ホーム 宇宙論の歴史、孫引きガイド 古城と怪奇映画など 美術の話 おまけ
惨殺の古城 *
Il boia scarlatto
    1965年、イタリア・USA 
 監督   マッシモ・プピッロ(マックス・ハンター) 
 撮影   ルチアーノ・トラザッティ(ジョン・コリンズ) 
編集   マリアーノ・アルディティ(ロバート・アーディス) 
美術   フランク・F・アーノルド** 
    約1時間27分*** 
画面比:横×縦    1.85:1
    カラー 

DVD
* 手もとのソフトの邦題は『美人モデル 惨殺の古城』。英語版で英題は Blood Pit of Horror
** イタリア人スタッフの英語変名ではないかと思われますが、[ IMDb ]には記載なし。
*** 手もとのソフトでは約1時間22分

………………………

  [ IMDb ]によると舞台となる城の外観は『イザベルの呪い』(1973)と同じく中部イタリア東側のアブルッツォ州ラクイラ県のバルソラーノ城 Balsorano Castle, L'Aquila, Abruzzo とありますが、これは『女ヴァンパイア カーミラ』(1964)のロケ地であるバルソラーノのピッコローミニ城 Castello Piccolomini di Balsorano のことでしょう。このお城については上の2作のページも参照ください。
 また城内についてはラツィオ州ローマ県アルテーナのパラッツォ・ボルゲーゼ Palazzo Borghese, Artena, Roma, Lazio で撮影されたとのことです。アルテーナのパラッツォ・ボルゲーゼはローマ市内にあるパラッツォ・ボルゲーゼないしヴィラ・ボルゲーゼあらためボルゲーゼ美術館 Museo e Galleria Borghese とは別物で(パラッツォ・ボルゲーゼはフィレンツェにもあり、フィレンツェにはまたパラッツォ・ボルゲーゼ=アルドブランディーニというのもあるそうです)、アルテーナはローマの東南部にあります。『吸血鬼と踊り子』(1960、監督:レナート・ポルセリ)や『グラマーと吸血鬼』(1960、監督:ピエロ・レニョーリ)その他でもロケ地として採用されています(またイタリア語で不勉強のため中身はよくわからないのですが、ウェブ上で出くわした"LOCATION VERIFICATE: Il boia scarlatto (1965)"([ < il Davinotti ])を参照)。
 ちなみに善玉側の一応の男性主役であるウォルター・ブランディは『吸血鬼と踊り子』、『グラマーと吸血鬼』に加えて『吸血鬼の虐殺』(1962、監督:ロベルト・マウリ、未見)、本作と同じマッシモ・プピッロ監督による『霊媒のための五つの墓』(1964、未見)などにも出演した、この時期のイタリア怪奇映画の常連でした。

 このお話で超自然現象が起こったのかどうかは、微妙なところです。悪玉側の男性主役はそう言いますが、善玉側の男女主役二人は悪玉の妄想と見なしているようで、どちらをとるかは見る者次第といったところでしょうか。コーマンの『恐怖の振子』(1961)とも比較できそうです。
 悪玉やその一味の扮装など、見る者側にとって微妙な判断を迫られる部分もあるのですが、ともあれ冒頭での古城へ向かう道路をのぞいて、お話は終始古城で展開します。空間の曲折にも見るべき点は少なくない。手もとのソフトの画質はかなり残念賞もので、原版は褪色してもいるようなのですが、とりあえずメモしていくことといたしましょう。

