デュフィ《白い塔のある静物》1913/1947

ラウル・デュフィ(1877-1953)
《白い塔のある静物》
1913/1947年
油彩・キャンヴァス
81×65cm
国立近代美術館、ポンピドゥー・センター、パリ


Raoul Dufy
Nature morte à la tour blanche
1913/1947
Huile sur toile
81x65cm
Musée nationale d'art moderne, Centre Pompidou, Paris

Cf., 『ポンピドーセンター所蔵 デュフィ展』図録、宇都宮美術館、三重県立美術館、秋田県立近代美術館、安田火災東郷青児美術館、高松市美術館、2001、p.51 / cat.no.32

 タイトルにある塔と静物は、強い光を反射するかのように、白く輝いている。
 これはまず、両わきの暗さおよび薄いグレーが、白の明るさを引きたてることによって得られた。
 ただ白の輝きは、明暗の対比のみによるものではない。暗い緑、青、茶だけでなく、明るい黄、赤、水色などと対比されることで、白は、色としても発現しているのだ。白の下層にのぞく紫の下塗りも、この点に寄与しているのだろう。
 ところでこの作品は、着手されてから三十年以上を経て、完成されたという。思えば、上半の緑と茶の筆致は、一九〇八年以来の、キュビスムの影響下にあった時期に用いられたものだ。他方四七年前後というと、黒い船の連作を手がけていた頃で、ここでの白は、連作における黒をネガのように反転したもの、と見なしうるかもしれない。
 構図を変更した形跡も、随所で透けて見える。デュフィ得意の色面からずれて走る線は、静物の文様や欄干以外、さほど前に出ない。どこまでが中断前なり後の制作かは判断しがたいが、結果として、白の輝きを際立たせるばかりだ。

(三重県立美術館学芸員・石崎勝基)
『讀賣新聞』(三重版)、2001.6.26、「ポンピドーセンター所蔵 デュフィ展 4」

『ポンピドーセンター所蔵 デュフィ展』(2001/6/10~7/15)より
こちらを参照 [ < 三重県立美術館のサイト

同サイト所蔵品頁のうち、デュフィ《黒い貨物船と虹》(1949頃)の解説
などもご参照ください(→こちらにもあります)。

 
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