰夫・鳥居久靖訳、『西遊記 奇書シリーズ Ⅳ』(上下)、平凡社、1972

 の劈頭、混沌と盤古にまつわる開闢、
「天地の数は、十二万九千六百年を一元とする」
と邵康節の〈元会運世説〉だの、邵康節から別の一節や『易経』が引用されたかと思えば、東勝神州・西牛貨州・南贍部洲・北倶廬州という仏教の四大陸説が挙げられたりと、はなはだ興味深い語り口を示してくれます(上巻pp.3-4)。
 『西遊記』における〈元会運世説〉の129,600という数字については下記中野美代子『西遊記の秘密』(2003)第2章第5節「聖数曼陀羅」を参照。
 また『西遊記』自体、中野美代子訳岩波文庫版全10巻もあるとのことですが、未見。

 ちなみに『西遊記』といえば、もとの勤め先は前田青邨の《西遊記下絵》を所蔵しています→ [ < 三重県立美術館のサイト

 ともあれ

中野美代子、『孫悟空の誕生 サルの民話学と「西遊記」』、玉川大学出版部、1980
序 『西遊記』成立史のスケッチ//サルの民話学;中国人とサル/好色のサル/閉じこめられるサル/求法のサル//
孫悟空の周辺;三蔵法師/猪八戒/沙悟浄または三人の弟子たち/桃と人参果//
『西遊記』の地理学;地名の虚実/『西遊記』の空間論/漠北と南海//
海を渡った孫悟空;ハヌマーンと孫悟空/民話のサルから猴行者へ/孫悟空の誕生と旅立ちなど、
296ページ。


 →こちらで少し触れました(「無支祁」と「岳瀆経」について):本頁下掲の「おまけ

中野美代子、『西遊記の秘密 タオと煉丹術のシンボリズム』(岩波現代文庫 文芸 70)、岩波書店、2003
原著は1984/1995刊
孫悟空の誕生と再生;子供を生む石-孫悟空の再生/龍からの変身-孫悟空のもうひとつの誕生/旅人の従者たち-桃太郎から『西遊記』まで//
『西遊記』の隠秘学(オカルティズム)五行思想と『西遊記』-挿入詩の謎/鉛と水銀の物語(一)-煉丹術の秘法/鉛と水銀の物語(二)-かくれたるポルノグラフィー/孫悟空と金と火-主人公たちの煉丹術的解釈/聖数曼陀羅(マンダラ)-『西遊記』における数字の神秘//
『西遊記』の社会学;星の化身たち-中国古代の夜空/神々のヒエラルヒー-道教と民間信仰/哪吒太子物語-孫悟空の分身/妖怪仮面劇-戯曲の時代と『西遊記』//
『西遊記』の解体学ノオト;呉承恩と邱処機-作者をめぐる誤解/『西遊記』の周辺-その成立前後/おとなしい斉天大聖-解体の手がかりなど、
378ページ。


中野美代子、『西遊記-トリック・ワールド探訪-』(岩波新書 666)、岩波書店、2000
三蔵法師のからだ;弱い龍王たち/「魏徴が龍を斬る」とは?/聖胎か凡胎か/三蔵の清浄な肉/三蔵のスペルマティック・クライシス/「取経」は「取精」?//
数字の読みかた;貞観十三年の謎/ふたつの中心軸/二乗数の秘密/記述された数字9と構成する数字7/シンメトリーなエピソード群/虫と女難の連鎖//
組みたて工事;
部品(パーツ)の分解/設計図の引きかた/雲南の川と金銀/(えき)による組みたて/工事現場から//
変換ものがたり;登場人物の記号論/変換する五人/三蔵の変換ものがたり/三蔵と虎のものがたり/三蔵の従者たちの変換ものがたり-むすびなど、
250ページ。

 同じ著者の→こちら(「中国」の頁の「i. 概説、通史など」)、またあちらも参照:本頁下掲の「おまけ


中鉢雅量、『中國の祭祀と文學』、1989、pp.252-295:第Ⅱ部第3章「西遊記の成立」

入谷仙介、『「西遊記」の神話学 孫悟空の謎』(中公新書 1418)、中央公論新社、1998
アテーナーから観世音へ/女神の零落/天の簒奪者/パーンドゥ五王子/ヘルメース・プロメーテウス・ヘーラクレース/祭司・戦士・生産者/孫悟空と猪八戒/猪八戒はイノシシかブタか/『西遊記』の根元テーマなど、
250ページ。


 『西遊記』がらみで;

薫若雨、荒井健・大平桂一訳、『鏡の国の孫悟空 西遊補』(東洋文庫 700)、平凡社、2002
第1回~第16回/『西遊補』答問など、
266ページ。


 「薫説(とうえつ)(1620-86)、(あざな)若雨(じゃくう)静嘨斎(せいしょうさい)主人と号す」(「あとがき」、p.262)。「製作年次(1640、20歳)」(同、p.263)。
 英語版ウィキペディアの該当頁(→こちら)によると、
"A Supplement to the Journey to the West (simplified Chinese: 西游补; traditional Chinese: 西遊補; pinyin: Xī Yóu Bǔ; Wade–Giles: Hsi-yu pu) is a Chinese shenmo novel written around 1640 CE by Dong Yue (simplified Chinese: 董说; traditional Chinese: 董說; pinyin: Dǒng Yuè)".
 →こちらでも挙げています:「マネ作《フォリー・ベルジェールのバー》と絵の中の鏡」の頁の「おまけ

二階堂善弘、『封神演義の世界 中国の戦う神々』(あじあブックス 006)、大修館書店、1998
はじめに/『封神演義』はどのような小説か?/『封神演義』の成立/戦う神々の由来/明代神怪小説の世界など、
216ページ。