 画面右側に手前から奥へ、左上がりにのぼる階段、太い柱をはさんで左側は奥へ伸びる通路となっています。左手前の壁は斜面になっている。地下のようでもある暗い空間です。左の通路の奥から赤衣の人物を先頭に数人が出てきます。ナレーションで1648年12月5日、暴虐を尽くした「真紅の処刑人」(原題にもなっています)が処刑されることになったのだという。
 彼は上半身裸で、赤いフードに黒のアイ・マスク、赤マントに赤タイツといういでたちです。半裸でこそないものの、『顔のない殺人鬼』(1963)に同様の人物が登場していました。たしかに死刑執行人は怖いかもしれませんが、それが記号化された装束とともに恐怖映画における恐怖の対象としてイメージされるというのは、なかなかぴんとこない分、注目すべきかもしれません。たとえばざんばら髪で矢の刺さった鎧をまとう落ち武者のイメージなどと比較はできるものでしょうか。
 後ろには兵士が二人ついています。処刑を命じるないし見届ける偉いさんがいないのはいささか釈然としませんが、それはともかく、三人は手前を右に進む。半円アーチがあります。
 下から左上がりの階段が見上げられます。手前の上には大きな半円アーチがかぶさっている。このあたりの壁はひびが走ったり表層が剥落したりしています。三人は階段をおりてきて左へ、上半身の姿でカメラの前を横切り左側の下り階段をおります。カメラは右から左へ振られる。
 踊り場から見下ろされる階段をおりた先には半円アーチが見えます。階段の途中でも左の壁に半円アーチがあり、枝分かれしているようです。おりていく三人はシルエット化します。おりると左に折れる。
 下から見上げられるのは今度は斜面です。赤い。ここをおりて左へ、柱をはさんで〈鉄の処女〉が立ててある。これも『顔のない殺人鬼』と同じですが、形状は立てた柩のようです。表面に装飾が施してあります。真紅の処刑人は〈鉄の処女〉で処刑されるのですが、その際日本語字幕によると「血は流るるとも精神は永遠だ、復讐してやる」と『亡霊の復讐』(1965)や、遡れば『血ぬられた墓標』(1960)にも相似た呪いを吐くのでした。やはりコーマンの『怪談呪いの霊魂』(1963)を思いだすこともできるでしょうか。


 鉄の柵状の欄干越しに下が見下ろされます。柵には蜘蛛の巣がかかっている。奥に上からおりてきた階段があり、すぐ右に折れます。城は真紅の処刑人の処刑後、封印されたのだという。
 以上をプロローグに、タイトル・クレジットとなります。バックでは下から崖の上の城が見上げられる。画質が悪いので細部が見分けにくいのですが。左に鋸歯型胸壁をいただく城壁があり、右の少し下に大きな噴水が見えます。
 次いでやはり崖の上の城が、かなり下から見上げられます。間を城壁で埋めて左右に円塔が立ち、その左右で壁が後退していく。
 今度は右に半円アーチの門です。その向こうに低く鋸歯型胸壁が伸び、さらに向こうは山裾が見えます。画面の奥は蔦に覆われた壁らしきものが占め、やはり上辺に鋸歯型胸壁が走る。その手前に一本だけ、先のかけた円柱が立っています。カメラが上向きになると、右に円塔、同じ高さでその左に城壁が伸びる。双方鋸歯型胸壁をいただいています。
 車内からフロント・ガラス越しに山道がとらえられます。しばらく行くと左に遠く山上の城が見えてくる。
 鋸歯型胸壁の間から下が見下ろされます。かなり高い位置です。下にうねうねと道が曲がりくねっており、そこを車が三台ほど見え隠れしながらのぼってきます。
 木立の間の道を車が奥へ進む。カメラが上昇すると円塔とその左の棟が映ります。
 前庭に三台の車が入ってくるのがかなり上から見下ろされる。前庭の向こうは鋸歯型胸壁で区切られています。
 前庭の左に門と上への坂が通じています。男5人、女5人が車を降りて門をくぐります。ゆるい上り坂になっている。右から左へ進み、カメラもそれを追います。
 先に木の扉がある。ノックすれども返事はなく、男の一人ペリーが蔦に覆われた壁をよじ登ります。上に窓がある。この壁は円筒状に湾曲しています。
 ペリーが扉を開け、中に入るとかなり上から見下ろされます。右にも蔦だらけの壁の棟が奥へ伸び、上に窓がある。この棟は奥でいったん途切れ、その向こうに手前向きの壁がある。ここに玄関扉があり、数段のぼる形になっています。


