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イスラーム
まずは;

エディス・ジャヒモウィッツ、「イスラムの宇宙論」、『古代の宇宙論』、1976、pp.145-172、口絵24-26とp.xv。
コーランの宇宙論/イスラムの天文学的宇宙構造論/本体論と存在の階層/ナシール・アッ・ディーンの知性論/〈完全な人間〉など

矢島文夫、「イスラムの宇宙像」、『現代宗教-5 特集・宇宙論』、春秋社、1982、pp.128-141
『コーラン』の語る宇宙像/古代オリエントの伝統/周辺世界からの影響/イスラム教と占星術など

荒川紘、『東と西の宇宙観 西洋篇』、紀伊國屋書店、2005、pp.196-211:「第6章 1 イスラムの天文学と宇宙論」
東ローマ帝国とネストリウス派のキリスト教/イスラム教の誕生とギリシア科学/『コーラン』のなかの宇宙論/『コーラン』の終末論/イスラムの天文学/イスラムの占星術/イスラムのアリストテレス研究/アラビアからヨーロッパへ

William C. Chittick, “Islamic Cosmology”, Encyclopedia of Cosmology. Historical, Philosophical, and Scientific Foundations of Modern Cosmology, 1993, pp.322-329

   i 『クルアーン(コーラン)』とその周辺
  ii 思想史・哲学史的なものなど
含む;井筒俊彦の著作など
   iii スーフィズムなど
   iv 科学史・天文学史的なもの、その他
   v シーア派(12イマーム派)など
含む;アンリ・コルバンの著作など
   vi イスマーイール派など
   vii グラートなど
ヌサイリー/アラウィー派、アフレ・ハックなど
 viii その他の分派など
ドゥルーズ派、フルーフィー派、ヤズィード派、その他
   ix 個々の著述家など
イブン・スィーナー、ガザーリー、スフラワルディー、イブン・アラビー、その他
   x クジャタ、バハムート、ファラク、その他
    おまけ 

* アラビア語やペルシア語などの日本語表記は、勉強不足のため残念ながらわかりません。
そこで、次の辞典で見つけることができたものは、そちらに従いました;
大塚和夫・小杉秦・小松久男・東長靖・羽田正・山内昌之編、『岩波 イスラーム辞典』、岩波書店、2002、1266ページ。
ただし、そこで見つからなかった場合は、別のところで見つけたものにならうか、ローマ字読みしたり、アルファベットのままだったりします。
他方、言及している資料が他の方法で表記している場合、引用は出典に従い、統一することはしません。
ともあれ例によって、多々誤りもあろうかと思いますが、ご寛恕ください。

i. 『クルアーン(コーラン)』とその周辺

藤本勝次・伴康哉・池田修訳、『コーラン 世界の名著 15』、中央公論社、1970
コーランとイスラム思想(藤本勝次);日本とコーラン/コーランの成立/コーランの教え/コーランと近代イスラム//
コーラン;114章など、572ページ。

この他、井筒俊彦訳『コーラン』(上中下、岩波文庫、1957/1964)あり(未見)。


アダムに対するイブリースの拝跪拒否については、2-30~34(pp.58-60)、7-11~18(pp.169-170)、15-26~46(p.158)、17-61~65(p.278)、18-50(p.287)、20-116~117(p.306)、38-71~85(p.420)。これに対応するユダヤの伝承については→こちらを参照
→こちらでも少し触れておきます
イブリースについてはまた;

Hamid Algar, ‘EBLĪSEncyclopædia Iranica
「イブリース」

牧野信也、『創造と終末 コーラン的世界観の構造』、新泉社、1972
序論 課題と方法/創造の空間的構造-天地の創造と人間の創造/創造の時間的構造-創造と歴史/言葉による創造/無からの創造(Creatio ex nihilo)/終末の情景/「裁き」の構造/「報い」の構造/終末と時間/終末と信仰/創造と終末など、262ページ。

塩尻和子、「コーランにみる『世界の創造』」、『創成神話の研究』、1996、pp.177-204
コーラン-神の言葉;朗誦するもの/断片的な啓示/創造不断//
創世神話仮説;七層の天と地/原初の人間アーダム/悪魔の誘惑/新たな創造//
恩寵としての創造;無からの創造/人間-宇宙で最も美しい姿/創造と終末//
付記 洪水伝説
こちらに再録


リチャード・ベル、医王秀行訳、『コーラン入門』(ちくま学芸文庫 へ-6-1)、筑摩書房、2003
原著は Richard Bell, Introduction to the Qur'an, 1953
歴史情勢とムハンマド;外部環境/ムハンマドと筆記/ムハンマドの生涯/ムハンマドの人格と意図/ムハンマドと天啓//
コーランの起源;伝達、収集、信憑性/コーラン・テキストに関する注//
コーランの形態;コーランの区分/発話の形式-人称と状況設定/コーランのスーラ(章)一覧表//
コーランの構造と文体;押韻/その他の表現形式//
スーラ(章)の編集;改訂と書き換え/裏面を用いた編集/諸規定の改変/ナースィフとマンスーフに関する注//
コーランの啓示の年代順配列;従来の学説/ムハンマドの布教活動の推移/スーラの成立順序一覧表//
コーランの発展段階;アッラーの威力と恩恵の徴/懲罰物語(マサーニー)/コーラン/啓典/フルカーンに関する注//
コーランの内容と典拠;教義/聖書由来の物語/諸規定/結論など、534ページ。


大川(黒宮)玲子、「『書かれたもの (キターブ)』と運命論-クルアーン、『天の書板』、『記録の書』-」、『オリエント』、vol.45 no.1、2002、pp.142-158 [ < J-STAGE

大川玲子、『聖典「クルアーン」の思想 イスラームの世界観』(講談社現代新書 1711)、講談社、2004
クルアーンとはいかなる聖典なのか?;誕生の経緯 アッラーの啓示から書物へ/構成と内容/読誦されるクルアーン 日常生活のなかで/クルアーンが語るクルアーン その自己認識//
預言者たちとクルアーンに先行する諸啓典;「啓典の民」と「純正一神教徒」 クルアーンのユダヤ・キリスト教徒観/預言者たちと啓典 アダムからアブラハムへ/モーセの「律法の書」、ダビデの「詩篇」、イエスの「福音の書」/クルアーンの優越性//
「天の書」とクルアーン;「天の書」と人間の運命/「記録の書」と人間の自由意思/「天の書」からクルアーンへ 啓示が下される時//
日本人とクルアーン;英雄「マホメット」への関心 大正のクルアーン訳/「亜細亜との連帯」を目指して 戦前のクルアーン訳/学問と信仰 戦後のクルアーン訳など、238ページ。


大川玲子、『イスラームにおける運命と啓示-クルアーン解釈書に見られる「天の書」概念をめぐって-』、晃洋書房、2009
序章 「天の書」概念とクルアーンの解釈;本書の趣旨/解釈書について//
「天の書」と「記録の書」 「運命の書」としての「天の書」;「ペン」(68:1)/「キターブ(書)」(6:59: 10:61: 11:6: 27:75: 22:70: 23:39)//
  人々の行為の「記録の書」;「記録の書」(17:13-14: 50:17-18: 82:10-12)/「天の書」との関係(45:29)//
「天の書」とクルアーンの啓示 「クルアーンの原型」としての「天の書」;「護られた書板」(85:21-22)/「隠されたキターブ」(56:77-79)/「キターブの母」(43:2-4)//
  「天の書」からのクルアーンの「降下」;クルアーン学における啓示理論-二段階での「降下」/「カドル(定め)の夜」(97:1)/ラマダーン月(2:185)/「祝福された夜」(44:2-4)//
  クルアーンの最下天から地上への「降下」;ユダヤ聖典との対比(25:32)/分割される地上への「降下」(56:75-79: 17:106)//
終章 「天の書」概念の意味など、222ページ。


〈天の書〉に関して→こちらにも挙げておきます

近藤久美子、「アラビアの天空神話-天と楽園、星をめぐって」、『アジア遊学』、no.121、2009.4、「特集・天空の神話学」、pp.12-17
七つの天/楽園の場所/地上に降りたアダムとイブ/星辰
………………………

牧野信也訳、『ハディース イスラーム伝承集成』(Ⅰ~Ⅵ)(中公文庫 ま 31-1~6)、中央公論新社、2001
1993~1994刊本の文庫化
アブー・アブド・アッラー・ムハンマド・ブン・イスマーイール・アル・ブハーリー、通称ブハーリー(810-870)のハディースの全訳

「こうして6つの伝承集が次々と編纂されたが、そのうち最も権威あるものとされるのは、今回の日本語訳の原本をなすアル・ブハーリーの
正伝集(サヒーフ)およびムスリムの正伝集であり、それに次いでアブー・ダーウド、アッ・ティルミディー、アン・ナサーイー、イブン・マージャ、それぞれの伝承集がある」(Ⅵ巻「解説」、pp.360-361)。「これまでに挙げた伝承集はすべてイスラームのスンニー派によって認められたものであるが、シーア派はまた独自の伝承集をもっており、そこではシーア派の元祖アリーにまで遡る伝承のみが有効なものとして受入れられ」ているとのこと(同pp.364-365)。

シーア派のハディースについて→こちらも参照

………………………

井筒俊彦、『イスラーム生誕』(中公文庫 BIBLIO B-2-10)、中央公論新社、1990
1979刊本の文庫化、また第1部の原本は『マホメット』(1952)
ムハンマド伝;序/沙漠の騎士道/享楽と苦渋/ムハンマドの出現/預言者召命/メッカの預言者/メディナの預言者//
イスラームとは何か;イスラームとジャーヒリーヤ/イスラーム-実存的飛躍/イスラーム精神とジャーヒリーヤ精神/イスラーム的信仰/宗教共同体の成立/「アブラハムの宗教」/アッラーという神/イスラームの預言者//
解説(牧野信也)など、248ページ。

第2部でイスラームと対比されるジャーヒリーヤについては→こちらも参照

井筒俊彦については→こちらも参照
………………………

Toufy Fahd, “La naissance du monde selon l'Islam”, La naissance du monde. Sources orientales Ⅰ, 1959, pp.235-279
「イスラームによる世界の始まり」
前置き//創造者//
創造;諸天と地の前に創造された事物 書板と筆、水、風、玉座/諸天と地の創造 7つの天の創造、7つの地の創造、地と蒼穹の装飾/霊的存在と生ける存在の創造 諸精霊の創造、人の創造、エバの創造、感覚と知性の創造/聖所の創造//
結論など


こちらや、そちらでも挙げています

Edited by Feras Hanza and Sajjad Rizvi with Farhana Mayer, An Anthology of Qur'anic Commentaries, Volume Ⅰ, On the Nature of the Divine, Ocford University Press, Oxford in association with The Institute of Ismaili Studies, London, 2008
『クルアーン註釈集 第1巻 神的なものの性質について』
序文
(Omar Ali-de-Unzaga)//序論//
神の顔を求めて
(Q. 2:115)/神の玉座と知識の座(Q. 2:255)/覆い被さる慈悲(Q. 6:12)/諸天と地の光(Q. 24:35)/秤(Q. 54:49)/一性(Q. 112)など、688ページ。

ii. 思想史・哲学史的なものなど

井筒俊彦、『イスラーム思想史-神学・神秘主義・哲学-』、岩波書店、1975
『アラビア思想史』(1941)の改訂版、第2部の「神秘主義」は「アラビア哲学」(1948)より
イスラーム神学ー
Kalāmアラビア沙漠の精神とコーラン/イスラーム法学諸派の形成とその基本概念/思弁神学の発生/ムアタズィラ派出現まで/ムアタズィラ派の合理主義/アシュアリーの出現とその思想史的意義/イマーム・ル・ハラマインの思弁神学大系/ガザ-リーにおける理性と信仰//
イスラーム神秘主義(スーフィズム)-
Taṣawwufスーフィズムの起源/初期の修道者たち/修行道の理論的反省/神秘主義的思想形成の発端/初期スーフィズム思想の黄金時代//
スコラ哲学(
Falsafah)-東方イスラーム哲学の発展;ギリシア精神の移植/最初の哲学者キンディー/「第2の師」ファーラービー/純正同胞会(Ikhwān aṣ-Ṣafā')/イブン・スィーナー(Avicenna)の哲学/ガザ-リーの哲学批判//
スコラ哲学(
Falsafah)-西方イスラーム哲学の発展;「孤独の哲人」イブン・バーッジァ(Avempace)/イブン・トファイル(Abubacer)の哲学小説/イブン・ルシド(Averroes)の思想/イブン・アラビーの神秘哲学-西方から東方へ-など、378ページ。

