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赤い影
Don't Look Now
    1973年、UK・イタリア 
 監督   ニコラス・ローグ 
 撮影   アンソニー・B・リッチモンド 
 編集   グレーム・クリフォード 
美術   ジョヴァンニ・ソコル 
    約1時間50分 
画面比:横×縦    1.85:1
    カラー 

ケーブルTVで放映
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 本作を古城映画と呼ぶことはできませんが、ヴェネツィア映画です。裏通りや運河にかけられた橋を登場人物たちがうろうろしてくれます。橋は舟を通すために高くされているので、階段にも事欠きません。クライマックスの舞台となる廃館もなかなか雰囲気があり、屋内なのに霧が這っていたりします。手短かに取りあげることにしましょう。

 キャサリン・ヘプバーンが主演した『旅情』(1955、監督:デヴィッド・リーン)やヴィスコンティの『ベニスに死す』(1971)などを始めとして、ヴェネツィアを舞台にした映画はたくさんあるのでしょうが、ジャンル映画としては『バンパイア・イン・ベニス』(1988、監督・アウグスト・カミニート)や『アンナ・オズ』(1996、監督:エリック・ロシャン)などとともに本作が真っ先に思い浮かびます。このサイトでは『オセロ』(1952)の冒頭に続いての登場ですが(そういえば『死滅の谷』(1921)中の第2話の舞台もヴェネツィアがモデルらしい)、石造りの路地がさまになるのはヴェネツィアに限ったことではないとして(たとえば『リサと悪魔』(1973)冒頭のトレド+ファレーリアと比べてみてください)、この町の場合は水路によって細分されている点がやはり大きい。本作ではヴェネツィアならぬプロローグから水のモティーフに大きな役割が与えられており、作品の内容にも組みこまれているということなのでしょう。また登場人物たちはコート着用とあって、季節は冬が選ばれていました。青い空を見かけることも少なく、寒々とした調子の中にぽつんと赤が配されたりする。
 [ IMDb ]や下掲の英語版ウィキペディア該当頁にはロケ先がいくつか記されています。主人公が修復に携わる教会はドルソドゥーロ地区のサン・ニコロ・デイ・メンディコーリ教会 Chiesa di San Nicolo dei Mendicoli, Campo San Nicolò, Dorsoduro、クライマックスの舞台はカステッロ地区のパラッツォ・グリマーニ Palazzo Grimani, Santa Maria Formosa, Castello (2015年から博物館として開館したとのことで、→こちらで掲げたボスの《天国への上昇》も現在はここで展示されているようです。英語版ウィキペディア該当頁は→こちら。公式サイトは→こちら)でした。詳しい方ならもっといろいろ見当がつくことでしょう。下掲の陣内秀信『迷宮都市ヴェネツィアを歩く』(2004)なども参照ください。また冒頭のイギリスでの場面は東イングランド、ハートフォードシャー州のブロックスボーン Broxbourne, Hertfordshire, England にある校長役を演じた俳優デヴィッド・ツリーの家で撮影されたという(追記:イタリア語で不勉強のため中身はよくわからないのですが、ロケ先に関しウェブ上で出くわした"LE LOCATION ESATTE DI "A VENEZIA UN DICEMBRE...""(2008/6/3)([ < il Davinotti ])を参照)。


