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日本
i 概説、通史など
ii 古事記・日本書紀とその周辺
iii 陰陽道、修験道など
iv 神仏習合、中世神話など
v 江戸時代の儒学その他
(安藤昌益、三浦梅園、、『和漢三才図絵』、鯰絵など)
vi キリシタン、蘭学・洋学とその周辺
  vii 国学など 
   viii 近世から近代にかけてのいわゆる霊学・古神道など 
 ix いわゆる民衆宗教・新宗教など
   x いわゆる古史古伝・偽史、神代文字など
   xi 近代など
  xii 琉球、アイヌなど
    おまけ 

 重複するものもありますが、仏教については→別のページへ

* 古文や漢文も、勉強不足のため残念ながらわかりません。
 そもそも日本史さえ、頭に入っていないのです。
 例によって、多々誤りもあろうかと思いますが、ご寛恕ください。
i. 概説、通史など

 まずは通史として

荒川(ひろし)、『日本人の宇宙観 飛鳥から現代まで』、2001
飛鳥人と宇宙;天武の時代の天体観測/飛鳥人と中国宇宙論/飛鳥仏教と宇宙/時間の秩序//
日本神話の宇宙;垂直の宇宙 - 高天が原と葦原の中つ国/水平の宇宙 - 常世の国と妣の国/高天が原の原像/日の宇宙軸の成立/都城と宇宙 - 北辰の宇宙軸/記紀の宇宙創成論 - 混沌からの天地の生成/天命 - 王権と宇宙論/天と自然//
仏教の宇宙;奈良仏教の宇宙観/須弥山宇宙/密教の宇宙/都率天と高天が原 - 弥勒信仰/地獄の日本化/極楽 0 -常世の国と妣の国への回帰/仏教の宇宙創成論/仏教的宇宙の新展開/朱子学の宇宙論の伝来/自然に生き、自然を詠う//
キリシタン天文学;イエズス会の教育活動/ゴメスの宇宙論『天球論』/カテキズモ - 「無からの創造」/ハビアンの『妙貞問答』/キリシタン宇宙論への反発/日本人とキリスト教/キリシタンの宇宙論との妥協/天球地球説のひろがり//
地動説の受容;キリシタン天文学の地動説/長崎の通詞による地動説の紹介/ニュートン力学的宇宙論/地動説の啓蒙と近代思想/天文方と地動説//
国学的宇宙論の成立;仏教的宇宙論の復活/国学的宇宙論の成立/平田篤胤の宇宙創成論/宣長の自然と芭蕉の自然/朱子学・古学派・蘭学/近代化にむけて//
明治の近代化と宇宙意識;地動説と「天」の思想/東京大学の設立と天文学/社会有機体説と星雲説/内村鑑三とキリスト教の宇宙/記紀神話の復活//
現代宇宙論との出会い;相対論的宇宙論/アインシュタインと日本人の自然観/西田幾多郎と和辻哲郎/戸坂潤の空間論/賀川豊彦と宮沢賢治の宇宙/現代の宇宙論/日本人の宇宙と自然など、
366ページ。

 同じ著者による→こちら(「通史、事典など」の頁の冒頭)、およびそちら(本頁「ii. 古事記・日本書紀とその周辺」)も参照

………………………

 天文学史として

中山茂、『日本の天文学 - 西洋認識の尖兵 -』(岩波新書 837)、岩波書店、1972
都の天文博士;古代の科学者、方技/陰陽寮の組織/天文と暦学の関係/王朝期の天文博士/暦計算の役割/仏教天文学と宿命占星術//
江戸の天文方(その一);改暦の必要/渋川春海の活躍/貞享暦の評価/春海の西洋天文学観/天文方と土御門家/宝暦改暦//
長崎の通詞たち;南蛮天文学/コペルニクス説と本木良永/コペルニクス説の受容の仕方/志筑忠雄の「地動説」/中国と比べて/東洋最初のニュートン主義者/忠雄の影響//
江戸の天文方(その二);麻田派と寛政改暦/高橋至時とケプラー/ラランドと天保改暦/後期天文方の活動//
西洋宇宙観に対する仏・儒・神の反応仏教側の反応/僧文雄の反アリストテレス論/円通と梵暦運動/儒者の立場/国学者と近代化学//
大学の天文学者;天文方の末路/土御門家の興隆と衰退/太陽暦改暦/実学としての天文学/大学における天文学/国際協力の方向/物理学の侵入など、
226ページ。

 同じ著者による→こちらも参照:「通史、事典など」の頁の「i. 天文学史的なもの


コリン・ロナン、「中国、朝鮮、日本の天文学」、『望遠鏡以前の天文学 -古代からケプラーまで』、2008、pp.297-329

 pp.328-329に日本における古代天文学
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辻哲夫、『日本の科学思想 その自立への模索』(中公新書 330)、中央公論社、1973
文化の異質性と科学の普遍性/実理 - 伊藤仁斎・古医方・加藤弘之/……之学 - デカルト・貝原益軒・吉益東洞/学術技芸 - 建部賢弘・青地林宗・元田永孚/窮理 - 本居宣長・三浦梅園・福沢諭吉/進化 - 福沢諭吉・西周・加藤弘之/器械・工学 - 細川頼直・豊田佐吉/理学 - 菊池大麓・杉浦重剛・桜井錠二/自然 - カント・安藤昌益・志筑忠雄/科学 - 西田幾多郎・桑木彧雄・田辺元/技術 - 橋田邦彦・武谷三男など、
236ページ。

源了圓、「日本人の自然観」、『新岩波講座 哲学 5 自然とコスモス』、1985、pp.348-374
古代日本人の自然観/中世の自然観/近世の自然観/近代日本の自然観

大嶋仁、『日本思想を解く - 神話的思惟の展開 -』(フマニタス選書 12)、北樹出版、1989
神話的思惟の伝統;日本における神話的思惟の原型/日本における仏教の受容/神道と日本的習合/日本におけるカトリック教の受容/歴史と構造//
日本的合理主義とその論敵;日本の儒教/批判的合理主義/反合理主義/十八世紀の神話的思惟/西欧化へ向けて//
近代日本の思想;近代の合理主義・福沢諭吉/伝統と近代の対決・逍遙と鴎外の論争/近代日本の思想的矛盾・内村鑑三/近代非合理主義思想・西田幾多郎/神話的思惟の弁明・小林秀雄など、
140ページ。


大嶋仁、『日本人の世界観』(中公叢書)、中央公論新社、2010
世界観の諸相;列島文化の形成/日本人の成立/『古事記』という出発点/『古事記』のあらまし/神話と歴史のはざま/「なる」と「うむ」/死という難問/フロイト的世界観/一と多/はたらく/神道とは何か/残された問題//
仏教時代の世界観;世界観の表現形式/古代から中世へ/聖徳太子の世界観/日本型密教の世界観/うつろひ/天台本覚思想の逆説/自然法爾/山水経の世界観/法華経主義の問題点//
世界観の構造化と神道理論;神仏の心/神仏習合のはじまり/本地垂迹説/世界観の構造化/神道理論の発達/唯一性の志向//
世界観の持続と動揺;西洋宗教の到来/朱子学の合理主義/気の倫理学/生気論の文学/官僚主義の原点/国学のロマン主義/日本哲学の誕生/非=ヤマト文化圏の思想家/庶民の人生哲学/世界観の激震//
世界観の危機;空洞化への道/蘭学のもつ意味/機械論という難敵/明治維新とは/啓蒙のもたらしたもの/個人主義と社会主義/死への旅路/教育勅語のイデオロギー/国家社会主義という解決策/横光利一の『機械』/西田哲学の真価/大川周明の「大東亜戦争」など、
240ページ。


応地利明、『絵地図の世界像』(岩波新書 480)、岩波書店、1996
序 絵地図が表現するものはなにか//
中世国土図の異域と謎とき;さまざまな行基式日本図/異域と『今昔物語集』/中世の空間認識と異域/なぜ日本図は行基とむすびつくのか//
海をわたる行基図;李氏朝鮮での行基図の受容/地図編修センター李氏朝鮮/中国での行基図の受容//
三国世界観と天竺;仏教的世界観の受容/仏教的世界のなりたち/「五天竺図」を解読する/東アジアズの発進と三国世界観//
世界認識の近世的展開;近世ヨーロッパ的世界像の衝撃/近世における異域の変容と消滅//
終章 近代へ - 世界像の再変容など、
238ページ。

 地図に関して→こちら(「通史、事典など」の頁の「iii. 地学・地誌・地図、地球空洞説など」)やそちら(本頁「iv. 神仏習合、中世神話など」)、またあちらも参照:「日本 Ⅱ」の頁の「vi. キリシタン、蘭学・洋学とその周辺
 

『【岩波講座】天皇と王権を考える 8 コスモロジーと身体』、岩波書店、2002
序論(山本幸司)//
コスモロジー;『古事記』神代神話のコスモロジー(嶋田義仁)/王権と宗教儀礼 - 古代バビロニア・アッシリアの場合(月本昭男)/認識空間としての「日本」(応地利明)/天皇と都市空間(古瀬奈津子)/時間・暦と天皇(細井浩志)//
非日常的な時間・空間;天皇と祝祭(山本幸司)/災害・怪異と天皇(山下克明)//
王の身体;古代の天皇と病者(丸山裕美子)/天皇の出産空間 - 平安末・鎌倉期(森本仙介)/王の誕生と死 - フランス中世(渡辺節夫)/シェイクスピアの王権思想(石井美樹子)など、
318ページ。


加藤周一、『日本文化における時間と空間』、岩波書店、2007
はじめに;「今=ここ」に生きる/概念的枠組/本書の構成//
時間;時間の類型/時間のさまざまな表現 日本語の特徴、日本語の文学、芸術と時間/行動様式//
空間;空間の類型/空間のさまざまな表現 建築的空間、絵画の空間/行動様式//
「今=ここ」の文化;部分と全体/脱出と超越など、
274ページ。


諏訪春雄、「日本人の空間認識-南北軸と東西軸」、篠田知和基編、『天空の世界神話』、八坂書房、2009、pp.45-72
右回りと左回り/右回りの空間認識/左回りの空間認識/右回り・左回りの民俗/右回り・左回りについての従前説/旋回は秩序と生命を更新する/東西軸の重視/中国の太陽信仰/縄文時代にさかのぼる日本の太陽信仰など
………………………

太田亮、『神道史』、受驗講座刊行會、1930
緒論;神道の意義/神とは何ぞ//
祭祀權の分裂時代(上古前期);日韓古代の状態/日韓の古宗教と神籬/顯齋と太古/盟神探湯と祓禊/政敎一致の治//
祭祀權の中央集注時代(上古中期);皇基の遼遠/惡神退治と迷信打破/神寶の奉献/祭政の分離/山海の神と日月神/產靈神/氏神と產土神/墳墓と祖靈社//
神祇統一時代(上古末期);出雲神話/別天地と神世七代/諾冊二尊の國土經營/三貴子の出現/社の起原と有名なる神社//
神祇制度完成時代(大化改新より平安中期まで);大寶令と神祇行政/神祇官と祝部/四時祭と臨時祭/社格と神階/新勃興の諸神/中古に於ける氏神と產土神/佛教と神祇との關係及び本地垂迹説の起原/漢神崇拝と陰陽道//
貴族社活動時代(平安中期より鎌倉時代まで);神戸と神地の擴張/新勃興の諸神祇/修驗道と神祇/廿二社と總社、一の宮/鎌倉幕府の神社政策/本地垂迹説/兩部神道の發生/伊勢神道/鎮守神の流行と古社の衰微//
武家社活動時代(南北朝より戦國に至る);貴族社の衰微/神社の經濟/武家崇敬社の隆盛/怨靈に對する恐怖と、天王天神の崇敬/產土神と鎮守產土神との關係、並びに產子地域の變動/唯一神道//
民衆社發達時代;朝幕の神社行政/民衆社の發達/當代の產土神と古社/唯一神道と兩部神道/王道神道/伊勢神道、理學神道、垂加神道/復古神道/土御門、伯家、烏傳及び心學派神道/富士敎と御嶽敎/禊敎と黑住敎/金光天理蓮門の三敎/明治初年勃興の神道諸派など、
220ページ。


堀一郎、『日本のシャーマニズム』(講談社現代新書 256)、講談社、1971
ミコの系譜;君主から神楽ミコまで/北方系と南方系//
聖の領域に入る - シャーマニズムとは何か -;エクスタシー/シャーマンの資格/社会の不安とシャーマニズム//
燃える人 - 呪的カリスマとしてのシャーマン -;この世のきずなの外に立つ/イニシエーション/狂熱のオージー//
山伏の神秘体験 - 密教のシャーマニズム -;民衆と結びつく/山伏、修験者の足跡/山獄に他界を求めて//
人の姿で現れる神 - 古代日本のシャーマニズム -;アラヒトガミ/神の妻たち/神と人との交流//
たたりにおびえた時代 - 密教の全盛期 -;たたり/加持祈禱//
死者の霊を呼ぶ - 口寄せミコの系譜 -;「口寄せ」とは/口寄せ巫女はシャーマンか?//
踊り念仏と念仏踊り - 日本シャーマニズムの芸能化 -;「狂躁エクスタシア」/なぜ踊り狂うか/うかれ女、くぐつ女//
現代日本とシャーマニズム - 呪的カリスマへのノスタルジア -;人間神化の傾向/なぜ女性シャーマンが多い?/日本人のあきらめと熱狂など、
230ページ。


田村芳朗、「日本における神の観念」、『仏教思想史』、no.1、1979.11:〈神と仏 源流をさぐる〉、pp.199-223
初期の自然崇拝/人格神への発展/仏陀崇拝の歴史/神と仏の交わりなど

豊田国夫、『日本人の言霊思想』(講談社学術文庫 483)、講談社、1980
言霊思想の原点;言霊とは/コト(言・事)の融即観から/言霊の神がみ//
古代人の言霊生活;ミコトモチ・ミコトノリ/コトアゲ・コトアゲ制禁/コトムケ・コトダテ・コトドヒ//
万葉人の言霊の歌;招迎・祓除の歌/鎮魂の歌/夕占問の歌/名前の歌/人麻呂の「
()霊」と憶良の「()霊」//
祝詞の言霊思想;祝詞と言霊/撰善言司/ノリトの変化/呪術氏族と鎮護詞//
名にヤドル精霊たち;神名・地名/古代人・王朝女流の名/実名の敬避/イミナ(諱)とオクリナ(諡)//
仏教の言霊思想;法語/読経/念仏//
近世国学者の言霊思想;言霊の発掘/三大家/音義言霊説//
近現代の言霊思想の問題;言霊と異民族の接触/言葉の呪縛など、
244ページ。


安蘇谷正彦、『神道思想の形成』、ぺりかん社、1985
まえがき/序論//
伊勢神道思想の形成;伊勢神道思想の形成要因について/度会(村松)家行の神観念と形成要因について/度会(村松)家行の神道論と形成要因について//
吉田神道思想の形成;吉田兼倶における神道思想形成の立場/一条兼良と吉田兼倶//
垂加神道思想の形成;吉田;山崎闇斎における神道思想形成の要因について//
古学神道思想の形成;本居宣長の神道思想形成について/本居宣長と伊勢・垂加神道//
余論;天照大神論の沿革/神道の内実など、
296ページ。


 〈機前〉に関し→こちらでも挙げました:本項下掲の伊藤聡、『神道とは何か 神と仏の日本史』(2012)のところ

『神道の本 八百万の神々がつどう秘教的祭祀の世界 Books Esoterica 2』、学習研究社、1992
神々の記憶 大自然に宿る日本人の原風景//
Introduction;神道五つのキーワード(不二龍彦)/日本神話の世界(山梨賢一)/神道の基礎知識(一色正和)//
源流の神々〈神道史 - ①〉(不二龍彦)//アマテラスの道(写真:岸田森之助)//
祭式と行法のシステム(大宮司朗);神道の作法/禊と斎戒/言霊と祝詞/鎮魂と帰神/太占と探湯ほか/天津金木・天津菅曾/息長・息吹永世/鳥船・雄健・雄詰・伊吹//
神道七つの謎(大鷹幹夫・大宮司朗・豊島泰国);国生み神話の謎/神道ルーツの謎/三種の神器の謎/十種の神宝の謎/大嘗祭の謎/抹殺された神々の謎/神代文字の謎//
神道の多様な展開〈神道史 - ②〉(本宮眞吾・東山貢司);吉田神道/両部神道/山王一実神道/土御門神道/吉川神道/垂加神道/復古神道/伯家神道/その他の神道流派//日本の神社を知る事典;神社神道の歩み - 明治維新から現代まで(矢吹恭一)/精選・日本の神社100(村上典司)など、
230ページ。


山折哲雄、『仏教民俗学』(講談社学術文庫 1085)、講談社、1993
彼岸と常世/花祭りと灌仏会/除夜と節分/地獄と冥土/極楽と浄土/お盆と施餓鬼/葬法とお墓/先祖崇拝と供養/地蔵と道祖神/観音信仰と不動信仰/巡礼と遍路/仏教宇宙と民俗世界//
修験の山と蔵王権現/乞食の東西/聖地と方位/精霊信仰の流れ/祈禱と祈り/日本人のふるさと観/骨と日本人/聖武天皇の「骨」/他界観の東西-道頓堀とベナレス/首/牛王/隠れキリシタンと隠れ念仏/民芸と真贋-物からの遠心と物への求心など、
344ページ。


山折哲雄編、『日本の神 1 神の始原』、平凡社、1995
はじめに(山折哲雄)//
日本の神(山折哲雄)/神々の霊異とは何か(中村生雄)/祟る神と託宣する神(斎藤英喜)/色好みの神 - 道祖神と愛法神(阿部泰郎)/渡来する神と土着する神(田中貴子)/神と仏のトポグラフィー(鎌田東二→こちらに再録:本項下掲の『神と仏の精神史』、2000)/解釈された神(川村湊)/至高者たち - 中世神学へ向けて(山本ひろ子)など、
344ページ。


