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ドラキュラ復活! 血のエクソシズム*
Scars of Dracula
    1970年、イギリス 
 監督   ロイ・ウォード・ベイカー 
撮影   モーレイ・グラント 
編集   ジェイムズ・ニーズ 
 美術   スコット・マクレガー 
    約1時間31分** 
画面比:横×縦    1.85:1 
    カラー 

VHS
* TV放映時の放題。手もとのソフトでは『血のエクソシズム ドラキュラ復活』。またDVDでは『血のエクソシズム/ドラキュラの復活』とのこと。
** [ IMDb ]によると、1時間36分
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 『ドラキュラ血の味』(1970)に続いてクリストファー・リーがドラキュラ伯爵を演じた5本目のハマー・フィルム作品です。監督は『バンパイア・ラヴァーズ』(1970)のロイ・ウォード・ベイカー。前作の脚本で同じような筋書きが前半と後半に繰り返される点に対し彼はインタヴユーで不満を述べていましたが(下掲の石田一編著、『ハマー・ホラー伝説』、1995、p.140)なぜか本作品も同様の構成からなっています。ちなみに脚本は双方チューダー・ゲイツです。もっとも顧みれば、ジミー・サングスター脚本の『吸血鬼ドラキュラ』(1958)がその祖型なのかもしれません。
 ともあれ前作との整合性は反故にして舞台はトランシルヴァニアのドラキュラ城に戻ります。空間の数や階段・廊下いずれも充分とはいえませんが、お城というただそれだけでお祝いすべきところでしょう。手もとのソフトは画質が芳しからず、原版には傷も残っているようで、きちんと見るのはまたあらためてとなってしまいますが、ご容赦ください。


 まずは城の全景です。夕刻でしょうか、遠目には正方形に近い城壁に囲まれています。城壁はけっこう高く、すみには尖り屋根の小塔がついている。また城壁の上辺は鋸歯型胸壁になっています。城壁内、左側に塔、その右に主棟、そして三角屋根の棟と続く。三角屋根の棟の右手には前後に重なる塔があるようです。城壁の下、左奥から手前へ道が大きな弧をなして伸びています。遠くには山並みがそびえる。
 夜になってカメラは近づきます。次いでさらに接近すれば、真ん中に尖り屋根の塔状の部分、その左右を少しだけあけて鋸歯型胸壁をいただくやはり塔状の部分がはさんでいる。右の塔は左のものより高く、円塔をなしているようです。3つの塔はほんの少し奥まってつながっています。中央の塔の上の方には窓があり、その中央を柱が区切っている。カメラが上から下へと舐めていくと、その窓の真下にもう一つ尖頭アーチの暗い窓のあることがわかります。カメラはかなり斜め上からのショットに換わる。
 下の窓にオーヴァラップして、石棺の上にひろげた赤い布が映される。赤い布の上には赤い粉が撒かれている。この赤い粉が『ドラキュラ血の味』から引き継がれた要素でした。蝙蝠が飛んできて口に含んだ血を赤い粉に垂らすと、雷鳴轟き、粉は骸骨に、やがて人型をなし、復活した伯爵が窓辺に立つ。この蝙蝠君は以後も大活躍するのですが、やはり唐突との感は否めますまい。クリストファー・リーが半分以上過ぎないと登場しないというわけでもないのも喜ぶべき点ではありますが、『凶人ドラキュラ』(1966)や『ドラキュラ血の味』での復活にいたる段取りを飛ばしてしまったのはいささか悩ましいところであります。

