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ドラキュラ血のしたたり
Twins of Evil
    1971年、イギリス 
 監督   ジョン・ハフ 
撮影   ディック・ブッシュ 
編集   スペンサー・リーヴ 
 プロダクション・デザイン   Dragoljub Ivkov  
 美術   ロイ・スタナード、Vladislav Lasic 
    約1時間24分* 
画面比:横×縦    1.66:1 
    カラー 

DVD
* [ IMDb ]によると1時間27分
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 『バンパイア・ラヴァーズ』(1970)、『恐怖の吸血美女』(1971)に続くハマー・フィルムによるカルンシュタインもの第3作で、レ・ファニュが創造したキャラクターに基づくとクレジットされるものの、原作の面影はもはや影も形もないといっても過言ではなさそうです。また例によって設定に変更があります。3作ともテューダー・ゲイツが脚本を担当しており、製作陣も含めて誰も整合性のある続篇など期待していなかったのでしょうが、だからこそ逆に、どんなメカニズムで執筆されたのか興味を惹かれる点ではあります。ちなみに後で触れるように、前作で充分説明されなかった設定を展開させたモティーフも見受けられます。
 お話のある部分は『ドラキュラ血の味』(1970)を連想させます。そちらの脚本はジョン・エルダーことアンソニー・ハインズでしたが、抑圧のもとにある若い娘がある力によって解放されるが、その解放者はさらなるろくでなしだったというものです。『ドラキュラ血の味』で抑圧するのはブルジョワ的偽善だったのに対し、本作では神の道を遂行すると信じる狂信となります。解放者の役割を果たすのはダミアン・トーマスのカルンシュタイン伯爵ですが、ただ、クリストファー・リー扮するドラキュラ伯爵に比べては可哀想というものでしょう。
 監督のジョン・ハフは2年後『ヘルハウス』(1973)を撮って怪奇映画史に名を刻みました。音楽も前2作同様ハリー・ロビンソンことハリー・ロバートソンで、今回のタイトル・バックでのテーマ曲はなぜかマカロニ・ウェスタン風です。また前2作に続いてハーヴェイ・ホールが出演しています。キャストで1番手に挙げられているのは『バンパイア・ラヴァーズ』にも出ていたピーター・クッシング(カッシング)で、魔女狩り集団の首魁をつとめています。『フランケンシュタインの逆襲』(1957)や『フランケンシュタイン 恐怖の生体実験』(1969)における極悪非道ぶりとはまたひと味違った、狂信者の憎々しさを堪能させてくれます。
 主な舞台は古城で、城内の部屋が広間1部屋しか登場しないのは由々しき事態ですが、その代わりといってよいのか、隠し通路が出てきます。螺旋階段もあり、玄関前の空間にも面白い点がありますし、カメラも上を向いたり下を向いたりしますので、手短かにとりあげることとしましょう。


 森を騎馬の一団が進みます。皆黒のマントに白襟、つばの反り返った黒い帽子を着用している。彼らは魔女の容疑者を火あぶりにするのでした。
 続いてタイトル・クレジットが済むと、野原に面した森を昼間乗合馬車が走っていきます。乗客の双子の姉妹が窓から見上げれば、岩だらけの丘の上にカルンシュタイン城がそびえている。『恐怖の吸血美女』の場合同様、中腹には城壁が伸びており、随所に塔を擁しています。本体部分は前作とは違っていて、がっしりした躯体をなしている。城壁は明るい褐色、本棟の壁は白っぽく、塔などの屋根はくすんだ褐色でした。背後は青空です。

