カミーユ・ピサロ(1830-1903) 《エルミタージュの景色、ポントワーズ》 1867年 油彩・キャンヴァス 70×100cm ロウ・ファンデーション、チューリッヒ Camille Pissarro View of L'Hermitage, Jallais hills, Pontoise 1867 Oil on canvas 70x100cm Fondation Rau, Zürich |
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Cf., | 『ピサロ展 印象派の巨匠とピサロ家の画家たち』図録、伊勢丹美術館、大丸ミュージアム・梅田、福岡・三越ギャラリー、三重県立美術館、山栗県立美術館、1998、p.51
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描かれているのはありふれた郊外の住宅地で、とりたてて際だった点は見あたらない。ただ、景色を眺めるほどに、長方形なり平行四辺形をなす家の屋根のグレーと茶色、および壁の白ないし明るいベージュが響かせるリズムに聴きいってしまいはしないだろうか。 実際画面は、このリズムを奏でるべく構成されている。下辺に沿って斜めに突きだす右下の土手と左下の草むらは、奥行きを強調する伝統的なしかけで、このため家がならぶ区域は見る者からへだてられることになる。しかし他方、遠景の丘が上辺近くまでせりあがっているので、奥行きは上部で抑えられ、景観全体が、平らな画布に沿った色と形の織物と化するのだ。 屋根のグレーは空と、茶色は丘に呼応し、家なみの上下を緑がはさむ。右下の土手では、茶色の上に緑がのせられている。そして下辺沿いの道と雲の明るい部分が、壁に応答する。 左下の人物の水色と葉の黄緑、花のピンクを小さなアクセントにしつつ、全体に調子の高い色は選ばれていない。しかし抑えられた調子の範囲内で、各色がリズミカルに呼び交わしあい、画面を軽快かつ涼しげな空気でひたすことになる。 |
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(県立美術館学芸員・石崎勝基) 『讀賣新聞』(三重版)、1998.7.17、「印象派の巨匠 ピサロ展」 『ピサロ展 印象派の巨匠とピサロ家の画家たち』(1998/6/23~7/26)より →こちらを参照 [ < 三重県立美術館のサイト ] |
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