二階堂善弘、『中国の神さま 神仙人気者列伝』(平凡社新書 130)、平凡社、2002
民間信仰系の神々;関帝-絶大な人気と信仰/二郎神-勇武の青年神/哪吒太子-「蓮華化身」の少年神/八仙-最も知られた仙人の代表/財富の神・趙公明と悪鬼を払う鍾馗/その他の民間信仰系の神々//
道経系の神々;最高位の神々-三清・玉皇大帝など/その他の道教神//
仏教の仏・菩薩と神々//その他の神さまたちなど、
200ページ。

………………………

鈴木中正編、『千年王国的民衆運動の研究-中国・東南アジアにおける-』、東京大学出版会、1982
総論-千年王国運動の世界史的展開(鈴木中正);千年王国信仰のルーツ/西洋千年王国信仰の原点/西洋中世千年王国運動に関する二、三の問題/イラン千年王国運動の展開/イラン的信仰と仏教の出会い-弥勒下生信仰の形成/中国における千年王国運動の展開//
各論-中国 明末清初における千年王国論的宗教運動(野口鐵郎)/清朝中期における民間宗教結社とその千年王国運動への傾斜(鈴木中正)/明清時代における聞香教と清茶門教-灤州石仏口王氏の系譜(浅井紀)//
各論-東南アジア 上座部仏教文化圏における〈千年王国運動〉研究序説(石井米雄)/サン=ホセ信徒団の反乱-十九世紀フィリピン・カソリック社会におけるコムニタス運動(池端雪浦)/サウィト事件の文化論的考察(関本照夫)など、
600ページ。


浅井紀、『明清時代民間宗教結社の研究』、研文出版、1990
明清時代の宝巻と民間宗教;羅教の成立/羅教の教義の千年王国的展開/明清時代の諸教派//
明清時代の聞香教と清茶門教;明末の聞香教に関する史料について/明末における聞香教の成立と展開/明末天啓二年の聞香教徒の反乱(上)/明末天啓二年の聞香教徒の反乱(下)/明末における奢安の乱と白蓮教/清代の清茶門教//
先天道の展開;先天道の道統/先天道の創始/道光青蓮教案/青蓮教の組織/道統の再検討/先天道の教義/斎匪と会匪など、
472ページ。


浅井紀、「羅教の支派-霊山正派」、『史学』、vol.63 no.3、1994.3、pp.261-289 [ < 慶應義塾大学学術情報リポジトリ KOARA(KeiO Associated Repository of Academic resources) ]

 仏教 Ⅱの〈弥勒〉のところで一度挙げたものですが(→こちら);

浅井紀、「黄天道とその宝巻」、『東海大学紀要. 文学部』、no.67、1997、pp.1-20 [ < CiNii Articles

浅井紀、「明末清初の大乗円頓教」、『東海大学紀要. 文学部』、no.73、2000、pp.19-40 [ < CiNii Articles

浅井紀、「明代西大乗教の教義形成」、『東海大学紀要. 文学部』、no.81、2004.9.30、pp.1-18 [ < CiNii Articles

浅井紀、「『九蓮宝巻』の成立について」、『東海大学紀要. 文学部』、no.86、2006、pp.1-17 [ < CiNii Articles

三石善吉、『中国の千年王国』、東京大学出版会、1991
緒論/序章 千年王国とは何か/黄巾の乱-道教的千年王国/大乗の乱-仏教的千年王国(マイトレーヤ・ミレニアム)/太平天国-キリスト教的千年王国/清末における儒教的千年王国/義和団-儒仏道的千年王国など、
258ページ。

………………………

坂出祥伸、『大同書』(中国古典新書)、明徳出版社、1976
解説;康有為の生涯/『大同書』のあらまし/大同思想の形成と『大同書』の著作時期/研究文献案内//
本文など、
206ページ。

 〈気〉の概念史における康有為の位置づけについて、前掲の

気の思想 中国における自然観と人間観の展開』(1978)、「第4部第2章 変法運動期における気」(有田和夫)

 も参照


河田悌一、「李大釗の時間論」、『待兼山論叢. 哲学篇』、no.5、1972.3、pp.51-77[ < 大阪大学学術情報庫 OUKA(Osaka University Knowledge Archive) ]

佐々木宏幹、「原郷回帰のシンボリズム-半島マレーシア華人社会の新宗教集団・黄老仙師慈教について」、『現代宗教-5 特集・宇宙論』、春秋社、1982、pp.142-158
慈教/儀式/機能/仮説など

武田雅哉・林久之、『中国科学幻想文学館(上)』(あじあブックス 035)、大修館書店、2001、pp.228-229

 には江希張の『大千図説』(1916)が紹介されていました。「一種の宇宙譜である。そこには、伝統的な道教的な宇宙観と、近代天文学とが渾然一体となって表現されている。おもしろいのは、星ぼしのカタログであろう。太陽系の惑星から、深宇宙のどこかの星まで、星の地理学と、生息する生物、かれらの言語文字までが、詳細に記されているのである」とのことです。p.228 にはその2ページ分が挿図として掲載。
 上巻の著者である武田雅哉については→こちらも参照:「中国」の頁の「i. 概説、通史など

宮田義矢、「現代中国の身体にまつわる神話」、松村一男・山中弘編、『神話と現代 宗教史学論叢 12』、リトン、2007、pp.371-400
はじめに;「気功」の定義/台湾に伝わる民間教派の修養法/修養法と世界の救済/「気功」の登場とブームの推移/「気功」の再神話化など

 台湾の台北に本部を置く先天救教道院・世界紅卍字会の根本経典『太乙北極真経』が説く救済史が記されています。
あわせて;


宮田義矢、「中国近代の宗教結社による『慈善』理解のために - 道院世界紅卍字会の初期経典を通して -」、『東京大学宗教学年報』、vol.ⅩⅩⅣ、2007.3.31、pp. 31-55 [ < 東京大学学術機関リポジトリ ]

ix. いわゆる少数民族、中国イスラームなど

伊藤清司、「二度の人類起源-中国西南少数民族の創世神話」、君島久子編、『東アジアの創世神話』、弘文堂、1989、pp.28-52
人類出現神話の諸タイプ/進化と眼のシンボリズム/猿からの進化論/人類の絶滅と生き残りと/洪水型人類起源神話の構造/新しい人類の創造/天災の神話的意味/神の裁きとメッセージ/今後の研究課題など