 ニコラス・ローグには『赤死病の仮面』(1964)で撮影監督として出会いました。カメラマン上がりの監督としてマリオ・バーヴァ(→こちらなど参照)やフレディ・フランシス(→そちらなど参照)などが連想されるところですが、残念ながら二人とは違い、デヴィッド・ボウイ主演の『地球に落ちて来た男』(1976、未見)を除いてその後ジャンル映画は手がけていないようです。本作の撮影はアンソニー・B・リッチモンド、デヴィッド・ニーヴン主演の『Mr.バンピラ 眠れる棺の美女』(1974、監督:クライヴ・ドナー)やクライヴ・バーカーが原作・製作総指揮の『キャンディマン』(1992、監督:バーナード・ローズ)でもカメラを担当していました。ピノ・ドナッジオは本作が映画音楽に携わった第1作とのことですが、以後『キャリー』(1976、監督:ブライアン・デ・パルマ)、『ハウリング』(1981、監督:ジョー・ダンテ)、『悪霊墓地カタコーム』(1988、監督:デヴィッド・シュモーラー)、『デモンズ4』(1991→こちらで少し触れました)などなど、けっこうジャンル映画にも参加しています。本サイトではダニエル・シュミットの『デ ジャ ヴュ』(1987)で再会できることでしょう。[ allcinema ]などでご確認ください。
 主演のジュリー・クリスティーは以前ローグが撮影を担当した『華氏451』(1966、監督:フランソワ・トリュフォー)に出ていましたが、後には『デモン・シード』(1977、監督:ドナルド・キャメル)、『ドラゴンハート』(1996、監督:ロブ・コーエン)、『ルーヴルの怪人』(2001、監督:ジャン=ポール・サロメ)、『赤ずきん』(2011、監督:キャサリン・ハードウィック)などが出演歴の中に混じっています。きっといい人なのでしょう。ドナルド・サザーランドにはすでにそのデビュー作『生きた屍の城』(1964)で出くわしました。その後の活躍は[ allcinema ]などでご確認ください。


 原作にはないプロローグから本作は始まります。広い庭だか野原を駆け回る主人公夫婦の娘は赤いレインコート、赤いタイツをはいている。原作では話の中だけの息子もいます。
 ジョン・バクスター(ドナルド・サザーランド)は教会らしき建物の屋内が撮影されたスライドを見ています。そこにも座席に着く赤フードの人物の後ろ姿が映っていました。
 奥の壁には上向き半円形の何かがかかっています。中央は2本の縦線で区切られ、左はピンクないし赤(?)でそのまま外周から下辺に沿う、右は同じく暗色、そして左右それぞれその内側が弧に沿って、左半は緑、黄、白、赤、黒……、右半は赤、黄、白、赤、黒……の帯に分割されるというものです。フランク・ステラの《分度器シリーズ Protractor Series 》(1967-71)の内、《バスラ門Ⅱ Basra Gate II 》(1968→こちらを参照[ <『福岡市美術館』のサイト])の図柄ではないかと思われるのですが、ただし白い外縁に何やら文字が見えます。ポスターか何かなのでしょうか。
 スライドに赤いインクが零れます。何かと赤が強調されているわけです。ジョンは予感に駆られ戸外に飛びだすのでした。


 約8分、舞台はヴェネツィアに移ります。ジョンは教会の修復を指揮しています。これも原作にはない設定です。
 レストランで妻のローラ(ジュリー・クリスティー)と落ちあう。窓から吹きこんだ風で目にゴミの入った老婦人二人が手洗いに行き、気にかけたローラが手助けできないかと後を追う。洗面台の上には縦長の鏡が何枚も横に並び、屛風状に少し折れ曲がっています。そのためローラと老姉妹がいくつも鏡像を増殖させるのでした。老姉妹の内妹のヘザー(ヒラリー・メイスン)は盲目ですが、また霊能力者でもありました。