 昼間の野原を娘を横抱きにした男が歩いていく。娘の首筋には咬み跡が残っています。男は森を抜け村の酒場に入る。酒場の亭主をマイケル・リッパーが演じています。ここでの亭主は強気で、悪を滅ぼそうと村人たちを引き連れて城へ押しかける。その場に居合わせた神父(マイケル・グウィン)は止めきれず同行することになります。一行はまだ明るい森を行く。
 城の外観が映ります。冒頭での全景から、城壁の上部分のアップです。こちらはすでに暗くなっています。森から城門へは地続きでした。半円アーチの門が映る。木の扉が嵌めこまれ、その上3分の1ほどは縦格子になっています。格子の向こう、右下に胸壁(メルロン)が1つのぞいています。門の左右には2本ずつ付け柱の円柱が控え、亭主が左側の紐を引くと鐘が鳴って覗き孔から召使(パトリック・トラウトン)が顔を出す。
 くぐり戸を開けさせれば、前庭をはさんで向こうに鋸歯型胸壁が平行に走っています。胸壁の手前は少し高くなった壇をなし、左の方で手前に出た右下がりの階段が設けられています。胸壁は左の方で途切れているようです。その左には円形に放射する格子状の柵が見えます。この柵の機能はよくわかりませんが、クライマックスで重要な役割を果たすことでしょう。
 胸壁とその前の壇をさらに左へ行くと、胸壁と直角に壁が出ており、まず小さめの尖頭アーチの窓、壁が少しだけ奥まって半円アーチの窓となる。その左で壁は手前へ出ます。半円アーチの窓の前あたりに壇から降りる階段が来る。村人たちは窓のガラスを割って松明を投げこみます。
 半円アーチの窓のある壁は1階だけで、上は空になっているようです。階段の左側では壁はぐっと奥まり、中央の玄関扉をはさんで両側に尖頭アーチの窓がある。村人たちはここにも松明を放りこむ。
 カメラは引いた位置に変わり、画面手前に鋸歯型胸壁が大きく映ります。やや右下がりに見える。胸壁(メルロン)の上面が内側に傾斜していることがわかります。その向こうでは右に階段とその向かいの窓、少し引っこんで玄関周辺の窓がある。玄関の上にも窓があります。さらに左側が門で、門の上はゆるい三角をなし、その上は空です。斜めの角度だからでしょうか、門のアーチはかすかに下すぼみ、その左手の柱は斜めになっているように見えます。
 次いで城の全景となり、主棟や塔の上の方まで大きく炎上しているのでした。
 村人たちは引きあげ、教会内に待機させておいた女衆と合流すべく、教会の扉を開く。すると蝙蝠たちが飛びだしてくる。女たちは皆傷だらけで息絶えていました。傷のメイクアップはいささか誇張されています。蠟燭に血が滴り落ち、画面は赤で染められる。後の場面でも赤いカーテンだの赤い蠟燭だのと赤が強調されることでしょう。ここまでが約11分で、プロローグなのでした。

 町でサラ(ジェニー・ハンレイ)の誕生会が開かれています。町の名は後にクライネンベルクと知れます。サラに気があるのが弁護士の卵サイモン・カールソン(デニス・ウォーターマン)で、彼にはプレイボーイの弟ポール(クリストファー・マシューズ)がいる。ポールは写真が得意との設定なので時代は19世紀半ば以降、まだ馬車が主な移動手段の頃です。ポールは市長(ビュルガーマイスター)の娘とよろしくやっていましたが、誕生会に出ようとするところですったもんだの目に遭い、町を逃げだす羽目に陥ります。ちなみに市長邸の玄関間は石の階段に2階回廊のある豪勢なものでした。
 飛びこんで走りだした馬車は関所破りします。『吸血鬼ドラキュラ』の同様の場面が思いだされるところです。発砲されたので国境でしょうか。馬車は森に駆けこみますが、そこで転落し、歩いて村にたどり着く。真っ暗です。酒場の2階の窓から顔を出した娘(ウェンディ・ハミルトン)-後に名前はジュリーとわかります-が対応してくれますが、亭主に追いだされる。なおジュリーは他所から来たとのことで、この村では日が暮れるとどこも店を閉める、隣村は10マイル(16キロ)先、あるのは城だけだという。
 ポールは森の中で止めてあった馬車に乗りこみ、眠ってしまいます。召使が戻ってきて馬車を駆る。蹄の音が石畳を踏むそれに変わったあたりでポールは目を覚まし、外を見れば石壁の前で鴉らしき石像が台座の上にのっています。画面奥に城門があり、馬車を降りてまわってくると階段つきの壇の前に出ます。カメラはポールの動きとともに左から右へ振る。ポールはその前を横切り背中を見せて進む。こうしたパターンはハマー・フィルムの作品で幾度となく見かけたものですが、別に専売特許であろうはずもなく、他のジャンルでもきちんと見れば見つかるのでしょう。ただ定番化しているとはいえ、古城をうろつくのを撮るにもってこいのやり方ではあり、それでちょいちょい用いられたのかもしれません。
 ポールは階段をのぼり、壇上を右へ行きます。カメラもそれを追う。足を滑らせ下を見れば、遙か下まで絶壁でした。この構図は後にもくりかえし登場することでしょう。蝙蝠に襲われ目を上げると女(アヌーシュカ・ヘンペル)が立っている。後にタニアという名だとわかります。彼女に案内されて玄関扉へ向かう。