こちらでも少し触れています
井筒俊彦については→こちらも参照


アンリ・コルバン、黒田壽郎・柏木英彦訳、『イスラーム哲学史』、岩波書店、1974
原著は Henri Corbin, Histoire de la philosophie islamique. Des origines jusqu'à la mort d'Averroës, 1964
序説//イスラームにおける哲学的瞑想の諸起源;クルアーンの精神的解釈/翻訳//
シーア派と予言者哲学 予備的考察//
  12イマーム・シーア派;時代と資料/秘教主義/予言者学/イマーム学/グノーシス学/神聖史と超歴史/隠れたイマームと終末論//
  イスマーイール派 時代と資料、イスマーイール派の原型//ファーティマ朝イスマーイール派;タウヒードの弁証論/天上におけるドラマと時の誕生/円環的時間、神聖史と諸階層/イマーム学と終末論//
    アラムートの修正イスマーイール主義;時代と資料/イマームの概念/イマーム学と復活の哲学/イスマーイール主義とスーフィズム//
正統派カラーム ムアタジラ派;起源/教説//
  アブ=ル=ハサン・アル=アシュアリー;アル=アシュアリーの生涯と著作/アル=アシュアリーの教説//
  アシュアリー主義;アシュアリー派の盛衰/原子論/理性と信仰//
哲学と自然学;ヘルメス主義/ジャービル・ブン・ハイヤーンと錬金術/イフワーヌッ=サファーの百科全書/医師、哲学者ラーゼス(ラージー)言語哲学/ビールーニー/ハワーリズミー/イブヌ=ル=ハイサム/シャーフマルダーン・ラージー//
ギリシャ的哲学;緒言/アル=キンディーとその弟子たち/アル=ファーラービー/アブ=ル=ハサン・アル=アーミリー/アヴィセンナとアヴィセンナ主義/イブン・マスクーイェ、イブン・ファーティク、イブン・ヒンドゥー/アブ=ル=バラカート・アル=バグダーディー/アブー・ハーミド・ガザーリーと哲学批判//
スーフィズム;予備的考察/アブー・ヤジード・バスターミー/ジュナイド/ハーキム・ティルミズィー/アル=ハッラージュ/アフマド・ガザーリーと純粋な愛//
スフラワルディーと光の哲学古代ペルシャの叡智の復興/光の東方(イシュラーク)/宇宙の階層/西方への流刑/照明学派//
アンダルシアの哲学;イブン・マサッラとアルメリア学派/コルドバのイブン・ハズム/サラゴッサのイブン・バーッジャ(アヴェンパチェ)/バダホスのイブヌッ=シード/カディスのイブン・トゥファイル/アヴェロエスとアヴェロエス主義/転換期など、378ページ。

始めて読んだ時、「第2章A 12イマーム・シーア派」にまったく歯が立たなかったことを覚えています。
他方、「第2章B-1 ファーティマ朝イスマーイール派」で記述される「天上におけるドラマ」は、この後イスラームの宇宙論を思い浮かべる時の軸の1つとなってしまいました。
さらに、「第7章 スフラワルディーと光の哲学」はもとより、「第4章 哲学と自然学」中の「1 ヘルメス主義」、「2 ジャービル・ブン・ハイヤーンと錬金術」、「4 医師、哲学者ラーゼス(ラージー)」などにも、興味深い情報が満載です。
ちなみに今挙げた「第4章 4」の「ラーゼス(ラージー)」、「ムハンマド・ブン・ザカリーヤー・ラージー」は『岩波 イスラーム辞典』(2002)では「ラーズィー、アブー・バクル」(864-925・32)(p.1038)、ラテン名「ラーゼス
Rhazes」で、→S. Stroumsa, Freethinkers of Medieval Islam, 1999 参照
ラーゼスと論争したイスマーイール派の思想家は「ラーズィー、アブー・ハーティム」(?-933/4)(pp.1038-1039)。
「第4章 9 シャーフマルダーン・ラージー」(11-12世紀)は『岩波 イスラーム辞典』に記載なし。
後掲の青柳かおる『イスラームの世界観 ガザーリーとラーズィー』(2005)で主題となるのは「ラーズィー、ファファルッディーン」(1149-1209)(『岩波 イスラーム辞典』、p.1039)。
なお「第7章 スフラワルディーと光の哲学」からは、「宙吊りの形相」(1989)の冒頭で引用したりしています(→こちら)。
コルバンについては、→こちらも参照

S.H.ナスル、黒田壽郎・柏木英彦訳、『イスラームの哲学者たち』、岩波書店、1975
原著は Seyyed Hossein Nasr, Three Muslim Sages, 1964
序論//アヴィセンナと哲学・科学者たちアヴィセンナの先駆者たち/アヴィセンナの伝記的素描/アヴィセンナの著作/存在論/宇宙論と天使学/自然学と数学/霊魂論/宗教と啓示/秘教哲学/アヴィセンナ学派//
スフラワルディーと照明学派スフラワルディー登場の背景/スフラワルディーの生涯と著作/照明学派教説の典拠/イシュラーク(
'Ishrāq)の意味/智者の諸階層/地理的象徴/東方神智学とその基本的教説/ペリパトス派哲学の批判/光の光と存在論/天使/自然学と霊魂論/終末論と精神的合一/象徴的物語の意義/照明学派の伝統//
イブン・アラビーとスーフィーたちスーフィーの伝統/イブン・アラビーの意義/ムルシア出身の賢者の生涯/著作/イブン・アラビーの「典拠」/教説/象徴主義の言語/存在の唯一性/名辞と性質/普遍的人間ないしロゴス/創造と宇宙論/合一/諸宗教の一致/イブン・アラビー以後のスーフィズムなど、248ページ。

同じ著者による→こちらや、そちら、またあちらも参照

………………………

このページでもすでに2回(→こちら(『イスラーム生誕』)あちら(『イスラーム思想史』))、他のページにも何度か登場している井筒俊彦ですが(→こちら(「中世ユダヤ哲学史」)や、そちら(カバラー)、またあちら(、『神秘哲学 ギリシアの部』、)、加えてこなた(「マーヤー的世界認識-不二一元論的ヴェーダーンタの思惟構造をめぐって-」そなた(「事事無礙・理理無礙-存在解体のあと(ヽヽ)-」あなた(「意味分節理論と空海-真言密教の言語哲学的可能性を探る-」)、イスラームという枠からはみ出てしまうものの、さらに;


井筒俊彦、『イスラーム文化 その根柢にあるもの』(岩波文庫 青 185-1)、岩波書店、1991
1981刊本の文庫化
宗教/法と倫理/内面への道など、236ページ。


井筒俊彦、『意識と本質 精神的東洋を索めて』、岩波書店、1983
意識と本質-東洋哲学の共時的構造化のために/本質直観-イスラーム哲学断章/禅における言語的意味の問題/対話と非対話-禅問答についての一考察など、446ページ。

井筒俊彦、『意味の深みへ 東洋哲学の水位』、岩波書店、1985
人間存在の現代的状況と東洋哲学/文化と言語アラヤ識-異文化間対話の可能性をめぐって-//
デリダのなかの「ユダヤ人」/「書く」-デリダのエクリチュール論に因んで-//
シーア派イスラーム-シーア的殉教者意識の由来とその演劇性-スーフィズムと言語哲学意味分節理論と空海-真言密教の言語哲学的可能性を探る-/渾沌-無と有のあいだ-など、316ページ。


井筒俊彦、『コスモスとアンチコスモス 東洋哲学のために』、岩波書店、1989
事事無礙・理理無礙-存在解体のあと(ヽヽ)/創造不断-東洋的時間意識の元型/コスモスとアンチコスモス-東洋哲学の立場から-/イスマイル派「暗殺団」-アラムート城砦のミュトスと思想-/禅的意識のフィールド構造など、416ページ。

井筒俊彦、『超越のことば イスラーム・ユダヤ哲学における神と人』、岩波書店、1991
言語現象としての「啓示」/アヴィセンナ・ガザーリー・アヴェロエス「崩落」論争-『哲学の崩落』と『崩落の崩落』をめぐって-存在と意識の深層-イスラーム哲学の原像-中世ユダヤ哲学史における啓示と理性マーヤー的世界認識-不二一元論的ヴェーダーンタの思惟構造をめぐって-など、482ページ。

井筒俊彦・上田閑照・大沼忠弘、「鼎談 神秘主義の根本構造 『イスラーム哲学の原点』をめぐって」、『理想』、no.565、1980.6:「特集 神秘主義」、pp.2-43
神秘主義とは/「一者」の体験/神秘主義と人格神の問題/バスターミーvsジュネイド/エックハルトの場合/異端としての神秘主義/神秘主義と「無」/10個のセフィロート/意識の構造とイマージュの世界/「鳥飛んで鳥の如し」/アラベスク-形態と象徴/イスラーム芸術の本質/新プラトン主義とイスラーム神学/西田哲学の視角から/「存在が花する」/神秘主義と哲学/アヴェロイスとイブン・アラビー/仏教-その人格性、非人格性

タイトルにある「イスラーム哲学の原点」は、『イスラーム哲学の原像』(1980)に第1部として収められ、またその形で上掲『超越のことば』(1991)にも再録されました。
こちらでも少し触れています

井筒俊彦について論じたものとして;

安藤礼二、『近代論-危機の時代のアルシーヴ』、NTT出版、2008、pp.237-285:「第5章 戦争-井筒俊彦論」
光のイデア/意味の深みへの探求/大東亜共栄圏の哲学

同じ著者による→こちらを参照

若松英輔、『井筒俊彦 叡知の哲学』、慶應義塾大学出版会、2011
『神秘哲学』-詩人哲学者の誕生;無垢なる原点/スタゲイラの哲人と神聖なる義務/預言する詩人/上田光雄と柳宗悦//
イスラームとの邂逅;セムの子-小辻節三との邂逅/二人のタタール人/大川周明と日本イスラームの原点/殉教と対話-ハッラージュとマシニョン//
ロシア、夜の霊性;文学者の使命/見霊者と神秘詩人-ドストエフスキーとチュッチェフ/前生を歌う詩人/永遠のイデア//
ある同時代人と預言者伝;宗教哲学者 諸井慶徳/シャマニズムと神秘主義/預言者伝//
カトリシズム;聖人と詩人/真理への実践-九鬼周造と吉満義彦/キリスト者への影響-遠藤周作・井上洋治・高橋たか子//
言葉とコトバ;イスラームの位置/言葉と意味論/講義「言語学概論」/和歌の意味論//
天界の翻訳者;コーランの翻訳/「構造」と構造主義/イブン・アラビー/老荘と屈原//
エラノス-彼方での対話;エラノスの「時」/オットーとエリアーデ/伝統学派と久遠の叡智//
『意識と本質』;「意識と本質」前夜/東洋へ/精神的自叙伝/「意識」と「本質」/コトバの神秘哲学//
叡知の哲学;仏教と深層心理学-「無」意識と無意識/文学者の「読み」/真実在と万有在神論-西田幾多郎と山崎弁栄など、474ページ。


坂本勉・松原秀一編、『井筒俊彦とイスラーム 回想と書評』、慶應義塾大学出版会、2012
序-イスラーム学事始めの頃の井筒俊彦(坂本勉)//
回想の井筒俊彦;多元的文化への偏見のない関心-井筒俊彦を引き継ぐために(黒田壽郎、インタビュアー:湯川武)/鎌倉、軽井沢、テヘラン(岩見隆、インタビュアー:高田康一+尾崎貴久子)/共生の思想を模索する(松本耿郎、インタビュアー:野元晋)/井筒俊彦の知を求める旅-モントリオール、エラノス会議、そしてテヘラン(ヘルマン・ランドルト、インタビュアー・翻訳:野元晋)/井筒俊彦の本質直観(鈴木孝夫、インタビュアー:松原秀一)//
私の一冊;『アラビア語入門』-「井筒言語学」の曙光(大河原知樹)/『イスラーム生誕』-ムハンマド伝をめぐって(後藤明)/『コーラン』と『コーランを読む』-コトバの深奥へ(大川玲子)/『意味の構造』-意味論的分析によるクルアーン読解(牧野信也)/『イスラーム文化』-雄弁な啓蒙と呑み込まれた言葉(長谷部史彦)/『イスラーム思想史』-沙漠の思想か共生の思想か(塩尻和子)/『イスラーム哲学の原像』-神秘主義と哲学の融合、そして「東洋」をめぐって(野元晋)/『存在認識の道』-井筒東洋哲学を支えるもの(鎌田繁)/『ルーミー語録』-その意義をめぐって(藤井守男)/『ロシア的人間』-全一的双面性の洞見者(谷寿美)/『超越のことば』-自我滅却の哲学のゆくえ(市川裕)/『神秘哲学』と『意識と本質』-二つの主著(若松英輔)//
あとがき(松原秀一)など、458ページ。


安藤礼二+若松英輔責任編集、『井筒俊彦 言語の根源と哲学の発生』(KAWADE 道の手帖)、河出書房新社、2014
特別対談 コトバの形而上学 井筒俊彦の生涯と思想(安藤礼二×若松英輔)//
インタビュー エラノスで出会った〈非〉学問の人(高橋巖 聞き手=安藤礼二・若松英輔)//
井筒俊彦を読む;井筒宇宙の周縁で 『超越のことば』井筒俊彦を読む(大江健三郎、1991)/『意識の形而上学-「大乗起信論」の哲学』を読む(田口ランディ)/下から(吉村萬壱)/『意識と本質』を読む(池田晶子、1992)/言い難く豊かな砂漠の人(日野啓三、1991)/井筒哲学を翻訳する(ジャン・コーネル・ホフ)//
特別収録 [書簡]〈解体構築〉DÉCONSTRUCTION とは何か(ジャック・デリダ、1983)//
井筒哲学の可能性;創造の出発点(中沢新一、1991)/呪術と神秘 井筒俊彦の言語論素描(安藤礼二)/光と意識の形而上学 井筒俊彦とベルクソン(若松英輔)/「東洋の理想」の行方 大川周明と井筒俊彦(中島岳志、2012)/井筒俊彦とロシアと文字と戦争と(山城むつみ)/スピリチュアル・アナキズムに向かって(上野俊哉)//
井筒哲学の基層;井筒俊彦とエラノス精神(河合俊雄)/禅から井筒哲学を考える(末木文美士)/井筒俊彦と道元(頼住光子)/井筒俊彦の主要著作に見る日本的イスラーム理解(池内恵、2007)/井筒俊彦とプロティノス(納富信留)/井筒俊彦とインド哲学(澤井義次)//
井筒俊彦と東洋哲学;詩と宗教と哲学の間 言語と身心変容技法(鎌田東二)/地域社会化時代の東洋哲学 井筒俊彦とファム・コン・ティエン(野平宗弘)/「読む」ことの教え 井筒俊彦から受け取ったこと(松枝到)/〈精神的東洋を索めて〉 光の現象学(永井晋)など、228ページ。