 ジョンとローラは舟で移動しますが、途中で殺人事件の捜査現場に出くわす。
 教会です。暗くて広い。観光客が率いられてくる。老姉妹もいました。原作ではトルチェロ島のサンタ・マリア・アッスンタ聖堂でしたが(下掲邦訳 pp.21-23)、映画版はどこで撮影したのでしょうか。ヴェネツィア通ならたぶんわかるのでしょう。
 修復現場でその教会の司祭と話した後、ホテルに戻ります。ロビーはけっこう広く、椅子に白いシーツがかけてある。
 二人の部屋にジョンは製図台を置いていました。右に大きな人物の素描、左上に画集があり、画集の開いたページには横長の風景画が2点見えます。ターナー(→こちらも参照)のようにも思われましたが、定かではありません。
 余談になりますがヴェネツィアを描いた絵はカナレット(→こちらも参照)やグアルディをはじめ数え切れないほどあることでしょうが、その内でターナー、ホイッスラー、モネの3人はいずれも、時として見かけ上抽象にも近づくような風景画を残した画家で、その3人がヴェネツィア(およびロンドン)の眺めに少なからず触発されたというのは、近代絵画の展開ともからみつつ、興味深いことではあるのでした。
 二人が愛を交わすカットと出かける支度をするカットが交互に配されます。


 約35分、夜の街路で迷子になります。橋から暗い路地に入るも、先は水辺でした。ジレット橋に戻る。悲鳴が聞こえ、ジョンは赤いコート姿の人物を見かけます。一本抜ければ約37分、人通りのあるところに出る。

 修復現場の教会です。ファサードでしょうか、彫刻が吊りあげられ、壁の高い位置に設置されます。ジョンは上にのぼって指揮する。向こう側に老姉妹を見かけます。
 老姉妹とローラは石彫を置かれた公園で話します。ジョンにも霊能力があるのだが本人は気づいていないという。
 ポスターがたくさん壁に貼られた裏通りでジョンは老姉妹に会うのを拒みます。そのためローラは一人で老姉妹の宿泊先を訪ねる。部屋の壁に横長の額絵がかけてあり、なぜか大映しされます。ジョヴァンニ・ベッリーニの《聖カタリナとマグダラのマリアのいる聖母子》であります。下の「おまけ」か→こちらの拡大画像でお確かめください。実物は同じヴェネツィアのアカデミアにあるのですが、地元の名画を複製で飾ったということなのでしょうか。
 その間ジョンは酒場でやきもきしています。ヘザーはローラに押されて降霊を執りおこなう。
 ジョンは酒場から暗い通りに出ます。ホテルのロビーに入りますが、二人の宿ではなく、老姉妹が滞在しているところのようです。暗い。カウンターでベルを鳴らすも誰も出てこない。やむなく狭い廊下をうろうろしていると、怪しまれて逃げだします。
 路地を通って酒場に戻る。前の通りにやって来たローラと落ちあい戻ります。ヴェネツィアにいるとジョンの身に危険が迫るとヘザーが告げたとのことです。


 約54分、電話がかかってきます。イギリスからで、息子が事故にあったとのことでした。連絡してくれたのは寄宿学校のバベッジ校長ですが、机の向こうの壁に何やらたくさん掛かっています。さまざまな形・大きさの板絵のようにも見えますが、表面は皆暗く、委細はわからない。
 翌朝ローラは出発します。ホテルは冬期休業に入るという。
 修復現場の教会の屋内に入ります。いたるところ足場が組まれています。英語版ウィキペディア該当頁によると当時サン・ニコロ・デイ・メンディコーリ教会は実際に修復中だったとのことですが、実際にそこで撮影されたのでしょうか。ジョンは天井から吊り下げられた足場にのぼり、司祭が持参したモザイクの細片を壁のモザイク画にうまく合うか確かめようとしますが、上から板が落ちてきてあやうく転落しそうになる。これも原作にはないエピソードでした。
 司祭と二人で人気のない通りを進みます。そこを抜けた先の運河では、女性の死体が引きあげられるところでした。

 ホテルに戻って荷造りし、約1時間9分、船に乗っていると別の船にローラと老姉妹がいるのを見かけます。
 船が着岸すると急いでとってかえします。水路沿いに進んでホテルに戻る。
 ジョンは返事がないのでカウンターの奥の部屋に入ります。扉の中はすぐに幅の狭いのぼり階段で、その上の小部屋が控え室になっているようです。
 そこを出てジョンは通りをうろうろします。水辺におりる階段で赤ん坊人形を拾いあげる。


