秋岡美帆作品解説他 - 追悼に代えて |
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2018年3月29日、秋岡美帆(以下敬称略)が交通事故で亡くなったと元の同僚が報せてくれました。1952年生まれ、享年65歳。 最後に会ったのは2017年9月30日、『開館35周年記念Ⅲ 本居宣長展』(→こちら [ < 三重県立美術館のサイト ])のオープニングで、宣長に興味があるとおっしゃっていました。どんなところに関心があったのかは聞きそびれ、次の折りにでも訊ねてみようと思っていたのですが、その機会はなくなってしまいました。 三重県美で「秋岡美帆展」( < 同上 )が開かれたのは2002年6月29日から8月18日まで、その関連で 「あわいよりあわあわと泡がたち」、『秋岡美帆展図録』、2002 < 同上 「秋岡美帆展より」、『友の会だより』、60号、2002/9/3、p.6 < 同上、 また後に 「秋岡美帆『光の間01-1-15-4』(館蔵品から)」、『ひる・ういんど』、no.74、2003/3/31 < 同上 「作品解説、あるいは幕間に潜りこもう!」、7節目、『ひろがるアート展~現代美術入門篇~』図録、2010/10 < 同上 と、そちらのサイトに掲載してもらっていますが、それ以外に件の個展の際の作品解説4本、また先だって1992年の名古屋の画廊での個展展評1本が埋もれていました。いずれも短いものですが、作品を思い起こすための手がかりくらいにはなりはしないものかと、下に再録して追悼に代えたく思います。 |
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2018/4/7 |
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追補; 特集展示『秋岡美帆 - 風の景 -』、三重県立美術館 柳原義達記念館A室、2020/4/1~8/30 < 同上 また、「年報2020年度版 企画展 特集展示 秋岡美帆 ― 風の景 ―」 < 同上 |
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秋岡美帆・新作版画展(美術) | 『朝日新聞』名古屋版、1992/8/21(夕) | |||
秋岡美帆『光の間01-10-18-5』(美術館だより) | 『中日新聞』三重版、2002/7/8 | |||
秋岡美帆『光の間02-5-29-2』(美術館だより) | 『中日新聞』三重版、2002/7/29 | |||
秋岡美帆『光の間02-5-13-3』(美術館だより) | 没原稿 | |||
秋岡美帆『光の間02-5-15-4』(美術館だより) | 『中日新聞』三重版、2002/8/5 |
『朝日新聞』名古屋版、1992/8/21(夕) |
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秋岡美帆・新作版画展(美術) 『秋岡美帆新作版画展』、ギャラリー・アパ、名古屋、1992/8/8-30 |
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はっきりした形はどこにもない。何もないというのでもない。何かはあるのだが、そこに手がとどくことは決してない、その時、何かと目とのあいだに横たわるへだたりそのもの。たとえば夏の真昼時、光の強さに蔭さえも発光して、焦点をさだめえないままに視線がさまよう。視線の彷程は一つの向きに限定されることなく、宙の一点一点であらゆる方位にゆらごうとする。全点でのゆらぎは、たがいに中和しあおうとして中和しきれず、画面にそいつつ、滑るようにゆっくり、画面からはがれていくだろう。 |
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『中日新聞』三重版、2002/7/8 |
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秋岡美帆『光の間01-10-18-5』 (美術館だより) |
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青白い光の滝が、上方から斜めに降下してくる。そのはねかえりだろうか、両脇から飛沫が弧を描いている。左下方で橙、右脇では黄緑の滲みが湧きあがろうとする。 |
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『中日新聞』三重版、2002/7/29 |
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秋岡美帆『光の間02-5-29-2』 (美術館だより) |
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秋岡美帆の作品は、何らかの自然の相貌を連想させずにいない。それはたとえば、水や空気の流れであったり、木漏れ日と影が交錯する森だったりするのだろう。具体的に判別できるイメージが認めがたいだけに、なおさら、見る者をとり囲み、包みこむ自然のありように接近するといえるかもしれない。 |
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没原稿 |
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秋岡美帆『光の間02-5-13-3』 (美術館だより) |
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この作品であれば上部の明るい青に見られるように、秋岡美帆の画面における色彩は、あざやかに発色する場合でも、ややかすれた感触を呈する。逆に、下半分での緑がかった暗い色のひろがりは、くすんでいながら、ある種の深みと透明感をたたえている。 |
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『中日新聞』三重版、2002/8/5 |
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秋岡美帆『光の間02-5-15-4』 (美術館だより) |
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モノクロの図版で見るとこの作品は、ほとんど真っ黒に塗りつぶされただけ、と映るかもしれない。わずかに左半分で、濃淡の変化があるというくらいだろう。 |
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