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設楽知昭展展評他 - 追悼に代えて

 2021年7月27日、設楽知昭(以下敬称略)が亡くなったと、『OUTERMOSTNagoya』の記事(2021/8/3)で知りました(→こちら)。1955年生まれ、享年66歳。
 その作品に初めて出会ったのは1989年くらいになるのでしょうか。作家本人と話す機会はあまりなかったのですが、その作品は何やら気になるものであり続けました。うんうんよくわかる、これなんだよこれ、というわけではありません。それどころかいつも何か、咀嚼しきれないところがあってすっきりせず、落としどころがみつかるどころか、落とし穴だらけのようなのでした。《鏡ヨリモノタイプ(・・・・・)》を始めとして、作家のコメントなどで制作過程などを読めば、ああなるほど、と思いはするものの、だからといってあらためて作品に向かってみた時、作品自体に宿る、すすっとすり抜けてしまう表情が消えきることはありませんでした。
 発表を全て見てきたわけでもなく、ましてや原稿に書く機会があったのはほんの一部にすぎません。一点一点の作品を具体的に記述しようとして四苦八苦するのはいつものこととはいえ、いつも以上に四苦八苦するさまが、制約を受けた一個人の視点であるかぎりで、作品自体に宿る摩訶不思議さを、多少とも思い起こすためのきっかけくらいにはならないでもないかもしれないということで、展評類およびそうした記述を含む原稿を載せて、追悼に代えたく思います。
 先に掲載してあった「剣に生き・剣に斃れ 剣に生き・剣に斃れの巻 - 続・影分身縁起」(2002)を含め、何やかやで都合5本。目次の下に、目にする機会のあったものにかぎられますが、各頁の"Cf." に載せたもの以外で、これらの原稿より作品の理解に役立つテクストを、必見の秋庭史典『絵の幸福 シタラトモアキ論』(2020)を始めとして幾つか挙げておきますので、それらへの露払いということで - ファイルにはさんであってよく憶えていないものの、佐久島での『設楽知昭展 佐久島の恋』(2004.5.8-7.18)の際にもらったか買ったかしたのでしょう、「となりのおみせ あいち、みかわ。佐久島」と朱色のはんこを押した紙袋に入っていた、一方に"SAKUSHIMA / FOLIOS"と記された二点の図版を、裏をあわせて軸をはさみこんだ竹とんぼ風"THAUMATOROPE"(ソーマトロープ)をくるくる回しながら;

 2021/8/17
ガラスを割れば痛い 設楽知昭展 A&C、no.11、1990.3、p.38
愛と憎しみのアート・キャバレー 第六回(繚乱篇) 荒れ唇、皮むきゃひりひりむかねばごわごわ Lady's Slipper, no.5、1996.4、pp.16-19
ソフトなタッチなら痛くない - 続ガラスを割れば痛い、あるいは設楽知昭の作品をめぐる覚書 Lady's Slipper, no.6、1997.1、pp.6-7
剣に生き・剣に斃れ
決闘荒野の巻 - 影分身縁起
『蟋蟀蟋蟀』、no10、2001.10.31、pp.12-14
剣に生き・剣に斃れ
剣に生き・剣に斃れの巻 - 続・影分身縁起
『蟋蟀蟋蟀』、no.11、2002.11.15、pp.10-14

 まずは何より;

秋庭史典、『絵の幸福 シタラトモアキ論』、みすず書房、2020
 はじめに//
 絵を描くことがわからなくなった画家;生きるために/絵が生き続けるために/絵を生き続けさせるものたち/絵の幸せ//
 シタラと学生の対話;《大きな私と小さな私》/《片腕/私ガ手ヲ洗オウトスル》/タイトルをつけるということ/線でかくことについて思うこと/白土舎の個展/《透明壁画 - 人工夢》/凸と凹の絵/《ロボットになって街を歩いた》/《母の炎》《ピアニカ・ガール》/《胴切り》《空穴》《クピドの現われる街》《曇空ニ穴ノ空イテイル絵》/《ホテル・パシフィカ》/「50年分の光の映画」(芸術祭のパンフレットの挨拶文)より/《二つ折りにして封筒にいれました 手紙》/《鏡》《鏡ヨリモノタイプ》/《モレスキンの大きなノート》//
 おわりに/参考文献など、
 186ページ(その内カラー図版44ページ、)。

 合わせて;

山田諭、「自己を『見ること』~設楽知昭"1977, 1999, 2022"展」、『展評』、no.3、2000春、p.113

山本さつき、「手の届かないところ手の届かないもの」、『設楽知昭/エキノクス』パンフレット、T&S Gallery、白土舎、2003

髙橋綾子、「”二つ折り”の作家試論 1990-1999-2008年のシタラトモアキ」、『設楽知昭 人雲 Figure and Cloud』展図録、白土舎、2008

中井康之、「設楽知昭の絵画 表現することの寄る辺無さについて」、REAR、no.23、2010.3、pp.106-107

中井康之、「設楽知昭の絵画 表現することの寄る辺無さについて(承前)」、REAR、no.24、2010.8、pp.126-127

「設楽知昭の作品を鑑賞するためのキーワード」、『絵画の何か Part 3 設楽知昭・秋吉風人』展(港まちポットラックビル 3F、2019)会場配付資料

髙橋綾子、「ひとつは、すべて。 - 設楽知昭退任記念展について -」、REAR、no.46、2021.3、pp.67-69
 
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