櫻井龍彦、「混沌からの誕生-『西南彝志』を中心としたイ族の創世神話」、君島久子編、『東アジアの創世神話』、弘文堂、1989、pp.53-78
宇宙起源神話/人類起源神話/洪水神話・始祖神話など

君島久子、「幻の夜郎国-竹王神話をめぐって」、君島久子編、『東アジアの創世神話』、弘文堂、1989、pp.79-101
竹王神話の担い手/夜郎国論争/竹中生誕の竹崇拝など

長谷川清、「始源の祖母-トン族の女神崇拝と社会的統合」、君島久子編、『東アジアの創世神話』、弘文堂、1989、pp.102-123
トン族の創世神話/トン族の至高神をめぐる若干の比較/トン族の歌謡と宗教儀礼/トン族の女神崇拝と社会的統合など

山口如夫・北村皆雄、「雲南・モソ族の女神と洞窟」、『ドルメン』、再刊1号、1989.10、「特集 大地と子宮のアーケオロジィ」、pp.75-92
地形と性的神話をめぐって/娘なければ水流れず-アチュウ婚の社会など

荒屋豊、「文字の実践者の誕生 : ナシ族トンパの『死者の書』の言語行為 1 (<西南中国民族特集 : 麗江納西族・美姑彝族民族調査報告Ⅱ>)」、『比較民俗研究』、no.13、1996.3、pp.108-123 [ < つくばリポジトリ (Tulips-R) ]

谷野典之、「湖北省神農架の漢族の創世神話 : 『黒暗伝』考(<シンポジウム>中国神話学の現在)」、『史学』、vol.66 no.4、1997.7、pp.613-638 [ < 慶應義塾大学学術情報リポジトリ(KOARA) ]

谷野典之、「張振犁・程健君編 『中原神話選題資料』 (中国民間文芸家協会河南分会, 一九八七年) 谷野典之 「中原神話考」 (『中国の歴史と民俗』, 第一書房, 一九九一年)」、『史学』、vol.66 no.4、1997.7、pp.661-668 [ < 慶應義塾大学学術情報リポジトリ(KOARA) ]

工藤隆、『四川省大涼山イ族創世神話調査記録』、大修館書店、2003
はじめに/用語解説//
第1回調査 1997.3.13~3.21;昆明から西昌へ/西昌から美姑へ/創世神話「勒俄特依」の取材①/②/以作村で/「勒俄特依」・主人と客の歌掛け/三河村の結婚式/書布村での鬼祓い儀礼/スニからの聞き書き・スニの鬼祓い/西昌へ戻る/揺れる飛行機で昆明へ//
第2回調査 2000.9.14~9.20;昆明から西昌へ/美姑へ・牛牛壩で葬儀見学/葬儀見学・鬼祓い/「勒俄特依」の取材・大ビモの村へ/核馬村での「勒俄特依」取材・歓迎の宴/大ビモの家に泊まる/「勒俄特依」の取材・美姑へ戻る/西昌へ戻る長い道のり/西昌~成都~昆明へ//
神話の現場から見た古事記-大涼山()族の創世神話をモデルとして;文字の神話と歌う神話/神話の現場の八段階/周知の「ギリシア神話」のほとんどは《番外の第九段階》/オルフェウス神話と黄泉の国神話/歓迎の宴で歌われた神話-「酒を勧める歌」/「酒を勧める歌」を分析する/「酒を勧める歌」から見える記紀歌謡/古事記成立過程のモデル化が必要//
創世神話・勒俄特依(ネウォテイ)本稿「勒俄特依」完成の経緯/漢字表記と概略神話/イ語音・中国語音とカタカナ表記//
勒俄特依(ネウォテイ)前口上/天と地の系譜/天地開闢(天と地を分ける)/大地を改造する/太陽と月の系譜/雷の起源/生物を創造する/人類の起源/雪族の十二人の子/支格阿龍(チュクアロ)阿留居日(アニュジュズ)/太陽を呼び、月を呼ぶ/父を探し、父を買う/洪水が氾濫する/天と地の結婚の歴史/賢くなる水と愚かになる水を飲み分ける/住む場所を探す/兜と鎧の祭祀/川を渡る/曲涅(チョニ)古侯(グホ)の化け競べ/歴史の系譜//
[補]イ文字表記・
勒俄特依//コラム/古事記への視点など、
760ページ。

 「勒俄特依」校訂:摩瑟磁火(モソツホ)、中国語から日本語への翻訳:張正軍(ヂャンヂョンジュン);詳細はp.272。
 同じ著者の→こちらも参照:「日本」の頁の「ii. 古事記・日本書紀とその周辺


廣田律子、「祭祀儀礼の中の神話」、篠田知和基編、『神話・象徴・文化』、楽瑯書院、2005、pp.233-262
盤獲(瓠)/盤古/竹王/南山老人・南山小妹など

廣田律子、「ヤオ族還家愿儀礼調査ノート-湖南省藍山県馮家の事例から-」、『神話・象徴・文化 Ⅱ』、楽瑯書院、2006、pp.213-246
還家愿儀礼実施状況/経典の内容/神像について/考察など

君島久子、「星空の断想」、篠田知和基編、『天空の神話-風と鳥と星』、楽瑯書院、2009、pp.11-16
天女と昴/龍牙の星など

山本節、「台湾高砂族ブヌン族の口頭伝承」、篠田知和基編、『天空の世界神話』、八坂書房、2009、pp.171-197
ブヌン族卓社群(ブカイ村在住)における伝承;太陽征伐の話/「太陽征伐以後」の話-「ダキ-ヴォアン」姓・「ダマラサン」姓の由来-/ブヌン族の始祖伝承/ブヌン族の移住伝承//
ブヌン族における「太陽征伐」の伝承(既刊文献資料による);伝承事例//
ブヌン族「太陽征伐」伝承のモチーフ・要素;「矢で眼精を射る」モチーフ/天与の食物/月を作った氏族など


