ターヘル・アナトミア - 悪魔の解体新書 - Im Schloß der blutigen Begierde *
VHS * 手もとのソフトは英語版。英題は Castle of the Creeping Flesh ** [ IMDb ]による。手もとのソフトでは約1時間21分。USA版は約1時間17分とのこと。 *** [ IMDb ]による。手もとのソフトでは1.33:1 ……………………… 大概な邦題ですが、原題も『血ぬられた欲情の城にて』、英題は『這いずる死骸の城』でした。むやみにお姉さんたちが裸になるのと、何かの手術の記録映像がやたらに挿入されることばかりが印象に残る、いわゆる〈ユーロ・トラッシュ〉の典型ということになるのでしょうか(→こちらも参照:『催淫吸血鬼』(1971)の頁)。下掲の木野雅之編著『異形の監督ジェス・フランコ ユーロ・トラッシュ映画が誇る巨匠のすべて』(2005)によると本作はジェス・フランコのいくつかの作品と撮影スタッフや主演のジャニーヌ・レノーが地続きとのことで、[ IMDb ]ではストーリーに非クレジットとしてフランコの名も挙げられていました。 ただ、舞台が古城です。しかも[ IMDb ]によるとロケ先がウィーンの北のレオベンドルフ Leobendorf にあるクロイツェンシュタイン城 Burg Kreuzenstein (→公式サイトはこちら、英語頁あり)、マリオ・バーヴァの成功作とはいいがたいけれど古城映画的に忘れがたい場面がいくつもある『処刑男爵』(1972)と同じというではありませんか。実際『処刑男爵』に出てきた場所もいくつか認めることができます(追補: ピーター・セラーズ主演版『ゼンダ城の虜』(1979、監督:リチャード・クワイン→そちらも参照:『ゼンダ城の虜』(1937)の頁の Cf.)でもロケされていました→「怪奇城の肖像(幕間)」の頁でも触れました)。そちらには登場しなかった魅力的な地下通路(?)も見られました。この点のみをもって、少なくとも古城映画に関心のある方には一見の価値があるということができなくもないかもしれません。ただし辻褄のあった筋運びや人物造形に対する期待は、くれぐれもしないでいた方がいいのではないかと思われます、たぶん。 パーティーの場面から本作は始まります。つり目の男、後にブラック男爵(ミシェル・ルモワーヌ)と知れますが、彼が栗毛の女-後にヴェラ(ジャニーヌ・レノー)と知れる-を遠乗りに誘っている。ヴェラには黒髪の妹エレナ(エルヴィラ・ベルンドルフ)がおり、エレナには婚約者ロジャー(ピエル・A・カミネッチ)がいる。男爵の婚約者マリオン(クラウディア・ベトヌート)とその兄ジョージ(ヤン・ヘンドリクス)を加えて、原っぱ、次いで森で遠乗りします。 男爵とエレナは乗馬が得意だったらしく、二人だけ先に男爵の別荘に着きます。木造の山小屋といった感じでしょうか。男爵はその気のなかったエレナを犯してしまう。 遅れて他の面子も別荘に到着します。太い木の角柱の並ぶポーチのあることがわかります。別荘の壁に飾られた紋章から、近くの城に住むサクソン伯爵の話題になります。彼には娘がいるのですが、2~3日前に襲われ、怒った伯爵は森に熊を放ったというのです。 エレナは一人森に出ます。夕刻近い。霧も出てきました。男爵とロジャーが探しに追う。 手術室のようなところが映されます。娘が台に横たえられている。付き添っていた男が後から来た男に娘は死んだと告げます。前者が伯爵でしょうか。 |
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約17分、城の外観の一部が下から見上げられます。左手前には木の枝がかぶさっている。高い角塔を軸に、その左右に棟が伸びています。左の棟の屋根には鐘塔らしきものが載っている。手前右にもシルエットとなって、丸い壁の建物が一部見えます。 | |||||||||||||||||||||||||||
エレナを横抱きにした男が、右から左へ、5段ほど上り、左へ進む。カメラもそれを追います。通路の上には太い鎖がかかっている。進んだ先には尖頭アーチをいただく小さめの入口があり、その手前は跳ね橋のようになっているらしい。 また城の外観をはさみ、男爵とロジャー、合流したヴェラは夜の森でランプを抱えた男に誰何されます。男は伯爵の召使いアレコスでした。見たような濃い顔だと思ったら、前年の『吸血魔のいけにえ』(1967)で贋牧師を演じたヴラディミール・メーダーでした。 城の入口が下から見上げられます。上には落とし戸が引きあげてある。落とし戸の格子の下端が尖った杭状をなしています。向こうに半円アーチが見え、その奥は真っ暗ですが、すぐに壁が続いていることがわかります。 次いで上が半円になった重厚な装飾を施された扉の向こうから、アレコスに案内された3人が入ってくる。扉の向こうはくだり階段になっているようです。 |