 城内は復旧されていました。玄関広間にはテーブルが置かれ、少し進むと左に広いアーチがあります。その奥には半円アーチが2つ並んでおり、中央を柱で区切られています。室内の壁は石造りで、手もとのソフトでは緑がかって見える。
 最初のアーチをくぐって左から右へ進む。手前には長テーブル、奥の壁には大きな綴織がかかっています。さらに2連アーチの柱の向こうを右へ入ると、突きあたりに暖炉があります。画面奥には半円アーチの扉がのぞき、そこへタニアが入ると向かいはすぐ壁になっている。暖炉の右には紅のカーテンがかかっており、さらにその右の壁には円形で銀色の盾のようなものが飾ってある。ポールがそれを見ていると背後から伯爵が声をかけます。盾の先で壁は右に折れ、大きな窓がある。その右の方は手前に柱が立っていて、上はアーチをなしています。その下に酒棚があって、伯爵はポールにワインを勧める。普通に会話する伯爵は『吸血鬼ドラキュラ』以来となりますが、そちらで登場した時のようなはきはきした快活さはなく、今回の伯爵は沈鬱です。城が破壊される前は客を歓迎したものだが、今は残骸だという。感情を表に出しはしませんが、憤懣やるかたないようです。気持ちはわかります。歴史的経緯はいろいろあることでしょうが、古城は壊さないでいてもらいたいものです。
 紅のカーテンの奥から召使が現われ、ポールを部屋へ案内する。2人になったところで伯爵はタニアに咬みつきます。
 ポールが通された部屋は割と居心地が良さそうです。壁には板を貼ってあります。ベッドには天蓋があり、黒い捻れ柱と紅のカーテンつきです。扉の向かいが窓に当たり、左右にやはり紅のカーテンが垂らしてあります。その手前の卓の上に鏡が置いてあり、そこに赤い蠟燭の燭台が映っています。もとの燭台はベッドの前のテーブルに配されている。
 タニアが入ってきて、窓から聞こえてくる狼の鳴き声に注意を促します。残念ながら夜の子どもたち云々との台詞はありませんでしたが、彼らは自由だ、自分はここに囚われている、お願い助けてと言う。『吸血鬼ドラキュラ』での同様の場面が思いだされるところです。
 2人は情交におよび、やがて明け方を迎える。赤い蠟燭は短くなっており、赤いカーテンが画面を覆い尽くします。窓の前の鏡には右に赤のカーテンが、左5分の3ほどは暗く、真ん中に青い光のようなものが映っています。まずは眠る2人、次いでタニアが目覚め、優しくポールに微笑みかける。しかし彼の首筋を見る内に微笑みは消え、舌を舐めれば、牙をのぞかせるのでした。おっとりした感じだった顔が下から眺められると、目は上向きの半月形をなし、蛮性をあらわにします。なかなか迫力があります。
 と、いきなり伯爵がカーテンを開き、飛びかかるポールを放り投げた後、タニアに何度もナイフを突き刺し、そしてかがみこむ。〈花嫁〉と最初の主人公との交際に割ってはいるのは『吸血鬼ドラキュラ』と同じですが、滅多刺しというのは面食らわせられます。『帰って来たドラキュラ』(1968)以来、『ドラキュラ血の味』でもそうでしたが、伯爵は〈花嫁〉たちを使い捨てにするということになったのでしょうか。
 ポールは部屋に閉じこめられ、窓から下をのぞけば絶壁です。ベッドの赤カーテンをつないでロープにし、窓の中柱に結びつけて真下の尖頭アーチの窓におります。ロープが召使によってたぐりあげられ、慌てるもこの部屋には出口がありません。この時点で柩の蓋は開いています。
 一方村の酒場へ警官が2人やってきます。クライネンベルクからの手配でポールを探している。ジュリーはずっと先の城に向かったと告げる。警官たちは城のことは知らなかった様子でした。
 城では召使が鋸を手に客室へやって来ます。口笛混じりです。ポールが残したサラの写真入りペンダントを見つけます。ここまでで約44分弱でした。

