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帰って来たドラキュラ *
Dracula Has Risen from the Grave
    1968年、イギリス 
 監督   フレディ・フランシス 
撮影   アーサー・グラント 
編集   スペンサー・リーヴ 
 美術   バーナード・ロビンソン 
    約1時間32分 
画面比:横×縦    1.85:1 
    カラー 

DVD
* 手もとのソフトの邦題は『帰ってきたドラキュラ』
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 『吸血鬼ドラキュラ』(1958)、『凶人ドラキュラ』(1966)に続いてクリストファー・リーがドラキュラ伯爵を演じた第3作で、フレディ・フランシスが監督をつとめています。『フランケンシュタインの怒り』(1964)のところでも記しましたがフランシスはカメラマンとしての評価は揺るぎないものの、監督としては残念がられることが多いようで、本作品もご他聞に洩れません。とはいえジェイムズ・バーナードの音楽はいつもどおりの部分に加えてタイトル・バックのように変化をつけた部分も欠いてはいない。バーナード・ロビンソンは今回 supervising art director とクレジットされており、これまで art director としてコンビを組んできたドン・ミンゲイの名は挙がっていません。プロダクション・デザインと美術監督の仕事の振り分けはよくわかっていなかったりするのですが。ともあれ本作におけるドラキュラ城の位置については後に述べるとして、主な舞台となる町の通りと家々の屋根付近、酒場の地下室のそのまた奥の部屋のセットなどは雰囲気を出してくれています。
 また石田一は『モンスター・ムービー』(1998)で、「色彩設計がこれまでの作品とは異なり、ブラウン系の渋いトーンに統一されている。また、ドラキュラが登場するシーンでは、画面の四隅がドーナッツ状に黄金色に輝き、独特のファンタジックな雰囲気を漂わせている」と述べています(p.173)。

 青と赤がもやもやとにじむクレジット部分を経て、まずは森を自転車で走る青年の姿から始まります。青年は村の教会に入っていく。画面左手前に枝付燭台が大きく映り、その向こう右寄りに扉があるのですが、これが緑で、あちこちに鋲の明るい点が打たれています。青年の動きとともにカメラは左から右へ動く。まず柱は台座が緑で柱身は黄がかった白に見えます。その右手、奥には鉄の螺旋階段がある。床は暗灰色に白の斑入り大理石。右の方に祭壇があり、中央で2段ほど上がるようになっています。登り口の左右の欄干は下の方が緑で、下部の細い列柱は金色、欄干の上の柱は床と同じ斑入りの白大理石です。柱頭は金色。奥の祭壇の台座はやはり斑入り白大理石で、上方が緑になっています。上にはステンドグラスがある。離れた位置に同じ色彩を配して呼応させるという基礎的なデザインが活かされていました。席の数はあまり多くなく、小規模な教会でもあれば村でもあるのでしょう。
 青年は螺旋階段の左にあるロープに手を伸ばします。ロープは鐘を鳴らすため、螺旋階段は鐘楼にあがるためのものだとわかります。ロープから血が垂れている。螺旋階段をのぼる青年がまず上から、次いで下からとらえられます。
 教会に着いたばかりの神父(イアン・フーバー)は叫び声を聞いて急いで堂内に入ります。画面手前に螺旋階段が映り、向こうで神父が扉を開く。次いで階段を青年が駈けおりてきます。今度は螺旋階段をのぼる神父がまず上から、次いで下からとらえられる。鐘楼内が下から見上げられたと思うと、床に落ちた血が上からアップになる。血の跡をたどると鐘の内側から始まっていて、逆さ吊りにされた娘が飛びだすのでした。娘の首筋には咬み跡がついている。なお本作ではこれまでに比べて、吸血鬼の咬み跡がやけに大きくなっています。