 城内に入ると、正面ののぼり階段が下から見上げられます。踊り場で左右に分岐している。踊り場の壁には綴織がかかっています。このあたりの壁は白っぽい。左右に分かれた階段には双方正面に扉口らしきものが見えます。手前上に欄干つきの回廊がのぞく。
 上から右側の階段が見下ろされます。階段は湾曲して手前に戻って来ている。奥の壁の途中に扉口らしきものがあります。階段をのぼった先には玄関側および踊り場の壁と平行に、吹抜に面した回廊が伸びています。床は市松模様です。すぐ壁になる。階段をのぼった向かいに扉口が開いています。
 女の一人が回廊の扉口に入ると。切り替わって左奥から出てくる。手前へ数段おりて廊下となります。左右に付け柱を配した重厚な敷居でした。廊下の右の壁に窓がいくつか設けられていますが、暗くて向こうは見えません。
 廊下の突きあたりには扉があり、そこから燭台を手にした男が現われ一行を誰何します。男は幅の太い横縞のシャツを着ている。半袖です。ズボンは白い。少し先走りすれば、この装束は城主の使用人というか従僕たちの制服のようで、装束も含めた彼らの存在が、ある意味で本作最大の謎と見なせるかもしれません。なぜ古城の使用人がこの服装なのか。当時のイタリアの観衆にはぴんと来る何かがあるのでしょうか(追記:下掲 Roberto Curti, Italian Gothic Horror Films, 1957-1969, 2015, p.141 で言及されていました)。


 縞シャツに案内されて一行は扉から中に入る。まず壁画で覆われたさほど広くない部屋です。奥と角をはさんでその右に扉口があります。右の部屋には暖炉が見えます。縞シャツはもう1人いる。二人をのぞいて他の面々はこちらの部屋で待機することになる。
 男二人が奥の扉口に入ります。ここでももう一部屋はさんで、次の部屋に城主がいる。城主は最初声だけです。カメラが右から左へ振られ、二人の前の長テーブルをとらえます。テーブルの上には壺等がびっしりと置いてある。テーブルの奥に暖炉があり、チェス盤を前に城主が坐っていますが、顔はよく見えません。二人の内年嵩の方がマックス・パークス(アルフレッド・ライスことアルフレード・リッツォ)と名乗り、雑誌の編集長でした。もう1人はウォルター・ブランディですが、名前も立場もまだわかりません。編集長は城での撮影を依頼しますが、すげなく断られる。


 待機室はそこそこの広さで、床は褐色系の市松です。壁紙も茶色系ですが、画質が粗いため確かではありません。随所に書棚が配されていますが、書斎というわけではなさそうです。
 壁の一箇所に鏡貼りの棚がとりつけられています。この鏡はマジック・ミラーで、裏の部屋からは待機室内が見えます。女性陣の1人(ルイーズ・バレットことルイーザ・バラット)を見て城主は「エディス」と呟く。
 待機室の面々に何かのパイプを通して城主が気を変えたと語りかけます。撮影には拷問室がよろしかろう、地下牢には絶対入るなとのことです。


 拷問室は粗い石積み壁で、入口から数段おりて床となります。暖炉か何かの左手前に木造の拷問装置が配されている。
 一方モデルたちが着替え等のために使う控え室には、浮彫つきの暖炉がある。
 拷問室の入口からの下り階段の左手には、壁に低く狭い段差が設けられており、その下が半円アーチに刳られています。どういう用途なのでしょうか。その左が手前に突きでた暖炉状の何かです。さらに左に扉があります。
 男性陣の内2人がワインがあると左奥へ進みます。1人は骸骨装束のペリーです。彼は男性モデルなのでしょうか。もう1人はラウル。左奥には扉口があり、左右に緋色のカーテンを束ねてあります。