山折哲雄編、『日本の神 2 神の変容』、平凡社、1995
はじめに(山折哲雄)//
去来する神(飯島吉晴)/現世利益の神とは何か(飯島吉晴)/災害と民間信仰(佐野賢治)/ホトケを撃った神 - 神々のテロリズム(川村邦光)/国家神の登場と英霊祭祀 - 神々の帝国主義(川村邦光)/現代宗教と「心」の変容(島薗進)/女神の誕生(山折哲雄)/流される神々 - 「小栗判官譚」を手がかりに(小松和彦)/山の神考(赤坂憲雄)など、
304ページ。


山折哲雄編、『日本の神 3 神の顕現』、平凡社、1996
はじめに(山折哲雄)//
神の図像学 - その誕生と展開(正木晃)/補章 初期神像の問題点(安藤佳香)/民衆のなかの神像(飯島吉晴)/近代日本の神々とイコン(川村邦光)など、
352ページ。


春日井真英、『水のコスモロジー』、近代文藝社、1995
水のコスモロジー 異界との接点としての水辺Ⅰ(天竜水系の伝承を中心として);境界としての水辺/異界との接点としての水辺/聖なるモノとしての水/水をめぐる伝承/異界よりの訪問者あるいは異人//
  異界との接点としての水辺Ⅱ(常陸国風土記を中心に);「水」その聖性の問題/常陸国風土記にみる「水」/欠落伝承にみる「水」の世界/欠落伝承にみる池/統治シンボルとしての社/そのほかの水の問題//
  異界への道標としての水Ⅰ(日本書紀を中心としてⅠ) 日本書紀にみる「水」;世界創生から国生み/伊弉@(ミ;冉の二番目の水平線が左右で縦線の外に出る)尊と火の神の誕生/伊弉@(ミ)尊に見る「木気」の性格/生む機能としての「水」/素戔鳴尊、その役割と機能//天真名井における水//
  異界への道標としての水Ⅱ(日本書紀を中心として) 水の神・生成の神としてのスサノヲ;原初としての水/天の岩戸/アメノウズメ/高天原追放とスサノヲ//
  シカウチにみる水の象徴;鹿の習性にみる水/日本書紀にみる水と鹿//
シカウチ考 その文化史的位置づけについて;序論 動物のもつ意味/供儀としての牛、馬(Ⅰ)/供儀としての牛、馬(Ⅱ)//
  「シカウチ」について;現存するシカウチの事例/消滅したシカウチ行事/その他のシカにまつわる儀礼と芸能//
  新たな問題に向けて、など、
258ページ。


 なお、同じ著者によるものとして→こちら:「仏教」の頁の「i. 須弥山/三千大山世界/四大劫・六十四転大劫」の内「各論等」」の項

鎌田東二、『神と仏の精神史 神神習合論序説』、春秋社、2000
序章 神神習合のロゴスとパトス//
神神習合の磁場;神と社の神神習合/神道とケルトの宗教の比較研究//
神と仏のトポロジー(→初出はこちら:本項上掲『日本の神 1』(1995))神と仏のトポロジー/日本教の深層 - 神神習合の論理と構造/浄土と神国-仏教と神道の他界観と国土観/聖徳太子-宗教国家構想//
日本人の原コスモロジー;複雑怪奇な神話の神々/日本人の他界観 - ハラとネとナカ/ネ・タケ・ハラ - 日本神話の他界観と聖地の形成//
神社 - 自然と神をつなぐ橋;天河信仰と自然崇拝/両面宿儺と常世神の鎮圧/高さと遠さと奥のコスモロジー//
終章 神道における神・自然・人間など、
278ページ。


鎌田東二、『ウズメとサルタヒコの神話学』、大和書房、2000
序章 ウズメとサルタヒコの神話学;異貌の神・サルタヒコ/サルタヒコの道//
シャーマニズムと女神憑依;神楽遊びと現代舞踊と現代演劇/イルム - 金梅子のシャ-マニズムと舞踊のオリジン/日本の女神/仏母とエロス - ある気功師との出会い//
サルタヒコの冒険;サルタヒコへの旅/サルタヒコ紀行 - 「沖の太道」を行く/ワタリガラスとヤラガラスとサルタヒコ/結び開くサルタヒコ精神/「もののけ姫」とサルタヒコ - “殺害された神”の復権//
ホトの文化史;ホトの文化史/天河胎蔵会と女性/森と女陰 - 戸谷成雄のエロティシズム//
カミと異界;「カミ」とは何か/神道とは何か/熊野信仰と現代の聖地/シャーマンとしての漫画家と漫画の中のシャーマン/異界の創造力と捏造力/聖なる静けさと異種間コミュニケーション//
日本人と祭り;日本人と祭りと縁日/日本人と祭り/阿波踊りと神戸からの祈り/草木言語う託宣列島/神道と火/祭りの未来と「神道の感覚」の変容//
終章 渦と猿の図像学など、
288ページ。
 

鎌田東二、『神と仏の出逢う国』(角川選書 449)、角川書店、2009
神と仏の原理的違いと習合化のメカニズム 神神習合から神仏習合への流れ;法螺貝から始まる/「神」と「仏」の出逢い/春日大社「おん祭」/「神=カミ」と「仏=ホトケ」の原理的違い/「神道」と「仏法」/『古事記』と『日本書紀』と『風土記』//
古代律令神道・律令仏教から中世神道・中世仏教へ;記紀神話の成立とその要点/「神道」とは何か/外来宗教としての仏教/七世紀の宗教革命/最澄と空海/霊的国防都市としての平安京/古代世界の崩壊と中世世界の始まり//
中世における神と仏;伊勢神道の成立と特徴/吉田神道の確立と特徴/神国思想と豊臣秀吉および徳川家康の切支丹禁止制作と鎖国//
国学(古学)と幕末維新期の神道と仏教;古代神話-調停的・分治的一者の確立/中世神話-根源的・個的一者の確立/近世神話-仮構的・内向的一者の確立/近代神話-対抗的・外向的一者の確立/柳田國男と折口信夫の民俗学と「神国学」//
神仏分離(判然)から神仏共働へ 新神仏習合の時代へ;五つの神話とその現代的意味/戦争と平和/戦後神話、柳田國男と折口信夫の新国学再論と霊性の立場/今日問われる日本的霊性など、
266ページ。

 同じ著者による→こちらも参照:「日本 Ⅱ」の頁の「viii. 近世から近代にかけてのいわゆる霊学・古神道など」/『記号と言霊』(1990)、他』

三橋健、「日本神道における占いと予言」、『アジア遊学』、no.29、2001.7、「特集・予言の力」、pp.55-68
日本神道と予言/記紀に見る占い/預言者としての巫覡/鹿卜と亀卜/貫前神社の鹿占行事/武蔵国と鹿卜/太占祭の次第/祭祀者と所役のことなど/太占表の判定など

山本節、「地域陥没の伝承 - 静岡県浜名郡新居町今切の生成に関する事例をめぐって -」、篠田知和基編、『神話・象徴・文化』、楽瑯書院、2005、pp.335-354
法螺貝の海中回帰と地域陥没/地蔵の顔の汚染による地域陥没/今切における自然災害の史実など

末木文美士、『日本宗教史』(岩波新書 1003)、岩波書店、2006
はじめに 日本宗教史をどう見るか//
仏教の浸透と神々(古代);神々の世界 記紀神話の構造、記紀の時代/神と仏 仏教伝来と神々、神仏習合の諸相/複合的信仰の進展 仏教思想の基底、諸信仰の重層//
神仏論の展開(中世);鎌倉仏教の世界 実践思想としての仏教、王法と仏法/神仏と中世の精神 習合神道の理論、中世の思惟と神仏/原理を求めて 神道理論と根源の探求、新仏教の定着と進展//
世俗と宗教(近世);キリシタンと権力者崇拝 キリシタンの衝撃、宗教統制と権力者崇拝/世俗の中の宗教 儒教のイデオロギー、宗教と世俗倫理/神道とナショナリズム 神仏から神儒へ、国学から神道へ//
近代化と宗教(近代);国家神道と諸宗教 神仏分離から国家神道へ、内面の深化/宗教と社会 民衆宗教の世界、戦争へ向かう時代の中で/日本宗教の現在 戦後宗教の消長、いま宗教を問い直すなど、
254ページ。


 同じ著者による→こちらを参照:本頁「iv. 神仏習合、中世神話など

井上寛司、『「神道」の虚像と実像』(講談社現代新書 2109)、講談社、2011
「神社」の誕生 - 古代律令制国家の模索;日本の律令制と神社は双生児である/官国幣社制と神仏習合/日本古代の宗教//
「隔離」にもとづく「習合」 - 「神道」の成立;顕密体制と神国思想/二十二社・一宮制と中世の神社/吉田神道の成立とキリスト教の伝来//
近世国家と民衆 - 「神道」論の新たな展開;幕藩制国家の成立とキリシタン/宗教統制の実態/儒学的「神道」論の発展/国学そして国体論//
宗教と非宗教のあいだ - 「国家神道」をめぐって;明治維新と祭政一致/「信教の自由」論争/帝国日本を支えるイデオロギー//
戦後日本と「神道」 - 民族の「自画像」;戦後における宗教構造の変容/柳田「神道」論の問題点/戦後史のなかの柳田「神道」論など、
272ページ。


伊藤聡、『神道とは何か 神と仏の日本史』(中公新書 2158)、中央公論新社、2012
序章 「神道」の近代//
神と仏;日本の神/神と仏の出会い/神仏習合の発生/本地垂迹説の形成//
中世神道の展開;中世神道説の濫觴/中世神道説の形成と展開/鎌倉仏教と中世神道/神観念の中世的変容//
新しき神々;人神信仰と御霊信仰/人神信仰の展開/渡来神と習合神/女神信仰の展開//
国土観と神話;国土観の変遷/中世神話と中世日本紀/中世神話の諸相//
近世神道へ;吉田神道/天道思想とキリスト教/近世神道の諸相/国学への道//
終章 「神道」の成立など、
312ページ。


 古代を扱う第1章「神と仏」の第3節「神仏習合の発生」の中で、

「…(前略)…神は自らの存在を苦であると捉え、そこよりの救済のために、造寺造仏を人間に依頼するのである。このような神のありようを、現代の研究者は〈神身離脱〉とよんでいる」(p.39)

と、また少し後に

「…(前略)…神は自らの救済のために人間の力を必要とする」(p.40)

とあるのが印象に残りました。
 第2章「中世神道の展開」の第1節「中世神道説の濫觴」中で、

「…(前略)…『須弥四域経』」なる偽経が作られている。この経の本文は早く失われたが、道綽(562~645)『安楽集』、道宣『広弘明集』(664年成立)に言及があり、おおよその内容を知ることができる。これらによれば、天地の始め、いまだ山河草木も日月もなきとき、それをあわれんだ阿弥陀如来が、 宝応声・宝吉祥の二菩薩を遣わして、伏犠・女媧(中国神話に出てくる天地創造の男女神)となり、二菩薩相議して第七梵天上の七宝をとって、日月星辰二十八宿を造ったという。 ここで宝応声・宝吉祥菩薩とは観音・勢至の別名である」(pp.83-84)

とありました。
 同章第2節「中世神道説の形成と展開」中には、度会家行(1256?~?)の『>類聚神祇本源』15巻の

「第15巻『神道玄義篇』では『機前』論を展開する。『機前』とは、天地開闢以前の混沌であり、かつ我が心の本源を指し、家行はそこに神(カミ)の本質を見ようとした」(p.101)

とありました。〈機前〉については、上掲

 安蘇谷正彦、『神道思想の形成』、1985、pp.68-94:第2章第3節「度会(村松)家行の神道論と形成要因について」

また下掲の

 下川玲子、「度会家行と『易』」、1995

 小川豊生、『中世日本の神話・文字・身体』、2014、pp.217-224:第Ⅱ部第2章の4「〈機前〉の哲学」

 山﨑好裕、「中世神道説の成立における密教的禅宗の役割 : 宗教経済論的観点から」、2019

などを参照。
 第4章「国土観と神話」第3節「中世神話の諸相」中には、

「伊勢神道書である『豊受皇太神御鎮座本紀』では、天地いまだ(わか)れず、陰陽分かれざる以前を混沌といい、そのなかに『万物霊』を封じたる存在があるとされ、それは『虚空神』『大元神』または『国常立神』『倶生神(くしょうじん)』という、としている」(p.224)

とありました。
 同章同節の「盤古神話の中世的再生」については→こちらで挙げました:「原初の巨人、原初の獣、龍とドラゴンその他」の頁。
 なお著者の専門は中世なので、→すぐ次に挙げた特集号所収の論考・討議2、→そちらに挙げた単著(『中世天照大神信仰の研究』、『神道の形成と中世神話』、『神道の中世』)の他、下の「iv. 神仏習合、中世神話など」で編著や論文が登場します。

『現代思想』、vol.45-2、2017年2月臨時増刊号:「総特集 神道を考える」
神道とは何か;神道の概念化とユートピア(マーク・テーウェン)/神道と祭祀(岡田莊司)/幽と顕の系譜と葛藤(鎌田東二)/イザベラ・バードの見た神道(赤坂憲雄)/翁 古くて新しい超越性の誕生(松岡心平)//
討議1 隠された神々の世界を求めて 折口信夫と出口王仁三郎から(鎌田東二、安藤礼二)//
神道と国家;神道と国体論・天皇崇敬(島薗進)/明治政府新造の人格神 墓を抱え込んだ神社と脱落させた靖国神社(岩田重則)/神道における公共性 改憲論 対 生前退位メッセージ(小林正弥)/吉本隆明・記紀書・南島論(檜垣立哉)//
中世神道の世界;吉田兼俱の「神道」論(伊藤聡)/中世の諏訪 「南宮」と諏訪流神道をめぐって(山本ひろ子)/中世神道研究の現在(吉田唯)//
創造される神話;八百万の神達=「梵天帝釈、無量の天子……」?(彌永信美)/王仁三郎論序説(安藤礼二)//
討議2 歴史としての神道 神道の可能性をめぐって(昆野伸幸、永岡崇、斎藤英喜、伊藤聡)//
創造される神話(承前)本居宣長と平田篤胤は神道をいかに再構築したか(山下久夫)/反転する神学 中世における「神道」成立の機制ををめぐって(小川豊生)//
神道の可能性を考える;神々を選んだ山上憶良 遣唐使と神(上野誠)/神道、あるいはシニフィアンの宗教(ファビオ・ランベッリ)/ふたりの「愛ランド」 〈結婚〉の先例としての国生み神話(田中貴子)/神をよせる女たち(木村朗子)/家・中国嘉・メディア 折口信夫『死者の書』の構造(福嶋亮大)//
変貌する神道;神道・大嘗祭・折口信夫 〈神道〉はいかに可能か(斎藤英喜)/近代仏教と神道(碧海寿広)/古事記のなかの神武天皇(アンダソヴァ・マラル)/「神道に於ける根本問題」 折口信夫のムスビ論(森陽香)など、
310ページ。

………………………

「日本の神話・宗教」、『世界神話大事典』、2001、pp.1140-1171
日本 宗教と神話の概観(アルトミュ・O・ロータームント)/仏教と古代信仰 神道と仏教の混合(同)/日本の来世観(フランソワ・マセ)/日本の祭と年中行事(ローランス・ベルティエ)/日本の生霊と魂(アルトミュ・O・ロータームント)/日本のシャマニズム(同)/日本の呪術(同)/日本の占い(同)/日本の山(同)/日本の山岳行者 山伏(同)/日本の魔物 天狗(同)など

藤巻一保、「日本の秘教書」、藤巻一保・岡田明憲、『東洋秘教書大全』、学研パブリッシング、2012、pp.17-155
日本の秘教書とは 密教と神道を中核に展開した秘教書群/天地麗気記/天照太神口決/義鎮和尚夢想記/御遺告/覚禅鈔/阿娑縛抄/渓嵐拾葉集/玄旨壇秘鈔/事相方内伝草案/柱源秘底記/修験深秘行法符咒集/烏枢沙摩明王修仙霊要録/三国相伝陰陽輨轄簠簋内伝金烏玉兎集/暦林問答集/先代旧事本紀大成経/仙境異聞/天のみはしら/増補咒詛調法記大全/軍法侍用集/夢合延寿袋大成/水穂伝/神仙秘書/みょう(示+明)道百年の歩み/邪義秘事法門/禅病論/霊学筌蹄/奉献曼荼羅大要公開/霊界物語/聖書より見たる日本

荒俣宏編、『世界神秘学事典』、1981、pp.422-511:「第9部 日本編」

荒俣宏、『本朝幻想文學縁起 [震えて眠る子らのために]』、工作舎、1985
震えて眠る子らのために//
幽之巻;閑話其一 物語の短さと退屈さ/小野小町七変化/空海の言霊狩り熊と神通力/陰陽博士、出世を語る事//
妖之巻;閑話其二  百鬼夜行と闇のユートピア/房総幻想王国/世界征服秘策/鬼たちの理想郷//
怪之巻;閑話其三 怪奇鳥獣図鑑と猫/巷談妖術考/吉利支丹打払ひの事/幽冥界覚書//
奇之巻;閑話其四 『古今妖魅考』を読む/秋成狂乱/転真敬会革命を論ず/明治期異人、「破邪神霊」の要を論ず//
怪至る、など、
464ページ。


 「怪之巻 閑話其三」に関連して→こちらで触れました:『A-ko the ヴァーサス』(1990)のメモの頁
 同じ著者による→そちらも参照:「魔術、神秘学、員秘学など」の頁の始めの方

ii. 古事記・日本書紀とその周辺

荒川紘、『古代日本人の宇宙観』、海鳴社、1981
はるかなる地平 - 空間(一);出雲/葦原の中つ国と高天原/日向/伊勢/日高見/宇宙軸/宇宙の中心/大八島とオノゴロ島//
海への懐い - 空間(二);空間間の交通法/天と海/黄泉国と根の国/常世の国と妣の国//
稲と太陽のまつり - 時間;おのづからなる暦と時計/稲の暦/「よ」の成立/神話的時間と現実の時間/時の神ツクヨミ/風土記の時間/時間意識の変化//
大いなる宇宙 - 時・空間;時・空複合体としての日本神話/空間的事象の時間化/宇宙の創生/進化の原理/宇宙-天地と国など、
280ページ。


