ドラクロワ《モロッコのライオン狩り》1854

ウジェーヌ・ドラクロワ(1798-1863)
《モロッコのライオン狩り》
1854年
油彩・キャンヴァス
74x92cm
エルミタージュ美術館、サンクト・ペテルブルク


DELACROIX, Eugène
La chasse aux lions au Maroc
1854
Huile sur toile
74x92cm
The State Hermitage Museum, Saint Petersburg

Cf., 三輪福松編、『ドラクロワ リッツォーリ版 世界美術全集 12』、集英社、1975、pp.129, 134 / cat.no.700

『エルミタージュ美術館展 19-20世紀フランス絵画』図録、茨城県近代美術館、東武美術館、三重県立美術館、1995、pp.66-67 / cat.no.11

Catalogue de l'exposition Delacroix. les dernières années, Galeries nationales du Grand Palais, Paris, Philadelphia Museum of Art, 1998-99, pp.93-94 / cat.no.10

 この作品で人物や風景は、粘土をこねあげてできたかのような、柔らかさと動きを感じさせはしないだろうか。あらかじめ計画された輪郭にそって型どるのではなく、ズボンの赤、衣の白、空の青、そして緑など、まずあざやかな色が自発的にひろがり、その中から形が浮かびあがってくるのだ。対角線方向を強調した構図のダイナミックさ、光と影の対比が流動感を補強している。
 フランス・ロマン主義絵画を代表するドラクロワのこうした色彩の用法は、印象派以後の絵画に大きな影響を与えることになる。

(三重県立美術館学芸員・石崎勝基)
『朝日新聞』(三重版)、1995.10.5、「魅惑のフランス近代絵画 エルミタージュ美術館展から 3」

『エルミタージュ美術館展 19-20世紀フランス絵画』(1995/9/10~10/22)より
こちらを参照 [ < 三重県立美術館のサイト
   HOME美術の話著作権切れ泰西美術等400字前後解説輯挿図一覧