岡部隆志、「中国西南地域の『洪水神話』」、斎藤英喜・武田比呂男・猪股ときわ編、『躍動する日本神話 神々の世界を拓く』(叢書・〈知の森 7〉)、森話社、2010、pp.34-35

 →こちらの百田弥栄子「中国の天空神話」(2009)も参照:「中国」の頁の「ii. 中国の神話とその周辺
………………………

松本耿郎、「馬聯元著『天方性理阿文注解』の研究」、『東洋史研究』、vo.58 no.1、1999.6、pp.211-176 [ < 京都大学学術情報リポジトリ(KURENAI) ]

 同じ著者による→こちらも参照:「イスラーム」の頁の「ii. 思想史・哲学史的なものなど


松本耿郎、「中国イスラームの精神世界-劉智の『五更月』について-」、『思想』、no.941、2002.9:「イスラーム」、pp.154-165
『五更月』の構造/『五更月』の倫理観など

松本耿郎、「中国イスラーム存在一性論の"体一"について-馬聯元著「天方性理阿文注解」の第五章を中心に見る-」、『人間文化』、no.6、2003.3、pp.1-23 [ < CiNii Articles

松本耿郎、「イスラーム存在一性論の構造と知的生命力」、『宗教研究』、vol.78 no.2、2004.9.30、pp.347-371 [ < CiNii Articles

松本耿郎、「馬徳新とイスラーム思想の儒教的展開-非暴力・平和の思想-」、『サピエンチア : 英知大学論叢』、 no.40、2006.2.28、pp.141-160 [ < CiNii Articles

松本耿郎、「中国イスラーム哲学思想における『全体大用』に関する考察-馬復初(徳新)における『全体大用』を中心に-」、『サピエンチア : 英知大学論叢』、 no.41、2007.2、pp.269-287 [ < CiNii Articles

松本耿郎、「イスラームの死生観と馬復初の来世観」、『サピエンチア : 英知大学論叢』、 no.43、2009.2、pp.143-164 [ < CiNii Articles

佐藤実、『劉智の自然学-中国イスラーム思想研究序説-』、汲古書院、2008
論文篇;劉智伝/気/五行(その一) 五行と四行の関係/五行(その二) 五功と五行-『五功釈義』における五行/動物学-『天方典礼』飲食章考/脳生理学-明末清初における脳の機能の諸説/『天方性理』における聖人概念について//
考証篇;『天方性理』『天方典礼』『天方至聖実録』の版本について/中国ムスリムの音訳特殊漢字と小児経/定本『天方性理』など、
394ページ。

 →松本耿郎による書評、『イスラーム世界研究』、vol.3 no.1、2009.7、pp.477-480 [ < 京都大学学術情報リポジトリ(KURENAI) ]


『中国のイスラーム思想と文化(アジア遊学 129)』、勉誠出版、2009
「『中国のイスラーム思想と文化』序説-中国イスラーム哲学研究の現在」(堀池信夫)/中国ムスリム・コミュニティの形成と多様性(黒岩高)/イスラームと儒教の距離-中国イスラーム思想の歴史 王岱輿、馬注、劉智(佐藤実)/李贄-思想言語を獲得したムスリム知識人の先駆(青木隆)/中国思想とイスラーム思想の境界線-劉智の「有」論(仁子寿晴)/元朝期東アジアのスーフィズム(矢島洋一)/アラビア語と漢語が結ぶ中国ムスリム像(中西竜也)/霊明堂における宗教教義の思想的系譜(王健新)/中華民国期における「中国イスラーム新文化運動」の思想と構造(安藤潤一郎)/「満州国」のムスリム(田島大輔)/虐殺を逃れ、ミャンマーに生きる雲南ムスリムたち(木村自)/消えゆく北京のムスリム・コミュニティ-トルコ系ムスリム居住区「回子営」の二五〇年(小沼孝博)/都市の再開発と回族コミュニティーの変貌-江蘇州南京市の事例から、など、
特集部分205ページ。


中西竜也、「イスラームと道教のアマルガム」、『知の継承と展開 イスラームの東と西 知のユーラシア 2』、2014、pp.177-202
中国のカーディリーヤ派/「師祖上人碑記」の道教的解釈/「師祖上人碑記」のスーフィズム的解釈/楊保元『綱常』の「坎離顚倒」と「河図」

佐藤実、「『清真釈疑』におけるムスリムの儒者批判」、同上、pp.203-227
『清真釈疑』の構成/儒教の経典を引用して説くということ/上帝と主宰・真宰

おまけ

ライプニッツ著作集 10 中国学・地質学・普遍学』、工作舎、1991

 は;

山下正男訳・解説、「0と1の数字だけを使用する二進法算術の解説、ならびにこの算術の効用と中国古代から伝わる伏羲の図の解読に対するこの算術の貢献について」(1703)

 同、 「中国自然神学論-中国哲学についてド・レモン氏に当てた書簡」(1716/未完)

 同、 「最新中国情報 序文」(1695/1699)

 を所収、
 同巻に付された月報「発見術の栞 6」には

堀池信夫、「『理』と『気』とモナド」

 が掲載されています。

 あわせて前掲;

ジョゼフ・ニーダム、『中国の科学と文明 第2巻 思想史[上]』、1991、pp.383-388;「『易經』とライプニッツの2進法算術についての補遺」
 (同書 pp.332-334、336-346 なども参照)


 同、 『中国の科学と文明 第3巻 思想史[下]』、1991、pp.547-558;「朱熹、ライプニッツ、および有機体哲学」

島尾永康・E.J.アイトン、「ライプニッツと易に関する五来欣造の先駆的研究」、1982

 ライプニッツについては→こちらを参照:「バロックなど(17世紀)」の頁の「viii. ライプニッツなど
………………………

Raymond Koechlin, “La Chine en France au XVIIIe siècle”, Gazette des Beaux-Arts, no.638, 1910.8, pp.89-103
「18世紀のフランスにおける中国」