 警察で描いてもらった似顔絵を手に,約1時間14分、同じ署内なのでしょう、奥に廊下が伸びている。壁は白く、天井は半円をなしています。上に窓がある。左右に扉が並んでいるのですが、扉周りは古典様式風でした。なかなかに印象的な眺めであります。
 扉の1つに入ると、そこがロンギ警部の部屋でした。警部が現場と問うのに聖ニコロ教会と答える。

 約1時間20分、サン・ニコロ教会即ち修復現場の近くまで来て引き返します。尾行がついている。うろうろします。暗く狭い路地の奥から尾行する刑事が出てきます。橋の上にいると向こうにちらりと赤コートの姿が見える。またうろうろします。
 酒場の前まで来て思いだしたのか、格子戸をくぐって入っていったのは老姉妹が泊まっていたホテルでした。支配人たちも女性二人組で、老姉妹の部屋に入れてもらいます。しかし彼女たちは発ったという。ベッリーニの《聖カタリナとマグダラのマリアのいる聖母子》は2度ちらっと映った後、3度目でなぜかまたしても大映しされます。尾行していたサビオニ刑事が声をかけます。

 司祭の元を訪れる。豪勢な建物です。待っている間にイギリスの学校へ電話すると、ローラはいました。

 約1時間31分、夜の警察です。廊下だかの奥の椅子に坐っていたヘザーのところにジョンが来て謝罪します。ヘザーに付き添って暗い階段をおりる。下を向いていたカメラが上向きに移ると、上階の欄干の向こうを警部が通り過ぎるのでした。
 空港にローラが着きます。前の電話で11時着といっていましたから、すでに真夜中近い。
 夜の橋をジョンとヘザーが渡ります。ローラは舟に乗っている。
 ジョンとヘザーは老姉妹の新しいホテルに着きます。部屋に入ると姉も出てきて、三人の姿が鏡に映ります。
 行き違いになったローラが警察で警部と会う。
 ヘザーは発作を起こす。ジョンが去った後、彼を行かせるなと姉にいいます。

 約1時間38分、通りの奥で赤コートの子供らしき人物が通り過ぎる。カメラが左に流れると、ホテルの玄関からジョンが出てきます。ヘザーたちのカットをはさんで、ジョンは橋を渡って奥へ進む。
 追ってきた姉が玄関前まで来ます。ホテルは玄関を入るとすぐにのぼり階段でした。向かって右の通りの奥にのぼり階段が見えます。橋の階段でしょうか。左の通りからやって来たローラと出くわします。いったん中に入りますが、ヘザーの言葉を聞いて階段を駈けおりる。階段は2度折れ、壁に欄干の影が落ちています。
 狭い部屋で寝ていた男が飛び起きます。傍らのテーブルに真っ赤な蠟燭立てが置いてありました。この男は誰でしたっけ?