 約20分弱、地下行の始まりです。階段上の扉口が下から見上げられる。縞シャツの1人が巡回しています。カメラが下へ振られると、左に半円アーチが見えてきます。その奥にも粗石のアーチがある。男二人がそこから出てきます。手前を左へ、まだ下り階段が続くようです。
 奥に半円アーチのある廊下です。アーチの下に扉がある。左の壁は洞窟状です。右の壁は真っ直ぐですが、シルエット化しています。二人は奥から手間に出てきて、カメラの前を横切り背を向け右から左へ進む。カメラもそれを追います。洞窟状の壁が右に、真っ直ぐの壁が左へ入れ替わる。奥には右下がりの4分の1アーチが見え、その向こう右側の壁は斜面になっています。冒頭で真紅の処刑人一同が出てきたところを奥から見ているのでした。
 奥にアーチが交叉する空間があり、その手前で階段が数段おりています。右の壁に低いアーチの凹みがある。階段をおりて手前を左へ、柱をはさんで柩型の〈鉄の処女〉が置かれています。骸骨男が蝙蝠をよけようと後ずさると、壁にかかっていた斧を倒してしまい、その斧が〈鉄の処女〉の錠を壊す。
 二人はさらに左の奥に入っていきます。一方柩の覗き窓から赤マスクが見えるのですが、カメラが右寄りに後退すると見えなくなります。壁に右側からやって来た人影が落ちる。約22分強でした。


 拷問室、入口のある壁の右側に鉄格子のはまった扉口があります。その右で天井はドーム状に曲線化して壁につながっている。
 死体姿の娘だの、ネグリジェの娘が背後から鎧をまとった髑髏の騎士に首を絞められるだのといった情景が撮影されています。あまり趣味のよいものではなさそうです。この間音楽は、レコードの針飛びでリピートする状態になります。その内元に戻りますが、意図的だったのでしょうか。男を斬首する娘、猫娘と撮影は続く。
 エディスはモデルたちのスタイリストのような担当らしく、手が空いた隙に城主に会おうとしますが、縞シャツに阻まれます。そこに声をかけたウォルター・ブランディの役名がリックであることが、約28分強にしてようやくわかります。彼は元記者とのことです。
 拷問室でも手の空いたラウルが、今度はモデルの一人スージーを誘って左に入っていく。
 拷問装置にはペリーが横たわっており、棘々を生やした振子が台に寝かせた人物の上で揺れるというものですが、ロープが切れて死んでしまう。
 ラウルとスージーは廊下を奥から手前に進み、切り替わると左奥からおりてきて左へ、〈鉄の処女〉の前を通り過ぎます。〈鉄の処女〉の中はからになっている。その左側で二人はいちゃつきます。
 拷問室では縞シャツが編集長に、主に知らせる必要はない、すべて知っていると両腕を前に組んで告げます。


 上から枝分かれ階段が見下ろされます。途中の扉口の向こうに螺旋階段がのぞいています。編集長とリックが扉口から出てきて左上へ階段をあがります。カメラは右から左に回される。

 控え室でリックにカメラマンのダーモント(ラルフ・ツッカー、プロデューサーの一人でもある)が事故が起きた時のネガを見せ、ドアのところにフードを被った男の頭部が映っていると告げる。
 いちゃつくラウルとスージーのところに尖り赤フードの男が現われます。黒のアイマスク、上半身は裸で幅の広い黒ベルトに赤のタイツ、黒い腕輪もしています。
 暗室でリックとカメラマンが現像しています。そこへ城主(ミッキー・ハージティ、『イザベルの呪い』(1973)で再会できることでしょう)が入ってくる.。約36分にしてようやくちゃんと映りました。なかなかのハンサムさんです。二人より背も高い。
 三人は話しながら左奥から右前へ、右に暖炉のある部屋を通りぬけます。城主は真紅の処刑人の伝説を語る。
 下から天井が見上げられます。交叉リヴと天井装飾をとらえつつ、カメラはそのまま前進する。やがて上から下へ振りおろされ、突きあたりの暖炉を映します。暖炉の上には頭像が置いてあります。
 吹抜の回廊が下から見上げられる。左側の扉口から三人が出てきます。左の扉口と右の扉口の間の壁には、褐色調の大きな綴織が飾ってあります。
 城主が上から指さすと、階段途中の扉口が上から見下ろされます。回廊の右側の扉口からエディスが出てくる。城主と視線を見交わしあいます。