 同じ著者による→こちらを参照:本頁上掲「i. 概説、通史など」の冒頭

『太陽と月 - 古代日本人の宇宙観と死生観 - 日本民俗文化体系 2』、小学館、1983
序章 古代人の宇宙創造(谷川健一)/太陽と火(大林太良)/月と水(松前健)/星と風(窪徳忠・谷川健一)/古代人のカミ観念(谷川健一)/葬りの源流(土井卓治)/他界観 - 東方浄土から西方浄土へ -(田中久夫)/日本人の再生観 - 稲作農耕民と畑作農耕民の再生原理 -(坪井洋文)など、
488ページ。

………………………

倉野憲司校注、『古事記』(岩波文庫 黄 1-1)、岩波書店、1963
 訓み下し文+脚注、原文/解説、歌謡全句索引など、
 344ページ。


次田真幸、『古事記 全訳注』(上中下)(講談社学術文庫 207/208/209)、講談社、1977/1980/1984
 書き下し文、現代語訳、注(語釈)、各段解説など、
 上巻216ページ、中巻254ページ、下巻228ページ。

 →こちら(「原初の巨人、原初の獣、龍とドラゴンその他」の頁の始めの方)や、そちら 『A-ko The ヴァーサス』(1990)のメモの頁)でも触れました。


坂本太郎・家永三郎・井上光貞・大野晋校注、『日本書紀』(全5冊)(岩波文庫 黄 4-1~5)、岩波書店、1994
 (手もとにあるのは1・2巻のみ)
 訓み下し文+注/原文など、
 第1巻530ページ、第2巻576ページ。


宇治谷孟、『日本書紀 全現代語訳』(上下)(講談社学術文庫 833/834)、講談社、1988
 上巻384ページ、下巻376ページ。

 →こちらで少し触れています:「原初の巨人、原初の獣、龍とドラゴンその他」の頁の始めの方

荻原千鶴、『出雲国風土記 全訳注』(講談社学術文庫 1382)、講談社、1999
 訓み下し文、現代語訳、注、各段解説/原文など、
 388ページ。


斎部広成撰、西宮一民校注、『古語拾遺』(岩波文庫 黄 35-1)、岩波書店、1985
 訓読文と脚注、補注、原文と脚注、解説など、
 234ページ。

………………………

 『古事記』を書名に含むものとして;

西郷信綱、『古事記の世界』(岩波新書 654)、岩波書店、1967
序 古事記をどう読むか/神話の言語/神話の範疇/黄泉の国 - 死者と生者/須佐之男命 - 罪の化身/天の岩屋戸 - 太陽の復活/大国主命 - 出雲世界/八千矛神 - 古代歌謡/天孫降臨 - 君主の生誕/日向三代の物語 - 聖婚/神武天皇 - 初代君主/結び 古事記の成立をめぐって、など、
222ページ。


西郷信綱、『古事記注釈』(全8巻)(ちくま学芸文庫)、筑摩書房、2005
原著は1975~1989刊(手もとにあるのは第1巻と第2巻のみ)
第1巻;古事記を読む-〈読む〉ということについて/太安万侶の序/天地初発/伊邪那岐命と伊邪那美命/大八島国と神々の生成/黄泉国、禊/付記 - 神話の世界とつきあって、など、
318ページ。

第2巻;須佐之男命と天照大神/天の岩屋戸/大蛇退治など、
250ページ。


 同じ著者による→こちらを参照:本項下掲『古代人と夢』(1972/1993)

神野志隆光、『古事記の世界観』、吉川弘文館、1986
「天下」 - 世界観という視点から;世界観という視点/神話的な「天下」/「天下」を保障する「葦原中国」//
ムスヒのコスモロジー - 『古事記』の世界像-;始発における記紀の差/ムスヒのコスモロジー/陰陽のコスモロジー/補説 本居宣長の天地生成説//
「葦原中国」 - 神話的世界の機軸 -;さまざまな神話的世界/「葦原中国」を機軸とする全体/世界関係の次元//
「高天原」 - 「葦原中国」の存立 -;〈クニ〉の存立の根拠/「高天原」 - 「葦原中国」の世界関係の確認としてのアメノイハヤト/「高天原」からの保障//
「黄泉国」 - 人間の死をもたらすもの-;問題の本質/地下世界説批判/平面的関係としての「黄泉国」 - 「葦原中国」/人間の死をもたらすもの//
「根之堅州国」 - 「葦原中国」の完成 -;「根之堅州国」行きの発端/アシハラノシコヲという呼称/「根之堅州国」地下説への疑問/「根之堅州国」の名義/「葦原中国」の完成//
〈ワタツミノ神の国〉 - アマツヒコの定位 -;海底説の見直し/海のかなたの世界/「海中」・「上つ国」/海の呪能//
「葦原中国」と「天下」 - 中心世界と世界観 -;構造化批判/中心世界としての「葦原中国」/「葦原中国」と「天下」/『日本書紀』の「葦原中国」//
「天下」の歴史 - 中・下巻をめぐって -;中巻への視点/「天下」の構造/中巻第一部 - 大八島国の「言向け」/中巻第二部 - 新羅・百済の平定/下巻への視点 - 二人の大王/仁徳・雄略の歌謡物語など、
220ページ。


神野志隆光、『古事記と日本書紀 「天皇神話」の歴史』(講談社現代新書 1436)、講談社、1999
本居宣長『古事記伝』をめぐって;「古言」をもとめる/自己確証の営み/倫理としての「物のあはれ」/世界の物語の創出//
中世の『日本書紀』;『日本書紀纂疏』における『日本書紀』/「同時所成の世界」という自己確信/アマテラス=大日如来という言説//
古代天皇神話;人間のはじまりについて語らない神話/天皇につながる神の物語/高天原という世界をもたない『日本書紀』//
『古事記』の神話的物語 - ムスヒのコスモロジー;「天地初発」の神々/働き続けるムスヒ/皇祖神アマテラス/降臨神話とアマテラス//
『日本書紀』の神話的物語 - 陰陽のコスモロジー;「一書」の問題/天地のはじまりから語る物語/陰陽の原理による世界の物語/日神にとどまるアマテラス//
多元的な古代天皇神話;〈一つの神話〉という誤解/人麻呂歌と『古事記』『日本書紀』/祭祀と神謡/帝国的世界を確信するための『古事記』『日本書紀』//
神話の一元化;『古語拾遺』 - 神器の神話の成立/「日本紀」の広がりと『先代旧事本紀』//
近代国家における『古事記』『日本書紀』;「日本神話」の成立/天皇制国家の神話/生き続ける「日本神話」の制度など、
214ページ。


嶋田義仁、『稲作文化の世界観 「古事記」神代神話を読む』(平凡社選書 175)、平凡社、1998
序論 思想としての『古事記』神代神話 - 本書の成り立ち;研究の出発点/構造主義との出会い/アフリカ研究と「稲作世界の宇宙論」//
神代神話の思想 日本神話の構造的研究 - さまざまなアプローチ;『古事記』神代神話とはなにか/神代神話作偽論の問題点/これまでの構造主義的神話分析の問題点//
  恋とアクションの神代神話;国生み・高天原神話、出雲神話、日向神話に共通する構造/アマテラスの性別//
  兄弟闘争神話の構造 - 2ラウンドの逆転劇とヒーローを助ける美女の物語;2ラウンドの逆転劇/ヒーローを助ける美女たち/愛のパターン - 兄弟闘争神話の下位構造でのちがい//
  地霊と水霊の争い - 兄弟闘争神話の意味;「海」と「陸」の闘争 - 解釈の試み/逆転の論理1 - 助太刀の存在の意味/相撲の起源と「水」と「地」の争い/垂直的世界観は存在したか - 逆転の論理2//
  恋愛神話の構造 - 愛と死の神話;「生」と「死」の神話/恋愛神話にも存在した密室こもり神話/残された謎//
  稲作民の死生観 - 神代神話の理論体系;神代神話の基本構造/再生復活思想と稲作のプロセス/稲作世界の宇宙論と安藤昌益の思想 - 密室こもり神話の意味//
稲作世界の宇宙論 第2部のための序論 - 農耕文化と再生復活思想//
  夏作物栽培文化と復活の季節;夏作物栽培文化と復活の季節/柳田国男の「稲の産屋論」の問題点//
  水母神 - 稲作文化の豊饒神;地母神信仰は稲作文化に存在するか/石田英一郎の「桃太郎の母」論//
  灌漑農業文化と絶対神;灌漑文化の雷神/灌漑稲作文化における永遠のイメージ//
終章 神代神話とその作偽;小盆地宇宙としての稲作世界/高天原イデオロギーと神代神話/
宗教混交(シンクレティック)文化としての日本文化理解のために、など、
356ページ。


北沢方邦、『古事記の宇宙論(コスモロジー)』(平凡社新書 248)、平凡社、2004
序 古事記とはなにか/天地創造/天地の分離/宇宙論(その一)/水の統御/オホクニヌシ物語/宇宙論(その二)/ウツシヨ(顕世)とカクレヨ(幽世)との交換/「天孫降臨」/海幸彦・山幸彦など、
212ページ。


工藤隆、『古事記の起源 新しい古代像をもとめて』(中公新書 1878)、中央公論新社、2006
序論 古事記研究の現在//
古事記をどう読むか 古事記はどのように研究されてきたか;基礎作業研究はほぼやり尽くされた/訓詁注釈の次の段階//
  原型生存型民族の口誦表現モデルで読む;原型生存型文化とはなにか/創世神話「ネウォティ」から見た古事記の誕生/原型生存型文化と国家の関係/歌垣文化も国家段階に継承された//
古事記を読み解く 臣安万侶言す(「記序」) - 激変の時代が突出させた復古精神;正格の漢文体と官僚としての気配り/「記序」のテーマは「古」と口誦性の強調//
  天地初めて発けし時 - 無文字の古層と文字の新層の交錯;同内容別表現の対/すべてを同内容別表現の対で読むとすれば/兄妹始祖神話への誘導//
  イザナミの死 - 排泄物利用の技術革新;女神の死と排泄物/原型生存型文化と糞尿処理/〈古代の古代〉で豚文化が消滅した日本文化の特殊性/アメノイワヤト神話も読み直せる//
  黄泉の国神話 - 死と折り合いをつける;死霊との闘い/死者を送り届けて生者と遮断する/呪いと呪い返し//
  スサノオ神話 - 分析を拒絶する混沌;生誕から追放まで/「ネウォティ」のチュクアロ神話との類似/ウケイ神話 - 歌う神話の化石的残存/単線的な分析を拒絶するスサノオ神話//
  ヤマトタケルの死 - 古層の死生観で読み直す;復活呪術と葬送歌/別れの口実を詠う//
  サホヒコ・サホヒメ - 民族サバイバルから恋愛へ;恋愛文学への一歩/歌謡のあるなし//
  志毘臣と袁祁命の歌垣 - 歌垣と政治の交錯;歌垣の現場から読む/歌垣の親和性と闘争性//
結 - 古事記と日本;時代に遅れた書物としての古事記/古事記と現代など、
310ページ。

 同じ著者の→こちらも参照:「中国 Ⅱ」の頁の「ix. いわゆる少数民族、中国イスラームなど


『現代思想』、vol.39-6、2011.5増刊号、「総特集 古事記 一三〇〇年目の真実」
古事記論(梅原猛)/古事記私的体験(瀬戸内寂聴)/古事記はなぜ読まれ続けるのか 古事記という物語(ナラティヴ)(三浦佑之・上野千鶴子)/〈出雲〉世界へ 古事記をどう読むか(三浦佑之)/非ジェンダーの身体イメージ ヒルコをめぐって(木村朗子)/異貌の古事記 近世神話としての『古事記伝』(斎藤英喜)/『古事記』の中世(田中貴子)/神話を生きなおす 古事記が語るもの(鎌田東二・安藤礼二)/折口信夫の『古事記』 「神学」と「神話」(藤井貞和)/『古事記』と聖地(鎌田東二)/産霊論序説(安藤礼二)/物語(テクスト)(プレテクスト) 『古事記』随感(浅沼圭司)/古事記の考古学(森浩一)/日本海文化圏から考える『古事記』(藤田富士夫)/穀物起源神話と詩(蜂飼耳)/昔話としての『古事記』(加門七海)/美術と古事記(真住貴子)/古事記に現れた動物の霊力(中村禎里)/場所と記憶(港千尋)/三島由紀夫の古事記(樋口覚)/発光する神、あるいは換喩的感染(斎藤環)/『古事記』のミトクラシー(白石嘉治)など、
238ページ。


千田稔、『古事記の宇宙(コスモス) - 神と自然』(中公新書 2211)、中央公論新社、2013
序/天と地、そして、高天の原/ムスヒとアマテラス/海 - 神々の原郷/山 - 神と精気/植物 - 王権と精霊/鳥 - 天と地を結ぶ/身体 - 内なる自然/終章 言霊としての『古事記』など、
264ページ。

………………………

 いわゆる〈日本神話〉の周辺;

大林太良、『日本神話の起源』(角川新書)、角川書店、1961
神話の研究法 - イントロドゥチオーネ-;内と外からみた日本神話/言葉の流れ 文化の流れ//
あめつちのはじめ;神々の夜明け/宇宙起源神話の三つのグループ/よく似た海外の例/三つのグループの担い手//
国土と神々の創成;日本列島の誕生/創造型神話/潜水モチーフ/釣上げた島/海人の伝承/水をかき廻して国土を生む話/天の浮橋//
生と死;死者の国からの逃走/投げては逃げ投げては逃げ/離婚と死の起源//
アマテラスとスサノオ;日月の誕生/天岩屋/日食縁起/海神の天空訪問//
天地初発からアマテラスまで;原初混沌から進化する宇宙/天父地母//
出雲の大蛇と小人;ヤマタノオロチ/ペルセウスとアンドロメダ/日本周囲の異伝/鉄剣文化/スクナヒコナ/マレビトの来訪/出雲神話の系譜//
高天原から日向へ;さらば高天原/天くだる神/大嘗祭の本義/コノハナサクヤビメとイワナガヒメ/バナナ・タイプ/日向神話とインドネシア//
日本神話の起源 - フィナーレ-など、
250ページ。


鳥越憲三郎、『出雲神話の誕生』(講談社学術文庫 1783)、講談社、2006
原著は『出雲神話の成立』、1966刊
出雲国造をめぐって;出雲族の発祥地/国造出雲臣/郡領としての出雲臣/氏族構成から見た出雲/国造系譜の疑点//
出雲神話誕生の秘密;出雲神話の担い手/杵築大社の創建者/出雲神話誕生の経緯//
出雲神話の分析;出雲の大神たち/大蛇退治の説話の源流/須佐之男命の出自/大国主神の説話の分析/三輪・賀茂氏との関係/黄泉国の説話など、
256ページ。


上田正昭、『日本神話』(岩波新書 748)、岩波書店、1970
序 日本神話の再発見//
神代史のなりたち;口誦と記録/神話の舞台/三つの神代史//
天つ神の世界;天地の創成/天つ神の誕生/皇祖神の源流//
国つ神群像;天と国と/葦原の中つ国/国ゆずりの軌跡//
神話の重層;山上来臨/海上遊幸など、
236ページ。


西郷信綱、『古代人と夢』(平凡社ライブラリー さ 1-1)、平凡社、1993
1972刊本の文庫化
夢を信じた人々//
夢殿;法隆寺の夢殿/聖所の眠り/夢と魂/六角堂の夢告//
長谷寺の夢;更級日記のこと/こもりくの泊瀬/長谷観音/夜と大地//
黄泉の国と根の国;黄泉比良坂/大穴牟遅の名義/夢と洞窟/夢と洞窟(つづき)/根の国とは何か/天と地//
古代人の眼//蜻蛉日記、更級日記、源氏物語のこと//
補論;夢を買う話/夢あわせ//
解説 - 一つの読みかた(市村弘正)など、
248ページ。


 →こちらにも挙げておきます:「通史、事典など」の頁の「v. テーマ別のもの諸々」の内「夢など」の項
 同じ著者による→そちらを参照:本項上掲の『古事記の世界』(1967)、『古事記注釈』(1975~1989/2005)


『天地開闢と国生み神話の構造 講座日本の神話 3』、有精堂、1976
総論(松前健)/天地開闢神話の構造(森重敏)/イザナキ、イザナミの世界(吉井巌)/国生み神話の構造(服部旦)/黄泉国訪問神話の構造(乗岡憲正)/日本神話における国の概念(山田英雄)/日本神話における火の神(大久間喜一郎)/日本神話における他界概念(原田敏明)/日本神話における葬送儀礼(坂本和子)など、
190ページ。


永藤靖、『時間の思想 古代人の生活感情』(教育社歴史新書 〈日本史〉176)、教育社、1979
概観//
神話的時間;生と死の物語/大国主神の物語/昼と夜の世界//
古代人の自然観と時間意識;祭式の世界/村々の祭と儀礼/四季の移ろい//
古代人の人生観と時間意識;死生観の変質/仏教的な人生観/古代人の実生活//
古代人の夢と時間意識;夢の現実超克/女性と夢の世界//
古代から中世へ;浄土信仰と死生観/歴史物語に現れた男性像/「道理」の世界など、
242ページ。