 以下第2部となります。サイモンとサラが馬車に乗せてもらって村へ着く。馬車の主は問題のある村だ、さっさと帰った方がいいと忠告します。酒場の亭主は2人が通りすがりだと聞くと歓迎しますが、ポールを探していると知って態度を変えます。マイケル・リッパーの面目躍如たる場面です。他の客たちも2人をじっと見る。ジュリーが城は村を出てどこまでも山へ向かった方だと教えてくれます。
 2人は森を行きます。まだ昼間です。2人を蝙蝠が見ています。
 城では召使が自室でペンダントを眺めています。彼の部屋は石壁の狭いもので、奥の壁の上の方に格子窓が開いています。ガラスはないようなので風がすうすう入ってきそうです。


 暗くなった頃2人は城門から入ってきます。画面手前に鴉像が大きく配されています。サイモンはポールと同じく壇に上がって下の絶壁をのぞきこむ。蝙蝠に追われて2人は屋内に逃げこみます。蠟燭はすべて赤色です。
 2人がへたりこんでいると伯爵が現われ、サラにワインを渡します。カメラは左から右へ動き、その途中で通路の入口が見えます。両脇には赤カーテンが垂らされています。魅入られたようなサラを伯爵は抱きあげ、カーテンの間の入口を入ってすぐ右へ折れます。
 2連アーチの右にあるやはり半円アーチの扉から召使が出てきます。以前タニアが入っていったところです。2連アーチの左には綴織。
 その間サラを抱いた伯爵が客室の前に出ると、扉は勝手に開きます。ベッドの赤カーテンは元通りになっている。伯爵はいったん退出、手前に大きく赤蠟燭群が映っています。
 召使はサイモンにドラキュラ家はこの国で最も古い家柄だと言います。戻ってきた伯爵はサイモンにワインを勧める。
 夜の城を遠くから眺めたショットを経て、寝返りを打つサラが映されます。カメラが左に動くと、画面は赤カーテンでいっぱいになる。そのカーテンをかき分けて指がのぞきます。伯爵はしかし、サラの胸もとの十字架に顔を背ける。ベルを鳴らせば召使が駆けつけますが、彼はサラがペンダントの写真のモデルだと気づきます。「十字架を!」、「いやだ!」と出ていってしまう。
 朝の窓が映されます。手前の鏡にはやはり右に赤のカーテンが、左5分の3ほどは暗く、真ん中に青い光のようなものが見える。朝の広間をサイモンが進みます。玄関扉の右の窓の先で壁は手前へ折れ、そこに扉がある。そこを入れば暗い廊下です。サイモンは左奥から現われて手前に曲がります。左手の壁に扉があり、そこが召使の部屋でした。召使の背中には鞭打たれた跡が残っています。
 暗くなった広間をサイモンとサラは抜け、召使が用意しておいた馬車で村の酒場へ向かうのでした。


 亭主には例によって疎んじられますが、酒場にいた神父と2人は教会に行きます。今は村人も教会には寄りつかないという。『帰って来たドラキュラ』と同様の状況でした。
 他方村人たちの態度に愛想を尽かしたジュリーは村を出ていくといい、亭主が経緯を告白します。マイケル・リッパーが苦渋をこめます。奴は動物を支配するとのことです。
 城では伯爵が召使に罰を与えています。サディスティックな描写で有名な場面ですが、むしろ召使が唯々諾々と背中をさしだすのが興味深い。
 ジュリーは森を歩いている。それを蝙蝠が伯爵に報告します。ポールの時同様、一見御者のいない馬車に乗りこめば城へ連れ去られるのでした。
 翌日サイモンと神父が森を城へ向かいます。道中蝙蝠を見た神父はサラの残る教会へ戻ります。本作品はいくつかの点で『吸血鬼ドラキュラ』をなぞっているのですが、ここにおいてヴァン・ヘルシングの不在が印象づけられたことでした。