 城主が壺だらけのテーブルの間に入ってきます。右奥から出てきて左奥へ入る。双方カーテンで仕切られています。入った部屋の右の壁に金属浮彫らしきものがかかっており、それを開くと隠し窓でした。向こうはモデルたちの控え室です。暖炉の上辺中央につけられた獅子らしきものの頭部の目が覗き孔になっているらしい。

 階段が下から見上げられます。奥の上は交叉リヴで、手前の上部には半円アーチがかぶさっている。階段途中の右の壁にもアーチが開いています。リックとカメラマンがおりてくる。
 〈鉄の処女〉の内側からの視線で二人がとらえられます。間に蜘蛛の巣が張っている。二人が蓋を開くと中にはスージーの亡骸がありました。
 二人は奥から拷問室に入ってくる。拷問装置のロープを調べると、ナイフで切られた跡がありました。リックはカメラマンに車の鍵を渡し警察を呼んでくるよう頼みます。
 階段途中の扉口から出て踊り場に、さらに下へおりるカメラマンが上から見下ろされます。手前に鉄の欄干がかぶさっている。カメラは下向きになります。


 リックが控え室から出てくる。赤絨毯を敷いた廊下です。向かい、数段あがった上の扉口に真紅の処刑人の姿を認める。リックは背を向け奥へ走ります。奥で右に折れる。
 奥から手前に伸びる廊下が上から見下ろされます。こちらの廊下は中央に黒っぽい絨毯が敷いてあります。奥の突きあたりの扉口にはカーテンがかかっている。廊下の上には半円アーチが横切っています。手前で上への階段があがってくる。左上に歩廊が伸びており、右の壁に大きく欄干の影が落ちていま.す。その下にも半円アーチの扉口がある。高低差が感動的です。奥のカーテンをくぐって出てきたリックは、手前に進む。しかし階段には上がらずその手前を左へ折れます。
 壁画だらけの部屋です。縞シャツに止められますが、叩きのめします。
 壺だらけのテーブルの間に入る。背後からエディスが現われる。エディスが暖炉の上のカーテンを開くと肖像がかかっている。モデルはエディスでした。城主はトラヴィス・アンダースン、エディスの元婚約者で役者、数年前に失踪したとのことです。
 二人が階段をおりるさまがかなり手前、上から見下ろされる。手前左右は壁が縁取り、上には半円アーチがかぶさっています。おりて踊り場に達すると、そのまま真っ直ぐ、手前へののぼり階段をのぼります。この枝分かれ階段は湾曲していないので、前に出てきたものとは別なわけです。素晴らしい。
 上まで来ると女のうめき声がする。カニューニョの声だと、手前を右に、カメラの前を横切り右奥へ向かいます。
 三連アーチ形の木の扉が上からとらえられる。左右のアーチは真ん中より低い。
 室内には蜘蛛の巣のようにワイアーが張り巡らされていました。部屋の真ん中には左右内側を複雑に刳られた敷居のようなものがあり、その中央でカニューニョが身動きできなくされている。カメラが右から左へ振られると、壁にいくつも弓が仕掛けられています。ワイアーに触れると放たれる仕掛けだとカニューニョがいう。扉の双方の壁が弓だらけです。カニューニョの手前には天井から大蜘蛛が吊されており、爪に毒が塗られている。じわじわとカニューニョに近づいていきます。
 リックは蜘蛛の巣の下を匍って進む。真上から見下ろされます。しかし間に合いませんでした。三連扉の上は半円アーチ型に区切られ、その中に下向きの矢形が連なっています。
 上から前庭が見下ろされます。カメラマンの乗った車が同じところをぐるぐる回っている。カメラマンの首には矢が突き刺さっていました。