『ユリイカ』、vol.17 no.1、1985.1、pp.63-233、「特集 日本の神話」
三輪山の夢(湯浅泰雄)/『古事記』の「天地開闢」神話(福永光司)/日本神話と中国の民話 - イザナキ・イザナミ神話をめぐって(大林太良)/鍛冶の神(田村克己)/日本神話の特色(吉田敦彦)/もうひとつの降臨神話 - ニギハヤヒと物部氏(谷川健一)/記紀神話と琉球神話(遠藤庄治)/エヴェンキ族の創世神話(荻原真子)/殺された女と稲作(伊藤清司)/奄美・沖永良部島の創世神話 - 「シマダテシンゴ」の世界(山下欣一)/神を迎える神 - 降臨神話の周辺(荻原千鶴)/白鳥伝承(平野仁啓)/出雲風土記の神話的世界観(神田典城)/ニライカナイの語源と原義(中本正智)/神話の中世 - 『毘沙門の本地』をめぐって(福田晃)/日本神話における海と山(五来重)/朝鮮の巫俗神話と日本の中世神話 - 神の子邂逅型日光感精説話を中心として(依田千百子)/身を隠す神と葬られる神(山折哲雄)/神話語りの方式から見た日本と韓国の伝承(松前健)/垂仁天皇記の構造分析(マセ・フランソワ)/神々のユーカラ(萩中美枝)など

斎藤英喜編、『日本神話 その構造と生成(日本文学を読みかえる 1)』、有精堂、1995
総論/日本神話 その構造と生成(斎藤英喜)//
構造/反構造;古代神話のポリフォニー(神野志隆光・米谷匡史)/知=感覚と天皇制 - 古代王権と〈所有〉あるいは大嘗祭の論理(三谷邦明)/『古事記』の表現に関する覚書 - 『古事記』の神々(飯田勇)/楽を奏でる土地 - 笛吹峠の起源譚をめぐって(三浦佑之)//
神話とエクリチュール;古事記のテクスト論(藤井貞和)/文字表記の二重性・序論 - 古事記研究の現在(呉哲男)/文字法からみた古事記 - テクスト生成の基底へ(西條勉)/都市の
漢意(からごころ)(村井紀)/宣長・無文字社会像と「中古」の視線(山下久夫)//
方法としての「現場」;方法としての場 - フィールドとしての沖縄(古橋信孝)/神楽のことば - 神霊の両義的なはたらきと司霊者のはたらき(岩田勝)/〈神語り〉伝承させるもの - いざなぎ流祭文の場合(小松和彦)/大祓と御贖儀 - その儀礼と伝承をめぐって(斎藤英喜)/罪を申す・考 - 古代伊勢神宮の巫者・祭儀・言語生活(津田博幸)/〈神女〉降臨 - 天平十五年五月五日の宮廷から(猪股ときわ)//
生成する神話;神話と諸識 - 中世太子伝・職人由緒書など(兵藤裕己)/中世の王権神話(桜井好朗)/中世王権と中世日本紀 - 即位法と三種神器説をめぐりて(阿部泰郎)/神道五部書の世界(山本ひろ子)/意識の変容と神主/審神者(鎌田東二)//
参考文献(斎藤英喜)など、
336ページ。


荻野貞樹、『歪められた日本神話』(PHP新書 289)、PHP研究所、2004
日本神話はどう説かれているか;神話の創作ということについて/神話の類似ということについて//
神話を考える特殊日本的状況;神話を考えるについての二三のことども//
神話各説を批判する;神話の矛盾・不合理ということ/聖数について/道教起源論のこと/統合、ツギハギの説について、その一/統合、ツギハギの説について、その二/学者の想像力について//
諸家の論理操作について、など、
228ページ。


斎藤英喜、『読み替えられた日本神話』(講談社現代新書 1871)、講談社、2006
プロローグ//
古代神話を読む;荒ぶる英雄神スサノオ/「シャーマン王」オオクニヌシ/アマテラス、戦う女神から皇祖神へ//
『古事記』『日本書紀』の成立と平安王朝の神話学;『古事記』『日本書紀』の成立/平安王朝の神話学//
『中世日本紀』の饗宴;驚異の中世日本紀/「仏」を宿す日本神話/神話工房としての伊勢神宮/アマテラス、メタモルフォーゼ//
『古事記』の再発見から幕末の「日本神話」へ;宣長・篤胤の「日本神話」/幕末志士たちが読んだ日本神話//
日本神話の「近代」;国家神道と日本神話の不幸/戦後・ポストモダンの「日本神話」など、
234ページ。


斎藤英喜・武田比呂男・猪股ときわ編、『躍動する日本神話 神々の世界を拓く』(叢書・〈知の森 7〉)、森話社、2010
序 「日本神話」とはなにか//
「日本神話」の世界 『古事記』を中心に;世界創世と兄妹婚 イザナキとイザナミ(猪股ときわ)/女神アマテラスの成長と変貌(斎藤英喜)/英雄と怪物退治 スサノヲとヤマトタケル(猪股ときわ)/王の誕生の物語 オホアナムヂと天つ神の神子たち(武田比呂男)/王権伝承と歴史叙述 神話から歴史時代へ、中・下巻の中の神話的構造(谷口雅博)/『古事記』神話の世界構造(武田比呂男)//
「日本神話」の脱領域;中世神話の世界 「日本神話」の再解釈・再創造(1)(舩田淳一)/江戸の「日本神話」と『古事記伝』 「日本神話」の再解釈・再創造(2)(斎藤英喜)/神話の「近代」、その不幸と可能性 「日本神話」の再解釈・再創造(3)(同)/民間神話と伝説・昔話(谷口雅博)/歌と神話 神話の表現様式(猪股ときわ)/ファンタジー文学と神話(稲生知子)//
コラム中国西南地域の「洪水神話」(岡部隆志)/日本神話とゲーム(井熊勇介)/文字と神話テキスト(三品泰子)/琉球列島の神話世界 幻視されるアマミキョ(末次智)/『日本書紀』の戦略 「歴史」が永遠となるために(山田純)/『日本霊異記』の神話(山本大介)/神話学の近代 神話分析の可能性(1)(村田真一)/神話的思考のポスト・モダン 神話分析の可能性(2)(同)/環境論と神話(北條勝貴)/アイヌの神話世界(丸山隆司)/CGの想像力と限界 神話とCG表現(1)(北條勝貴)/リアリティの位相 神話とCG表現(2)(北條勝貴)//ブックガイドなど、
280ページ。

………………………

松本重彦、「日本の天地開闢説」、ドクトル・アレニウス、一戸直藏訳、『宇宙創成史』、大鐙閣、1921、附録 pp.9-18

益田勝美、「幻視 - 原始的想像力のゆくえ -」、『火山列島の思想』、筑摩書房、1968、pp.21-55
原始の眼/晴れのイメージ/神話的叙述/幻視的創世記と非幻視的創世記/神話の古代的専有

 四節目の「幻視的創世記と非幻視的創世記」で、「『古事記』冒頭の、四種類の創世神話」(p.37)が扱われます。
 また五節目「神話の古代的専有」では天理教の『泥海古話』が取りあげられるので(pp.47-55)、→こちらにも挙げておきます:「日本 Ⅱ」の頁の「ix. いわゆる民衆宗教・新宗教など

 全体の目次は;
黎明 - 原始的想像力の日本的構造 -/幻視 - 原始的想像力のゆくえ -/火山列島の思想 - 日本的固有神の性格 -/廃王伝説 - 日本的権力の一源流 -/王と子 - 古代専制の重み -/鄙に放たれた貴族/心の極北 ー 尋ねびと皇子・童子のこと -/日知りの裔の物語 - 『源氏物語』の発端の構造 -/フダラク渡りの人々/偽悪の伝統/飢えたる戦士 - 現実と文学的把握 -//
あとがきなど、
276ページ。


大林太良、「古代日本における分類の論理 - 天津神・国津神と天津罪・国津罪」、大林太良編、『神話・社会・世界観』、角川書店、1972、pp.329-356
 初出は1971
天津神と国津神についての諸説/天津神・国津神と神々の機能/神々の分類体系/天津罪と国津罪/宇宙の均衡破壊など


荒川紘、「日本神話の時間 無時間から不可逆的時間へ」、is、no.17、1982.6、「特集 時」、pp.33-35
廃墟の詩/古事記の時空構造/稲の時間と神話の時間/古今集の時間へなど

岡田重精、「日本古代の宇宙観」、『現代宗教 - 5 特集・宇宙論』、春秋社、1982、pp.18-32
宇宙生成の理念/宇宙の構成/宇宙的時間/宇宙感覚など

大林太良、「日本神話における水と火」、『理想』、no.614、1984.7、「特集=『水』の思想」、pp.113-120
水中出産と火中出産/火中出産と水辺出産/火中出産と水のイニシエーション/水中から由来する火/周囲の類例など

吉田敦彦、「日本神話における稲作と焼畑」、君島久子編、『東アジアの創世神話』、弘文堂、1989、pp.168-191
さまざまな農作起源神話とその齟齬/国作りと稲作および粟作/オホゲツヒメ・ワクムスヒと焼畑/稲作の起源と焼畑以前に作られたとされている果実酒など

水林彪、「律令天皇制における『天』と『日』の観念 - 天之御中主神・高御産日神と天照大御神 -」、『思想』、no.816、1992.6、pp.4-37

水林彪、「『古事記』天地生成神話論 - 『天』の『日』と『地』の『葦』の物語の始発- 」、『思想』、no.835、1994.1、pp.41-68

松村一男、「日本神話における鳥と聖空間」、宮家準・小川英雄編、『聖なる空間 宗教史学論叢 5』、リトン、1993、pp.225-260

 →こちらに再録:「通史、事典など」の頁の「iv. 神話・神話学など

西郷信綱、「地下世界訪問譚あれこれ - それは文化の問題といかに相関しているか」、『ユリイカ』、臨時増刊号vol.26-13、1994.12、「総特集 死者の書」、pp.160-171
黄泉の国・根の国/海神の国/浦島説話の意味など

大内建彦、「記紀神話を読みなおす - その(1) - 創世神話をめぐって-」、『城西大学女子短期大学部紀要』、vol.13 no.1、1996.1、pp.1-14 [ < 城西大学機関リポジトリ(JURA) ]

 同  、「記紀神話を読みなおす - その(2) - (Ⅰ)創世神話をめぐって(承前)」、『城西大学女子短期大学部紀要』、vol.15 no.1、1998.3、pp.1-15 [ < 同上 ]

 同  、「記紀神話を読みなおす - その(3) - (Ⅱ)国生み神話をめぐって」、『城西大学女子短期大学部紀要』、vol.16 no.1、1999.3、pp.1-22 [ < 同上 ]

大内建彦、「二つの『ヒルコ』神話拾遺」、『城西大学女子短期大学部紀要』、vol.17 no.1、2000.3、pp.1-13 [ < 城西大学機関リポジトリ(JURA)]

大内建彦、「黄泉国訪問神話(その1) - 死の起源をめぐる問題 -」、『城西大学女子短期大学部紀要』、vol.19 no.1、2002.3、pp.1-9 [ < 城西大学機関リポジトリ(JURA)]

若水俊、「『古事記』神代巻における問題点 - 『別天つ神五柱』から『神々の生成』まで -」、『茨女国文』、no.9、1997.3.19、pp.1-8 [ < CiNii Articles

瀬間正之、「日本書紀開闢神話生成論の背景」、『上智大学国文学科紀要』、no.17、2000.3.15、pp.129-147 [ < 上智大学学術情報リポジトリ

瀬間正之、「古事記序文開闢神話生成論の背景」、『上智大学国文学科紀要』、no.18、2001.3.15、pp.1-21 [ < 上智大学学術情報リポジトリ ]

渡辺喜勝、「上代日本人の神観念 - 『成坐(ナリマス)神』・『生坐(アレマス)神』によせて -」、『東北大学医療技術短期大学部紀要』、vol.10 no.1、2001.1.31、pp.71-821 [ < 東北大学機関リポジトリ(TOUR) ]

笹岡弘隆、「『往生要集』成立以前の冥界」、田中純男編、『死後の世界 インド・中国・日本の冥界信仰』、東洋書林、2000、pp.204-227
従来の捉え方(地下世界)/神野志氏説の再検討/史料の再考と整理など

千田稔、「数のシンボリズム - コスモロジーという秩序化 -」、『アジア遊学』、no.19、2000.8、「特集・数のシンボリズム」、pp.2-9
四/八/六/五/三など

古川のり子、「太陽神の祭り - 難波津の八十島祭 -」、松村一男・渡辺和子編、『太陽神の研究 宗教史学論叢 7』(上巻)、リトン、2002、pp.137-152
古代の難波/八十島祭について/八十島祭と神功皇后伝説/八十島祭と太陽神の神話など

越野真理子、「太陽神アマテラスの誕生 - ツクヨミ・スサオヲ・ヒルコとの兄弟関係 -」、松村一男・渡辺和子編、『太陽神の研究 宗教史学論叢 7』(上巻)、リトン、2002、pp.153-170
アマテラスとヒルコの兄弟関係/追放される兄弟神/アマテラスと海洋など

升田淑子、「息長氏と風の信仰 - 『虚・空』と神話的世界観 -」、『學苑』、no.771、2005.1、pp.1-10 [ < CiNii Articles

村上光彦、「天柱峰」、篠田知和基編、『神話・象徴・文化』、楽瑯書院、2005、pp.37-48
《中今》/〈天柱峰〉/藤村が幻視した柱/記紀の《天柱》/天を支える柱など

 →こちらにも挙げました:「ギュスターヴ・モロー研究序説」[3]の頁の「4. 柱」の補註

小島瓔禮、「オホアナムチの命と稲羽の素菟 - 東アジアの帝王紀の魚鼈の橋 -」、同上、pp.65-94
魚鼈の橋の趣向/高句麗の朱蒙の神話/川を渡る王者/海神の橋杭岩/鷲にさらわれた英雄/神話とずる賢い動物など

目崎茂和、「出雲神話の風水学的考察」、同上、pp.355-372
「出雲神話」風水構造の分析法;陰陽による分析/五行・八卦・十二支による分析など

坂田千鶴子、「甦った新月、オホアナムヂ」、同上、pp.373-424
縄文土器の月神話/消されたツクヨミ/大国主命と白兎/月神の使者/母の乳汁/スサノオの御祖命であったカミムスヒ/カミムスヒの御子であったキサカヒヒメ/生死を司る母神/白い月弓・金の月弓/月母神と新月の誕生/新月の意味の逆転/オホアナムヂの生涯/オホアナムヂと水汲み人など

竹内雅文、「媒介する神オホアナムチ ~ 因幡の素兎をめぐって」、『神話・象徴・文化 Ⅱ』、楽瑯書院、2006、pp.333-390

坂田千鶴子、「古代日本の新月信仰」、同上、pp.405-426
天照る月/隠れる月/日月の交替劇と射日神話/日は渡り、月は照る/花鳥風月、雪月花/十三夜の祀り/月と恋/月を数む/太陰的世界観/光の誕生を待つ/生命の誕生と新月の甦り/縄文土偶の新月の女神/新月の祀り/世にふるかひなど

越野真理子、「天の安の河の『河上』 - 古事記神話における異界 -」、細田あや子・渡辺和子編、『異界の交錯 宗教史学論叢10』上巻、リトン、2006、pp.301-321
他界との往来/「河上」という場所/(もがり)/『古事記』の世界観としての「河上」など

目崎茂和、「黄泉国の構造と地理」、『神話・象徴・文化 Ⅲ』、楽瑯書院、2007、横書きpp.157-170
黄泉国とは葦原中国の「陰国」か/黄泉国までのイザナミとイザナギ/イザナキの火神・迦具土神斬殺による神々の誕生/黄泉国の名称と由来/比婆山と熊野有馬村/黄泉国の地理と空間構造/黄泉国でのイザナミとイザナキ/イザナキの行動展開/桃子三箇について/千引石・磐石での相論/竺紫と筑紫の日向など

吉田敦彦、「弥生時代の『天的宗儀』と銅鐸」、篠田知和基編、『天空の神話-風と鳥と星』、楽瑯書院、2009、pp.65-86

小島瓔禮、「岩屋に隠れた稲の神 - 天の岩屋神話の周辺 -」、同上、pp.87-116
太陽と月と黒い星/アマテラス神話の型/逃げ隠れする神々/三人兄弟型の神話の論理/天の魔神の資格など

勝俣隆、「星座が先か、神話が先か?」、同上、pp.237-262
神話を先とする説について/おおぐま座について/オリオン座について/星座の位置関係と動きについて/星座としての天宇受売命についてなど

目崎茂和、「天と地を結ぶ国産みの神々と環境」、同上、pp.303-327
伊邪那岐・伊邪那美による国産み十神と八神/自然にかかわる神産み四神と八神/火之神の誕生による国産み/伊邪那岐が産んだ神々/迦具土神を斬った御刀と手上の血の八神/迦具土の神の体からの山河の八神など

匝瑤葵、「宇宙を構成する古事記の別天神 - 出雲大社の天空神」、『アジア遊学』、no.121、2009.4、「特集・天空の神話学」、pp.94-101
課題//
出雲大社の天空神祭祀//
別天神の性格;アメノミナカヌシノ神/タカミムスヒノ神/カミムスヒノ神/ウマシアシカビヒコジノ神とアメノトコタチノ神など


目﨑茂和、「高天原の神々と日月星辰」、篠田知和基編、『天空の世界神話』、八坂書房、2009、pp.135-148
高天原で誕生した神々と、その分類法;五柱神の別天神について/神世七代の二柱神まで/七柱・独神の日月星辰/神世五代・十神について//
高天原の陰陽五行の神分類と日月星辰など


匝瑤葵、「天皇の御魂の二重性」、『アジア遊学 128 古代世界の霊魂観』、勉誠出版、2009.12、pp.60-73
課題//
二種類の天皇の御魂の行方;人麻呂の日並皇子挽歌/持統天皇の夢の歌/持統天皇の吉野の行幸の時の人麻呂の歌//
二つの高天原;宇宙を意味する高天原/天照大御神の支配する高天原/高天原の別天神//
カムロギとカムロミ//皇祖神の天照大御神とタカミムスヒノ神の関係//天照大御神の本質は光である//高天原神話の意味など