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六角形でしょうか、多角形の階段室が下から見上げられます。壁の角には円柱が埋めこまれている。上の方にひしゃげた半円形の窓が2つ見え、装飾的な格子で区切られています。下にも尖頭アーチがありますが、左上から伯爵(ハワード・ヴァーノン)が螺旋階段をおりてくるとともにカメラが左から右に巡ると、下の尖頭アーチもやはり装飾格子をはめられていることがわかります。この螺旋階段は『処刑男爵』に出てきたものと同じでしょうか。 | ↓ |
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壁に書棚のある部屋が上から見下ろされます。天井は尖頭アーチの列に区切られている。アーチを支える柱は捻り柱です。壁の合間には何点か肖像画がかかっている。捻り柱の間も『処刑男爵』で見られました。また本作ではカメラが俯瞰する位置をとることがけっこう多い。 奥の方で数段あがってアーチ状の格子戸があり、その向こうから伯爵が出てきます。 |
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伯爵はヴェラに気をとられる。 ヴェラとロジャーが右から左へ案内されます。先に螺旋階段がある。前に出てきたものとは別のようです。 他方男爵はアレコスに案内され、右へ向かい奥の扉口をくぐる。 |
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幅の狭い階段が見上げられます。あがった先の通路は、天井が半円形に湾曲していました。このあたりの裏の通路めいた空間は実に魅力的です。 | |||||||||||||||||||||||||||
エレナが寝かされた部屋は木の壁で居心地がよさそうでした。伯爵は医者とのことです。 先の部屋に戻ると、伯爵の娘の小さな肖像があります。写真でした。男爵は昔風の衣裳に着替えている。城でのルールだという。男爵の衣裳にアレコスは死の影を見ます。ロジャーには王の衣裳、ヴェラには女王の衣裳を渡す。女王は悪しき女王だという。 壁の肖像画はまず30年戦争時の祖先のもの、そして上の方に彼の娘、妻の肖像画がそれぞれかかっている。祖先は現伯爵に、娘は現伯爵の娘カテリーナ、妻はヴェラにそっくりです。祖先も医師だったとのこと、さらにその娘は盗賊たちに犯されて死に、妻が裏切ったのだという。祖先は妻を殺し、その血を娘に移し替えました。恐ろしい結末を迎えたといいますが、その詳細は語られません。 手の形をした黒いノッカーが叩かれます。他の二人も合流してきました。マリオンは怪我を負っているのですが、娘のカテリーナと瓜二つなことに伯爵は気づきます。二人が入ってきた扉も装飾付きで、またそのすぐ右に上への階段がのぼっています。階段の多さは嬉しいかぎりです。 アレコスが螺旋階段をおりてきます。おりて左側にはすぐベッドがあり、そこにマリオンを寝かせる。向こうに柱頭付き捻り柱にはさまれた暖炉が見えます。この螺旋階段が先に出てきたもの二つのどちらかと同じなのかどうかはよくわかりませんでした。 伯爵が目の落ち窪んだ痩せた男に「やろう」と言う。痩せた男は先の手術室の場面で伯爵と話していた人物のようです。 |
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晩餐が供されています。水色の蠟燭がいっぱいあります。伯爵の背後の壁は、木製で二段に仕切られ、各段もまた分割されています。区切られた中央には黒っぽい背景に人物の浮彫が浮かびあがっている。衝立でしょうか。 | |||||||||||||||||||||||||||