また

上野俊哉、『荒野のおおかみ 押井守論』、青弓社、2015、pp.28-73:「第2章 アニメ的オートマトン-息を吹き込まれた自動機械/人形としてのアニメ」
………………………

前嶋信次、「アッラーの属性について」、『オリエント』、vol.6 no.2、1963、pp.45-54 [ < J-STAGE

中村廣治郎、"Harry A. Wolfson, The Philosophy of the Kalām Cambridge (Mass.): Harvard University Press, 1976, ps. xxvi, 779"、『オリエント』、vol.21 no.1、1978、pp.178-182 [ < J-STAGE

こちらでも挙げています

W.モンゴメリー・ワット、福島保夫訳、『イスラムの神学と哲学』、紀伊國屋書店、1976
原著は W. Montgomery Watt, Islamic Philosophy and Theology, 1962
序文/原資料への註//
ウマイヤ時代;宗派の始まり/ハーリジュ派/シーア派/ムルジア派と他の穏健派//
ヘレニズムの第一波(750-950年);歴史的背景/翻訳家と最初の哲学者/シーア派の伸張/ムアタジラ派/スンナ派の統合/アル・アシュアリー//
ヘレニズムの第二波(950-1258年);歴史的背景/哲学の開花/シーア主義の盛衰/スンナ派神学の進歩/アル・ガザーリー/1100年より1250年までのスンナ派神学/西方イスラムにおける神学と哲学//
暗黒の時代(1250-1900年);歴史的背景/哲学的神学の硬化/ハンバル派の活力/シーア主義の変形//
新しい夜明け;神学への展望など、272ページ。


『理想』、no.559、1979.12、pp.2-123:「特集 イスラーム哲学」
本質直観-イスラーム哲学断章(井筒俊彦)/イスラーム社会への一視角-西欧中心主義社会からの離脱のために(林武)/「イスラム」か「イスラム教」か?(中村廣治郞)/アラベスク-宗教と美術(竹林子)/イブヌッ・サムフ:哲学の目的について(M.モハッケク)/イブン・アーラビーにおける神的われ(R.アルナデス)/モッラー・サドラー哲学の基礎(J.モスレフ)/イラン、ブロンズ作品に表われた秘教的主題と神秘的主題(A.S.メリキアン)/知的総体としてのイスラーム-論文解説(五十嵐一

五十嵐一、『知の連鎖 イスラームとギリシアの饗宴』、勁草書房、1983
序 イスラームの知的相貌//
イブン・スィーナーの医学思想;命名と分類-『医学典範』における解剖学と生理学-/ホモロジーとアナロジー-体液平衡学説をめぐって-/生と死の交錯-神の配慮と最適過程-//
数・イデア・神-根拠をめぐる主題とその変奏-;超越と内在-非共約的存在としての神-/(ゼロ)の焦点-パルメニデースの点的根拠-アナロジーの論理-イデア論と比例形式-//
愛知への誘い;イスラーム哲学のすすめ-イブヌッ・サムフの『哲学の目的』-/酔いのエクスタシー-酒中の仙と愛の神秘道-など、252ページ。

同じ著者による→こちらも参照

五十嵐一、「自然の偉大な鎖-オリエント的グノーシスの相貌-」、『新岩波講座 哲学 5 自然とコスモス』、1985、pp.270-297
序/存在の確信/流出論/創造の自然から倫理的自己展開へ/自然論と自然科学/自然の偉大な鎖

五十嵐一、『イスラーム・ルネサンス』、勁草書房、1986
イスラームの核心へ 躓かぬ神-イデオロギーとしてのイスラーム-;ロゴスとしてのイスラーム/イスラームのエネルギー源/知の普遍性と固有性/知識人の覚悟//
  神の道での努力-ジハードの内的構造-;アッラーの道での奮闘努力/ムジャーヒディーンの明と暗/イスラーム版戦陣訓//
  イン・シャーラーの論理と倫理;神的決定論と人為的決定論/調節作用の微妙さ/クローン人間神話の虚構性/暗くて深い畏怖の念/決定論的思考を超えて//
  コーランにおける創造観-自己作品化の美学-;問題提起/コーランの創造観/自己作品化の美学//
  変心の神秘-イスラーム的構造変動論-;変身から変心へ/葦笛のものがたり/佯狂という名の仮面/Negative Capability/佯狂連合のすすめ//
イスラームの核心から 〝秤〟の学-イスラーム的知の相貌-;イスラーム的知の連鎖/〝秤〟の諸相/均衡と衡平バランスの医学/コーランにおける〝秤〟-神の配慮と裁定-/〝秤〟の意義//
  幻想と現実-イスラームの精神身体医学-;心身症の名医イブン・スィーナー/脈拍と加速度運動/魂の医師の伝統/心身の生長と完成/
思念(おもい)のたけのままに//
  アッラーの神-ひとつの神名論的反省-;アッラー
()神/古事記の神学と流出論/中間世界としての原像空間/カッバーラーの神学-比較の第三項-/古事記における四層構造/アッラーフ・アクバル!//
  西の音、東の音-中洋の視点から-;虫の音
()づる大和(やまと)びと/東西文化と左右の脳半球/中洋からの響き//
  イスラーム・ルネサンス論;知の本質的契機としてのルネサンス/知識人の重荷と責任/知のネゲ・エントロピー効果/特異点の複合体としてのイスラームなど、240ページ。

「Ⅱ 第8章 アッラーの神-ひとつの神名論的反省-」について、→こちら、またそちらや、あちらで挙げています。


五十嵐一、『神秘主義のエクリチュール』、法蔵館、1989
序論-本書への道程、自分史ふうに-//
神秘主義のエクリチュール;
présence 感覚の特性づけ/absence 感覚の陰影/ひとつの修行道/放下の感覚/舞いの美学//
断章;存在のイマージュについて/自己犠牲を超えて-佯狂と好奇心-/葦笛の唄など、250ページ。

「全体の骨格が、イスラーム神秘主義の精華ともいえるスフラワルディーの『幼児性の状態について』の考究となっている」とのこと(p.32)。スフラワルディーについては→こちらも参照


五十嵐一、「脈動する自然と自然学-イスラームの医学的自然観-」、『中世の自然観 中世研究 第7号』、1991、pp.317-335
「自然学」-その意味の変容/イブン・スィーナー登場/近接作用素もしくは脈動する自然/「アリストテレスに倣いて」の精神/アッラーの神の意志/「物理学」もしくは脈動の拡散

中村廣治郎編、『イスラム・思想の営み 講座イスラム 1』、筑摩書房、1985
アラブ文化とイスラム(後藤晃)/コーランの思想(小田淑子)/法と共同体(小田淑子)/イスラムの神学と哲学(松本耿郎)/スーフィズムの確立 ガザーリーの生涯と思想を中心にして(中村廣治郎)/後期スーフィズムの発展 イブン・アラビーを中心として(竹下政孝)/シーア派の発展 モッラー・サドラーを中心として(鎌田繁)/イスラム改革思想の流れ ハンバル派小史(湯川武)など、266ページ。

オリヴァー・リーマン、中村廣治郎訳、『イスラム哲学への扉 理性と啓示をめぐって』(ちくま学芸文庫 り-4-1)、筑摩書房、2002
原著は Oliver Leaman, An Introduction to Medieval Islamic Philosophy, 1985
1988刊本の文庫化
序章 イスラムの展開と哲学//
哲学に対するガザーリーの攻撃;神は世界をいかに創ったか/霊魂の不死性と能動知性/神は個物を知りうるか//
実践的推論における理性と啓示;宗教の倫理は客観的か主観的か/幸福・哲学・社会/イスラム哲学をいかに読むか、など、474ページ。

pp.49-50 で予告されているように、本書ではマイモニデスも重要な役割を果たします。
マイモニデスについては→A.J.ヘッシェル、森泉弘次訳、『マイモニデス伝』、2006 も参照


『イスラーム思想 2 岩波講座・東洋思想 第四巻』、岩波書店、1988
イスラーム思想の特質 言語現象としての「啓示」(井筒俊彦)//
  スーフィズム;古典的スーフィズム-神秘思想とその象徴的表現(アンネマリー・シンメル)/非現象から現象世界へ-イブン・アラビーの「存在一性論」(W.C.チティック)/スフラワルディーと照明哲学(クリスチャン・ジャンベ)/愛の形而上学-アフマド・ガッザーリーのスーフィズム(ナスロッラー・プールジャワディ)//
  イスラーム哲学の問題点;アヴィセンナ・ガザーリー・アヴェロエス「崩落」論争-『哲学の崩落』と『崩落の崩落』をめぐって(井筒俊彦)/イスラーム思想における「存在」と「本質」(S.H.ナスル)/神・知性・人間-イスラーム的知性論のトポロジー(五十嵐一)など、274ページ。


『イスラーム思想 1 岩波講座・東洋思想 第三巻』、岩波書店、1989
イスラーム思想史(中村廣治郎)//
イスラーム思想の展開 イスラーム思想の原点(牧野信也)//イスラームの法思想(中村廣治郎)//
  イスラーム神学とスコラ学;初期イスラーム神学(黒田壽郎)/初期イスラーム神学とスコラ哲学(松本耿郎)//
  イスラームの政治思想(中村廣治郎)//イスラームの科学思想-まなざしの精密化と内面の涵養(五十嵐一)//スーフィズムの文学-詩から説話まで(S.H.ナスル)//東南アジアにおけるイスラーム思想の受容と展開-ハムザー・ファンスーリー試論(中村光夫)など、358ページ。


松本耿郎、『イスラーム政治神学 ワラーヤとウィラーヤ』、未來社、1993
イスラームの存在論と神名論神名の意味するもの/神の現れ/存在の階層//
ワラーヤの意味論;コーランに見えるワラーヤ/ワラーヤとウィラーヤ//
スーフィズムとワラーヤ;預言者性と誠実者性/預言者性とワラーヤ/イブン・アラビーのワラーヤとヌブーワ//
預言者性の封印とワラーヤの封印//
「玄秘の花園」のワラーヤ論;存在論的郷愁/「玄秘の花園」のワラーヤ観/太陽のワラーヤと月のワラーヤ//
ヒラーファ(代理者権)とワラーヤ;カリフまたはハリーファについて/歴史的カリフ/神学的カリフ/イブン・アラビーのカリフ論//
ウィラーヤ(監督権)の起源;政治的主題としてのウィラーヤ/ウィラーヤ概念の発展/ウィラーヤの継承者//
ウィラーヤの形而上学//法学者の監督権-ホメイニーのウィラーヤ論など、224ページ。

同じ著者による→こちらや、またあちらも参照


松本耿郎、「アブ―・ル・バラカートの時間論について」、『中世思想研究』、no.20、1978.10.25、pp.21-35 [ < 『中世思想研究』バックナンバー中世哲学会

松本耿郎、「イスラーム世界の時間論」、『エピステーメー』、vol. 5 no.2、1979.2、「特集 時計 クロノスの変容」、pp.138-141

松本耿郎、「ウィラーヤトの存在論」、『国際大学中東研究所紀要』、no.5、1991.3、pp.247-268 [ < 新潟県地域共同リポジトリ(NiRR)

松本耿郎、「中世のプラトニズム-イスラム思想と新プラトン思想-」、『中世思想研究』、no.55、2013.9.25、pp.85-95 [ < 『中世思想研究』バックナンバー中世哲学会

ラーズィーに関して→こちらにも挙げています


小杉泰、『イスラームとは何か その宗教・社会・文化』(講談社現代新書 1210)、講談社、1994
序 「イスラーム」の発見へ//
新しい宗教の誕生;イスラーム登場の衝撃/イスラーム以前のアラビア半島/無明時代/ムハンマドの誕生/ハーシム家の保護/ムハンマドの家庭生活/啓示の始まり/預言者としての召命/啓示の現象をどう考えるか/マッカ期の布教/移住の決断/イスラーム国家の成立/マディーナ憲章/軍事的な対立/最初の戦役/続く戦役/アラビア半島の統一//
啓典と教義;自然の象徴/詩人への挑戦/言葉の魔力/クルアーンの構成/啓示の下り方/正典の確定/クルアーンの構造/イスラームの根本原理/諸預言者たち/天と地の間で/宗教共同体/垂直軸と水平軸/五行/カーバ聖殿/神と人間をつなぐもの/六信/使徒の役割//
共同体と社会生活;イスラームの町並/預言者のモスク/アザーンの始まり/礼拝の方角/アカバの誓い/社会革命/ムハンマドの妻たち/結婚制度について/ムハンマドの死/リッダ戦争/正統カリフの治世/マディーナ時代の終わり//
第2の啓典ハディース(預言者言行録);学者の対決/ハディースの重要性/偽造の背景/ムハッディスの反撃/伝承者の人物調査/「七教友」/大学者の時代/「真正集」のハディース/暗記の文化/ハディースの総数//
知識の担い手たちと国家;教会組織のないイスラーム/「知識を持つ人」/教友の中のウラマー/ウンマ(共同体)の力/共同体の合意(イジュマー)/「類推」解釈と「一般規定」解釈/法学派の始まり/四大学派の祖たち/私人としてのウラマー/大法官アブー・ユースフ/剣の人、筆の人、職の人/法学派の役割//
神を求める2つの道;「宗教」について/神学者たち/ヘレニズム的な正義論/アシュアリーの登場/中興の祖/ガザーリーの悟り/神を求める道/現世的傾向への反発/神秘家たちの系譜/教団組織の発達/伝統的イスラームの形/ブハラの情景から//
スンナ派とシーア派;分派と指導者/ムハンマドの後継者/「立ち去る者たち」ハワーリジュ派/アリーの党派/カルバラーの悲劇/シーア派の誕生/アッバース朝の登場/アッバース朝カリフの位置/シーア派の主導権争い/「正統派」スンナ派/指導者原理と平等主義/シーア派のイマーム論/歴史と真理の関係/隠れたイマーム/その後のシーア派//
黄金期のイスラーム世界;黄金期はいつか/領土の広がり/バグダードの栄華/カリフ制と官庁/分派の黄金期/カイロの建都/スンナ派の確立期/イスラーム世界の拡大/オスマン朝の隆盛//
現代世界とイスラーム;黄金期の喪失/前例のない危機の様相/自己を問う/「固き絆」の輝き/行く手を照らす「灯台」/自信の回復/スルターン・カリフ制の崩壊/アイデンティティーの分裂/植民地の独立と脱イスラーム/領域国家の問題/クルド人の悲劇/パレスチナ問題/聖地をめぐる争い/イスラーム復興の背景/法学者の統治/不幸な過剰反応/イスラーム復興の諸段階/新しいイスラーム的諸制度の模索/イスラーム民主主義/クルアーン解釈の革新など、304ページ。