 馬車は森に入り、双子をおばのキャシー(キャスリーン・バイロン)が出迎えます。双子は強気なフリーダ(マドレーヌ・コリンソン)と大人しめのマリア(メアリー・コリンソン)で、両親を亡くした2人はおば夫婦と暮らすことになったのでした。キャシーの夫がクッシング扮するグスタフ・ヴァイルです。
 グスタフが率いるらしい、日本語字幕にいうところの「僧会」が開かれる集会場は、座席が階段式になっており、けっこう傾斜が急に見えます。上から説教壇を見下ろす視角と下から座席を見上げる視角が交互に映されます。前者の場合、説教壇の背後の壁には大きな木の十字架がかけられ、その左右に松明が配されているためか、十字架の影が壁に落ちている。後者の場合座席の背後に三角アーチが3つ並んでいました。
 また夜の森を駆ける僧会が魔女狩りに出かけますが、その先の森の1人住まいの女の小屋で、この地域の領主らしい伯爵と鉢合わせします。いったんすごすご引き下がったグスタフ一行ですが、磔刑像と道をはさんだ墓地(プロローグにも登場していました)で血を吸われた被害者を発見する。その際僧会のおそらく次席らしい男をハーヴェイ・ホールが演じていました。即座に引き返し、森を歩いていた女を追っかけ回した挙げ句、火刑に処するのでした。邪悪な集団にしか見えません。
 家に戻ったグスタフがキャシーにカルンシュタイン伯爵は城で黒魔術に耽っていると話すのを、2階の扉の影でフリーダが聞き耳立てています。カメラはそれを下からとらえる。天井には扉上部の縦格子の影が伸びて縞模様をなしています。フリーダが前に出ると、画面手前に階段の梁が映りこみ、彼女はその後ろを横切ります。グスタフ邸では木製の階段が目立っており、後にも違う顔を見せてくれることでしょう。


 フリーダは部屋に戻り、2階の窓から上方へ目をやると、下から見上げた城のシルエットが映されます。次いで伯爵のアップに続いて、城内の広間が登場します。視角はやや下からで、角をはさんで向かって右は2層になった回廊で、それぞれに半円アーチが4つほど見えます。1層目も広間の床より高くなっており、左端のアーチの下に10段ほどはありそうな階段が手前におりてきます。角をはさんで左側は、右手の回廊の2層目と同じくらいの高さでやはり2階に回廊があるようで、欄干らしきものがのぞいています。その下はけっこう幅の広いアーチが大きく占めている。このアーチの奥にも半円アーチがあり、その下には双頭の鹿だか牛だかの大きな像らしきものが置いてあることがすぐ後で映ります。またこの広間の柱は幾重にもくびれたものが多い。
 カメラは回廊左下の階段に近い位置に換わります。階段の幅はけっこう狭そうです。またその右側には半円アーチがあるのですが、床よりそこそこ低いように見える。後に回廊右端の下にも階段があることがわかります。左の階段とこのアーチの手前に奥行き方向に台が置いてあり、そこに裸の娘が寝かされています。彼女の首から下に白い布がかけられ、そこに鶏の血がかけられる。
 これらの画面でカメラがあるのと同じ手前に伯爵は坐していて、その背後には暖炉があります。繰りひろげられる黒ミサはしかし、伯爵にとっては茶番にすぎませんでした。飽き飽きした伯爵は壁にかかる肖像画や石製の女の胸像を指しながら、「彼らは知っていた」と言うのでした。そして周りの連中を追い払った後、台上に残っていた娘にナイフを突きたて、「闇の主 Lord of Darkness」に祈りを捧げる。雷鳴が轟きます。娘の血が下にあった白い布に包まれた何かに垂れる。広間の向かって右側にも、ちょうど左側と対になるような幅広アーチが配されていることがわかります。娘の亡骸のあたりに青い光、そしてもやとともに大きな布をかぶった半透明な人物が起きあがる。立って伯爵に近づくさまがやや下からとらえられます。床には霧が這っている。気づいた伯爵はその顔を見て「ミルカーラ」と口にします。窓から見上げるフリーダの姿が再び挿入され、城に稲妻が落ちます。
 ミルカーラは伯爵を鏡の前に導きます。最初鏡には暖炉の火だけが映っています。夜の城内はいったい青の調子で浸されているのですが、その中で炎の橙色があざやかです。次いで鏡に伯爵は映るも、ミルカーラは映らない。彼女が伯爵に咬みつくと、伯爵の像もだんだん消えていくのでした。