伯爵が長テーブルの向こうを右へ進むと、途中で向こうにやはりいくつもに仕切られた幅の広い柱のようなものが上に伸びています。仕切りのそれぞれに、こちらは絵が描かれている。クロイツェンシュタイン城の公式サイトによるとこの部屋は「騎士の広間 Der Rittersaal 」で、衝立状のものは「ブリクセン戸棚 Brixener Schrank 」、柱状のものは「カッヘル(彩色陶製タイル)・ストーヴ Kachelofen 」に当たるのでしょうか(追補:『処刑男爵』でも映っていました→こちらや、また→そちら。→あちらもご覧ください:「カッヘルオーフェン - 怪奇城の調度より」。 ピーター・セラーズ主演版『ゼンダ城の虜』(1979)でも見られました)。 | |||||||||||||||||||||||||||
さらに右では、いったん右から左に6~7段上り、その上で右へ欄干が伸びている。階段の欄干ともども、木製の重厚なものです。奥には大きな半円アーチの扉が見え、金属の装飾を施されています。そのさらに向こうは、青みがかった明るい部屋でした。ここは『処刑男爵』の最後も近い頃にジョゼフ・コットンが現われたのと同じ場所ではないでしょうか。 | ↑ |
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アレコスは一行を案内して、木製戸棚の右の扉に入ります。 手術着の二人がどこやらを切開する。 上がゆるい弧になった扉をくぐると、幅の狭い廊下です。壁は白い漆喰です。扉から出たすぐ左の扉から音が聞こえる。開くと中には蠟人形が飾られていました。祖先の娘に起こったことが再現してあるという。音声付きです |
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(追補:蠟人形の部屋を出た廊下のすぐ向かいにも、陶製ストーヴらしきものが見えました。前のものとは別でしょうか)。 | |||||||||||||||||||||||||||
手術の場面をはさんで、廊下の奥から、左右にある客たちの部屋を示していきます。天井は板張りでした。 | |||||||||||||||||||||||||||
ヴェラに当てられた部屋は赤っぽい壁で、木彫像がいくつも飾ってある。 男爵は一人帰ります。 また手術のカットをはさみ、 |
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ドーム状の天井をカメラは見上げ、左から右下へ滑る。天井は茶色の肋で区切られ、その間は青を背景に植物が描かれていました。カメラが右下に来ると、手前でゆるく角が突きでた短い欄干の向こうで、ロジャーとジョージが一杯やっています。向こうの上はアーチで、すぐ壁になる。大きな額絵が掛けられています。左手にはピンクの蠟燭の燭台がある。 | ||||||||||||||||||||||||||
右は下への湾曲階段です。二人が半階分ほどのここをおりると、 | ↙ ↙ |
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左側には暖炉がありました。鱗状に刻まれた柱が左右からはさんでいます。 | |||||||||||||||||||||||||||
ヴェラの部屋にロジャーが顔を出します。ヴェラは怯えている。ロジャーはエレナの部屋に向かいます。隣の部屋とのことです。 石の階段をアレコスがおりていく。手術室に着きます。マリオンを連れてくるよう命じられる。 エレナの部屋でロジャーが付き添っています。ジョージが顔を出しておやすみの挨拶をする。 マリオンの元にアレコスが現われます。 |
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彼女を抱きあげ、扉から出る。扉は屛風の裏にありました。扉の奥で幅の狭い石の螺旋階段をおりていきます。 | |||||||||||||||||||||||||||
カメラは下からのアップで追っていきます。 ベッドで横たわるヴェラをカメラは上から見下ろします。ヴェラの上には彫像付きのシャンデリアがかかっている。 手術の場面をはさんで、ヴェラの夢となります。最初は犯される娘と蠟人形が交錯する。次いで露出過多のソフト・フォーカスで、かなり下から朝の角塔が見上げられる。鳥たちが飛びたち、カメラはそれを追って右へ流れます。城門の前の石橋に騎馬の数人が駈けていきます。 |