 階段が上から見下ろされます。おりたすぐ先が扉です。扉と階段がすぐに接するこの眺めには、他の映画でもお目にかかった憶えがあります。扉の上には鷲の浮彫が飾ってある。エディスと編集長が扉を叩くも開きません。おりてくるモデル二人が下から見上げられる。また上からの視角に戻り、エディスは階段をのぼります。

 戻って来てエディスが声をかけますが、カニューニョの亡骸を横たえたリックが目をあげると姿が消えている。蜘蛛を投げだして矢を射させます。廊下に出ると背後から縞シャツに殴り倒されます。

 エディスの前に黒っぽいガウン姿のトラヴィスが現われる。トラヴィスは下から見上げられます。人間の醜い世は私の完璧な肉体にそぐわなかったといいます。ガウンを脱ぎ捨てると、上半身裸で赤タイツ姿でした。黒の長靴を履いています。
 壁の鏡の前に来る。鏡の左右には太い蠟燭の燭台が置かれ、壁にその影を落としています。鏡の向かいにも鏡があり、合わせ鏡になっている。盃を両手に捧げたトラヴィスが画面手前に消えるも、合わせ鏡にその姿が増殖して映り続けます。盃の油を上半身に塗る。お前は私の孤独を理解しなかった、女の愛は私を滅ぼす、私は弱さを封印したと言いたい放題です。
 カーテンを開くと真紅の処刑人の姿があります。〈鉄の処女〉の中にあった死体ということでしょうか。お前らは封印を解いた、彼の精神は私の中に甦ったといってマスクを、次いで赤フードをつけるのでした。マスクとフードは別に用意してあったものですが、真紅の処刑人の首からメダルを外し、自分の首にかけます。
 エディスの右にある燭台を回します。前の壁が開く。隠し扉でした。


 螺旋階段がほぼ真上から見下ろされます。トラヴィスがおりていく。4~5回は回ったでしょうか。拍手ものです。
 拷問室の左奥の扉から入ってきます。左から右へ、入口右手の鉄格子を開く。
 中に入って数段おります。手前上に吊り上げられた落とし戸の下端が映りこんでいる。奥へ長い空間です。ゆるい半円アーチが横切っている。奥にもあります。向かって左側は段差が高くなって奥まで伸びている。
 編集長は何かの装置に、モデル二人は回転する台に縛りつけられています。回転台は石の少しだけ高くなった床の上にある。

 リックが寝台に横たえられています。別の部屋です。隣にはラウルの亡骸が寝かせてある。棘を生やした天蓋が降下してきます。間一髪で脱出する。
 第2拷問室では
モデルの背中に氷水を垂らしたり、また別のモデルを引き伸ばし機にかけたりしています。
 リックは廊下に出ます。右の壁に窓、奥に数段のぼる敷居のあるお馴染みの廊下です。背後から縞シャツが襲いかかり、格闘となる。二人はそのまま奥の敷居の向こうに行きます。
 吹抜の回廊に出てくる。下から見上げられます。
 また元の廊下に戻る。奥の左の扉から中に転がりこみます。控え室でした。カメラは上から見下ろしていたのが、床近くの高さに切り替わります。
 エディスが暖炉上の覗き窓から見ています。声をかける。話していると画面手前から弓が突きだされる。もう1人の縞シャツでした。手前にも入口があったということでしょうか。
 縞シャツが逃れたリックを追って廊下へ、右奥から出て左奥のカーテン扉に向かいます。出ると別の廊下です。奥に二重になった半円アーチが見えます。
 エディスは隠し扉の開け方を何とか見つけ、中に入る。
 第2拷問室です。編集長は鉄籠の中に入れられています。下に火をつけられる。向かって右の段差は輪郭にくびれがあり、手前の方で下への階段が数段おりています。エディスが入ってくる。


