デスピオ《ポーレット》1909-10

シャルル・デスピオ(1874-1946)
《ポーレット》
1909-10年
大理石
39.5×28.5×27cm
デスピオ-ヴレリック美術館、モン・ド・マルサン


Charles Despiau
Paulette
1909-10
Marbre
39.5x28.5x27cm
Musée Despiau-Wlérick, Mont-de-Marsan

Cf., 『シャルル・デスピオ展』図録、宮城県美術館、三重県立美術館、熊本県立美術館、大原美術館、山梨県立美術館、兵庫県立近代美術館、茨城県近代美術館、1997-98、pp.81-82, 98, 173-175 / cat.no.8

 デスピオの胸像の頭部は、下向きの卵とでもいおうか、頭蓋骨の形をくっきりと感じさせるものが多い。皮膚の下に肉や脂肪の厚みをあまりうかがわせないそれは、堅くつまった印象を与え、その点、量塊が単純化され、また理想化されたものと見なせよう。秀でた額、とおった鼻筋、巴旦杏型の目とともに、虹彩が刻まれるにしてもあまり強調されないため、いっそう自足した、内省的な存在感がもたらされている。
 他方同時に、細部は変化をしめし、とりわけ陰を落とす頬の肉づけは、モデルの個性を読みとらせずにいない。単純化・理想化と個性描写のきわめて微妙なかねあいによって、彫像は、高貴とも呼べよう典雅さをたたえるのである。

(県立美術館学芸員・石崎勝基)
『中日新聞』(三重版)、1997.8.15、「美術館だより」

『シャルル・デスピオ展』(1997/7/19~8/24)より
こちらを参照 [ < 三重県立美術館のサイト
 また;
シャルル・デスピオ[1874-1946] 《ポーレット》(表紙解説)」、『ひる・ういんど』、no.60、1997.9.25

 
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