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娘の連れこまれた空間は干草小屋か厩でしょうか、床には干草が敷きつめられています。かなり上からの視角で、吹抜になった2階は多角形、周囲を暗色の木組みの欄干がある回廊に囲まれていることがわかります(追補:→「怪奇城の肖像(幕間)」の頁や、「怪奇城の高い所(後篇) - 塔など」の頁でも触れました)。 | |||||||||||||||||||||||||||
娘を襲う三人の盗賊は、それぞれ男爵、ロジャー、ジョージにそっくりです。 扉口から女性が入ってきて右上への階段を登ります。 |
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あがると回廊でした。女性は当時の伯爵夫人で、ヴェラそっくりです。 | |||||||||||||||||||||||||||
城門前が先ほどとは逆、右側から映されます。下方で中央から右へ石橋が伸び、その先に城門がある。その左手、高い位置に櫓があり、離れてさらに左にも同じ高さの櫓があるのですが、両者を結ぶ渡り廊下の屋根とその下に沿って並ぶ窓が、面白いことに下へ湾曲しているかのように見えます。両端からいったん下降して、間が水平になっているのでしょう。またこの渡り廊下の右奥にある棟だけが、外壁を桟で区切られています。 | |||||||||||||||||||||||||||
またかなり下から角塔を見上げるショット、次いで城門の右にも小さな門のあることがわかります。また下からの角塔、今度は少し近づいている。 | |||||||||||||||||||||||||||
当時の手術室です。左奥には暖炉、その右に左上がりの階段が見える。細い金属の手すりがついています。階段の下は4分の1円に穿たれています。 | |||||||||||||||||||||||||||
当時の伯爵は入ってきた夫人の裏切りを責めてナイフで刺し、緑の太い蠟燭、ぼこぼこと泡立つフラスコなどを並べ始める。そこに手術の場面がオーヴァラップします。音楽はオルガンを主体に、ジャズ風のブラスが加わるというものでした。 アレコスらしき者が斧をふるうカットが挿入され、悲鳴とともにヴェラは飛び起きる。悲鳴を聞いて入ってきたロジャーと情を交わします。手術の場面をはさみ、ヴェラとロジャーの交わりに戻りますが、今度は二人を見つめるかのような木彫のアップが何度も挿入される。音楽はピアノによるジャズ調です。 |
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マリオンのベッドがもぬけの殻であることにジョージが気づく。 | |||||||||||||||||||||||||||
ヴェラの部屋に顔を出しますが二人はさかっていました。またベッドのところに戻り、屛風状衝立裏の扉を見つけます。 崖を男がよじ登っている。後ろから熊が襲おうとしている。着ぐるみ然としています。熊は馬の方に向かいます。男は男爵でした。 螺旋階段をおりるジョージを、カメラは上からのアップで追います。途中の壁に銃眼風の窓が一つある。 手術が終了したのか、施術者二人が見つめあう。 古城映画的山場です。 |
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狭く暗い下り坂状の通路が下から見上げられる。両側は粗石壁で、画面手前は半円アーチに枠取られています。奥から光が射しています(追補:奥の方は階段になっているようです)。 | |||||||||||||||||||||||||||
上から男の脚がおりてくる。ジョージでした。手前に進んできます。 | |||||||||||||||||||||||||||
狭い洞窟風の廊下をジョージが左奥から手前へ進みます。 | |||||||||||||||||||||||||||
そのまま右へ行くと、奥の陰からアレコスが姿を現わす。「迷宮だ Labyrinth! 」とジョージに声をかけます。 | |||||||||||||||||||||||||||
画面左側に石造りのアーチの脚が連なっています。地面は下り坂になっているように見える。アーチの脚と脚の間は暗い。脚の一つには扉口が開いているらしい。光は奥から射しています。このきわめて印象的な眺めの奥の方で、小さく見えるジョージが右に向かう。ロケだとすると、ここはどういった場所なのでしょうか。とても気になります(追補:→「怪奇城の地下」でも触れました)。 | |||||||||||||||||||||||||||
