フランティシェク・クプカ(1871-1957) 《宇宙の春 Ⅰ》 1913-1914年 油彩・キャンヴァス 115×125cm プラハ国立美術館 KUPKA, František Printemps cosmique I 1913-14 Oil on canvas 115×125cm National Gallery in Prague |
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Cf., | Viriginia Spate, Orphism, Oxford, 1979, "Chapter I Mystical Orphism. Frank Kupka(1871-1957),
p.118 / pl.73(同ページ pl.72 とPrintemps cosmique II のキャプションが逆), p.119 Frank Kupka, Galerie Gmurzynska, Kõli, 1981, p.133 / cat.no.5 『プラハ国立美術館コレクション ヨーロッパ絵画の500年』、そごう美術館、ひろしま美術館、福岡市美術館、北海道立旭川美術館、三重県立美術館、1987、cat.no.78 Serge Fauchereau, translated by Richard-Lewis Rees, Kupka, Rizzoli, New York, 1989, p.20 Cf. のcf., 『プラハ国立美術館秘蔵名画展・Ⅱ』、日本橋高島屋、栃木県立美術館、奈良県立美術館、北九州市立美術館、愛知県美術館、1982、cat.nos.68-71 František Kupka 1871-1957 ou l'invention d'une abstraction, Musée d'art moderne de la Ville de Paris, 1989-1990, cat.no.85 『クプカ展』図録、愛知県美術館、宮城県美術館、世田谷美術館、1994 John Gage, Colour and Meaning. Art, Science and Symbolism, Thames and Hudson, 1999, pp.162-168: "12 Turner as a Colourist" 稲賀繁美、「クプカの宇宙-その生成と無意識的記憶」、『世田谷美術館紀要』、第5号、1995.3.31、pp.3-23 [< 論文 1990-1997 < 稲賀繁美研究室 < 国際日本文化研究センター ] 谷古宇尚、「第一次大戦中のクプカの宇宙」、『世田谷美術館紀要』、第5号、1995.3.31、pp.25-39 →こちらも参照(《哲学的建築》 1913-24) |
元の勤め先で上掲『プラハ国立美術館コレクション ヨーロッパ絵画の500年』展が開かれた際、この作品についての解説を書いたりしました。多分に気恥ずかしい代物ではありますが、短い原稿なので載せておきます; フランチシェク・クプカ 《宇宙の春 Ⅰ》 1913-14年 目を引くのはまず、ごく薄い青、白そして黄緑の、奥からふくれ上がってくる光の滝であろう。粘りのある筆致によって液体と固体の中間と見える巨大な波は、手前に溜っていた物質を掻きひろげる。押し分けられた熔岩は、右では均一に分解して結晶と化し、左では立ち昇るのか落ちて行くのか煙のように沸きかえる。クプカが育ったチェコの民俗装飾と関連づけられることもある色彩は、地上のものならぬ物質が内に光を孕んでいるかのごとく乱反射する。画面は一杯に覆い尽くされて、もはや外のない宇宙的な混沌の、形あるものを産み落とさんとする運動を物語っている。中央下では、小さなひとがたが身を起こすのが見えよう。 二十世紀初頭の抽象絵画の創始者たちの目的は、造形の純粋な自立に留まらず、目に見えない世界を表現することにあった。やや図解的ながらも、クプカの作品は宇宙が誕生するさまを描こうとしたものである。 |
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(県立美術館学芸員・石崎勝基) 『中日新聞』(三重総合)、1987.9.5、「プラハからの贈り物 ヨーロッパ絵画500年 8」 『ヨーロッパ絵画の500年 プラハ国立美術館コレクション』展(1987/8/29~10/4)より →こちらを参照 [ < 三重県立美術館サイト ] |
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