 広間にあった女の胸像の銘には「ミルカーラ・カルンシュタイン伯爵夫人 1547年歿」とある。『恐怖の吸血美女』では女吸血鬼の本名が「カルミーラ」と変更されていましたが、それが『バンパイア・ラヴァーズ』同様原作どおりに戻ったわけです。また前者ではその生没年が1688-1710でしたが、後者では1522-1546で、当方のメモの間違いでなければ合致はしないものの、これも近い。
 ただミルカーラは伯爵を吸血鬼化しただけで退場してしまいます。今回のミルカーラは前2作での「黒衣の男」に対応すると見なせなくもなく、とすれば上位の審級を女性が占めたという点をもってジェンダー論的に着目することもできるかもしれません。とはいえ有閑神(デウス・オーティオースス)〉(→こちらを参照)よろしく即座に消えてしまうというのは、脚本を作成するにあたって問題とならなかったのか、気になってしまうのでした。しかもその退場によって、前2作での「黒衣の男」→カーミラという支配の図式が結局伯爵→フリーダに転位してしまいます。どうしても男を最終審級に置かずにはいられないということなのでしょうか。またミルカーラ復活以前に吸血鬼被害は発生していたわけですから、そちらの真相ももやもやせずにはいられません。

 さて、双子はおばに連れられて村の女学校に通うことになります。学校の外観では半円アーチが3つ横に並び、加えて左の奥まったところにもう1つありました。こちらが玄関口らしい。屋内に入ると、そちらにも扉前や窓その他に大きな幅広アーチが設けられています。
 校長の弟アントン・ホッファー(デイヴィッド・ウォーベック)が一応の主人公をつとめます。彼はグスタフのやり方には批判的な意見を持っています。魔女や吸血鬼の存在には懐疑的ですが、迷信であるかぎりでカルンシュタイン家のことや吸血鬼について研究し、マリアに伯爵家の歴史は謎だらけだと語る。後の場面ではマリアはいい子だけれど、フリーダの燃えるような気性に惹かれると姉に言います。


 しかしフリーダの方では伯爵の悪そうなところに興味を持っており、夜の森に抜けだす。夜の城の外観を経て、広間では暖炉の手前を支える柱が太くいくつものくびれを有し、左右それぞれに前後に2つずつあることがわかります。
 グスタフ家では階段が踊り場で枝分かれしており、一方が双子の部屋、他方がグスタフの部屋に通じています。フリーダが抜けだした後マリアが窓から見上げると、城のシルエットが映る。
 伯爵とフリーダが寄り添っています。下からのショットです。左には真っ赤な逆十字がある。右は半円アーチの下に双頭の鹿だか牛だかの像が見えます。また鏡です。すぐ前に蠟燭が1本立ててあります。伯爵とフリーダの背がその前に立ち、伯爵の像は映らない。ここで伯爵は日本語字幕によると悪魔への忠誠こそが肝要なのであって、認められれば不死が得られ、さもなくば死んでしまうのだと言う。吸血鬼伝染に関するこれは新説でしょうか。ただしそうなると身近な者が吸血鬼化した時の恐怖が落ちてしまうような気もします。とまれフリーダが咬まれるとマリアが飛び起きて首に手をやります。双子の感応というわけで、これは後に変奏されることでしょう。

 右に鏡があり、すぐ左に伯爵とフリーダがいます。その左には双頭の鹿だか牛だかの像のあるアーチ。カメラが右から左へ動くと、さらに左にトルソらしきものが映り、その前にベッドがある。ベッドの頭は左で壁に接しており、そこに同席していた娘が縛められています。この部分の周囲は粗い石壁になっている。フリーダが娘に寄っていきます。

 フリーダはグスタフ家の部屋に戻ります。窓側にフリーダのベッド、扉側にマリアのベッドがあるのですが、窓寄りの壁に鏡がかけられています。その手前にはキリストらしき素朴で小さな木彫が置いてあります。フリーダの姿は鏡に映らない。マリアが近づこうとするとフリーダは押しやります。マリアがあの夜以来変わったというとフリーダはその通りと答える。なかなか風情のある場面でした。

 アントンがチェンバロで作曲しているところへグスタフが訪れてくる。机の上に重ねた本には髑髏が載せてあり、脇には地球儀が見えます。アントンはグスタフに、吸血鬼は火刑に処しても魂は生き残り、別のからだへ乗り移る。杭で打つか首を落とさないと滅ぼせないと言う。この命題は後にも出てきますが、『恐怖の吸血美女』のクライマックスで言及されていたものをさらに展開させたと見なすことができるでしょう。
 グスタフが学校から外へ出ると、入口の左脇に大きな木製の鳥籠が映ります。これは『鮮血の処女狩り』(1971)に登場したものと同じなのでしょうか。またさらに左では階段が前に出て上へ、すぐに折れて左へあがっていきます。