 リックは下降天蓋つき寝台の部屋に入ってきます。窓に向かう。縞シャツが追ってくる。
 下から二連尖頭アーチの窓が見上げられます。窓の向こうに中庭をはさんで鋸歯型胸壁をいただいた棟が見える。そこをリックが左から右へ進みます。いつの間にそこまで行ったのでしょうか。
 第2拷問室です。モデルの1人を助けようとしたエディスはしかし果たせず、捕まってしまいます。
 右から奥に鋸歯型胸壁のある屋上が伸び、折れて左へ、その先に少し高くなった角塔が控えています。リックは手前から奥へ、背を向けて向かいます。遠景には山裾が見える。
 中央奥から右手前へ鋸歯型胸壁が伸び、一階分低くなって左下に通路があります。遠景は山並みです。奥の左下には円塔、手前左下にも円塔があるようです。いずれも屋上は上階の鋸歯型胸壁より低い。縞シャツが上階の奥から飛び降り、下の通路を手前に進んできます。先の胸壁で下を見ている男の背に縞シャツは矢を射かける。男が転落するさまが下からとらえられます。

 第2拷問室です。エディスは半裸で台にうつぶせにされています。台は牛型で下の穴から火を投げこむようになっている。縞シャツが報告にやってくる。もう1人のモデルには熱した油か何かをかけています。
 別の真紅の処刑人が奥に現われる。トラヴィスはフードを脱ぎ捨てます。人形でした。リックが階段のあった奥から手前に進んできます。縞シャツは矢を射ますが、ふらふらと立ちあがったモデルに当たります。
 リックと縞シャツの格闘となる。手前上で半円アーチが枠取っています。リック対トラヴィスに移行するも、やはり半円アーチの枠どりは健在です。筋肉隆々たるトラヴィスにリックはとてもかないそうにありません。トラヴィスは髪を振り乱しています。トラヴィスは勢い余って毒塗り釘を生やした首吊り人形に抱きついてしまう。「私の完璧なからだに、私の純潔なるからだに」と呟いて倒れるのでした。リックはエディスに服を着せ、お姫様だっこして退出します。崖の上の城が下から見上げられるショットにエンド・マークが重ねられるのでした。右に噴水が見えます。


 それにつけても、やはり縞シャツたちは謎です。城主のためなら手を血に染めることも厭わない。下掲の西村安弘「ゴシックホラーにみる性的抑圧-マッシモ・プピッロ『惨殺の古城』をめぐって」が述べるように、ミッキー・ハージティ扮するトラヴィスに男性同性愛的なものが暗示されているとして、縞シャツたちは一種の友愛団ないし兄弟団のようなものだったのでしょうか。素性はお好みで解釈するとして、何よりあの格好を制服としている点こそが肝要なのでしょう。
 設定や筋運びにいろいろつっこみどころはあるにせよ、城内のいったりきたりはカメラの配置や動きと相まって充分にお腹のふくれるものといってよいでしょう。廊下はもとより階段も複数出てきますし、地下もあれば屋上まで活用されるのですから。

Cf.,  西村安弘、「ゴシックホラーにみる性的抑圧-マッシモ・プピッロ『惨殺の古城』をめぐって」、『イタリアン・ホラーの密かな愉しみ』、2008、pp.108-113

Cathal Tohill & Pete Tombs, Immoral Tales. European Sex and Horror Movies 1956-1984, 1995, p.38

Roberto Curti, Italian Gothic Horror Films, 1957-1969, 2015, pp.137-143

Jonathan Rigby, Euro Gothic: Classics of Continental Horror Cinema, 2016, pp.162-164
 2015/8/11 以後、随時修正・追補
   HOME古城と怪奇映画など惨殺の古城 1965