 この他、

五十嵐一、『イスラーム・ルネサンス』、1986、「Ⅱ 第8章 アッラーの神 - ひとつの神名論的反省 -」

 で「古事記の神学と流出論」、イスラームの「原像空間(アーラム・ミサール)」、「カッバーラーの神学」を比較しています。

大貫隆訳・編、『グノーシスの神話』、岩波書店、1999pp.66-67

 での『ヨハネのアポクリュフォン』と『古事記』の神統譜の比較も併せて参照。

 →こちらも参照:「有閑神(デウス・オーティオースス)、デーミウールゴス、プレーローマなど」の頁 

iii. 陰陽道、修験道など

『陰陽道の本 日本史をつらぬく秘儀・占術の系譜 Books Esoterica 6』、学習研究社、1993
陰陽道の世界 知られざる日本史の背後力学(藤巻一保)//
安倍晴明伝説(志村有弘)//
陰陽道と闇の日本史(古代編)(藤巻一保);陰陽道の意味と歴史/陰陽道の源流/古代天皇と陰陽道/暗躍する陰陽師群像/陰陽道と密教//
陰陽五行の思想(不二龍彦);陰陽説と五行説/森羅万象と五行配当/伊勢神宮と陰陽五行//
いざなぎ流の呪術(豊島泰国)//
陰陽道の秘法(羽田守快);方忌み・方違え/物忌み・祓い/撫物・人形/式神/符呪/反閇/呪禁/セーマン・ドーマン/その他の呪術//
陰陽道の祭祀と神々(吉田邦博);泰山府君と天@(ちゅう;由の上に縦棒を横切る一+下に日)地府/星神と星辰祭祀/鬼神と呪禁の祭り/怨霊と御霊会/池水火風の神々と祭祀//
陰陽道と闇の日本史(中近世編)(矢吹恭一);陰陽道の変容と大衆化/将軍・武家と陰陽道/神道に侵入する陰陽道/芸能に関わる陰陽道/暦に埋没する陰陽道//
民間信仰と陰陽道(豊島泰国);民間に流れた陰陽道の系譜/年中行事/庚申信仰/民間習俗/性神信仰/金神信仰と新宗教の流れ//
陰陽道の霊跡を歩く(村上典司)//
暦と占いの大図鑑(本宮眞吾);多様に展開する陰陽道の占術/暦占/方位/命占/地相と家相など、
228ページ。

荒俣宏、『陰陽師 - 安倍晴明の末裔たち』(集英社新書 0173 D)、集英社、2002
はじめに - 生きている陰陽師に出会う//
安倍晴明の子孫たち;土御門家の奮闘/近世の陰陽道//
吉備、上原大夫の知恵;カンバラ叩く人々/金神との闘い/金光教教祖と金神の祟り//
土佐、芦田主馬大夫の謎;陰陽頭の足跡を求めて/博士と散所//
高知、いざなぎ流大夫は生きている;式を飛ばしあう大夫たち/いざなぎ流大夫に会う/いざなぎ流の歴史と環境など、
234ページ。


 同じ著者による→こちらも参照:「魔術、神秘学、隠秘学など」の頁の始めの方

繁田信一、『陰陽師 安倍晴明と蘆屋道満』(中公新書 1844)、中央公論新社、2006
官人陰陽師と法師陰陽師;安倍晴明の身分/蘆屋道満の身分//
怪異を読む;物忌と怪異/怪異の諸相/物忌の諸相//
禁忌を告げる;日時の禁忌/方角の禁忌/禁忌と暦//
災厄を除く;病気の治療/病気の予防/天災の回避/家内安全//
生命を狙う;霊託の中の呪詛/風聞の中の呪詛/生活の中の呪詛//
安倍晴明と蘆屋道満;英雄の誕生/悪役の誕生など、
222ページ


斎藤英喜、『陰陽道の神々』(佛教大学鷹陵文化叢書 17)、思文閣出版、2007
はじめに - もうひとつの「日本」の神々を求めて//
序章 陰陽道と安倍晴明の基礎知識//
追われる鬼、使役される鬼 - 疫神と式神 -;鬼を使う陰陽師/「式神」という神//
冥府と現世を支配する神;冥府神としての泰山府君/変貌していく泰山府君//
牛頭天王、来臨す;牛頭天王を求めて/中世神話としての「祇園牛頭天王縁起」/牛頭天王、陰陽道の神へ//
暦と方位の神話世界 - 『簠簋内伝』の神々 -;『簠簋内伝』という謎/暦世界の根源神へ//
いざなぎ流の神々 - 呪詛神と式王子をめぐって -;いざなぎ流の神々と陰陽道/「呪詛神」の系譜から/式王子の世界//
終章 「陰陽道」の神々のその後//
断章;いざなぎ流への〈旅〉/安倍晴明ブームの深層へなど、
330ページ。


山下克朗、『陰陽道の発見』(NHKブックス 1159)、NHK出版、2010
序章 陰陽道とは何か//
陰陽道の源流;陰陽道の源流/術数の伝来と陰陽寮//
陰陽道の成立;災害と怨霊/卜筮を信ずること無かれ/陰陽師たちの登場//
平安貴族と陰陽師;朝廷と陰陽道/占いと物忌/日常の心得と陰陽師//
陰陽道の呪術と祭祀;呪術と祭祀/宗教としての性格/陰陽師と呪詛//
賀茂保憲と安倍晴明;賀茂氏と安部氏;晴明像の生成//
晴明伝承の成立;晴明伝承の世界/もうひとつの晴明伝承//
終章 陰陽道批判の系譜など、
288ページ。


藤巻一保、『安倍晴明「簠簋(ほき)内伝」現代語訳総解説』、戎光祥出版株式会社、2017
口絵 安倍晴明と平安京/新版の刊行にあたって/はじめに(旧版)//
簠簋内伝金烏玉兎集(現代語訳)・解説;序 晴明朝臣入唐伝/第一巻 方位編/第二巻 干支・暦注編①/第三巻 干支・暦注編②/第四巻 家相・風水編/第五巻 文殊宿曜経//
陰陽道の呪法(解説);祓いの祭祀と撫物/埋鎮呪法/陰陽道の霊符/反閇/物忌/身固/式神//
あとがき(旧版)など、
412ページ。

 『安倍晴明占術大全』(2000)では割愛していた第五巻「文殊宿曜経」の訳と解説を加えたもの。
 同じ著者による→こちらを参照:「日本 Ⅱ」の頁の「viii. 近世から近代にかけてのいわゆる霊学・古神道など


小池淳一、「数のフォークロア - 暦注をめぐる民俗世界 -」、『アジア遊学』、no.19、2000.8、「特集・数のシンボリズム」、pp.96-105
七殺 - 金神の祟り/五人の王子とその仲裁者 - 土用の由来と陰陽師の力/三隣亡 - 憑霊信仰との習合など
………………………

小松和彦、「いざなぎ流の宇宙論覚え書」、『現代宗教 - 5 特集・宇宙論』、春秋社、1982、pp.65-78
始源の時、終末の時/天竺・唐土・日本/五行説の影響/修験道の影響など

斎藤英喜、『増補 いざなぎ流 祭文と儀礼』(法蔵館文庫 さ 1-1)、法藏館、2019
序章/「山の神の祭文」の世界 - 山のものは山へ、川のものは川へ/断章1 病人祈禱と「天刑星の祭文」/巫神祭祀考 - 修行する死者霊たち/断章2 神懸かりする神楽/神楽・祭文・呪術 - 「御崎様の祭文」と式王子/「呪詛の祭文」と取り分け儀礼 - 「法者」の世界へ/表のなかに裏あり - 「天神の祭文」と天神法//
補論;「いざなぎ流」研究史の総括と展望 - 2006年まで/民俗学はいかい〈歴史〉を記述するか - 小松和彦著『いざなぎ流の研究 - 歴史のなかのいざなぎ流太夫 -』を読む//
祭祀調査一覧/あとがき - すこし長々と/計佐清太夫、巫神となる - 文庫版あちがきにかえて、など、
520ページ。


 2002年刊本の増補版
………………………

吉野裕子、『隠された神々 古代信仰と陰陽五行』(講談社現代新書 405)、講談社、1975
日本古代の神々;神々をとらえるの日本的発想/古代日本人が描く世界像/陰陽五行を受け入れたとき//
大君は神にしませば - 白鳳期の呪術;近江遷都の謎/改葬された天武天皇陵/高松塚の被葬者はだれか//
伊勢に隠された神々 - 伊勢神宮の謎;天照大神のかげにひそむ「太一」神/伊勢神宮をつらぬく陰陽五行/北斗七星と伊勢の祭り/太玉串行事の背後にあるもの/「西北」という聖なる方位//
大嘗祭でまつられる神;
御禊(みそぎ)」は何を象徴するか/陰陽五行を隠した天王の即位式など、
218ページ。


『現代思想』、vol.49-5、2021.5臨時増刊号:「総特集 陰陽道・修験道を考える」
陰陽道を考える;異貌の〈日本宗教史〉をもとめて 折口信夫・陰陽道・いざなぎ流(斎藤英喜)/古代・中世の陰陽師(山下克明)/「新しい安倍晴明像」の始まり(細井浩志)/陰陽道の中世的展開(赤澤春彦)/近世宗教史における陰陽道 陰陽道の拡散と忘却(梅田千尋//
陰陽道研究の現在とこれから(赤澤春彦・梅田千尋・斎藤英喜・細井浩志)//
陰陽道研究の可能性;いざなぎ流の陰陽道的側面 すそ・式王子・五方を中心に(小松和彦)/「
簠簋(ほき)」とは何か 陰陽道の由来と行方(小池淳一)/東アジア世界の中の陰陽道 〈術数文化〉の視点から(水口幹記)/江戸時代の占書と陰陽道(マティアス・ハイエク)/都状にみる死生観(高田義人)/陰陽道における牛頭天王信仰 暦注書『簠簋内伝』巻一の読解を中心に(鈴木耕太郎)//
修験道を考える;修験道の歴史 民俗宗教の視点から(宮家準)/考古学からみた修験道(時枝務)/修験道の成立を考える(徳永誓子)/山伏集団の形成(長谷川賢二)/修験道の明治維新 在地修験と修験本山の行方(鈴木正崇)//
修験道とは何か 研究史と展望(鈴木正崇・長谷川賢二・林淳)//
修験道研究の可能性;「里修験」とは何か(久保康顕)/聖不動論(安藤礼二)/修験と胎生 中世天台教学との接点をもとめて(小川豊生)/現代修験道の素描 〈まつわるもの〉と〈そのもの〉の関係に注目して(天田顕徳)/験を生む声 修験道を声わざの系譜(大内典)//
宗教史のなかの陰陽道・修験道;修験道と陰陽道と神道(林淳)/中世神道説と修験道・陰陽道との関係(伊藤聡)/山の彼方、大海へ 海の日本宗教史への航路(ファビオ・ランベッリ)/神楽・祭文と修験道・陰陽道 奥三河花祭から(星優也)//
陰陽道・修験道から考える;陰陽道と仏教/修験道と仏教 職能(専門)としての
enlarged Buddhism (彌永信美)/中世前期の瘧病治療 病原は鬼か狐か(小山聡子)/陰陽道・修験道と食(原田信男)/天狗論 龍爪神社とさむはら(岩田重則)/役行者と近代仏教(碧海寿広)/鬼と学者と陰陽師(木村朗子)など、
462ページ。

………………………

宮家準、「修験道の宇宙観」、『アジアの宇宙観』、1989、pp.234-253
曼荼羅の原風景/山岳曼荼羅の世界/宮曼荼羅の世界/観心曼荼羅の世界など

宮家準、『修験道 山伏の歴史と思想』(教育社歴史新書〈日本史〉 174)、教育社、1978
概観//
修験道の歴史;修験道の発生/修験道の確立/修験道の展開/修験道の崩壊と再生//
役小角と不動明王;大峰山と役小角/修験道と不動明王//
峰入とその思想;修験道の峰入/冬の峰/秋の峰/峰入の思想/即身成仏の意義//
修験道のまつり;吉野山の花供儀法会/修験 一 山のまつり/験競べと加持・祈禱//
修験道の遺跡と遺物;遺跡と遺物/金峰山と熊野の経塚遺物/大峰山中の遺跡//研究史など、
234ページ


大内典、「『声』と『音』がつくる儀礼 - 修験道儀礼の音空間 -」、『美學』、no.160、1990.3.31、pp.25-35 [ < CiNii Articles

『修験道の本 神と仏が融合する山界曼荼羅 Books Esoterica 8』、学習研究社、1993
神霊の住む山//
山界の神秘学(花咲一成)//
役一角の伝説(藤巻一保)//
修験道の修行世界(藤田庄市);修行とは何か/十界修行/羽黒「秋の峰」/大峰「奥駆け」/験競べ/神憑り/山伏芸能//
異形の修験者列伝(豊島泰国)//
修験道・全史(村山修一・藤巻一保);修験道の起源と先駆者の活躍/修験教団の形成と確立/独自に発展した地方修験/修験道の制度化と大衆化/修験教団の解体と再生//
山界曼荼羅の世界(不二龍彦)//
秘儀・呪法の世界(羽田守快);修験道の行法とは何か/修験の護摩/九字と金縛り/憑り加持/摩利支天の呪法/鬼神使役法/敬愛・和合法/封じものと呪符/その他の行法//
修験道オカルティズム(吉田邦博・本宮眞吾);カミから“神と仏”へ/修験道の主尊・権現/本地仏としての如来・菩薩/行者の守護神としての明王・諸天・護法/修験道に習合した様々な神々/天狗とは何か?/六道外の異界・天狗道/天狗小僧寅吉と天狗界/天狗列伝//
日本の霊峰(村上典司)など、
228ページ。


久保田展弘、『修験の世界 始原の生命宇宙』(講談社学術文庫 1701)、講談社、2005
 原著は『修験道・実践宗教の世界』、1988刊
いま、修験道がもつ意味//
大峰山の修験道;全長一八〇キロの〈奥駆け修行〉/吉野修験の歴史背景/熊野三山の宗教世界//
出羽三山の修験道;秋の峰入り修行 - 生命の円環/出羽三山の宗教的背景/厳冬の夜の奇跡・松例祭//
比叡山の修験道//
修験道 - ミクロとマクロの宇宙など、
326ページ。


宮家準、『現代語訳 修験道聖典 「役君形生記」「修験指南鈔」「修験修養秘決集」』、春秋社、2022
序//
『役君形生記』 解題 - 『役君形生記』;『役君形生記』の性格/『役君形生記』の内容/『役君形生記』の構造/『役君形生記』と『役行者本記』//
  現代語訳 - 『役君形生記』;序/
    (巻上)熊野証誠行者の事/過去契約の事/役小角誕生の事/幼稚遊戯の事/悪鬼随逐の事/箕面入瀧の事/
    (巻下)大峰修行の事/金峰山修行の事/葛城修行の事/久米路橋の事/豆州配流の事/行者帰洛の事/慈父報恩の事/小角入唐の事/異類化度の事//
『修験指南鈔』 解題 - 『修験指南鈔』;聖護院所蔵の『修験指南鈔』/若王子の先達、千勝院鎮水/修験全般/役行者の伝承/熊野の伝承/金峰山と大峰山の伝承/『修験指南鈔』(抄本)の特徴//
  現代語訳 - 『修験指南鈔』;役行者、インドにおいて最初の事(ならびに行者出生の事)/熊野権現の因位の事/結・早玉両所各々夫婦の事/熊野三所の垂跡、各々不一致の事/御社壇殿作りの事/両所御殿の中間を除くの事/熊野称号の事/十二所権現御本地の事/本宮御在所縁起の事/八大金剛童子本迹の事/行者五大の次第の事/蔵王権現本地垂迹の事/山下より山上に至り堂に入る次第の事/峰中灌頂私記//
『修験修養秘決集』 解題 - 『修験修養秘決集』;序/阿吸房即伝と『修験修養秘決集』/     即伝の思想;修験宗旨(浅略分二)/依経(依経用否、浅略分一)/本尊観(不動十界、深秘分六)/役行者とその像容(添書分一・二)/成仏論(三種即身、浅略分三)//
    字義に基づく思想の説明;山伏二字義(深秘分一)/山臥、山伏(臥伏二字、深秘分二と四種名義、深秘分三)//
    衣体に見られる思想;身体 - 髪形(三身山伏、深秘分四)/衣体(衣体分十二通)//
    儀礼 - 峰入を中心に;当峰、大峰山(灌頂啓白、私用分一)/十界修行(十界修行、極秘分一)/床堅(峰中床堅、極秘分二)/峰中閼伽水(極秘分四)生善の法/峰中小木(極秘分六)/峰中正灌頂、柱源供養法の大事(極秘分五)//
    真言・天台と修験道思想・儀礼;真言宗と修験道思想・儀礼、天台宗と修験道思想・儀礼、修験道の思想と儀礼/結//
  現代語訳 - 『修験修養秘決集』;修験道切紙発題/
    (巻上)(衣体分十二通)頭襟の事/斑蓋の事/鈴繋の事/結袈裟の事/法螺の事/最多角念珠の事/錫杖の事/緑笈の事/肩箱の事/金剛杖の事/引敷の事/脚半の事//
      (浅略分七通)依経用否の事/修験宗旨の事/三種即身の事/三種問答の事/修験用心の事/邪正分別の事/世界建立の事//
    (巻中)(深秘分七通)山伏二字の事/臥伏二字の事/四種名義の事/三身山伏の事/宝冠問答の事/不動十界の事/法螺両緒の事//
      (極秘分七通)峰中十界修行の事/峰中床堅の事/峰中床精の事/峰中閼伽水の事/峰中正灌頂「柱源供養法」の大事/峰中小木の事/峰中碑伝の事//
    (巻下)(私用分七通)灌頂啓白と四度灌頂の事/正灌頂の大事/床定の大事/入峰印証状/峰中灌頂血脈の事/小柴の事/螺の緒の印信//
      (添書分七通)役行者略縁起の事/役行者の尊形の事/阿字門回向(葬儀)の事/霊供作法の事(追善供養)/五箇問答の事/入峰修行三祇の事/山用名類集〈修験道類字ともいう〉//
  付録 - 『修験修養秘決集』最極分;修験道四重阿字の大事/修験道阿字八箇証義/三有六大の事〈朱書「四有の事。本有の地大。生有の水大。死有の火大。中有の風大のこと」〉/十六 山伏道付法印証状//
その他の解題;『修験三十三通記』/『修験頓覚速証集』/
  『三峰相承法則密記』;序/即伝と『三峰相承法則密記』/峰入者と入峰前の作法/峰中の宿(長床)とそこでの作法/十種の所役/十界修行と四度灌頂/結など、
328ページ。