 この地区を管轄する司教(ルパート・デイヴィス)が馬車で森を進みます。日本語字幕によればドラキュラが葬られてから1年がたち、惨劇の起きた谷間の村へ視察に来たというのです。ちなみに上のプロローグ部分がいつ起きたのかははっきりしません。前作である『凶人ドラキュラ』だけとれば、そのさらに10年前にヴァン・ヘルシングによって伯爵はいったん滅ぼされており、復活後は忙しくてそれどころではなかったはずです。しかもすぐに封じられてしまいますから、その間のこととは考えにくいのですが、後の城の地勢でも見られるように続篇で設定が変わるのはよくあることなので、目くじら立てるのは控えておきましょう。
 さて司教が教会に立ち寄ればずいぶん荒れた様子で、螺旋階段には蜘蛛の巣がかかっています。口がきけなくなっていた青年に案内を請うて酒場で神父を見つける。そこで神父やまわりの村人たちに伯爵は1年前に滅ぼされた、日本語字幕によればまた、「奴の棺は谷川の流れに消えた」ことを念押しする。この点は前作のプロローグでのアンドリュー・キーア扮する神父の立場の変奏と見なせるかもしれません。
 対するになぜ教会に集わないのかと問われた際の村人の答えが面白い。それは影のせいだ、夕暮れごとに城の影が教会に落ちるからだというのです。神父も村人の言う通り、「城は今も邪悪だ The castle is still evil」と肯う。そこで司教は翌日、その後誰も登っていないという城へ行くことにし、神父に案内を頼みます。
 翌朝、教会の祭壇の前で祈っている人物の背が映ります。画面は朝の赤い光に浸されている。左手前に装飾的な曲線が張りだしており、そこに手がかかります。神父でした。曲線は螺旋階段の一部です。祈っていた司教は祭壇の大きな十字架を取り外すのでした。

 十字架を斜めに背負って森を進む司教の背が後退するカメラによってとらえられます。カメラは上からのショットと下からのショットを交互にしながら二人を映します。やがて二人は岩山をよじ登りはじめる。神父は疲れからか怖れからかへたばってしまいます。彼を残して司教は進む。やがて山上の城が見えてくる。最初のカットではほとんど岩山と一体化しているように見えました。下の方で霧がたなびいています。さらによじ登る司教をカメラは下から見上げる。
 カメラが水平になると、左下に十字架を背負った司教の背が奥へ進み、右に岩盤の上の城が映ります。『フランケンシュタインの怒り』のラストに続く城の外観と人物の合成であり、金の十字架とあわせてとても印象的な構図でした。城はゆるく右上がりの高い城壁の上に大きな塔2本と細めの塔1本、その間にはさまれた主棟からなり、かすかに紫がかった茶色をしています。城の下はおそろしく大きな岩々からなる。向こう側には青みがかった遠い山並みが控えています。
 登ってきた司教が目を上に向けると、より近づいた外観がかなり急角度で見上げられます。左にこちらを向いた壁がそびえ、破風や煙突をいただいている。窓はごく小さなものが二つほど見えるばかりです。角度を斜めにしてその右側に別棟が接しています。下の方に水平に伸びる手すりらしきものがあり、そこが入口のようです。壁の右下の方には支え梁があります。壁は暗いグレーで岩盤は赤みがかかり、凹部で反射しています。空は暗緑色になっている。
 先ほどの水平に伸びる手すりがより近づき、横からとらえられます。画面左側から数段のぼり、手すりが右へ伸びる。手すりの左端は上に壺状の置物をのせています。手すりの向こうに大きなアーチがあり、木の扉を擁している。扉には鉄で曲線の装飾が施されています。また前面に斜めに長い板がかましてある。司教は左の階段をのぼります。画面左手前には赤茶の岩、右手前にはシルエットと化した灌木が映りこむ。
 司教は扉の方へ向かいます。壁は左で黄を帯び、右の方では緑がかる。扉はくすんだ赤茶で、早朝の教会もそうでしたが、照明によるであろうこうした色彩設計はこの後も随所で見られることでしょう。
 司教が扉の前で式文を唱えると雷鳴が轟きます。背中の十字架と扉の装飾の右下の一部がともに金に輝く。装飾の他の部分は黒っぽい。少し引きになると、金色に光った装飾の部分は銀灰色になります。
 下にいた神父は雷に怯え、転げ落ちてしまう。ずっと手前で待っていたはずですが、いつの間にか進んできていたのでしょうか。額から血が流れています。落ちた先の岩の間は氷に覆われており、その下に前作で氷に落とされた伯爵が眠っているのでした。ただし位置関係は変えられています。神父が肘をつくと氷に罅がはいります。気がついて割れ目の下の水を顔にかける。と水面に人の顔が映っている。ふりかえれば少し離れた石の上に伯爵が足をそろえて立っています。やっぱりクリストファー・リー扮するドラキュラはさまになる。
 扉で輝く金の十字架が映されると、手前右から伯爵のアップが突きだし、ただちに顔を背けます。そして左から神父の顔を引き寄せて、誰がこんなことをしたのかと問い詰めるのでした。前作ではリーは一言も発しませんでしたが、今回はぽつぽつと台詞があります。