 約1時間41分、揺らめく水面、そこに映る赤コートの人影とともに古城映画的山場が始まります。運河沿いを歩くジョンは、反対岸に赤コートの人物を見つけ、呼びかけますが逃げられる。霧が這っています。
 赤コートは舟を伝って運河に面したアーチの中に入る。ジョンは近くの舟の舫を解きます。尖頭アーチの中から舟の持ち主が走りでてくる。赤コートは暗い路地の奥で右に曲がる。路地の奥に方形の扉口が見えました。
 ジョンは先にあった台形橋を渡って対岸へ、いつの間にやら赤コートはまた運河沿いにいます。ジョンが追いかける。揺らぐ水面に赤コートが映ります。カメラは左から右へ、対岸から2人を追う。
 赤コートに続いてジョンは装飾格子戸の中に入り、なぜか扉の錠を下ろして閉じます。足音のみ響く左の回廊の奥に台形橋をとらえたカット、手前左に人影が映ったとたん切り替わって、赤コートが階段をあがるさまが下から見上げられる。
 足音の主はローラでした。今度はジョンが階段を駆けあがる仰角のショットです。あがった先の廊下の天井は装飾が施されています。ローラは赤いブーツを履いている。装飾格子戸の向かいに来ました。
 真っ暗な手前に方形の開口部が開き、そのずっと奥にも方形の扉口が連なっているようです。奥の方が明るい。そこで左に赤コートが消えます。手前から背を向けたジョンが追ってくる。やはり霧が這っている。実に素敵な眺めです。
 二つ目の扉口を抜け、床を進むジョンの足もとが近い距離で見下ろされる。上半身に切り替わると振り向きます。
 ローラのカットをはさんで、ジョンが奥から出てくる。ヘザーのアップ、ローラの右往左往に続いて、ジョン、そしてカメラが壁に近距離で惑います。
 台形橋を渡るローラに続いて、走り抜ける赤コートがほぼ真上から見下ろされる。霧が地面で渦巻いています。続いて今度はやや下から、古典様式の部屋でしょうか。さほど広くはないそこで左奥から赤コートが走り抜けます。台形橋のローラをはさんで、先ほどと同じくほぼ真上からのジョン、やや下から部屋の左奥から出て角をはさんだ右の扉口へジョンが進みます。カメラは斜めになっている。
 先の部屋に入ったジョンはしかし左に戻る。扉口を越えた奥には左右を斜め格子のはまった丸窓にはさまれた扉口がありました。そこに入れば狭い空間で、突きあたりの壁は真っ青です。丸い穴があいている。そこを覗きこみます。どうなっているのでしょうか。振り返って見上げると扉口の上に上向きの円弧を切りとった狭い開口部があり、そこに赤コートの姿が見える。
 舟伝いに左から右へ進むローラのカットをはさんで、ジョンは右から左へ、格子越しになって、その奥にも楕円の額絵にはさまれた斜め格子のはまった方形の窓が開いていました。その向こうに右上がりの階段が見える。ジョンはそこをのぼります。
 螺旋階段でした。のぼるジョンがほぼ真上から見下ろされる。暗い。子供の泣き声のようなものが聞こえます。カメラは下向きから上向きへ、左から右に流れます。階段をあがった先の壁に小さめの窓が開き、向こうに赤コートが見える。その右が扉口らしい。
 閉じられた装飾格子戸のところの舟の持ち主とローラのカットをはさんで、殺風景な小部屋です。奥の隅に赤コート、ジョンが入ってきます。
 いろいろとフラッシュバックします。鐘の音がかぶさる。
 さまざまなカットの断片はやがて葬儀の船に収束するのでした。日は替わって朝でしょうか、やはり霧がたなびいています。


 クライマックスでのフラッシュバックは、過去と現在の時系列を揺らがせ、あたかもさまざま形で実現しえたかもしれない可能性の束のごとくでした。当初胡散臭く見えたヘザーとその姉ですが、実は善意の塊であったにもかかわらず、ヘザーを宿まで送るという形で彼女たちに関わらなければ、娘の姿を重ねた赤コートを追わなければ成行は変わっていたかもしれない。ほんのちょっとの偶然が積み重なり、しかしいつでも軌道修正はできたろうに、そんな状態をフラッシュバックが示しているようにも思われます。
 とまれそんな可能性の分岐が、ヴェネツィアの錯綜した路地に対応していると見なすことはできるでしょうか。1つ角を曲がれば人通りのあるところに出ることもできようものを、赤コートに逃げられないようにということなのでしょうか、パラッツォ・グリマーニの格子戸を閉じてしまったために、迷宮都市の中の入れ子とも見なせよう廃屋敷の中で主人公は自らも抜け出せず、退路を断たれてしまうのでした。

Cf.,  David Pirie, A New Heritage of Horror. The English Gothic Cinema, 2008, p.195