 マリアが今夜は行かないでというと、フリーダは行かなかったらどうなるかわからないと答える。なかなか含蓄のある場面でした。
 夜の森に伯爵家の家令が歩いている。フリーダを見かけて近づくと洞窟に誘われます。中では下に水の流れがあるようです。
 翌日、グスタフの脅威から逃れるために親戚のもとへ行かせたはずの校長が、アントンが留守を預かる学校へ首筋を咬まれた亡骸となって戻ってきます。
 夜の森でフリーダは僧会の1人を狙いますが、悲鳴を聞きつけたグスタフに十字架を突きつけられ、牢に収監される。
 家に戻ったグスタフはマリアの様子を見ようとするもキャシーに阻まれ、責められる。ここでグスタフははじめて迷いを抱きます。クッシング真骨頂です。家父長制の揺れをここにも垣間見ることはできるでしょうか。
 眠るマリアの部屋に伯爵が現われる。しかしマリアが握る十字架のせいで手が出せない。とはいえ近づけないながらも見続けることはできるという設定のようです。手から十字架が落ちると、近寄るのでした。
 伯爵と召使は牢を訪れ、フリーダとマリアをすり替えます。いっしょにいると餌食にしてしまいかねないと言っていたフリーダも、マリアが火あぶりにされても平気になったようです。双子を同一人物の2つの面ととらえることもできますが、とすると善と悪が完全に分離されたことになる。しかしこうした心理的解釈は眉に唾をつけた方がいいような気もします。牢の扉を開けたすぐ手前には壁沿いに階段がのぼっています。
 マリアと入れ替わったフリーダの手を払いのけ、間一髪、マリアを火あぶりから救ったアントンは僧会で日本語字幕によれば、あの城は何世紀もの間悪魔を活かしてきた、燃やしても無駄だ Burning is useless と述べます。煽動はいかがなものかと思われたりもしますし、これまでさんざん火あぶりを実行してきた僧会の面々のことはいいのかと思うところでした。もっとも後者の点については、後にグスタフが全責任を引き受けることになるでしょう。

 少し明るくなった空に城が下から見上げられ、螺旋階段を伯爵とフリーダがおりてきます。下から見上げていたカメラは2人が前を横切り、下へおりていくとそのまま上から見下ろします。ハマー・フィルムはほんとにこの手のショットが好きだと思わずにいられません。伯爵は焼かれても痛くも熱くもない、魂が宿れる新しいからだを見つければいいと説きます。
 カメラが上から見下ろすと、下に半円アーチがあります。手前にあるであろう階段を召使が駆けあがってくる。これは広間の回廊の左右にある階段の間にあたるのでしょう。召使は口がきけないらしく、身振りで押しかけてきた連中が杭や斧を手にしていることを伯爵に伝える。伯爵は慌てて「古いトンネルから出るぞ」といって、位置はよくわからないのですが、くびれ柱の間の上への階段に向かいます。誠に残念ながら城内からトンネルに通じる入口は映されず、次のカットでは奥から松明を手に2人があがってきて、右に折れます。トンネルは幅が狭く、天井も低そうです。
 一方城門は幅の広い尖頭アーチです。右奥にも何やら棟が入り組んでいます。突入してきた一同から、トンネルに気をつけろとの声が上がります。なぜ知っているのでしょうか。
 奥から手前へ、途中に踊り場をはさみつつまっすぐ伸びる階段が上から見下ろされます。画面奥の壁には十字の狭間が穿たれている。階段の右手は壁で、間を置いて松明がさしてあります。左は欄干です。
 一同を召使が迎え撃ちます。すぐ後ろの頭上には水平の梁が伸びており、木製のようにも見える。その奥には半円アーチの入口がのぞいています。これが玄関にあたるのでしょうか。
 トンネルに場面が換わります。2人の背中が手前をあがって水平になった通路を奥へ進みます。カメラは下から見上げている。おそらく同じセットで向きを変えて行ったり来たりしているだけなのでしょうが、上下しつつうねうねと伸びる通路の感触は伝わってきますので、よしとすべきところでしょう。
 忠実な召使がハーヴェイ・ホール演じる2番手によって杭を打たれます。召使は吸血鬼化はしていなかったはずなのですが。
 またトンネルに換わり、奥から手前へ進む2人を上から見下ろす。右の壁は洞窟状で、左には柱がのぞいています。右手前に扉があり、その左には飾り柱がついています。扉を開くと、10段ほどのぼって屋外に出るようです。伯爵はフリーダに様子を見させる。すかさず現われたグスタフが首を落とします。『バンパイア・ラヴァーズ』に続いてクッシング2度目の斬首となりました。マリアは首に鋭い痛みを覚える。グスタフは扉に駆け寄るも、伯爵は中から閉ざしてしまう。小物感満載です。扉の上には水平の梁があり、両脇には太い円柱が見えます。