 サイモンは城に着き玄関扉をノックします。そこで初めて(?)召使の名がクローヴだと知れます。約1時間16分です。クローヴ Klove の名は『凶人ドラキュラ』でも伯爵の僕に与えられていました。ただしあちらではあくまで忠実でしたが、こちらでは必ずしも一枚岩の関係ではないようです。
 サイモンは客間の窓から下の「主の寝室」におります。クローヴによれば窓以外に出口はないという。サイモンはテーブルを壊して杭にします。しかしクローヴはロープを切ってしまう。何とか窓から滑りこんだサイモンは杭を打とうとする。雷鳴が轟く。伯爵は目を閉じているのですが、その瞼に赤い眼が重なります。
 その頃教会では神父が蝙蝠に襲われて息絶えてしまう。教会の祭壇には大きな木の十字架があったのですが、蝙蝠には効き目がない。
 気を失なっていたサイモンが目を覚ますと柩はもぬけのからです。振りかえると奥の壁にポールの屍が吊されています。伯爵は壁をよじ登って上の窓へ行きます。
 サラが森から城へ着く。玄関広間を抜けてアーチの向こうへ進む。手前に大きく椅子の肘掛けが映っています。サラは奥から手前へ、肘掛けの前を通って左へ行く。赤カーテンを開くと石壁の廊下です。右奥から現われ手前へ来れば、右側に扉があります。この廊下は玄関入って左の扉からクローヴの部屋に通じていたものと同じセットを用いたのかもしれません。
 さて、扉は客間への入口です。この間ずっと雷が鳴っています。伯爵が扉を背にしている。稲光で連鎖する円の桟の影が投げかけられます。押しのけられたクローヴは、サラを救うべく窓からロープを垂らします。
 サラは前庭まで逃げてくる。十字架を手にしていますが、伯爵が合図を送ると蝙蝠が飛んできます。蝙蝠の背後には屋根が焼け落ちた塔の先端が見えます。他方サラの背後にはプロローグでも映った放射状の柵があります。足もとには霧がたなびいている。風の音も唸ります。
 クローヴは止めようとしますが、城壁の外へ投げ落とされてしまいます。サイモンが駆けつけ放射状の柵の1本をねじとって伯爵に投げつける。伯爵の背後は暗く、マントも黒で、顔と手もとだけが明るい。伯爵は腹に刺さった柵を引き抜いて振りあげる。そこに落雷するのでした。伯爵は柵を投げ捨てますが、すでに火が腕に移っています。これはまったくの偶然であって、サイモンの努力の賜物とはいいがたい。
 城壁を落ちていく火だるまの伯爵が引きでとらえられ、抱きあう2人を経て、城の外観となります。その上半は緑を、下半は赤みを帯びています。そこにエンド・クレジットがかぶさる。ジェイムズ・バーナードの音楽もここでは普段と雰囲気が違っていました。


 なおロイ・ウォード・ベイカーは4年後、ハマー・フィルムのドラキュラもの最後の作品となった『ドラゴン vs 7人の吸血鬼』(1974)を監督しています。ドラキュラ役はクリストファー・リーが降板してジョン・フォーブズ・ロバートソン。『バンパイア・ラヴァーズ』で謎の黒幕「黒衣の男」を演じた人です。ヴァン・ヘルシング役でピーター・クッシング(カッシング)が出演しました。カンフー・アクションと怪奇映画を合体させた作品です。たしか冒頭でトランシルヴァニアのドラキュラ城、中国に舞台が移ってからも吸血鬼たちのアジトがお城風味だったかと思いますが、手もとにソフトなり録画したものがないので、確認はまたの機会に譲りましょう。
Cf.,  石田一編著、『ハマー・ホラー伝説』、1995、p.182。

石田一、『ハマー・ホラー写真集 VOL.1 ドラキュラ編』、2013、pp.54-63。

The Horror Movies, 4、1986、p.63

菊地秀行、「我がドラキュラ映画の時代(後篇)」、『妖魔の宴 スーパー・ホラー・シアター ドラキュラ編 2』、1992、pp.286-287

ジョン・L・フリン、『シネマティック・ヴァンパイア 吸血鬼映画B級大全』、1995、pp.101-102/no.054

Jonathan Rigby, English Gothic. A Century of Horror Cinema, 2002, pp.173-174

The Christopher Lee Filmography, 2004, pp.220-223
おまけ Hammer. The Studio That Dripped Blood!, 2002
2枚組の1枚目3曲目が
"The Scars of Dracula - Love Theme"
5分18秒。

 2015/2/27 以後、随時修正・追補
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