仁子寿晴、「中世イスラーム哲学における様相論の展開-イブン=スィーナーからトゥースィーまで-」、『オリエント』、vol.40 no.1、1997、pp.103-123 [ < J-STAGE

中村廣治郎、『イスラム教入門』(岩波新書 538)、岩波書店、1998
イスラム世界と日本;イスラム教の呼称/イスラム教の広がり/日本人とイスラム教の関係//
イスラム教の歴史;イスラム発祥以前のアラビア/ムハンマドの宣教/イスラム共同体の理念/イスラム共同体の発展//
イスラム教の信仰;コーラン・テクストの成立/コーランの信条/イスラム神学の確立/イスラム哲学の発展//
イスラム教の実践;イスラム法とは/イスラム法の歴史/イバーダート(儀礼的規範)/ムアーマラート(法的規範)//
イスラム教の分派;スンニー派/ハワーリジュ派/シーア・12イマーム派/シーア・イスマーイール派/ドゥルーズ派/ヌサイリー派/アフマディー派//
イスラム教の神秘主義;スーフィズムの発生/スーフィズムの理論と実践/スーフィー教団の発展//
イスラム教の近代;イスラム教の覚醒/イスラム教の改革/伝統への回帰と近代への苦悩など、254ページ。

同じ著者による→こちらも参照


岩見 隆・大川京・木下 雄介・高田 康一・堀江聡訳、「アラビア語版『アリストテレスの神学』第七章」、『人文科学』、no.15、2000.5、pp.92-106 [ < KOARA(慶應義塾大学学術情報リポジトリ)

岩見 隆・大川京・木下 雄介・高田 康一・野元晋・堀江聡訳、「アラビア語版『アリストテレスの神学』序文・問題一覧」、『人文科学』、no.17、2002、pp.189-211 [ < KOARA(慶應義塾大学学術情報リポジトリ)

堀江聡訳、「アラビア語版『神学論攷』」、『人文科学』、no.17、2002、pp.157-187 [ < KOARA(慶應義塾大学学術情報リポジトリ)

『思想』、no.941、2002.9:「イスラーム」
思想の言葉 イスラームの未来をひらくもの(板垣雄三)/イスラームとは何か-啓典のテクストと解釈の革新-(小杉泰)/イスラームと近代性をめぐる言葉(デイル・F・アイケルマン)/イスラームにおける話すことと書くこと-人類学的視点から-(大塚和夫)/近代における「ムスリム社会」の変容-静寂から行動へ、国境を超える同胞意識の「再生」へ-(飯塚正人)/イスラームにおける聖性と聖者(ミシェル・ショドキェヴィッシュ)/神秘主義イスラームの現在-スーフィズムの三層構造論をもとに-(東長靖)/シーア派思想研究とその問題点-イスマーイール派研究の視点から-(菊地達也)/中国イスラームの精神世界-劉智の『五更月』について-(松本耿郎)/西アフリカにおけるイスラームの歴史的展開(坂井信三)/インドネシアにおけるイスラーム思想の展開(小林寧子)/戦時下回教研究の遺産-戦後日本のイスラーム地域研究のプロトタイプとして-(臼井陽)など、206ページ。

黒田壽郎、『イスラームの構造』、書肆心水、2004
序章;イスラームの三極構造-タウヒード・シャリーア・ウンマの有機的連関-/イスラームの社会形成の歴史//
タウヒード イスラームの世界観;タウヒードとは何か/等位性/差異性/関係性//
シャリーア イスラームの法(行動規範・社会経済運営);シャリーアとは何か/五行(
宗教的義務(イバーダート))/社会関係法と私的関係法//
ウンマ イスラーム共同体;ウンマとは何か/理想のウンマ-預言者と正統カリフの時代/国家の時代におけるウンマ/イスラームの都市空間//
終章//付録 イスラーム研究の道程など、416ページ。

同じ著者による→こちらも参照


塩尻和子、『イスラームの人間観・世界観-宗教思想の深淵へ』、筑波大学出版会、2008
イスラームの人間観と自然観;人間観/葬送/環境倫理/イスラーム的フェミニズムの地平//
啓示と理性;初期イスラーム神学とムウタズィラ学派/クルアーンの倫理/宗教倫理思想の枠組み/アシュアリーと獲得説/
クルアーンと「神の言葉」(Kalām Allāh)//
イスラームの世界観;クルアーンに見る世界の創造/新プラトン主義とイスラーム神学-プロティノスとアブー・フザイルの「一者論」/来世の復活と新しい創造/原子論的宇宙論-アシュアリーからジュワイニーまで//
ひとつの神と三つの宗教;ムウタズィラ学派の属性論にみる「神の唯一性」/イスラーム神学とキリスト教/イスラーム神学と「三位一体論」-アブドゥル・ジャッバールのキリスト教理解/共存のと対話の思想史//
イスラームの他宗教観;宗教多元主義とイスラーム/中世イスラームのインド仏教観/平和を作り出すために、など、334ページ。

いわゆるイスラーム神学の〈原子論〉については、本書「第3章4 原子論的宇宙論-アシュアリーからジュワイニーまで」(pp.183-205、初出:『宗教哲学研究』、no.22、2005)が、日本語で読めるものとしては今のところ一番まとまったものではないかと思われます。小見出しをあげておくと;
イスラーム神学の宇宙論/原子論と偶因論/アブー・フザイルの「原子」/偶有(‘araḍ)/不断の創造/バーキッラーニーの原子論/バーキッラーニーの不断の創造/ジュワイニーの原子論/人間観・社会観の基礎に

また先立つ「第3章3 来世の復活と新しい創造」は同じ著者による『イスラームの倫理 アブドゥル・ジャッバール研究』、2001、pp.240-249:第4章4「復活」の再録となります;
原子論的存在論/原子の最小単位/新しい創造

本書を見る前ですが、コルバンの『イスラーム哲学史』(1974)や井筒俊彦『イスラーム思想史』(1975、pp.69-73)などをネタに、アビダルマ仏教の刹那滅論やデカルトの連続創造説とあわせて、引きあいに出したことがありました→こちらや、そちら、またあちらを参照

また
中村廣治郎、"Harry A. Wolfson, The Philosophy of the Kalām Cambridge (Mass.): Harvard University Press, 1976, ps. xxvi, 779"、1978
中村廣治郎、『イスラムの宗教思想 ガザーリーとその周辺』、2002、pp.171-182:第3章3節「ガザーリーの偶因論」
青柳かおる、『イスラームの世界観 ガザーリーとラーズィー』、2005、pp.119-123:第5章2「神学的原子論の世界観」

加えて下掲
Shlomo Pines, Studies in Islamic Atomism, 1997
Alnoor Dhanani, The Physical Theory of Kalām. Atoms, Space, and Void in Basrian Muʿtazilī Cosmology, 1994
も参照

さらに

塩尻和子、"Daniel GIMARET, La doctrine d'al-Ash'arī  Paris, Les éditions du Cerf, 1990. 601 ps."、『オリエント』、vol.39 no.2、1996、pp。116-122 [ < J-STAGE

ついでにインドとギリシアの原子論の比較について→こちらも参照

以下、ともに『イスラームの人間観・世界観-宗教思想の深淵へ』(2008)にそれぞれ第3章2、第2章4として再録されていますが;

塩尻和子、「プロティノスとアブー・フザイルの『一者論』-新プラトン主義とイスラーム神学」、『哲学・思想論集』、no.27、2002.3.25、pp.75-96 [ < つくばリポジトリ (Tulips-R)

塩尻和子、「アシュアリー神学の位置づけ」、『宗教と倫理』、no.2、2002.10、pp.23-36 [ < 学会誌『宗教と倫理』宗教倫理学会

竹下政孝・山内志朗編、『イスラーム哲学とキリスト教中世 Ⅰ 理論哲学』、岩波書店、2011
序章 存在論と論理学のはざま(山内志朗)//
哲学の伝統;イスラームにおけるアリストテレス受容(高橋英海)/ヨーロッパにおけるアリストテレス受容(小笠原史樹)//
霊魂論;イブン・シーナーの魂論(木下雄介)/アリストテレス『魂について』をめぐる註解者たちの議論(中畑正志)//
真理論・認識論;イブン・シーナーの認識論(小村優太)/真理の開示の形式としての「スコラ的方法」-トマス・アクィナスの感情論を手がかりに-(山本芳久)//
存在論;イブン・シーナーの存在論(沼田敦)/アリストテレス存在論の系譜(山内志朗)//
〈討議〉誤訳の創造性-アリストテレスの受容と挫折-(竹下政孝・山内志朗)//人名小事典(山内志朗)など、348ページ。


竹下政孝・山内志朗編、『イスラーム哲学とキリスト教中世 Ⅱ 実践哲学』、岩波書店、2012
序章 ギリシア政治哲学のイスラーム政治哲学への影響-ファーラービーを中心にして-(竹下政孝)//
倫理思想・政治思想;イスラーム哲学における快楽論(斎藤修)/トマス・アクィナスの倫理学(桑原直己)/初期イスラーム思想における理性主義的人間観と宗教倫理-アブドゥル・ジャッバールのタクリーフ論-(塩尻和子)/オッカムの政治哲学(将基面貴巳)//
言語とアレゴリー;論理学は普遍的か-アッバース朝期における論理学者と文法学者の論争-(竹下政孝)/トマスの言語哲学(上枝美典)/イブン・シーナーの寓意物語(森下信子)/トロープからナラティヴへ-西洋中世におけるアレゴリーの展開-(松田隆美)//
〈討議〉宗教と政治-プラトン主義の受容とイスラームの法-(竹下政孝・山内志朗)//人名小事典(山内志朗)など、316ページ。


竹下政孝・山内志朗編、『イスラーム哲学とキリスト教中世 Ⅲ 神秘哲学』、岩波書店、2012
序章 神秘・言語・構造;イスラーム神秘主義における知の構造(竹下政孝)/言葉と神秘主義の関係(山内志朗)//
イスラームの神秘哲学;アラビア語一神教哲学によるプロティノスの改変に向けて(堀江聡)/イスラームのコスモロジー-流出論をめぐって-(青柳かおる)/イスマーイール派の神話(菊地達也)/イスマーイール派の預言者論-初期の新プラトン主義的学派を中心として-(野元晋)/存在一性論における存在-クーナウィーとトゥーシーの往復書簡を中心にして-(竹下政孝)//
ヨーロッパ中世の神秘思想;中世神秘主義における宇宙論-ビンゲンのヒルデガルトを中心に-(伊藤博明)/キリスト教神秘主義の源流と架橋-偽ディオニュシオス・アレオパギテスとエリウゲナ-(今義博)/中世における幻視と夢(細田あや子)/クザーヌスの神秘主義(八巻和彦)/ユダヤ神秘主義の源流-預言の終焉と「秘密」の解釈学-(手島勲矢)/真理を語る真理-マイスター・エックハルトの神秘的聖書解釈-(香田芳樹)//
〈討論〉神秘主義とは何か-スーフィズム・異端・グノーシス-(竹下政孝・山内志朗)//人名小事典(山内志朗)など、400ページ。


以上3冊、→こちらにも挙げています

堀川徹編、『知の継承と展開 イスラームの東と西 知のユーラシア 2』、明治書院、2014
総説 学知の継承と異文化との対話(堀川徹)/ユーラシアの知の伝達におけるシリア語の役割(高橋英海)/イスラーム思想におけるイラン的要素(矢島洋一)/イブン・スィーナーの思想世界 知的自伝を読む(小林春夫)/中央アジアの知の世界 イスラーム化の進展とティムール朝文化(堀川徹)/共生の思想としてのスーフィズム 聖者信仰と諸宗教の一致(東長靖→こちらも参照)/インドのイスラーム思想 修業論に見られるインド思想との交流(二宮文子)/イスラームと道教のアマルガム(中西竜也)/『清真釈疑』におけるムスリムの儒者批判(佐藤実)など、232ページ。

