アングル《N.D.グーリエフ伯爵の肖像》1821

ジャン=オーギュスト=ドミニク・アングル (1780-1867)
《N.D.グーリエフ伯爵の肖像》
1821年
油彩・キャンヴァス
107x86cm

エルミタージュ美術館、サンクト・ペテルブルク


INGRES, Jean-Auguste-Dominique
Portrait du comte N. D. Gouriev
1821
Huile sur toile
107x86cm

The State Hermitage Museum, Saint Petersburg

Cf., Georges Wildenstein, Ingres, Phaidon Press, London, 1954/1956, pl.55, p.193 / cat.no.148

Robert Rosenblum、中山公男訳、『Ingres 世界の巨匠シリーズ』、美術出版社、1970、pp.120-121 / 図30

Ettore Camasasca, Tout l'œuvre peint d'Ingres. Les classiques de l'art, Flammarion, Paris, 1971, pp.100-101 / cat.no.107


『エルミタージュ美術館展 19-20世紀フランス絵画』図録、茨城県近代美術館、東武美術館、三重県立美術館、1995、pp.60-61 / cat.no.8

 18世紀ロココ様式の官能性に対し、フランス革命と同時期に登場した新古典主義は、ギリシャ・ローマに範を得て剛健さを打ちだしたが、アングルにおいてそれは、一種の冷厳さを帯びるようになる。
 この作品でも、モデルは冷たい印象を与えずにはいない。ただそれが、後のサロン絵画の空虚さにはない緊張をはらむところに、アングル固有の位置がある。
 精緻な描写とともに、上着の黒とマントの紺の微妙な対比、それらと交わる赤、白、黄との強い対比が、画面を緊密な組織として織りあげるのだ。

(三重県立美術館学芸員・石崎勝基)
『朝日新聞』(三重版)、1995.10.3、「魅惑のフランス近代絵画 エルミタージュ美術館展から 1」

『エルミタージュ美術館展 19-20世紀フランス絵画』(1995/9/10~10/22)より
こちらを参照 [ < 三重県立美術館のサイト
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