荒俣宏、『99万年の叡智 近代非理性的運動史を解く』、1985、pp.64-77:「第1部3 支那のイエズス会」
礼拝堂(チャペル)の暗闇 - 物語風なはじまり/「オリエンタリスト」について/キルヒャーの場合/キルヒャーからリッチへ/マテオ・リッチの場合

  同上、pp.214-238:「第2部3 支那の秘密結社」
支那の秘密結社、千年王国から共同体へ - 前説/上海は滅びるという意見/上海は滅びないという事実/上海がもつ不気味さの意味

 中国の文化に材を得たフィクションもきりがないほどあることでしょう。もとの勤め先で2008年に開催された『液晶絵画 Still/Motion 』展でも、邱黯雄(チウ・アンション)《新山海経・二》(2007、cat.no.8)という作品が出品されたりしたことがありますが、ここではまず、;


マルグリット・ユルスナール、多田智満子訳、『東方綺譚』、1984

 から

「老絵師の行方」

山田正紀、『崑崙遊撃隊』(角川文庫 緑 446-4)、角川書店、1978

 山田正紀について→こちらも参照:「近代など(20世紀~) Ⅵ」の頁の「山田正紀」の項

 上の作品のような神学的モティーフを有するわけではないにせよ、舞台となる時代が重なるというただそれだけの理由で、なぜか対になって思い浮かぶのが;

森川久美、『蘇州夜曲』(花とゆめ COMICS 248)、白泉社、1981

 こちらには続篇『南京路(ナンキン・ロード)に花吹雪』全4巻(花とゆめ COMICS 304/432/433/434)、白泉社、1982~1983、『Shang〜hai 1945』全2巻(PFコミックス PFC-641/642)、小学館、1987 があります。
 森川久美については→こちらも参照:「ルネサンス、マニエリスムなど(15~16世紀)」の頁の「おまけ


諸星大二郎、『孔子暗黒伝』(1 赤気篇/2 東夷篇)(ジャンプ・スーパー・コミックス JSC 050/052)、集英社、1978

 諸星大二郎について→こちらも参照:「近代など(20世紀~) Ⅵ」の頁の「諸星大二郎」」の項
 著者にはこれ以外にも一連の中国ものがあって、手もとにあるものだけ挙げても;


『無面目・太公望伝』(潮漫画文庫)、潮出版社、2001(初出は1987~1988)

 「無面目」は『荘子』内篇第七「応帝王篇」の末尾、渾沌の段を物語化したものですが、その中で東方朔が登場します。

 ちなみに東方朔といえば、もとの勤め先は月僊の《東方朔》図を所蔵しています。また太公望については、曾我蕭白、平福百穂それぞれの《太公望》図がありました→ [ < 三重県立美術館のサイト


『私家版鳥類図譜』(KCDX 1694 MORNING)、講談社、2003

 中の「第3羽 鵬の墜落」は『荘子』内篇第一「逍遙遊篇」に登場する〈(こん)〉変じた〈(ほう)〉(→こちらでも少し触れています:「原初の巨人、原初の獣、龍とドラゴンその他」の頁。本頁少し下で挙げた佐藤史生「打天楽」も参照→こちらの2)と女媧による天地修復および人間創造を掛けあわせた話。

「桃源記」(1980)、『諸星大二郎自選短編集 彼方より』(集英社文庫 も 9-4)、集英社、2004、pp.175-222

『異怪録 諸怪志異(一)』(双葉文庫 も 09-02)、双葉社、2007(原著は1989刊)

『壺中天 諸怪志異(二)』(双葉文庫 も 09-03)、双葉社、2007(原著は1991刊)

『鬼市 諸怪志異(三)』、双葉社、1999

『燕見鬼 諸怪志異(四)』、双葉社、2005

阿嫦(あこう)」(1998)、「星山記」(1990)、『巨人譚』(光文社コミック叢書 SIGNAL)、光文社、2008、pp.267-286、287-317

『碁娘伝』(潮漫画文庫)、潮出版社、2007(原著は2001刊)

 そして;

『西遊妖猿伝 大唐篇』(全10巻)(KCDX 2661~2721 MORNING)、講談社、2009(初出は1983~1987、その後も継続;原著は全16巻、1998~2000刊)

 女性キャラクターが魅力的だったとの印象が残っています。
 なお、第10回に登場する五行山白雲洞の岩壁に古代の文字で刻まれていたという碑文(第1巻、pp.352-359 など。また秘文字で書かれた部分については第11回、同、pp.397-398 など)もさることながら、先立つ第3回には、斉天大聖こと無支奇(むしき)ことを記したという『岳瀆経(がくとくけい)』なる古文書のことが触れられています(同、pp.74-76)。試しに検索してみると、ウィキペディア日本語版の「無支祁(むしき、ぶしき)」の頁に出くわしました→こちら。そこで挙げられた文献から確認できたものだけ挙げておくと;

 中野美代子、『孫悟空の誕生 サルの民話学と「西遊記」』、1980、「Ⅰ-3 閉じこめられるサル」、pp.54-57

 袁珂、鈴木博訳、『中国の神話伝説』上巻、1993、「羿禹篇(下 第2章)」、p.344、p.346

 実吉達郎、『中国妖怪人物事典』、1996、pp.582-585:「【巫支祁】ふしき」

 この内中野美代子の本には、唐代の伝記作家李公佐(りこうさ)の「『太平広記』巻467に録されている『李湯(りとう)』という物語を紹介」(p.54)しつつ、
「実在の書『山海経』を架空の書『岳瀆経』に改めた」(p.56)
と記し、『岳瀆経』に註1 を付して、
「『瀆』とは大河のこと。…(中略)…『岳瀆』とは『山川』のことで、『山海経』に対してこういう書名をデッチあげたのであろう」(p.231)
と記していました。
こちらでも触れました(「言葉、文字、記憶術・結合術、書物(天の書)など」の頁の「おまけ」)
 また、毘藍婆菩薩の名に関して、→そちらでも触れました(「仏教」の頁の始め