洞窟風廊下を右奥から前方へ、またアーチ坂が同じ視角でとらえられると、今度は右手前から出てきて奥へ向かう。 | |||||||||||||||||||||||||||
左のアーチ脚の出入り口に入ります。 | |||||||||||||||||||||||||||
アレコスがそれを見ている。同じところをぐるぐる回っているらしい。 手型ノッカーを叩く音にアレコスは下り坂状通路を手前から奥へ上っていきます。 アーチ坂をジョージが右から左へのぼっていく。 ノッカーを叩く男爵が上から見下ろされる。 |
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半円アーチの格子扉が同じく上から見下ろされます。格子扉の右手前に6~7段右上への階段があり、 | |||||||||||||||||||||||||||
そこをヴェラ、エレナ、ロジャーがおりてくる。 男爵は血だらけになっています。捻り柱にもたれかかり、「悪い夢だ」と呟く。 伯爵と手術していた男が鍔広帽をかぶさるまが上から見ろされます。手術台の女の顔に青いシートをかぶせる。 格子扉の向こうから赤い衣の女と伯爵が現われます。手前で数段下におりる。女はマリオンでした。目を見開いたまま、踊るように「死こそ大事」と言います。 ジョージが手術台のところにたどりつく。シートの下に横たえられていたのはマリオンでした。 伯爵が娘の鬘を外します。カテリーナにほかなりません。アレコスは「何てことだ」と呟く。カテリーナは陽気に、花言葉とともに一人ずつに花を差しだします。カテリーナを暴行したのは男爵でした。男爵を刺そうとした伯爵は誤ってカテリーナを刺してしまう。 伯爵はカテリーナを抱きあげ奥へ向かいます。 |
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螺旋階段をのぼるさまが真上から見下ろされる(追補:階段をあがった先がまず見上げられ、そのまま下を向いて真上からの俯瞰ショットとなるのでした)。 | ↓ ↓ |
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のぼった先で多角形の吹抜を囲む部屋は『処刑男爵』にも登場しました。吹抜を囲む欄干の向こうを左へ、扉口に入っていきます(追補:→「怪奇城の高い所(後篇) - 塔など」の頁でも触れました)。 | |||||||||||||||||||||||||||
欄干の角につけられた斜め上を見上げる彫像がアップになる。このあたりでかぶせられるナレーションは、[ IMDb ]の脚本の箇所に挙げられているシェイクスピアの『リア王』からの引用なのでしょう(未確認)。 カテリーナを抱いたまま伯爵は塔の窓から身を投げます。 |
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鍔広帽の男が馬で去ります。正面が映れば顔は髑髏塗りされていました。城門の落とし戸が落ちるのでした。 伯爵が外見が似ている娘を犠牲にして自分の娘を救う手術を行なうというモティーフは、『顔のない眼』(1960)や『生血を吸う女』(1960)に連なるものなのでしょう。今回あらためて見直すと、ヌードの場面や手術の映像がなくてもお話を進めるのにさほど支障がないのではないかと思われたりもしました。それでも扇情性を欠かさないのが見世物映画の心意気なのかもしれませんが、他方では呪いのかけられたお城の雰囲気がけっこうよく出ているだけに、前者を削っても人物たちにさらに、階段を上り下りさせ、廊下をうろうろさせ、地下迷宮で迷子になってほしかったと望むのは、個人的な嗜好でしかないのでしょうか。 |
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Cf., 木野雅之編著、『異形の監督ジェス・フランコ ユーロ・トラッシュ映画が誇る巨匠のすべて』、洋泉社、2005、p.60 Jonathan Rigby, Euro Gothic: Classics of Continental Horror Cinema, 2016, p.175 |
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2015/12/09 以後、随時修正・追補 |
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