鎌田繁、『イスラームの深層 「遍在する神」とは何か』(NHKブックス 1233)、NHK出版、2015
はじめに//
イスラームとはどんな宗教か;啓示から聖典まで/ユダヤ教、キリスト教における「契約」/契約を引き継ぐイスラーム//
ムスリムは何に従うのか;神が預言者に下した言葉/預言者ムハンマドの言行/聖典を解釈する//
神をどうとらえるか;神を見ることはできない/一神教と多神教/イスラームによる先行宗教批判//
神秘家とその営み;「タサウウフ」と神秘主義/教友と禁欲家たち/神への愛から「汎神論」的神観へ/「私が神である」-バスターミーからハッラージュへ/神秘主義の「合法化」とは何か//
「唯一絶対の神」から「遍在する神」へ;なぜ「すべてが一つ」なのか-キリスト教の神概念との比較/スフラワルディーの照明哲学/イブン・アラビーと存在一性論/モッラー・サドラーの神秘哲学//
おわりに、など、288ページ。


松山洋平、『イスラーム神学』、作品社、2016
はじめに//
スンナ派概論 スンナ派正統神学派;救いにあずかる一派/スンナ派の構成学派/スンナ派の根本条件-三神学派の共通点/スンナ派三神学派の概要/三神学派の相互認識//
  「異端」の諸派;スンナ派における「異端」/ハワリージュ派/ムルジア派/擬人神観論者/カダル派(≒ムウタズィラ派)/シーア派//
スンナ派の信条-ナサフィー『信条』訳解 ナサフィー『信条』本文;ナサフィーの『信条』について/翻訳の方針/ナサフィー『信条』本文訳//
  ナサフィー『信条』訳解;解説の方針/知識論/世界/アッラー/人間の行為/死後の出来事/罪と赦し/信仰/使徒/天使/啓典/預言者ムハンマドの昇天/聖者/イマーム(カリフ)/異端の徒と区別されるスンナ派のいくつかの特徴/いくつかの不信仰について/「もの」の意味/死者への祈り/終末の前兆/ムジュタヒド/天使と人間の序列//
あとがき//
附録;ムスリム・マイノリティのためのイスラーム法学と神学など、522ページ。


中国のイスラームについて→こちらを参照
………………………

Shlomo Pines, translated from German by Michael Schwarz, edited by Tzvi Langermann, Studies in Islamic Atomism, The Magnes Press, The Hebrew University, Jerusalem, 1997
原著は Beiträge zur islamischen Atomenlehre, 1936
『イスラームの原子論研究』
(Y. Tzvi Langermann)//
カラームの原子理論;〈原子〉を示す諸語/原子と物体/諸原子の組成(Ta'lîf)/諸原子間の相互接触の可能性/ナッザームに対する論争と原子の存在証明/偶有(a‛râḍ)/因果律//
ラーズィーの原子理論;細目はこちら//
カラーム原子論の諸源泉;カラームとギリシアの原子理論/インドの原子の諸理論/ジャイナ教の原子理論/仏教の原子理論/ニヤーヤ=ヴァイシェーシカ学派の原子理論/インドの原子理論とカラーム//
附録;ジャフムとムウタズィラ学派/空虚の誘引力/シャフラスターニーとプラトーン/ラーズィーとデーモクリトス/空虚の二つの概念/磁力について/
kumûn の理論について/誓いについて、など、222ページ。

附録Gの表題にある"kumûn"は、「他の諸物体の内にある諸物体の存在、ただし潜在的な状態で」を指すとのこと(p.114)。
第1章「カラームの原子論」で扱われるのは、主としてムゥタズィラ派で、後のアシュアリー派のについては比較の対象として引きあいに出されるのみです。またそこでの、初期のムゥタズィラ派においては原子は拡がりを持たないとされたというテーゼは、

Alnoor Dhanani, The Physical Theory of Kalām. Atoms, Space, and Void in Basrian Muʿtazilī Cosmology, 1994, 第4章B中の"Shlomo Pines' analysis of kalām atomism"(pp.97-101)
が当時見ることのできなかった資料に基づき訂正を加えています。

こちらにも挙げました

Wilferd Madelung, Religious Schools and Sects in Medieval Islam, Varioum Reprints, London, 1985
『中世イスラームにおける宗教的諸派と諸分派』
スンナ派とムウタズィラ学派:
Abū ‘Ubaid al-Qāsim b. Sallām(224/839歿)の Kitāb al-īmām に反映された信仰に関する初期スンナ派教義(英語)/マートゥーリディー学派の拡大とトルコ人たち(英語)/フラーサーンとトランソクサニアにおける初期ムルジア派とハナフィー学派の拡大(英語)/Ar-Rāgib al-Iṣfahānī とガザーリーの倫理学(独語)/クルアーンの創造に関する論争の諸起源(英語)/初期ムウタズィラ学派」の異端誌:Ğa‘far b. ḤarbKitāb al-Uṣūl(独語)//
シーア派:a.イマーム・シーア派;細目はこちら//
シーア派:b.イスマーイール派;細目はこちら//
シーア派:c.ザイド派;細目はこちら//
二元論的な諸宗教;バルダイサン派マルキオーン派
Kantäerに関する Abū‘Īsā al-Warrāq(独語)など、332ページ(通しページなし)。

同じ著者による→こちらを参照


Ian Richard Netton, Allāh Transcendent. Studies in the Structure and Semiotics of Islamic Philosophy, Theology and Cosmology, Curzon Press, Richmond, 1989/1994
『超越的なるアッラー イスラーム哲学・神学・宇宙論の構造と記号論の研究』
序説;神の諸面/アレクサンドレイア/ゴンデーシャープール/ハッラーン/〈クルアーン的創造主パラダイム〉とイスラーム思想の構造//
アル・キンディー-門番;アル・キンディーの4つの顔/クルアーン的キンディーと神/アリストテレース主義者キンディーと神/ムウタズィラ派的キンディーと神/新プラトーン主義者キンディーと神/アル・キンディーによる神の存在証明/キンディー神学の宇宙-構造と意味論//
アル・ファーラービー-秩序の探索者;アスカロンへの道-人間とその探索/アル・ファーラービーと神の諸属性/本質と実存/流出/アル・ファーラービーによる神の存在証明/アル・ファーラービー主義の宇宙-構造の流出と流出の構造//
イブン・スィーナーの必然的にして愛される神性;準備的評価と定義/必然性と一性/アヴィセンナ的神性の他の諸属性/流出-イブン・スィーナーの宇宙論と天使論/イブン・スィーナーによる神の存在証明/アヴィセンナ的神性の神秘主義的次元/アヴィセンナ神学の構造-鏡としての寓意//
中世イスマーイール派の神-新プラトーン主義的主題についての宇宙論的諸変奏初期の教義/アル・ナサフィーと新プラトーン主義の浸透/アッ・スィジスターニーとイスマーイール派的新プラトーン主義の開花/アル・キルマーニーと位格の多重化/アル・ハーミディーと新プラトーン主義的神話の神化/イスマーイール派神話と神学の構造//
照明(イシュラーク)〉と〈一性論(ワフダ)〉-アッ・スフラワルディーとイブン・アル・アラビーの神秘主義的宇宙;アッ・スフラワルディーと〈照明〉の文法/光の神/スフラワルディー的流出、天使論と宇宙論/天使的光の経度的秩序
(Ṭabaqat al-Ṭūl)/天史的光の緯度的秩序(Ṭabaqat al-'Arḍ)/摂政・光(Al-Anwār al-Mudabbira)/イブン・アル・アラビーの逆説/イブン・アル・アラビーの神観/スーフィズム神との〈合一〉とイブン・アル・アラビー/スフラワルディー的記号過程とイブン・アル・アラビーによる実在の構造//
結論-超越の語彙-イスラーム神学のための記号論の理論へ向けて、など、398ページ。

同じ著者による→こちらや、またあちらも参照


Edited by Parviz Morewedge, Neoplatonism and Islamic Thought, (Studies in Neoplatonism: Ancient and Modern, vol.5), State University of New York Press, Albany, 1992
『新プラトーン主義とイスラーム思想』
序文
(R. Baine Harris)//序論(Parviz Morewedge)//
イスラーム的新プラトーン主義の文脈;
Kalām fīmahd al-khair (Liber de causis)の構造の批判的分析(Richard C. Taylor)/アヴィセンナ的新プラトーン主義の今日性(Joseph Owens, C. Ss.R)/いくつかのイスラーム神秘主義的教説の新プラトーン主義的構造(Parviz Morewedge)//
新プラトーン主義とイスラーム哲学;アヴィセンナにおける本質と普遍性
(Michael E. Marmura)/プラトーン、プローティーノスとアヴィセンナにおける自己知(Laura Westra)/イブン・スィーナーの流出論についてのアッ・ラーズィーとアッ・トゥースィー(Nicholas Heer)/アル・ファーラービー、流出と形而上学(Therese-Anne Druart)/イスマーイール派新プラトーン主義における普遍魂と個別の魂(Paul E. Walker)/イスマーイール派新プラトーン主義における霊的実体の身体的実体への変容(Mohamed A. Alibhai)//
新プラトーン主義とイスラーム神秘主義;アル・クーナウィーによる霊的上昇の円環
(William C. Chittick)/ナジュムッディーン・クブラーの哲学における〈一者〉への帰還(David Martin)/啓示と〈自然な〉神の知識(Vincent Potter)など、278ページ。

Seyyed Hossein Nasr, An Introduction to Islamic Cosmological Doctorines. Conceptions of Nature and Methods Used for Its Study by the Ikhwān al-Safā', Al-Bīrūnī, and Ibn Sīnā, Revised Edition, State University of New York Press, Albany, 1993
『イスラームの宇宙論的教説序論 イフワーン・アッ=サファー、アル・ビールーニー、イブン・スィーナーによる自然の諸概念とその研究のために用いられた方法』(改訂版)
序文
(H. A. R. Gibb)/序論//
プロローグ-イスラームと自然研究;宇宙論的科学とイスラームの啓示/イスラームの歴史における宇宙論的科学の研究/イスラームにおける知的諸次元と知識の探求者たちの階級//
イフワーン・アッ=サファー(純正同胞団) イフワーン・アッ=サファーの『書簡集(ラサーイル)』-その身元と内容;イフワーンと哲学/イフワーンの身元と意義/『書簡集』の諸典拠/『書簡集』の組織//
  宇宙の研究の原理と宇宙の階層;算術と幾何学のピュータゴラース的概念/存在の階層/神と宇宙の関係/普遍知性と普遍魂/質料/自然/諸天球と諸元素/時間、空間と運動/小宇宙と大宇宙の類比と存在の大いなる鎖//
  個別の宇宙論的科学;天文学と占星術/生成と壊滅の世界/気象学/地学と地誌/三つの王国//
  小宇宙と宇宙に対するその関係//
アル・ビールーニー 生涯、著作とアル・ビールーニーの意義//世界の創造とその後の歴史//
  自然の役割とその研究の方法;自然とその機能について/自然を研究するために用いられる方法//
  宇宙とその諸部分;諸天/月下界/人間と世界//
  占星術における天と地の婚姻;占星術の諸原理/アル・ビールーニーと占星術に対する彼の態度//
  哲学と学問に対するアル・ビールーニーの態度;イスラームにおける学問の役割//
イブン・スィーナー イブン・スィーナーの生涯と著作、その意義;イブン・スィーナーとイスラームの宗教//
  存在の解剖学;存在とその分極化/宇宙の生成/神と宇宙の関係//
  自然哲学の原理;形相と質料/運動/諸原因について/イブン・スィーナーと自然の研究//
  宇宙、人間とその関係;諸天/生成と壊滅の世界/小宇宙の組成/人間と宇宙の間の共感//
  自然と幻視的詳述;説話群の背景と設定//
結論//附録 占星術的諸象徴など、350ページ。

同じ著者による→こちらや、そちら、またあちらも参照


Alnoor Dhanani, The Physical Theory of Kalām. Atoms, Space, and Void in Basrian Muʿtazilī Cosmology, (Islamic Philosophy, Theology and Science. Txts and Studies, vol.XIV). E.J.Brill, Leiden, New York and Köln, 1994
『カラームの自然学的理論 バスラのムウタズィラ学派の宇宙論における原子、空間と虚空』
背景:カラームにおける自然学的理論;カラームと宇宙論/5/11世紀までのカラームの主な人物たちの歴史的粗描//
認識論、属性の理論と偶有の理論の概観;知られるものについてのイブン・マッタワイフの分類/バスラのムウタズィラ学派の知識論の概観/偶有とその固有性についてのバスラのムウタズィラ学派の理論//
原子、空間と虚空;原子とその空間占有/空間の理論/空虚な空間の実在//
最小の部分としての原子と物体の構成;空間的延長は偶有の組みあわせからは生じない/最小の部分としての原子/空間、時間と運動の最小の部分/最小の部分と3/9世紀における離散的幾何学//
バスラのムウタズィラ学派の原子論の認識論的基盤;知覚と原子/原子の一次的属性/原子の実在のための議論/原子論によって引き起こされる諸難点//
ヘレニズムとカラームの宇宙論;初期カラームと二元論者および自然哲学者たちの自然学的理論/5/11世紀までのカラームの自然学的理論の展開/エピクーロスの原子論とカラームの原子論:比較/初期カラームの原子論:再訪など、218ページ。