『西遊妖猿伝 西域篇』(第1巻)(KCDX 1808 MORNING)、講談社、2009、以後2013年8月現在第4巻まで/2015年4月に第6巻、間をあけて2020年7月に『西域篇 火焔山の章 1』

 『西域篇 2』から『4』に収められた「粟特城(ぞくとくじょう)の章」(第9回~第18回)、「毒敵山(どくてきさん)の章」(第19回~第23回)は、ソグド人と祆教(けんきょう)ことゾロアスター教に関わる舞台で展開するので→こちらにも挙げておきます(「イラン」の頁の「おまけ」」)

石川英輔、『SF西遊記』(講談社文庫 い 10)、講談社、1981
原著は1976刊

 →同じ著者の『SF妙法蓮華経』(1989)も参照

佐藤史生、「打天楽」、『打天楽』(PFビッグコミックス PFC-691)、小学館、1987、pp.5-95

 →こちら(「インド」の頁の「おまけ」)に挙げた『ワン・ゼロ』の外伝。
 そこでも触れた〈(クワン(かん))〉(p.35=”眠らない魚”(p.34)、「世界は彼がみている夢だそうだ」(p.36)、また p.77)は、本頁少し上(→こちらの2)で挙げた諸星大二郎『私家版鳥類図譜』中の「第3羽 鵬の墜落」のところや、→こちらの3(「原初の巨人、原初の獣、龍とドラゴンその他」の頁)でも挙げた、 『荘子』内篇、「第一 逍遙遊篇」冒頭の〈(こん)(ほう)〉とはまた違うのでしょうか?(同じ p。36 で〈胡蝶の夢〉が言及されます)。
 他に太王母、麒麟、開明獣、巫山、銀海、晶泉宮などのイメージが出てきます。


光瀬龍、『異本 西遊記』、1999

石川賢、シナリオ協力:若桑一人、『禍 MAGA』(全2巻)(BIG CIMCS BC5571~5572)、小学館、2000

 こちらも西遊記ネタです。
 「『宇宙』のすべてが多次元の曼荼羅により、動いているのだ!!」
なんて台詞があります(第2巻、第20話、p.178)。
 同じ著者による→こちらも参照:「近代など(20世紀~ ) Ⅵ」の頁の「xxiii. 日本の漫画、アニメーションその他」内


バリー・ヒューガート、和爾桃子訳、『鳥姫伝』(ハヤカワ文庫 FT 308)、早川書房、2002

  同、  『霊玉伝』(ハヤカワ文庫 FT 330)、早川書房、2003

  同、  『八妖伝』(ハヤカワ文庫 FT 340)、早川書房、2003
原著は各 Barry Hughart, Bridge of Birds, 1984 ; The Story of the Stone, 1988 ; Eight Skilled Gentlemen, 1991

 随所で登場いただいた著者(→こちら(「中国」の頁の「i. 概説、通史など」や、そちら(本頁上掲「ix. 民間信仰その他」)、またあちら(「グノーシス諸派など Ⅲ」の頁の「おまけ」)も参照)による;

中野美代子、『契丹伝奇集』、日本文芸社、1989

五十嵐大介、『SARU』(上下)、2010

 および対をなす競作が

伊坂幸太郎、『SOSの猿』(中公文庫 い 117-1)、中央公論新社、2012
 2009年刊本の改訂版

 なお、

『劇場版 カードキャプターさくら』、監督:浅香守生、原作:CLAMP、1999

 は舞台が香港で、その地霊が大きな役割を担っているととれなくもなく、また、

『R.OD THE TV』、監督:舛成孝二、原作・脚本:倉田英之、2003~2004

 も香港で物語が始まり、前半のクライマックスにあたる第12話「紙々の黄昏」および第13話「続・紙々の黄昏」では香港が崩壊していたりしました。ちなみにこの作品でも、後半、神学的なモティーフが鍵となっています(→こちらにも挙げておきます:「近代など(20世紀~) Ⅵ」の頁の「xxiii. 日本の漫画、アニメーションその他」)。
 その他、実写ですが;

『香港パラダイス』、監督:金子修介、1990

『ハムナプトラ 3 呪われた皇帝の秘宝(The Mummuy: Tomb of the Dragon Emperor)』、監督:ロブ・コーエン、2008

 といった作品もありましたが、ここは何より;

『白夫人の妖恋』、監督:豊田四郎、1956

 脇役ですが、八千草薫演ずるシャキシャキした侍女が印象的でした。
 ちなみに原作は;


林房雄、「白夫人の妖術」、『白夫人の妖術』(新潮文庫、新潮社、1951)所収

 音楽の領域では、


David Bowie, Let's Dance, 1983(邦題:デビッド・ボウイ、『レッツ・ダンス』)(1)

 のA面2曲目に
“China Girl”(邦題「チャイナ・ガール」)というのがあったりしますが-ちなみにこの曲はボウイとイギー・ポップの共作で、もともとボウイがプロデュースした
Iggy Pop, The Idiot, 1977 (未見)
収録曲とのこと-、
 ここはやはり、
1 . 『ストレンジ・デイズ』、no.90、2007.3、「デヴィッド・ボウイ~八つの時代」、p.13。
 『ストレンジ・デイズ』、no123、2010.2、「デヴィッド・ボウイ PART 3」、p.93。
 →こちらも参照:『ハンガー』(1983)の頁

Mr.Big, Sweet Silence, 1975(邦題:ミスター・ビッグ、『甘美のハード・ロッカー』)(2)