………………………

村山修一、「日本における神と仏の交渉」、『仏教思想史』、no.1、1979.11:〈神と仏 源流をさぐる〉、pp.225-253
日本霊異記の史料的価値/小子部栖経と道場法師/カントケの木と疫神・客神の信仰/神祇実類信仰の展開/石神信仰の発展/聖者隠身の思想/卜占と因果観/冥府の思想と疫神信仰/祖霊の祭日と霊託ならびに楊木の呪法など

『現代宗教-2 特集・山岳宗教』、春秋社、1980
山の信仰と日本の文化(五来重)/出羽三山の修験道(戸川安章)/福島の山岳信仰 はやま信仰を中心として(岩崎敏夫)/御嶽信仰(生駒勘七)/大峰修験の思想 金剛蔵王権現を中心として(宮家準)/道教と山岳(窪徳忠)/山越えの象徴(山折哲雄)/不二道の歴史観 食行身禄と参行六王の教典を中心に(宮崎ふみ子)/筑波山信仰の信仰圏(牧雅子)/房総の山岳信仰 上総鹿野山を中心に(岡倉捷郎)/瞽女 盲人と境界性の一考察(福島邦夫)など、
204ページ。


 →同じ雑誌の5号・宇宙論特集:「通史、事典など」の頁の「v. テーマ別のもの諸々

湯浅泰雄、「日本神話の宇宙観と山岳仏教の心理世界」、『現代宗教 - 5 特集・宇宙論』、春秋社、1982、pp.2-17
宇宙観の三層構造/光と影の二項対立/山岳仏教の重層化/苦しむ神と怨霊の心理学的意味/幻影の旅における心理的変容の構造/変容の体験の哲学など

菅原寿清、「御嶽行者の宇宙観」、『現代宗教 - 5 特集・宇宙論』、春秋社、1982、pp.79-94
山の空間構造/座の空間構造/行者の宇宙観など

宮家準、「熊野曼荼羅の世界 - 熊野修験伝来本を中心に -」、宮家準・小川英雄編、『聖なる空間 宗教史学論叢 5』、リトン、1993、pp.291-328
熊野信仰と熊野曼荼羅/熊野宮夜曼荼羅/熊野本地曼荼羅/熊野垂跡曼荼羅と熊野本跡曼荼羅/熊野那智参詣曼荼羅/熊野曼荼羅の構図と思想など

諏訪春雄、「日本人の山岳信仰 - 天父地母観の検討 -」、篠田知和基編、『天空の神話 - 風と鳥と星』、楽瑯書院、2009、pp.117-137
山の神の性別//
生業を中心に見る山の信仰五種;自然神/採集狩猟民(鍛冶・漁労民も含む)/山地農耕民/平地農耕民/宗教の山//
山の神の性別を分ける理由;生殖信仰/天と地/生業//
天への通路としての山//日本人の山岳信仰 結論など


鈴木正祟、「聖地・熊野の真髄」、同上、pp.139-206
はじめに;古代から現代までの連続性/熊野における二つの動因/熊野の語義//
熊野三山の形成;前史 - 古代の残響としての熊野/古代の修行地/修行場としての那智/三山の成立まで//
聖地・熊野の成立;聖地の特性/十二所権現の成立/王子信仰//
熊野詣;熊野詣の形成と展開/参詣道//
縁起から物語へ;縁起の成立と展開/小栗判官の物語(室町末期から江戸初期)//
祭りへの展開;熊野の各地の祭り/熊野の祭りの特性/湯立の意味/湯立から湯立神楽へ//
おわりに - 聖地の語り方など

………………………

 空海について→こちら(「仏教 Ⅱ」の頁の「v. 仏身論、密教など」)とその前後を、
また、鎌倉仏教から;
 道元について→そちら(同上「iii. 華厳経、蓮華蔵世界、華厳教学など」)を、
 親鸞について→あちら(「仏教」の頁の「i. 須弥山/三千大山世界/四大劫・六十四転大劫」の内「梵暦など」の項)、またここ(「仏教 Ⅱ」の頁の「v. 仏身論、密教など」)も参照

増尾伸一郎、「泰山府君祭と〈冥道十二神〉の形成」、田中純男編、『死後の世界 インド・中国・日本の冥界信仰』、東洋書林、2000、pp.228-252
『今昔物語集』と泣不動縁起/泰山府君と閻羅王/泰山府君祭の都状と冥道十二神/冥道十二神の形成/平安貴族と泰山府君祭など

林東洋、「『先代旧事本紀』巻第一の分析」、『哲学会誌』、no.26、2002.5、pp.23-44

木村淳也、「パフォーマンスを忘れた神話 - 『先代舊事本紀』巻三「天神本紀」とその周辺に関する研究ノート -」、『明治大学日本文学』、no.30、2004.4.30、pp.41-50 [ < 明治大学学術成果リポジトリ

権東祐、「『先代旧事本紀』におけるスサノヲの変貌」、『佛教大学大学院紀要. 文学研究科篇』、no.38、2010.3.1、pp.77-93 [ < CiNii Articles

iv. 神仏習合、中世神話など

大隅和雄校注、『中世神道論 日本思想体系 19』、岩波書店、1977
倭姫命世記(伊勢神宮外宮の度会氏によるいわゆる神道五部書の一つ)/中臣祓訓解/大和葛城宝山記(初期の両部神道を代表する書)/天地麗気記(両部神道の教説を組織化した書)/類聚神祇本源(抄) 天地開闢篇、禁誡篇、神道玄義篇(度会(村松)家行による伊勢神道の教説の集大成、全10巻15篇)/旧事本紀玄義(抄) 巻第三、巻第四(卜部氏の出で天台僧となった慈遍の著)/諸神本懐集(親鸞の五代目の子孫にあたる存覚の著)/唯一神道名法要集(吉田兼倶の著)//原文//
解説 中世神道論の思想史的位置;神道論の成立/天地の開闢/現世の秩序/禁忌と儀礼/収載書目についてなど、
386ページ


北畠親房、永原慶二・笠松宏至訳、『神皇正統記』、『慈円・北畠親房 日本の名著 9』、中央公論社、1971、pp.337-456

 冒頭に仏教の須弥山説が記され、その後、神代史へと続きます。
 次も参照;

江上琢成、『日本中世の宗教的世界観』、2007、「第2章 中世歴史叙述における須弥山説の諸相

 本書には他に;
中世の歴史感覚と政治思想(永原慶二・大隅和雄)//慈円 愚管抄(大隅和雄訳)//北畠親房 書簡(笠松宏至訳)など、
604ページ。


貴志正造訳、『神道集』(東洋文庫 94)、平凡社、1967
熊野権現の事/二所権現の事/諏訪大明神の秋山祭の事/諏訪大明神の五月会の事/三島大明神の事/児持山大明神の事/蟻通し明神の事/橋姫明神の事/赤城大明神の事/伊香保大明神の事/葦苅明神の事/覚満大菩薩の事/鏡の宮の事/釜神の事/富士浅間大菩薩の事/八ヵ権現の事/那波八郎大明神の事/北野天神の事/諏訪縁起の事//解説など、
338ページ。

 「全五十篇のうちの十九篇にすぎないが、量的には全体の三分の二近くを収めえている」(pp.330-331)とのこと。

………………………

村山修一、『神仏習合思潮』(サーラ叢書 6)、平樂寺書店、1957
序論/発生期の習合思潮/密教の成長と習合思潮/浄土思想の発生と習合思潮/新仏教と習合思潮/習合美術の本質(一)/習合美術の本質(二)/習合文芸思潮/行事にあらわれた習合思潮/習合理論の変遷/神仏分離など、
270ページ。

田中貴子、『外法と愛法の中世』(平凡社ライブラリー た 18-1)、平凡社、2006
 原著は1993刊
女神と竜女;竜女の妹 - 厳島の神をめぐる神仏関係と『厳島本地』/姉妹神の周辺-竜女・吉祥天・弁才天/〈玉女〉の成立と限界 - 『慈鎮和尚夢想記』から『親鸞夢記』まで//
舎利が生み出す〈王権〉;宇治の宝蔵 - 中世における宝蔵の意味/仏舎利相承系譜と女性 - 胡宮神社『仏舎利相承次第』と来迎寺『牙舎利分布 八粒』を中心に/法華寺の八条院高倉 - 来迎寺文書から//
外法と愛法の中世;吒枳尼天法と〈王権〉(1) - 祇園女御をめぐって/吒枳尼天法と〈王権〉(2) - 小野仁海と白河院政/吒天行者の肖像 - 外法と愛法の中世など、
320ページ。


山本ひろ子、『変成(へんじょう)譜 中世神仏習合の世界』(講談社学術文庫 2520)、講談社、2018
原著は1993刊
プロローグ - 神聖劇場への招待//
苦行と救済 中世熊野詣の宗教世界 - 浄土としての熊野へ;はじめに/葬送としての熊野詣/聖地と救済の構造/おわりに//
擬死と再誕 大神楽「浄土入り」 - 奥三河の霜月神楽をめぐって;はじめに - 花祭と大神楽/大神楽の宗教思想 - 『御神楽日記』を読む/浄土入りの装置/浄土への旅立ち/浄土での行ない - 「注連の本戒」を読む//
本覚の弁証法 龍女の成仏- 『法華経』龍女成仏の中世的展開;幻の「龍畜経」を求めて - 『平家物語』「灌頂巻」から/龍女の原像 - 「堤婆品」の彼方へ/成仏のドラマトゥルギー//
人獣の交渉 異類と双身 - 中世王権をめぐる性のメタファー;はじめに/双身の神智学/辰狐のイコノグラフィー//
エピローグ - 錬金術的思考へ向けて、など、
464ページ。


山本ひろ子、『異神 中世日本の秘教的世界』(上下)(ちくま学芸文庫 ヤ 12-1~2)、筑摩書房、2003
 原著は1998刊
上巻 プロローグ//
異神と王権 - 頼豪説話をめぐって;『平家物語』頼豪説話の構成とモティーフ/呪殺された王 - 後三条天皇崩御譚/頼豪説話の成立/鼠の秀倉譚/付論Ⅰ 赤衣の老翁・赤山明神/付論Ⅱ 新羅明神来臨考 - 縁起と秘法をめぐって/付論Ⅲ 新羅明神の幻像を追って//
摩多羅神の姿態変換 - 修行・芸能・秘儀;序 謎の神・摩多羅神/叡山常行堂と摩多羅神/秘儀と摩多羅神 - 摩怛利神法と玄旨灌頂の世界/修正会のなかの摩多羅神 - 秘法相伝と摩多羅神の「顕夜」/付論 日光山の延年舞と常行堂など、
446ページ。

下巻 宇賀神 - 異貌の弁才天女;はじめに - 『渓嵐拾葉集』と二種の弁才天/宇賀神経と荒神祭文/『弁才天修儀』の儀礼宇宙 - 行法と口伝をめぐって/弁才天灌頂 - 戒家相承の弁才天と如意宝珠をめぐって/終わりに - 「如意宝珠王」の彼方へ/付論 戒家と大黒天 - 大黒天法と戒灌頂をめぐって//
行疫神・牛頭天王 - 祭文と送劫儀礼をめぐって;はじめに - 「牛頭天王島渡り」祭文と祇園縁起/「牛頭天王島渡り」祭文の世界/津島の牛頭天王信仰と御葦流し/終わり に -「みさきたなびく牛頭天王……」//
エピローグなど、
450ページ。


山本ひろ子、『中世神話』(岩波新書 593)、岩波書店、1998
序章 中世神話への招待//
屹立する水の神;中世の開闢神話/御饌の神から開闢神へ/水徳の神=豊受大神の成立//
天の瓊矛と葦の葉;大日如来の印文神話(→こちらも参照:「言葉、文字、記憶術・結合術、書物(天の書)など」の頁の始めの方)/天の瓊矛のシンボリズム/葦の老王の物語/地主の神と今来の神//
降臨する杵の王;稲の王から杵の王へ/天の瓊矛とその行方/猿田彦大神と大田命//
終章 伝世されなかった神器など、
222ページ


牟禮仁、『中世神道説形成論考』、皇學院大學出版部、2000
「神道」日本書紀用例考 - 「神道」の語の特性をどうとらえるか -/「神道」古代・中世用例輯(稿)/神人相依論の系譜 - 「神者依人之敬増威」考 -//
「仏家神道」説の形成 - 「太神宮啓白文」を手がかりとして -/「神家神道」説の形成 - 『神皇実録』を通して -/大中臣氏神祇説の形成 - 『神宝図形神秘書』によって -/卜部氏神道説の形成 - 『神道秘説』によって -/中世初期神道書の関わりあい - 『神道秘説』を定点として -/度会行忠と仏法 - 伊勢と京都との、中世神道思想交流の事例として -/中世神道文献関係年表(稿)など、
478ページ。


佐藤弘夫、『アマテラスの変貌 中世神仏交渉史の視座』、法藏館、2000
プロローグ 神仏交渉論への視座;雨法童子の寺/男神としての天照大神/現代人と神仏/交流する神仏/変身する神と仏//
祟る神から罰する神へ 祟りを下す神;記紀神話の神々/アマテラスの祟り/国家支配と祟り//
  邪霊の登場;邪気・霊気・モノノケ/死霊の跳梁/御霊信仰と疫神/調伏されるモノノケ//
  変身する名神;祟りと罰/賞罰を司る神/祟り神の行方//
〈日本の仏〉の誕生 日本の仏の出現;日本人を護る仏/土地をシメル仏/「神」と呼ばれた仏たち//
  起請文の宇宙;起請文とはなにか/起請文の仏たち/精霊と諸天//
  怒る神と救う神;浄土へ誘う仏/極楽往生と此土の仏/本地垂迹の真相//
  神々の変身の背景;仏教的世界観への嵌入/荘園制社会と神仏/神の中世・仏の中世/神国思想の実態//
コスモロジーの変容 中世的コスモロジーの形成;冥界の二重構造/〈日本の仏〉の位置/中世的コスモロジーの特質//
  地獄の思想・極楽の思想;子孫を見守る霊/彼岸の浄土の伝統/極楽への距離//
  この世の浄土とあの世の浄土;此土浄土の役割/生身の仏との出会い/古代的コスモロジーから中世的コスモロジーへ//
変貌するアマテラス 古代神話における天照大神;律令国家の形成と神々/天照大神の限界/祈りを拒む神//
  中世神への転換;日本国主天照大神/国民神への転換/神国思想と天照大神//
  中世のコスモロジーと天照大神;粟散国主天照大神/日蓮における天照大神/天照大神の本地//
  中世王権神話の形成;中世社会と天皇/天皇像の分裂/天皇と仏教//
日本を棄て去る神 神祇崇拝と神祇不拝;鎌倉仏教論の方法/排除される神々/神祇不拝の根拠//
  鎌倉仏教と神祇;一仏への傾斜/罰を下す仏/弟子ひとりももたず//
  神天上の系譜;善神捨国と『立正安国論』/善神捨国の源流/神天上と中世コスモロジー//
エピローグ ある個人的な回想など、
238ページ。


佐藤弘夫、『偽書の精神史 神仏・異界と交感する中世』(講談社選書メチエ 242)、講談社、2002
序章 偽書の精神史へ//
新仏教と本覚思想のあいだ;本覚思想と日蓮遺文/法華唱題の根拠/新仏教と本覚論はどこが違うか//
偽書の時代としての中世;予言する聖徳太子/未来記の流行/中世日本紀の世界/神道説の形成と偽書//
偽書はいかにして作られるか;異界からの言葉/夢見の作法/親鸞の夢/夢が告げる未来//
中世的コスモロジーと偽書;中世コスモロジーの構造/起請文の神仏/偽書成立のメカニズム/中世人はなぜ偽書を書いたか//
鎌倉新仏教の誕生;日蓮の彷徨/本仏との邂逅/新仏教の目指したもの/根源なる存在を求めて//
偽書を超えて;偽書からみた中世/偽書の時代の終焉/偽書の精神と現代など、
248ページ。

 →こちらにも挙げました:「言葉、文字、記憶術・結合術、書物(天の書)など」の頁の「本・書物(天の書)」の項


佐藤弘夫、『起請文の精神史 中世世界の神と仏』(講談社選書メチエ 360)、講談社、2006
序章 方法としての起請文//
起請文を読む;神文への着目/神仏の序列/日本の仏/弥陀と閻魔/死霊の系譜//
神と死霊のあいだ;古代の神観念/〈命ずる神〉と〈応える神〉/御霊とモノノケ/〈応える神〉としての疫神//
垂迹する仏たち;あの世とこの世の神仏/中世人にとっての本地垂迹/浄土信仰と垂迹の役割/生身仏の時代//
神を拒否する人々;コスモロジー論の検証/神を拒否する人々/神祇不拝の根拠/なぜ垂迹を排除するのか/法然の決断//
終章 パラダイムに挑む、など、
212ページ。


佐藤弘夫、『神国日本』(ちくま新書 591)、筑摩書房、2006
序章 神国思想・再考への道;「神国」の常識を疑う/放逐される天皇/「神国」論への視座//
変動する神々の世界;古代的神祇秩序の形成/中世的神祇秩序への移行/神々の反乱/土地を支配する神々//
神と仏との交渉;神仏習合の展開と本地垂迹説の成立/祟り神と罰する神/本地垂迹説の歴史的意義/冥界のコスモロジー//
神国思想の成立と変容;古代における「神国」の観念/中世的「神国」への転換/神国日本の境界/辺土と神国/神国思想に見る普遍主義//
神国思想の歴史的意義;悪僧の跳梁と神国/新仏教批判の論理としての神国思想/蒙古襲来/イデオロギーとしての神国思想/中世的神国思想の観念性//
疎外される天皇;神から人へ/「裸の王様」としての天皇/神国のなかの天皇/なぜ天皇が必要とされたか//
終章 神国の行方;ナショナリズムとインターナショナリズムのはざまで/神国思想の歴史的展開/自国中心主義への旋回/神国思想と現代など、
234ページ。