こちらそちら、またあちらでも挙げました

Edited by Seyyed Hossein Nasr and Oliver Leaman, History of Islamic Philosophy, (Routledge History of World Philosophies, vol.1). Routledge, London and New York, 1996/2001
『イスラーム哲学の歴史』
序論
(Oliver Leaman)/序論(Seyyed Hossein Nasr)//
宗教的、知的、文化的文脈;イスラームにおける哲学の意味と概念
(Seyyed Hossein Nasr)/イスラーム哲学の典拠と霊感源としてのクルアーンとハディース(Seyyed Hossein Nasr)/ギリシアとシリアという背景(F. E. Peters)/インドとペルシアという背景(Syed Nomanul Haq)/初期カラーム(M. Abdel Haleem)/イスラーム世界へのギリシア哲学の伝達(Yegane Shayegan)/スンナ派カラームと神学論争(James Pavlin)/12イマーム派の神学的・哲学的思想(Abbas Muhajirani)/イスマーイール派の哲学(Azim Nanji)/4/10世紀のイスラーム的人文主義(Oliver Leaman)//
東方における初期イスラーム哲学者たち;アル・キンディー
(Felix Klein-Franke)/アル・ファーラービー(Deborah L. Black)ムハンマド・イブン・ザカリッヤー・アル・ラーズィー(Lenn E. Goodman)/アル・アーミリー(Everett K. Rowson)/純正同胞団(イフワーン・アッサファー)(Ian Richard Netton)/イブン・スィーナー(Shams Inati)/イブン・スィーナーの〈東方哲学〉(Seyyed Hossein Nasr)/イブン・ミスカワイ(Oliver Leaman)/アル・ガザーリー(Massimo Campanini)//
イスラームの西方圏におけるイスラーム哲学者たち;イブン・マサッラ
(Lenn E. Goodman)/イブン・バーッジャ(Lenn E. Goodman)/イブン・トゥファイル(Lenn E. Goodman)/イブン・ルシュド(Dominique Urvoy)/イブン・サブイーン(Abu'l-Wafa al-Taftazani & Oliver Leaman)/イブン・カルドゥーン(Abderrahmane Lakhsassi)//
哲学と神秘主義的伝統;神秘主義的伝統への序説
(Seyyed Hossein Nasr)/アイン・アル・クダート・ハムダーニーと彼の時代の知的風土(Hamid Dabashi)/シハーブ・アッ・ディーン・スフラワルディー-照明学派の祖(Hossein Ziai)/照明学派の伝統(Hossein Ziai)/イブン・アラビー(William C. Chittick)/イブン・アラビーの学派(William C. Chittick)//
後期イスラーム哲学;フワージャ・ナシール・アッ・ディーン・アッ・トゥースィー-哲学者/高官、彼の時代の知的風土
(Hamid Dabashi)/アッ・トゥースィーからイスファハーン学派へ(John Cooper)/ミール・ダーマードと〈イスファハーン学派〉の創設(Hamid Dabashi)/ムッラー・サドラー-その生涯と著作(Hossein Ziai)/ムッラー・サドラー-その教え(Seyyed Hossein Nasr)/シャー・ワリーウッラー(Rahimuddin Kemal & Salim Kemal)//
イスラームの文化世界におけるユダヤ哲学の伝統;→細目はこちら//
哲学とその諸部門;形而上学
(Charles Genequand)/論理学(Shams Inati)/認識論(Sari Nuseibeh)/政治哲学(Hans Daiber)/文学(Shams Inati & Elsayed Omran)/言語学(Shukri B. Abed)/科学(Osman Bakar)/神秘主義(Mahmud Erol Kiliç)/倫理学(Daniel H. Frank)/美学(Salim Kemal)/法学(Norman Calderl)//
後代の伝達と解釈;中世キリスト教・ユダヤ教ヨーロッパ
(John Marenbonl)/近代西洋哲学(Catherine Wilson)/詩的媒体-ある事例研究(Branko Aleksić)//
近代イスラーム世界におけるイスラーム哲学;ペルシア
(Mehdi Aminrazavi)/インド(Hafiz A. Ghaffar Khan)/パキスタン(M. Suheyl Umar)/アラブ世界(Ibrahim M. Abu-Rabi')/エジプト(Massimo Campanini)/トルコ(Mehmet Aydin)/東南アジア(Zailan Moris)//
西洋におけるイスラーム哲学の解釈;オリエンタリズムとイスラーム哲学
(Oliver Leaman)アンリ・コルバン-その著作と影響(Pierre Lory)/ロシアとソヴィエト連合におけるイスラーム哲学(Alexander Knysh)/イスラームのある哲学の可能性(Shabbir Akhtar)//
書誌;書誌的情報源へのガイド
(Oliver Leaman)など、1232ページ。

Steven M. Wasserstrom, Between Muslim and Jew. The Problem of Symbiosis under Early Islam, 1995

Sous la direction de Mohammad Ali Amir-Moezzi, Le voyage initiatique en terre d'Islam. Ascensions célestes et itinéraires spirituels, (Bibliothèque de l'École des Hautes Études. Section des sciences religieuses, vol.CIII), Institut Français de Recherches en Iran, Peeters, Louvain-Paris, 1996
『イスラームの地における通過儀礼としての旅 天的上昇と霊的道程』
序文
(Roger Arnaodez)//
西欧の研究におけるクルアーン17、〈
夜の旅(イスラー)〉 伝承の批評からテクストとしてのクルアーンへ(Cl. Gillot)/イスラームにおける初期の神学的思弁における〈昇天(ミウラージュ)〉と神の幻視(J. van Ess)/夜の旅についてのラーズィーの註釈(G. Monnot)/〈昇天(ミウラージュ)〉のただ中で、挿入されたハディース(D. Gomaret)/「我、ムハンマド、預言者にして神の使者」(J.-P. Guillaume)/天のイマーム 上昇と通過儀礼(12イマーム派イマーム論の諸相Ⅲ)(M. A. Amir-Moezzi)/イスマーイール派の何人かの著述家における霊的上昇(Y. Marquet)ヌサイリー派グノーシス主義の天的上昇と預言者ムハンマドの夜の旅(M.M. Bar-Asher et A. Kofsky)/アル・キンディーの『魂についての論説』による救済の類型論(J. Jolivet)/イブン・トゥファイルにおける観想的幻視の経験と物語の形式(A. Elamrani-Jamal)/アヴィセンナ、アル・コシェイリとムハンマドの梯子の話(C.-H. Fouchécour)/ペルシア語の me'rāğiyye(N. Mayel-Heravi)/神の言葉から神の幻視へ-古典的スーフィーのクルアーン註釈におけるムハンマドの天の旅(G. Böwering)/アブー・ヤズィード・バスターミーの〈昇天(ミウラージュ)(P. Lory)/終わりのない旅(M. Chodkiewicz)/スィムナーニーにおけるイブン・アラビーの〈二重の梯子〉(H. Landolt)/シーラーズのルーズビハーン・バクリーの昇天における言葉の梯子(P. Ballanfat)/ナクシュバンディー教団のスーフィーたちにおける〈祖国での旅〉safar dar waṭan)(Th. Zarcone)Qadam-Bosī、インド・スーフィズムにおける師の足下での旅(D. Matringe/精霊の声と音楽の隠された顔(J. During)など、386ページ。

監修者による著書として→こちらも参照

ミウラージュについては後掲の

青柳かおる『イスラームの世界観 ガザーリーとラーズィー』(2005)、「第8章 ラーズィーの宇宙論と神秘主義-ミゥラージュ解釈」
や、前掲の
ヨアン・P・クリアーノ、『霊魂離脱(エクスタシス)とグノーシス』、2009、「第9章 玉座の神秘学からミウラージュ伝説へ」
も参照。また、

ボルヘス、ゲレロ、柳瀬尚紀訳、『幻獣辞典』(1974)、p.45;「ブラク」

David Cook, Studies in Muslim Apocalyptic, (Studies in Late Antiquity and Early Islam 21), The Darwin Press, Inc., Princeton, New Jersey, 2002
『ムスリムの黙示文学研究』
ムスリムの黙示文学序論//
歴史的黙示録;黙示録へ導く支配者たちと出来事の作品/
A'māq 作品群/キリスト教諸国への侵略/キリスト教諸国の対抗侵略/エジプトの試練/トルコの侵略//
メタ歴史的黙示録;ダッジャールとイエス/ユダヤのダッジャールと西方に囚われたダッジャール ユダヤのダッジャール:イブン・サッヤード、西方に囚われたダッジャール/〈ダーッバ〉/スフヤーニー//
メシアニズム的作品群;東方より来るメシア/ヒジャーズより来るメシア/メシアによる征服/メシア、エルサレムの王/ヤージュージとマージュージ(ゴグとマゴグ)//
シーア派の黙示文学;メシア像 メシア像の描写、出現と権力への道、メシアの時代/議論の余地のある人物たち/敵たち/結論//
倫理的黙示録;政体への態度/宗教的体制への態度/諸都市への態度//
クルアーン、タフシールと黙示文学の相互作用;クルアーン的黙示文学/クルアーンと黙示文学/タフシールと黙示文学 初期(100-300/718-912)、中期(300-700/912-1300)、後期(700-1300/1300-1882)/シーア派の註釈/結論//
ムナーディーとサーリフ//ムスリムの黙示文学についての結論的試論//
附録 1 ムスリムの黙示録選集;倫理的黙示録/諸週の黙示録/ウマイヤ朝とアッバース朝についての政治的黙示録/〈フィタン〉につての黙示録/歴史的・メシアニズム的黙示録/クラーサーンの託宣/占星術的・天文学的黙示録/世界の終わりのある描像//
附録 2 マフディーの一党とその所在//附録 3 ムスリムの黙示文学文献におけるクルアーンの引用など、482ページ。


Aaron W. Hughes, The Texture of the Divine. Imagination in Medieval Islamic and Jewish Thought, 2004

Edited by Todd Lawson, Reason and Inspiration in Islam. Theology, Philosophy and Mysticism in Muslim Thought. Essays in Honour of Hermann Landolt, I. B. Tauris Oublishers, London & New York in association with The Institute of Ismaili Studies, London, 2005
『イスラームにおける理性と霊感 ムスリム思想における神学、哲学と神秘主義 ヘルマン・ランドルト記念論集』
序論
(Todd Lawson)/ヘルマン・ランドルト著作書誌(Todd Lawson)//
古典的イスラーム;魂の〈五つの肢体〉-イスラームの装いのマニ教的モティーフ?
(Karin Douglas Crow)/アル・ワーキディーの Kitāb al-maghādī における語りの主題と仕掛け(Donald P. Little)/12イマーム派における〈タキーヤ〉の勃興と衰退(L. Clarke)/アル・ジュナイド(298/910没)による〈ワラーヤ〉(Ahmet T. Karamustafa)/アル・ファーラービーの『調和論』の重要性-その政治的射程(Fabienne Pironet)/アル・ファーラービー、イブン・スィーナーとイブン・トゥファイルにおける宗教の哲学(Paul E. Walker)/宗教的シーア派と初期スーフィズム再訪-4/10世紀の「聖者と若い弟子」の対話(James Winston Morris)/アル・カーディー・アル・ヌウマーンと〈隠れているもの(バーティン)〉の概念(Bulbul Shah)/アル・キルマーニー(411/1021以後に没)による知識の概念(Faquīr Muḥammad Hunzai)/他の宗教についての初期イスマーイール派の見解-アブー・ハーティム・アッ・ラーズィー(322/934頃没)の Kitāb al-Iṣlāḥ からの一章(野元晋)/イブン・スィーナーの Qaṣīdat al-Nafs のイスマーイール派による解釈(Wilferd Medelung)Āyat al Nūr -我々は何処から来たのか、何なのか、何処へ行くのか、についての隠喩(Soraya Mahdi Hajjaji-Jarrah)//
中世のイスラーム;アル・ガザーリーを読む-心理学の場合
(Peter Heath)/アフマド・アル・ガザーリー、タブリーズで「証言をする」の物語(シャムス・イ・タブリーズィーの shāhid-bāzī への関心)(Nasrollah Pourjavady)/シハーブ・アッ・ディーン・スフラワルディー(587/1191没)の著作における理性(アクル)と直接的な直観(ムシャーハダ)(Roxanne D. Marcotte)/外延としての身体についてのアッ・スフラワルディー-プラトーンからライプニッツにいたる質料=形相主義への代案(John Walbridge)Miʿrāj al-kalimaRisāla Qushayriyya から Futūḥāt Makkiyya (Michel Chodkiewicz)/中世イスラーム思想へのアッ・シャフラスターニーの寄与(Diana Steigerwald)/イスラームの宇宙論の今日性-アフダル・アッ・ディーン・カーシャーニーの哲学についての省察(William C. Chittick)/直観の科学と霊感の豊かさ-ジャーミーの Nafaḥāt al-uns におけるナジュム・アッ・ディーン・クブラー(Elizabeth Ross Alexandrin)/13世紀の出典からのナジュム・アッ・ディーン・クブラーとラディー・アッ・ディーン・アリー・ラーラーについての二つの話-ランプールのラザ図書館蔵の手写本についての覚書(Devin DeWesse)/存在についてのイブン・スィーナーとマイスター・エックハルト(Etin Anwar)/中世イスラームの夢判断における神の幻視(Pierre Lory)/クブラウィー・スーフィズムにおける霊的な旅(Leonard Lewisohn)/神秘主義哲学の伝達についての覚書-アブダ・アル・ワッハーブ・アッ・シャウラーニーによるイブン・アラビー(Richard J. A. McGregor)//
前近代のイスラーム;シャー・ターヒルと二ザール・イスマーイール派の偽装
(Farhad Daftary)/シャイフ・アフマド・シルヒンディーと楽園の神秘主義的意義の問題についての覚書(Abdollah Vakily)/師と弟子たちの目をとおして見た中央アジアにおけるナクシュバンディー・ムジャッディディー・スーフィー教団の興隆(1010年代-1200年代/1600年代-1800年代)(Sajida S. Alvi)/「〈解釈(タアウィール)〉の闘士」 アリーについてのモッラー・サドラーの詩(12イマーム派イマーム論の諸相Ⅸ)(Mohammad Ali Amir-Moezzi)/ファイド・アル・カーシャーニーの〈ワラーヤ〉-シーア派イマーム論と神秘主義の合流(鎌田繁)//
近代のイスラーム;ファラオの信仰-イスラーム神学における論争問題
(Eric Ormsby)/ジュナイドの8つの規則-イスラーム・デルヴィーシュ教団の創設と発展の概観(Bernd Radtke)/グノーシスの交響楽-イスマーイール派ジナーン伝承の自己定義(Shafique N. Vīrani)/19世紀イランにおける政府に対する〈ウラマー〉の態度(Ahmad Kazemi Moussavi)/近代の思潮を参照したイランの伝統的哲学(Mehdi Mohaghegh)/近代化と西洋化の痕跡?後期のブハラ年代記に関する比較論的考察(Bert G. Fragner)など、574ページ。