 さて、ここまでで約22分です。前作で伯爵が氷に沈んだ位置と城との距離や、そもそも城の形自体大いに違っていることは問いますまい。後者については前作と前々作でも同じではありませんでした。古城映画的に問題なのは、ここで城が封印されたため、それが解かれなければ城内には入れないという点でしょう。そしてこの状況はラスト近くまで続きます。そこでいささか深読みすれば、入ることのできない城こそが本作の主題ではないかと見なせるかもしれません。『吸血鬼ドラキュラ』のところでも記したように、それはあたかもカフカの『城』のごときで、あるいは『少女革命ウテナ』(1997/4-12、監督:幾原邦彦)を思い起こすこともできるでしょう。
 そうと考えれば、城に行くために岩山をよじ登らなければならないというのも筋が通らないとも言い切れなくなります。クライマックス近くで前々作および前作と同じくヒロインをかっさらった伯爵は馬車を飛ばして城へ向かうのですが、途中で乗り捨てその後は徒歩になるので、本作での設定はそうなっているということなのでしょう。司教と神父にしても、司教は馬車で村へ来たのだから、描写はされないものの途中まで馬車で来たと見なすのが自然なはずです。そこから先は歩きの方が早いということでしょうか。それでも早朝に出て日没までかかったことになる。
 普通にとれば、どうやって建てたんだという話になります。あるいはいずれかの時点で道が崩れてしまったと解することもできるでしょうし、それ以上に脚本がそこまで詰めていないだけという可能性の方が大きいという気もしたりもしますが、その上で、城がたやすくは到達できないことを強調するというイメージが先行したのだというと、いささか強弁の感なしとせざるをえないのでしょうか。主が不在でも城の落とす影が不吉さを感じさせるという点も、城の超越性を物語っています。

 さて、一件落着したと思った司教は自宅のある町に戻ります。日本語字幕には町の名は出ませんでしたが、[ IMDb ]のプロット・シノプシスによるとクラインベルクとのことです。町には教会が6つあるというので、そこそこの規模の町なのでしょう。司教は兄の未亡人であるアナ(マリオン・マシー)およびその娘マリア(ヴェロニカ・カールソン)と暮らしている。マリアの恋人ポール(バリー・アンドリュース)は学生で、酒場で住みこみで働いています。酒場の亭主でパン焼き職人マックスをマイケル・リッパーが演じています。今回はいたって気のいいおやじ役でした。酒場では通いのジーナ(バーバラ・ユーイング)が給仕をしていて、以上が本作の主要な登場人物です。また司教邸と酒場が主な舞台になります。クライマックスまで城には戻らないので手短かに行きたいところですが、それでも最初にふれたように面白い空間いくつかや色彩の処理が見逃せません。


 まずマリアとポールが司教邸に向かう際に通る路地。手前・上をアーチが縁取り、向こうの両側に石造りの家が並んでいます。家の輪郭に曲線の凹凸のあるのが目を引きます。画面は青みがかったグレーに浸されている。
 次いで森を走る馬車が右奥から手前へ進んできます。シルエットと化した木々の間で、空は橙色、地面は青く染まり、その間は緑、緑の上にレモン色という配色があざやかでした。