黒田日出男、『龍の棲む日本』(岩波新書 831)、岩波書店、2003
プロローグ 〈国土〉と〈日本図〉と龍//
行基式〈日本図〉とは何か;金沢文庫の〈日本図〉/行基図のアポリアと謎解き/行基菩薩とは/独鈷の〈かたち〉をした日本/独鈷のシンボリズム/〈日本図〉と三国のシンボリズム//
金沢文庫本〈日本図〉と蒙古襲来;金沢文庫本〈日本図〉とは/〈国土〉と異界/龍乃国宇嶋と雨見嶋/高麗・蒙古国と唐土/妙本寺本〈日本図〉の発見と「三韓」//
龍体の神々と国土守護;蒙古と戦う神々の姿/龍の〈日本史〉/龍のつく言葉と〈日本〉の龍/龍の図像学/龍が起こす地震-「龍動」「龍王動」「龍神動」/政変や天変地異と龍//
龍が棲む中世〈日本〉;龍が伏す〈大地〉/龍穴だらけの中世的〈国土〉/地下を縦横に走る巨大な穴道/龍の棲む〈国土〉と地下世界遍歴の物語//
大龍と地震と要石;「大日本国地震乃図」の読解/金沢文庫本〈日本図〉と大日本国地震乃図の比較/地震と要石//
エピローグ 龍から大鯰へ、など、
242ページ。


 地図に関連して→こちらも参照(応地利明『絵地図の世界像』(1996):本頁上掲の「i. 概説、通史など」)
 地震に関連して→そちらにも挙げておきます:「日本 Ⅱ」の頁の「鯰絵」の項
 龍に関連して→あちらにも挙げておきます:「原初の巨人、原初の獣、龍とドラゴンその他」の頁の「龍とドラゴンなど」の頁
 地下世界に関連して→ここ(「怪奇城の外濠 Ⅱ」の頁の「地下など」)およびそこ(「怪奇城の地下」の頁)


錦仁・小川豊生・伊藤聡編、『「偽書」の生成 中世的思考と表現』、森話社、2003
御記文という名の未来記(小峯和明)/未来騙りのテキスト - 『愚管抄』のウソとマコト(深沢徹)/樂書と偽書 - 『體源鈔』所引『至要抄』をめぐって(中原香苗)/署名する定家、装われるテキスト - 仮託書論の一視角(川平ひとし)/菅江真澄におけるモノガタリ - 「旅日記」から「地誌」へと真澄は変化したか(錦仁)/中世神学のメチエ - 『天地霊覚秘書』を読む(小川豊生→こちらに収録)/三宝院流の偽書 - 特に『石室』を巡って(伊藤聡)/『蓮華三昧経』の基礎的考察(水上文義)//
資料篇 九州大学図書館蔵『新選帝説集』 - 解題と翻刻(錦仁・小川豊生)/松平文庫蔵『本朝事始』 - 解題と翻刻(同)/天理大学附属天理図書館蔵・清水光房『和歌無底抄考』 - 解題と翻刻(川平ひとし)など、
368ページ。


 →こちらにも挙げました:「言葉、文字、記憶術・結合術、書物(天の書)など」の頁の「本・書物(天の書)」

末木文美士、『中世の神と仏』(日本史リブレット 32)、山川出版社、2003
日本宗教の解明に向けて//
神道の形成と神仏習合;日本的な宗教形態としての神仏習合/神道とはなにか/神仏習合の展開//
山王をめぐる神道説;山王の神/本地垂迹理論の形成/記家 - 知の記録者/天台教学と神道理論 - 『山王要略記』/神仏関係の逆転 - 『渓嵐拾葉集』//
伊勢をめぐる神道説;伊勢神宮と中世神道/伊勢神道の形成/両部神道の形成/中世神話/根源を求めて//
神道理論の体系化;両部神道と伊勢神道の体系化/神話から歴史へ - 北畠親房/神道の優位 - 慈遍/神道の統合 - 吉田兼倶など、
104ページ。


 同じ著者による→こちらを参照:本頁「i. 概説、通史など」の項

千田稔、『伊勢神宮 - 東アジアのアマテラス』(中公新書 1779)、中央公論新社、2005
序章/アマテラスの旅路/中国思想と神宮/神国の系譜/近代の神宮/植民地のアマテラス/終章など、
230ページ。


逵日出典、『八幡神と神仏習合』(講談社現代新書 1904)、講談社、2007
神奈備信仰(神体山信仰)と仏教の伝来/神仏習合現象の始まり/八幡という神の成立/八幡神の発展と神仏習合/習合現象の中央進出と八幡大菩薩の顕現/本地垂迹説の成立/八幡仏教徒の国東進出/八幡信仰の全国的広がりと神仏習合など、
258ページ。


小峯和明、『中世日本の予言書 - 〈未来記〉を読む』(岩波新書 1061)、岩波書店、2007
序 未来記という名の予言書//
去りゆく神仏、談合する神仏;去りゆく神仏/神仏・怨霊の談合//
発掘される未来記 - 捏造と発見のドラマ;未来記の「作者」たち/発見される未来記//
未来から歴史を読む;蜘蛛の糸をつたって/牛腸を食う黒鼠とは/空飛ぶ猿の隠喩//
未来記に憑かれた人々;未来記にとりつかれた人々/南北朝の内乱と未来記/応仁の乱を読む人々//
生きている未来記;近世の未来記 - 中世からの転換/近代の未来記 - 〈世紀〉という史観など、
234ページ。


『神仏習合の本 本地垂迹の謎と中世の秘教世界 Books Esoterica 45』、学習研究社、2008
[神仏習合の美術]神と仏の楽土へ(本田不二雄)//
プロローグ 神仏習合とは何か - 日本的シンクレティズムの彼方へ-(斎藤英喜)//
神話の章(藤巻一保);天地開闢の秘説/国土を創成した独鈷杵/天照=大日説と神国日本/天照と第六天魔王の密約/天照大神にまつわる異説/豊受大神の隠された顔/謎の神器=神璽の正体/龍女が天皇に授けた秘儀//
聖地の章(羽田守快・本田不二雄);比叡山と山王権現/伊勢と天照・豊受大神/白山と九頭龍・妙理権現/南都と春日大明神/熊野と三所権現/金峰山と蔵王権現/宇佐と八幡大菩薩//
奇書の章(北端あおい・榛和夫);両部神道系 中臣祓訓解、大和葛城宝山記、天地麗気記/山王神道系 耀天記、山家要略記、渓嵐拾葉集/伊勢神道・吉田神道ほか 類聚神祇本源、瑚璉集、唯一神道名法要集、諸神本懐集//
[秘密の図像学]蛇と宝珠(古川順弘)//
異神の章(藤巻一保);宇賀弁才天/大黒天/荼枳尼天/摩多羅神/三宝荒神/牛頭天王//
秘儀の章;神拝作法(豊嶋泰国)/祭祀行法(同)/神道護摩(大森義成)/神道灌頂(同)//
神仏縁起の世界;序 神仏縁起とは何か(稲田智宏)/日本垂迹神総覧(吉田邦博・羽田守快)/記紀神話の神々と本地(稲田智宏)/さまざまな縁起(同)など、
222ページ。


川村湊、『闇の摩多羅神 変幻する異神の謎を追う』、河出書房新社、2008
はじめに 摩多羅神の世界/広隆寺の摩吒羅神/摩多羅神はどこから来たか/延暦寺常行堂/赤山明神と新羅明神/毛越寺常行堂・多武峯常行堂/東照大権現と摩多羅神/玄旨帰妙壇灌頂/江戸の摩多羅神/おわりに 踊る神の由来など、
242ページ


高橋美由紀、『伊勢神道の成立と展開[増補版]』、ぺりかん社、2010
 原著は1994刊
神道五部書の成立と外来思想;神道五部書と仏教思想/伊勢神道の形成と道家思想/伊勢神道の形成と度会行忠/神道五部書成立私考//
伊勢神道成立の思想的背景;伊勢神道の成立とその時代/伊勢神道と末法思想/伊勢神道をめぐる本地垂迹思想//
伊勢神道の思想とその展開;伊勢神道の外宮祭神論/初期伊勢神道の思想/伊勢神道思想の発展と継承/室町時代の伊勢神道-荒木田守晨を中心として-//
補論;中世神国思想の一側面/中世における神宮宗廟観の成立と展開/宗廟の神 - 中世伊勢神道の解読 -など、
354ページ。


伊藤聡編、『中世神話と神祇・神道世界 中世文学と隣接諸学 3』、竹林舎、2011
中世の神;中世における神観念の変容(佐藤弘夫)/本地垂迹説の存立の根拠をめぐって - 神仏習合を捉え直す -(佐藤眞人)/中世における神社秩序の形成(岡田莊司)/本覚思想と神(大久保良峻)/中世密教における神の位相 - 密教王としての天皇即位と「大日本国」 -(松本郁代)/覚鑁と神祇(苫米地誠一)/神を見ることと描くこと - 石清水八幡宮の事例を中心に -(山本陽子)//
中世神道の形成と展開;伊勢神宮の中世的意義(山田雄司)/伊勢神道とは何か(平泉隆房)/神道諸流の形成(伊藤聡→こちらに所収:下掲の『神道の形成と中世神話』』、2016)/三輪流の成立(アンナ・アンドレーワ)/山王神道の形成 - その問題点と留意点 -(水上文義)/慈遍における神道理論(林東洋)/〈和光同塵灌頂〉考(平沢卓也)/吉田神道の根本枝葉花実説再考(森瑞枝)//
古典の中世的変容;日本紀講から中世日本紀へ - アマテラス、スサノヲを中心に -(斎藤英喜)/解体する神話・再生する神々 - 中世における『旧事本紀』の位置 -(門屋温)/鎌倉・南北朝時代における中臣祓注釈 - 『中臣祓注抄』と称名寺聖教『大中臣祭文』との比較から -(大東敬明)/〈赤白二渧〉と〈和合〉の古典学 - 『伊勢物語髄脳』を起点とする中世日本のプネウマトロジー -(小川豊生→そちらも参照:下掲の『中世日本の神話・文字・身体』、2014)/中世学僧と古今註 - 了誉聖冏『古今序註』について -(鈴木英之)/吉田神道と古今伝受 - 『八雲神詠伝』の相伝を中心に -(海野圭介)/中世後期における吉田家の神社研究と『延喜式』「神名帳」 - 梵舜自筆『諸神記』を通路として -(新井大祐)//
中世神話の諸相;南都の中世神話・中世神道説をめぐって - 春日社・興福寺・貞慶を中心に -(舩田淳一)/能と国土生成神話(高橋悠介)/走湯山をめぐる神話世界とその生成(阿部美香)/『神道集』の世界-白山権現の王子たちをめぐって-(有賀夏紀)/『神道雑々集』の基礎的問題(落合博志)/『元長参詣記』略解-現場で披かれる〈中世日本紀〉-(原克昭)など、
640ページ。


菅原正子、『占いと中世人 政治・学問・合戦』(講談社現代新書 2089)、講談社、2011
序章 生活のなかの占い//
朝廷の占い、幕府の占い;宮中の占い師たち/天王と御卜/鎌倉の怪異//
陰陽師の「家」;安倍晴明の実像/足利義満が好んだ陰陽道/若狭国名田荘上村//
天変地異と政治;日月と惑星の変異/天文密奏/彗星・客星と徳政//
儒学と占い;足利学校/講義の内容/庠主による占筮伝授//
戦後の世と占い;武田信玄と占い/鬮に神意を問う-島津氏の合戦/算木を置く公家-山科家の場合//
おわりに-占いの意味など、
240ページ。


伊藤聡、『中世天照大神信仰の研究』、法蔵館、2011
緒言;研究史/本書の意図と構成//
天照大神と大日如来の習合 - 中世における神祇と密教;天照大神・大日如来同体説の形成/大日本国説 - 密教化された神国思想/第六天魔王譚の成立 - 国土創成神話の中世的変奏/第六天魔王と荒神信仰/付論 鎌倉期両部神道書における梵天王説//
変容する天照大神 - 同体説の諸相;天照大神・十一面観音同体説の形成/二間観音と天照大神 - 天皇の念持仏との習合/天照大神・空海同体説 - 東密三宝院流の秘説形成/外宮高倉山浄土考 - 伊勢神宮における弘法大師信仰/付論 称名寺の中世神道聖教 - 特に伊勢神宮に関する伝書について//
天照大神信仰の秘説展開 - 神道灌頂の形成;中世密教における神道相承 - 仮構される系譜/伊勢灌頂の世界 - 変容する神観念/田夫愛染法 - 神道化する密教秘説//
天照大神信仰と中世文芸 - 中世神道と和歌注釈との出会い;梵漢和語同一観の成立基盤/伊勢二字をめぐって - 古今注・伊勢注と密教説・神道説の交渉/「ちはやぶる」をめぐって - 歌語の神秘化/或る呪歌の変遷 - 和歌陀羅尼と中世神道//
天照大神信仰と僧徒 - その言説形成を担った人々;文治二年東大寺衆徒伊勢参宮と尊勝院主弁暁/重源と宝珠/無住と中世神道説 - 『沙石集』巻一第一話「太神宮御事」をめぐって/伊勢神宮における西大寺流の動向 - 特に円明寺覚乗を中心として//
総括など、
706ページ。


 奥付で「天照大神」は「てんしょうだいじん」とのルビが振られていました。
 →こちらにも挙げました:「言葉、文字、記憶術・結合術、書物(天の書)など」の頁
 次の本とともに、同じ著者による→そちらも参照:上掲「i. 概説、通史など」/『神道とは何か』、2012


伊藤聡、『神道の形成と中世神話』、吉川弘文館、2016
序章 「神道」の中世//
中世神道研究の歩み;戦前戦後の中世神道研究/説話研究と中世神道//
中世の本地垂迹思想;本地垂迹思想の展開(→下掲のこちらに初出の一部:「神仏習合理論の変容」、2007)/愛染明王と天照大神(→下掲のそちらに初出の一部:「中世日本における太陽信仰」、2002)/中世における祝詞と和歌の習合/雑書の世界//
中世神道・中世神話・伊勢神宮;神道の形成と中世神話/中世における古代神話の継承と変容/幻視される始源 - 中世神道書における天地創成説 -/中世における神道説の類聚//
中世寺院と神道流派の成立;中世神道の形成と無住/神道流派の形成(→上掲のあちらに初出:『中世神話と神祇・神道世界』、2011)//
終章 中世神道研究の可能性など、
318ページ。


 第Ⅱ部第1章「本地垂迹思想の展開」の6節「三国関係における神仏習合」では、『塵滴問答』から、

「劫初ニ、…大地六種動ク事アリ。山崩、海ヲウメ、海カタムキテ、山ヲヒタス。…(中略)…日月光ヲ不定、加様ニスル事七日七夜也。…(中略)…伊弉諾・伊弉那二人ノ御神、…(中略)…密陀羅山ヲ吾国ト成シタク思食テ、神力ヲ以テ押シ動カシテ、是ヲ海中ニコキヨセ給ヘリ。鉾ノ滴リ、嶋ト成ト云ヘルハ、此山ユテシ時ノカヒヲ、海中ニ立テ、此処に留タリ」(pp.74-75)

と、また続けて『神祇門』から、

「日本国は本はどろの海也けり。然るをいざなぎ・いざなみ、須彌山のこしの金剛山と云山をくずし入て、彼のあしはら(葦原)にして、満七日火の雨をふらして、焼かためたり」(p.75)

と引用していました。

 第Ⅲ部第2章「中世における古代神話の継承と変容」の3「盤古神話の中世的展開」については→ここで挙げました:「原初の巨人、原初の獣、龍とドラゴンその他」の頁。
 第Ⅲ部第3章「幻視される始源 - 中世神道書における天地創成説 -」で、『大和葛城宝山記』から引かれる一節には、

「蓋し聞く、天地の成意、水気変じて天地と為ると。十方の風、至て相対し相触れ、能く大水を持す。水上に神聖化生す。千頭二千の手足有り。常住慈悲神王と名て、葦網と成す」(p.193)

とありました。『大智度論』巻八からの改変を伴なう引用とのことです(pp.193-194)。
 なお上掲『中世天照大神信仰の研究』(2011)の「あとがき」でも「中世神道に興味を持ったきっかけ」として荒俣宏編『世界神秘学事典』(1981)が挙げられていましたが(p.665)、
本書第Ⅰ部第2章の「説話研究と中世神道」でも、
 『復刊 地球ロマン』誌

 →そこ:「日本 Ⅱ」の頁の「x. いわゆる古史古伝・偽史、神代文字など」/復刊1号:「総特集 偽史倭人伝」、

 あそこ:「魔術、神秘学、隠秘学など」の頁/4号:「総特集 秘教外伝」、

 こなた:「日本 Ⅱ」の頁の「x. いわゆる古史古伝・偽史、神代文字など」/5号:「総特集 神字学大全」、

 またそなた:同頁「xi. 近代など」/6号:「総特集 綺想科学鑑


『迷宮』誌その他と並んで同書の名が見えます(p.36、p.50 の註14と18)。

 『復刊 地球ロマン』については、→あなた(武田崇元・横山茂雄、『霊的最前線に立て! オカルト・アンダーグラウンド全史』、2024/「日本 Ⅱ」の頁の「xi. 近代など」)でも挙げました。