以下、Encyclopædia Iranica より;

I. K. Poonawala, ‘APOCALYPTIC ii. In Muslim Iran
「黙示文学 2. ムスリムのイランにおける」

Gerhard Böwering, ‘ʿERFĀN (1)
「イルファーン(イスラームの神智学)」

Hossein Ziai, ‘ILLUMINATIONISM
「照明主義」

Gernot Windfuhr, ‘JAFR
「ジャフル」

こちらにも挙げておきます

iii. スーフィズムなど

ここまででも井筒俊彦『イスラーム思想史』(1975)の「第2部 イスラーム神秘主義(スフィズム)-Taṣawwufや竹下政孝・山内志朗編『イスラーム哲学とキリスト教中世 Ⅲ 神秘哲学』(2012)の「Ⅰ イスラームの神秘哲学」をはじめとして、スーフィズムを扱った章はけっこう出てきており、またこの後も「ix. 個々の著述家など」の項でガザーリーイブン・アラビーなどなどを見ることになりますが、それ以外に;

中村廣治郎、「思想史的観点からみた東西文化交流の問題点-スーフィズムの起源をめぐって-」、『オリエント』、vol.13 no.3・4、1970、pp.153-170 [ < J-STAGE

鎌田繁、「サッラージュの神秘階梯説」、『オリエント』、vol.20 no.1、1977、pp.1-15 [ < J-STAGE

小田淑子、「ルーミーにおける fanā' と baqā'」、『オリエント』、vol.20 no.1、1977、pp.79-94 [ < J-STAGE

R.A.ニコルソン、中村廣治郎訳・解説、『イスラムの神秘主義』(オリエント選書 3 )、東京新聞出版局、1980
原著は Reynold A. Nicholson, The Mystics of Islam, 1914
序章[スーフィズムの本質と起源]/道/照明とエクスタシー/霊知/神の愛/聖者と奇蹟/合一の境地//解説など、204ページ。

R.A.ニコルソン、中村潔訳、『イスラーム神秘主義におけるペルソナの理念』、人文書院、1981
原著は Reynold A. Nicholson, The Idea of Personality in Sufism, 1922
序詞(井筒俊彦)//
序/第1講/第2講/第3講//
訳者後記;「スーフィズム」 Sufism という語の起源/スーフィー出現の時代的背景/スーフィー出現の要因/スーフィズム成立のための外来的諸影響/愛の神秘主義/愛の超越/律法とスーフィズム/ルーミーをめぐって、など、232ページ。


ラレ・バフティヤル、竹下政孝訳、『スーフィー イスラムの神秘階梯 イメージの博物誌 16』、平凡社、1982
原著は
Laleh Bakhtiar, Sufi - Expression of the Mystic Quest, 1976
訳者解説-スーフィズムを旅する;イスラムの中心へ向かう道/スーフィズムの歴史/現代におけるスーフィズム/イブン・アラビーと存在一性論//
神秘的表現の理由 序//スーフィズムの起源//
  包含するものと、包含されたるもの;存在一性論/普遍的プロトタイプ//
  創造-下降の弧;創造の理由/創造の方法/創造のあり方//
  人間の魂;感覚的構造/心霊的構造/精神的覚醒/相反物の収束//
  探求-上昇の弧;精神的方法/精神的徳目//
  象徴学;普遍的な象徴と特殊な象徴//
神秘的表現のあり方 神への旅;覚醒/呼び声/収束/入門と唱名/導師/門と橋/危機/方向づけ//
  神の中への旅;神の御名において/宇宙的象徴/心理的象徴/宗教的象徴//
  神による旅;変容の象徴//
神秘的表現の方法[資料図版];精神的隠棲-ハルワ/旅の段階/精神的状態-アフワール/精神的階梯-マカーマート/臨在-ハドラート/数学と幾何学-イルム・アルアーダード、ハンダサ/建築と音楽 一般的形体、空間的連結の構造、リズムとシンメトリー/神秘師/文字の科学-イルム・アルアブジャド/神秘的な夢-ルーヤー/宇宙論および霊的天文学など、140ページ。


『イメージの博物誌』シリーズについて→こちらを参照

井筒俊彦、「スーフィズムと言語哲学」、『意味の深みへ』、1985、pp.197-237

東長靖、「マムルーク朝期のタサウウフの位置をめぐる一考察-イブン・タイミーヤの神秘主義哲学批判を中心として」、『オリエント』、vol.33 no.1、1990、pp.64-79 [ < J-STAGE

同じ著者による→こちらも参照

東長靖、「神秘主義イスラームの現在-スーフィズムの三層構造論をもとに-」、『思想』、no.941、2002.9:「イスラーム」、pp.119-135
イスラームの二つのベクトル//スーフィズム研究の現在;スーフィズム・タリーカ・聖者信仰複合現象/スーフィズム像をめぐって//スーフィズムの思想史//近現代スーフィズム;スーフィズムへの批判/スーフィズムと諸潮流/普遍的神秘主義とスーフィズム//スーフィズムの現在と未来

イドリース・シャー編著、美沢真之介訳、『スーフィーの物語 ダルヴィーシュの伝承』(mind books)、平河出版社、1996
原著は Idries Shah, Tales of the Dervishes, 1967
82話を収録、376ページ。

ちなみに「訳者あとがき」によると、「ビル・ヴィオラというアメリカ人のビデオ・アーティストが日本にやってきたとき、彼が私の奥さんにプレゼントしたのが、この本
Tales of the Dervishesだった。1979年1月23日のサインがある」とのこと(p.372)。

イドリース・シャー、久松重光訳、『スーフィー 西欧と極東にかくされたイスラームの神秘』、国書刊行会、2000
原著は Idries Shah, The Sufis, 1964(部分訳、「紙幅の都合上、4章を割愛した。1章は、『アラビアン・ナイト』の英訳者であるリチャード・バートンの詩集『カシーダ』を論じたもの、もう2章は、シャー自身の創作した寓話風の挿話、そして他の1章は、『師、教え、弟子』というタイトルのついた章であるが、全体の論旨への影響はあまりないものと訳者は判断して、割愛することにした」とのこと、p.457)
序論(ロバート・グレイブス)//
情況/背景 Ⅰ 旅人と葡萄/背景 Ⅱ 闇のなかの象/ムーラ・ナスルッディーンの微細なるもの/シーラーズの導師サアディー/薬剤師、ファリードッディーン・アッタール/
我らが師(マウラーナ)、ジャラールッディーン・ルーミー/イブン・アラビー:最も偉大な導師/ペルシアのガザーリー/ウマル・ハイヤーム/秘密言語 Ⅰ 炭焼きたち(コールメン)/秘密言語 Ⅱ 建築家たち/秘密言語 Ⅲ 哲学者の石/西欧の謎 Ⅰ 奇妙な儀式/西欧の謎 Ⅱ 騎士道的社会/西欧の謎 Ⅲ 智恵の(かしら)/西欧の謎 Ⅳ アッシジの聖フランチェスコ/西欧の謎 Ⅴ 秘密の教え/デルヴィーシュの書物/デルヴィーシュの教団/愛の信条/奇跡と魔術/極東/注釈など、474ページ。

ファリード・ドゥッディーン・ムハンマド・アッタール、藤井守男訳、『イスラーム神秘主義聖者列伝』、国書刊行会、1998
「本書は、西暦12世紀後半から13世紀前半のペルシア文学を代表する神秘主義詩人、ファリード・ドゥッディーン・ムハンマド・アッタール Farid al-Din Muhanmad Attar が散文で残した『神秘主義聖者列伝』 Tazkirat al-Auliya のペルシア語原典からの抄訳である…(中略)…アッタールの著書と銘打つ以上、本書も、ほぼ確実にアッタールの筆になるとされる部分の72項目に絞って翻訳の対象とした。とはいえ、シーア派第6代イマーム、ジャアファル・アッ・サーディクに始まりハッラージに至る72人の『聖者』に関する記述をすべて翻訳の対象とするには無理があるので、本書では、イスラーム神秘主義とともに、とりわけ、ペルシア文学との関連で重要と思われる『聖者』14人を選び出し、それぞれの『聖者』に関する内容も訳者の判断で取捨選択して翻訳した」とのこと(pp.3-4)。
アッタール自序/ハサン・バスリー/ラービア・アダヴィーア/イブラーヒーム・アドハム/ズン・ヌーシ/バーヤズィード・バスターミー/シャキーク・バルヒー/サフル・ビン・トスタリー/マアルーフ・カルヒー/サリー・イェ・サカティー/ユースフ・ビン・ホセイン/ジュナイド・バグダーディー/アブル・ホセイン・ヌーリー/ムハンマド・ビン・アリー・ティルミズィー/ホセイン・マンスール・ハッラージ//解説など、396ページ。


アッタール、黒柳恒男訳、『鳥の言葉 ペルシア神秘主義比喩物語詩』(東洋文庫 821)、平凡社、2012
「底本にはサーデク・ゴウハリーン Ṣādeq Gouharīn 校訂 Manṭiq al-Ṭayr (Teheran, 1963)を用いた。底本のうち、序章(神への讃美、預言者・カリフへの讃辞等)と終章は省き、本文を全訳した」とのこと(p.3)。
書の初め//鳥たちの集合・会議;ヤツガシラの発議/スィーモルグの話/サヨナキドリの話/オウムの話/クジャクの話/アヒルの話/ヤマウズラの話/ホマーの話/タカの話/アオサギの話/フクロウの話/ゴシキヒワの話/他の鳥たちの話/ヤツガシラの応答//
シェイフ・サムアーンの物語//鳥たちとヤツガシラの問答//
谷の描写;探求の谷/愛の谷/霊知の谷/自立の谷/唯一性の谷/驚愕の谷/清貧と自我消滅の谷//
スィーモルグの御前の
三十羽の鳥(スィー・モルグ)//解説など、318ページ。

本書について知ったのはおそらく、澁澤龍彦、『思考の紋章学』、1977、「円環の渇き」ではなかったかと思います(pp.193-195 )。
そこで澁澤が仲介者として名を挙げているのがボルヘスですが、ホルヘ・ルイス・ボルヘス、『伝奇集』、1975 所収の「アル・ムターシムを求めて」で引きあいに出されていたり(pp.41-42)、ボルヘス、、ゲレロ、柳瀬尚紀訳、『幻獣辞典』(1974)、「シムルグ」(pp.188-189)でも言及されており、他にもあるかもしれません。


ミシェル・ショドキェヴィッシュ、今松泰訳、「イスラームにおける聖性と聖者」、『思想』、no.941、2002.9:「イスラーム」、pp.86-118
原著は Michel Chodkiewica, “La sainteté et les saints en Islam”, édition par H. Chambert-Loir et C. Guillot, Le culte des saints dans le monde musulmane, 1995, pp.13-32
訳者解題//聖性の性質、形態、機能/裁かれる聖者

赤堀雅幸・東長靖・堀川徹編、『イスラームの神秘主義と聖者信仰 イスラーム地域研究叢書 7』、東京大学出版会、2005
スーフィズム・聖者信仰複合への視線(赤堀雅幸)//
聖者信仰;聖者信仰研究の最前線-人類学を中心に(赤堀雅幸)/ガザーと聖者、その記述と観念-エヴリヤ・チェレビーの『旅行記』から(今松泰)/バングラデシュのマイズバンダル教団における血縁的系譜と霊的系譜(外川昌彦)//
タサウウフ;タサウウフ研究の最前線-思想研究の立場から(東長靖→こちらも参照)/神秘主義の聖者とイマーム派のイマーム(鎌田繁)/ネオ・スーフィズム論争とその射程(大塚和夫)//
タリーカ;タリーカ研究の現状と展望-道、流派、教団(堀川徹)/タリーカにおける世襲の問題(矢島洋一)/西アフリカのタリーカと社会変動下の集団編成(坂井信三)//
サイイド・シャリーフ;サイイド・シャリーフ研究の現状と展望(森本一夫)/シャリーフィズム、象徴、歴史(A.セブティ)/北インド・ムスリム社会のサイヤド-カーストとイスラームのはざまで(小牧幸代)//
付録;イスラーム世界の主な聖者廟一覧/タサウウフ史チャート/主なスーフィー一覧/スーフィーの主な道統(スィルスィラ)/主要タリーカ一覧など、356ページ。