 B面1曲目の
“Zambia”(邦題「麗しのザンビア」)をはずすわけにはいきますまい。
2. 平野和祥広監修、『ブリティッシュ・ハード・ロック The DIG Presents Disc Guide Series #007』、シンコーミュージック、2002、p.167。
 →そちらも参照:『吸血鬼』(1932)の頁の「おまけ

Eno, Taking Tiger Mountain (By Strategy), 1974(邦題:イーノ、『テイキング・タイガー・マウンテン』)(3)

 B面4曲目の“China My China”(「チャイナ・マイ・チャイナ」)、続くB面5曲目にしてラスト、“Tiger Mountain”(「タイガー・マウンテン」)。
 余談になりますが、そういえば以前、イーノの作家解説を書いたことがあったりしました;→「ブライアン・イーノ」、『液晶絵画 STILL / MOTION 』展図録、2008、p.100 [ < 三重県立美術館のサイト
3. たぐちくにこ、「ENO・不協和音の美しさ」、『ロッキングオン』、no.16、1975.5、pp.32-33。
 The Bible. rock magazine 04
、ロックマガジン社、1981、p.80。
 エリック・タム、小山景子訳、『ブライアン・イーノ』、水声社、1994、pp.165-167、179-180、p.352。
 「ブライアン・イーノを紐解く七つのキーワード」、『ストレンジ・デイズ』、no.72、2005.9、p.42。
 『グラム・ロック黄金時代1971-77:フィーチャーリング・モダーン・ポップ』(CDジャーナル・ムック)、音楽出版社、2012、pp.50-51。
 『グラム・ロック』、シンコーミュージック・エンタテイメント、2014、p.65。
 →あちら(:「アフリカ」の頁の「おまけ」)や、あちらの2(『ウルトラQ』第9話「クモ男爵」の頁の「おまけ」)、またあちらの3(「マネ作《フォリー・ベルジェールのバー》と絵の中の鏡」の頁の「おまけ」)も参照

Can, Tago mago, 1971(4)

 3枚目、2枚組のD面1曲目というか前半が、
"Peking O."、11分35秒。
4.  『ユーロ・ロック集成』、マーキームーン社、1987/90、p.115。
 『ジャーマン・ロック集成 ユーロ・ロック集成2』、マーキームーン社、1994、p.51。
 明石政紀、『ドイツのロック音楽 またはカン、ファウスト、クラフトワーク』、水声社、1997、pp.62-67。
 小柳カヲル、『クラウトロック大全』(ele-king books)、Pヴァイン、2014、p.21。
 松山晋也監修・編集、『カン大全 - 永遠の未来派』(別冊ele-king)、Pヴァイン、2020、p.124。
 カンのアルバムから→ここを参照:「近代など(20世紀~ )」の頁の「おまけ

 また、

イエロー・マジック・オーケストラ、『イエロー・マジック・オーケストラ』、1978

 には「イエロー・マジック(東風)
Yellow Magic (Tong Poo)」や「中国女 La femme chinoise」といった曲が(いずれもゴダールの映画に由来するのでしょう、「マッド・ピエロ Mad Pierrot」なる曲もありました)、

細野晴臣、Coincidental Music、1985

 には「中国の人」、

坂本龍一、『未来派野郎』、1986

 には「黄土高原」が収められていました。


Amon Düül Ⅱ, Meetings wuth Menmachines Inglorious Heroes of the Past ...., 1983(→そこを参照:「近代など(20世紀~ ) Ⅳ」の頁の「おまけ」)

 B面に3曲収められているのですが、タイトルの切れ目がよくわからない。ともあれ1曲目が
"Confucius Say"ないし"Confucius Say Things Are Often Not What They Seem"、4分11秒(ちなみに2曲目が"Things Are Often Not What They Seem"ないし"Brumundi"、4分23秒、3曲目が"Brumundi Drummer's Nightmare"ないし"Drummer's Nightmare"、8分36秒)。

Joe Jackson, Big World, 1986(邦題:ジョー・ジャクソン、『ビッグ・ワールド』)(→あそこも参照:「アメリカ大陸など」の頁の「おまけ」)

 のB面1曲目、
“Shanghai Sky”(邦題:「シャンハイ・スカイ」)も挙げておきましょう。

 Tuxedomoon (→こっちも参照:「エジプト」の頁の「おまけ」)のメンバーのソロ・ミニ LP で、

Blaine L. Reininger, Instrumentals 1982-86, 1987

 より “Les nuages / Petite pièce chinoise” 

Japan, Tin Drum, 1981(邦題:ジャパン、『錻力の太鼓』)

 の6曲目、
“Visions of China”(邦題:「ヴィジョンズ・オブ・チャイナ」)、さらに4曲目“Canton”(邦題:「カントン」)および8曲目、ラストの“Cantonese Boy”(邦題:「カントニーズ・ボーイ」)。4曲目は器楽曲です。
 上のアルバムは5枚目ですが、翻ってファンク色の濃い1枚目、


Japan, Adolescent Sex, 1978(邦題:JAPAN、『果てしなき反抗』)

 のB面3曲目は
“Communist China”(邦題:「コミュニスト・チャイナ」)でした(→そっちも参照:「アフリカ」の頁の「おまけ」)。 

Siouxsie and the Banshees, The Scream, 1978(5)

 1枚目のA面1曲目が
“Hong Kong Garden”
5 . 阿木譲、『イコノスタシス』、impetus、1984、pp.130-132。
 Cf. サイモン・レイノルズ、野中モモ監修・訳、・新井崇嗣訳、『ポストパンク・ジェネレーション 1978-1984』、シンコーミュージック・エンタテイメント、2010、pp.284-286、p.293。
 →あっち:『姦婦の生き埋葬』(1962)の頁の「おまけ」や、こなた:「アメリカ大陸など」の頁の「おまけ」、またそなた:「イスラーム Ⅲ」の頁の「おまけ」も参照

SFF (Schicke Führs Fröhling), Symphonic Pictures, 1976(6)