英語版ウィキペディア該当頁(→こちら)にはたいへん詳しく記されています

Tim Lucas, Mario Bava. All the Colors of the Dark, 2007, p.686

原作の邦訳は;
ダフネ・デュ・モーリア、務台夏子訳、『いま見てはいけない デュ・モーリア傑作集』(創元推理文庫 M テ 6-3)、東京創元社、2014
所収の表題作(pp.9-87)
原著は
Daphne du Maurier, "Don't Look Now", Not After Midnight, 1971

同じ著者による→『レベッカ』(1940)の頁を参照
おまけ  
ジョヴァンニ・ベッリーニ《聖カタリナとマグダラのマリアのいる聖母子》1485-90
ジョヴァンニ・ベッリーニ
《聖カタリナとマグダラのマリアのいる聖母子》
1485-90


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ヴェネツィアについての資料は数多あるのでしょうが、とりあえず手もとにあるのが;
陣内秀信、『カラー版 迷宮都市ヴェネツィアを歩く』(角川oneテーマ21 C-78)、角川書店、2004

パラッツォ・グリマーニについて pp.247-248、250。ジョン・ラスキンが『ベニスの石』で賞賛しているそうです。

ヴェネツィアを舞台にした小説というのも少なからずあるのでしょうが、とりあえず思いつくのは;
エドガー・アラン・ポー、小泉一郎訳、「約束ごと」、『ポオ全集 1』、東京創元新社、1970、pp.91-106
原著は
Edgar Allan Poe, "The Assignation", 1835
この場合もっとも、すっかり忘れてしまった話の中身ではなく巻頭に収められたハリー・クラークの口絵が印象に残っていたのでした。

ポーについては→「viii. エドガー・アラン・ポー(1809-1849)など」(<「ロマン主義、近代など(18世紀末~19世紀)」<「宇宙論の歴史、孫引きガイド」)も参照

他方そこに描かれたヴェネツィアの町のありようが印象に残っているのは;
篠田真由美、『仮面の島 建築探偵桜井京介の事件簿』(講談社ノベルス シ1-08)、講談社、2000

これに先だって;
篠田真由美、『堕とされしもの 天使の血脈』(上下)(TOKUMA NOVELS)、徳間書店、1996
後には;
篠田真由美、『水冥き愁いの街 死都ヴェネツィア』(NON NOVEL)、祥伝社、2006
でヴェネツィアが舞台となりました。後者は『龍の黙示録』シリーズの第6巻。
同じ著者による→こちらを参照


上で触れたターナー、ホイッスラー、モネの3人について;
Catalogue of the exhibition Turner Whistler Monet, Tate Publishing in association with the Art Gallery of Ontario / Art Gallery of Ontario, Toronto, Galeries nationales du Grand Palais, Paris, and Tate Britain, London, 2004-2005

  夢幻、Sinfonia della Luna、1984/1986(1)
ファースト・アルバムのリミックス・ヴァージョン、B面1曲目が「ヴェネツィア」
こちらも参照


またスペインのインダストリアル・ミュージックのユニット
Esplendor Geometrico, Madrid Mayo '89,  1989/2010(邦題:エスプレンドー・ジオメトリコ『マドリード・V'89』)(2)
の最後の3曲
"Venecia I", "Venecia II", "Venecia III"(「ベネチア I」、「ベネチア II」、「ベネチア III」)。
1. ヌメロ・ウエノ、たかみひろし、『ヒストリー・オブ・ジャップス・プログレッシヴ・ロック』、マーキームーン社、1994、pp.199-201。舩曳将仁監修、『トランスワールド・プログレッシヴ・ロック DISC GUIDE SERIES #039』、シンコーミュージック・エンターテイメント、2009、p.175。

2. 『ユーロ・ロック・プレス』、vol.45、2010.5、p.66。また同誌、vol.44、2010.2、p.64 も参照。
 
 2016/5/29 以後、随時修正・追補
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