 マリアは自室のバルコニーに出ます。ここからが本作で古城内空間が封じられた分を肩代わりする見せ場の一つです。これは以後も変奏されることでしょう。バルコニーの手前左寄りには矢尻型の煙突(?)がシルエットとなっている。左端は段差のある壁です。バルコニーの欄干は左右が胸壁で、その間を金属の手すりが渡している。欄干の上・左右には短い円柱が2本ずつで柱頭を支えています。
 マリアは手すりを乗り越え、屋根伝いに進みます。いくら恋人に会うためとはいえそこまでするかというところですが、ここが本作の山場を盛りあげる舞台なのですから不問に付しましょう。瓦屋根や屋根近くのヴェランダの間を抜ける。急斜面をなす板屋根の下にある狭い張り出し部分を伝わるさまがかなり上から見下ろされます。さらに凹型に曲がる張り出しを伝っていけば、かなり下に町の家々の屋根が連なっています。その先がポールが住みこむ酒場の上階に設けられた窓の前となります。窓の左や上の柱、アーチが曲線を描いています。右手前にはシルエットと化した樋か何かが上から垂れさがっている。マリアが窓から入ると廊下で、すぐポールの部屋の扉があります。


 ジーナは夜の町を帰っていく。アーチや方形の暗がりがいくつもある石造りの家が並んでいます。次いで川沿いの森の道に出ます。『吸血鬼ドラキュラの花嫁』(1960)を始めとしてお馴染みの眺めです。すると黒い馬車に追っかけ回される。走って逃げると馬車はそのまま行ってしまい、ほっとしてよろめきながら木の幹に手をかけ、幹を支えにくるっと回れば、正面には木の幹、その向こうに伯爵の背が見えるのでした。ジーナの回転に呼応するかのように、伯爵はジーナの左から背後に回り、それから振り向かせます。

 神父は酒場の地下室のパン焼き工房におり、さらにその奥にある扉へ入っていく。先には鉄格子をはめた扉があります。水がぽたぽた落ちる音がします。扉を開けると上にアーチがあり、その下を数段おりる。暗い石の壁で、左にも鉄格子がのぞく。石の台の上に柩の置かれているさまが、上から見下ろされます。柩の奥の壁の上の方から鉄格子の影が落ちている。柩の向こうにはゆるい曲線のアーチがあり、その奥は低い水路になっています。突きあたりの壁は薄緑に染まり、画面左端は赤みを帯びている。

 酒場と地下室の間の廊下には、奥に右上がりの階段があり、下方で手前へ折れています。
 ジーナが柩をおいた部屋に入る。柩は開いており、左の壁に蓋が立てかけてある。蓋は真っ黒に見える。その前に重なるようにいた伯爵が右へ出ます。左後方は黄を帯び、そのさらに左、および右の方も赤く染まる。窓の下は青緑です。伯爵のアップが下から見上げられる。背後には奥まった窓があり、その前、上、右に格子の影が落ちています。
 酒場の場面を経て、また伯爵が下から見上げられます。下手前に柩が斜めに配され、今度は蓋が閉まっている。左と右は赤みを帯び、窓が奥の天井に位置し、格子のはまっていることがわかります。
 ポールは地下のパン焼き場にいるとジーナに言われてマリアがおりてきます。画面の奥には右下がりの階段があり、下で手前へ折れています。上にはゆるい曲線のアーチがある。階段の右には奥への出入り口があり、その手前右の壁には窓が設けられている。奥の出入り口からジーナが現われてマリアの頭に袋をかぶせます。
 そのままジーナはマリアを向かいの扉に引きずりこみ、奥の廊下に入る。扉の正面はすぐに壁で、前に低い壜棚が置いてあります。向かって右は奥への出入り口で、こちらもすぐ壁になる。左下に樽が置いてある。向かって左が柩の部屋への扉です。扉の右の壁には梯子が設置されています。
 しかしマリアは何とか逃げ去ります。しくじったなと伯爵はジーナに迫る。ジーナはうっとりと首筋を差しだしますが、いざ直前に悲鳴を上げます。わざと催眠を解いたのでしょうか?
 神父がおりてくると伯爵が横たわる柩は蓋をはずしてあり、脇に立てかけた蓋をどけてみれば、目を見開き口から牙をのぞかせたジーナの姿がありました。伯爵は柩の中から神父に「彼女を滅ぼせ Destroy her」と言います。冷酷無惨です。今回はマリアにしか用はないということでしょうか。

