チャールズ・レニー・マッキントッシュ《ラダー・バック・チェア、ウィロー・ティー・ルーム》1903

チャールズ・レニー・マッキントッシュ(1868-1928)
《ラダー・バック・チェア、ウィロー・ティー・ルーム》
1903年
黒檀風仕上げのオーク材
104.8×45×38cm
大阪市立近代美術館建設準備室


Charles Rennie Mackintosh
Ladder-back Chair for the Willow Tea Rooms, Glasgow
1903
Ebonised oak
104.8x45x38cm
Osaka City Museum of Modern Art

Cf., 『マッキントッシュ展』図録、大丸ミュージアム、他、1985、p.70 / cat.no.32

『マッキントッシュとグラスゴー・スタイル』展図録、サントリー・ミュージアム[天保山]、伊勢丹美術館、三重県立美術館、2000-01、p.73 / cat.no.55

 マッキントッシュによってデザインされた、背の高い他の椅子に比べると、この椅子は一見、こわれものめいた鋭敏さをたたえてはいない。黒の塗装が部分的に落ちた現状や、藁編みの座の粗い質感が、そうした印象を強めている。
 しかしもっとも重要なのは、水平の桟を基本に、単純化された構成だろう。水平性がもたらす安定感に応じ、他のハイパックチェアのように、極度に背が引きのばされることもない。
 他方水平の桟は、ゆるやかな湾曲を描いてくぼんでいる。、そのため椅子は、空間を受けとめ、あるいは引きよせ、その上で桟と桟の聞から後方へと解放する。単純かつ微妙な構成によって、空間を生気づける機能をも果たしているのだ。

(県立美術館学芸員・石崎勝基)
『中日新聞』(三重版)、2001.2.8、「美術館だより」

『マッキントッシュとグラスゴー・スタイル』展(2000/12/12~2001/2/18)より
こちらを参照 [ < 三重県立美術館のサイト
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