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〈一念三千〉、メモ


 「一念三千というのは、衆生のわずかばかりの心(一念)の中に、世界のすべてが含まれているというもので、天台の最高の真理の表現である。三千というのは、十界×十界×十如是(にょぜ)×三世間で三千となる。…(中略)…
 十界というのは、地獄・餓鬼・畜生・修羅・
(にん)・天・声聞(しょうもん)縁覚(えんがく)・菩薩・仏の十の生存領域である。…(中略)…
さらに、その十界のそれぞれが他の九界を含んでいるというのが、
十界互具(じっかいごぐ)といわれる。…(中略)…
十如是というのは、
(そう)(様相)・(しょう)(本性)・(たい)(本体)・(りき)(能力)・()(作用)・(いん)(原因)・(えん)(機縁)・()(結果)・(ほう)(果報)・本末究竟等(ほんまつくきょうとう)(これらすべてが完全で平等であること)という十のカテゴリーであり、…(中略)…
三世間についてはすでに触れたが、世界を
五陰(ごおん)(蘊)世間・衆生世間・国土世間の三つの領域から見るものである。…(中略)…
 ちなみに、先に述べた三千大千世界の場合の三千(千の三乗)とは意味が異なっている」
  (末木文美士、『草木成仏の思想 安然と日本人の自然観』、サンガ、2015、pp.56-58/第2章第3節)。

引用中の「三世間」については、

「五陰世間は、
(しき)(物質)・(じゅ)(感受)・(そう)(表象)・(ぎょう)(意志)・(しき)(意識)という世界を構成する物質・精神の五つの基本要素(五陰・五蘊(ごうん))という観点から見た世界のあり方である。それに対して、衆生世間・国土世間はともに五陰からなるものであるが、衆生世間は主体である衆生の観点からみた世界のあり方、国土世間は環境的な世界のあり方であ 」(同、pp.21-22/第1章題2節1)。

〈三千大千世界〉については p.16/第1章第1節2。

 〈一念三千〉の原典に当たるのが;

 関口真大校注、『摩訶止観 - 禅の思想原理 -』(上巻、岩波文庫 青 309-1)、岩波書店、1966、p.286/巻第五の上・第7章第1節第1項1

ですが、ちなみに索引をのぞいてみると、

「一微塵のなかに大千の経巻あり」

という項目があって、上巻 p.60 とありました。巻第一の下、第1章第1節(承前)、「ロ 四弘誓願について」中のくだりです。

 この他、

 田村芳朗・梅原 猛、『絶対の真理〈天台〉 仏教の思想 5』(角川ソフィア文庫 SP110)、角川書店、1996、pp.145-157/第1部2章3、pp.324-330/第3部2

なども参照ください。華厳との関係について、pp.154-1556、325-328。〈十界互具〉について、pp.118-120、123-127/第1部2章2、pp.324-325。

 上で挙げた三冊それぞれの全体の目次は、刊行順に;


関口真大校注、『摩訶止観 - 禅の思想原理 -』(上下巻、岩波文庫 青 309-1~2)、岩波書店、1966
 解説//
  巻第一の上 序章;序分;縁起/三種の止観
              総叙//
          止観の大意;発心//
  巻第一の下
  巻第二の上 修行;常坐三昧//
              常行三昧//
              半行半坐三昧;方等三昧/法華三昧//
              非行非坐三昧//
  巻第二の下 果報/裂くべき網/帰すべき処//
  巻第三の上 止観の名義/止観の体相//
  巻第三の下 止観に一切の法を摂す/止観に偏と円とあり//
  巻第四の上 止観のための前方便 五縁を備えよ;持戒清浄なれ/衣食を具足せよ//
  巻第四の下   静処に閑居せよ/諸の縁武を息めよ/善知識に近づけ//
            五欲を呵せ//
            五蓋を棄てよ//
            五事を調えよ//
            五法を行ぜよ//
  巻第五の上 正しく止観を修す 陰入を観ぜよ 坐禅のなかに修す;不可思議の境を観ぜよ/慈悲の心を起こせ/善く巧みに心を安んぜよ//
  巻第五の下   法を破すること遍ねかれ//
注など、
388ページ。

 巻第六の上   法を破すること遍ねかれ(つづき)//
  巻第六の下//
  巻第七の上   通塞を識れ/道品を調適すせしめよ/助道をもちいて対治せよ//
  巻第七の下   次位を知れ/よく安忍せよ/法愛なからしめよ//
          歴縁対境に修す;六縁に歴て修せ/六境に対して修せ//
  巻第八の上 煩悩を観ぜよ/病患を観ぜよ//
  巻第八の下 業相を観ぜよ/魔相を観ぜよ//
  巻第九の上 禅定を観ぜよ//
  巻第九の下//
  巻第十の上 諸見を観ぜよ//
  巻第十の下//
注など、
392ページ。


田村芳朗・梅原 猛、『絶対の真理〈天台〉 仏教の思想 5』(角川ソフィア文庫 SP110)、角川書店、1996
文庫版 序(梅原 猛)/はしがき(同)//
天台法華の哲理(田村芳朗) 天台思想の歴史;天台思想のはじめ/その後の天台思想/日本での天台思想//
  天台思想の骨組み;『法華経』の構成組織/天台法華の真理観/天台法華の世界観//
  天台思想の展開;天台法華の人生観/天台法華の実践論/後世における展開//
天台法華思想の系譜(対談:田村芳朗、梅原 猛)//
三国伝来の仏教(梅原 猛)はじめに/インドの劇詩/中国の思弁哲学/日本の内面道徳//
参考文献//
解説(久保継成)など、
384ページ。

 1970年刊本の文庫化


末木文美士、『草木成仏の思想 安然と日本人の自然観』、サンガ、2015
「山川草木」と「草木国土」;「山川草木悉皆成仏」は間違っている/草木成仏論の前提/忘れられた大思想家安然//
草木は自ら発心・成仏するか - 安然『斟定草木成仏私記』の世界;『斟定私記』の成立と概観/さまざまな草木成仏説/心の真理と草木成仏/草木成仏論の深化/密教的草木成仏論へ//
草木成仏説の基礎付け - 安然の密教思想と草木成仏;草木成仏論の解決へ向けて/すべてを統合する「一即一切」/根源としての真如/真如と草木成仏/真如の深みへ//
日本人の自然観と草木成仏;本覚思想とその批判/密教と禅の草木論/東アジアの思想と草木成仏/「自然」とは何か/顕冥の世界観と草木成仏//
自然と災害を考える;災害天罰論再考/日本人の災害観/自然の奥へ//
付 現代語訳『斟定草木成仏私記』 諸宗の説を論ず;天台宗の説/華厳宗の説/三論宗の説//
  唐決をめぐって;円澄疑問・広修答/円澄疑問・
維蠲(ゆいけん)答/徳円疑問・広修答、光定疑問・宗穎答//
  当今日本の議論;貞観年中の論議/ある人の問答/私的に方便して偽りの説を立てる//
  円意の開顕//
あとがき/参考文献など、
262ページ。

2026/09/03 以後、随時修正・追補
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