 マリアを送ってポールが屋根伝いの道を逆に辿ります。やや短縮ヴァージョンです。
 マリアの部屋に伯爵が入ってくる。招きの言葉は発せられていませんが、マリアの了承済みということでしょうか。伯爵の左は赤みを帯び、中間は緑がかった青、右は黄で、背後の上だけ橙色です。切り換えしたマリアの周辺に赤みは見られません。
 ポールの屋根裏部屋の斜め窓は赤紫に染まっています。
 伯爵の訪問二夜目です。バルコニーの向こうには青い山並みが見えます。いざ事に及ぼうとしたところへ司教が入ってきて、その手の十字架を目にして伯爵は窓を突き破って退散します。バルコニーの欄干周辺は青灰色で、右の窓は黄緑、左の壁はくすんだ赤茶です。やはり手前には矢尻型柱のシルエットがあります。伯爵は手すりをひらりと飛び越える。司教は彼を追い瓦屋根や屋根近くのヴェランダの間を抜け、狭い張り出し部分を進みますが、角に隠れていた神父に殴られてしまいます。


 司教が亡くなるなどの経緯を経て、ポールは神父とともに地下の柩部屋を訪れ、伯爵に杭を突きたてる。神父は祈りを唱えろといいますが、無神論者のポールにはできず、伯爵は胸の杭を投げ捨てる。
 伯爵を追ってポールは窓から屋根伝いの経路に向かいます。他方マリアも逆から屋根径を進んでくる。途中で伯爵が待っています。背後右の瓦屋根はくすんだ赤で、右下の壁には緑の光、右上の空とまわりの壁は暗い青灰色です。伯爵は向かってきたポールを投げ落とす。落ちかけるさまが上から見下ろされます。伯爵の横顔がアップになると暗緑色に染まっています。背後の空は赤みを帯びている。伯爵は「わが復讐は成就した Now my revenge is complete」と言う。背後は暗い紫でした。


 ポールが馬で森を抜け、村の酒場に飛びこみます。伯爵は滅んだはずだと言う村人たちはしかし、馬車の音を聞いて扉に閂をかけます。放っておけばわしらに手は出さんとのことです。ポールは振り切って飛びだす。口のきけなくなった青年が彼に道を教えます。
 一方伯爵はマリアを横に、柩を乗せた馬車を駆りたてます。伯爵は黒マント、マリアは白衣で対照が効いている。馬車を止めるとその先は歩きです。後ろに神父もつかまっていました。伯爵は裏切った神父に対してなぜか寛大です。人間の手下が必要だからでしょうか。
 岩場にさしかかると伯爵はマリアを抱きあげます。かっこうがいい。そして約1時間27分、やっと城の玄関前へ帰還するのでした。

 伯爵はマリアに扉を封じる十字架を欄干の下へ投げ捨てさせます。十字架は下方で地面に突き刺さって立つ。扉を開けようとしているところへポールが駆けつけます。格闘になりポールを欄干の外へ放りだそうとするや、力余ったのか自分も落ちてしまい、背中から下の十字架に貫かれるのでした。
 たどり着いた神父が上から見下ろされます。神父は祈りを捧げる。満月です。神父は力尽きる。今回の実質的な主役はこの神父なのでしょう。下方の十字架は血まみれになり、マントだけが引っかかっています。

Cf.,  石田一編著、『ハマー・ホラー伝説』、1995、pp.180

石田一、『ハマー・ホラー写真集 VOL.1 ドラキュラ編』、2013、pp.34-43

The Horror Movies, 4、1986、p.61

菊地秀行、「我がドラキュラ映画の時代(後篇)」、『妖魔の宴 スーパー・ホラー・シアター ドラキュラ編 2』、1992、pp.273-275

ジョン・L・フリン、『シネマティック・ヴァンパイア 吸血鬼映画B級大全』、1995、pp.98-99/no.052

Peter Hutchings, Hammer and Beyond. The British Horror Film, 1993, pp.124-125

Jonathan Rigby, English Gothic. A Century of Horror Cinema, 2002, pp.153-154

The Christopher Lee Filmography, 2004, pp.184-187

Derek Pykett, British Horror Film Locations, 2008, p.44
おまけ Hammer. The Studio That Dripped Blood!, 2002
2枚組の1枚目4曲目が
"Dracula Has Risen from the Grave - Finale / Dracula and the Crucifix"
5分24秒。

 2015/2/20 以後、随時修正・追補
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