 1枚目のA面1曲目が
“Tao”(邦題:「タオ」)、8分37秒、器楽曲(手もとにあるのはスタジオ・アルバム3枚を集めた The Collected Works of Schicke Führs Fröhling, 2003 (『コレクテッド・ワーク・オヴ・SFF』)より)。同じ曲は

SFF (Schicke Führs Fröhling), Live 1975, 2002

 でも1曲目として収録、9分25秒。
6. 『ユーロ・ロック集成』、マーキームーン社、1987/90、p.133 ;
『ジャーマン・ロック集成 ユーロ・ロック集成2』、マーキームーン社、1994、p.225 ;
 『ユーロ・ロック・プレス』、vol.20、2004.2、pp.62-63 ;
 片山伸監修、『ユーロ・プログレッシヴ・ロック The DIG Pr esents Disc Guide Series #018』、シンコーミュージック、2004、p.77。
 →あなたで名を挙げました:『インフェルノ』(1980)の頁

Captain Beefheart and the Magic Band, Doc at the Radar Station, 1980

 時たまメロトロンが鳴り響く11枚目、B面5曲目"Sheriff of Hong Kong"、6分33秒。この曲でもメロトロンが弾かれます。
 同じアルバムから→こちらを参照:「エジプト」の頁の「おまけ


Social Climbers, Social Climbers, 1981

 ニューヨーク出身のポスト=パンク系のバンドとこのことで、オルガン+リズム・マシーン、ベース、ギターのからみが印象的です。知人はやはり1枚しかアルバムを残さなかったヤング・マーブル・ジャイアンツ(1980)を引きあいに出していました。そのアルバムの元はラスト、9曲目が
“Taipei”、4分57秒。
 ちなみに手もとのCDにはボーナス・トラックが2曲入っているのですが、その2曲目はドラムスが加わってからの録音で、
“The Day the Earth Stood Still”(3分45秒)、すなわちバーナード・ハーマンによる『地球の静止する日』(1951、監督:ロバート・ワイズ)のテーマなのでした。

Mulatu Astatke / The Heliocentrics, Inspiration Information, 2009(邦題:ムラトゥ・アスタトゥケ/ザ・ヘリオセントリクス『インスピレーション・インフォメーション・3』)

 エチオピア・ジャズの旗手とイギリスの「エクスペリメンタル・ファンク・バンド」(帯より)が協演したアルバムの9曲目が
"Chinese New Year"、3分46秒。
 同じアルバムから別の曲→「怪奇城の高い所(後篇) - 塔など」の頁の「v. 鐘塔など」の項
 

 『列子』で語られた〈杞憂〉(「天瑞篇 第一」-12、第1巻 pp.57-61)のエピソードを連想させずにいないのが、


四人囃子、『一触即発』、1974(7)

 1枚目のB面の3分の2を占める1曲目、タイトル曲、12分18秒。
 同じアルバムから別の曲→こちら:「怪奇城の高い所(後篇) - 塔など」の頁の「v. 鐘塔など
 ジャケットに関して→そちらで触れました:「インド」の頁の「ix. 象・亀・蛇など
 
7. ヌメロ・ウエノ、たかみひろし、『ヒストリー・オブ・ジャップス・プログレッシヴ・ロック』、マーキームーン社、1994、pp.207-210。
 ジュリアン・コープ、奥田祐士訳、『ジャップロック サンプラー』、白夜書房、2008、pp.345-346。
 舩曳将仁監修、『トランスワールド・プログレッシヴ・ロック DISC GUIDE SERIES #039』、シンコーミュージック・エンターテイメント、2009、p.43。
『レコード・コレクターズ11月増刊号 日本のロック/フォーク・アルバム・ベスト100 1960-1989』、2010.11、p.15、p.70。

Cf. 難波弘之・井上貴子編、『証言! 日本のロック70's ニュー・ロック/ハード・ロック/プログレッシヴ・ロック編』、アルテスパブリッシング、2009、pp.203-264:「Part 4 プログレの技術と精神」
  
 ちなみに、空が落ちてきそうになるわけではありませんが、聴いていて「一触即発」を連想したのが、

GO!GO!7188、『魚磔(ぎょたく)』、2001

鹿児島出身の三人組、その2枚目の6曲目、「桜島」でした。4分4秒。

 同じバンドによる→こちら(「近代など(20世紀~) Ⅱ」の頁の「おまけ」)を参照


 戻って、

The Cat Empire, Steal the Light, 2013

 オーストラリア出身のラテン系(?)バンドの6枚目、タイトル曲にして3曲目、3分45秒。出だしの旋律からサビへの移行部分で、波のように寄せてくるホーン・セクションの甲高い音の塊が印象的な曲ですが、歌詞をたまたま見てみると、
 「空が落ちて消えるとしたってどうだっていうんだ
What if the skies should fall and disappear?
とか
 「空が落ちて消えてしまうまで
Until the skies fall down and disappear
なんて歌っていました。

 同じバンドによる→こちらを参照:『幽霊西へ行く』(1935)の頁の「おまけ


 日本のバンドに戻って;

ケンソー、『内ナル声ニ回帰セヨ』、2014

2023年8月1日現在、最新のスタジオ盤となる9枚目、その3曲目が「江天暮雪」、4分20秒。アコースティック・ギターとピアノがからみあう器楽曲です。
 〈江天暮雪〉は〈瀟湘八景〉の内の一つです。元の勤め先が横山操の《瀟湘八景》(1963)を所蔵していたので、何となく馴染みがあるように思い込んでしまいました。『横山操と横山大観の瀟湘八景と近代の日本画 - 茨城県近代美術館所蔵品を中心に -』展(1990年4月28日~5月13日)という企画展が開かれたこともあります→こちら(『年報 1990-91』内)。〈瀟湘八景〉についてはまた、
 渡辺明義、『瀟湘八景図 日本の美術 No.124』、至文堂、1976.9
を参照ください。
 ケンソーに関して→そちらも参照:「近代など(20世紀~) Ⅳ」の頁の「おまけ

2013/08/17 以後、随時修正・追補 
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