ジョルジュ・ブラック(1882-1963)
《赤いテーブルクロスの上の静物》
1934年
油彩・キャンヴァス
81.0×101.0cm
個人蔵


Georges Braque
Nature morte à la nappe rouge
1934
Huile sur toile
81.0x101.0cm
Collection particulière

Cf., 『ジョルジュ・ブラック回顧展』図録、丸亀市猪熊弦一郎美術館、鹿児島市立美術館、Bunkamura ザ・ミュージアム、三重県立美術館、1998、pp.100-101 / cat.no.43

 画面を大きく占めるテーブルの楕円形は、やはり丸みを帯びた静物の形、そして何よりも、テーブルクロスの赤茶をはじめとした明るい色とかけあわされて、動きをはらんだ軽快さを見る者に印象づける。多分に粗放な筆致でひかれた波型の文様も、動きを波及させていくことだろう。
 ところで色の明るさは、なまの絵具によるのではなく、いずれも、白をかけるか混ぜて得られたものだ。そのため画面の軽快さは、漂白されたかのごとき、へだたりをおいた晴朗さに裏打ちされることになる。グレーも各所で、画面に落ちつきをもたらしている。
 かくして、色と形、文様が乾いたリズムを響きあわせる多声的な音楽性が、画面をみたすのである。

(県立美術館学芸員・石崎勝基)
『中日新聞』(三重版)、1998.11.19、「美術館だより」

『ジョルジュ・ブラック回顧展』(1998/11/3~12/13)より
こちらを参照 [ < 三重県立美術館のサイト
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