伊藤聡、『神道の中世 伊勢神宮・吉田神道・中世日本紀』(中公選書 106)、中央公論新社、2020
序章 - 中世神道の世界//
中世神道の歴史;両部・伊勢・山王神道説の形成と拡散/神道灌頂の成立/神道流派の形成/吉田神道の登場/仏教宗派における神道説の享受//
中世の神観念;権神と実神/蛇身としての神/〈内なる神〉/和光同塵//
附論Ⅰ 漂着する土地・人 - 中世・近世神話における自国意識の屈折;漂着する大地 - 出雲と日本国/日本=蓬莱国説の変奏 - 徐福と楊貴妃の渡来譚/呉太伯の日本渡来譚//
中世の天照大神信仰 - 太陽神イメージの変容;大日如来と天照大神/観音=日天子信仰と天照大神/愛染明王と天照大神//
空海と中世神道 - 両部神道との関わりを中心に;両部神道の形成と空海/空海の伊勢神宮参詣譚/空海=天照大神同体説//
夢告と観想 - 僧たちの伊勢参宮;橘諸兄参宮譚/重源と東大寺衆徒の参宮と夢告/行基参宮譚と夢告/重源の宝珠感得/重源以後の東大寺勧進聖と夢告/曼荼羅としての伊勢神宮/神体観想//
附論Ⅱ 神祇信仰の場と「文」 - 中臣祓の変容;大祓詞から中臣祓へ/中臣祓翻訳説の登場/中世神道における中臣祓の秘説化と異伝//
吉田兼倶の「神道」論;「神道」の語義の変遷/吉田兼倶の生涯/兼倶の「神道」解釈/吉田神道の「神経」/兼倶における三教一致/心=神観と人神信仰//
秘儀としての注釈;〈知〉の密教化/古今注と「日本紀」/和歌灌頂の世界/『玉伝深秘巻』の秘説世界/「日本紀」としての中世神道/『麗気記』注釈と麗気灌頂/日本紀灌頂/おわりに - 和歌注釈と神道注釈の交錯//
能と中世神道;〈逆矛〉〈龍田〉と滝祭神/〈淡路〉の「種蒔く、種収む」/〈三輪〉と三輪流神道の説話形成//
終章など、
302ページ。


 「附論Ⅰ 漂着する土地・人」の最後に、中世の話ではありませんが、本居宣長の『古事記伝』を「中国文化の影響を蒙る以前、すなわち漢字が到来する前の世界の再構成」という「試みの極北」(p.64)と述べた後に( )を附して、

「ただ、文字の非在に耐えられない一部の者たちは、『神代文字』を創出するのである」(同上)

と述べられていました。そこに附された註31(p.68)も参照。
 「第3章 中世の天照大神信仰」の中で、真福寺蔵『日本紀三輪流』「神道
切紙(きりかみ)」から引用、それを現代語訳した内に、

「大日は自在天[大日如来が説法した金剛法界宮がある色界頂上の色究竟天]より下り、釈迦は人間界より昇って、忉利天[欲界の第二天]に於いて合体して金輪となる」(p.85)

とありました。同じ章の pp.89-91 で愛染明王の所依の経典として、「仏教Ⅰ」の頁の冒頭(→こちら)でふれた『金剛峯楼閣一切瑜伽瑜祇経』について記されています。
 「第6章 吉田兼倶の『神道』論」に、

「それにしても、自らの創作物を21年にわたり、毎日100回ずつ、のべ100万回も読誦するというこの行為からすると、彼にとって『神経』の述作は、意識的な偽書の執筆というより天啓による自動書記のようなものではなかったかとも言いたくなる」(p.164)

とあるのが印象的でした。また同章で『三元神道三妙加持経』を引く中に、

「神道は天地を以て書籍と為し、日月を以て証明と為す」(p.165)

というくだりが見られました。
 「第8章 能と中世神道」では、能の『淡路』の詞章から引いて、

「然れども、未だ世界ともならざりし前を伊弉諾といひ、「国土治まり万物出生する所を伊弉冊と申す」(p.245)

と(p.249 に引用された『古今和歌集序聞書』(『三流抄』)の一節も参照)、また叡山文庫蔵・天海蔵『天地灌頂記』から、

「天の逆矛を以て、須弥を突き崩して、世界と成すを淡路嶋と云ふ。…(中略)…須弥を突き崩して、嶋と成すは、天の気を下すを云ふ」(p.248)

という文言を含むくだりが引用されていました。

斎藤英喜、『荒ぶるスサノヲ、七変化 〈中世神話〉の世界』(歴史文化ライブラリー 346)、吉川弘文館、2012
もうひとりのスサノヲへ - プロローグ//
『記』『紀』『風土記』神話のスサノヲ;スサノヲ神話をどう読むか/多彩なスサノヲ神話/『出雲風土記』のスサノヲ神話//
中世神話が語るもの;中世神話とはなにか/ヲロチ退治譚の変奏/「日本紀の家」が語るスサノヲから//
スサノヲは雲陽の大社の神なり;スサノヲ、出雲大社に鎮座す/漂流する山を繫ぎとめた神/鰐淵寺・日御碕と中世スサノヲ神話/冥府としての出雲//
祇園御霊会のスサノヲ;スサノヲ変成の「神話工房」へ/祇園御霊会をめぐって/異国神となるスサノヲ/中世神道の大成者、吉田兼倶//
スサノヲの神話学;「善悪不二」をめぐる神話言説/スサノヲ変貌する//
その後の、スサノヲ-エピローグなど、
226ページ


原克昭、『中世日本紀論考 註釈の思想史』、法蔵館、2012
緒言 - 〈中世日本紀〉研究をめぐる視座と可能性 -//
〈中世日本紀〉研究史の再構築 - 学説考証篇 -;序章 学説史・研究史に関する課題/『日本書紀』註釈・研究史/『麗気記』註釈・研究史//
神代紀註釈の形成 - 文献考証篇 - 神代紀註釈文献と諸本論 - 室町期の学匠を中心として -;序章 神代紀註釈文献と諸本論に関する課題/良遍による神代紀註釈とその諸本 - 天台学匠の神代紀研究 -/了誉聖冏による神代紀註釈とその諸本 - 浄土学匠の神代紀研究 -//
  神代紀の講釈と抄物;序章神代紀の講釈と抄物に関する課題;『日本書紀』講釈史・点綴 - 抄物の形成と再生 -/『日本書紀』進講史・断章 - 「日本紀の家」盛衰記 -//
神代紀をめぐる言説の生成と展開 - 言説考証篇 - 神典にまつわる構想力;序章 中世の神典認識に関する課題/「日本紀」をとりまく構想力 - 〈嵯峨天皇日本紀再治説〉考 -/「麗気記」にたゆたう構想力 - 註釈のなかで屹立する神典 -/〝焚書〟された「日本紀」の光芒 - 〈呉太伯後裔説〉続貂 -/〈佚文〉と〈仮託〉をめぐる構想力 - 輯佚・箚記 -//
  宝釼神話の変容と展開;序章 宝釼の所在をめぐって - 〈熱田源大夫説話〉 -/宝釼の行方をめぐって - 〈新羅沙門道行譚〉 -//
中世神道思想史への射程 - 思想考証篇 - 註釈学と神道論・仏神論;序章 註釈学と神道論・仏神論に関する課題/神代紀註釈と神道論の形成 - 良遍『日本書紀聞書』劈頭条・試解 -/仏神論をめぐる註釈史 - 〈三神説〉再考 -//
  註釈学と時間論・年代論;序章 註釈学と時間論・年代論に関する課題/神代紀をめぐる年代論的構想/年代論と命期説・術数学 - 『周易命期経』解析から室町期思想文化圏におよぶ -(→初出はこちら:下掲の「中世の術数学と寿命論をめぐる一齣」、2003)//
結語//附篇 〈中世日本紀〉関連年譜など、
484ページ。

………………………

鏡島寛之、「中世に於ける神佛關係の動向 - 反本地垂迹説を中心として -」、『駒沢大学仏教学会年報』、vol.7 no.1、1936、pp.237-275 [ < CiNii Articles

鏡島寛之、「中世に於ける佛教理念の神道論的展開」、『駒沢大学仏教学会年報』、no.8、1937、pp.92-128 [ < CiNii Articles

大山公淳、「密教神道の展開 - 特に天地麗氣記に就いて - 」、『密教研究』、no.79、1941、pp.23-61 [ < J-STAGE ]

荒俣宏、『本朝幻想文學縁起 [震えて眠る子らのために]』、1985、pp.94-129:「熊と神通力」
(熊野) - 熊野権現の縁起/(甲賀三郎) - 甲賀三郎の奇蹟物語/(神道集) - 中世説話集『神道集』の成立/(本地垂迹) - 中世神道とは何だったか?/(老孔仏) - 『荘子』に見る老子と孔子の関係/(反仏教) - 仏教伝来による神道の自覚作用/(元本宗源) - 奇怪な書『唯一神道名法要集』/(数秘術) - 「3」を基本とした数秘術的分析

細川涼一、『逸脱の日本中世 狂気・倒錯・魔の世界』、JICC出版局、1993、pp.85-117:Ⅰ-第3章「第六天魔王と解脱房貞慶(じょうけい) - 謡曲『第六天』と伊勢参宮説話」
『太平記』と謡曲「第六天」/顕密仏教と魔道/貞慶と伊勢神宮の関係/伊勢の神と第六天魔王/おわりに/《補論》物狂いの荒法師・文* 覚(もんがく)伝説
 (* 「亠」の下、「乂」の左上に「ノ」あり)


 他の目次は:
感性の逸脱;中世の狂気・物狂い - 能と漂泊する精神/中世寺院の稚児と男色 - 謡曲「経正」「花月」と同性愛/虫類成仏と中世人の死生観 - 謡曲「胡蝶」と輪廻転生/中世王権と「亡国の音」 - 小督説話と音楽//
逸脱する女性;白拍子の男装・能の女装 - 中世芸能民の性別越境/二人づれの女性芸能者 - 中世遍歴民の世界/大力の女と白拍子 - 中世東北の武家と血統伝説など、
254ページ。


山本ひろ子、「至高者たち - 中世神学へ向けて」、山折哲雄編、『日本の神 1 神の始原』、1995、pp.289-338
聖典と中世 - 禁じられた神書の彼方へ/労働する神々 - 『大和本紀』の世界/金輪王の物語 - 『日諱貴本紀』の世界

下川玲子、「度会家行と『易』」、『倫理学』、12号、1995.12.20、pp.17-28 [ < つくばリポジトリ(Tulips-R) ]
URI : http://hdl.handle.net/2241/15007

 〈機前〉に関し→こちらでも挙げました:本頁上掲「i. 概説、通史など」/伊藤聡、『神道とは何か 神と仏の日本史』(2012)のところ

広神清、「日本における神道理論の形成」、『哲学・思想論叢』、no.15、1997.1、pp.1-18 [ < つくばリポジトリ(Tulips-R) ]

小川豊生、「夢想する《和語》 - 中世の歴史叙述と文字の神話学 -」、『日本文学』、vol.46 no.7、1997、pp.30-39 [ < J-STAGE ]

 →こちらにも挙げました:「言葉、文字、記憶術・結合術、書物(天の書)など」の頁の始めの方

小川豊生、「偽書のトポス - 中世における《本》の幻像 -」、『日本文学』、vol.47 no.7、1998、pp.10-23 [ < 同上 ]

 →こちらにも挙げました:「言葉、文字、記憶術・結合術、書物(天の書)など」の頁の「本・書物(天の書)」の項

小川豊生、「三界を建立する神 - 中世日本における危機の神学 -」、『日本文学』、vol.55 no.7、2006、pp.43-55 [ < 同上 ]

 上の論文3本その他(→こちら(上掲『「偽書」の生成』、2003)、また→そちら(上掲『中世神話と神祇・神道世界』、2011も参照)も収めて一冊本となったのが;

小川豊生、『中世日本の神話・文字・身体』、森話社、2014
序章 神話の変奏//
愛染明王と修法の身体;愛染王の来歴 - 十一・十二世紀日本の修法世界と東アジア/院政期王権と修法の身体 - 愛染王法と如法愛染王法の生成/調伏の思想 - 愛染王法と唯識論//
霊性と神学の十三世紀;日本中世神学の誕生 - 『天地霊覚秘書』を読む/十三世紀神道言説における禅の強度/性と虚円の中世神学 - 『瑜祇経』解釈学と「識」の霊性/赤白二渧のプネウマトロジー - 胎生学的知の根源を求めて//
秘教的世界と神話の建立;『麗気記』〈天札巻〉と秘教的世界/三界を建立する神 - 北畠親房・度会家行と危機の神学/神話表象としての〈大海〉 - 中世叡山における大日印文説の生成//
文字・観想・身体;胎内五位の形態学 - 円形の
वं 字と瑜祇灌頂の世界(* वं :梵字/種子「(バン)」)/生殖する文字 - 梵字悉曇と〈和合〉の精神史/幻像の悉曇 - 梵・漢・和三国言語観と文字の神話学//
書物の中世;中世の書物と身体 - 天台口伝法門の言語論的アプローチ/偽書のトポス - 中世における書物の生成/儀礼空間のなかの書物 - 〈啓示のテキスト〉と仮託の構造/中世叡山と記家の言説 - 対新羅抗争神話をめぐって//
おわりに - 建立する中世へ、など、
732ページ。


 〈機前〉に関し→こちらで挙げました(本頁上掲「i. 概説、通史など」/伊藤聡、『神道とは何か 神と仏の日本史』(2012)のところ)
 「金剛峯楼閣一切瑜伽瑜祇経」に関し→そちらで触れました(「仏教Ⅰ」の頁の冒頭)。
 また;


小川豊生、「宝珠のトポロジー 中世神秘哲学序説」、『現代思想』、vol.46-16、2018年10月臨時増刊号:「仏教を考える」、pp.356-367
宝珠の深秘学/文観と宝珠/宝珠伝承異聞/虚円の灌頂/胎生の儀礼空間/内包空間としての宝珠

彌永信美、「第六天魔王と中世日本の創造神話(上)」、『弘前大学國史研究』、no.104、1998.3.30、pp.44-68 [ < 弘前大学学術情報リポジトリ

 同、  「第六天魔王と中世日本の創造神話(中)」、『弘前大学國史研究』、no.105、1998.10.30、pp.25-39 [ < 同上 ]

 同 、 「第六天魔王と中世日本の創造神話(下)」、『弘前大学國史研究』、no.106、1999.330、pp.17-41 [ < 同上 ]

 同じ著者による→こちらを参照:「仏教 Ⅱ」の頁の「vi. 仏教の神話など

伊藤聡、「中世日本における太陽信仰 - 特に天照大神と愛染明王の習合を巡って -」、松村一男・渡辺和子編、『太陽神の研究 宗教史学論叢 7』(上巻)、リトン、2002、pp.191-208
神仏習合思想における天照大神/愛染明王信仰の展開/宇治の宝蔵の愛染明王像/愛染明王・天照大神同体説の展開など

 別稿と合わせて再構成、→こちらに所収:上掲『神道の形成と中世神話』、2016

原克昭、「中世の術数学と寿命論をめぐる一齣 - 『周易命期経』の世界・解析篇 -」、『日本仏教綜合研究』、1巻、2003、pp.45-58 [ < J-STAGE ]

 改稿の上→こちらに所収:上掲『中世日本紀論考』』、2012

金沢英之、「中世におけるアマテラス - 世界観の組みかえと神話の変容」、『宣長と「三大考」 近世日本の神話的世界像』、2005、pp.161-184
古代の神話から中世の神話へ/国のはじまり/大日の印文(→こちらも参照:「言葉、文字、記憶術・結合術、書物(天の書)など」の頁の始めの方)/第六天魔王とアマテラス/神器としての神壐

鷹巣純、「幽明往還 - 縁起絵に見る中世・近世日本の他界往還のイメージ -」、細田あや子・渡辺和子編、『異界の交錯 宗教史学論叢10』上巻、リトン、2006、pp.323-346
山を越える;死出の山越え/剣の山//川のほとりで//野辺へ戻る//肉体の変容としての幽明往還//志度寺縁起の幽明往還など

佐藤弘夫、「『神仏習合』論の形成の史的背景」、『宗教研究』、vol.81 no.2、2007.9.30、pp.211-234 [ < CiNii Articles

伊藤聡、「神仏習合理論の変容 - 中世から近世へ -」、『宗教研究』、vol.81 no.2、2007.9.30、pp.385-409 [ < CiNii Articles

 別稿と合わせて再構成、→こちらに所収:上掲の『神道の形成と中世神話』、2016

鈴木英之、「了誉聖冏『麗気記拾遺鈔』における神体 - 教相判釈される神々 -」、『宗教研究』、vol.82 no.3、2008.12.30、pp.711-733 [ < CiNii Articles

饗庭千代子、「狂言『神鳴』に観る神と人間」、篠田知和基編、『天空の神話 - 風と鳥と星』、楽瑯書院、2009、pp.221-236
『神鳴』/雷神像を追って/神になった人間/日本神話の雷神/ギリシア神話の雷神/医術を行なう人間/医術を行なう神/神と人間と結びに代えて-など

中根千絵、「霊巌寺の妙見菩薩 ~ 日本の星信仰 ~」、同上、pp.207-219
霊巌寺と「御燈会」と妙見菩薩/天皇の目の病と妙見菩薩信仰/三条天皇の目の病と天狗/天狗と妙見菩薩/『今昔物語集』の妙見菩薩信仰と天狗など

中根千絵、「霊巌寺の妙見菩薩 - 日本の星信仰」、『アジア遊学』、no.121、2009.4、「特集・天空の神話学」、pp.86-93
霊巌寺と「御燈会」と妙見菩薩/天皇の目の病と妙見菩薩信仰/三条天皇の目の病と天狗/天狗と妙見菩薩/平安時代末の妙見菩薩信仰と天狗など

中根千絵、「伊勢朝熊山の縁起と星の神信仰」、篠田知和基編、『天空の世界神話』、八坂書房、2009、pp.95-111
朝熊山縁起-縁起の源泉を求めて/星の神の登場-朝熊山の略縁起をめぐって/結び-伊勢の星信仰と縁起など

山﨑好裕、「中世神道説の成立における密教的禅宗の役割 : 宗教経済論的観点から」、『福岡大学経済学論叢』、63巻2号、2019.3、pp.157-167 [ < 福岡大学機関リポジトリ
Permalink : http://id.nii.ac.jp/1316/00004631/

 〈機前〉に関し→こちらでも挙げました:上掲「i. 概説、通史など」/藤聡、『神道とは何か 神と仏の日本史』(2012)のところ
2013/08/27 以後、随時修正・追補
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