ヴォルス (1913-1951) 《題名不詳 》 1938年 写真 23.0×17.2cm Wols title unknown 1938 Photographie 23.0×17.2cm |
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Cf., | 『写真のエコール・ド・パリ』展図録、目黒区美術館、三重県立美術館、北海道立近代美術館、河口湖美術館、静岡県立美術館、ひろしま美術館、1991-92、p.85
/ cat.no.197 Cf. の cf. 千葉成夫、「写真家としてのヴォルス MIZUE JOURNAL 3」、『みづゑ』、no.886、1979.1、pp.76-77 |
雨降り後の石畳が、上から接近して撮影されている。カメラの位置は、撮影者の身ぶり以上に、被写体の物質的な実在感を強調するだろう。 濡れた石、泥まじりの水などは、材質のちがいをよく伝えている。しかし、質感が克明であればあるほど、個々の存在は相殺しあうのではないか。意味ありげな人形も、骨のようなかけらも、その点で水や石と等価だ。 写真がとらえるのは、事物そのものではなく、実体を欠くイメージなのだろう。カメラの角度を示す右上の壁、敷石を宙に浮かす水の曖昧さ、さらに上下でのピントはずれまで、いっさいが正面を向かず斜めに横断して、イメージの通過を物語る。 |
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(石崎勝基・県立美術館学芸員) 『中日新聞』(三重版)、1991.7.16、「パリ展から」 『写真のエコール・ド・パリ』展(1991/6/22~7/28)より →こちらを参照 [ < 三重県立美術館サイト ] |
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