シャイフ・ハーレド・ベントゥネス、中村廣治郎訳、『スーフィズム イスラムの心』、岩波書店、2007
原著は Cheikh Khaled Bentounès, Bruno and Romanna Solt, Le soufisme, cœur de l'Islam, 1996
はじめに(クリスリアン・デロルム)/序(ブルーノ・ソルト/ロマーナ・ソルト)//
徒弟時代;ザーウィヤの教育的役割/公立学校/伝統的教育/ヨーロッパへの逃避/活動的生活の始まり/霊的生活と物質的生活/霊的力/父の死/継承と変化//
スーフィーの伝統;スーフィズムとイスラム/タサウウフの起源/ムハンマド、預言者にして使徒/黄金時代/誓約/普遍的人間/積極的な道/ジハード、大いなる聖戦/コーランのメッセージ//
導師と弟子;伝統の相続人/伝達/内的変容/導師の役割/行為と不行為/旅人の内的革命/さまざまな学派/導師の本質/導師との出会い/弟子の決定/弟子の資質/厳しい禁欲の行//
イスラムの五柱;信仰告白/礼拝の意味/断食/ザカート/巡礼//
進歩の三つの段階;世界の新しい知覚//
霊的修練;霊的修練の目的/浄化/生活の秩序づけ/労働は祈りである/試練/神を愛すること/神の名前/独居/霊的ダンス/導師を欠いた実践の危険性/マジュズーブ/教団内の同胞愛//
男性と女性;原初の夫婦/不服従/創造の諸段階/生命、神の賜物/最初の入門/女性の役割/伝統の護持者/アリフとバー/中庸の道/愛//
神的時間;神的現在/神は永遠である/原初の人間/物象化された時間/円周と中心/バスマラ/内的生活//
真実の瞬間;移行/死への準備/最後の旅/最後の言葉/霊的死/私たちの運命はあのお方にのみ属す/バルザフ・楽園・地獄/輪廻/死の恐怖//
結論//シャイフ・アラウィーの詩抄;愛のグラス/おお、私に問いかけるあなたよ/私の中に住み給うあなた/おお、秘密を求めるものよ、己を棄てよ/愛は私を奴隷にする/照明の歌/おお、私の最愛のお方/ズィクルはすべての善の原因/おお、ムハンマドよ、創造主はあなたを選び給うた/涙が溢れるように流れる/消えたあの人びと/おお、弟子よ、お前に勝利あれ!/視力は圧倒された/知恵の言葉//
訳者解説など、270ページ。

「本書は、アルジェリアに本部をもつスーフィー教団であるアラウィー教団のシャイフ(導師)、ハーレド・ベントゥネス師が自らの半生と現代のさまざまな問題に関連して、自らの哲学を述べたものである」(訳者解説、p.235)。
なお、アラウィー教団はシャイフ・アフマド・イブン=ムスタファー・アラウィー(1869-1934)を開祖とするもので(訳者解説、pp,240-241)、シーア派グラートのアラウィー/ヌサイリー派(→こちらを参照)とは別のものです。


アラウィー教団の創設者シャイフ・アラウィーの弟子の一人フリッチョフ・シュオン(1907-1998)について;

中村廣治郎、「イスラムのスピリチュアリティ?-フリッチョフ・シュオンの人と思想-」、鶴岡賀雄・深澤英隆編、『スピリチュアリティの宗教史[下巻] 宗教史学論叢 16』、リトン、2012、pp.303-329
シュオンの生涯/シュオンの「永遠の哲学」/スピリチュアリティと「伝統」-むすびに代えて

二宮文子、「南アジアのペルシア語神秘主義文献『神秘の鉱脈』」、『イスラム文化研究』、no.99、2011.6.30、pp.113-127 [ < 東京外国語大学学術成果コレクション

同じ著者による→こちらを参照
その『知の継承と展開 イスラームの東と西 知のユーラシア 2』、2014、p.175 では近藤信彰編、『ペルシア語文化圏史研究の最前線』、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所、2011、pp.113-127 となっています。
内容については、「『神秘の鉱脈』の文献情報と、世界生成論を扱った論考」とまとめられています。
そこには神がまず使徒(ムハンマド)の魂、次いで心の光を創造し、心の光の創造が98万年の長さで、38万年がその広がりであったこと、90万年の間神が心の光を掌の中で育み、その後別離してから90万年心の光が幻惑界に留まったことなどが記されています(p.123、またpp.121-122 も参照)。
こちらにも挙げておきます

東長靖、『イスラームとスーフィズム 神秘主義・聖者信仰・道徳』、名古屋大学出版会、2013
序章//
スーフィズムへの視座;スーフィズム研究の歴史と潮流/スーフィズムの分析枠組-三極構造論/スーフィズムの歴史//
神秘主義としてのスーフィズム-存在一性論学派を中心に;イブン・アラビーと存在一性論学派/存在一性論学派の顕現説における「アッラー」の階位-カーシャーニーとジーリーを中心として/存在一性論学派における存在論と完全人間論-ジーリーを中心に/存在一性論学派の地域的展開と地域的偏差//
民間信仰としてのスーフィズム-聖者信仰をめぐって;イスラーム聖者の二系列-スーフィー聖者と非スーフィー聖者/イスラームの聖者論と聖者信仰-イスラーム学の伝統のなかで//
イスラームのなかのスーフィズム-その位置づけをめぐって;マムルーク朝初期のタサウウフの位置づけ-イブン・タイミーヤの「スーフィズム」批判を中心として/マムルーク朝末期におけるタサウウフをめぐる論争-ビカーイー・シユーティー論争を中心に/スンナ派とスーフィズム-ワッハーブ派への反批判をめぐって//
終章 「多神教」的イスラーム-スーフィー・聖者・タリーカをめぐって、など、314ページ。

同じ著者による→こちらや、そちらや、あちら、またこなたに、そなたを参照


なお、
井筒俊彦訳、『ルーミー語録』(イスラーム古典叢書)、岩波書店、1978
後に
『井筒俊彦著作集 11』、中央公論社、1993
に所収となりますが、いずれもやたら高くなっているので、手もとになし。
………………………

Ian Richard Netton, Ṣūfī Ritual. The Parallel Universe, (Curzon Sufi Series), Curzon, Richmond, Surrey, 2000
『スーフィーの儀礼 平行宇宙』
序論//聖なるものの地図を作る 1:ニーマトゥッラーヒー教団;起源/儀礼と実践/組織と位階/通過儀礼/生活の規則/典礼/〈ズィクル〉と〈サマーウ〉/〈フィクル〉/〈ムラーカバ〉/〈ムシャーハダ〉/〈ウィルド〉//
聖なるものの地図を作る 2:ナクシュバンディー教団;起源/儀礼と実践/組織と位階/通過儀礼/生活の規則/典礼/〈ズィクル〉/〈サマーウ〉/〈ムラーカバ〉と〈ラービタ〉/〈スフバ〉/〈ウィルド〉//
聖なるものの覆いをとる 1:五行;神学/現象学/人間論/記号論//
聖なるものの覆いをとる 2:スーフィーの儀礼の平行宇宙;神学/現象学/人間論/記号論//
異化されたスーフィー?;儀礼的逆説としての異化/異化/〈ファナー〉/楯としての儀礼/異化としての儀礼/スーフィーの異化の範例など、232ページ。

同じ著者による→こちらや、またあちらも参照


Bernd Radtke and John O'Kane, The Concept of Sainthood in Early Islamic Mysticism. Two works by Al-Ḥakīm Al-Tirmidhī, Routledge Curzon, London and New York, 1996
『初期イスラーム神秘主義における聖者性の概念 ハキーム・ティルミズィーの2つの作品』
序論;ハキーム・ティルミズィーの生涯/ティルミズィーの著作/イスラームの知的歴史におけるティルミズィーの位置/神との親交/両テクストについて//
『テルメズの神智学者の自伝
Badʾ shaʾn Abī ʿAbd Allāh Muḥammad al-Ḥakīm Al-Tirmidhī 』//
『ハキーム・ティルミズィー:神の友人たちの生涯
Kitāb Sīrat al-awliyāʾ 』 余論;知識の理論/霊//
附録など、294ページ。

目次にある2つの著作の註釈付き英訳。ハキーム・ティルミズィー(820-30の間~905-10の間)は現在のウズベキスタン、テルメズ(ティルミズ)に生まれた初期のスーフィー。

アッタール、藤井守男訳、『イスラーム神秘主義聖者列伝』、1998、pp.327-340:「ムハンマド・ビン・アリー・ティルミズィー」
も参照
こちらにも挙げています


こちらも参照;

M. ヘーダエートゥッラ、宮元啓一訳、『中世インドの神秘思想 ヒンドゥー・ムスリム交流史』、1981

二宮文子、「インドのイスラーム思想 修業論に見られるインド思想との交流」、『知の継承と展開 イスラームの東と西 知のユーラシア 2』、2014、pp.155-175
研究の背景;インド・イスラーム研究の視点/インドとスーフィズム//
インドの修行法とスーフィー;中央アジアにおけるスーフィズムとインド的要素の接触/スーフィーによるヨーガの修行法の実践とその表現/インドの修行者によるスーフィーの修行法の実践//
インド・イスラームの神秘主義修業解説


同じ著者による→こちらを参照

iv. 科学史・天文学史的なものなど

矢島祐利、『アラビア科学の話』(岩波新書 549)、岩波書店、1965
アラビア科学の意義と役割/アラビア科学の始まり/数字と数学/占星術と天文学/物理と技術/錬金術と化学/医学・薬学および博物学/地理と歴史/哲学/アラビア化学の西欧への伝達など、232ページ。

前嶋信次、『アラビアの医術』(中公新書 66)、中央公論社、1965
アラビア医学のはじまり/予言者の医術/魔法から医術へ/カリフと名医/暗い時代の医術の爛熟/アラビア風の精神療法/アラビアの薬の香り/毒と解毒/衣服と思想など、196ページ。

伊東俊太郎、『近代科学の源流』、1978、とりわけ第5~7章

ダニエル・ジャカール、遠藤ゆかり訳、吉村作治監修、『アラビア科学の歴史』(「知の再発見」双書 131)、創元社、2006
原著は Daniel Jacquart, L'épopée de la science arabe, 2005
日本語監修者序文(吉村作治)//
バグダードからサマルカンドまで/ギリシア科学とアラビア科学/計算と計測/生命と物質をめぐる科学/アラビア科学とヨーロッパ科学//
資料篇-700年間の証言-;文献が伝えるアラビア科学の歴史/旅行家と詩人たちの証言/アラビア科学の実用性/研究分野の刷新/19世紀以降のアラビア科学に対する評価/アラビアの代表的科学者一覧など、144ページ。


デイヴィド・A・キング、「イスラーム世界の天文学」、『望遠鏡以前の天文学 -古代からケプラーまで』、2008、pp.161-200
イスラーム天文学の特徴;アラブの星の伝承/ペルシアとインドの資料/ギリシアの資料//
天文学の発展;理論天文学/数理天文学-ズィージュの伝統/記数法と基本的な数学の補助表/惑星表とエフェメリス/恒星の座標と星図法/球面天文学と球面三角法//
宗教的慣習への天文学の応用;太陰暦/礼拝時間/キブラ//
観測計画と地方の天文学派;マームーンに仕えた学者たち/他の観測計画/地方の天文学者集団//
天文器具;アルミッラ天球儀と天球儀/アストロラーブ/四分儀/日時計/その他//
ヨーロッパへの伝播//まとめなど


三村太郎、『天文学の誕生 イスラーム文化の役割』(岩波科学ライブラリー 173)、岩波書店、2010
近代科学の起源としての天文学/ペルシャ人国家アッバース朝の成立/アッバース朝と占星術/最先端の天文学としてのインド天文学/アッバース朝宮廷と論証/アッバース朝宮廷の学者たち-宮廷の助言者として/プトレマイオス天文学の再発見/プトレマイオス批判からコペルニクスへ、など、128ページ。

Howard R. Turner, Science in Medieval Islam. An Illustrated Introduction, University of Texas Press, Austin, 1995
『中世イスラームにおける科学 挿絵付き序説』
序論/帝国としてのイスラーム/力と絆-信仰、言語と思想/諸根/宇宙論-イスラームの宇宙/数学-科学の自国語/天文学/占星術-科学的非科学/地誌/医学/自然科学/錬金術/光学/後期/伝達/新たな西方/エピローグなど、282ページ。

………………………

山本啓二・矢野道雄訳、「アブー・ライハーン・ムハンマド・イブン・アフマド・アル=ビールーニー著『占星術教程の書』(1)」、『イスラーム世界研究』、vol.3 no.2、2010.3、pp.303-371 [ < 京都大学学術情報リポジトリ(KURENAI)
  同、 「アブー・ライハーン・ムハンマド・イブン・アフマド・アル=ビールーニー著『占星術教程の書』(2)」、『イスラーム世界研究』、vol.5 no.1・2、2012.2、pp.299-356 [ < 同上]
  同、 「アブー・ライハーン・ムハンマド・イブン・アフマド・アル=ビールーニー著『占星術教程の書』(3)」、『イスラーム世界研究』、vol.6、2013.3、pp.467-539 [ < 同上]

以下、Encyclopædia Iranica より;

D. Pingree, ‘ASTROLOGY AND ASTRONOMY IN IRAN  iii. Astrology in Islamic times
「イランにおける占星術と天文学 2. イスラーム時代の占星術」

Pierre Lory, ‘KIMIĀ
「錬金術」

こちらにも挙げておきます

2014/01/26 以後、随時修正・追補
イスラーム Ⅱ
シーア派(12イマーム派)、イスマーイール派など
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