 おばが城壁の奥から手前へ駆けてきます。右に幅広のアーチがありますが、そこは通り過ぎてその先・右奥のやはり幅の広い曲線アーチに達します。
 一方マリアは幅の狭いゆるやかな尖頭アーチに背を見せてくぐっていきます。向こうは下りになっており、右には石像がある。階段をおりた先にトンネル出口へのくだり段が見えます。扉の向こうで様子をうかがっていたのでしょうか、伯爵はマリアをトンネルに引きずりこみます。2人は画面右奥におり、その手前に柱、さらに前には横臥像(ジザン)があるようです。2人は左手前へ進む。カットが換わるとゆるいアーチの奥から手前へやって来ます。カメラの前を横切って角を曲がり、背を見せて右奥へ向かう。先だっての城内から外への経路を逆行することになるでしょう。帰りも行きと同じく3カットが費やされます。
 広間で暴徒が走り回っています。壁の一角、幅広の柱頭の下でしょうか、髑髏が嵌めてあります。
 トンネルが下から見上げられる。2人は奥から来て、手前のくだり段をおります。
 また広間の髑髏が挿入される。広間を暴徒たちが右往左往しています。カメラはやや下からとらえる。奥に2層回廊が見えます。下からの階段をのぼってくるアントンをカメラは見下ろす。あがりきってそのまま右へ曲がるとハーヴェイ・ホールの2番手がいます。この時カメラは水平です。悲鳴に上を見ると、回廊にいる伯爵とマリアが下から見上げられます。手前に大きく石像があり、その振りあげた両腕の間に2人が配される。
 かなり上から広間が見下ろされます。一方螺旋階段にはグスタフの姿がある。下からの視角で、2階回廊の3連アーチの中央に2人がおり、左のアーチの奥の壁に扉が見えます。そこからグスタフが出てくる。ちなみに右の突きあたりにも扉がのぞいています。グスタフは伯爵に向かうも、返り討ちにあい背中に斧を投げつけられる。伯爵に背を向けてよろよろする表情はクッシングの十八番でしょう。そして欄干から投げ落とされてしまうのでした。落ちた先は下への階段の手前で、駆け寄るおばたちとともに階段の下から見上げられます。
 伯爵がマリアの方へ向かおうとする隙をついて、広間からアントンが槍を投げつける。けっこうスピード感がありました。伯爵は背後の壁に寄りかかります。回廊の装飾的な欄干の影が壁と伯爵に大きく落ちています。
 アントンが螺旋階段を左下からのぼってきて、カメラの前を横切り右上へ背を向けてあがっていく。広間から見て回廊の左の突きあたりには窓があり、細かい円が連なる桟に区切られていることがわかります。
 伯爵は崩れて骸骨になってしまいます。つい最近まで生者で吸血鬼化して間もないのだから、止まっていた時間が一気に流れたというのとは別の説明が必要なところでしょう。
 マリアとアントンが上からグスタフを囲む一同を見下ろすカットで幕となるのでした。

Cf.,  The Horror Movies, 4、1986、p.64

ジョン・L・フリン、『シネマティック・ヴァンパイア 吸血鬼映画B級大全』、1995、pp.106-107/no.059

Peter Hutchings, Hammer and Beyond. The British Horror Film, 1993, p.165

David Miller, Peter Cushing. A Life in Film, 2000/2013, pp.130-131

Jonathan Rigby, English Gothic. A Century of Horror Cinema, 2002, pp.186-188

Derek Pykett, British Horror Film Locations, 2008, p.122
 2015/3/6 以後、随時修正・追補
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